JP3862965B2 - 加工方法 - Google Patents

加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3862965B2
JP3862965B2 JP2001095517A JP2001095517A JP3862965B2 JP 3862965 B2 JP3862965 B2 JP 3862965B2 JP 2001095517 A JP2001095517 A JP 2001095517A JP 2001095517 A JP2001095517 A JP 2001095517A JP 3862965 B2 JP3862965 B2 JP 3862965B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
hydrogen
layer
nitrogen
etching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001095517A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002299318A (ja
Inventor
瑞仙 江崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2001095517A priority Critical patent/JP3862965B2/ja
Publication of JP2002299318A publication Critical patent/JP2002299318A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3862965B2 publication Critical patent/JP3862965B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Semiconductor Lasers (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)
  • Electron Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工方法に関し、より具体的には、半導体素子や各種光学素子などの作製に適用できる微細パターンや、光、荷電ビーム、X線等の各種ビーム露光に好適なマスクなどを形成したり、また、半導体レーザなどにおける電流狭窄構造などを選択酸化により形成するための、加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子デバイスや光デバイス等の各種のデバイスの高性能化、高機能化を図る上で、各種の電子材料や光学材料膜の微細パターン形成のためのプロセス技術の重要牲は、年々高まっている。特に、リソグラフィ法によりレジストパターンを形成し、これをマスクとして下地材料をエッチングする微細加工技術は、最重要技術の1つである。
【0003】
パターンの微細化に加えて、高精度な寸法制御や形状制御の要求に対応するため、従来のウェットエッチングからドライエッチングへ技術が移行しており、特にプラズマを用いたドライエッチング法は、現在、微細加工技術の中心的な役割を果たしている。
【0004】
そうしたドライエッチング方法による微細パターン形成においては、パターン密度の違いに起因してマイクロローディング効果が発生しやすく、パターン寸法の均一性を劣化させるという問題が生じている。ここで、「マイクロローディング効果」とは、密度の大きなパターンと密度の小さなパターンとを同時にエッチングする場合に、エッチングのされ方が場所毎に異なるために、エッチング反応生成物の発生量に粗密が発生し、揮発性の低いエッチング反応生成物が多量に対流することによってエッチングレートが不均一になる現象をいう。
【0005】
マイクロローディング効果を抑制するため、高精度な寸法制御が必要とされるリソグラフィ用のフォトマスクや各種シリコン系デバイスあるいは半導体集積回路等の作製においては、ダミーパターンを回路パターンの非形成領域、或いは回路、或いはパターン領域内に配置する方策が採られている。
【0006】
また、プラズマ・ドライエッチングでは、高密度プラズマによるデバイス表面層の損傷や組成変化、コンタミネーション(汚染)が問題となり、いかに低損傷化を図るかも重要な課題の1つとなっている。
【0007】
半導体レーザ等の化合物半導体からなる光デバイス作製においても、プラズマ・ドライエッチング法による微細パターン構造の作製がキーテクノロジーとなっている。例えば、微細加工により活性層の微小領域に電流を効率的に閉じ込めれば、しきい値電流、消費電力の低減等のデバイス特性の向上が図れる。このように微小領域のみに電流を閉じ込める「電流狭窄構造」の具体例としては、電流注入領域以外の領域にプロトン等のイオン注入して高抵抗化する構造や、エッチングにより分離メサ構造を形成し、さらにそのメサ構造の一部を選択酸化した構造、また、半導体埋込技術を用いて前述のメサ構造両側にpn接合などの電流ブロック層や半絶縁性半導体層を積層する構造などが提案されている。
【0008】
この中でも、エッチングにより分離メサ構造を形成し、メサ構造の一部を選択酸化した「選択酸化狭窄構造」は、活性層近傍のAlAs層やAlGaAs層といったAl(アルミニウム)含有層を選択酸化によりAlとすることによって屈折率導波路を形成したものであり、強い光閉じ込め効果が得られ、しきい値電流が低く、且つ応答性が速いという利点を有する。このため、選択酸化狭窄構造は、従来の電流狭窄構造を用いた場合と比べてデバイス特性の大幅な向上が得られ、近年最も注目されている構造である。
【0009】
酸化狭窄構造の作製は、通常、水蒸気酸化法を利用して行われる。しかし、AlAs層やAlGaAs層が400〜500℃の水蒸気雰囲気中で酸化されて被酸化層(Al)が形成されると、その体積が収縮するため、上下の層との間に歪みが発生するという問題を有する。その歪みは酸化層の先端に集中する傾向があるが、「選択酸化狭窄構造」の場合、酸化層の先端は、活性層から0.2μm程度の至近距離に設けられる。このため、酸化層の歪みが活性層のうちで電流が最も集中する領域に影響を与え、素子の寿命の低下をもたらすという問題が生ずる。
【0010】
また、選択酸化狭窄構造を形成した後に加熱処理を行うと、歪みのために被酸化層より上側の層が剥がれてしまう恐れがある。
【0011】
この問題に対処するため、特開2000−22204号公報には、水蒸気酸化の処理をしたとき、メサ構造の内部に向かって、厚さが薄くなる楔状の断面形状の酸化領域となるような構造にすることにより、選択酸化領域の歪みを緩和させる技術が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
フォトリソグラフィ・プロセスにおいて用いるフォトマスクやレチクルは、一般に、ガラスや石英などの透光性基板の上にCr(クロム)系材料からなる遮光性パターンを形成したものが多い。しかし、Cr系材料をエッチングした時に生成される反応生成物は、一般に揮発性が低く、ドライエッチングにおいてマイクロローデイング効果が生じやすいため、フォトマスクあるいはレチクルを製造するに際して、その面内でのCD制御性を如何に高めるかは重要な課題である。
【0013】
特に、光近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)パターンを含むフォトマスクの場合、OPCパターン部分のパターンサイズが同一マスク上の他のパターンに比べて小さく、マスクパターンの形成に際して異方性の高いエッチングが求められるため、エッチャントの蒸気圧と基板へのバイアスを大きくする必要ある。しかし、このような条件でエッチングすると、反応生成物がエッチャントの高圧力により被エッチング領域に押し付けられる形でパターン側壁に再付着し、エッチャントの被エッチング物質への吸着を妨げ、マイクロローデイング効果が発生しやすくなる。つまり、従来のエッチング方法を用いた場合には、OPCパターンを含んだマスクは、面内のCD制御が極めて難しいマスクであるといえる。
【0014】
一方、CD制御を目的として従来から提案されているダミーパターンを配置する手法の場合、OPCパターンおよびダミーパターンの配置によるパターン密度最適化のためにシミュレーション計算を要し、製造方法を簡便且つ低コストで行うことは難しいという問題があった。
【0015】
一方、上記フォトマスク作製におけるCr膜やMoSi膜等の遮光膜、半透過膜、位相シフト膜のパターンエッチングにおいては、条件によっては、高密度プラズマが照射された下地の石英基板部分が余計にエッチングされたり、石英基板の表面荒れが生じることがある。その結果として、光リソグラフィーにおいてマスク開口部における露光光の散乱による位相量の変化が生じ、マスク性能の低下をもたらす。
【0016】
一方、各種の電子材料、窒化物金属および窒化物半導体や窒素を含む材料のパターン形成においても、Cr系光学材料をエッチングする場合と同様に、エッチングプロセスにおけるマイクロローデイング効果が発生する場合が多い。したがって、この抑制は、デバイス作製の上で大きな課題である。
【0017】
一方、発光ダイオードや端面発光型レーザ、面発光型レーザなどにおける電流狭窄構造を形成するために、Alの選択酸化法を用いると、前述の如く歪みを生じ、発光特性や素子寿命が低下するという問題が生ずる。
【0018】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものである。すわなち、その第1の目的は、窒化物材料、各種半導体材料のエッチングにおいて、マイクロローデイング効果を抑制した高精度なエッチングが可能な加工方法を提供することにある。
【0019】
本発明の第2の目的は、マイクロローディング効果を抑制したエッチング方法により得られるパターン形状を制御できる加工方法を提供することにある。
【0020】
本発明の第3の目的は、フォトマスクやレチクルあるいは各種回路基板などのパターンを形成するために、パターン部分以外に損傷を与えない高精度なドライエッチングが可能な加工方法を提供することにある。
【0021】
本発明の第4の目的は、露光マスクおよび各種微細パターンを簡便且つ低コストで行うことが可能な加工方法を提供することにある。
【0022】
本発明の第5の目的は、半導体レーザなどの半導体装置における選択酸化方式の電流狭窄構造の作製において、エッチング、酸化方法の改善により、確実に電流狭窄、光閉じ込めの効果が得られる構造を製造するための加工方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の関連技術にかかる加工方法は、窒素を含有する母材層の深さ方向における所定のエッチング範囲に実質的に限定して水素を導入する工程と、
前記母材層を励起された酸素を含有する雰囲気に晒すことにより、前記水素が導入された前記所定のエッチング範囲を選択的にエッチング除去する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
かかる方法によれば、マイクロローデイング効果を抑制し、基板面内での寸法制御性を高めることができる。また、エッチング反応生成物の揮発性が高いケミカルエッチングにより被エッチング層をエッチングすることができるので、50nm以下の微細なパターンも形成可能となる。
【0027】
本発明の一態様によれば、アルミニウムを含有した母材層に窒素と水素とを導入する工程と、前記母材層を励起された酸素を含有する雰囲気に晒すことにより、前記窒素と前記水素とを含有した導入領域を選択的にエッチング除去し、さらに前記母材層の残余の部分の少なくとも一部を酸化して酸化領域を形成する工程と、を備え、
前記母材層の上にメサ構造体が設けられ、前記窒素と前記水素とを含有した導入領域は、前記メサ構造体の周囲に露出した前記母材層の表面から前記母材層の深さ方向における所定の位置までの範囲であり、前記酸化領域は、前記母材層が表面からエッチング除去されたことにより前記メサ構造体の下に露出したメサ部の側面から前記メサ部の中心に向かって酸化形成された部分を含むことを特徴とする加工方法が提供される。
【0028】
かかる方法によれば、いわゆる選択酸化構造を確実かつ容易に形成することができる。
【0030】
ここでも、前記窒素と前記水素とを含有した導入領域にハロゲン元素も導入することにより、エッチングを効率的に進めることができる。
【0031】
または、上述したいずれの方法においても、前記励起された酸素を含有する雰囲気は、ハロゲン元素も含有するものとしても、エッチングを効率的に進めることができる。
【0032】
また、上述したいずれの方法においても、前記窒素及び水素の少なくともいずれかは、イオン注入法により前記母材層に導入され、前記イオン注入法における加速電圧を調節することにより前記所定のエッチング範囲に実質的に限定して導入することにより、特定の範囲のみを選択的にエッチングすることができる。
【0033】
ここで、前記イオン注入法において、前記母材層の上に所定の開口を有するマスクを配し、前記窒素及び水素の少なくともいずれかを前記マスクの前記開口を介して前記母材層に導入することにより、パターン形成を確実かつ容易に実施することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明のエッチング方法の概要を表す工程断面図である。
まず、図1(a)に表したように、基板2の上に被エッチング層(母材層)1を形成する。被エッチング層1は、基板2と同一の材料でも良く、異なる材料でも良い。また、被エッチング層1が基板2と同一の材料である場合には、基板2の一部を被エッチング層2として用いることができる。この場合は、基板2と被エッチング層1全体が「母材層」となる。
【0036】
次に、図1(b)に表したように、基板2をステージ4の上に載置し、マスク3を介して、被エッチング層1に窒素6を注入する。マスク3は、被エッチング層1から離間して設けてもよく、あるいは、被エッチング層1に密着して設けてもよい。窒素6の注入には、例えばイオン注入装置を用いることができる。
【0037】
図2は、この工程で用いるイオン注入装置の構成を例示する概念図である。例えば、レーザ光31とCCDカメラ32とを用い、基板2上に設けられたレジストパターン(図示せず)をもとにマスク3と基板2の位置を検出し、xyzθ方向に移動可能なステージ4を調節してアライメントすることができる。また、このときマスク3と基板2との間のギャップ長30もステージ4により制御することができる。
【0038】
このようにして、マスク3に設けられた開口部を窒素6が通過し、マスク3のパターンに従って、被エッチング層1に導入されて、導入領域1Bが形成される。
【0039】
次に、図1(c)に表したように、マスク3を介して、被エッチング層1の導入領域1Bに水素7を導入する。ここで用いるマスク3は、図1(b)の工程で用いるものと同一のものでも良く、異なる開口を有するものでも良い。また、水素7の導入は、図1(b)の工程において前述したイオン注入装置と同一のものを用いても良く、あるいは、後に実施例として説明するようなプラズマ源を用いてもよい。
【0040】
なお、図1(b)、(c)に表した窒素6、水素7の他に、ハロゲン元素を被エッチング層1に導入しても良い。この場合も、ハロゲン元素の導入は、同様のマスク3を用いて行うことができる。また、導入領域がある程度深い場合は、ハロゲン元素としてフッ素(F)を用いるとよい。
【0041】
次に、図1(d)に表したように、被エッチング層1を励起された酸素9を含む雰囲気に晒す。励起された酸素9は、例えばプラズマにより得ることができる。励起された酸素9に晒されると、導入領域1Bは、その窒素及び水素の含有量に応じて選択的にエッチング除去される。具体的には、窒素及び水素の含有量が多いほど、エッチング速度が高く迅速に除去される。ここで、窒素と水素とを含有した導入領域が励起された酸素によりエッチングされる理由は、これらの種の共存により、平衡蒸気圧が高く揮発性に富んだ反応生成物が形成されるためであると考えられる。
【0042】
また、これらの種にフッ素などのハロゲンガスがさらに加わると、反応生成物の蒸気圧がさらに上昇し、あるいは反応生成物の生成が促進されるために、エッチングが促進されるものと推測される。従って、図1(d)の工程において、酸素とハロゲン元素とを含有したプラズマを用いても良い。
【0043】
以上説明したように、本発明は、窒素と水素とが導入された導入領域を励起された酸素に晒すとエッチングされるという極めてユニークな現象を利用したものである。そして、本発明においては、さらに、窒素や水素の注入深さを適宜調節することにより、被エッチング層1の任意の部分のみを選択的にエッチングすることができる。
【0044】
図3は、本発明において被エッチング層1に形成される導入領域1Bの位置の代表例を表す断面図である。
【0045】
図3(a)に表した例においては、被エッチング層1の深さ方向全体に亘って、導入領域1Bが形成されている。
【0046】
図3(b)に表した例においては、被エッチング層1のうちの表面側のみに導入領域1Bが形成されている。その下側には、窒素あるいは水素が打ち込まれていない非導入領域1Aがある。
【0047】
図3(c)に表した例においては、被エッチング層1の深さ方向にみて中程のみに導入領域1Bが形成されている。その上下には、非導入領域1Aがある。
【0048】
図3(d)に表した例においては、被エッチング層1の下側のみに導入領域1Bが形成され、表面側には非導入領域1Aがある。
【0049】
図3(a)〜(d)に例示したような導入領域1Bの形成深さの調節は、窒素や水素の導入の条件を適宜選択することにより行うことができる。例えば、イオン注入法を用いる場合には、加速電圧、注入量、イオンの荷電数、入射角度、被エッチング層1の結晶方位などを適宜選択することにより行うことができる。つまり、これらの条件を適宜選択すれば、被エッチング層1の深さ方向に対する導入元素の濃度のプロファイルを所望の領域に注入されるように制御することができる。
【0050】
例えば、図1(b)乃至(c)に表した窒素、水素あるいはハロゲン元素(例えばフッ素)の導入工程においてイオン注入法を用いた場合、マスク3のパターン開口部の下に位置する被エッチング層の中へは導入されるが、これらの元素は何れも質量が小さく(特に水素イオン)、被エッチング層1の表面に入射した後、被エッチング層1を構成する元素の格子と弾性散乱し、カスケード状に被エッチング層2の内部深くまで侵入できる。従って、イオン注入の加速電圧や注入量などの条件を調節することにより、注入する窒素、水素、フッ素の濃度分布を制御できる。
【0051】
そして、注入された窒素、水素、フッ素の濃度分布に応じて、図1(d)に表した励起酸素処理により、窒素と水素が打ち込まれた導入領域1Bがエッチングされる。本発明によるエッチング方法は、窒素と水素の存在により生じるものであり、図1(c)の工程により導入された水素の濃度分布がサイズおよび形状に影響を与える。
【0052】
その結果として、図3(c)及び(d)に表したように、被エッチング層1の内部に導入領域1Bを形成することにより、被エッチング層1の内部のみをエッチングすることが可能となる。この点に関しては、後に第3実施例を参照しつつ詳述する。
【0053】
本発明は、以上説明した形態で実施され、以下に詳述する作用効果を奏する。
【0054】
まず、本発明の第1の効果として、エッチングによる窒化膜、および各種電子材料膜、光学材料膜の微細パターン形成において、従来のエッチング方法で生じるマイクロローデイング効果は抑制され、基板面内での寸法制御牲を高めることが可能となる。またエッチング反応生成物の揮発性が高いケミカルエッチングにより窒化膜がエッチングされるので、パターン寸法が50nm以下の微細化にも対応できる。
【0055】
第2の効果としては、窒素、水素およびフッ素を含むガスのイオン注入において、加速電圧、注入量、入射角などを調整することで、イオンの基板への入射方向、深さ方向のイオン濃度プロファイルを制御し、得られるパターン形状を制御することが可能となる。その結果として、エアギャップや空洞などを形成することができる。
【0056】
第3の効果として、Cr系膜を用いたフォトマスクやレチクルあるいは各種窒化膜パターン回路基板のエッチングにおいて、パターン部分以外に損傷を与えず、高精度なドライエッチングを行うことができる。
【0057】
第4の効果として、簡便且つ低コストで露光マスクおよび各種微細パターンの製造することが可能となる。
【0058】
第5の効果として、半導体レーザにおける選択酸化方式の電流狭窄構造の作製において、エッチング時に同時に選択酸化が行われ、確実に電流狭窄、光閉じ込めの効果が得られる構造を提供することが可能となる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例を参照しつつ本発明についてさらに詳細に説明する。
【0060】
(第1の実施例)
まず、本発明の第1の実施例として、MoSi膜の微細パターンからなるハーフトーン型位相シフトマスクの作製方法について具体的に説明する。
【0061】
図4は、本実施例による製造方法の要部を表す工程断面図である。
【0062】
まず、図4(a)に表したように、洗浄した厚さ2.5インチの6インチ角の石英基板12に、MoSi膜10とCr膜11を形成する。具体的には、反応牲スパッタリング装置を用いてターゲット材料としてMoSiを用い、窒素/アルゴン混合ガス、圧力5mTorrの条件の下で膜厚100nmのMoSi膜10を形成した。次に、ターゲットおよびガスを変えてMoSi膜のエッチングハードマスクとして通常用いられる膜厚60nmのCr膜11を成膜した。
【0063】
次に、図4(b)に表したように、レジストパターン13を形成した。具体的には、スピンコータ装置により、市販の電子ビーム用レジストZEP520(日本ゼオン)を回転塗布し、ホットプレートを用いてベーク処理を行い、膜厚500nmの感光膜を形成し、加速電圧75kVの電子線描画装置を用いてパターン描画を行った。所望の描画精度を得るために、描画は4回の重ね書きによりパターンを形成する多重描画を行い、また照射量補正により近接効果補正を行った。描画後、現像処理を行い、レジストパターン13を形成した。
【0064】
次に、図4(c)に表したように、窒素イオン6を注入した。具体的には、加速電圧75keV、注入量1×1015/cmで窒素イオン6を注入した。このときの加速電圧75keVは、石英基板12に窒素イオンが注入されず、またレジストパターン13の下のCr膜11、MoSi膜10にも、窒素イオン6は注入されず、パターン13の開口部に位置する膜のみにイオン注入される条件である。その後、イオン注入による損傷緩和およびイオン注入領域のCr膜11およびMoSi膜10の窒化を促進する目的で、基板を窒素またはアンモニアガス雰囲気中で300℃、15分間の熱処理を行った。
【0065】
次に、図4(d)に表したように、水素及びフッ素14を注入した。具体的には、アンテナ出力750Wでバイアス出力300WのCHFガス(ガス圧力:0.6Pa、流量:100sccm)のプラズマを3分間ほど照射した。プラズマ源としては、誘導結合型プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)源を用いた。CHFガスの3分間のプラズマ処理では、レジストパターン13の開口部13Bのみにおいて、水素およびフッ素イオンがCr(N)膜11及びMoSi膜10に注入される。
【0066】
ここで、水素およびフッ素イオンは、(特に水素イオンは)その質量が小さく、Cr(N)膜11の表面に入射した後、構成する元素の格子と弾性散乱し、カスケード状にMoSi膜10の結晶内深くまで侵入していく。一方、レジストパターン13下のCr膜11、MoSi膜10中へは、レジストが軽元素から構成されているため、水素およびフッ素イオンの侵入は妨げられる。このことは、2次イオン質量分析(SIMS)からも確認できた。
【0067】
次に、図4(e)に表したように、酸素プラズマ9に晒した。具体的には、アンテナ出力500W、バイアス出力0Wの酸素プラズマ(ガス圧力:0.7Pa、流量:100sccm)9を5分間照射した。すると、図4(f)に表したように、パターン開口部のCr(N)膜11およびMoSi(N)膜10がエッチングされ、さらにレジストパターン13も除去された。
【0068】
最後に、図4(g)に表したように、エッチングハードマスクであるCr膜11をウェット処理によりエッチングして取り除き、MoSi膜10からなるハーフトーン型の位相シフトマスクが得られた。
【0069】
本実施例においては、Cr膜11のうちで、窒素及び水素が導入された部分を酸素プラズマに晒した場合のエッチング速度が7.4nm/分であったのに対して、窒素及び水素を導入していない部分のエッチング速度は0.3nm/分であった。つまり、酸素プラズマに対するエッチング選択比は約25と十分に高い値であることが分かった。また、MoSi膜10についても、窒素及び水素が導入された部分と導入されていない部分とは、同様のエッチング選択比が得られ、MoSi膜の微細パターンを精密に形成できることが確認された。
【0070】
本実施例によれば、従来のエッチング方法において問題となっていたマイクロローデイング効果が抑制され、基板面内でのCD制御性を高めることができる。本実施例においては、窒化膜中に注入された水素およびフッ素の濃度分布に応じてエッチングが進むため、従来エッチングにおいて生じるマイクロローデイング効果は抑制される。また、エッチング反応生成物の揮発性が高いケミカルエッチングにより窒化膜はエッチングされ、50nm以下の微細なMoSiパターンも形成可能となる。
【0071】
また、本実施例においては、水素およびフッ素を含むガスのプラズマ照射において、プラズマ密度、バイアス電位、ガス圧力等を調整することで、イオンの基板への入射方向を制御し、得られる窒化膜のパターン形状を制御することが可能である。垂直形状のパターンを形成したい場合、ガス圧力を下げ、イオンの平均自由工程を長くし、バイアス電位を上げ直進性を高めることにより、イオンが基板に対して垂直に入射され、好適な条件となる。
【0072】
また、本実施例においては、イオンおよびプラズマがCr膜11に直接照射されるため、MoSi膜10や石英基板12の照射損傷は抑えられる。酸素プラズマ9の照射に際してバイアス印加はなく、Cr膜11およびMoSi膜10は、低損傷にエッチングされ、また下地基板の石英12は全くエッチングされず、平滑な表面が得られた。石英基板12のエッチングが抑制されたのは、イオン注入における加速電圧、注入量を調節することで、石英基板12への窒素の導入を抑制したためである。
【0073】
図5(a)は、本実施例においてイオン注入法により窒素を導入した場合の加速電圧と窒素濃度分布との関係を表すグラフ図である。同図から分かるように、加速電圧が10〜50KeVでは窒素の分布は浅く、MoSi膜10が十分に窒素を得られない。一方、加速電圧が100KeV以上の場合は、窒素は石英基板12にまで達する。従って、基板12に窒素を導入せずに、Cr膜11とMoSi膜10のみに窒素を導入するためには、実施例の条件である75KeVが最適であることが分かる。つまり、本実施例では、石英基板12で窒化が生じないように窒素6のイオン注入の加速電圧を設定した。
【0074】
なお、図5(b)は、イオン注入法により水素を導入した場合の深さ方向の濃度分布を表すグラフ図である。また、図5(c)は、加速電圧150KeVの窒素と、加速電圧30KeVの水素の分布をそれぞれ表すグラフ図であり、後に第2実施例に関して詳述する。
【0075】
また、本実施例では、MoSi膜10上にCr膜11を積層しているが、石英基板12上にMoSi膜10のみを形成しても、本手法によりパターン形成は可能である。その際は、窒素6のイオン注入をMoSi膜10(膜厚100nm)のみにするため、窒素イオン注入の加速電圧を下げた。具体的には、50keVにおいてMoSi膜10はエッチングされてパターンが形成され、下地の石英基板12は全くエッチングされず、平滑な表面が得られた。
【0076】
一方、上述した本実施例においては、水素およびフッ素の導入をCHFガスのプラズマ照射により行ったが、窒素同様にイオン注入装置を用いて行っても良い。この場合は、図5(b)に例示した濃度分布を参考にして加速電圧を決定することができる。
【0077】
また本実施例では、Cr膜11及びMoSi膜10を用いたが、その他の化合物、例えばCrN膜、CrON膜、MoSiN膜、MoSiON膜を用いても本発明の効果が同様に得られる。予め窒素を含有した膜を用いる場合には、図4(c)に表した窒素導入の工程を省略できることはいうまでもない。
【0078】
また、上記説明においてMoSiと表記したが、その組成比としては1:1の組成に限らず、他の組成比を持つMoSi膜に対しても同様の本発明の効果があることは明らかである。
【0079】
また、上述した具体例においては、MoSi膜10とCr膜11の成膜をスパッタ装置を用いて行ったが、真空蒸着やCVD(Chemical Vapor Deposition)等の気相成長法や、液相成長法を用いて行うことも可能である。
【0080】
また、本実施例で水素、フッ素を含むガスを用いたプラズマ処理においては、ここで用いたCHF、CF+H、NH以外にも、水素およびフッ素を含むガス系であれば使用可能である。また、水素と組み合わせるガスとしては、フッ素以外のハロゲンガスも可能であるが、原子半径、イオン半径の最も小さい元素からなるフッ素ガスが好適である。
【0081】
また、プラズマ源としては、ICP以外にも、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置やマグネトロンプラズマ装置、電子サイクロトロン共鳴を利用したECR型RIE装置やヘリコンプラズマ源を用いたプラズマ装置も用いることができる。本実施例で用いたICPプラズマ源の場合、プラズマを発生させるための電源(プラズマソース)とプラズマからイオンを試料に引き込むための電源(バイアス)との2つの電源を持ち、プラズマ密度の高低と試料へのバイアス電位とが独立に制御できるため、イオンの方向性制御において好適であると言える。
【0082】
また、本実施例の酸素プラズマによるエッチングにおいて、アンテナ出力を変えることにより、酸素プラズマによるCr(N)膜、MoSi(N)膜のエッチングレートを制御することが可能である。同様に、酸素プラズマにおけるアンテナ出力を変化させることで、エッチング形状を変化させることも可能である。また、窒素が導入された膜の酸素プラズマエッチングにおいて、アンテナ出力に加え、バイアス出力を印加した場合、酸素が照射される膜表面に金属酸化膜が形成されて、エッチングが抑制される傾向がある。このバイアス印加によるエッチング抑制効果を利用して、窒化膜のエッチングレートおよび形状の制御、パターン形成、欠陥修正することが可能である。また、酸素プラズマ処理において、酸素の他にN、Cl、H等のガスを添加することにより、Cr(N)膜、MoSi(N)膜のエッチングレートおよび形状の制御も可能である。
【0083】
以上、詳述したように、本実施例は、窒素が導入された膜にさらに水素を導入したことによる反応がエッチングに大きく寄与していることを示している。従って、本実施例の位相シフトマスクの作製や材料に限定されず、他の電子材料、光学材料の微細パターン形成、各種デバイス作製に対しても、水素イオンが注入された窒化膜のエッチングレートが向上するという本発明の効果を適用できることは明らかである。
【0084】
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例として、レベンソン型位相シフトマスクの作製方法について詳細に説明する。
【0085】
図6は、本実施例によるレベンソン型位相シフトマスクの要部製造工程を表す工程断面図である。
【0086】
まず、図6(a)に表したように、基板12の上に位相シフタ窒化膜15とCrN膜18を形成する。このとき位相シフタ窒化膜15は、リソグラフィに用いる光源の露光波長において位相シフト量が180度になる膜厚とした。そして、反応性スパッタリング装置を用い、ターゲット材料としてCrを用いて、窒素/アルゴン/水素混合雰囲気ガス下で膜厚100nmの遮光体CrN膜18を形成した。
【0087】
次に、図6(b)に表したように、レジストパターン13を形成した。具体的には、スピンコータ装置により、市販の電子ビーム用レジストZEP520(日本ゼオン)を回転塗布し、ホットプレートを用いてベーク処理を行い、膜厚500nmの感光膜を形成し、加速電圧75kVの電子線描画装置を用いてパターン描画を行った。所望の描画精度を得るために、描画は4回の重ね書きによりパターンを形成する多重描画を行い、また照射量補正により近接効果補正を行った。描画後、現像処理を行い、レジストパターン13を形成した。
【0088】
次に、図6(c)に表したように、水素7を導入した。具体的には、加速電圧15keV、注入量1×1014/cmで、水素7のイオン注入を行った。
【0089】
図7は、イオン注入装置のステージ4を表す概念図である。同図に表したように、xyzθ方向への移動が可能なステージ4上に設置された基板16をマスク3に対して水平移動させながら、マスク3と基板16の位置合わせおよびギャップ長30の調整を行い、所望位置に水素7を打ち込んだ。ここでは、レーザ光(図示せず)を用いてレジストパターン13をマーカーとしてマスク3と基板16の位置検出を行ってアライメントし、基板16を所望位置に移動させる。また、このときマスク3と基板16間のギャップ長30もステージ4により調節し、本実施例においては、50μmに設定した。このようにして、マスク3に設けられた開口部を介して、所望のパターンに従って、位相シフタ窒化膜15およびCrN膜18中に水素が注入された。
【0090】
その後、イオン注入による損傷を緩和するために基板を窒素或いはアンモニアガス雰囲気中で200℃、15分間の熱処理を行った。
【0091】
次に、図6(d)に表したように、水素及びフッ素14を導入した。具体的には、アンテナ出力750Wにし、バイアス出力300WのCHFガス(ガス圧力:0.6Pa、流量:100sccm)のプラズマを30秒照射した。プラズマ源としては、ICP源を用いた。
【0092】
この条件のプラズマ照射によれば、レジストパターン13の開口部のみにおいて、水素およびフッ素イオンがCrN膜18中に主に注入され、位相シフタ窒化膜15や基板12への注入量は少ない。これは、SIMS分析より確認できた。水素およびフッ素イオンはその質量が小さく(特に水素イオン)、CrN膜18の表面に入射した後、構成する元素の格子と弾性散乱してカスケード状にCrN膜18内に侵入していくが、この注入条件では、位相シフタ窒化膜15には殆ど侵入しない。また、レジストパターン13下のCrN膜18及び位相シフタ窒化膜15への水素の侵入も妨げる。
【0093】
次に、図6(e)に表したように、酸素プラズマ処理を施す。具体的には、アンテナ出力500W、バイアス出力0W(ガス圧力:0.7Pa、流量:100sccm)の酸素プラズマ9を5分間照射する。すると、レジストパターン13が除去されるとともに、レジストパターン13の開口部分に位置するCrN膜18およびマスク3を用いて水素イオンが注入された位相シフタ膜部分15のみがエッチングされ、レベンソン型の位相シフトマスクが得られた。
【0094】
図8は、このようにして得られた位相シフトマスクの作用を説明するための概念図である。すなわち、同図(a)に表したような断面構造を有するマスクに、矢印で例示した方向から光を入射した場合を考える。この場合、マスク上での光の振幅は、その透過率に応じて同図(b)に表したような分布を有する。これは、図示しないウェーハ上においては、同図(c)に表したような光の振幅分布を形成し、その結果として、ウェーハ上での光の強度分布は、同図(d)に表した如くとなる。
【0095】
次に、本実施例の変形例について説明する。
【0096】
図9は、本発明によるレベンソン型位相シフトマスク(シングルトレンチ型)の別の製造工程の要部工程断面図である。
【0097】
すなわち、本変形例においては、まず図9(a)に表したように、基板12の上にCr膜11を形成した。具体的には、洗浄した厚さ2.5インチの6インチ角の石英基板12に、反応性スパッタリング装置を用いてターゲット材料としてCrを用い、窒素/アルゴン混合ガス、圧力5mTorrの条件の下で膜厚100nmのCr膜11を形成した。
【0098】
次に、図9(b)に表したように、レジストパターン13を形成して窒素6を導入した。具体的には、図6(b)に関して前述したものと同様の方法によりレジストパターン13を形成し、その後、加速電圧150keV、注入量1×1015/cmで窒素6をイオン注入した。このときの加速電圧150keVでは、図5(c)に表したように、Cr膜11のみならず石英基板12中にも窒素イオンが注入されるが、レジストパターン13の下のCr膜11、石英基板12には、窒素イオンは注入されず、パターン13の開口部のみに窒素が導入される。なお、図5(c)において、深さ方向に矢印Dで示した範囲は、石英基板12の表面の一部であり、位相シフト差が180度になる厚さに対応する部分である。
【0099】
その後、イオン注入による損傷緩和およびイオン注入領域のCr膜11および石英基板12の窒化を促進する目的で基板を窒素或いはアンモニアガス雰囲気中で300℃、15分間の熱処理を行った。
【0100】
次に、図9(c)に表したように、水素7を導入した。具体的には、加速電圧30keV、注入量1×1014/cmで水素のイオン注入を行った。図6(c)に関して前述した方法と同様にして、マスク3とステージ4上に設置された基板16の位置合わせおよびギャップ長30の調整を行い、所望位置に直接水素イオンを打ち込んだ。このときマスク3と基板16間のギャップ長30もステージ3により制御し、このときは50μmに設定した。
【0101】
この条件において、マスク3に設けられた開口部を水素イオンが通過し、Cr膜11および石英基板12中に注入される。このとき、図5(c)に表したように、石英基板12に高濃度に注入される水素イオンの深さは、石英の位相シフト量が180度になる(リソグラフィに用いる光源の露光波長における)膜厚と一致するように加速電圧を設定した。
【0102】
その後、イオン注入による損傷緩和の目的で、基板16を窒素或いはアンモニアガス雰囲気中で200℃、15分間の熱処理を行った。
【0103】
次に、図9(d)に表したように、水素及びフッ素14を導入した。具体的には、アンテナ出力750Wにし、バイアス出力300VのCHFガス(ガス圧力:0.6Pa、流量:100sccm)のプラズマを3分間照射した。プラズマ源としては、ICP源を用いた。このプラズマ処理により、レジストパターン13の開口部において、水素及びフッ素は、Cr膜11のみに導入され、石英基板12には殆ど到達しない。
【0104】
次に、図9(e)に表したように酸素プラズマによるエッチングを施した。具体的には、アンテナ出力500W、バイアス出力0Wの酸素プラズマ(ガス圧力:0.7Pa、流量:100sccm)9を5分間照射した。すると、レジストパターン13が除去され、同時に、レジストパターンの開口部分に位置するCr(N)膜11およびマスクを用いて水素イオンが注入された石英基板12の一部分のみがエッチングされた。このとき、石英基板12のエッチング深さは、マスク3により水素イオンが高濃度に注入されている領域の深さであり、石英の位相シフト量が180度になる膜厚と一致させることかできる。その結果として、シングルトレンチタイプのレベンソン型位相シフトマスクを得ることができた。
【0105】
以上説明した方法により、高精度なレベンソン型位相シフトマスクが作製できる。ステンシルタイプのマスク3を用いたイオン注入法においては、基板16とマスク3間との位置合わせを行い、イオン加速電圧および注入量の設定によりイオン注入領域の探さ方向の注入量プロファイルを制御することを特徴とする。また、本実施例及び変形例においても、水素イオンを注入した窒化膜の酸素プラズマ9に対するエッチングレートが変化することを利用している。
【0106】
イオン注入においてマスクを用いることにより、高速かつ容易なパターン形成が可能になる。光露光用マスクでは、更なる微細化に対応するため、光近接効果補正用のセリフやジョグ等の更に微細な遮光体パターンの形成や位相シフトマスク、特にレベンソンマスクが必要とされている。遮光体パターンのアスペクト比は高く、その製造におけるエッチング工程において、現在行われているウェットエッチング法またはドライエッチング法によりパターンを形成する方法では、そのサイズおよび加工形状、面内CDを高精度に制御を行うことは困難であった。これに対して、本発明のパターン形成方法によりマスクを作製すれば、低コストで高精度な微細パターンが容易に形成でき、レベンソン型位相シフトマスクの作製が行えることが確認された。
【0107】
また、上記実施例及び変形例におけるCr(N)膜、石英基板のエッチングにおいて、水素を含むガスおよび酸素ガス等の各種プラズマおよびイオンビーム照射によって、膜および基板は、構成元素の組成分布、結晶構造の変化は見られず、また欠陥や転位等の照射損傷は誘起されていないことが、X線光電子分光(XPS)、二次イオン質量分析(SIMS)、X線回折(XRD)、透過電子顕微鏡観察により確認でき、マスクとして用いる場合の光学的特性や電気的特性、機械的特性に変化が生じていないことが分かった。
【0108】
なお、本変形例においては、窒素及び水素の注入をイオン注入により行ったが、アンモニア等の窒素を含むガス雰囲気中でレーザ光を照射することによる、「レーザドーピング法」により行うことも可能である。このときレーザとしては、欠陥部分に対してより狭い領域に集光でき、且つ高濃度の注入を行う上で高出力パワーが望まれることからKrFやArFあるいはF2エキシマレーザを使用することが望ましい。
【0109】
また、ステンシルタイプのマスクを用いずに集束イオンビームを用いても、膜中への窒素、水素、フッ素の注入は可能である。また位相シフトマスクの作製のみを本実施例では取り扱ったが、他にも各種材料に対して微細パターンを形成することが可能なことは明らかである。
【0110】
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例として、MOSトランジスタで構成されるLSI基板における多層配線(微細空中配線)構造の作製方法について具体的に説明する。
【0111】
図10及び図11は、本実施例の作成方法を表す工程断面図である。
【0112】
まず、図10(a)に表したように、P型シリコン基板101上にトレンチ分離領域102を形成した後、ソース・ドレイン領域103、サイドウォール104、ゲート酸化膜105、ゲート電極106及びゲート配線106aを有するMOSトランジスタを形成する。
【0113】
次に、図10(b)に表したように、SiOからなる基板被覆膜107と、プラグ形成層の仮設膜となるSiON膜110a(膜厚0.4μm)と、下側SiO膜109a(膜厚0.05μm)と、配線形成層の仮設膜となる上側SiON膜110b(膜厚0.4μm)を順次堆積する。
【0114】
次に、図10(c)に表したように、配線111とプラグ112を形成する。具体的には、まず、下側SiO膜109aをストッパとして、上側SiON膜110bに配線用溝を形成した後、配線用溝の底面から下側SiO2 膜109a及び下側SiON膜110aを貫通してソース・ドレイン領域103に到達するコンタクトホールを開口する。このときフッ素系ガスによりエッチングを行い、SiON膜110a、110b中にフッ素イオンが注入される。
【0115】
ただし、ここで先にコンタクトホールを形成した後配線用溝を形成してもよい。さらに、基板の全面にバリアメタル膜113とCu(銅)合金膜114をスパッタ法を用いて堆積し、400〜500℃での熱処理によりCu合金膜114をリフローさせて配線用溝及びコンタクトホール中にCu合金114を充填する。あるいは、メッキ法によりCu合金膜114を形成してもよい。
【0116】
その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化して、堆積されているバリアメタル膜113及びCu合金膜114のうちコンタクトホール及び配線用溝内に充填されている部分以外の部分を除去する。その結果、上側仮設SiON膜110bに形成された配線用溝内に残存するバリアメタル膜113及びCu合金膜114が第1配線層108の配線111として機能する。
【0117】
また、下側仮設SiON膜110aに形成されたコンタクトホール内に残存するバリアメタル膜113及びCu合金膜114が、第1配線層108の配線111とソース・ドレイン領域103とを縦方向に接続するプラグ112として機能する。
【0118】
次に、図10(d)に表したように、同様の構成を積層形成する。具体的には、上側SiO膜109b,下側SiON膜110a,下側SiO膜109a,上側SiON膜110bの堆積、配線用溝,バイヤホールの形成、バリアメタル膜113、Cu合金膜114の堆積及びリフローと、CMPによる平坦化とを何回か繰り返すことにより、第2配線層115及び第3配線層116の配線111とプラグ112とが形成される。最上層としては、保護膜としても機能する上側SiO膜109bを堆積する。
【0119】
次に、図11(a)に表したように、最上層の上側SiO膜109bに、第3配線層(最上配線層)116の配線111であるCu合金膜114のパッド部を露出させるための開口117を形成する。
【0120】
次に、図11(b)に表したように、水素イオンの注入を行う。このとき、第1配線層108、第2配線層115、第3配線層116の仮設膜となるSiON膜110a、110bの表面からの深さは、例えば、以下の如くである。
【0121】
第1配線層 110a:2.3〜2.7μm、 110b:1.85〜2.25μm
第2配線層 110a:1.4〜1.8μm、 110b:0.95〜1.35μm
第3配線層 110a:0.50〜0.90μm、110b:0.05〜0.45μm
【0122】
本工程においては、これらの深さに合わせて、水素イオン注入の加速電圧を調節する。
【0123】
図12は、水素のイオン注入における加速電圧と水素導入領域の深さとの関係を表すグラフ図である。
【0124】
各配線層における膜110a、110bの深さに合わせて水素導入領域が形成されるように、図12の関係から加速電圧を20〜300KeVの範囲で調整し、注入量1×1014〜15/cmで水素18のイオン注入を行う。このように注入条件を調節すれば、水素イオンは基板100までは到達しない。
【0125】
xyzθ方向への移動が可能なステージ120上に設置された基板100をマスク119面に対して水平移動させながら、マスク119と基板100との位置合わせおよびギャップ長の調整を行い、所望位置に水素イオン18を打ち込む。ここでは、パッド部を露出させるための開口117のパターンをマーカーとして利用しながら、レーザ光を用いてマスク119と基板100の位置検出を行ってアライメントし、基板100を所望位置に移動させる。また、このときマスク119と基板100との間のギャップ長もステージ120により制御し、このときは50μmに設定した。これにより、第1配線層108、第2配線層115、第3配線層116の仮設膜となるSiON膜110a、110bに水素が注入される。
【0126】
その後、イオン注入による損傷を緩和する目的で基板を窒素或いはアンモニアガス雰囲気中で200℃、15分間の熱処理を行った。
【0127】
次に、図11(c)に表したように、酸素プラズマ照射によりSiON膜110a、110bを除去した。その結果として、SiO膜109a、109bにより仕切られた微細空中配線を形成することができた。
【0128】
本実施例においても、水素を導入することにより窒化膜の酸素プラズマに対するエッチングレートが顕著に増加する現象を利用している。その結果、バリアメタル膜113及びCu合金膜114からなる各配線層同士の間が空気層121となる。これにより、いわゆる空中配線構造を有する半導体素子が得られる。つまり、各配線間が空気層121によって絶縁されるので、各配線間に比誘電率が1の低誘電率層が存在することになる。
【0129】
本作製方法によれば、従来の作製方法のごとく1つの配線層を形成するごとにカーボン膜を除去するという手順を踏むことで複数回の酸素アッシングを行なう必要はなく、すべての配線層を形成してから、水素イオンを注入することにより、各SiON膜を選択的に除去する酸素プラズマ照射が1回で済むので、プロセスの能率も高いという効果を発揮することができる。また、このときマスクを用いることで、高速かつ容易なパターン形成が可能になる。本実施例では、3層の配線層を設けた例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、第1配線層のみを有する場合や、第1、第2配線層のみを有する場合、第1〜第3配線層に加えて第4配線層以上の配線層をさらに有する場合についても適用できることはいうまでもない。
【0130】
また本手法は、イオン加速電圧および注入量の設定によりイオン注入領域の深さ方向の注入量プロファイルを制御することを特徴とし、水素イオンの注入方法を変えることで、第2配線層のみを空中配線構造にする等の、各々の配線層を選択的に除去できることも明らかである。
【0131】
なお、本実施例では、空気層121を形成するために、励起酸素を利用したアッシングによってエッチング除去できる仮設膜として下側及び上側SiON膜110a、110bを用い、一方、除去できない下側及び上側SiO膜109a、109bを用いた。しかし、SiON膜110a、110bに代えて、SiO膜109a、109bに対して選択的にエッチングできる材料からなる窒化膜を仮設膜として用いることもできる。
【0132】
例えば、好適な材料の1つとして、窒素ドープされたSiOF膜が挙げられる。窒素ドープされたSiOF膜は、Cuの膜中への拡散が抑制され、バリアメタル膜の形成が不要になることに加え、窒素とフッ素が膜中に含まれる為、水素イオンが注入されたときも酸素プラズマによるエッチング速度が高まるためである。
【0133】
また、SiO膜109a、109bに代えて、SiON膜110a、110bを除去する処理によって除去されない別の材料からなる絶縁膜を用いることもできる。また、下側SiO膜109aは必ずしもなくてもよい。その場合、下側仮設膜と上側仮設膜とを一体化した1つの仮設膜を形成してから、この仮設膜に溝とコンタクトホールとを形成すればよい。
【0134】
(第4の実施例)
次に、本発明の第4の実施例として、半導体レーザ(Laser Diode:LD)における選択酸化方式の電流狭窄構造の作製方法について説明する。
【0135】
図13及び図14は、本実施例による作成方法を表す要部工程面図である。
【0136】
同図に例示した半導体レーザは、InAlGaP系半導体レーザであり、まず、図13(a)に表したように、N型GaAs基板42の上に、N型InGaAlP膜(膜厚1.1μm)の下部クラッド層59、InGaAlP/InGaP活性層(膜厚:0.17μm)60、P型InGaAlP膜(膜厚:0.2μm)の中間クラッド層61、AlAs膜(膜厚:150nm)の被選択酸化層62、InGaAlP膜(膜厚:0.9μm)の上部クラッド層63、InGaP膜(膜厚:50nm)の通電容易層64、GaAs膜(膜厚:50nm)のキャップ層65を順次積層する。
【0137】
また、活性層60は、InGaAlPバリア層/InGaP井戸層(膜厚3.5nm/4nm)を交互に複数積層した多重量子井戸型構造(Multiple Quantum
Well:MQW)とした。
【0138】
次に、図13(b)〜(d)に表したように、この積層構造をリソグラフィ工程により加工し、被選択酸化層62から上の各層をメサ状に加工した。
【0139】
はじめに、図13(b)に表したように、硫酸系のエッチャントでGaAsキャップ層65のみを除去した後、CVD装置により膜厚500nmのSiO2膜66を成膜し、その上にスピンコ一夕装置により、市販の電子ビーム用レジストZEP520(日本ゼオン)を回転塗布し、ホットプレートを用いてベーク処理を行い、膜厚500nmの感光膜を形成し、加速電圧75kVの電子線描画装置を用いてパターン描画を行った。描画後、現像処理を行い、レジストパターン13を形成した。
【0140】
次に、アンテナ出力750Wにし、ICP源を用いて、バイアス出力300WのCHF3ガス(ガス圧力:0.6Pa、流量:100sccm)のプラズマ照射を3分間施し、図13(c)に表したように、SiO膜66をパターニングした。
【0141】
その後、図13(d)に表したように、塩酸系のエッチャントにより、InGaP膜通電容易層64、InGaAlP膜上部クラッド層63をエッチング除去した。
【0142】
次に、図14(a)に表したように、窒素6を導入した。具体的には、加速電圧30keV、注入量1×1015/cmで窒素6をイオン注入した。このときの加速電圧30keVでは、被選択酸化層62であるAlAs層の表層から約75nmの深さまでの上層部分62Bに窒素が注入される。また、メサエッチングで用いたレジストパターン13の下の部分には、窒素は注入されず、メサエッチングにより開口された被選択酸化層AlAs膜62の表面下の上層部分62Bのみに窒素が導入される。
【0143】
次に、図14(b)に表したように、水素7を導入した。具体的には、加速電圧5keV、注入量1×1014/cmで水素7をイオン注入した。この加速電圧では、被選択酸化層AlAs膜62の中間位置より上層の部分62B(表層から約75nmの探さまでの領域)のみに水素が導入される。
【0144】
図15は、本実施例において導入された窒素及び水素の深さ方向の濃度プロファイルを表す概念図である。同図(a)及び(b)に表したように、いずれの元素も、被選択酸化層62の表面側から約75μmの上層部分62Bに導入され、その下には、図15(c)に表したように、いずれの元素も実質的に導入されていない下層部分62Aが残存している。
【0145】
図14(b)の工程により水素を導入した後、基板をヒ素(As)あるいはヒ素とリン(P)との混合雰囲気中で400℃、15分間の熱処理を行い、イオン注入による損傷を緩和した。
【0146】
次に、図14(c)に表したように、フッ素14を導入した。具体的には、ICP源を用いてアンテナ出力750Wにし、バイアス出力300WのCHFガス(ガス圧力:0.6Pa、流量:100sccm)のプラズマを10秒間照射することにより、フッ素14を被選択酸化層AlAs膜62に導入した。
【0147】
次に、図14(d)に表したように、酸素プラズマ9を照射した。具体的には、アンテナ出力500W、バイアス出力0Wの酸素プラズマ9を15分間照射した。このとき、窒素および水素が導入された領域、被選択酸化層62B(AlAs膜の上層)は酸素プラズマ9によりエッチングされ、被選択酸化層62A(AlAs膜下層)上でエッチングが停止する。
【0148】
また、このとき被選択酸化層62Aにおいて、酸素プラズマにより酸化が進む。このとき、メサの側面では、酸素プラズマのエッチングにより露出した被選択酸化層62Aの端面から横方向に酸化が進行するしてAl酸化物層67が形成される。一方、メサ周囲の平坦部分においては、選択酸化層62Bがエッチング除去された後に、選択酸化層62Aの表面から探さ方向に酸化が進行してAl酸化物層67が形成される。
【0149】
またエッチング時に反応熱が発生するため、基板を加熱せずに酸化を進行させることができる。選択酸化は、AlAs層の露出している膜厚に応じて、酸化速度が変化する。エッチングが進むにつれて端面の露出は大きくなるため、横方向すなわち層の主面に対して平行な方向への酸化速度が徐々に速くなる。また、選択酸化層内に侵入した酸素プラズマはAlAs層62A中にも拡散して酸化するため、最終的に得られる酸化層の断面形状は、図14(d)に例示したようにメサの内部に向かって次第に薄くなる楔状に形成される。
【0150】
次に、図14(e)に表したように、p側及びn側に電極68を形成して、選択酸化方式の電流狭窄構造を有する半導体レーザが得られた。
【0151】
本実施例においては、加速電圧を調節することにより窒素および水素の深さ方向の濃度プロファイルを制御することにより、水素導入効果による窒化膜の酸素プラズマエッチング方法を行うと同時に、水蒸気酸化の工程を用いずに選択酸化することが可能となる。さらに、楔状の電流狭窄構造が容易に得られる。楔状の酸化層を有する電流狭窄構造は、酸化層の体積収縮により上層、下層に発生する歪みも酸化層の先端部で小さく且つ横方向に緩和できるため、活性層への影響は小さく、素子の発光特性の低下を抑制し、長寿命化も実現できる。
【0152】
なお、上述の実施例においては、メサを形成した基板について選択酸化工程を実施したが、これ以外にも、例えば、劈開などによりLDのチップに分離してから選択酸化を施すようにしても良い。このようにすれば、LDの端面において露出した選択酸化層も酸化され、端面に沿って電流ブロック層を形成することができる。
【0153】
一方、本発明は端面発光型LDのみならず、面発光型LDやLED(Ligh-Emitting Diode)にも同様に適用できる。メサ構造の一部を選択酸化した構造の面発光LDは、活性層近傍の半導体多層膜ミラーの一部であるAlAs層やAlGaAs層といったAl含有層を選択酸化により同様の屈折率導波路を形成し、強い光閉じ込め効果により、しきい値電流が低く、且つ応答性が速い特性が得られる。
【0154】
図16及び図17は、本発明を面発光型LDの形成に応用した場合の製造工程を例示する工程断面図である。同図については、図1乃至図15に関して前述ものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0155】
面発光LDでは、活性層60の上側及び下側において、クラッド層59、61、63の他に多層膜ミラー69が形成されることが多い。図16及び図17に例示したように、多層膜ミラー69を形成する点を除けば、第4実施例に関して前述した方法と同様の方法により、同様の楔状の電流狭窄構造が容易に得られ、しきい値電流の低下等のデバイス特性を大幅な向上が図れる。
【0156】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0157】
例えば、前述した各具体例は、InGaAlP系半導体発光素子にAlAs系被酸化層を設けた例を示したが、その他にも例えば、被酸化層としてはAlGaAs、AlGaP、AlINAs、AlInP、AlSb、AlN等のAlを含むあらゆる化合物を用いることができる。また、クラッド層などの酸化されない層としては、GaAs、InP、InGaAsP、InGAsb、InGaN等、Alを含まず、またはAl濃度が低いあらゆる化合物を用いることができる。また、本発明は、半導体レーザや発光ダイオードなどの半導体発光素子の他に、フォトダイオード、トランジスタ、FET(Field Effect Transistor)、HEMT(High E1ectron Mobility Transistor)等にも適用して種々の効果を得ることができる。
【0158】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した形態で実施され以下に列挙する効果を奏する。
【0159】
本発明によれば、まず第1に、エッチングによる窒化膜、および各種電子材料膜、光学材料膜の微細パターン形成において、従来のエッチング方法で生じるマイクロローデイング効果を抑制し、基板面内での寸法制御性を高めることができる。また、エッチング反応生成物の揮発性が高いケミカルエッチングにより被エッチング層をエッチングすることができるので、50nm以下の微細なパターンも形成可能となる。
【0160】
第2に、窒素、水素あるいはフッ素などのハロゲン元素を導入する際の条件を調節することにより、任意の部分のみをエッチングすることが可能となる。例えば、イオン注入法を用いた場合に、加速電圧、注入量、荷電量、入射角、結晶方位などを調整することで、これら元素の濃度プロファイルを制御し、得られるパターン形状を制御することが可能となる。また、水素およびフッ素を含むガスのプラズマ照射においても、プラズマ密度、バイアス電位、ガス圧力等を調整することで、イオンの基板への入射方向を制御し、得られる窒化膜のパターン形状を制御することが可能となる。
【0161】
第3に、Cr系薄膜を用いたフォトマスクやレチクルあるいは各種窒化膜パターン回路基板のエッチングにおいて、パターン部分以外に損傷を与えず、高精度なドライエッチングを行うことができる。
【0162】
第4に、簡便且つ低コストで露光マスクおよび各種微細パターンの製造することが可能となる。さらに、低コストの露光マスクを使用することにより、転写露光工程を低コスト化でき、廉価な半導体装置あるいは光学素子を供給することが可能となる。
【0163】
第5に、半導体レーザなどの各種の半導体装置における選択酸化方式の電流狭窄構造の作製に際して、メサ構造を形成する際のエッチング時に同時に選択酸化が行われ、確実に電流狭窄、光閉じ込めの効果が得られる構造を提供することが可能となる。また、電流狭窄領域となる選択酸化部のストレスを緩和し、さらに実効的な屈折率差を大きくし、実屈折率ガイドの効果を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のエッチング方法の概要を表す工程断面図である。
【図2】本発明において用いることができるイオン注入装置の構成を例示する概念図である。
【図3】 本発明において被エッチング層1に形成される導入領域1Bの位置の代表例を表す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例による製造方法の要部を表す工程断面図である。
【図5】(a)は、本実施例においてイオン注入法により窒素を導入した場合の加速電圧と窒素濃度分布との関係を表すグラフ図であり、(b)は、イオン注入法により水素を導入した場合の深さ方向の濃度分布を表すグラフ図であり、(c)は、加速電圧150KeVの窒素と、加速電圧30KeVの水素の分布をそれぞれ表すグラフ図である。
【図6】本発明の第2の実施例によるレベンソン型位相シフトマスクの要部製造工程を表す工程断面図である。
【図7】イオン注入装置のステージ4を表す概念図である。
【図8】本発明の第2の実施例により得られた位相シフトマスクの作用を説明するための概念図である。
【図9】本発明の第2実施例の変型例によるレベンソン型位相シフトマスク(シングルトレンチ型)の別の製造工程の要部工程断面図である。
【図10】本発明の第3の実施例の作成方法を表す工程断面図である。
【図11】本発明の第3の実施例の作成方法を表す工程断面図である。
【図12】水素のイオン注入における加速電圧と水素導入領域の深さとの関係を表すグラフ図である。
【図13】本発明の第4の実施例による作成方法を表す要部工程面図である。
【図14】本発明の第4の実施例による作成方法を表す要部工程面図である。
【図15】本発明の第4実施例において導入された窒素及び水素の深さ方向の濃度プロファイルを表す概念図である。
【図16】本発明を面発光型LDの形成に応用した場合の製造工程を例示する工程断面図である。
【図17】本発明を面発光型LDの形成に応用した場合の製造工程を例示する工程断面図である。
【符号の説明】
1 被エッチング層
2 基板
3 (ステンシル)マスク
4 ステージ
5 窒素イオンが注入、窒化された領域
6 窒素
7 水素
9 酸素
10 MoSi膜
11 Cr膜
12 石英基板
13 レジストパターン
14 水素およびフッ素を含むガスによるプラズマ処理
15 位相シフタ窒化膜
16 イオン注入試料(基板)
18 CrN膜
30 マスクと基板間のギャップ長
31 アライメント用レーザ光
32 光検出器
59 下部クラッド層(N型InGaAlP膜)
60 活性層(InGaAlP/InCaP)
61 中間クラッド層(P型InGaAlP膜)
62 被選択酸化層(AlAs膜)
63 上部クラッド層(InGaAlP膜)
64 通電容易層(InGaP膜)
65 キャップ層(GaAs膜)
66 SiO2膜
67 Al酸化物層
68 電極
69 多層膜ミラー
101 P型Si基板
102 トレンチ分離領域
103 ソースドレイン領域
104 サイドウォール
105 ゲート酸化膜
106 ゲート電極
106a ゲート配線
107 基板被覆膜
108 第1配線層
109、1099a 下側SiO2膜
109b 上側SiO2膜
110、110a 下側SiON膜
110b 上側SiON膜
111 配線
112 プラグ
113 バリアメタル膜
114 Cu合金膜
115 第2配線層
116 第3配線層
117 開口
118 水素イオン注入
119 マスク
120 ステージ
121 空気層

Claims (7)

  1. アルミニウムを含有した母材層に窒素と水素とを導入する工程と、
    前記母材層を励起された酸素を含有する雰囲気に晒すことにより、前記窒素と前記水素とを含有した導入領域を選択的にエッチング除去し、さらに前記母材層の残余の部分の少なくとも一部を酸化して酸化領域を形成する工程と、
    を備え、
    前記母材層の上にメサ構造体が設けられ、
    前記窒素と前記水素とを含有した導入領域は、前記メサ構造体の周囲に露出した前記母材層の表面から前記母材層の深さ方向における所定の位置までの範囲であり、
    前記酸化領域は、前記母材層が表面からエッチング除去されたことにより前記メサ構造体の下に露出したメサ部の側面から前記メサ部の中心に向かって酸化形成された部分を含むことを特徴とする加工方法。
  2. 前記酸化領域を形成する工程において、前記メサ部の中心に、前記母材層が酸化されていない部分を残すことを特徴とする請求項1記載の加工方法。
  3. 前記励起された酸素は、プラズマにより形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の加工方法。
  4. 前記窒素と前記水素とを含有した導入領域にハロゲン元素も導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の加工方法。
  5. 前記励起された酸素を含有する雰囲気は、ハロゲン元素も含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の加工方法。
  6. 前記窒素及び水素の少なくともいずれかは、イオン注入法により前記母材層に導入され、
    前記イオン注入法における加速電圧を調節することにより前記導入領域に限定して導入することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の加工方法。
  7. 前記イオン注入法において、前記母材層の上に所定の開口を有するマスクを配し、前記窒素及び水素の少なくともいずれかを前記マスクの前記開口を介して前記母材層に導入することを特徴とする請求項6記載の加工方法。
JP2001095517A 2001-03-29 2001-03-29 加工方法 Expired - Fee Related JP3862965B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001095517A JP3862965B2 (ja) 2001-03-29 2001-03-29 加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001095517A JP3862965B2 (ja) 2001-03-29 2001-03-29 加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002299318A JP2002299318A (ja) 2002-10-11
JP3862965B2 true JP3862965B2 (ja) 2006-12-27

Family

ID=18949554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001095517A Expired - Fee Related JP3862965B2 (ja) 2001-03-29 2001-03-29 加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3862965B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011007800A1 (ja) * 2009-07-16 2011-01-20 Hoya株式会社 マスクブランク及び転写用マスク
JP5573306B2 (ja) * 2010-03-31 2014-08-20 凸版印刷株式会社 フォトマスクブランクの製造方法
CN102891103B (zh) * 2012-09-17 2015-01-21 上海华力微电子有限公司 一种制备顶层金属互联工艺刻蚀中间停止层的方法
CN111326409B (zh) * 2018-12-14 2023-01-31 云谷(固安)科技有限公司 激光剥离方法和蓝宝石衬底上发光二极管器件外延结构
CN113904215A (zh) * 2021-10-09 2022-01-07 苏州长瑞光电有限公司 垂直腔面发射激光器湿法氧化方法及垂直腔面发射激光器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002299318A (ja) 2002-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3974319B2 (ja) エッチング方法
US6716763B2 (en) Method of controlling striations and CD loss in contact oxide etch
US6716761B2 (en) Method of forming fine patterns
US6900002B1 (en) Antireflective bi-layer hardmask including a densified amorphous carbon layer
JP2000091318A (ja) 半導体装置の製造方法
KR100666892B1 (ko) 반도체 장치의 제조방법
US6787457B2 (en) Method of etching and anti-reflection film using substituted hydrocarbon with halogen gas
KR19990050210A (ko) 산화막 식각 방법
JP3862965B2 (ja) 加工方法
US5693548A (en) Method for making T-gate of field effect transistor
CN108962727B (zh) 半导体结构的制作方法
KR100807074B1 (ko) 반도체 소자의 제조 방법
JPH10261628A (ja) 半導体素子のコンタクトホール製造方法
JP2006294909A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2006317981A (ja) パターンの修正方法
KR100326954B1 (ko) 반도체기기 제조방법
US5932488A (en) Method of dry etching
KR100258365B1 (ko) 반도체소자의 콘택홀 제조방법
KR100434312B1 (ko) 반도체 소자의 콘택홀 형성 방법
JPH088196A (ja) タングステンのパターン形成方法
KR100369867B1 (ko) 반도체소자의제조방법
JPH10223756A (ja) コンタクトホールの形成方法
KR20030094939A (ko) 반도체 소자의 제조방법
Gilmartin et al. Patterning nanoscale resist features on topography substrates using the 2-step NERIME FIB TSI process
KR20040077051A (ko) 미세패턴 형성방법

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040401

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060411

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060630

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060920

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060927

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101006

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees