JP3859585B2 - 二環系共役ジエン共重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状共役ジエン共重合体に関し、詳細には、二環系共役ジエン共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
環状炭化水素骨格を有するオレフィン類は、その剛直な構造から、熱的および機械的強度の優れた重合体の原料として、また光学的特性や電気的特性の優れた機能材料の原料として近年注目を集めている。特に、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどの環状非共役ジオレフィンは、反応性の異なる2種類の不飽和結合を持つことから、一方の不飽和結合において重合させ、他方の不飽和結合において機能性を付与することができる。例えば、エチリデンノルボルネンは、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)の第3成分として工業的に多く使用されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)が、ノルボルネン環の不飽和結合は共重合時に反応し、エチリデン基の不飽和結合はゴムを加硫する際に反応すると考えられる。しかしながら、2種類の不飽和結合の反応性の差を利用する場合、必ずしもその差が十分でないため重合時に両方の不飽和結合が反応し、三次元架橋によりゲル化する恐れがある。
【0003】
一方、共役ジエン化合物は、重合して得られる重合体中に、必ず不飽和結合が残るという特徴がある。残った不飽和結合は、架橋や加硫などの2次的な反応に利用したり、水素化、エポキシ化、ハロゲン化、アリール化、水和、カルボニル化などの化学的な変換を行って機能性を付与することができる。
共役ジエン化合物のうち環状炭化水素骨格を有する化合物、すなわち環状共役ジエン類は、非常に有用な化合物として期待されるが、このような環状共役ジエン類の例は少なく、1,3−シクロヘキサジエンが挙げられる程度である(非特許文献3、非特許文献4参照)。しかも、1,3−シクロヘキサジエン自体の工業的製造は困難を伴う。例えば、シクロヘキセンの脱水素法(例えば、特許文献1参照)は転換率および選択性が悪く、副生成物の分離が困難である。さらに重合を阻害する1,4−シクロヘキサジエンも副生されるという致命的欠陥を抱える。塩化シクロヘキセンを経由する製造法(例えば、特許文献2参照)があるが、製造段階が数段階を経るうえに収率が低いなど、工業的には理想的とは言いがたい。
以上のことから、重合性が高くかつ製造が簡便な環状共役ジエン類を原料とし、他の不飽和化合物との共重合により得られる共重合体は、その工業的な有用性の点から強く望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−196737号公報
【特許文献2】
特開平11−189614号公報
【非特許文献1】
新版 ゴム技術の基礎、(社)日本ゴム協会発行、2002年、p.120〜122
【非特許文献2】
ゴム工業便覧<新版>、(社)日本ゴム協会発行、1994年、p.130〜139
【非特許文献3】
マクロモレキュラー ケミストリー アンド フィジックス(Macromolecular Chemistry and Physics)、米国、2001年、202、p.409〜412
【非特許文献4】
ジャーナル オブ ポリマー サイエンス:パートB:ポリマー フィジックス(Journal of Polymer Science: Part B: Polymer Physics)、米国、1998年、Vol.36、p.1657〜1668
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造が簡便で重合活性の高い環状共役ジエン単量体と不飽和化合物との共重合により得られる環状ジエン共重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意工夫を重ねた結果、二環系非共役ジエンの異性化によって簡便に得られる二環系共役ジエン単量体を、他の不飽和化合物と共重合させることにより、従来報告されたことのない構造を有する二環系共役ジエン共重合体を与えることを発見し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1]下記の一般式(I)で表わされる化合物のうち少なくとも1種類を含む二環系共役ジエン単量体を含有するモノマーと、該モノマー以外の少なくとも1種類以上の不飽和化合物とを共重合して得られる、二環系共役ジエン共重合体、
【0008】
【化2】
(但し、一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であっても異なってもよく、水素、ハロゲンまたは炭素数1から20のアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基である。nおよびmは、0から10の整数である。X1、X2、Y1およびY2は同一であっても異なってもよく、水素、ハロゲンまたは炭素数1から20のアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基である。また、mまたはnが2以上の場合、m個のX1は互いに同一でも異なってもよく、m個のX2、n個のY1およびY2もそれぞれ互いに同一でも異なってもよい。)
[2]二環系共役ジエン単量体が、一般式(I)において、R1=R2=R3=R4=R5=R6=H、n=2、m=1、X1=X2=Y1=Y2=Hで表されるビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンを含む、上記[1]記載の二環系共役ジエン共重合体、
[3]二環系共役ジエン単量体が、一般式(I)において、R1=R2=R3=R4=R5=R6=H、n=2、m=1、X1=X2=Y1=Y2=Hで表されるビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンおよびR1=R2=R3=R4=R5=R6=H、n=1、m=2、X1=X2=Y1=Y2=Hで表されるビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエンを含む、上記[1]記載の二環系共役ジエン共重合体、
[4]二環系共役ジエン単量体が、ビシクロ[4.3.0]−3,7−ノナジエンの異性化反応生成物の一部または全部である、上記[2]または[3]に記載の二環系共役ジエン共重合体、
[5]不飽和化合物が、炭素数2〜10のオレフィンおよびジオレフィンの中から選ばれる1種類以上である、上記[1]から[4]のいずれかに記載の二環系共役ジエン共重合体、
[6]不飽和化合物が、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、クロロプレン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、スチレンの中から選ばれる1種類以上である、上記[1]から[5]のいずれかに記載の二環系共役ジエン共重合体、
[7]上記[1]から[6]のいずれかに記載の二環系共役ジエン共重合体を化学変換させることによって得られる修飾二環系共役ジエン共重合体、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の二環系共役ジエン共重合体について詳細に説明する。本発明における二環系共役ジエン共重合体は、一般式(I)の二環系共役ジエン単量体および他の不飽和化合物を構成単位とする。
【0010】
本発明における二環系共役ジエン単量体である一般式(I)で表わされる化合物、すなわちビシクロ[2+n.2+m.0]骨格を有する共役ジエンとしては、ビシクロ[4.4.0]−1,9−デカジエン、ビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエン、ビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエンおよびビシクロ[3.3.0]−1,7−オクタジエン、ビシクロ[4.3.0]−X−メチル−2,9−ノナジエン(Xは2から9の任意の整数)、ビシクロ[4.3.0]−X−メチル−1,3−ノナジエン(Xは2から9の任意の整数)などがあげられる。好ましくはビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエン、ビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエン、ビシクロ[4.3.0]−3−メチル−2,9−ノナジエン、およびビシクロ[4.3.0]−3−メチル−1,3−ノナジエン、さらに好ましくはビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンである。これらは単独もしくは二種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、ビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンは、工業的に大量生産されているビシクロ[4.3.0]−3,7−ノナジエンをジクロロチタノセン/リチウムアルミニウムハイドライド触媒で異性化反応させることにより簡便に得られる(テトラヘドロンレターズ1980,vol.21,637−640)。同様に、ビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエンはビシクロ[4.3.0]−3,7−ノナジエンの異性化反応で得られ、ビシクロ[4.3.0]−X−メチル−2,9−ノナジエンおよびビシクロ[4.3.0]−X−メチル−1,3−ノナジエンはビシクロ[4.3.0]−X−メチル−3,7−ノナジエン(Xは2から9の任意の整数)および/またはビシクロ[4.3.0]−X−メチル−3,8−ノナジエン(Xは2から9の任意の整数)の異性化反応で得られる。ビシクロ[4.3.0]−3,7−ノナジエンの異性化反応生成物には、ビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンやビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエン等が含まれるが、反応生成物の一部または全部(ひとつあるいは複数の化合物)を本発明におけるモノマーとして使用することができる。また、ビシクロ[4.3.0]−3−メチル−3,7−ノナジエンおよび/またはビシクロ[4.3.0]−3−メチル−3,8−ノナジエンの異性化反応生成物には、ビシクロ[4.3.0]−3−メチル−2,9−ノナジエンやビシクロ[4.3.0]−3−メチル−1,3−ノナジエン等が含まれるが、反応生成物の一部または全部(ひとつあるいは複数の化合物)を本発明におけるモノマーとして使用することができる。
【0011】
本発明において用いる不飽和化合物は、特に限定されないが、好ましくは炭素数2〜10のオレフィンおよびジオレフィンの中から、ひとつないし複数を選ぶことができる。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘキセンなどの直鎖または分岐した鎖状オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、テトラシクロドデセン、ノルボルネンまたはその誘導体などの環状オレフィン、スチレン、ビニルトルエン、インデン、ジビニルベンゼンなどの芳香族オレフィン、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロオクタジエン、リモネンなどの脂環式ジオレフィン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、クロロプレン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどの共役ジエン、アクリロニトリル、アクリル酸またはそのエステル化合物、メタアクリル酸またはそのエステル化合物、無水マレイン酸、アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニルなどのヘテロオレフィンなどが挙げられる。特に好ましくは、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、クロロプレン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、スチレンから選ぶことが出来る。
【0012】
本発明における二環系共役ジエン共重合体の重合方法は特に限定がなく、ブタジエンなどの鎖状共役ジエン単量体と同様に、カチオン重合、アニオン重合、ラジカル重合、配位重合等によって重合できる。これらの重合に用いる触媒もしくは反応開始剤は、ブタジエンなどの鎖状共役ジエン単量体の重合における、触媒もしくは反応開始剤を利用できる。
【0013】
カチオン重合で用いる触媒には特に限定はなく、例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化ストロンチウム、塩化スカンジウム、四塩化チタン、トリフルオロボレート、トリフルオロボレートエーテル錯体、トリフルオロボレートメタノール錯体、トリフルオロボレートフェノール錯体、トリスペンタフルオロボレート等のルイス酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、塩酸、硝酸等のプロトン酸、塩化アルキルアルミニウム、活性白土等を用いることができる。
【0014】
アニオン重合で用いる触媒には特に制限はなく、例えば、ノルマルブチルリチウム、セカンダリーブチルリチウム、ターシャリーブチルリチウム等のアルキルリチウム、アルキルリチウム/テトラメチルエチレンジアミン混合系、ナトリウムメトキシド等のアルキルナトリウム、クミルカリウム等のアルキルカリウム、ナトリウムナフタレン、ジスチリルジアニオン、金属カリウム、金属ナトリウム、金属リチウム等を用いることができる。
【0015】
ラジカル重合で用いる開始剤には特に制限ななく、例えば、過酸化ジターシャリーブチルなどの過酸化ジアルキル、過酸化ベンゾイルなどの過酸化ジアシル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド化合物、過酸化水素/鉄塩系、過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリン系、四価セリウム塩/アルコール系などのレドックス開始剤等を用いることができる。これらラジカル開始剤を、必要に応じ、加熱もしくは光照射をすることで、ラジカルを発生させる。
【0016】
配位重合で用いる触媒には特に制限はなく、例えば、テトラクロロチタニウム/トリイソブチルアルミニウム、テトラクロロチタニウム/トリエチルアルミニウム、ジクロロコバルト/クロロジエチルアルミニウム、トリクロロバナジウム/トリエチルアルミニウム、テトラクロロバナジウム/トリエチルアルミニウム、トリスアセチルアセトナートバナジウム/トリエチルアルミニウム等をもちいることができる。
【0017】
これらの重合に用いる溶媒に特に制限はなく、通常の溶媒を用いることができる。例えば、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、アセトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン等の極性溶媒が挙げられる。これらは単独もしくは二種類以上を組み合わせて用いることもできる。なお溶媒なしで重合を行ってもよい。
【0018】
また、不均化ロジン酸のカリウム塩またはナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物やそのカリウム塩またはナトリウム塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの界面活性剤を用いて、水中にて乳化状態で重合を行ってもよい。
【0019】
重合温度は、−150℃から150℃の間で行うことが望ましい。好ましくは−100℃から100℃、さらに好ましくは−60℃から60℃である。重合温度は重合形式によって異なる。重合時間は特に制限されない。
【0020】
かようにして得た重合体を含む反応生成物は、定法により精製処理することができる。例えば再沈殿する場合、適当な富溶媒、例えばトルエン、テトラヒドロフランなどに溶解させ、適当な貧溶媒、例えばメタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、水などに注ぐことによって、重合体を沈殿させることができる。この沈殿を、ろ過によって溶媒と分離した後、減圧加熱乾燥することにより、重合体を得ることができる。
得られた重合体中に残存する二重結合を、水素化、エポキシ化、アリール化、加硫等の化学変換により変性させて修飾二環系共役ジエン共重合体とすることもできる。
【0021】
本発明における二環系共役ジエン共重合体の構造は特に限定されない。本発明における二環系共役ジエン共重合体は、直鎖状、分岐状、環状のいずれかの構造をとりうる。また、ブロック重合、ランダム重合、交互重合のいずれかの重合形式をとり、それらは混在しうる。
一般式(I)の二環系共役ジエン単量体の結合形式は、ブタジエンの重合における結合形式、すなわち1,4結合もしくは1,2結合と同様な結合形式のいずれかもしくは両方をとりうる。なお、1,4結合と同様な結合形式の場合は、二環系共役ジエン単量体の構造に依存して、トランス構造あるいはシス構造をとる。また、結合形式の如何にかかわらず、重合後の二環系共役ジエン単量体の環骨格は、3置換の不飽和結合を有し、平面的構造をとることを特徴とする。そのため、三次元架橋が起こりにくく、共重合するオレフィンの分子鎖の絡み合いも起こりにくく、ゲル化が抑制される。
一般式(I)の二環系共役ジエン単量体どうしが結合する場合、(n+4)員環と(m+4)員環との結合、(m+4)員環と(m+4)員環との結合、(n+4)員環と(n+4)員環との結合をとりうる。
【0022】
【実施例】
以下に、製造例および実施例を記すことにより本発明を具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実験に用いた測定機器は次のとおりである。1HNMRおよび13CNMRは、日本電子(株)製lambda400で測定した。1HNMRは400MHz、13CNMRは100MHzである。有機化合物の純度は島津製作所(株)製ガスクロマトグラフィーGC−17Aで測定した。カラムは島津製作所(株)製TC−1を使用し、測定条件は60℃から90℃まで、昇温速度は1℃/分とした。赤外線吸収スペクトル(IR)は、(株)堀場製作所製FT−730で測定した。ビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンとビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエンの組成比は、ヒューレット・パッカード社製ガスクロマトグラフィーHP6850Aで測定した。カラムはヒューレット・パッカード社製HP−INNOWaxを使用し、測定条件は35℃で5分間保持した後、5℃/分で135℃まで昇温し、さらに10℃/分で250℃まで昇温した。
【0023】
(単量体の製造例)
二環系共役ジエン単量体であるビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンおよびビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエンをテトラヘドロンレターズ1980,Vol.21,63,7−640を参考にして次のように合成した。窒素で置換したフラスコ内にビシクロ[4.3.0]−3,7−ノナジエン97.4g(0.81mol)、ジクロロチタノセン825mg(3.3mmol)、リチウムアルミニウムハイドライド500mg(13.2mmol)をフラスコ内に仕込んだ。攪拌しながら、温度を徐々に上げ、内温160℃とした。紫色のサスペンジョンに変化した後、ビシクロ[4.3.0]−3,7−ノナジエン200mL=177.1g(1.47mol)をさらに滴下し、内温160℃で6時間攪拌した。これと同様の実験を3回繰り返し、反応液850mLを得た。これに日本石油化学(株)製ジアリールアルカンSAS296を200mL加え、665Pa(5mmHg)42〜47℃(top)でフラッシュ蒸留し、薄黄透明な液体700mLを得た。これにSAS296を400mL加え、精密蒸留を行い(カラム長さ=70cm、カラム充填物=helipackNo3を430mL、圧力=532Pa(4mmHg)、オイルバス温度75〜80℃、還流比=20/1)、無色透明な液体300gを得た。この液体のガスクロマトグラフィーによる純度は99%以上であり、1HNMRより、ビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエン/ビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエンの87/13の混合物(以下、共役テトラヒドロインデンと称する。)であった。図1に1HNMRチャートを、図2に13CNMRチャートを示す。
【0024】
以下、実施例1と2は二環系共役ジエン共重合体の合成例である。
(実施例1)
200mLオートクレーブに、水95mL、エチレンジアミンテトラ酢酸4ナトリウムの水和物0.016g、炭酸ナトリウム0.05g、t−ドデシルメルカプタン0.2g、硫酸第1鉄の7水和物0.0025g、ロンガリット(Rongalit)0.025g、デモールN(花王製)0.25g、1−オクタンスルホン酸ナトリウム1.0g、製造例で得られた共役テトラヒドロインデン5.0g、アクリロニトリル19mLを仕込み、よくN2置換した。続いて1,3−ブタジエン45mLを導入した。5℃に冷却してから、p−メンタンヒドロパーオキシド0.06g/アクリロニトリル1mLの溶液を導入し、さらに洗いのアクリロニトリル1mLを導入した。7時間反応後、10%ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液1.7gを加えた。反応液を25%塩化ナトリウム水溶液で塩析し、析出物を濾過後、加熱下で真空乾燥し、やや黄色いゴム状物質を得た。図3に1HNMRチャート、図5にIRチャートを示す。1HNMRの1.2ppm、1.8ppmに共役テトラヒドロインデン由来のブロードなピークを確認した。IRの1700cm-1近傍に共役テトラヒドロインデン由来のピークを確認した。
【0025】
(実施例2)
乾燥した還流管付きの三口のナスフラスコにN2雰囲気下、シリンジを用いて、ヘプタン10mL、約15%トリイソブチルアルミニウムヘキサン溶液(0.0025mol)、1.0Mチタニウム(IV)クロライドトルエン溶液(0.0025mol)の順でフラスコ内に投入した(黒色懸濁溶液となった)。その後、製造例で得られた共役テトラヒドロインデン(2.6mL)/イソプレン(8mL)/ヘキサン(40mL)溶液を添加し、35℃オイルバス浴にて5時間攪拌した。反応終了後、トルエンを加えて析出物を溶解させた後、塩酸水溶液で分液処理を行った。有機層をメタノールにて再沈殿を行い、真空乾燥して薄黄色の粘稠な固体を得た。図5にIRチャートを示す。1400cm-1,1660cm-1にイソプレン由来のピーク、および1700cm-1,3400cm-1に共役テトラヒドロインデン由来のピークを確認した。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明の環状ジエン共重合体は、製造が簡便で重合活性の高い二環系共役ジエン単量体から製造され、ゲル化が抑制され均一で溶解性に優れ、種々の機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製造例1において得られた単量体混合物の1HNMR(400MHz)チャートである。
【図2】 製造例1において得られた単量体混合物の13CNMR(100MHz)チャートである。
【図3】 実施例1において得られた共重合体の1HNMR(400MHz)チャートである。
【図4】 実施例1において得られた共重合体のIRチャートである。
【図5】 実施例2において得られた共重合体のIRチャートである。
Claims (7)
- 下記の一般式(I)で表わされる化合物のうち少なくとも1種類を含む二環系共役ジエン単量体を含有するモノマーと、該モノマー以外の少なくとも1種類以上の不飽和化合物とを共重合して得られる、二環系共役ジエン共重合体。
- 二環系共役ジエン単量体が、一般式(I)において、R1=R2=R3=R4=R5=R6=H、n=2、m=1、X1=X2=Y1=Y2=Hで表されるビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンを含む、請求項1記載の二環系共役ジエン共重合体。
- 二環系共役ジエン単量体が、一般式(I)において、R1=R2=R3=R4=R5=R6=H、n=2、m=1、X1=X2=Y1=Y2=Hで表されるビシクロ[4.3.0]−2,9−ノナジエンおよびR1=R2=R3=R4=R5=R6=H、n=1、m=2、X1=X2=Y1=Y2=Hで表されるビシクロ[4.3.0]−1,8−ノナジエンを含む、請求項1記載の二環系共役ジエン共重合体。
- 二環系共役ジエン単量体が、ビシクロ[4.3.0]−3,7−ノナジエンの異性化反応生成物の一部または全部である、請求項2または3に記載の二環系共役ジエン共重合体。
- 不飽和化合物が、炭素数2〜10のオレフィンおよびジオレフィンの中から選ばれる1種類以上である、請求項1から4のいずれかに記載の二環系共役ジエン共重合体。
- 不飽和化合物が、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、クロロプレン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、スチレンの中から選ばれる1種類以上である、請求項5に記載の二環系共役ジエン共重合体。
- 請求項1から6のいずれかに記載の二環系共役ジエン共重合体を化学変換させることによって得られる修飾二環系共役ジエン共重合体。
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