JP3861998B2 - ビデオ式幅計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料の引張試験中における試験片の刻々の幅の変化を、ビデオカメラを用いて計測するビデオ式幅計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
引張試験中における試験片の幅方向(引張方向に直交する方向)の寸法を計測する装置として、ビデオ式幅計測装置が知られている。この種の計測装置においては、試験中の試験片をビデオカメラで撮像し、そのビデオカメラの各画素情報から、試験片の幅方向両縁部に対応する2本の直線の座標を求め、その直線間の距離に基づいて試験片の幅を算出する。
【0003】
すなわち、図5に示すように、試験に供される試験片Wの幅方向(引張方向Tに直交する方向)の両縁部が視野FV内に入るようにビデオカメラを設置し、その出力データを適宜に処理することにより、図6に処理後の画素データを模式的に示すように、試験片Wの幅方向両側の縁部e1,e2の映像パターン、つまり2つのエッジパターンE1,E2を抽出してこれらの座標情報を得て、その座標情報から試験片Wの幅を演算により求める。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のようなビデオ式幅計測装置によると、ビデオカメラは、図5および図6に示したように、互いに直交する画素の配列方向x,y方向をそれぞれ水平方向および鉛直方向に沿わせた状態で配置され、また、試験片Wの引張方向は、通常、上記各図に示すように鉛直方向(あるいは水平方向)とされる。そのため、ビデオカメラの画素データ上で試験片WのエッジパターンE1,E2が1画素列上に並ぶことになる。従って、各エッジの座標情報の単位は1画素単位となり、最終的に得られる幅の測定結果の分解能が1画素のサイズとなってしまい、より高精度の測定が行えないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、幅測定の分解能が画素サイズに制限されずにより高い分解能で幅測定を行うことができ、画素サイズの変更等を伴うことなく、従ってコストを上昇させることなくより高精度の幅測定を行うことのできるビデオ式幅計測装置の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のビデオ式幅計測装置は、引張試験中の試験片を撮像するビデオカメラと、そのビデオカメラからの各画素情報を用いて試験片の幅方向両縁部の座標情報を求め、座標情報から試験片の刻々の幅を算出する演算手段を備えたビデオ式幅計測装置において、上記ビデオカメラが、その画素の配列方向を引張方向に対して傾斜させた状態で配置され、上記演算手段は、そのビデオカメラからの各画素情報を用いて試験片の両縁部に対応する2本の直線を回帰的に算出して試験片の幅の算出に供することによって特徴づけられる(請求項1)。
【0007】
ここで、本発明においては、試験片の幅方向両縁部を1台のビデオカメラにより撮像するように構成(請求項2)してもよいし、これらの両縁部をそれぞれ個別に異なるビデオカメラで撮像するように構成(請求項3)することもできる。
【0008】
また、本発明においては、上記ビデオカメラを、フォーカスをずらせた状態で試験片の幅方向両縁部を撮像するように構成(請求項4)することが好ましい。
【0009】
本発明は、ビデオカメラの画素の配列方向を引張方向に対して所定の角度で傾斜させた状態で試験片を撮像することにより、試験片の2つのエッジが画素の配列方向に対して傾斜した画像データを得て、各エッジパターンの形成に関与する画素の数を多くし、これらの画素情報から回帰的に試験片の両縁部に対応する2本の直線を算出して幅の算出に供することで、所期の目的を達成しようとするものである。
【0010】
すなわち、ビデオカメラの画素の配列方向を引張方向に対して傾斜させて試験片を撮像することにより、エッジパターンは従来のように1画素列で形成されるのではなく、幅方向およびそれに直交する多数の画素によって形成される(図3参照)。この各画素を用いて例えば最小二乗法等の回帰演算によって両縁部に対応する2本の直線を算出すると、その各直線の座標の分解能は画素サイズに比して著しく向上し、これらの直線間の距離から試験片の幅を算出することによって、幅測定の分解能を従来に比して大幅に向上させることができる。
【0011】
請求項2に係る発明のように、試験片の両縁部を1台のビデオカメラで撮像するように構成すれば、構成が簡単で調整も容易となる一方、請求項3に係る発明のように試験片の両縁部をそれぞれに異なるビデオカメラで撮像するように構成すると、撮像倍率を上げることが可能となり、より高精度の幅測定が可能となる。
【0012】
更に、請求項4に係る発明のように、ビデオカメラのフォーカスをずらせた状態で試験片の両縁部を撮像するように構成すると、いわゆるピンぼけ状態の画像が得られる結果、画像データ中におけるエッジパターンは試験片の幅方向に広がりを持った状態となり、エッジパターンを形成する画素数が増大し、回帰演算に供される画素数が増えることによる直線の座標情報をより高精度なものとすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態を材料試験機に装着した状態を示す正面図である。
【0014】
試験機本体1はテーブル11上に2本のねじ棹(図示せず)を配置し、その各ねじ棹にクロスヘッド12の両端部をナットを介して支承した構造を有し、各ねじ棹は駆動装置(図示せず)により回転が与えられ、これによってクロスヘッド12が上下動する。
【0015】
テーブル11およびクロスヘッド12には、それぞれ掴み具13a,13bが取り付けられており、試験片Wはその両端部が各掴み具13a,13bに把持される。その状態でクロスヘッド12を上昇駆動することにより、試験片Wに鉛直方向への引張負荷が加えられる。
【0016】
ビデオ式幅計測装置2は、ビデオカメラ21と、その出力を取り込んで後述する演算を施すパーソナルコンピュータ等の演算装置22とからなり、ビデオカメラ21は、位置調整機構23を介して試験機本体1に装着されている。位置調整機構23は上下方向調整機構23aと水平方向調整機構23bとからなり、これらの機構によりビデオカメラ21の視野および撮像倍率を適宜に設定できるようになっている。
【0017】
そして、ビデオカメラ21は、互いに直交する画素の配列方向x,y方向のいずれもが、試験機本体1による試験片Wの引張方向(鉛直方向)Tと平行とはなっておらずに傾斜している。この例では、画素の一方の配列方向であるy方向が引張方向Tに対して30°だけ傾斜しており、図2に例示するように、試験片Wの両側の縁部e1,e2が視野FV内に入るように設定される。
【0018】
以上の実施の形態によると、ビデオカメラ21の出力から試験片Wの幅方向両縁部を抽出処理した画像データは、図3に示すように、試験片Wの両縁部e1,e2の像が各画素P・・・・Pの配列方向に対して斜めに走るため、画像上でのエッジパターンE1,E2は、それぞれ1列の画素では形成されず、多数の画素によって形成される。
【0019】
演算装置22では、エッジパターンE1,E2をそれぞれ形成する複数の画素の座標情報を用いて、最小二乗法により試験片Wの両縁部e1,e2に対応する2つの推定直線をそれぞれ演算する。そして、これらの推定直線間の画像上での距離を幾何学的に求め、更に撮像倍率を反映した係数を乗じることにより、試験片Wの幅寸法を算出する。
【0020】
以上の本発明の実施の形態によると、試験片Wの両縁部e1,e2の位置情報が、多数の画素を用いた最小二乗法により回帰的に算出されて試験片Wの幅の算出に供されるので、幅測定の分解能は画素Pのサイズに制約されず、そのサイズにより大幅に高い分解能のもとに試験片Wの幅寸法を算出することができる。
【0021】
ここで、以上の構成において、ビデオカメラ21のフォーカスを意識的にずらせた状態とすることにより、上記した各推定直線の位置情報をより正確に求めることができる。すなわち、ビデオカメラ21のフォーカスをずらせることによって、エッジ抽出後に得られる画像は、図4に示すように、エッジパターンE1,E2を形成する画素が試験片Wの幅方向に広がり、各エッジパターンE1,E2がより多数の画素によって形成され、最小二乗法に供される画素数がより増大する。これにより、各推定直線の位置精度がより向上し、より高精度の幅測定が可能となる。
【0022】
ここで、以上の実施の形態においては、1台のビデオカメラ21で試験片Wの両縁部を撮像した例を示し、この構成は、簡単・安価な構成で、調整も容易で高い分解能の幅測定を行うことができるのであるが、より高精度の幅測定を必要とする場合には、2台のビデオカメラを用い、その各ビデオカメラにより試験片Wの2つの縁部をそれぞれ個別に撮像する構成を採用することができる。この構成の採用により、各ビデオカメラの撮像倍率を上げることが可能となり、より高い分解能でより高精度の幅測定を実現できる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ビデオカメラを、その画素の配列方向が試験片の引張方向に対して傾斜するように配置することによって、試験片の両縁部の画像を形成する画素数を増大させるとともに、その多数の画素を用いた回帰演算によって試験片の両縁部に対応する2本の直線を求め、その直線間の距離から試験片の刻々の幅を算出するので、幅測定の分解能の画素サイズによる制限をなくすることが可能となり、従来のこの種の幅計測装置に比してその分解能を大幅に向上させることができる。
【0024】
また、ビデオカメラのフォーカスをずらせた状態で試験片を撮像することによって、試験片の両縁部に対応する2本の直線の回帰演算に供する画素数を増大させることができ、より高精度の幅測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を材料試験機に装着した状態を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態のビデオカメラの視野設定の例の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態のビデオカメラの出力から試験片の両縁部の像を抽出した画像データの例の説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態における画像データの例の説明図で、ビデオカメラのフォーカスをずらせた状態で試験片を撮像したビデオ出力から、試験片の両縁部の像を抽出した画像データの例を示す図である。
【図5】従来のビデオ式幅計測装置のビデオカメラの視野設定の例の説明図である。
【図6】図5の視野設定により得られるビデオカメラの出力から試験片の両縁部の像を抽出した画像データの例の説明図である。
【符号の説明】
1 試験機本体
11 テーブル
13 クロスヘッド
14a,14b 掴み具
2 ビデオ式幅計測装置
21 ビデオカメラ
22 演算装置
23 位置調整機構
W 試験片

Claims (4)

  1. 引張試験中の試験片を撮像するビデオカメラと、そのビデオカメラからの各画素情報を用いて試験片の幅方向両縁部の座標情報を求め、座標情報から試験片の刻々の幅を算出する演算手段を備えたビデオ式幅計測装置において、
    上記ビデオカメラが、その画素の配列方向を引張方向に対して傾斜させた状態で配置され、上記演算手段は、そのビデオカメラからの各画素情報を用いて試験片の両縁部に対応する2本の直線を回帰的に算出して試験片の幅の算出に供することを特徴とするビデオ式幅計測装置。
  2. 試験片の幅方向両縁部が1台のビデオカメラにより撮像されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のビデオ式幅計測装置。
  3. 試験片の幅方向各縁部が、それぞれ個別に異なるビデオカメラで撮像されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のビデオ式幅計測装置。
  4. 上記ビデオカメラが、フォーカスをずらせた状態で試験片の幅方向両縁部を撮像するように構成されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のビデオ式幅計測装置。
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