JP3860655B2 - 建物の接合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はユニット建物等の建物の接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下階建物ユニットの上に上階建物ユニットを据付けるに際しては、特公平5-38102 号公報に記載の如く、上階建物ユニットの床パネルの頭つなぎと下階建物ユニットの壁パネルの上枠とを連結ボルトにより緊結することとしている。ところが、この従来技術では、下階建物ユニットの壁パネルの上枠に上階建物ユニットの壁パネルの縦枠又は柱等ではなく、上階建物ユニットの床パネルの頭つなぎを連結ボルトで緊結するものであり、上階建物ユニットと下階建物ユニットの接合強度の向上に限界がある。
【0003】
そこで、本出願人は、特願平9-90568 号公報に記載の如く、上階建物ユニットと下階建物ユニットの接合強度を向上するために、上階建物ユニットの床パネルの内部に格納した床金物と該上階建物ユニットの壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定した上引き寄せ金物の台座とを連結ボルトで緊結するとともに、下階建物ユニットの壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定した下引き寄せ金物に固定した連結ボルトを上階建物ユニットの床パネルの内部の上述の床金物に緊結するものを提案している。この先願技術によれば、下階建物ユニット側の連結ボルトが上階建物ユニットの床パネルの内部の床金物を介して、上階建物ユニットの壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定された引き寄せ金物に固定されることにより、上階建物ユニットと下階建物ユニットとの接合強度を向上できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、上階建物ユニットの壁パネルの縦枠又は柱の側面にて引き寄せ金物の台座が突出するものとなり、この引き寄せ金物を含む壁面内に設けられる開口の幅が台座の突出分だけ狭くなる。尚、下階建物ユニットの壁パネルの縦枠又は柱の側面においても引き寄せ金物の台座の突出を生ずるが、下階建物ユニットにおいて引き寄せ金物が設けられる壁パネルの上部では垂れ壁の存在があり、引き寄せ金物の台座を垂れ壁内に格納するものとし不都合を生じない。
【0005】
本発明の課題は、上階構造体と下階構造体を高強度で接合するため、上階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定される引き寄せ金物を用いるに際し、引き寄せ金物を含む面内での開口の幅が該引き寄せ金物の存在により狭くなることを防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、上階構造体を下階構造体の上に接合してなるものであり、上階構造体が床構造体の上部に壁パネル又は柱を立設して構成されてなる建物の接合構造において、平板と台座とからなる引き寄せ金物を用い、引き寄せ金物の平板を上階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定し、引き寄せ金物の台座を上階構造体の床構造体の床下内に設けてなり、下階構造体から上方へ突出する連結ボルトが上階構造体の側の上記引き寄せ金物の台座に緊結されてなるようにしたものである。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において更に、前記下階構造体が床構造体の上部に壁パネル又は柱を立設して構成され、前記連結ボルトが下階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定された引き寄せ金物に固定されたものである。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の本発明において更に、前記下階構造体と上階構造体のそれぞれが建物ユニットからなるものである。
【0009】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば下記▲1▼、▲2▼の作用がある。
▲1▼上階構造体を下階構造体の上に接合するに際し、下階構造体の側の連結ボルトが、上階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定されている引き寄せ金物の台座に緊結される。従って、連結ボルトは、上階構造体の壁パネルと下階構造体との間に該上階構造体の床構造体を挟持する如くになり、上階構造体と下階構造体との接合強度を向上できる。
【0010】
▲2▼上階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定された引き寄せ金物は、その台座を該上階構造体の床構造体の床下内に設けられる。従って、引き寄せ金物の台座が上階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面にて突出する如くがなく、それらの縦枠又は柱の側面には引き寄せ金物の平板が存在するだけとなり、この引き寄せ金物を含む壁面内に設けられる開口の幅を狭くすることがない。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば下記▲3▼の作用がある。
▲3▼下階構造体の側の連結ボルトが該下階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定された引き寄せ金物に固定されることにより、上階構造体と下階構造体の接合強度をより向上できる。
【0012】
請求項3に記載の本発明によれば下記▲4▼の作用がある。
▲4▼上階構造体と下階構造体のそれぞれを建物ユニットにて構成することにより、ユニット建物の上階建物ユニットと下階建物ユニットの接合において上記▲1▼〜▲3▼を実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は上階建物ユニットと下階建物ユニットとの接合構造を示す模式図、図2は引き寄せ金物を示す模式図である。
【0014】
ユニット建物1は、図1に示す如く、上階建物ユニット10Aを下階建物ユニット10Bの上に接合してなるものである。
【0015】
上階建物ユニット10Aと下階建物ユニット10Bは基本的に同一構造であり、床構造体としての床パネル11の上部に妻壁パネル21、桁壁パネル31を立設するように取着して構成される。
【0016】
床パネル11は、妻梁12と桁梁13を釘打ち及び/又は接着剤により接合した床枠組の下面に頭つなぎ14を釘打ち及び/又は接着剤により取着され、該床枠組の上面に床面材15を釘打ち及び/又は接着剤により取着されて構成される。
【0017】
妻壁パネル21は、下枠22と縦枠23と上枠24とを釘打ち及び/又は接着剤により接合した壁枠組の両側に外壁面材(不図示)、内壁面材(不図示)を釘打ち及び/又は接着剤により取着されて構成される。
【0018】
桁壁パネル31は、下枠32と縦枠33と上枠34とを釘打ち及び/又は接着剤により接着した壁枠組の両側に外壁面材(不図示)、内壁面材(不図示)を釘打ち及び/又は接着剤により取着されて構成される。
【0019】
しかるに、上階建物ユニット10Aと下階建物ユニット10Bは上下の引き寄せ金物41、42、連結ボルト43を用いて以下の如くに緊結されて接合される(図1、図2)。ここで、引き寄せ金物41(42も同じ)は、図2に示す如く、妻壁パネル21の縦枠23の側面に添設される平板51と、平板51の端部に溶接される台座52とを備える。平板51にはボルト孔51Aが、台座52にはボルト孔52Aが設けられる。
【0020】
尚、下記(1) 、(2) は建物ユニット10A、10Bの工場生産段階で施工され、下記(3) はユニット建物1の建設現場で施工される。
【0021】
(1) 上階建物ユニット10Aへの上引き寄せ金物41の取付け
上階建物ユニット10Aを組立てる前の段階で、上引き寄せ金物41を床パネル11の床下内から床面材15に設けた切欠(不図示)を貫通するように配置し、該上引き寄せ金物41の台座52を床パネル11の床下内に設け、該上引き寄せ金物41の平板51の下側部を座金付ボルト53により木桟(スペーサ)16を介して桁梁13に固定する。ボルト53は、桁梁13、木桟16のボルト挿通孔に挿通され、座金頭53A(不図示)を桁梁13の外面に釘打ちされて回り止めされ、平板51のボルト孔51Aを貫通したナット53Bで固定される。
【0022】
次に、床パネル11の妻側外縁部に妻壁パネル21を立設する。このとき、床パネル11に上述の如くに固定されている上引き寄せ金物41の平板51は妻壁パネル21の下枠22に設けた切欠22Aを貫通し、縦枠23の側面に添設せしめられるものとなる。尚、下枠22の切欠22Aは、切欠22Aの開口を塞ぐ帯金物17を該下枠22に取着することにて補強される。
【0023】
そして、上引き寄せ金物41の平板51を妻壁パネル21の縦枠23の側面に座金付ボルト54により固定する。ボルト54は縦枠23のボルト挿通孔に挿通され、座金頭54Aを縦枠23の外面に釘打ちされて回り止めされ、平板51のボルト孔51Aを貫通してナット54Bで固定される。
【0024】
最後に、床パネル11の桁側外縁部に桁壁パネル31を立設する。桁壁パネル31は床パネル11、妻壁パネル21のそれぞれに釘打ち固定される。これにより、上階建物ユニット10Aが組立てられる。
【0025】
(2) 下階建物ユニット10Bへの下引き寄せ金物42の取付け
下階建物ユニット10Bにあっては、下引き寄せ金物42の平板51を座金付ボルト55により妻壁パネル21の縦枠23に固定し、その台座52を妻壁パネル21の壁内に設ける。ボルト55は、縦枠23のボルト挿通孔に挿通され、座金頭55Aを縦枠23の外面に釘打ちされて回り止めされ、平板51のボルト孔51Aを貫通してナット55Bで固定される。
【0026】
(3) 上階建物ユニット10と下階建物ユニット10Bの接合
建物ユニット10A、10Bを生産工場からユニット建物1の建設現場へと輸送し、基礎の上に下階建物ユニット10Bを据付け、下階建物ユニット10Bの上に上階建物ユニット10Aを据付ける。そして、下引き寄せ金物42の台座52のボルト孔52Aに下方から連結ボルト43を通し、この連結ボルト43は下階建物ユニット10Bの妻壁パネル21の上枠24に設けたボルト挿通孔24A、上階建物ユニット10Aの床パネル11の頭つなぎ14に設けたボルト挿通孔14A経由で、上引き寄せ金物41の台座52のボルト孔52Aを貫通してナット43Aで固定される。
【0027】
従って、本実施形態によれば以下の作用がある。
▲1▼上階建物ユニット10Aを下階建物ユニット10Bの上に接合するに際し、下階建物ユニット10Bの側の連結ボルト43が、上階建物ユニット10Aの妻壁パネル21の縦枠23の側面に固定されている上引き寄せ金物41の台座52に緊結される。従って、連結ボルト43は、上階建物ユニット10Aの妻壁パネル21と下階建物ユニット10Bとの間に該上階建物ユニット10Aの床パネル11を挟持する如くになり、上階建物ユニット10Aと下階建物ユニット10Bとの接合強度を向上できる。
【0028】
▲2▼上階建物ユニット10Aの妻壁パネル21の縦枠23の側面に固定された上引き寄せ金物41は、その台座52を該上階建物ユニット10Aの床パネル11の床下内に設けられる。従って、上引き寄せ金物41の台座52が上階建物ユニット10Aの妻壁パネル21の縦枠23の側面にて突出する如くがなく、それらの縦枠23の側面には上引き寄せ金物41の平板51が存在するだけとなり、この上引き寄せ金物41を含む壁面内に設けられる開口の幅を狭くすることがない。
【0029】
▲3▼下階建物ユニット10Bの側の連結ボルト43が該下階建物ユニット10Bの妻壁パネル21の縦枠23の側面に固定された下引き寄せ金物42に固定されることにより、上階建物ユニット10Aと下階建物ユニット10Bの接合強度をより向上できる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の建物の接合構造は、床構造体を床梁とするもの、床構造体の上部に柱を立設するものにも適用できる。また、本発明の建物の接合構造は、ユニット建物に限らず、広く一般の建物にも適用できる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、上階構造体と下階構造体を高強度で接合するため、上階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定される引き寄せ金物を用いるに際し、引き寄せ金物を含む面内での開口の幅が該引き寄せ金物の存在により狭くなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は上階建物ユニットと下階建物ユニットとの接合構造を示す模式図である。
【図2】図2は引き寄せ金物を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ユニット建物
10A 上階建物ユニット(上階構造体)
10B 下階建物ユニット(下階構造体)
11 床パネル(床構造体)
21 妻壁パネル(壁パネル)
23 縦枠
41、42 引き寄せ金物
43 連結ボルト
51 平板
52 台座
Claims (3)
- 上階構造体を下階構造体の上に接合してなるものであり、上階構造体が床構造体の上部に壁パネル又は柱を立設して構成されてなる建物の接合構造において、
平板と台座とからなる引き寄せ金物を用い、引き寄せ金物の平板を上階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定し、引き寄せ金物の台座を上階構造体の床構造体の床下内に設けてなり、
下階構造体から上方へ突出する連結ボルトが上階構造体の側の上記引き寄せ金物の台座に緊結されてなることを特徴とする建物の接合構造。 - 前記下階構造体が床構造体の上部に壁パネル又は柱を立設して構成され、前記連結ボルトが下階構造体の壁パネルの縦枠又は柱の側面に固定された引き寄せ金物に固定されたものである請求項1記載の建物の接合構造。
- 前記下階構造体と上階構造体のそれぞれが建物ユニットからなる請求項1又は2記載の建物の接合構造。
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JP05498698A JP3860655B2 (ja) | 1998-03-06 | 1998-03-06 | 建物の接合構造 |
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JPH11256695A JPH11256695A (ja) | 1999-09-21 |
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JP05498698A Expired - Lifetime JP3860655B2 (ja) | 1998-03-06 | 1998-03-06 | 建物の接合構造 |
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JP2016056618A (ja) * | 2014-09-11 | 2016-04-21 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 建物ユニット及び建物 |
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1998
- 1998-03-06 JP JP05498698A patent/JP3860655B2/ja not_active Expired - Lifetime
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