JP3982921B2 - 蓋材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
この発明は、主に食品、飲料品等の包装に用いる合成樹脂製容器等を封緘する材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年包装材料は、環境保護や省資源の立場から脱アルミニウム箔化が進んでおり、アルミニウム箔を使用しなかったり、使用してもごく薄い厚みで使用することが多くなってきている。また、食品、飲料品の出荷検査には、金属探知器を設置しているメーカーが増えてきており、金属箔を全く使用しない包装材料が要求されている。
【0003】
これらの現状に対し、最近では、合成樹脂フィルムのみの構成からなる包装材料や合成樹脂フィルムと紙の積層体からなる包装材料が市場に出回っている。
【0004】
【発明の課題】
しかしながら、金属箔を全く使用しない包装材料では、剛性(「こし」ともいう。)が弱く、容易にその積層体や蓋材はカールし、特に寒冷地での蓋材等の使用時にはカールが大きく、食品の自動充填機で障害が生じることが多く、その矯正には多くの労力や時間を割き、生産性を低下させていた。
【0005】
そこで、この発明の課題は、金属箔を用いることなくカールしない包装用材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、(A)厚み50〜150μm、剛度が縦20〜100cm 3 /100、横15〜80cm 3 /100である紙を主体とする層、(B)合成樹脂フィルム層、(C)厚み15〜50μmのシーラント層を積層した積層材から成る蓋材において、(A)、(B)および(C)の各層の厚みを、2.5≧(A)/(B+C)≧1となるようにしたのである。
【0007】
前記紙を主体とする層(A)の紙の厚みが、70〜130μm、剛度が縦0〜100cm3 /100、横5〜80cm3 /100であることが好ましい。
【0008】
前記紙を主体とする層が片面コート紙であることが好ましい
【0009】
【作用】
従来の合成樹脂のみから成り立つ積層材では、気温差(特に温帯地域から寒冷地域に蓋材等を移送し、使用する場合)によってシーラント層に収縮力が発生し、その結果シーラント層を内側とするカールが生じることが判明した。これはシーラント層が他の補強樹脂層や外層フィルムより熱膨張率が大きいためである。これを防止するためには、特定の剛性(こし)の強い紙(A)を使用し、合成樹脂層(B+C)との厚みを特定の比率とすることにより、カールを防止することができるのである。
【0010】
【実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、この発明の包装用積層材1は、紙2と合成樹脂フィルム層3及びシーラント層4より成る。
【0011】
前記紙2は、純白ロール紙、クラフト紙、上質紙、模造紙、洋紙、和紙、各種コート紙等が使用できるが、中でも片面コート紙の使用が最も好ましい。紙2のフィルム層3と反対の外側となる面には、各種印刷や1μm程度のオーバーコート層等が施してあってもよい。もちろんフィルム層3と接着させる側の面にも印刷等が施してあっても差し支えない。片面コート紙には、例えば「リュウオーコートA」(名古屋パルプ株式会社製)が使用できる。紙の厚みは50〜150μmが適当で、好ましくは70〜130μm程度である。また、紙の剛度は、縦20〜100cm3 /100、横15〜80cm3 /100が好ましく、さらに好ましくは縦40〜100cm3 /100、横25〜80cm3 /100程度である。紙の厚みが50μm未満、剛度(縦)20cm3 /100未満または剛度(横)15cm3 /100未満の場合には、紙のこしが弱くカールを防止する効果に乏しい。一方紙の厚みが150μmを超える場合、剛度(縦)100cm3 /100を超える場合または剛度(横)80cm3 /100を超える場合には、積層材1の柔軟性が乏しくなり、開封時にスリップ・スティック現象が発生し、易開封性を阻害する。また、紙の厚みが厚すぎると(150μmを超えると)ヒートシール時に熱伝導が悪くなり、シール時間が長くなったり、シール不良の原因となる恐れがあり好ましくない。
【0012】
前記合成樹脂フィルム層3は、合成樹脂フィルム単体又は複合体から形成され、延伸フィルム、未延伸フィルムのいずれであってもよい。樹脂の種類は、ポリスチレン(以下、PS)、ポリエチレン(以下、PE)、ポリプロピレン(以下、PP)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、ポリアミド(以下、NY)、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOH)等が使用できる。また、任意の位置にアルミニウム、シリカ、アルミナ等を蒸着させたフィルムを使用して、バリアー性を改善することもできる。
【0013】
前記シーラント層4は、容器等の被着体に密封可能な合成樹脂を選択できる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVA)を主成分とするものや、PPとPEをブレンドしたもの(以下、PPE)等が使用できる。シーラント層4と合成樹脂フィルム層3の密着性が悪い場合には、その間に接着剤およびPE樹脂等を介在させてその密着性(密着強度)を改善させることができるが、この場合のPEは、シーラント層4に含まれるものとする。
【0014】
上記積層材1において、紙2の厚みを(A)、層3の厚みを(B)、層4の厚みを(C)としたとき、各層の厚みの関係は、次式を満足することが必要である。
【0015】
Figure 0003982921
ここで、フィルム層3が複数の層から形成される場合は、(B)はそれらの合計厚みである。紙2の厚み(A)は、他の層3、4の厚みの合計(B)+(C)と同等以上にする必要がある。同等未満の場合では、カールを防止する効果が不十分となる。一方紙2の厚み(A)の上限は、好ましくは(B+C)の2.5倍以下が適当で、これを超えると積層材1の柔軟性が損なわれることや、不必要に紙の厚みが厚くなりコストアップやヒートシールに要する時間が長くなり好ましくない。
【0016】
積層材1の各層あるいは各フィルム・樹脂の積層、成膜法は特に限定されることはなく、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の一般的な接着剤を用いて、ドライラミネーションにより積層させる方法や、樹脂押し出し法により積層させる方法等が採用できる。また、必要に応じて各層間にアンカーコート層を介在させてもよい。
【0017】
以下に実施例及び比較例を挙げる。
【0018】
【実施例1】
厚み25μmのPETフィルムの片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み75μm、剛度(縦)36.6(横)26.4cm3 /100の片面コート紙の非コート側に貼り合わせた。この貼り合わせ材のPETフィルム面にアンカーコート処理を施した後、シーラント層としてPEとEVA樹脂を押し出しラミネーション法により形成した。なお、PEの成形後の膜厚は15μm、EVAは25μmであった。
【0019】
【実施例2】
厚み12μmのPETフィルムの片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み100μm、剛度(縦)76.4(横)29.2cm3 /100の片面コート紙の非コート側に貼り合わせた。この貼り合わせ材のPETフィルム面にアンカーコート処理を施した後、シーラント層としてPEとEVA樹脂を押し出しラミネーション法により形成した。なお、PEの成形後の膜厚は10μm、EVAは25μmであった。
【0020】
【実施例3】
厚み8μmの延伸PPフィルムの片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み50μm、剛度(縦)38.0(横)22.7cm3 /100の片面コート紙の非コート側に貼り合わせた。この貼り合わせ材のPPフィルム面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み30μmの変成ポリエチレン系フィルムを貼り合わせた。
【0021】
【実施例4】
厚み12μmの無延伸EVOHフィルムの片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み80μm、剛度(縦)79.0(横)57.8cm3 /100の片面コート紙の非コート面に貼り合わせた。この貼り合わせ材のEVOHフィルム面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み30μmの変成ポリエチレン系フィルムを貼り合わせた。
【0022】
【実施例5】
厚み15μmのNYフィルムの片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により厚み60μm、剛度(縦)42.5(横)25.3cm3 /100の片面コート紙を貼り合わせた。この貼り合わせ材のNYフィルム面にアンカーコート処理を施した後、シーラント層としてPEとEVA樹脂を押し出しラミネーション法により形成した。なお、PEの成形後の膜厚は20μm、EVAは20μmであった。
【0023】
【実施例6】
厚み25μmのNYフィルムの片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み120μm、剛度(縦)91.1(横)42.3cm3 /100の片面コート紙を貼り合わせた。この貼り合わせ材のNYフィルム面に、アンカーコート処理を施した後、シーラント層としてPEとEVA樹脂を押し出しラミネーション法により形成した。なお、PEの成形後の膜厚は15μm、EVAは20μmであった。
【0024】
【比較例1】
厚さ25μmのPETフィルムの片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み75μm、剛度(縦)36.6(横)26.4cm3 /100の片面コート紙の非コート側を貼り合わせた。この貼り合わせ材のPETフィルム面にアンカーコート処理を施した後、シーラント層として厚み40μmのEVAフィルムをPE押し出しラミネーション法により貼り合わせた。なお、PEは乾燥後膜厚15μmであった。
【0025】
【比較例2】
厚み12μmの延伸PPフィルム(12μm)の片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み50μm、剛度(縦)38.0(横)22.7cm3 /100の片面コート紙を貼り合わせた。この貼り合わせ材のPPフィルム面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み40μmの変成ポリエチレン系フィルムを貼り合わせた。
【0026】
【比較例3】
厚み50μmのPETフィルム(50μm)の片面にポリウレタン系接着剤を塗布後、ドライラミネーション法により、厚み100μm、剛度(縦)76.4(横)29.2cm3 /100の片面コート紙を貼り合わせた。この貼り合わせ材のPETフィルム面にアンカーコート処理を施した後、シーラント層として厚み40μmの変成ポリエチレン系フィルムをPE押し出しラミネーション法により貼り合わせた。なお、PEは成形後膜厚15μmであった。
【0027】
上記実施例及び比較例で用いた片面コート紙は、「リュウオーコートA」(名古屋パルプ株式会社製)または「コーモラント紙」(富士加工株式会社製)、PETフィルムは、「E5100」(東洋紡績株式会社製)、EVOHフィルムは、クラレ株式会社製、延伸PPフィルムは、「M−2」(東セロ株式会社製)、変成ポリエチレン系フィルムは、「VMX.」(三菱化学株式会社製)、NYフィルムは、「エンブレムON」(ユニチカ株式会社製)、EVA樹脂は、東ソー株式会社製、EVAフィルムは、東ソー株式会社製であった。
【0028】
実施例および比較例で作製した積層材から100mm角の試片を切り出し、5℃および10℃の雰囲気に24時間保存し、取り出し後すぐにカール度合を調べた。カール量は平滑なガラス面からの持ち上がり距離(最も離れた点のガラス面からの距離)で測定し、5℃および10℃での保存後両者とも9mm以下のものを良品(良)と判断し、10mm以上のものを不良(不)とした。結果を図2に示す。なお、紙の剛度については、JIS・P−8143(クラーク法)によるものである。
【0029】
【発明の効果】
この発明の積層材は、比較的低コストで製造でき、気温差によるカールが生じることなく安定した状態で使用することができる。また、従来使用されていたアルミニウム箔を使用しないので、容易に焼却処分することもできる。さらに、焼却処分しない場合であっても紙層と合成樹脂層を分離できるので、リサイクル性に優れる。そのほか、この発明の積層材は、片面が紙で形成されているため、その表面に必要最低限の凹凸を有し、重ねた時にブロッキングが生じることなくスムーズに分離供給することができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の積層材を示す断面図
【図2】実施例及び比較例の結果を示す図表
【符号の説明】
1 積層材
2 紙
3 合成樹脂フィルム層
4 シーラント層

Claims (3)

  1. (A)厚み50〜150μm、剛度が縦20〜100cm3 /100、横15〜80cm3 /100である紙を主体とする層、(B)合成樹脂フィルム層、(C)厚み15〜50μmのシーラント層を積層した積層材からなる蓋材において、(A)、(B)および(C)の各層の厚みが次の関係にある蓋材。
    2.5≧(A)/(B+C)≧1
  2. 紙を主体とする層(A)の紙の厚みが70〜130μm、剛度が縦40〜100cm3 /100、横25〜80cm3 /100である請求項1に記載の蓋材。
  3. 紙を主体とする層が片面コート紙である請求項1または請求項2に記載の蓋材。
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