JP3861009B2 - 耐火物焼成雰囲気炉 - Google Patents

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仲達 余
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造用耐火物と窯炉用耐火物、特にアルミナ・グラファイト質やマグネシア・グラファイト質のようなカーボン系耐火物の焼成に適した耐火物焼成雰囲気炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルミナ・グラファイト質やマグネシア・グラファイト質等のカーボン系耐火物は、焼成中の酸化を防止するためコークスへの詰め焼成により製造されていた。しかし、この方法ではコークスの熱伝導性が悪いために数十時間という長い焼成時間を要する上に、製品の積み下ろしに手間がかかり、生産性が悪いという問題があった。
【0003】
そこで本発明者等は、還元燃焼ガスバーナーを備えた連続炉によるカーボン系耐火物の焼成技術を開発中である。しかし、1000℃以上の高温で焼成する製品の場合には、還元燃焼ガスバーナーの燃焼排ガス中に含まれるCO2の熱解離の影響と考えられるが、発生したO2により製品の表面が酸化され、白色化(酸化層の生成)する不具合が認められている。そのため700℃以上の高温で焼成することが好ましい高品位のカーボン系耐火物の焼成には適さないという問題があった。
【0004】
また、電気ヒーターやラジアントチューブバーナー等による間接加熱方式を用い、N2ガスにより雰囲気の制御を行う連続式雰囲気炉も実用化されているが、ランニングコストが高いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、炉内のO2濃度、CO2濃度を適切にコントロールすることにより、カーボン系耐火物の焼成を行う場合にも製品表面の酸化層の生成を少なくでき、しかもランニングコストの安価な耐火物焼成雰囲気炉を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐火物焼成雰囲気炉は、被焼成物の入口側に中低温域及び高温域からなる加熱領域を順次設けるとともに、被焼成物の出口側に冷却域を設けてなる連続炉であって、出口側から入口側に向かって雰囲気ガスが流れるように構成してなる耐火物焼成雰囲気炉において、加熱領域のうち中低温域に間接加熱ヒーターを設けるとともに、高温域に還元燃焼ガスの供給手段を設け、少なくとも冷却域に不活性ガスの打ち込みノズルを設けたことを特徴とするものである。なお、不活性ガスの打ち込みノズルを加熱領域の一部又は全域にも設けることができ、還元燃焼ガスの供給手段としては、還元燃焼ガスバーナーまたは還元燃焼熱風発生炉を用いることができる。また還元燃焼ガスを不活性ガスで希釈することにより、炉内のCO2濃度を6%未満に制御することが好ましく、還元燃焼ガス及び不活性ガスにより、炉内のO2濃度を2000ppm未満に制御することが好ましい。
【0007】
本発明の耐火物焼成雰囲気炉によれば、高温域に還元燃焼ガスの供給手段を設け、また少なくとも冷却域にはN2ガスなどの不活性ガスの打ち込みノズルを設けたので、冷却域に供給された不活性ガスは冷却域から入口側に向かう炉内流に乗って不活性ガスが高温域に流れ、高温域に供給される還元燃焼ガスを希釈する。また加熱領域に不活性ガスを供給した場合には、高温領域に供給される還元燃焼ガスを直接希釈する。さらに中低温域の加熱は間接加熱ヒーターにより行われるため燃焼ガスは発生せず、不活性ガスにより希釈された還元燃焼ガスがそのまま中低温域を経て入口まで流れる。このため本発明によれば炉内のO2濃度、CO2濃度を適切にコントロールすることができ、カーボン系耐火物表面の酸化層の生成を抑制できる。しかも炉内全体をN2ガス等の不活性ガス雰囲気とする必要はないため、ランニングコストを引き下げることができるうえ、連続焼成が可能であるから高い生産性を実現することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示すもので、1は連続炉の炉体であり、入口側から中低温域2(700℃未満)、高温域3(700℃以上)、冷却域4が順次形成されている。中低温域2と高温域3は加熱領域である。入口には不活性ガス供給ノズル18により形成されるガスカーテン5、5が形成され、出口にはシャッター16、17を備えたガス置換室6が設けてある。炉内には冷却域4から入口側に向かうガス流が形成されるため、外気を吸引するおそれのある出口側のガス置換室6は必須であるが、外気を吸引しにくい入口側のガスカーテン5、5は省略することもできる。
【0009】
連続炉の形式は任意であり、例えば台車式トンネル炉、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、ウォーキングビームキルン等の連続炉とすることができる。この実施形態では炉体1はローラーハースキルンであり、製品の搬送手段7として多数のローラーが設けられている。
【0010】
加熱領域のうち少なくとも中低温域2には間接加熱ヒーター8、8を設けてある。間接加熱ヒーター8、8としては、電気ヒーター、定在燃焼式ガス焚きラジアントチューブバーナー、リジェネレーティブ式ガス焚きラジアントチューブバーナー等が使用できる。また高温域3には、還元燃焼ガスの供給手段としての還元燃焼ガスバーナー13が設けてあり、その燃焼ガスを高温域3に供給している。更に冷却域4には、不活性ガスの打ち込みノズル15、15を設けてあり、ガス配管14を通じて供給される窒素ガス等の不活性ガスを炉内に供給している。この実施形態のように、不活性ガスの打ち込みノズル15は、冷却域4の一部又は全部に設けることが好ましく、さらに、加熱領域(中低温域2、高温域3)の一部又は全部にも設けることがより好ましい。なおガス置換室6にも窒素ガス等の不活性ガスが供給されている。
【0011】
中低温域2には排気ダクト9、9が設けてあり、排気ダクト9、9から吸引された炉内ガスを排気装置10により外気とともに後燃焼炉11に送り燃焼・脱臭したうえ、排気装置12を経由して放出する。
【0012】
図2に示す第2の実施形態は、高温域3への還元燃焼ガスの供給手段として、第1の実施形態における還元燃焼ガスバーナー13に代えて還元燃焼熱風発生炉21を用いたものである。この還元燃焼熱風発生炉21で発生させた還元燃焼ガスは配管22を経由してノズル20から高温域3に供給される。またこの第2の実施形態では、高温域3にも間接加熱ヒーター19を設置して高温域3の温度制御を容易に行えるようにしてある。
【0013】
このように構成された本発明の耐火物焼成雰囲気炉では、冷却域4にN2ガス等の不活性ガスがノズル15、15から供給され、この不活性ガスは炉内流に乗り入口側に流れ、高温域3に供給される還元燃焼ガスを混合・希釈する。また中低温域2には間接加熱ヒーター8が設置されているため炉内の雰囲気はそのまま維持され、排気ダクト9、9から排出される。このように、高温域3及び中低温域2の雰囲気は不活性ガスにより還元燃焼ガスを希釈した状態となり、不活性ガスの量と還元燃焼ガスの量とを調整することによって、炉内(特に800℃以上の領域)のCO2濃度を6%未満に制御すると同時に、炉内のO2濃度を2000ppm未満に制御することが可能となる。
【0014】
このように炉内のCO2の濃度を6%未満とすることによりCO2の熱解離による影響が防止され、O2の濃度を2000ppm未満とすることにより製品Wの酸化を抑制することができる。またN2雰囲気炉に比較して本発明ではN2ガスの使用量を減らすことができるので、ランニングコストを低減させることが可能となる。
【0015】
【実施例】
図1に示した本発明の耐火物焼成雰囲気炉を用いて、アルミナ・グラファイト質耐火物のテストピース(30mm×15mm×40mm)の焼成テストを行った。800℃以上の領域におけるCO2濃度は6%未満に制御され、O2濃度は500〜1200ppmに制御した。焼成最高温度は1400℃であり、冷却後に酸化層の厚みを測定したところ、その厚さは1mm未満であり、酸化層厚みを実用上問題とされない範囲(1.5mm未満)内に低減できた。これに対して通常の還元燃焼ガスバーナー炉を用いた場合には表面酸化層の厚さは4〜5mmとなり、レンガメーカーのスペックを満足できなかった全く実用に供し得ない酸化層を生じた。
【0016】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の耐火物焼成雰囲気炉によれば、高温域に還元燃焼ガスの供給手段を設け、また少なくとも冷却域にN2ガスなどの不活性ガスの打ち込みノズルを設けたので、冷却域から入口側に流れる不活性ガスにより高温域に供給される還元燃焼ガスを希釈することができる。このため炉内のO2濃度、CO2濃度を適切にコントロールすることができ、カーボン系耐火物表面の酸化層の生成を抑制できる。しかも不活性ガスの使用量を減少させてランニングコストを引き下げることができるうえ、連続焼成が可能であるから高い生産性を実現することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…連続炉の炉体、2…中低温域、3…高温域、4…冷却域、5…ガスカーテン、6…ガス置換室、7…製品の搬送手段、8…間接加熱ヒーター、9…排気ダクト、10…排気装置、11…後燃焼炉、12…排気装置、13…還元燃焼ガスバーナー、14…ガス配管、15…不活性ガスの打ち込みノズル、16…シャッター、17…シャッター、18…不活性ガス供給ノズル、19…間接加熱ヒーター、20…ノズル、21…還元燃焼熱風発生炉、22…配管。

Claims (5)

  1. 被焼成物の入口側に中低温域及び高温域からなる加熱領域を順次設けるとともに、被焼成物の出口側に冷却域を設けてなる連続炉であって、出口側から入口側に向かって雰囲気ガスが流れるように構成してなる耐火物焼成雰囲気炉において、加熱領域のうち中低温域に間接加熱ヒーターを設けるとともに、高温域に還元燃焼ガスの供給手段を設け、少なくとも冷却域に不活性ガスの打ち込みノズルを設けたことを特徴とする耐火物焼成雰囲気炉。
  2. 不活性ガスの打ち込みノズルを、さらに加熱領域の一部又は全域に設けたことを特徴とする請求項1に記載の耐火物焼成雰囲気炉。
  3. 還元燃焼ガスの供給手段が、還元燃焼ガスバーナーまたは還元燃焼熱風発生炉であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐火物焼成雰囲気炉。
  4. 還元燃焼ガスを不活性ガスで希釈することにより、炉内のCO2濃度を6%未満に制御した請求項1〜3のいずれかに記載の耐火物焼成雰囲気炉。
  5. 還元燃焼ガス及び不活性ガスにより、炉内のO2濃度を2000ppm未満に制御した請求項1〜4のいずれかに記載の耐火物焼成雰囲気炉。
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