JP3862526B2 - 塗布装置及びその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハや液晶ディスプレイ用のガラス基板といった各種基板に対し、塗布液の供給を行う装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程の一つとして、半導体デバイスの層間絶縁膜を形成するために塗布液例えば酸化珪素(SiO2)溶液を半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)上に塗布する処理がある。従来、このような処理は、スピンチャックにより水平に吸着保持されたウエハを回転させると共に、回転するウエハ表面に向けて上方に設けたノズルから塗布液の供給を行い、塗布液をウエハの遠心力により拡散させることでウエハ全体に液膜を形成するいわゆるスピンコーティング法により行われていた。
【0003】
ところで近年要求の高まってきているパターンの微細化に対応するには、できるだけ前記液膜を薄くする必要がある。上記の方法ではウエハ回転数を上げることで液膜の膜厚を薄くすることが可能だが、ウエハ回転数を上げると、例えば空気の乱流が発生して膜厚の均一性が低下するといった問題があり、近頃では例えば特開2000−77326号公報に記されるようなスピンコーティング法によらない塗布装置が検討されている。
【0004】
この方法は、ウエハW上方に、該ウエハWと対向する塗布液の吐出孔11を有するノズル1を設け、図10にしめすようにこのノズル1を図示しないガイド部材に沿ってX方向に往復させると共にウエハWをY方向に間欠送りし、いわゆる一筆書きの要領でウエハW表面に塗布液を供給するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、層間絶縁膜は基板上に重ねて設けられる例えば回路パターン同士の間を埋めるものであり、その表面は上層の回路パターンの下地となることからできるだけフラットであることが好ましい。しかしながら被塗布面に段差の大きなパターンが形成されていた場合には、パターンの凹凸が液膜の表面形状に反映されてしまうという問題があり、上記いずれの方法においても一回の塗布では表面形状をフラットとすることはできなかった。仮に複数回塗布を行えば、平坦化は可能であるが本来の目的である薄膜化の達成とは相反する結果となってしまう。このため現在では塗布液供給及び乾燥の各工程を経て液膜を硬化させた後、研磨部材である研磨布の表面に機械的研磨粒子及び化学的研磨粒子を含む研磨液を滴下し、この研磨布の表面をウエハの被研磨面(塗布膜)に押し付けて、当該被研磨面の一部を除去するCMP(chemical mechanical polishing)と呼ばれるプロセスにより塗布膜表面の研磨を行い、凹凸を解消している。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、表面に段差のある基板に対して塗布液の液膜を形成するときに、該液膜の薄膜化を図ると共にその表面の平坦化を図ることができる技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面に半導体デバイスの回路パターンである凹凸を有する基板に対して塗布液を供給し、該基板の表面に、その硬化により塗布膜が形成される液膜を形成する塗布装置において、
基板を水平に保持する基板保持部と、
この基板保持部に保持された基板に、塗布液の供給を行う主塗布液ノズルと、
この主塗布液ノズルにより形成された液膜の表面を概ね平坦とするために、該液膜表面に生じた凹部に対し、塗布液を供給する補助塗布液ノズルと、
基板表面を細分化した細分化領域の位置と、各細分化領域における回路パターンの配列密度とを対応させたパターン情報を記憶する記憶部と、
この記憶部に記憶された前記情報に基づいて、基板に対する補助塗布液ノズルの相対位置及び各位置における塗布液の吐出量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
具体的には、例えば塗布液を塗布する前に基板表面のスキャンを行って、該基板の表面における位置と凹凸の状態とを対応させた情報を記憶しておき、主塗布液ノズルによる塗布終了後、補助塗布液ノズルにて前記情報に基づいて推測される液面の凹部に対して塗布液の追加供給を行うことができるような装置構成とすることが好ましい。このような構成によれば、塗布液の液面は概ね基板表面の凹凸形状を反映することから液面に生じる凹部を概ね的確に把握することができ、結果的に追加する塗布液の量を最小限に抑えると共に、該塗布液の液面の平坦化を図ることができる。
【0009】
更に本発明は、特に半導体デバイスの製造において、表面に回路パターンが形成された基板を用い、層間絶縁膜を形成するときに有効である。この場合において補助塗布液ノズルにはインクジェットノズルを用いることが好ましい。またパターン情報は、例えば撮像手段にて基板表面の撮像を行い、色のコントラストに基づき把握することが好ましい。
【0010】
以上において、塗布液供給部は、基板を保持する基板保持部と、
この基板保持部に保持された基板と対向して設けられ、当該基板に塗布液を線状に吐出する主塗布液ノズルと、
この主塗布液ノズルを前記基板と相対的に移動させる駆動機構と、を備え、
主塗布液ノズルをX方向に移動させて塗布液を基板表面に直線状に塗布した後、今度は主塗布液ノズルをY方向に間欠移動させて主塗布液ノズルを既に塗布された領域の隣の領域と対向させ、こうしてX方向に塗布した領域をY方向に順次並べていくものであることが好ましく、塗布液供給部をこのような構成とすることで液膜表面の平坦化と併せて、塗布膜の薄膜化をも図ることが可能となる。
【0011】
また本発明に係る塗布方法は、表面に凹凸を有する基板を水平保持し、該基板表面に塗布液ノズルから塗布液を供給して、その硬化により塗布膜が形成される液膜を形成する工程と、
記憶部に記憶された、基板表面を細分化した細分化領域の位置に基づいて、基板に対する補助塗布液ノズルの相対位置を制御する工程と、
前記液膜の表面を概ね平坦とするために、基板に対する補助塗布液ノズルの各相対位置において、記憶部に記憶された各細分化領域における回路パターンの配列密度に応じた吐出量で補助塗布液ノズルから基板に塗布液を供給する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る塗布装置の実施の形態について、半導体デバイスの製造に用いられる絶縁膜形成装置100と検査装置200とを組み合わせたシステムを例にとり、図1の平面図及び図2の斜視図を参照しながら説明を行う。先ず絶縁膜形成装置100から説明を行うと、図中A1はカセットステーションであり、例えば基板であるウエハWを25枚収納したカセットCを載置する載置部21と、載置されたカセットCからウエハWを取り出すための受け渡し手段22とが設けられている。カセットステーションA1の奥側には周囲を筐体23により囲まれる処理部A2が接続されており、その中央には主搬送手段24が設けられている。
【0013】
主搬送手段24の周りには、これを取り囲むように例えばカセットステーション21から奥を見て右側には例えば2個の塗布ユニット3を2段に積み重ねたユニット群U1が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU2,U3,U4が夫々配置されている。棚ユニットU2,U3,U4には、加熱ユニットや冷却ユニットのほか、ウエハの受け渡しユニット、疎水化処理ユニット及びウエハWの位置合わせユニット等が上下に割り当てられている。但し図2では便宜上受け渡し手段22及び主搬送手段24の図示を省略している。
【0014】
ここで塗布ユニット3の内部について、図3及び図4を参照しながら説明を行う。31は筐体であり、その底面にはY方向に延びるレール32を介して筐体31内の一端側から他端側まで移動可能な基体33が設けられている。この基体33の上面には、X方向に延びるレール34を介して移動可能に構成される基板保持部35が設けられており、この基板保持部35はその上端部位にてウエハWを裏面側から吸着し、水平に保持する構成とされている。即ち、基板保持部35により保持されたウエハWは、駆動機構36の働きにより基体33及び基板保持部35を介して筐体31内におけるX及びY方向の位置を自由に変えることができるようになっている。
【0015】
また基板保持部35の周囲には、該基板保持部35と一体的に構成され、ウエハW表面よりも若干高いレベルまで立ち上げられたマスク支持部材37が設けられており、その上端には上方から供給される塗布液がウエハWの塗布膜供給領域以外の部位に付着することを防ぐように中央が大きく開口する着脱自在なマスク部材38が設けられている。マスク支持部材37及び筐体31の側方には、例えばウエハWの搬入出を行うための図示しない開口部が形成されている。
【0016】
次に基板保持部35上方に設けられる主塗布液ノズル4及び塗布液追加手段である補助塗布液ノズル5について説明を行う。主塗布液ノズル4は、先端の吐出孔42が筐体31天井部に形成されるスリット31aを介して該筐体31内側に突出した状態で、筐体31上方にX方向に沿って架設されたリニアスライド機構41によって保持されており、制御部6からこのリニアスライド機構41を駆動させることでX方向に移動できる構成とされており、補助塗布液ノズル5については、筐体31天井部に形成される開口部31bを介し、例えば先端の吐出孔51が筐体31内部に突出するように固定して設けられている。これら主塗布液ノズル4及び補助塗布液ノズル5の夫々には、図示しない塗布液供給源と接続する塗布液供給部42が接続されており、例えば制御部6から塗布液供給部42へ送信される制御信号に基づき塗布液の給断制御を行う構成とされている。
【0017】
補助塗布液ノズル5には多数の吐出孔51を有するインクジェットノズルからなるノズル部52と、このノズル部52により塗布液の供給を行う箇所を特定するために使用される撮像手段53とが備えられており、例えばウエハWを移動させながら撮像手段53からウエハW表面の画像データの取得を行うことで、制御部6にてノズル部52による塗布箇所を特定できるようになっている。ノズル部52は例えばウエハW表面に形成される多数のチップのうち、一チップごとに例えば180dpiで液滴(塗布液)を吐出するように、多数の吐出孔51を正方形状もしくは一列状に配列した構成とされており、一の吐出孔51周辺について説明すると例えば図5及び図6に示す構成のものが用いられる。
【0018】
ここに図示する吐出孔51(ノズル部52)は、塗布液の流路を挟むように対向してピエゾ素子を設け、両方のピエゾ素子を変形させることで塗布液を外方に押し出すシェアタイプと呼ばれる種類のインクジェットノズルであり、図中54は塗布液供給部42と接続する供給管であり、これに接続する液溜55は先端に吐出孔51が形成され、内部には供給管54と吐出孔51とを結ぶ線を挟むように板状のピエゾ素子56が一対設けられている。簡単な作用を説明すると、供給管54から送られてくる塗布液は一旦液溜55に貯留され、液溜55内に対向して設けられるピエゾ素子56に電圧を印加することで、このピエゾ素子56が図6に示すように機械的変形し、いわば注射器の要領で押し出された塗布液が液滴となって吐出孔51から射出される。
【0019】
次に表面観察装置200について説明を行う。表面観察装置200は図示しない搬入出ステージ及び搬送手段を介して絶縁膜形成装置100との間でウエハWの受け渡しを行うことができるように構成されており、以下図7を参照しながら簡単に内部構成の説明を行う。図中71はウエハ載置台であり、その下方側を支持する、例えばX方向に延びるレールとY方向に延びるレールとを上下に組み合わせてなる移動手段72の働きによりXY方向移動自在に構成されている。またウエハ載置台72の上方には、ウエハW表面と対向する図示しない光等の照射装置や、この照射装置から照射されウエハW表面にて反射した光を検知する光学系イメージセンサー等を備え、ウエハW表面の様子を画像データとして読みとるためのスキャナー73が設けられている。
【0020】
更にこの表面観察装置200内には、スキャナー73にて得た画像データからウエハW表面に存在する欠陥箇所、即ち意図しない回路パターンが形成されてしまった部位の把握、或いはウエハW表面に形成されるパターン(凸部)の密度分布の把握を行うためのデータ処理部74が設けられており、例えばオペレータが前記画像データを視認できるように例えばCRTモニタ等の画像表示部75と接続されている。このデータ処理部74は、本実施の形態では主として後者の用途で用いられるものであり、詳細は作用の項にて説明するが例えば凸部の密度分布を50階調のグレーイメージに変換し、画像表示部75に表示すると共にそのデータを後述する制御部6へと送信できるようになっている。即ち、特許請求の範囲に記載の「基板の表面における位置と凹凸の状態とを対応させた情報を記憶する記憶部」は、表面観察装置200単体或いは表面観察装置200と制御部6とを組み合わせたものがこれに相当する。なお、ここで用いる表面観察装置200には例えば商品名KLA−2132等の欠陥検査装置、または走査型電子顕微鏡(SEM)等を利用することも可能である。
【0021】
次いで上述実施の形態の作用について説明を行う。ここでは表面に凹凸が形成された基板、例えば回路パターンが形成されたウエハWの表面に対し、塗布液を供給し、層間絶縁膜を形成する工程について順を追って説明する。即ち、以下の説明において塗布ユニット3にて用いられる塗布液は層間絶縁膜形成用の薬液例えばメチルポリシロキサンである。先ず回路パターンの形成がなされたウエハWは表面観察装置200へと搬送され、パターンの密度分布データの取得が行われる。ここでウエハW表面上の回路パターンは、例えば図8に示すように回路パターン形成領域P1を区画してなる多数のチップP2ごとに、同形状のものが繰り返すようにして形成されているため、密度分布の把握は一のチップP2についてのみ行い、他の部位については同様であるものとみなす。
【0022】
従ってスキャナー73が一のチップP2の真上に来るようにウエハ載置部71を移動させると、スキャナー73は該チップP2に形成されたパターンの画像データを撮像し、データ処理部では画像データから凸部の密度を示すグレーイメージへと変換し、次いで例えば図9に示すようにチップP2を格子状に細分化して各ブロック毎に凸部の粗密程度をランク付けする。ここでは凸部の密度がもっとも高い部位から順にa,b,cとして図示しており、これらブロックは、例えばノズル部52における吐出孔51の数及び位置と対応するように決定されている。なお、ここでは説明を分かりやすくするためにパターン密度を3段階に分けた例を示しているが、2段階或いは4段階以上であってもよく、実際には例えば30段階に分けられる。また、各パターンは表面が平坦な基板上に同じ高さで形成されているため、例えば図9における点線部P3を横方向から見ると図10(a)のように表される。
【0023】
こうしてウエハW表面に形成されるパターンにおける密度分布が把握されると、ウエハWは表面観察装置200から搬出され、カセットステーションA1を介して絶縁膜形成装置100内に搬入され、塗布ユニット3へと運ばれる。ウエハWは塗布ユニット3に搬入される前に棚ユニットU2(U3,U4)に設けられた位置合わせユニットにてウエハWの位置合わせ部例えばオリエンテーションフラットあるいはノッチなどが所定の向きになるようにセットされる。塗布ユニット3内にてウエハWが基板保持部35により吸着保持されると、先ず主塗布液ノズル4のX方向における移動領域がウエハWの一端に位置するように基体33をY方向に移動させ、主塗布液ノズル4をリニアスライド機構41の一端側へと移動させる。
【0024】
そしてウエハWを停止させておいて主塗布液ノズル4による塗布液の吐出を行いながら一端側から他端側へスキャン(往路)を行い、他端側にて折り返した主塗布液ノズル4が復路にて塗布膜形成領域上方に至るまでの間(主塗布液ノズル4がマスク部材38上方を移動する間)に基体33をY方向に微少量例えば0.5mm移動させ、これを繰り返すことで図11に示すように互いに隣接する塗布液の線が、ウエハW表面のマスク部材38に覆われない部分、即ち回路パターン形成領域P1全域に配列されていき、結果として液膜が形成される。図10(b)は液膜形成後の図9におけるP3部位を示す縦断面図であり、図示するように液面は下部側のパターンの凹凸を反映した形状となる。
【0025】
そこで今度は液面に生じた凹凸を平坦化するべく、補助塗布液ノズル5を用いて塗布液の追加供給を行う。既述のように塗布液の追加供給はウエハW上に形成される各チップ毎に同条件にて繰り返し行われるため、先ず撮像手段53にてウエハWの撮像を行ってウエハW上の基準マークを把握し、この基準マークに基づいて制御部6にて塗布開始チップの特定を行い、しかる後に塗布が開始される。
【0026】
ここでウエハWの位置合わせに関して述べておくと、ウエハW表面に配列されている各チップと基準マークとの位置関係はウエハWの種類が同じであれば一義的に決まっているので、その位置関係を示すデータを制御部6側に持たせておけば、基準マークを撮像したときのウエハWの座標位置と前記データとに基づいて各チップの特定位置例えばチップの四隅の一個所を、補助塗布液ノズル5から塗布液が吐出される位置に合わせることができる。なお補助塗布液ノズル5から塗布液が吐出される座標位置と、撮像手段により撮像される位置との相対位置は制御部6側に記憶されているものとする。このようにウエハW上の基準マークを撮像することにより、制御部6は各チップ上の任意の位置(ウエハW上の位置)を補助塗布液ノズル5から塗布液が吐出される位置に合わせることができるので、既に表面観察装置200にて取得した各チップ上の位置とパターンの密度分布との関係データに基づいて、各チップの各位置(領域)に対して、その位置(領域)のパターン密度に応じた量の塗布液を供給することができる。この例では既述のように塗布ユニット3内に搬入されたウエハWの向きは位置合わせされるが、基板保持部35を回転自在に構成し、撮像手段53によりウエハWを観察しながら例えばチップの配列ラインを見ながら画像処理によりウエハWの向きを更に精度良く自動で合わせるようにしてもよい。
【0027】
次いで、一のチップに対する液供給について説明を行う。補助塗布液ノズル5がチップの各部位毎に供給する塗布液の量は、先に表面観察装置200にて把握した図9に示す密度分布データに基づき決定される。即ち、全ての窪みごとにピンポイントで塗布液を供給するのではなく、吐出孔51に対応して区分けされるブロック毎に塗布液の供給を行う。このようにしたのは、密度分布データと液面の凹凸の大小とが概ね比例することと、吐出孔51から吐出される塗布液は例えば吐出孔51直下から周囲(図10では左右方向)に30μm程度広がるため、凹凸を埋めるにあたり最適な量から僅かに外れていたとしてもそれほど大きな凹凸は残らないという理由による。
【0028】
例えば図10において同じ密度bにランクされる▲2▼及び▲4▼の各ブロックでは、パターンの数が▲2▼で3箇所、▲4▼で2箇所であり、同量の塗布液を供給したのでは差が生じそうにも思えるが、a〜cの各ランクの幅は隣接するブロック側から広がってくる液との兼ね合いで、概ね凹凸が残ることなく平坦化する範囲内で設定されている。従って例えば図10(c)に示すように目標とする液面のラインを点線L1としたとき、吐出孔51からは各ブロックの密度に応じた量の塗布液の射出が行われ、中央部に供給された塗布液は、該中央部から周囲に広がり結果的に図10(d)に示すように平坦化することとなる。
【0029】
このような補助塗布液ノズル5による塗布液の追加供給は、駆動機構36の働きによりウエハWの位置を動かしながら、ウエハW上の全てのチップについて繰り返し行われる。既にウエハWの位置合わせについては説明してあるが、制御部6は最初に追加塗布を行ったチップの座標を既に把握しているため、当該座標から相対的に他のチップの座標が導かれ、各チップについて順次液面の平坦化が行われる。そして全てのチップについて処理が終了すると、ウエハWは塗布ユニット3から搬出され、棚ユニットU2(U3,U4)内で乾燥等の処理を経ることで層間絶縁膜が完成する。
【0030】
これまで述べてきたように上述実施の形態によれば、ウエハWに対して塗布膜を形成した後に生じる液面の凹凸の大小を、予め塗布処理を行う前に表面観察装置200にて取得しておいたパターンの密度分布データに基づいて判断しておき、一旦塗布液を供給した後に、前記判断に基づく量の塗布液を各部位に追加供給するようにしているため、塗布液の使用量を最小限に抑えながら平坦な液膜を形成することができる。また、発明が解決しようとする課題の項で述べたCMPの如き研磨工程を行わなくて済み、且つウエハWを塗布ユニット3から別ユニットへ搬送することなく、同一ユニット内で塗布液供給と平坦化を行うことができるため、スループットの向上にも有効である。
【0031】
更に塗布ユニット3では、スピンコーティングを用いず、塗布液を細径のノズルから線状に供給する方式のものを採用し、これをインクジェットノズルからなる補助塗布液ノズル5と組み合わせた構成としているため、液膜の薄膜化を図ると共により少ない塗布液の追加で平坦化を図ることができ、組み合わせによる効果が大きいという利点もある。
【0032】
なお本実施の形態では、補助塗布液ノズル5にて塗布液の追加供給を行うにあたり、表面観察装置200にて把握した密度分布に基づいて、補助塗布液ノズル5の吐出孔51と対応するように定めた格子状のブロックごとに塗布液の供給量を変化させるようにしたが、例えば図12に示すような手法によることも可能である。即ち、この手法は先ず図12(a)に示すように主塗布液ノズル4にて塗布液の供給を行った後、補助塗布液ノズル5に備えられる撮像手段73にてウエハW全面をスキャンして凹部の位置を記録し、しかる後図12(b)及び(c)に示すように記録した凹部に向けてピンポイントで塗布液の追加供給を行い、その後乾燥する手法である。このような手法によれば、上述実施の形態よりもより精度の高い液面の平坦化を達成することが可能であり、且つ追加する塗布液の使用量も一層減らすことができる。
【0033】
また、補助塗布液ノズル5により塗布液の追加供給を行う位置、及びその位置における塗布液の吐出量を把握する方法は上述のものに限られるものではなく、例えばパターンを形成するときに用いた露光マスクの設計データからウエハW表面におけるパターン(凸部)の密度分布を把握し、その粗密の程度に応じた量の塗布液を液膜表面に追加供給するようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表面に段差のある基板に対して塗布液の液膜を形成するときに、該液膜の薄膜化を図ると共にその表面の平坦化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗布装置の実施の形態を表す平面図である。
【図2】本発明に係る塗布装置の実施の形態を表す斜視図である。
【図3】塗布ユニットを表す縦断面図である。
【図4】塗布ユニットを表す平面図である。
【図5】前記塗布ユニット内に設けられる補助塗布液ノズルにおける吐出孔近傍を説明するための概略斜視図である。
【図6】前記補助塗布液ノズル内のピエゾ素子の働きを示す縦断面図である。
【図7】表面観察装置の内部構造を表す概略斜視図である。
【図8】ウエハW表面に区分けされるチップの配置イメージを示す概略平面図である。
【図9】前記チップにおけるパターンの密度分布を示す説明図である。
【図10】本実施の形態における作用を示す作用説明図である。
【図11】本実施の形態における作用を示す作用説明図である。
【図12】本発明に係る他の実施の形態における作用を示す作用説明図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ
3 塗布ユニット
35 基板保持部
36 駆動機構
38 マスク部材
4 主塗布液ノズル
5 補助塗布液ノズル
51 吐出孔
52 ノズル部
53 撮像手段
56 ピエゾ素子
6 制御部
7 検査装置
71 ウエハ載置台
72 移動手段
73 スキャナー
74 データ処理部

Claims (8)

  1. 表面に半導体デバイスの回路パターンである凹凸を有する基板に対して塗布液を供給し、該基板の表面に、その硬化により塗布膜が形成される液膜を形成する塗布装置において、
    基板を水平に保持する基板保持部と、
    この基板保持部に保持された基板に、塗布液の供給を行う主塗布液ノズルと、
    この主塗布液ノズルにより形成された液膜の表面を概ね平坦とするために、該液膜表面に生じた凹部に対し、塗布液を供給する補助塗布液ノズルと、
    基板表面を細分化した細分化領域の位置と、各細分化領域における回路パターンの配列密度とを対応させたパターン情報を記憶する記憶部と、
    この記憶部に記憶された前記情報に基づいて、基板に対する補助塗布液ノズルの相対位置及び各位置における塗布液の吐出量を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする塗布装置。
  2. 補助塗布液ノズルは、インクジェットノズルであることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
  3. 記憶部に記憶された情報は、基板表面を細分化した細分化領域と、各細分化領域における回路パターンの配列密度に応じた補助塗布液ノズルの塗布液の供給量とを対応させた情報であることを特徴とする請求項1または2記載の塗布装置。
  4. パターン情報は、基板の表面を撮像し、色のコントラストに基づいて得られたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の塗布装置。
  5. 塗布液は層間絶縁膜を形成するためのものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の塗布装置。
  6. 塗布液供給部は、基板を保持する基板保持部と、
    この基板保持部に保持された基板と対向して設けられ、当該基板に塗布液を線状に吐出する主塗布液ノズルと、
    この主塗布液ノズルを前記基板と相対的に移動させる駆動機構と、を備え、
    主塗布液ノズルをX方向に移動させて塗布液を基板表面に直線状に塗布した後、今度は主塗布液ノズルをY方向に間欠移動させて主塗布液ノズルを既に塗布された領域の隣の領域と対向させ、こうしてX方向に塗布した領域をY方向に順次並べていくものであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の塗布装置。
  7. 表面に凹凸を有する基板を水平保持し、該基板表面に塗布液ノズルから塗布液を供給して、その硬化により塗布膜が形成される液膜を形成する工程と、
    記憶部に記憶された、基板表面を細分化した細分化領域の位置に基づいて、基板に対する補助塗布液ノズルの相対位置を制御する工程と、
    前記液膜の表面を概ね平坦とするために、基板に対する補助塗布液ノズルの各相対位置において、記憶部に記憶された各細分化領域における回路パターンの配列密度に応じた吐出量で補助塗布液ノズルから基板に塗布液を供給する工程と、を含むことを特徴とする塗布方法。
  8. 補助塗布液ノズルは、インクジェットノズルであることを特徴とする請求項7記載の塗布方法。
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