JP3779405B2 - 燻化方法及び燻化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燻し瓦の製造に用いられる燻化方法及び燻化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル炉を用いた燻し瓦の製造方法として、焼成台車に積載した瓦生地を1150℃程度の酸化雰囲気中で素焼きにしたのち、焼成炉の出口で下面が開放された燻化ボックスを焼成台車に被せ、その内部を密閉状態として燻化ガスを打ち込む方法が知られている。そして燻化終了後の冷却を迅速に行わせるために、図5に示すように燻化ボックス11の天井部の内面に冷却用パイプ12を設けておき、冷却工程においてこの冷却用パイプ12内に冷却空気を流し、強制冷却を行っている。
【0003】
図1は燻化温度と、色差計のLab 法測定の計測値(L値)との関係を示すグラフであり、つやの良い燻し瓦ではこのL値が61以上となることから、燻化工程中は燻化温度を970 〜980 ℃に保持することが望まれている。このため燻化工程中は冷却用パイプ12内に冷却空気が供給されることはない。しかし、燻化ボックス11の内部には自然対流により空気の流れが形成されて自然放冷されるために、図2に破線で示したように燻化工程中に70℃程度の温度低下が避けられない。その結果、燻し瓦の色がつやの無い黒目になることがあった。特に冷却用パイプ12の近傍の瓦は燻化工程中に放射熱を吸収されて冷却され易いため、付着カーボンが多い等の不具合が発生することがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、冷却用パイプは燻化終了後の強制冷却には効果が大きいものの、燻化工程中は温度低下の原因となる。本発明は上記の問題を解決し、燻化終了後の強制冷却効果が大きく、しかも燻化工程中は燻化ボックスの内部温度を適正燻化温度に維持することができる燻化方法及び燻化装置を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の燻化方法は、天井部の内面にラジアントチューブを設けた燻化ボックスを、焼成炉の出口で焼成台車に被せて燻化ガスを打ち込み、燻化工程における焼成台車の停止位置に設置された可動式のバーナをこのラジアントチューブに臨ませて燃焼させることにより燻化ボックスの内部温度を適正燻化温度に維持しつつ燻化を行わせ、その後にバーナを後退させて焼成台車を冷却工程へ移動し、このラジアントチューブに冷却空気を流して強制冷却を行うことを特徴とするものである。また本発明の燻化装置は、天井部の内面にラジアントチューブを設けた燻化ボックスと、燻化工程における焼成台車の停止位置に設置され、燻化工程中はこのラジアントチューブ内に燃焼ガスを供給する可動式のバーナと、冷却工程においてこのラジアントチューブ内に冷却空気を供給する冷却ノズルとを備えたことを特徴とするものである。なお、この可動式のバーナとして蓄熱燃焼式バーナを用いることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態を示す。
図3に示すように、本発明においては燻化ボックス1の天井部の内面にラジアントチューブ2が設けられている。ラジアントチューブ2は上面から見たときU字状やW字状のものであることが好ましく、燻化ボックス1のサイズにあわせて複数本を並列に設けてもよい。従来と同様、焼成台車3に積載した瓦生地4は例えば1150℃程度の酸化雰囲気中で素焼きされ、焼成炉の出口でこの燻化ボックス2が被せられる。そして直ちに生ガス等の燻化ガスが燻化ボックス2の内部に打ち込まれ、燻化工程に入る。
【0007】
図3に示すように、本発明においては燻化工程に入った焼成台車3の停止位置に、可動式のバーナ5が設けられている。このバーナ5は燻化工程で停止中の燻化ボックス1のラジアントチューブ2の端面に望む位置で燃焼し、燃焼ガスをラジアントチューブ2内に供給する。これによりラジアントチューブ2は加熱され、燻化ボックス1の内部温度を適正燻化温度に維持しつつ燻化を行わせることができる。なお、バーナ5は可動式であるために、焼成台車3の停止中はラジアントチューブ2の端面に接して燃焼ガスを送り込み、焼成台車3が冷却工程へ移動する際には焼成台車3から離れることができる。
【0008】
バーナ5の種類は特に限定されるものではないが、図3に示したような蓄熱燃焼式バーナを用いることが好ましい。この蓄熱燃焼式バーナはバーナ本体内部の燃焼空気の流路にセラミックハニカム等よりなる蓄熱体6を設けたものであり、通常は交互に燃焼される2本を1組にして用いられる。そして燃焼側のバーナの高温の燃焼ガスは非燃焼側のバーナを通じて排出され、この間に蓄熱体6に排熱が回収される。次に燃焼方向が反転され、蓄熱体6により燃焼空気を高温に予熱しつつ燃焼が行われる。このような燃焼方向の切り換えが短い周期で行われ、熱効率の高い高温燃焼が可能である。
【0009】
このようにしてバーナ5により燻化ボックス1の内部温度を適正燻化温度に維持しつつ燻化を行った後、焼成台車3は冷却工程へ送られる。冷却工程に入った焼成台車3の停止位置には図4に示すように冷却ノズル7が設けられており、ラジアントチューブ2の内部に冷却空気を供給して強制冷却を行う。このため自然放冷の場合よりもはるかに迅速に製品の取り出しが可能である。
【0010】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明によればラジアントチューブ2に可動式のバーナ5を臨ませて燃焼させることにより、燻化ボックス2の内部を適正燻化温度に維持しつつ燻化を行わせることができる。このため従来は70℃程度の温度低下が燻化工程中に生じていたのに対し、本発明によれば図2のグラフ中に実線で示したように、燻化工程中の温度低下を10℃程度に抑制することができ、同一焼成台車3内の瓦の色調のばらつきを色差計のLab 法測定のL値で2程度に管理することができる。従って、色つやのよい燻し瓦を得ることができ、また従来のようにラジアントチューブ2の近傍の瓦に付着カーボンが発生することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】燻化温度と、色差計のLab 法測定のL値との関係を示すグラフである。
【図2】燻化ボックスの内部温度の変化を示すグラフである。
【図3】燻化ボックスのラジアントチューブに燃焼ガスを供給している状態を示す断面図である。
【図4】燻化ボックスのラジアントチューブに冷却空気を供給している状態を示す断面図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 燻化ボックス、2 ラジアントチューブ、3 焼成台車、4 瓦生地、5バーナ、6 蓄熱体、7 冷却ノズル、11 従来の燻化ボックス、12 従来の冷却用パイプ

Claims (3)

  1. 天井部の内面にラジアントチューブを設けた燻化ボックスを、焼成炉の出口で焼成台車に被せて燻化ガスを打ち込み、燻化工程における焼成台車の停止位置に設置された可動式のバーナをこのラジアントチューブに臨ませて燃焼させることにより燻化ボックスの内部温度を適正燻化温度に維持しつつ燻化を行わせ、その後にバーナを後退させて焼成台車を冷却工程へ移動し、このラジアントチューブに冷却空気を流して強制冷却を行うことを特徴とする燻化方法。
  2. 天井部の内面にラジアントチューブを設けた燻化ボックスと、燻化工程における焼成台車の停止位置に設置され、燻化工程中はこのラジアントチューブ内に燃焼ガスを供給する可動式のバーナと、冷却工程においてこのラジアントチューブ内に冷却空気を供給する冷却ノズルとを備えたことを特徴とする燻化装置。
  3. 可動式のバーナが蓄熱燃焼式バーナである請求項2に記載の燻化装置。
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