JP3859843B2 - 熱封緘蓋材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
この発明は、プリン、ゼリー、ヨーグルト、乳飲料などの食品、飲料品及び医薬品等を収納する容器の蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、飲料、医薬品などは光や空気に触れると変質するものが多いためバリヤー性の高い材料を用いて包装される。中でもアルミニウム箔が多用されている。そして、通常、アルミニウム箔の一面に合成樹脂フィルム、他面に熱封緘層を積層した積層体として実用化されている。
【0003】
【発明の課題】
上記のような積層体に装飾を施し、美観を持たせるため、文字や絵柄、模様等の凹凸の型付けを施したものがある。しかしながら、上記積層体の構成では、凹凸の型付けの後カールが生じ、容器に熱封緘する際に支障をきたすという問題点がある。すなわち凹凸の型付けの際、アルミニウム箔は塑性変形するが、合成樹脂フィルムや熱封緘層は弾性体であり、元の形状に戻ろうとする作用が働くため、カール(反り)が生じ、上記積層体を蓋材として用いた場合に、容器への熱封緘時に蓋材の供給ミスやシール不良が生じている。
【0004】
このため、アルミニウム箔の厚みを厚くすると、ある程度カールは緩和されるものの、根本的な解決ではなく、コスト上昇や柔軟性の低下という新たな問題が生じる。
【0005】
そこで、この発明の課題は、比較的薄いアルミニウム箔を用いてもカールが生じない凹凸付き蓋材を提供することである。
【0006】
【課題の解決手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、厚み10〜30μmの外層アルミニウム箔と、これよりも厚みが大きくかつ厚み12〜60μmの内層アルミニウム箔を中間樹脂層を介して積層し、前記内層アルミニウム箔の外面に熱封緘層を設けた積層体に型付けを施したのである。
【0007】
前記内層アルミニウム箔の厚さを外層アルミニウム箔の1.2〜2倍にしておくのが好ましい。
【0008】
【作用】
凹凸の型付けにより、前記のように従来の蓋材ではカールが生じる傾向にあったが、この発明では、アルミニウム箔を内外2層とし、その内層アルミニウム箔を外層よりも厚くすることで、カールを矯正することができる。すなわち同一厚みのアルミニウム箔を2層とするだけでは、熱封緘層を内側にカールさせる力が型付けによって残留する。これを打ち消すため、熱封緘層側の内層アルミニウム箔を外層アルミニウム箔よりも厚く設定することで、力のバランスがとれカールを防止することができる。
【0009】
【実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、この発明の蓋材10は、外層アルミニウム箔11と内層アルミニウム箔12を中間樹脂層13を介して積層し、内層アルミニウム箔12の外面に熱封緘層14を設け、外層アルミニウム箔11よりも内層アルミニウム箔12の厚みを大きくした積層体であって、この積層体に型付けを施したものである。
【0010】
前記外層アルミニウム箔11の厚みは10〜30μm、好ましくは12.5〜25μmであり、内層アルミニウム箔12の厚みは12〜60μm、好ましくは15〜50μmである。これらの両アルミニウム箔の厚みが下限値未満では、ピンホールが多くなったり、蓋材の強度が低下し、上限値を超えると柔軟性が失われるほか、コスト上昇にもつながるので好ましくない。そして、外層アルミニウム箔11に対する内層アルミニウム箔12の厚みは、1.2〜2.0倍の大きさにしてある。内層アルミニウム箔12の厚みが外層の1.2倍未満ではカール矯正効果が十分でなく、熱封緘層14が内側に反るアーチ状のカールが生じ易く、2.0倍を超えると逆に熱封緘層14が外側に反るカールが生じ易くなる。
【0011】
なお、内外層アルミニウム箔の純度は限定されず、Fe、Mn、Mg、Si、Cu、Zn等を含んだアルミニウム合金箔を用いてもよい。ただし、コストの点では工業用の純アルミニウム箔が有利である。また、内外層アルミニウム箔は、最終圧延後に焼鈍した軟質箔であることが必要である。硬質箔では柔軟性や伸びが乏しいため、製造工程中、特に凹凸の型付けやその後のエージング処理時にカールが生じやすくなり、変形応力が大きいため一度カールしたものは容易には元に矯正できない。
【0012】
アルミニウム箔11と12の間に介在させる中間樹脂層13には、厚み8〜50μmの公知の2軸延伸合成樹脂フィルムを用いる。具体的にはポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン樹脂等を使用でき、2種以上を積層して使用しても差し支えない。中間樹脂層13の厚みが8μm未満では、蓋材の強度が低くなり工程中や使用時に破断が起こりやすくなり、50μmを超えると柔軟性が低下し、コストを上昇させるので好ましくない。
【0013】
これらの、各層間の積層の方法は、種々選択可能である。ウレタン系、ポリエステル系等の反応型接着剤を用いたドライラミネート法や、ポリエチレンまたは変性ポリオフィン樹脂等を利用した樹脂押し出し法等が採用できる。
【0014】
熱封緘層14には公知のものが利用でき、接着する容器の材質によって適宜選択すればよい。Tダイキャスト法やインフレーション法等で予め成形されたフィルムを積層してもよいし、内層アルミニウム箔12に直接または接着剤を介して樹脂押し出し法で塗布・積層してもよい。熱封緘層14の厚みは5〜50μmの範囲内、より好ましくは12〜50μmが適当である。5μm未満では、熱封緘不良がおきやすく、50μmを超えると加熱時間が長くなり、しわの発生の原因となったり、また、積層後にカールの発生する傾向が強くなり、それを抑えるために不必要に厚いアルミニウム箔が必要となるため好ましくない。
【0015】
凹凸の型付けの方法は、公知の方法を採用でき、型ロールによるエンボス加工や、プレスによる型加工等によればよい。凹凸の深度を加工後の積層体の厚み(最大高さ)と加工前の積層体の厚みの差で表せば最大で190μmであり、通常加工後の積層体の厚み(最大高さ)は加工前の厚みの2倍以下である。
【0016】
なお、当然のことながら、外層アルミニウム箔11の表面には、内容物の表示や製品名等の印刷、着色を施すことができ、さらにその上に1μm程度のオーバーコート剤を塗布してもよい。また、内層アルミニウム箔12と熱封緘層14との間には、補強の目的で厚み10〜30μm程度の補強樹脂層(例えばポリエチレン等)を介在させてもよい。
【0017】
以下に、実施例と比較例を挙げる。
【0018】
【実施例】
図2に示すような構成の積層体を用意した。実施例1、3〜7、9〜12は各層をポリエステル系の接着剤を使用したドライラミネーション法によって積層した。実施例2は外層アルミニウム箔と中間樹脂層及び内層アルミニウム箔を同じポリエステル系接着剤でドライラミネーションし、熱封緘層は、内層アルミニウム箔の外面をアンカーコート剤(AD−335AE、東洋モートン株式会社製)で処理した後、熱封緘層をポリエチレンエクストルージョン法により積層した。積層後のポリエチレンの厚みは約20μmであった。実施例8は、内外層アルミニウム箔の中間樹脂層との対向面を同じアンカーコート剤で処理した後、中間樹脂層をポリエチレンエクストルージョン法によって積層した。積層後のポリエチレンの厚みは、中間樹脂層の上下共約15μmであった。熱封緘層は前記と同様のドライラミネーション法によって積層した。
【0019】
内外層アルミニウム箔は、全て軟質箔を使用したが、実施例11はJIS A3003、実施例12はJIS A3004のアルミニウム合金箔、それ以外はJIS 1N30のアルミニウム箔を使用した。
【0020】
中間樹脂層のPETはポリエステルフィルム(ユニチカ株式会社製、エンブレットPET)、NYはナイロンフィルム(東洋紡績株式会社製、N1202)、OPPは延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ化学株式会社製、M−2)、CFはポリプロピレンとポリエチレンの混合フィルム(東レ合成株式会社製、CFフィルム)、CMPSはエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(東セロ化学株式会社製、CMPSフィルム)を表す。各欄の数字は各層の厚みを表す。
【0021】
【比較例】
図3に示すような構成の積層体を用意した。比較例1及び3〜9は各層を実施例1と同様のドライラミネーションによって積層し、比較例2の内外層アルミニウム箔と中間樹脂層は同様のドライラミネーションによって積層したが、熱封緘層は実施例2と同様にして積層した。図3中のPET、NY、OPP、CF、CMPSは実施例と同様のものを用い、アルミニウム箔はJIS 1N30の軟質箔を使用した。
【0022】
実施例及び比較例の積層体に深度約50μmの細かい型付けを施し、この積層体から150mm角の試片を切り出し、100mm長のクロスカット法によりカールの度合を評価した。判定は平面からの持ち上がり距離が5mm以内のものを合格とした。クロスカット法は、平滑なガラス面上に、両面粘着テープを内辺100mm×100mmの正方形となるように貼り付け、その上に試片を熱封緘層側が上面となるように貼り付け、対角線上にX字型となるようカッターナイフで切込みを入れ、ガラス面上から離反(浮上)した最大の高さ(距離)を真横から測長する方法である。
【0023】
【効果】
この発明によれば、以上のように、アルミニウム箔を2層とし内層側のアルミニウム箔を外層側よりも厚くすることによって、凹凸形成時に熱封緘層に残留する応力により生じる内側方向に反るカール傾向を打ち消すことができるため、平坦な蓋材が得られ、自動シール機等による蓋材の供給ミスやシール不良などが生じず、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の蓋材の一例を示す断面図
【図2】蓋材の実施例及び試験結果を示す図表
【図3】蓋材の比較例及び試験結果を示す図表
【符号の説明】
10 蓋材
11 外層アルミニウム箔
12 内層アルミニウム箔
13 中間樹脂層
14 熱封緘層

Claims (2)

  1. 厚み10〜30μmの外層アルミニウム箔とこれよりも厚みが大きくかつ厚み12〜60μmの内層アルミニウム箔を中間樹脂層を介して積層し、前記内層アルミニウム箔の外面に熱封緘層を設けた積層体に凹凸の型付けを施した熱封緘蓋材。
  2. 前記内層アルミニウム箔の厚さが外層アルミニウム箔の1.2〜2倍である請求項1に記載の熱封緘蓋材。
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