JP3862131B2 - 近接露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロキシミティ(近接)露光装置に関し、マスク保持体に吸着保持機構により吸着保持されるマスクが、該吸着保持機構が故障した際にマスク保持体から落下するのを防止するための近接露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶基板やプリント基板等の製造工程中に露光工程がある。従来、この露光工程に用いられるプロキシミティ露光装置として、例えば図7に示すものが知られている。
【0003】
この露光装置は、基台501上を一対のレール508及びこれらのレール508に係合してスライドする複数のスライダ509を介して図7の紙面と直交する方向に不図示の駆動機構により移動可能なワークテーブル502に載置された板状のワーク(焼き付け基板)503に、枠状のマスク保持体504に吸着保持機構により吸着保持され且つ所定の露光パターンを有するマスク505を近接対向させてマスク保持体504の開口部504aを通して不図示の光源から照射される露光光により露光焼き付けすることにより、ワーク503に前記パターンを転写形成するものである。この図7に示す露光装置は、前述の通りワークテーブル502が一軸駆動である。これは、ワーク503の露光面とマスク505のパターン面とが相対的に対向する位置を変更して逐次露光する、いわゆるステップアンドリピート方式のためのものである。ワーク503は図7の紙面に直交する方向を長辺とする長方形であり、マスク505は、図7の紙面に直交する方向の辺(短辺)が前記ワーク503の長辺の長さより短く、従って、複数領域に分けて逐次露光するものである。そして、ここでは、ワーク503の短辺がマスク505の長辺より短い場合を示している。
【0004】
尚、マスク保持体504は、不図示の位置決め機構により、ワーク503とのアライメンド及び隙間を調整可能に構成されている。
【0005】
ところで、近接露光では、露光パターンを有するマスク505とワーク503との対向面を0.1mm以下の微小な距離内に接近させる必要がある。マスク505をワーク503の上側に位置させる場合、ワーク503と干渉しないようにするため、マスク505はマスク保持体504の下面に吸着させることにより保持しているが、この場合、何らかの原因で吸着力が失われると、マスク505は落下し破損してしまう虞がある。
【0006】
このため、図7に示すようにマスク保持体504の下面にマスク落下防止手段506を設けている。このマスク落下防止手段506は、マスク505の周縁部を支承するための断面L字状の部材507をマスク保持体504の下面に固定して構成されている。
【0007】
この場合、上述したように露光装置は、ワークテーブル502が一軸駆動で、ワーク503の短辺がマスク505の長辺より短いので、ワーク503の周縁部が断面L字状の部材507より内側に位置するため、断面L字状の部材507がワーク503に干渉しないので何等問題はない。
【0008】
一方、近年、液晶基板等を用いたディスプレイ装置の大型化が進んでおり、これに伴って露光工程のための露光装置も大型化に対応する必要がある。しかし、大型のマスクを使用して一度に露光を行うのは、現状では技術的に困難であり、そこで、前述のようにワークより小さなマスクを用い、前記ワークを複数領域に分割して逐次露光するという方法が採用される。
【0009】
更に、ステップアンドリピート方式のプロキシミティ露光装置において、より小さなマスクを使ってワークテーブルを2軸駆動で2次元移動するように構成する場合も考えられる。
【0010】
また、ワークテーブルを1軸駆動するタイプであっても、図8に示すように、ワーク601の長辺及び短辺共にマスク602の長辺及び短辺より大きい場合がある。尚、図8において、603は基台、604は基台603上を一対のレール606及びこれらのレール606に係合してスライドする複数のスライダ607を介して図8の紙面と直交する方向に不図示の駆動機構により、移動可能なワークテーブル、605はマスク602を吸着保持する枠状のマスク保持体である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図8に示すような露光装置において、上述した図7に示すような構成のマスク落下防止機構506を設けた場合、ワーク601の周縁部が断面L字状の部材507より外側に位置してしまうため、断面L字状の部材507がワーク601に干渉してしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は上述した従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プロキシミティ露光装置であって、マスクの2辺の長さが共にワークの2辺の長さより短い場合であっても、作業性を損なうことなく、マスクがマスク保持体から落下するのを確実に防止することができる近接露光装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の近接露光装置は、ワークテーブルに載置された板状のワークに、所定のパターンを有するマスクを近接対向させて露光することにより、前記ワークに前記パターンを焼き付けて転写形成する近接露光装置において、
前記マスクの上面を吸着することにより、前記マスクを重力に抗して保持するマスク保持体と、
前記マスクの外周縁部の少なくとも一部に対向して配置されたマスク受け部を備え、下面が前記マスクの最下面より下方に位置しないマスク支承体であって、前記マスク受け部の少なくとも一部が、前記マスク保持体に吸着された前記マスクの下側に位置するようなっているマスク支承体と、
前記マスク支承体を前記マスクの下側の位置に駆動する駆動機構とからなることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態を図1〜図3に基づき説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るマスク保持バックアップ機構を具備したステップアンドリピート方式のプロキシミティ露光装置の要部構成を示す一部切欠側面図、図2は図1のII−II矢視図、図3は、図1のIII部拡大図である。
【0017】
各図において、101は枠状のマスク保持体で、複数個の真空吸着溝101aを有している。これらの真空吸着溝101aは図示しない真空発生装置に接続されている。そして、マスク保持体101の下面に所定のパターンを有するマスク102を着脱可能に吸着保持し得るように成っている。このマスク102の上下面周縁には面取り部102aを備えている。
【0018】
マスク保持体101のマスク102を介して対向する位置(図1及び図2においては、マスク102を介して左右方向に対向する位置)には、本発明の要旨であるところのマスク落下防止手段103が1組設けられている。このマスク落下防止手段103は、マスク保持体101からマスク102が落下するのを防止するものである。
【0019】
左右のマスク落下防止手段103は互いに同一構成で、図3に示すように、マスク支承体104と駆動機構105とから成る。マスク支承体104は、先端にマスク102の外周縁部に設けられた傾斜面より成る係合部102aに対応する傾斜面より成るマスク受け部104aを有し且つ下面がマスク102の最下面より下方に位置しないように配設されている。マスク支承体104は、マスク保持体101の下面に設けられた凹部101b内に位置してガイド部材106によりガイドされて、その先端のマスク受け部104aがマスク102の外周縁部の係合部102aに接離し得るように所定範囲移動可能に装着されている。駆動機構105は、マスク支承体104をその先端のマスク受け部104aがマスク102の外周縁部の係合部102aに接離し得るように駆動するものである。駆動機構105は、エアーシリンダ機構より成り、マスク保持体101の下面に設けられた凹部101b内に位置してシリンダ105a下面がマスク102の最下面より下方に位置しないように配設されている。駆動機構105のピストンロッド105bの先端部にマスク支承体104の後端部が固定されている。そして、ピストンロッド105bの進退動作に伴って、これと一体にマスク支承体104が移動するようになっている。
【0020】
図1において、107はワークテーブルで、その上には、マスク102の露光パターンが焼き付けにより転写形成されるワーク108が載置されている。このワークテーブル107は、図示しない駆動装置により図1の紙面と直交する方向に移動し得るようになっている。
【0021】
次に、上記構成になる本実施の形態に係るマスク保持バックアップ機構を具備した露光装置の動作を説明する。
【0022】
図示しないローダによりマスク102をマスク保持体101の下面に接触させた状態で吸着保持させた後、駆動機構105を作動させることにより、マスク102を挟んで1組のマスク支承体104のマスク受け部104aがマスク102の係合部102aに自動的に同時に当接する。この際、マスク支承体104のマスク受け部104aは、マスク102の下面の周縁を支承した状態になる。従って、マスク保持体101に対するマスク102の吸着力が万一解除された場合でも、マスク102の下面の周縁がマスク支承体104のマスク受け部104aにより支承されているので、マスク102がマスク保持体101から落下することはなく、面倒な作業も必要なくなる。
【0023】
また、マスク支承体104及びシリンダ105aの下面がマスク102の最下面より下方に位置しないように配設されているので、それらがワーク503に干渉しない。
【0024】
また、本実施の形態の駆動機構105は、エアーシリンダ機構とマスク支承体104をガイドするガイド部材106とを具備し、エアーシリンダ機構のピストンロッド105bにマスク支承体104を固定した構成であるから、マスク102の位置決めが比較的ラフな場合でも、比較的簡単な構成で、マスク102の落下を確実に防止することができる。
【0025】
また、エアーシリンダ機構のエアー源と吸着保持するためのエアー源とを共通にすれば、それらのエアー源を個別に設ける場合に比べて構成が簡素化される。
【0026】
また、駆動機構105としてエアーシリンダ機構を用いる場合は、エアーシリンダ機構に供給するためのエアーが万一事故により停止した場合の安全対策として、マスク支承体104が支承解除方向へ戻るのをバネ等の付勢部材により阻止する構成にしても良い。
【0027】
尚、駆動機構105は、エアーシリンダ機構に限られるものではなく、油圧シリンダ機構、電動シリンダ機構等、マスク支承体104をそのマスク受け部104aがマスク102の外周縁部の係合部102aに接離し得るように駆動するものであれば、どのような構成でも適用可能である。
【0028】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図4に基づき説明する。
【0029】
図4は、本実施の形態に係るマスク保持バックアップ機構を具備したステップアンドリピート方式のプロキシミティ露光装置の要部構成を示す図3と同状図であり、同図において図3と同一部分には同一符号が付してある。
【0030】
上述した第1の実施の形態においては、マスク102の外周縁部の係合部102aを傾斜面とし且つマスク支承体104のマスク受け部104aを係合部102aと対応する傾斜面としたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図4に示すように構成してもよい。
【0031】
即ち、図4に示す本実施の形態においては、マスク102の外周縁部に段差部より成る係合部102aを設け、マスク支承体104のマスク受け部104aを係合部102aと対応する段差部とし、係合部102aの下面がマスク受け部104aの上面に係合するようにしたものである。
【0032】
尚、本実施の形態に係るその他の構成及び動作は、上述した第1の実施の形態と同一であるから、その説明は省略する。
【0033】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を図5に基づき説明する。
【0034】
図5は、本実施の形態に係るマスク保持バックアップ機構を具備したステップアンドリピート方式のプロキシミティ露光装置の要部構成を示す図3と同状図であり、同図において図3と同一部分には同一符号が付してある。
【0035】
上述した第1の実施の形態においては、マスク102の係合部102a及びマスク支承体104のマスク受け部104aを傾斜面とし、また、上述した第2の実施の形態においては、マスク102の係合部102a及びマスク支承体104のマスク受け部104aを段差部としたが、本発明はこれらに限られるものではなく、例えば、図5に示すように構成してもよい。
【0036】
即ち、図5に示す本実施の形態においては、マスク102の外周縁部のマスク支承体104と対向する面に凹部より成る係合部102aを設け、マスク支承体104のマスク受け部104aを係合部102aと対応する形状とし、係合部102a内にマスク受け部104aが係合するようにしたものである。
【0037】
尚、本実施の形態に係るその他の構成及び動作は、上述した第1の実施の形態と同一であるから、その説明は省略する。
【0038】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を図6に基づき説明する。
【0039】
図6は、本実施の形態に係るマスク保持バックアップ機構を具備したステップアンドリピート方式のプロキシミティ露光装置の要部構成を示す図2と同状図であり、同図において図2と同一部分には同一符号が付してある。
【0040】
本実施の形態に係るマスク保持バックアップ機構は、図6に示すように、マスク保持体101の左右に落下防止手段103を2組ずつ設けたことが、上述した第1〜第3の実施の形態と異なる点であり、その他の構成及び動作は、第1〜第3の実施の形態と同一である。
【0041】
(その他の実施の形態)
マスク102の係合部102a及びマスク支承体104のマスク受け部104aの形状については、上述した第1〜第3の実施の形態に係わる形状に限られるものではなく、マスク102の係合部102aの形状と、マスク支承体104のマスク受け部104aの形状との組み合わせが、両側から一対のマスク支承体104の先端部がマスク102に当接された状態で該マスク102の落下を確実に阻止できるものであり且つマスク落下防止手段の下面がワーク108の上面と干渉することがないものであればよい。
【0042】
即ち、マスク102の係合部102aの形状と、マスク支承体104のマスク受け部104aの形状との組み合わせが、マスク支承体104の先端部がマスク102の外周縁部より内方に位置して下側からマスク102を受け止め且つマスク支承体104の下面がマスク102の最下面より下側に位置しないようなものであれば、いかなるものでもよい。
【0043】
また、マスク102の外周縁部の係合部102aは、全周に亘って形成する必要はなく、少なくともマスク支承体104が当接する部分を含む一部の領域に形成すればよい。
【0044】
また、上述した各実施の形態に置いては、ステップアンドリピート方式の露光(分割逐次露光)のために、マスク102とワーク108との対向位置を1軸駆動による一方向に変えて露光する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、2軸駆動による二次元移動にも対応できるものである。
【0045】
また、本発明は、ステップアンドリピート方式でなくとも、マスクのサイズよりワークのサイズの方が大きい場合等、マスクとワークとの干渉の虞のある場合にも適用可能である。
【0046】
更に、マスク保持体101の前後左右に落下防止手段103を必要な組数ずつ設けても良い。
【0047】
以上詳述したように本発明の近接露光装置によれば、マスクより大きなサイズのワークをマスクに近接させても、マスク落下防止手段がワークと干渉することがなく且つ万一マスク保持体に対するマスクの吸着保持力が失われても、マスクの落下を確実に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るマスク保持バックアップ機構を具備した露光装置の要部構成を示す一部切欠側面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図1のIII部拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る図3と同状図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る図3と同状図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る図2と同状図である。
【図7】従来のマスク保持バックアップ機構を具備した露光装置の要部構成を示す一部切欠側面図である。
【図8】図7とは異なる従来の露光装置の要部構成を示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
101 マスク保持体
101a 真空吸着溝
101b 凹部
102 マスク
102a 係合部
103 マスク落下防止手段
104 マスク支承体
104a マスク受け部
105 駆動機構
105a シリンダ
105b ピストンロッド
106 ガイド部材
107 ワークテーブル
108 ワーク
Claims (1)
- ワークテーブルに載置された板状のワークに、所定のパターンを有するマスクを近接対向させて露光することにより、前記ワークに前記パターンを焼き付けて転写形成する近接露光装置において、
前記マスクの上面を吸着することにより、前記マスクを重力に抗して保持するマスク保持体と、
前記マスクの外周縁部の少なくとも一部に対向して配置されたマスク受け部を備え、下面が前記マスクの最下面より下方に位置しないマスク支承体であって、前記マスク受け部の少なくとも一部が、前記マスク保持体に吸着された前記マスクの下側に位置するようになっているマスク支承体と、
前記マスク支承体を前記マスクの下側の位置に駆動する駆動機構とからなることを特徴とする近接露光装置。
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