JP3861947B2 - オルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体の製造方法 - Google Patents

オルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機合成原料として有用なルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
アニリンは、染料、医薬品、殺菌剤及び金属錯体配位子等の合成原料として広範に用いられ、工業的に極めて重要な化合物である。また、そのベンゼン環上に各種の置換基を有する誘導体もこれまで数多く合成されており、これらの誘導体を合成原料として用いれば、得られる化合物の物性を様々に変化させることが可能である。
【0003】
その置換基としてケイ素を使用することも可能であり、パラ位にトリメチルシリル基を有するアニリン誘導体等が公知であるが、置換基を導入した場合最も変化を与えやすい位置であるオルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体は知られていない。このようなオルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体の合成法として、アミノ基に置換基(保護基)を有し、オルト位にケイ素置換基を有するアニリン化合物を合成した後、アミノ基の置換基(保護基)を除去する方法が考えられるが、そのようなアミノ基に置換基(保護基)を有し、オルト位にケイ素置換基を有するアニリン化合物としては、例えば、欧州特許公報第538231号にはオルト位にトリメチルシリル基を有するフェニルカルバミン酸エステルの合成例が記載されている程度である。しかしながら、ベンゼン環に結合したケイ素置換基はプロトン等の求電子剤によって容易に切断されることが知られている。従ってオルトリチオ化に使用されるカルバミン酸エステルやアミドのような、一般に強酸性での加水分解による脱保護が必要なアミン保護基を用いることは困難である。また、同じ文献において、オルト位にトリメチルシリル基を有するイソシアン酸フェニルエステルの合成の記載も見られる。このイソシアン酸エステルをアルカリ加水分解すればアニリン誘導体が得られることも考えられるが、工程数が多く、またイソシアン酸エステル類は一般に毒性があるため最良の方法とはいえない。
【0004】
このように、オルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体は工業的に有用であるが、現在全く知られておらず、また、上記の如き公知のアミノ基に置換基(保護基)を有し、オルト位にケイ素置換基を有するアニリン化合物からの合成は困難であるため、その開発、並びに簡便な製造方法の構築が期待されていた。
【0005】
従って、本発明の目的は染料や医薬品等の合成原料として工業的に有用な、オルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体簡便な製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは上記の課題を解決すべく種々検討を行った結果、下記一般式(1)で表されるオルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体を見出すに至った。また、その製造方法として、下記一般式(2)で表されるハロゲン化合物に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の単体、又はそれらから得られる有機金属化合物を作用させて、下記一般式(3)で表される化合物に変換した後に、窒素原子に結合したR123Si−及びMを加溶媒分解によって除去する方法を見出した。
【0007】
【化4】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の一価炭化水素基より選択される。R4は水素原子、R123Si−で表される含ケイ素基又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。)
【0008】
【化5】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3及びR4は、式(1)におけるR1,R2,R3,R4と同じものを表す。Xはハロゲン原子を表す。)
【0009】
【化6】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3及びR4は、式(1)におけるR1,R2,R3,R4と同じものを表す。Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。nは金属原子Mの価数−1の整数である。)
【0010】
従って、本発明は、下記一般式(
【化12】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の一価炭化水素基より選択される。R4は水素原子、R123Si−で表される含ケイ素基又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるハロゲン化合物に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の単体、又はそれらから得られる有機金属化合物を作用させて、下記一般式(3)
【化13】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3及びR4は上記の通り。Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。nは金属原子Mの価数−1の整数である。)
で表される化合物に変換した後、窒素原子に結合したR123Si−及びMを加溶媒分解によって除去することを特徴とする下記一般式(1)
【化14】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3及びR4は上記の通り。)
で表されるオルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体の製造方法を提供する。
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の造方法によって得られるアニリン誘導体は、下記一般式(1)で表されるものである。
【0012】
【化7】
Figure 0003861947
【0013】
式(1)において、R1,R2,R3は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の一価炭化水素基より選択される。R1,R2,R3としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘプチル基、n−オクチル基、シクロオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。つまり式(1)の化合物はアミノ基のオルト位にかさだかいケイ素置換基を有している。
【0014】
123Si−で表されるこのケイ素置換基の具体例としては、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、n−プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、シクロプロピルジメチルシリル基、n−ブチルジメチルシリル基、イソブチルジメチルシリル基、sec−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、シクロブチルジメチルシリル基、n−ペンチルジメチルシリル基、イソペンチルジメチルシリル基、(1−メチルブチル)ジメチルシリル基、(1−エチルプロピル)ジメチルシリル基、(1,1−ジメチルプロピル)ジメチルシリル基、シクロペンチルジメチルシリル基、n−ヘキシルジメチルシリル基、テキシルジメチルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基、n−ヘプチルジメチルシリル基、シクロヘプチルジメチルシリル基、n−オクチルジメチルシリル基、シクロオクチルジメチルシリル基、n−ノニルジメチルシリル基、n−デシルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、ジ−n−プロピルメチルシリル基、ジ−n−ブチルメチルシリル基、ジシクロプロピルメチルシリル基、トリエチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、o−トリルジメチルシリル基、m−トリルジメチルシリル基、p−トリルジメチルシリル基、2,6−ジメチルフェニルジメチルシリル基、2,5−ジメチルフェニルジメチルシリル基、2,4−ジメチルフェニルジメチルシリル基、2,3−ジメチルフェニルジメチルシリル基、3,4−ジメチルフェニルジメチルシリル基、3,5−ジメチルフェニルジメチルシリル基、メシチルジメチルシリル基、1−ナフチルジメチルシリル基、2−ナフチルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0015】
式(1)のR4はベンゼン環上の置換基であり、水素原子又はR123Si−で表される含ケイ素基、或いは炭素数1〜10の一価炭化水素基の中から選ばれる。この一価炭化水素基としては、上で例示したものと同様のものが挙げられる。R4としては、特に水素原子又はR123Si−であるものが好ましい。
【0016】
次に、本発明の式(1)の化合物の製造方法を詳しく説明すると、まず下記一般式(2)のハロゲン化合物に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の単体、又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属から得られる有機金属化合物、例えば有機リチウム試薬やグリニャール試薬を作用させて、下記一般式(3)で表される化合物に転換させる工程Aと、この式(3)の化合物の窒素原子に結合したR123Si−及びMを加溶媒分解によって除去する工程Bとを含む。
【0017】
【化8】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3,R4は上記と同じものを表す。Xはハロゲン原子、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。nは金属原子Mの価数−1の整数である。)
【0018】
ここで、工程Aにおいて、Xのハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素が挙げられる。Mとしては、Li,Na,K,Mgなどが挙げられる。
【0019】
上記式(3)の化合物は、上述したように、式(2)で表されるハロゲン化合物にアルカリ金属やアルカリ土類金属の単体、もしくは有機リチウム試薬やグリニャール試薬に代表される有機金属試薬を作用させることにより得ることができるが、この際の反応温度は通常−100℃〜100℃であり、反応時間は30分〜50時間で、用いる金属や金属試薬の種類に応じて異なる。反応溶媒はテトラヒドロフランやジエチルエーテルに代表されるエーテル系溶媒、又はヘキサン、トルエン、キシレン等に代表される炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒の混合溶媒を用いることができる。
【0020】
また、工程Bにおいて、加溶媒分解に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール等の低級アルコールや、水と低級アルコールとの混合溶媒などのプロトン性溶媒が有効に用いられ、式(3)の化合物は、上記水又はアルコール等のプロトン性溶媒を用いて加溶媒分解により式(1)の化合物に変換することができる。式(3)の化合物は水分や空気に敏感であり、単離することは困難であるので、前工程の反応混合物に前記のプロトン性溶媒を加える。反応混合物を酸性にすると分解反応は速やかになるが、炭素−ケイ素結合が切断されるので、この反応は中性又は塩基性の条件で行うことが好ましい。反応温度は通常0〜100℃であり、反応時間は30分〜10時間であるが、R1,R2,R3の種類により長時間の加熱が必要な場合がある。
【0021】
この加溶媒分解反応は二段階逐次で行うこともできる。即ち、加溶媒分解をより温和な条件で行えば下記一般式(4)で表されるアニリン誘導体を単離することができる。その後、式(4)の化合物を中性又は塩基性条件でプロトン性溶媒と反応させれば式(1)の化合物が得られる。
【0022】
【化9】
Figure 0003861947
(式中、R1,R2,R3及びR4は、式(1)におけるR1,R2,R3,R4と同じものを表す。)
【0023】
【発明の効果】
本発明のアニリン誘導体は、染料や医薬品等の合成原料として有用であり、また本発明の製造方法によれば、このアニリン誘導体を効率よく製造し得る。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕tert−ブチルリチウムを用いる2−(トリメチルシリル)アニリンの合成
滴下ロート、温度計、撹拌機を備えた500mlの三つ口ガラスフラスコを窒素置換し、2−ブロモビス(トリメチルシリル)アニリン31.6g(0.10mol)及びテトラヒドロフラン200mlを仕込んだ。内容物を撹拌しながら、ドライアイス−アセトン浴で−70℃に冷却した。滴下ロートよりtert−ブチルリチウム1.7Mペンタン溶液118ml(0.20mol)を−70〜−61℃、1時間で滴下した。−55℃以下で4時間撹拌し、徐々に室温へ温度を上げた。反応混合物にメタノール3.2g(0.10mol)を加え、室温で30分間撹拌した後にロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。濃縮液にヘキサン100mlを加え、析出した塩を濾過して除いた。塩をヘキサン100mlで洗い、洗液と濾液を合わせてロータリーエバポレーターで濃縮後、減圧蒸留した。4mmHgで沸点72℃の無色透明留分21.3gが得られた。質量スペクトル(EI,m/z237(M+)、222([M−Me]+)、73(Me3Si+))よりこの液体がN,2−ビス(トリメチルシリル)アニリンであることが確認された。
【0026】
この液体を、滴下ロート、温度計、撹拌機を備え、窒素置換した100mlの三つ口ガラスフラスコに仕込み、内容物を撹拌しながら滴下ロートよりメタノール10mlを22〜25℃にて30分間で滴下した。20〜25℃で1時間撹拌を続けた後、反応混合物を減圧蒸留した。2.5mmHgにおいて沸点73〜75℃の無色透明留分13.8gが得られた。核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量スペクトルの結果より、この液体が2−(トリメチルシリル)アニリンであることが確認された。収率は83.5%であった。
【0027】
本化合物の1H核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図1に、13C核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図2に、また赤外吸収スペクトル(NaCl岩塩板)を図3に示す。
質量スペクトル(EI)m/z:165(M+)、150([M−Me]+
【0028】
〔実施例2〕金属マグネシウムを用いる2−(トリメチルシリル)アニリンの合成
滴下ロート、温度計、撹拌機を備えた200mlの三つ口ガラスフラスコを窒素置換し、マグネシウム2.8g(0.116mol)及びテトラヒドロフラン10mlを仕込んだ。内容物を撹拌しながら、滴下ロートより2−ブロモビス(トリメチルシリル)アニリン36.6g(0.116mol)をテトラヒドロフラン25mlに溶かした溶液を5〜10℃、1時間で滴下した。10℃で2時間撹拌し、更に20〜25℃で40時間撹拌を続けた。反応混合物にヘキサン30gを加え、8%塩酸52.9g(0.116mol)を40℃以下に保ちながら30分間で滴下した。室温で30分間撹拌した後に分液し、有機層を減圧下に蒸留した。7mmHgで沸点86〜89℃の無色透明留分12.2gが得られた。核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量スペクトルの結果より、この液体が2−(トリメチルシリル)アニリンであることが確認された。収率は63.6%であった。
【0029】
〔実施例3〕2,6−ビス(トリメチルシリル)アニリンの合成
滴下ロート、温度計、撹拌機を備えた200mlの三つ口ガラスフラスコを窒素置換し、2,6−ジブロモ−N,N−ビス(トリメチルシリル)アニリン21.7g(0.055mol)及びテトラヒドロフラン55mlを仕込んだ。内容物を撹拌しながら、ドライアイス−アセトン浴で−70℃に冷却した。滴下ロートよりtert−ブチルリチウム1.64Mペンタン溶液67ml(0.11mol)を−70〜−62℃、1.5時間で滴下した。−70℃で1時間、内温を−30℃に上げて1時間撹拌した後、滴下ロートからトリメチルクロロシラン6.0g(0.055mol)を−20℃にて加えた。徐々に室温へ温度を上げながら反応混合物を1時間撹拌した。GC−MS分析により、2,6−ジブロモ−N,N−ビス(トリメチルシリル)アニリンが消失し、2−ブロモ−N,N,6−トリス(トリメチルシリル)アニリンが生成していることがわかった。10%塩化アンモニウム水溶液50gを室温で加え、分液して有機層を減圧濃縮することにより褐色の濃縮液22.3gを得た。
【0030】
この濃縮液をテトラヒドロフラン55mlに溶解し、滴下ロート、温度計、撹拌機を備え、窒素置換した200mlの三つ口ガラスフラスコに仕込んだ。内容物を撹拌しながら、ドライアイス−アセトン浴で−70℃に冷却した。滴下ロートよりtert−ブチルリチウム1.64Mペンタン溶液67ml(0.11mol)を−70〜−63℃、1.5時間で滴下した。−70℃で30分間、内温を−35〜−30℃に上げて2時間撹拌した後、滴下ロートから3.6%塩酸56g(0.055mol)を0℃以下にて加えた。徐々に室温へ温度を上げながら反応混合物を30分間撹拌した。分液して有機層を取り出し、還流冷却器、温度計、撹拌機を備えた窒素置換した別の200mlの三つ口ガラスフラスコに仕込んだ。28%ナトリウムメチラートメタノール溶液1.9g(0.01mol)及びメタノール10gを加え、加熱還流下に4時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧蒸留し、3mmHgにおいて沸点93〜95℃の無色透明留分9.4gが得られた。核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量スペクトルの結果より、この液体が2,6−ビス(トリメチルシリル)アニリンであることが確認された。収率は72%であった。
【0031】
本化合物の1H核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図4に、13C核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図5に、また赤外吸収スペクトル(NaCl岩塩板)を図6に示す。
質量スペクトル(EI)m/z:237(M+)、222([M−Me]+)、206、74
【0032】
〔実施例4〕2−(トリエチルシリル)アニリンの合成
滴下ロート、温度計、撹拌機を備えた200mlの三つ口ガラスフラスコを窒素置換し、2−ブロモビス(トリエチルシリル)アニリン20.0g(0.05mol)及びテトラヒドロフラン50mlを仕込んだ。内容物を撹拌しながら、ドライアイス−アセトン浴で−66℃に冷却した。滴下ロートよりtert−ブチルリチウム1.64Mペンタン溶液61ml(0.10mol)を−66〜−57℃、1.5時間で滴下した。−64℃で30分間撹拌し、−30〜−25℃に温度を上げて2時間撹拌を続けた。その後徐々に室温へ温度を上げた。反応混合物に3.6%塩酸51g(0.05mol)を20℃以下で加え、分液して有機層を取り出し、還流冷却器、温度計、撹拌機を備えた窒素置換した別の200mlの三つ口ガラスフラスコに仕込んだ。28%ナトリウムメチラートメタノール溶液2.9g(0.015mol)及びメタノール20gを加え、加熱還流下に8時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧蒸留し、2mmHgにおいて沸点80〜81℃の無色透明留分8.5gが得られた。核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量スペクトルの結果より、この液体が2−(トリエチルシリル)アニリンであることが確認された。収率は82%であった。
【0033】
本化合物の1H核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図7に、13C核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図8に、また赤外吸収スペクトル(NaCl岩塩板)を図9に示す。
質量スペクトル(EI)m/z:207(M+)、178([M−Et]+)、150、122
【0034】
〔実施例5〕2−(n−ヘキシルジメチルシリル)アニリンの合成
滴下ロート、温度計、撹拌機を備えた200mlの三つ口ガラスフラスコを窒素置換し、2−ブロモビス(n−ヘキシルジメチルシリル)アニリン22.8g(0.05mol)及びテトラヒドロフラン50mlを仕込んだ。内容物を撹拌しながら、ドライアイス−アセトン浴で−65℃に冷却した。滴下ロートよりtert−ブチルリチウム1.64Mペンタン溶液61ml(0.10mol)を−65〜−57℃、1.5時間で滴下した。−67〜−64℃で1時間撹拌し、−25℃に温度を上げて2時間撹拌を続けた。その後徐々に室温へ温度を上げた。反応混合物に3.6%塩酸51g(0.05mol)を25℃以下で加え、分液して有機層を取り出し、減圧濃縮した。濃縮液を減圧蒸留し、1mmHgにおいて沸点93℃の無色透明留分9.8gが得られた。核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量スペクトルの結果より、この液体が2−(n−ヘキシルジメチルシリル)アニリンであることが確認された。収率は83%であった。
【0035】
本化合物の1H核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図10に、13C核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒)を図11に、また赤外吸収スペクトル(NaCl岩塩板)を図12に示す。
質量スペクトル(EI)m/z:235(M+)、220([M−Me]+)、150([M−C613+
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた化合物の1H核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図2】本発明の実施例1で得られた化合物の13C核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図3】本発明の実施例1で得られた化合物の赤外吸収スペクトルを示す。
【図4】本発明の実施例3で得られた化合物の1H核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図5】本発明の実施例3で得られた化合物の13C核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図6】本発明の実施例3で得られた化合物の赤外吸収スペクトルを示す。
【図7】本発明の実施例4で得られた化合物の1H核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図8】本発明の実施例4で得られた化合物の13C核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図9】本発明の実施例4で得られた化合物の赤外吸収スペクトルを示す。
【図10】本発明の実施例5で得られた化合物の1H核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図11】本発明の実施例5で得られた化合物の13C核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図12】本発明の実施例5で得られた化合物の赤外吸収スペクトルを示す。

Claims (1)

  1. 下記一般式(2)
    Figure 0003861947
    (式中、R1,R2,R3は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の一価炭化水素基より選択される。R4は水素原子、R123Si−で表される含ケイ素基又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。Xはハロゲン原子を表す。)
    で表されるハロゲン化合物に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の単体、又はそれらから得られる有機金属化合物を作用させて、下記一般式(3)
    Figure 0003861947
    (式中、R1,R2,R3及びR4は上記の通り。Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。nは金属原子Mの価数−1の整数である。)
    で表される化合物に変換した後、窒素原子に結合したR123Si−及びMを加溶媒分解によって除去することを特徴とする下記一般式(1)
    Figure 0003861947
    (式中、R1,R2,R3及びR4は上記の通り。)
    で表されるオルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体の製造方法。
JP14471997A 1997-05-19 1997-05-19 オルト位にケイ素置換基を有するアニリン誘導体の製造方法 Expired - Fee Related JP3861947B2 (ja)

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