JP3858826B2 - 磁気テープ式装置 - Google Patents

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    • G11B5/48Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed
    • G11B5/52Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with simultaneous movement of head and record carrier, e.g. rotation of head

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ式装置に関する。さらに詳しくは、磁気テープをドラムやガイドに摺動させながら情報を記録及び/又は再生する磁気テープ式装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオテープレコーダ(VTR)の如き磁気テープ式装置においては、磁気ヘッドを備えるドラムや磁気テープを案内するガイドに磁気テープが摺接された状態で所要の情報が記録及び/又は再生される。
【0003】
図12は、磁気テープ式装置の一例とされる回転ヘッド型記録再生装置における磁気テープの駆動機構を示す構成図である。磁気テープ51は、固定ガイド45,46,回転ガイド47,48,49,50及び回転ドラム41及び固定ドラム43からなるドラム部40のそれぞれの周面に摺接され、回転ドラム41が備える磁気ヘッド42が磁気テープ51に形成された記録層に対して情報の記録や再生を行う。
【0004】
回転ドラム41は、固定ドラム43に回転自在に軸支されてドラム部40を形成する。磁気テープ51は磁気ヘッド42が磁気テープ51の所定のトラックをなぞることができるように設計されている。また、磁気テープ51は、磁気テープの下エッジ51bが固定ドラム43に形成されたリード44に沿うように走行し、走行時の位置ずれが規制される。回転ガイド47,48,49,50は両端にフランジが形成された略円柱形状を有し、磁気テープ51が所定の位置からずれないように磁気テープ51の上エッジ51a及び下エッジ51bが上下方向に位置ずれすることを規制する。
【0005】
また、図13は、磁気テープ式装置の一例とされる固定ヘッド型記録再生装置における磁気テープの駆動機構を示す図である。磁気テープ68は、図12に示した磁気テープ51の走行時における位置ずれの規制と同様に、磁気テープ68の上エッジ68a及び下エッジ68bが回転ガイド62,63,64,65に形成されたフランジによって規制され、磁気テープ68の所定のトラックを磁気ヘッド61がなぞるように磁気テープ68の上下方向の位置ずれを規制する。磁気ヘッドを支持する固定ドラム60の前後に配設される回転ガイド62,63,64,65は、磁気テープ68の上エッジ68a及び下エッジ68bがそれぞれフランジに沿うように高さ方向の位置が規制される。
【0006】
また、回転ガイド47,48,62,63は磁気テープ51,68の上エッジ51a,68aの位置ずれをそれぞれ規制し、回転ガイド49,50,64,65は下エッジ51b,68bの位置ずれをそれぞれ規制する。例えば、回転ヘッド型記録再生装置においては、回転ガイド47,48,49,50は、磁気テープ51の図中矢印で示す走行方向に対して若干傾くようにそれぞれ設計されて配置されている。図14(a)に示すように、磁気テープ51は、回転ガイド47との摺接面に静摩擦力を受けて螺旋状に押し上げられる力を回転ガイド47の周面から受ける。しかしながら、磁気テープ51の上エッジ51aは回転ガイド47の上フランジ47aによって高さ方向の位置ずれが規制される。さらに、図14(b)に示すように、下エッジ51bの高さ方向の位置を規制する回転ガイド49は、磁気テープ51の図中矢印で示す走行方向に対して回転ガイド47が傾く方向と逆の方向へ傾いた状態で配置されている。磁気テープ51は、回転ガイド49との摺接面に静摩擦力を受けて螺旋状に押し下げられる力を回転ガイド49の周面から受ける。しかしながら、磁気テープ51の下エッジ51bは回転ガイド49の下フランジ49bによって高さ方向の位置が規制される。このような磁気テープの上下方向の位置ずれに対する規制は、図13に示す駆動機構を有する固定ヘッド型記録再生装置においても同様とされ、磁気テープ68の上下方向の位置ずれが回転ガイド62,63,64,65によって規制される。
【0007】
図12乃至図14を参照しながら説明したように、従来の回転ヘッド型記録再生装置及び固定ヘッド型記録再生装置において磁気テープの高さ方向の位置が規制される際には、図14に示すように磁気テープ51の上エッジ51aまたは下エッジ51bは、各回転ガイド47,48,49,50に配設された上フランジまたは下フランジに押し付けられて反力を受け、上エッジ51aまたは下エッジ51bが圧縮される。そして、この押し付け反力が回転ガイド周面と磁気テープ摺接面との間の静摩擦力を越えた時に磁気テープ51が下方、あるいは上方に押し戻されて上エッジ51aまたは下エッジ51bに加わる圧縮力(押し付け反力)が開放される。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−297892号公報
【特許文献2】
特開昭60−254445号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図12及び図13に示す回転ヘッド型記録再生装置及び固定ヘッド型録再生装置のそれぞれの駆動機構に用いられる固定ドラム43、回転ガイド47〜50、回転ガイド62〜65、固定ガイド45,46、固定ガイド66,67の周面は一般に研削加工、或いは旋盤による切削加工によって加工される。図15は、固定ドラム43の周面の断面形状を模式的に示した図であり、磁気テープは紙面に対して垂直方向に走行し、固定ドラム43の周面に摺接される。山部53は略円柱形状を有する固定ドラム43の周方向に沿ってそれぞれ延在するように形成されて、磁気テープと接する。また、回転ガイド47〜50、回転ガイド62〜65、固定ガイド45,46、固定ガイド66,67の周面にも固定ドラム43と同様の形状を有する山部が形成される。
【0010】
しかしながら、図15に示すように、一般には略円柱形状とされる固定ドラム43の周方向に沿って延在するように山部53が形成され、山部53のピッチa3と裾野幅a3'が略等しい寸法とされる。したがって、磁気テープ51の上エッジ51aまたは下エッジ51bがリード44、上フランジ47a及び下フランジ49bから受ける圧縮力が固定ドラム43、回転ガイド47,49の周面からうける静摩擦力を越えることにより、磁気テープ51が滑り始める前に磁気テープ51の上エッジ51aまたは下エッジ51bの座屈強度を越えてしまう場合には上エッジ51aまたは下エッジ51bが座屈を起こしてエッジダメージが発生してしまうことがある。磁気テープ51はエッジダメージを受けることによりテープ幅が減少し、磁気テープ51の下エッジ51bがリード44から浮いてしまい、正確且つ安定なトラッキングが困難となる。また、ダメージを受けた上エッジ51aまたは下エッジ51bが盛り上がることによって磁気テープ51と固定ドラム43との密着性が低下することで磁気ヘッド3と磁気テープ51との間に過剰な隙間が生じる。このような隙間は、磁気テープ51に記録、再生される信号に対する出力減衰を生じさせる。
【0011】
また、上エッジ51aまたは下エッジ51bが座屈まで至らない状態でも、上エッジ51aまたは下エッジ51bが上フランジ47a及び下フランジ49bに押しつけられることにより上エッジ51aまたは下エッジ51bにダメージが生じる。このような原因で生じるダメージによって、磁気テープ51を構成する部材から粉落ちが発生して信号が局所的に欠落するドロップアウトの如き不具合が発生する。さらに、磁気テープ51が摩耗することによって摩耗粉が発生し、これら摩耗粉が磁気ヘッド42に付着して磁気ヘッド42と磁気テープ51との間に過剰な隙間が生じることにより信号が減衰するヘッドクロッグの如き不具合が生じる場合もある。
【0012】
さらに、磁気テープ51の上エッジ51aまたは下エッジ51bがダメージを受けない場合でも、上エッジ51aまたは下エッジ51bが上フランジ47a及び下フランジ49bに過度の力で押し付けられて圧縮される際には、上エッジ51aまたは下エッジ51bの位置規制の精度が低下する。このような位置規制の精度の低下によれば、回転ドラム41や固定ドラム43が磁気テープ51を正確にトラッキングすることが困難となる。さらに、磁気テープ51を案内する回転ガイド47〜50の傾きを精度良く設計・調整しても、エッジの位置規制の精度を十分に高めることは困難となる。よって、固定ドラム43、回転ガイド47〜50による静摩擦力を低減し、圧縮力が座屈強度を越える前に磁気テープ51に対する圧縮力を開放することが重要となる。また、同様の理由により、固定ガイド45,46による静摩擦力を低減することも重要となる。
【0013】
なお、静摩擦力F1は、静摩擦係数μs、及び磁気テープと摺接部との接触荷重Wを用いて式(1)で表すことができ、静摩擦係数μsを小さくすることによって静摩擦力F1を低減することができる。
【0014】
【数1】
1=μs・W ……(1)
【0015】
一方、図12に示す固定ガイド45,46及び回転ドラム41においては、
磁気テープ51に対する静摩擦係数が大きくなると回転ガイド47〜50や回転ドラム41との静摩擦力に逆らって磁気テープ51を回転ドラム41の送り出し側に向かって引っ張るテンションが大きくなる場合がある。このようなテンションによれば、磁気テープ51が固定ドラム43や固定ガイド45,46の周面に貼り付いてしまい、磁気テープ51を円滑に走行させることが困難になる場合がある。また、貼りつきまで至らなくても、摩擦振動(スティック・スリップ)現象を起こして磁気テープの走行が不安定になってしまう場合もある。同様に、図13に示す固定ガイド66,67も固定ドラム60に対するテンションが増大し、摩擦振動を起こす場合がある。
【0016】
このような摩擦振動の如き不具合を低減するためには、磁気テープ51と回転ドラム41及び固定ガイド45,46との間の静摩擦力を低減することが重要となる。つまり、磁気テープ51に対する回転ドラム41、固定ドラム43、回転ガイド47〜50及び固定ガイド45,46の周面の静摩擦係数を低減することが重要となる。
【0017】
よって、本発明は上記問題点を解決するものであり、ドラムと磁気テープ間の静摩擦係数が低減された磁気テープ式装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる磁気テープ式装置は、磁気テープが摺接される摺接部を備え、上記摺接部は、磁気テープの摺接面と平行となるように当該摺接部の周面に形成された平坦部と、この平坦部から突出すると共に所定のピッチになるように形成された複数の山部とを有する磁気テープ式装置において、上記摺接部は、磁気テープに情報を記録及び/又は再生するための磁気ヘッドを備えたドラムであり、このドラムは、磁気ヘッドを備えると共に回転する回転ドラムと、この回転ドラムを軸支すると共に固定された固定ドラムとを備え、上記平坦部及び山部は、磁気テープを案内するリードに対して平行となるように固定ドラムの周方向に沿って延在するように形成されており、上記山部は頭頂角を有する断面三角形状であり、当該山部のピッチはその裾野幅よりも大きく形成されていると共に、
上記山部の裾野幅は50μmであると共に、上記平坦部の幅寸法は、上記山部の最大高さで定義される表面粗さが0.5乃至2.0μmの範囲で上限が230μmであり、且つ下限が表面粗さ(μm)と平坦部の幅寸法(μm)の組み合わせで、(0.5,50)、(1.0,20)、(1.5,15)、(2.0,10)の各点を繋いだ線で規定される範囲であることを特徴とする。
【0019】
本願発明者によれば、摺接部の周面における静摩擦係数は磁気テープと当該摺接部との間に形成されるメニスカスの総面積に依存することが見出されている。したがって、上記構成とすることで、メニスカスの総面積を低減することにより磁気テープが摺接される摺接部の周面の静摩擦係数を低減することができる。
【0020】
さらに、このような磁気テープ式装置においては、山部の裾野幅が50μmであると共に、平坦部の幅寸法は、山部の最大高さで定義される表面粗さが0.5乃至2.0μmの範囲で上限が230μmであり、且つ下限が表面粗さ(μm)と平坦部の幅寸法(μm)の組み合わせで、(0.5,50),(1.0,20),(1.5,15),(2.0,10)の各点を繋いだ線で規定される範囲であることを特徴とする。
【0021】
このような平坦部の幅寸法によれば、静摩擦係数を十分に低減することが可能であり、トラッキングミスを殆ど発生させることなく、固定ドラムなどの摺接部の寸法精度を実使用上問題ない水準とすることができる。
【0022】
また本発明にかかる磁気テープ式装置においては、摺接部は、磁気テープに情報を記録及び/又は再生するための磁気ヘッドを備えるドラムである。このようなドラムによれば、磁気テープのエッジに対する損傷及びトラッキングミスを低減することができる。
【0023】
また、このような磁気テープ式装置においては、ドラムは、磁気ヘッドを備えると共に回転する回転ドラムと、回転ドラムを軸支すると共に固定された固体ドラムとを備え、平坦部及び山部は、固定ドラムに形成されて磁気テープを案内するリードに対して平行となるように回転ドラムの周方向に沿って延在するように形成される。
【0024】
このような平坦部及び山部が形成された周面に磁気テープを摺接させる際にリードで磁気テープを案内することにより、磁気テープを安定して走行することもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる磁気テープ式装置について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明にかかる磁気テープ式装置は、図12を参照しながら説明した従来の回転ヘッド型記録再生装置と略同様の駆動機構を有し、磁気テープを走行させる際に磁気テープが摺接されるドラムに特徴を備える。
【0026】
図1及び図2を参照しながら、本実施形態における回転ヘッド型記録再生装置に好適なドラム部について説明する。図1は回転ヘッド型記録再生装置に用いられるドラム部1を側方からみた概略構造図であり、図2は固定ドラム4の周面を拡大して示した拡大断面図である。
【0027】
図1に示すように、ドラム部1は磁気ヘッド3を有する回転ドラム2及び回転ドラム2を軸支する固定ドラム4から構成される。
【0028】
回転ドラム2は略円柱形状を有し、回転ドラム2の周面には切削加工によって山部2a及び平坦部2bが形成されている。また、磁気ヘッド3は回転ドラム2の周面に臨むように配設され、回転ドラム2及び固定ドラム4の周面に摺接されながら走行する磁気テープに対して情報の記録、再生を行う。
【0029】
固定ドラム4は、磁気テープが走行する際に磁気テープの位置ずれを低減するためのリード5が形成されている。リード5は、回転ドラム2の回転軸に対して斜め方向に沿って形成されており、磁気テープはリード5に沿って走行する。磁気テープがリード5を走行する際の出口側の端部7は、磁気テープの下エッジを傷めないように磁気テープの走行方向に対して下側に逸れるように加工されている。固定ドラム4の周面6は切削加工されて、当該固定ドラムの周方向に延在するように山部4a及び平坦部4bが形成されている。また、山部4a及び平坦部4bはリード5と平行に延在するように形成されている。
【0030】
図2に示すように、山部4aは平坦部4bによって互い隔てられるように形成されている。山部4aの稜線の間の距離、すなわち山部4aのピッチをaとし、さらに山部4aの裾野幅をa'とすると、a'<aなる関係が成立するように山部4a及び平坦部4bが形成されている。さらに、山部4a及び平坦部4bは、固定ドラム4の軸方向に沿って交互に複数形成される。このように、山部4aの間に平坦部4bを形成し、山部4aの裾野幅a'より山部4aのピッチaを広げることにより、断面三角形状の山部4aの頭頂部の角度αを広げることなく周面6における単位面積当たりの山部4aの個数を減らすことが可能となる。このようにして磁気テープを周面6に摺接させた際の総メニスカス面積を低減することができる。したがって、平坦部4bを形成することなく山部4aを所定のピッチで形成した場合に比べて固定ドラム4の周面6の静摩擦係数を低減することができ、磁気テープのエッジへの損傷、トラッキングの不安定性を改善することが可能となる。さらに、磁気テープと固定ドラム4との間における過剰な隙間の発生を抑制することもでき、信号減衰の如き不具合も改善される。本例では、固定ドラム4の周面6に形成された山部4a及び平坦部4bについて説明するが、磁気テープを案内する固定ガイドや回転ガイドの周面にも固定ドラム4の周面6に形成された山部4a及び平坦部4bと同様の山部及び平坦部を形成し、固定ガイド及び回転ガイドの如き摺接部の静摩擦係数を低減することにより摩擦振動の如き不具合を低減することも可能である。なお、平坦部4bは、図中下側に余分に切削されて湾曲していてもよく、山部4aの間を互いに隔てるように形成されていれば良い。
【0031】
また、固定ドラム4は、アルミ合金、及び有機高分子材料を用いて形成することができる。さらに、固定ガイド及び回転ガイドは、ステンレス鋼、アルミ合金、セラミック材、或いは有機高分子材料を用いて形成することができる。さらに、固定ドラム4、固定ガイド及び回転ガイドの周面がセラミックや金属によってコーティングされていても良い。有機高分子材料、或いはセラミック材料を母材として固定ドラム、固定ガイド及び回転ガイドの周面をコーティングする際には、これら母材に繊維状に加工された金属、有機高分子材料、セラミックを内添することもできる。上述の材料を用いて固定ドラム4、固定ガイド及び回転ガイドの如き摺接部を形成した場合でも、所要の切削条件で当該摺接部を切削加工することにより平坦部で隔てられた山部を精度良く形成することができる。
【0032】
次に、図3及び図4を参照しながら、図2で示す山部4a及び平坦部4bを切削加工により形成する形成方法の一例について説明する。
【0033】
図3に示すように、被削対象とされる固定ドラム4を旋盤に設けられた回転支持部に固定し、回転支持部と共に固定ドラムを回転させながら固定ドラムの周面にバイト10を押し付けながら切削加工を行う。さらに、バイト10を固定ドラム4の回転軸方向に移動させながら固定ドラムの周面6に沿って螺旋状に切削加工を行い、山部4a及び平坦部4bを形成する。
【0034】
また、図4に示すように、バイト10の先端部11は、山部4aのピッチaと山部4aの裾野幅a'との差(a−a')と略等しい幅寸法を有する略平坦面になるように形成されている。先端部11の幅寸法は本例の平坦部4aの幅寸法に限定されず、所定の山部及び平坦部を形成することができるように切削加工を行う際のバイトの押付力及びバイトを固定ドラムの軸方向に移動させる移動速度などの切削条件に応じて所要の幅寸法とすることができる。例えば、図中点線11aで示すように、先端部11が下側に湾曲したバイトを用いることもできる。また、先端部11を図中横方向に延長した直線とバイト10の側面とがなす角度は山部4aの頭頂部の角度αに基づいて設定することができ、例えば90°−α/2とされる。
【0035】
ここで、図5を参照しながら、本願発明者が本発明を行うに至った着眼点について説明する。本願発明者は、大気中の水分がガイドやドラムなどの摺接部と磁気テープとの間に吸着してメニスカスが形成されることによりガイドやドラムの周面の静摩擦係数が増大することについて着目した。図5に示すように、空気中の水分は、磁気テープ51と回転ガイド47の周面に形成される山部71との間に吸着水膜の如きメニスカス72を形成する。図5に示すように、回転ガイド47の周面に形成される山部71は、紙面に垂直な方向に延在されるように形成されている。メニスカス72の長さをmとして紙面に垂直な方向において単位長を考えた場合、メニスカス72の長さmの値をメニスカス面積mとして考えることができ、1つの山部72のメニスカス面積mと単位面積当りの山部72の個数との積が単位面積当りの総メニスカス面積Aとなる。すなわち、式(2)を用いて単位面積あたりの総メニスカス面積Aを表すことができる。式(2)においては、単位面積あたりの総メニスカス面積をA、山部1個当たりのメニスカス面積をm、単位面積当たりの山部71の個数をn、山部71のピッチをa、メニスカス72の膜厚をt、回転ガイド47の周面の表面粗さをb、山部71の頭頂部の角度をαとし、メニスカス面積m及び単位面積当たりの山部71の個数をnはそれぞれ式(3)、式(4)により表すことができる。総メニスカス面積Aを低減するためには単位面積当りの山部71の個数nを減らすことが考えられる。しかしながら、山部71の裾野幅a'を広げることにより単位面積あたりの山部71の個数nを減らす場合には山部71の頭頂部の角度αが大きくなり、山部71の一個当りのメニスカス面積mが増大することになる。従って、単位面積あたりの山部の個数nを減らしたとしても総メニスカス面積Aを低減することは難しく、静摩擦係数を十分に低減することが困難となる。
【0036】
【数2】
A=m・n=a’・t/b・(1/a’)=t/b ……(2)
【0037】
【数3】
m=a’・t/b ……(3)
【0038】
【数4】
n=1/a’ ……(4)
【0039】
静摩擦係数は総メニスカス面積Aが小さいほどは低減されることから、磁気
テープがドラムやガイドと接しながら摺動される摺接面に対する静摩擦力を低減するためには、山部71の頭頂部の角度αを小さくし、且つ単位面積当りの山部71の数nを減らすことにより総メニスカス面積Aを低減することが重要になる。
【0040】
続いて、本願発明者の着眼点に基づいて、図6を参照しながら固定ドラム4
の周面6に形成される山部4a及び平坦部4bについて更に詳細に説明する。図6は、山部4aの稜線に摺接するように磁気テープ15を走行させた状態を示す図である。なお、磁気テープ15を図6の紙面に対して垂直方向に走行させ、磁気テープ15は図中横方向に単位長さだけ示している。
【0041】
山部4aの稜線に摺接される磁気テープ15と山部4aとの間にはメニスカス16が形成されている。図中、メニスカス16の膜厚をt、山部4aの高さをb、ピッチをa、裾野幅をa'とする。図6においては、メニスカス16は空気中の水分が磁気テープに吸着して形成される吸着水膜とされるが、メニスカス16は磁気テープ15の表面に塗布される潤滑剤によっても形成される。
【0042】
ピッチaは裾野幅a’に比べて大きい寸法とされ、山部4aの頭頂部の角度αは本例では特に限定しないが小さいほど望ましく、角度αを小さくすることにより山部4a一個当たりのメニスカス16の面積を低減することができる。
【0043】
平坦部4bは、図中実線で示すように磁気テープ15が山部4aと接する摺接面15aに対して略平行になるように形成されるが、図中破線に示すように下側に凹となるような曲面形状に形成されていても良い。すなわち、ピッチaと裾野幅a'が略等しい長さとされるように山部4a及び平坦部4bが形成される場合に比べて、角度αを略一定に保った状態でピッチaを広げることができるように山部4aの間に平坦部4bが形成されていれば良い。固定ドラム4の周面6の静摩擦係数は、式(2)で示すように山部4a一個当たりのメニスカス面積と単位面積当たりの山部4aの個数との積で表される総メニスカス面積Aによって決まることから、山部4aの間に平坦部4bが形成された固定ドラム4の周面6に形成される山部4a一個当たりのメニスカス面積を増大させることなく、単位面積当たりの山部4aの個数を低減し、総メニスカス面積Aを低減することが可能となる。従って、吸着水や潤滑剤による静摩擦係数を低減することができ、磁気テープ15と固定ドラム4の間の静摩擦力を低減することが可能となる。
【0044】
また、山部4aの裾野幅a'を一定の寸法として山部4aの高さb、すなわち表面粗さの値を大きくすることにより角度αを小さくして山部4a一個当たりのメニスカス面積を低減することも可能であるが、表面粗さを増大させることにより周面6の加工精度が低下し、磁気テープ15の走行性に支障をきたす場合もある。したがって、周面6の表面粗さを増大させることなく固定ドラム4の周面6の加工精度を十分に確保し、且つ総メニスカス面積Aを低減することが重要であり、本例の固定ドラム4においては、山部4a及び平坦部4bを形成すると共に表面粗さが1μmから2μmであることが望ましい。なお、上述の表面粗さは、山部4aの最大高さ(Rmax)で定義される表面粗さである。
【0045】
さらに、固定ドラム4と同様に、固定ガイドや回転ガイドにおいても加工精度を十分に確保するためには、これら固定ガイドや回転ガイドの周面の表面粗さが0.1μmから10μmの範囲であることが望ましい。
【0046】
また、本例の回転ヘッド式記録再生装置に用いられる磁気テープ15は、シート状のベース部材と、当該シート部材の一方の面に記録層として磁性膜を形成したものであり、例えばベース部材の厚みは2μm〜15μmとされる。また、シート部材の裏面側にはバックコート層が形成されていても良い。
【0047】
また、上述の山部4a及び平坦部4bが形成された固定ドラム4、さらに上述の如き山部及び平坦部が周面に形成された固定ガイド及び回転ドラムを用いて磁気テープを走行させる際には、磁気テープを構成する材料或いは構造に限定されずいかなる磁気テープに対しても静摩擦係数を低減することが可能であり、例えば磁性材料を含むバインダをベースフィルムに塗布して記録層を形成した塗布型テープに対しても、走行時の静摩擦係数を低減することができる。塗布型テープにおいては、当該塗布型テープが円滑に走行されないヘッドクロックの如き不具合はバインダが主な原因であると考えられており、静摩擦係数を低減することにより塗布型テープにおけるヘッドクロックを低減することもできる。さらに、ベースフィルムに磁性材料を蒸着させた蒸着テープについても当該蒸着テープの走行時の静摩擦係数を低減することができる。また、蒸着テープの記録層上にカーボン膜の如き保護膜が形成されている場合にも静摩擦係数を低減することができ
る。
【0048】
なお、図6においては、磁気テープ15の磁性膜が形成された面が山部4aに摺接されるが、回転ガイド及び固定ガイドの周面に磁気テープ15の磁性膜が形成された面が摺接される場合や、磁気テープ15のバックコート層が回転ガイド、固定ガイドに摺接される場合でも静摩擦係数を低減することができる。すなわち、本例の如き山部及び平坦部を周面に形成することにより、摺接されるテープの構造及び材質に限定されることなく固定ドラム、回転ガイド及び固定ガイドの如き摺接部の周面の静摩擦係数を低減することが可能である。
【0049】
[実施例1]
次に図7乃至図9を参照しながら、周面に山部及び平坦部が形成された試料の静摩擦係数を測定した結果について説明する。なお、試料は略円柱形状を有し、本発明にかかる磁気テープ式装置に好適な山部及び平坦部を周面に形成した場合と、従来の周面形状を形成した場合とで試料の周面の静摩擦係数を比較した。
【0050】
図7は、静摩擦係数が測定される試料の周面の断面を拡大して示した拡大断面図であり、実際に観察された断面の画像をトレースし、模式的に示した図である。図7(a)は、従来の断面形状を示す拡大断面図であり、試料の周面に形成された山部21のピッチa1と山部21の裾野幅a1'は略等しくそれぞれ約50μmとされ、山部の高さb1は約2μmである。
【0051】
図7(b)は、山部22の間に平坦部23が形成された試料の周面の断面形状を示す拡大断面図であり、山部22のピッチa2が約100μm、山部22の裾野幅a2'が約50μmになるように山部22及び平坦部23が切削加工により形成されている。なお、山部の高さb2は、図7(a)に示した山部21の高さb1と同様に約2μmとされる。
【0052】
なお、図7においては、図中横方向の縮小率と縦方向の縮小率が異なり、山部21,22のピッチに対して山部21,22の高さb1,b2がそれぞれ強調されるように縦横の倍率を変えて観察された画像をそのままトレースしてある。また、図7(b)に示したピッチa2及び裾野幅a2'は一例であり、後述する静摩擦係数を測定する際にはそれぞれピッチa2、すなわち平坦部23の幅寸法のみが異なる試料についてそれぞれ静摩擦係数の測定を行った。さらに、図7(a)及び(b)に示した山部21,22の高さ寸法、すなわち表面粗さを振って静摩擦係数を測定した。
【0053】
次に、図8を参照しながら静摩擦係数の測定方法の一例について説明する。図8は静摩擦係数の測定方法を説明する図であり、図8(a)は静摩擦係数測定装置の構成を示す構成図、同図(b)は同図(a)に示す静摩擦係数の配置される試料近傍の拡大図、同図(c)は歪みゲージの移動距離に対するテンションの値を模式的に示したグラフの一例である。
【0054】
図8(a)に示す静摩擦係数測定装置30は静摩擦係数の測定を行うために汎用とされる測定装置であり、歪みゲージ32、引っ張りバネ33、試料支持部37及びこれらを搭載して支持する台部31を備える。また、図8(a)及び同図(b)に示すように、試料に対するテープの巻き付け角はθとする。測定対象とされる試料35は試料支持部37に支持され、テープ34が試料35の周面に接するように配置された状態で測定が行われる。テープ34はその一端を引っ張りバネ33に接続された状態で略円柱形状を有する試料35の周面に巻き付けられ、さらにテープ34の他端に錘36が接続される。さらに、歪みゲージ32をテープ34と反対方向、すなわち図中右方向に引っ張り、図8(c)に示すように引っ張りバネ33のテンションTの最大値Tmaxを式(5)に代入することにより静摩擦係数μsを求めることができる。なお、錘の荷重をNとする。
【0055】
【数5】
μs=(1/θ)・ln(Tmax/N) ……(5)
【0056】
図9は、試料35の周面に形成された山部のピッチをパラメータとし、試料35の周面の表面粗さに対して静摩擦係数μsをプロットした特性図であり、図9(a)は図7(a)に示したようにピッチa1と裾野幅a1'とがほぼ等しい山部21を試料35の周面に形成した場合の静摩擦係数μsの特性図、図9(b)は図7(b)に示したように山部の間に平坦部を形成した場合の静摩擦係数μsの特性図である。なお、図9に示す静摩擦係数の測定値は、図8を参照しながら説明した静摩擦係数の測定方法によって測定した値である。また、図9(a)及び同図(b)にプロットされた静摩擦係数を測定した測定環境は、気温が40℃、湿度が80%である。静摩擦係数を測定する際には試料35の周面に摺接されるテープ34として蒸着テープを用い、磁性材料が蒸着された磁性面を試料35の周面に摺接させた。蒸着テープの磁性面上には、膜厚が10nmのカーボン保護膜が形成されており、さらにその上には潤滑剤を膜厚が5nmとなるように塗布されている。また、試料35の周面の表面粗さは2μmとされる。
【0057】
図9(a)に示すように、試料35の周面に山部21を隔てるように平坦部が形成されない場合には、表面粗さが0.5μmから3μmの範囲においてピッチa1を50μm乃至300μmの範囲で振った場合の静摩擦係数μsについて違いは殆どない。すなわち、山部21のピッチa1を広げることにより山部21の頭頂部の角度αが大きくなり、テープ34とされる蒸着テープと山部21の稜線との間に形成されるメニスカスの総面積が各条件で略等しいことが推察される。
【0058】
一方、本実施形態にかかる回転ヘッド型記録再生装置の場合、トラッキングミスが発生しないためには固定ドラム4の静摩擦係数の値は、図9(a)及び同図(b)中のハッチングで示した条件範囲であり、固定ドラム4の周面6の表面粗さが4μm以下の範囲で0.3以下とされる。図7(a)に示した山部21と同様な山部が周面に形成された固定ドラムでも表面粗さを3μm以上にすることによりトラッキングミスは発生しないが、固定ドラムの表面粗さを過剰に大きくすると固定ドラムによって円滑に磁気テープを走行させることが難しくなり、望ましくない。
【0059】
図9(b)は、図7(b)に示した山部22の裾野幅a2'を50μmとし、山部22のピッチa2、すなわち平坦部23の幅寸法を振った場合に測定された静摩擦係数の値を示す図である。図9(b)において山部22のピッチa 2 が50μmの場合、平坦部が形成されていない図7(a)に示した断面形態に相当し、静摩擦係数の測定点は図9(a)に示したプロット位置と一致している。図9(b)に示すように、同一の表面粗さを有する試料35についてピッチa2、すなわち平坦部23の幅寸法を広げるにつれて静摩擦係数μsが低減されている。つまり、各山部22の高さb2及び裾野幅a2'の寸法が同一の際には単位面積あたりの山部の個数が低減されることにより総メニスカス面積が低減され、その結果、静摩擦係数μsが低減されていることがわかる。さらに、図9(a)と同様に表面粗さが0.5μmから3μmの範囲で大きくなるにしたがい静摩擦係数μsは低下するが、表面粗さを過剰に大きくすることなくピッチa2を広げることによって静摩擦係数μsを十分低い値にすることが可能である。例えば、本例にかかる回転ヘッド型磁気記録再生装置は、山部22のピッチa 2 を80μm以上300μm以下、固定ドラム4の表面粗さを3μm以下にすることが望ましく、山部及び当該山部を隔てるように平坦部を周面6に形成することにより静摩擦係数を0.3以下にし、トラッキングミスの如き磁気テープ走行時の不具合を低減することができる。また、本例の如き回転ヘッド型磁気記録再生装置においては、固定ドラム4の周面6の表面粗さを1μm乃至2μmにすることが望ましい。
【0060】
さらに、図10を参照しながら平坦部と静摩擦係数との関係について詳細に説明する。図9(b)の示す静摩擦係数を測定する際の測定方法及び測定条件と同様の条件で測定された静摩擦係数を平坦部の幅寸法に対してプロットした図である。なお、平坦部の幅寸法が0,30,50,150,230,250μmの場合について測定を行った。本例の回転ヘッド型記録再生装置に好適な固定ドラム、回転ドラム、固定ガイド及び回転ガイドの如き摺接部の周面の静摩擦係数は0.3以下であり、図10によれば、静摩擦係数μsが0.3以下とされる平坦部の幅寸法は10μmから230μmの範囲であることがわかる。さらにまた、平坦部の幅寸法が150μmを超えると静摩擦係数μsが増大する傾向にある。このように平坦部の幅寸法が150μmを超えると静摩擦係数μsが増大する理由としては、平坦部の幅寸法を過剰に大きくした場合に磁気テープが山部の間で撓むことにより静摩擦係数μsが増大することが推察される。
【0061】
また、本例にかかる回転ヘッド型記録再生装置で磁気テープに記録、再生を行う際には、トラッキングミスを発生しないための静摩擦係数の上限値は0.3であるが、装置の駆動機構及び磁気テープの各種条件が変われば静摩擦係数の上限値も変わることになる。
【0062】
[実施例2]
次に、本願発明者は、本例の回転ヘッド型記録再生装置において用いられる固定ドラムに関して、山部の最大高さRmaxで定義される表面粗さと平坦部の幅寸法とをパラメータとして、固定ドラムの精度及びトラッキングミスの発生状況について調査した。図11は、固定ドラムの周面の表面粗さ及び平坦部の幅寸法の各組み合わせについて固定ドラムの精度及びトラッキングミスの発生状況を場合分けしてプロットした図である。なお、図11中において、×印は固定ドラムのドラム精度に関して実使用上問題がある条件とされる表面粗さ及び平坦部の幅寸法の組み合わせを示し、○印は固定ドラムのドラム精度について実使用上問題がなく、且つトラッキングミスが発生しなかった表面粗さ及び平坦部の幅寸法の組み合わせを示す。さらに、●印は、固定ドラムのドラム精度について実使用上問題がなく、且つトラキングミスが発生した表面粗さ及び平坦部の幅寸法の組み合わせを示す。また、ドラム精度及びトラッキングミスについて調査した表面粗さ及び平坦部の幅寸法は、表面粗さが0.3μm乃至3.0μmの範囲内であり、且つ平坦部の幅寸法が0μm乃至250μmの範囲内の組み合わせである。なお、測定を行う際の環境条件は、実施例1と同様の環境条件とし、試料表面の山部の裾野幅も実施例1と同様に約50μmである。
【0063】
図11によれば、○印でプロットされた表面粗さ及び平坦部の幅寸法で山部及び平坦部が形成された固定ドラムの周面の静摩擦係数μsは、すべて0.3以下となっていた。また、●印でプロットされた表面粗さ及び平坦部の幅寸法で山部及び平坦部が形成された場合の静摩擦係数μsは、すべて0.3μm以上であった。したがって、図11において、○印で指定される範囲、すなわち、図中ハッチングされた表面粗さ及び平坦部の幅寸法の組み合わせの範囲が本例の固定ドラムの周面に形成される平坦部の幅寸法及び山部の最大高さ寸法の組み合わせとして好適な範囲であることがわかった。具体的には、表面粗さが0.5乃至2.0μmの範囲で、平坦部の上限が230μmであり、且つ下限が表面粗さ(μm)及び平坦部の幅寸法(μm)の組み合わせで、(0.5,50),(1.0,20),(1.5,15),(2.0,10)の各点を繋いだ線で規定される範囲であることがわかった。
【0064】
よって、本例にかかる固定ドラムに限定されず、山部の最大高さ寸法及び山部の間に形成された平坦部の幅寸法が図11中のハッチングで示される範囲となるように、回転ガイド及び固定ガイドの如き磁気テープが摺接される摺接部の周面を加工することにより、静摩擦係数を0.3以下にすることが可能となる。このような範囲に表面粗さ及び平坦部の幅寸法を設定することにより、本例の回転ヘッド型記録再生装置は、トラッキングミスを殆ど発生させることなく固定ドラム、回転ガイド及び固定ガイドなどの摺接部に磁気テープを摺接させながら走行させることができる。
【0065】
また、図11中に示すハッチングされた範囲の表面粗さ及び平坦部の幅寸法によれば、回転ガイドや回転ドラムによって磁気テープが引っ張られるテンションを低減することができ、磁気テープが固定ドラムや固定ガイドの表面に貼り付いてしまうことを抑制することができる。すなわち、固定ドラム及び固定ガイドの周面に形成された山部の高さ寸法が小さすぎる場合には、回転ガイド、固定ガイド及び固定ドラムの周面の平滑性が過剰な状態となり磁気テープが張り付いてしまうが、図11中においてハッチングで示した範囲の条件であれば、磁気テープの張り付きを抑制することができると共に磁気テープが固定ドラム4や固定ガイドの表面に貼り付く状態に至るまでに生じる摩擦振動(スティック・スリップ)現象を低減することも可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる磁気テープ式装置によれば、磁気テープが摺接される固定ドラムの周面と磁気テープとの間に形成されるメニスカスの総面積を低減するために周面に形成される山部の間に平坦部を形成し、これら固定ドラムと磁気テープの間の静摩擦係数を低減することができる。静摩擦係数を低減することにより狭トラック化、短波長化、磁気テープの薄物化に伴って発生し易くなるトラッキングミス、磁気テープの走行の不安定性、及び磁気テープのエッジダメージを低減することができる。
【0067】
さらに、固定ドラムの表面粗さを増大させることなく静摩擦係数を低減することができることから、これら固定ドラムと磁気テープの間に生じるスペースの発生を抑制して再生信号のS/N比が高い磁気テープ式記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる磁気テープ式装置の一例である回転ヘッド型記録再生装置に用いられるドラム部を側方からみた概略構造図である。
【図2】 固定ドラムの周面付近を拡大して示した拡大断面図である。
【図3】 固定ドラムを切削加工する方法を説明する図である。
【図4】 固定ドラムの周面を切削加工するために用いることができるバイトの先端部の断面を示す要部断面図である。
【図5】 磁気テープと当該磁気テープが摺接される表面との間に形成されるメニスカスと静摩擦係数との関係について説明するための図である。
【図6】 固定ドラムの周面に磁気テープを摺接させた状態を説明する図である。
【図7】 静摩擦係数が測定される試料の周面の断面を拡大して示した拡大断面図であり、(a)は従来の断面形状を示す拡大断面図、(b)は山部と平坦部が形成された周面の拡大断面図である。
【図8】 静摩擦係数の測定方法を説明するための図であり、(a)は静摩擦係数測定装置の構成を示す構成図、(b)はテープが摺接される試料の近傍を示した拡大図、(c)は歪みゲージの移動距離に対するテンションの値の変化の一例を示す図である。
【図9】 表面粗さに対する静摩擦係数の特性図であり、(a)は図5(a)に示したピッチa1と裾野幅a1'がほぼ等しい場合の静摩擦係数μsの特性図、同図(b)は図5(b)に示した山部22の間に平坦部23を形成した場合の静摩擦係数μsの特性図である。
【図10】 平坦部の幅寸法に対して静摩擦係数をプロットした特性図である。
【図11】 表面粗さ及び平坦部の幅寸法の組み合わせに対してトラッキングミスの発生の有無及びドラムの精度を分類してプロットした図である。
【図12】 従来の回転ヘッド型記録再生装置における磁気テープの駆動機構を示す構成図である。
【図13】 従来の固定ヘッド型記録再生装置における磁気テープの駆動機構を示す構成図である。
【図14】 従来の回転ヘッド型記録再生装置及び固定ヘッド型記録再生装置における磁気テープの位置ずれが規制される状態を説明する図であり、(a)は上エッジが規制される状態を示す図、(b)は下エッジが規制される状態を示す図である。
【図15】 従来の回転ヘッド型記録再生装置における固定ドラムの周面の断面形状を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 ドラム部、2 回転ドラム、2a 山部、2b 平坦部、3 磁気ヘッド、4 固定ドラム、4a 山部、4b 平坦部、5 リード、7 端部、10 バイト、11 先端部、15 磁気テープ、15a 摺接面、16 メニスカス、21,22 山部、23 平坦部、30 静摩擦係数測定装置、31 台部、32 ゲージ、33 バネ、34 テープ、35 試料、40 ドラム部、41 回転ドラム、42 磁気ヘッド、43 固定ドラム、44 リード、45,46,66,67 固定ガイド、47,48,49,50,62,63,64,65 回転ガイド、47a 上フランジ、49b 下フランジ、51,68 磁気テープ、53 山部、60 固定ドラム、61 磁気ヘッド

Claims (1)

  1. 磁気テープが摺接される摺接部を備え、
    前記摺接部は、前記磁気テープの摺接面と平行となるように当該摺接部の周面に形成された平坦部と、前記平坦部から突出すると共に所定のピッチになるように形成された複数の山部とを有する磁気テープ式装置において、
    前記摺接部は、前記磁気テープに情報を記録及び/又は再生するための磁気ヘッドを備えたドラムであり、前記ドラムは、前記磁気ヘッドを備えると共に回転する回転ドラムと、前記回転ドラムを軸支すると共に固定された固定ドラムとを備え、
    前記平坦部及び前記山部は、前記磁気テープを案内するリードに対して平行となるように前記固定ドラムの周方向に沿って延在するように形成されており、
    前記山部は頭頂角を有する断面三角形状であり、当該山部のピッチはその裾野幅よりも大きく形成されていると共に、
    前記山部の裾野幅は50μmであると共に、前記平坦部の幅寸法は、前記山部の最大高さで定義される表面粗さが0.5乃至2.0μmの範囲で上限が230μmであり、且つ下限が表面粗さ(μm)と平坦部の幅寸法(μm)の組み合わせで、(0.5,50)、(1.0,20)、(1.5,15)、(2.0,10)の各点を繋いだ線で規定される範囲である
    ことを特徴とする磁気テープ式装置。
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