JP3859838B2 - 竪型ミルの被砕物案内構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転テーブルと粉砕ローラの間に被砕物を噛み込んで粉砕する竪型ミルに関し、とくに、その被砕物の粉砕ローラへの案内構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
竪型ミルは、実開昭59−79241号公報(公報1)、特開昭63−62557号公報(公報2)及び特開平7−47296号公報(公報3)などに開示されており、この発明の一実施例を示す図1を参照して説明すると、ケーシング2内に回転テーブル3を回転自在に設け、その回転テーブル3に粉砕ローラ4を回転自在に圧接し、回転する回転テーブル3中央に被砕物aを供給して、その被砕物aを、回転テーブル3上をその外周に向かい渦巻状に移動させて回転テーブル3と粉砕ローラ4の間に噛み込ませて粉砕するものである。
【0003】
この竪型ミル1には、図1に示すように、粉砕物bを回転テーブル3の周囲から受け皿7上に落下させて排出口9から製品として取出すものと、上記各公報記載技術のごとく、回転テーブル3の周囲から空気を吹き上げて、粉砕物bを上昇させ、ケーシング2上部の分級機で分級したのち、製品として取出すものがある。
【0004】
そのいずれの製品取出し型式の竪型ミル1においても、回転テーブル3に供給された被砕物aを粉砕ローラ4に如何に適切量を円滑かつ確実に噛み込ませるかが問題となる。
【0005】
このため、従来から、その被砕物aの粉砕ローラ4への案内構造が開発されており、上記公報1には、図5に示すように、粉砕ローラ4の側方に案内板20を設け、この案内板20により被砕物aを所要厚さに掻き取って、均一厚の被砕物aを粉砕ローラ4に送り込むようにしている。また、公報2、3には、図6に示すように、粉砕ローラ4の噛み込み側に円弧状の案内板21を設け、この案内板21により回転テーブル3から落下しようとする被砕物aを受け止めて粉砕ローラ4に導くようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す従来技術は、被砕物aの層厚を調整するものゆえ、被砕物aを積極的に粉砕ローラ4に導く作用は行わず、図7(a)に示すように案内板20に至る被砕物a(同図点部分)の層厚が調整されるのみで、他の移動径路の被砕物aは層厚の調整及び案内を殆ど受けない。
【0007】
また、図5(b)に示すように、案内板20は、支杆22によって粉砕ローラ4の軸に支えられているため、粉砕ローラ4と一体に上下動する。このため、粉砕ローラ4への被砕物aの噛み込み量(粉体量)が変化して粉砕ローラ4が上下動すると、案内板20も上下動し、その掻き取り層厚も変化する。通常、噛み込み量が多くなれば、粉体層厚は薄くすべきであり、又、噛み込み量が少なくなれば粉体層厚は厚くすべきである。すなわち、この案内板20は噛み込み量に対して逆の動きとなり、好ましい作用をなさない。
【0008】
因みに、上述したように、被砕物aの粉体層に粉砕ローラ4で力を加えると、粉体層が大きい時は(被砕物aの層厚が増した時は)、粉砕ローラ4の押し下げ圧力が大きくなる。すなわち、粉体層が大きくなると、粉砕ローラ4が上昇し、シリンダ5内の油圧が上昇する。もちろん、シリンダ5はアキュムレータに接続されており、油圧の上昇を吸収するように設計されているものの、粉砕ローラ4の上昇が大きいと、油圧の上昇を吸収しきれないためである。このようなことにより、粉砕ローラ4の押圧力が大きくなると、回転テーブル3を駆動する駆動手段に大きな負荷がかかり、装置が停止する恐れが有り、さらに、部品寿命の低下や損傷の恐れも有る。また、粉体層が大きいと、被砕物a自身がクッションの役割を果たし、粉砕効率が低下する。反対に、粉体層が小さすぎると(被砕物aの層厚が下がると)、被砕物aに大きな押圧力が働き、過粉砕になりやすい。したがって、粉体層が大きい場合は、粉砕ローラ4に導く被砕物aの量を少なくし、反対に、粉体層が小さい場合は、粉砕ローラ4に導く被砕物aの量を多くする必要がある。
【0009】
図6に示す従来技術の案内板21は、被砕物aを粉砕ローラ4に導びく作用を行って、上下位置が調節可能であるが、粉砕ローラ4の粉体層の厚さに対応しての調節はなされない。すなわち、案内板21はケーシング2に支持されてその支持位置を上下に位置換えするものであって、その上下動は、回転テーブル3から落下する被砕物aの最大径を調節するものである。
【0010】
この発明は、上述の実情に鑑み、粉砕ローラへの被砕物の噛み込み量に応じてその送り込み量が調節され得るようにすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、上述の被砕物を粉砕ローラに導びく案内板を有する竪型ミルにおいて、その案内板の下縁を回転テーブルに近接し、かつ、案内板を粉砕ローラと一緒に上下動するようにしたのである。
【0012】
このようにすれば、粉砕ローラの被砕物噛み込み量が多くなって、粉砕層厚が増して粉砕ローラが上昇すると、案内板も上昇してその下縁と回転テーブルの間隙(近接度合)が広くなり、案内板下縁を通過させる被砕物量が増大する。このため、粉砕ローラに導かれる被砕物量は減少して、被砕物の層厚を下げる作用が行われる。噛み込み量が少なくなれば逆の作用がなされる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記案内板を粉砕ローラと一緒に上下動させる手段としては、粉砕ローラの昇降量を各種センサで検出し、その検出信号に基づき案内板を上下動(昇降)させる等の構成も採用し得るが、粉砕ローラの回転軸等に案内板を取付ける構成が最も簡便である。前者の場合は、粉砕ローラの昇降量と案内板の昇降量を異ならせて、粉砕ローラの任意の昇降量に最も適した案内板の昇降量を得ることができる利点がある。
【0014】
また、案内板は、被砕物の渦巻状の移動方向に沿って回転テーブルの半径方向に対し傾斜した構成とすることができる。このようにすると、図7(c)に示すように、回転テーブル3の中央に供給された被砕物aはその移動方向に沿う案内板10によって粉砕ローラ4に円滑に導びかれる。このとき、同図のごとく、案内板10は、その先端と各粉砕ローラ4の間sから被砕物aが抜け出ない長さにすることが好ましい。因みに、図6に示す案内板21は、粉砕ローラ4後側の円周上に沿った曲板で、被砕物aの移動方向に対して大きな角度を有するため、図7(b)に示すように、その案内板21に至る被砕物a(同図点部分)は案内板21の前面に留まり易く、留まれば、大きな塊りとなって一度に粉砕ローラ4に至ることとなる。
【0015】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図1〜4に基づいて説明する。図において、1は竪型ミルで、ケーシング2内に回転テーブル3と複数個の粉砕ローラ4が設けられており、該粉砕ローラ4は回動自在であるとともに加圧シリンダ5により回転テーブル3の方向に押し付けられるようになっている。6は、ケーシングの上方に設けられた被砕物aの供給管、7は、回転テーブル3の下方で、ケーシング2の内面に固着された受け皿、8は、回転テーブル2の下面に固着されたスクレーパ、9は粉砕された被砕物aの排出口である。
【0016】
10は案内部材(案内板)で、粉砕ローラ4のローラ回転軸11を収納しているトラニオン12に、ボルトなどにより固着されている。また、トラニオン12のアーム部13は、加圧シリンダ5により押圧されている。14はトラニオン軸で、粉砕ローラ4はこのトラニオン軸14を中心として回動自在である。また、前記案内部材10は、図3に示すように粉砕ローラ4の原料噛み込み側に設けられて、その下縁10aは図2に示すように回転テーブル3から所要間隔を維持している。この間隔は粉砕効率を考慮して適宜に設定する。また、その下縁10aは、回転テーブル3の粉砕溝部3aの手前から内側に延びており、案内部材10は被砕物aをその溝部3aに導いて粉砕する。図示しないが、溝部3aは回転テーブル3の全周に亘って形成されている。
【0017】
回転テーブル3の外周とそれに対向するケーシング2内面には突起15、16が周方向全長に亘って設けられており、突起15は、相手側の上下の突起16、16間に入り込むように配設されている。
【0018】
次に、この実施例の作用を説明する。供給管6から竪型ミル1の回転テーブルの上に供給された被砕物aは、回転テーブル3の回転により、渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル3の外周部へ向かって移動する。その途中で、被砕物aは、案内部材10に導かれて、粉砕ローラ4と回転テーブル3との間に噛み込まれて粉砕物bに粉砕される。すなわち、被砕物aは回転テーブル3と粉砕ローラ4による圧縮剪断作用により粉砕物(砕砂)bに細かく粉砕されるとともに、粉砕物bは前記剪断作用により角が取られ粒径が一層改善される。
【0019】
粉砕された粉砕物bは、回転テーブル3から受け皿7へ落下し、回転テーブル3とともに回転するスクレーパ8により排出口9より排出される。
【0020】
この際、粉砕ローラ4と回転テーブル3との間隔が広い、すなわち、粉砕層が大きいとき、トラニオン軸14を中心として回動自在の粉砕ローラ4は比較的高い位置にあり、トラニオン12に固着されている案内部材10の下縁10aの位置も比較的高い位置となる。反対に、粉砕層が小さいときは、案内部材10の下縁10aの位置は比較的低い位置となる。
【0021】
このため、粉砕層が大きく、竪型ミル1が過負荷になりやすい時は、案内部材10の下縁10aと回転テーブル3との隙間が大きくなり、被砕物aは、案内部材10の下縁10aをくぐり抜けて回転テーブル3から落下しやすくなる。また、粉砕層が小さい時は、前記隙間が小さくなり、被砕物aは、案内部材10により粉砕ローラ4の方に導かれやすくなる。この作用により、粉砕ローラ4には適切量の被砕物aが送り込まれて、円滑な粉砕作用がなされる。
【0022】
なお、上記の回転テーブル3と案内部材10の隙間が大きくなると、被砕物aが未粉砕のまま、回転テーブル3から落下しやすくなるが、必要により、例えば、図4に示すように、竪型ミル1より排出された後に、振動篩30などにより分級し、その篩上物を竪型ミル1に返送するようにしてもよい。図中、31は湿式分級機、32は返送コンベヤである。
【0023】
また、被砕物aの水分が多いと、粉砕ローラ4の圧接作用により、平板状の凝集物が生じる場合があるが、その凝集物は粉砕物bとともに、回転テーブル3とケーシング2との間隙から、受け皿7に落下するとき、回転している突起15とケーシング2に固定の突起16とで挟まれて衝撃剪断破砕される。
【0024】
【発明の効果】
この発明よれば、案内板を粉砕ローラと一体に上下動させることにより、簡易な構造で、粉体層が小さい時は、積極的に被砕物を粉砕ローラに導き、粉体層が大きい時は被砕物をあまり粉砕ローラに導かないようにし、駆動手段の過負荷などや、被砕物の過粉砕を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の概略切断正面図
【図2】図1の要部拡大図
【図3】同実施例の概略切断平面図
【図4】粉砕フロー図
【図5】従来例を示し、(a)は概略切断平面図、(b)は要部拡大切断正面図
【図6】従来例を示し、(a)は概略切断平面図、(b)は要部拡大切断正面図
【図7】粉砕作用図
【符号の説明】
1 竪型ミル
2 ケーシング
3 回転テーブル
4 粉砕ローラ
5 加圧シリンダ
6 供給管
7 受け皿
8 スクレーパ
9 排出口
10 案内部材(案内板)
11 ローラ回転軸
a 被砕物
b 粉砕物
Claims (2)
- 回転テーブル(3)に粉砕ローラ(4)を回転自在に圧接し、その回転する回転テーブル(3)中央に被砕物(a)を供給して、その被砕物(a)を、回転テーブル(3)上をその外周に向かい渦巻状に移動させて回転テーブル(3)と粉砕ローラ(4)の間に噛み込ませて粉砕する堅型ミル(1)において、
上記回転テーブル(3)の被砕物(a)噛み込み側に、その被砕物(a)を粉砕ローラ(4)に導びくとともに、くぐり抜けた被砕物(a)を未粉砕のまま前記回転テーブル(3)から落下させる案内板(10)をその下縁(10a)を回転テーブル(3)に近接して設け、かつ、この案内板(10)は粉砕ローラ(4)と一緒に上下動するようになっていることを特徴とする堅型ミルの被砕物案内構造。 - 上記案内板(10)は、上記破砕物(a)の渦巻状移動方向に沿って回転テーブル(3)の半径方向に対し傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の堅型ミルの被砕物案内構造。
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JP25678597A JP3859838B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | 竪型ミルの被砕物案内構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP25678597A JP3859838B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | 竪型ミルの被砕物案内構造 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1190254A JPH1190254A (ja) | 1999-04-06 |
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1997
- 1997-09-22 JP JP25678597A patent/JP3859838B2/ja not_active Expired - Fee Related
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