JP3858654B2 - ガスレーザ発振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送風機を用いたガスレーザ発振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のガスレーザ発振装置の構成を図5に沿って説明する。
【0003】
誘電体よりなる放電管4内にはレーザガス2が循環している。放電管4の周辺に設けられた電極6、7に接続された高電圧電源8は、放電管4内に放電3を発生させる。放電3によりレーザガス2は励起され、全反射鏡14および部分反射鏡13を通って外にレーザ光1として出力される。放電管4と共にレーザガスの循環路を形成するガス循環管体12の内部は送風機10によりレーザガス2が送られており、放電3および送風機10により上昇したレーザガスの温度を下げるため、熱交換器9、11が配置されている。
【0004】
次に送風機10の構造およびその動作について説明する。送風機10は前記ガス循環管体12中に設けられたガス循環用の送風部と、これに隣接する駆動部からなり、送風部と駆動部は、互いに軸により接続された構造になっている。送風部はガス循環管体12と接続されていて、回転翼などのガス送風手段によりレーザガスを流すようになっている。一方、駆動部はモータなどの駆動手段が回転することにより、動力を送風部に伝達するようになっている。前記送風機10の駆動部に電力を供給する方法として、一般にインバータ(周波数変換装置)などが使用される場合が多く、3相電源をインバータ部24で電力制御や周波数変換制御を行なって、送風機10の回転数の制御が行なえるようになっている。
【0005】
図5に示すように、ソフトスタート部22では加速時間、減速時間が設定され、また、V/F設定部23では周波数に対する出力電圧の割合が設定されていて、制御装置21の運転開始信号により、ソフトスタート部22の加速時間と、V/F設定部23に設定された周波数と出力電圧の関係の設定条件に従い、インバータ部24を制御して送風機10を運転開始し、設定の周波数まで加速後、一定の周波数(回転数)で運転するようになっている。また、制御装置21の運転停止指令により、起動時とは逆にソフトスタート部22の減速時間とV/F設定部23に設定された周波数と出力電圧の関係に従い減速停止するようになっている。
【0006】
図6は、前記インバータ部24の概略構成図で、その動作について説明する。3相交流電源は、ダイオードなどの整流素子で構成された整流部51で直流に変換され、平滑部52のコンデンサで直流電圧信号に平滑される。その直流電圧信号は演算制御部54の指令に基づきPWMスイッチング部53で再度3相の交流電圧信号に変換され出力される。この交流電圧信号は電圧値と周波数値を演算制御部の信号により制御され、出力されるように構成されている。
【0007】
一般に、前記V/F設定部23の周波数と出力電圧の関係は、送風機10の運転開始時の起動突入電流を押さえるために、起動直後の周波数の低い間は出力電圧を低く設定し、時間経過と共に周波数を徐々に上昇し、その周波数の上昇に伴い出力電圧を高くするようにして、送風機10のスムーズな回転数の立上がりを行なえるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のガスレーザ発振装置では、前記のように送風機10の運転開始時の起動突入電流を押さえるために、運転開始時のV/F設定部23の周波数と出力電圧の関係は、周波数と出力電圧の両方とも低く設定している。しかし、送風機10の負荷は常時一定ではなく、温度湿度などの環境変化、構成部品の劣化による経時変化などにより大きく負荷が変わる場合が有り、最悪の場合、負荷の増大に伴い送風機10の起動が出来ない場合があった。このような負荷の増大は一時的なもので一旦回転を開始すると負荷は元の状態に戻るため、V/F設定部の周波数と出力電圧の関係を高く設定しすぎると送風機10の駆動部には過大電流が流れ、発熱、振動、騒音が大となり悪い影響が出る場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するもので、送風機10の一時的な負荷の増大においても確実に起動し、送風機10の駆動部への過大電流を抑制し、発熱、振動、騒音などの悪い影響が出ない安定したガスレーザ発振装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の本発明(以下、第1の発明という)は、レーザガスの循環路に設けた送風機と、前記送風機に電力を供給するインバータ部と、前記インバータ部の出力電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部で検出した出力電流値に対応して前記インバータ部の出力電圧を制御する電圧制御部と、前記インバータ部から出力される電力の周波数と出力電圧の割合を設定したV/F設定部と、運転開始時に加速時間を前記V/F設定部に出力するソフトスタート部を設け、前記電圧制御部は、前記電流検出部からの出力電流値に対応した出力電圧に前記V/F設定部からの初期値に対応した出力電圧を加算するものである。
【0014】
更に請求項2記載の本発明(以下、第5の発明という)は、前記送風機の運転中、前記電流検出部の出力電流値を常時監視する比較制御部と、出力電流が所定値を一定時間超えた場合に警報を出す、若しくは装置本体の運転を停止させるインターロック動作を行う警報手段が設けられていることを特徴としたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
第1の発明によれば、V/F設定部とインバータ部の間に電圧制御部およびインバータ部の出力電流を検出する電流検出部を設けたことにより、出力電流の増加に伴いインバータ部よりの出力電圧を増加することが出来るため、送風機の負荷に比例した電力の供給が図れ、安定した送風機の運転制御および信頼性の高いガスレーザ発振装置を実現することができる。
【0016】
また、本発明によれば、制御装置の信号により、送風機の運転開始直後の加速時に電圧制御部を作動させ、送風機の始動電力を増大させることが出来るため、送風機の起動時の一時的なトルク不足を解消し、安定した送風機の起動動作を実現することができる。
【0019】
また、第2の発明によれば、送風機の運転中、電流検出部の出力電流値を常時監視する比較制御部と、出力電流が所定値を一定時間超えた場合に警報表示または装置の運転停止等のインターロック動作を行う警報手段を設けたことにより、送風機への電流の供給状態を監視することが出来るため、不慮の事故による機器の破損および被害の拡大等を防止することが出来る。
【0020】
(実施の形態)
以下、本発明に係る実施の形態に付いて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガスレーザ発振装置の構成図である。
【0022】
なお、従来例と同じ構成要素には同一番号を付与している。
【0023】
このガスレーザ発振装置は、誘電体よりなる放電管4内にはレーザガス2が循環している。放電管4の周辺に設けられたアノードおよびカソード電極6、7に接続された高電圧電源8は、放電管4内に放電3を発生させる。放電3によりレーザガス2は励起され、全反射鏡14および部分反射鏡13を通って外にレーザ光1として出力される。放電管4と共にレーザガスの循環路を形成するガス循環管体12の内部には送風機10によりレーザガス2が送られており、放電3および送風機10により上昇したレーザガスの温度を下げるため、熱交換器9、11が配置されている。
【0024】
次に送風機10の構造およびその動作について説明する。送風機10は前記ガス循環管体12中に設けられたガス循環用の送風部と、これに隣接する駆動部からなり、送風部と駆動部は、互いに軸により接続された構造になっている。送風部はガス循環管体12と接続されていて、回転翼などのガス送風手段によりレーザガスを流すようになっている。一方、駆動部はモータなどの駆動手段が回転することにより、動力を送風部に伝達するようになっている。
【0025】
前記送風機10の駆動部に電力を供給する制御部は、運転開始信号を出力する制御装置21と、加速時間と減速時間を設定するソフトスタート部22と、周波数に対する出力電圧の割合が設定されたV/F設定部23と、電力を供給するインバータ部24と、インバータ部の出力電流を検出する電流検出部26と、電流検出部で検出した出力電流値に対応しインバータ部の出力電圧を制御する電圧制御部25で構成されている。
【0026】
前記送風機10の運転を開始する場合、制御装置21より運転開始信号がソフトスタート部22に出力され、ソフトスタート部22に設定されている加速時間と、V/F設定部23に設定されている周波数と出力時間の関係の設定条件に基づき、インバータ部24より出力される周波数と出力電圧および時間の関係がV/F設定部23で割出され、電圧制御部25を経由してインバータ部24に初期値として出力される。そして、インバータ部24から3相交流電圧が出力され、送風機10が回転を開始する。インバータ部24の出力電流は、電流検出部26で検出され、電圧制御部25にフィードバックされて、V/F設定部23よりの初期値に加算されインバータ部24に出力されるようになっている。
【0027】
環境変化や構成部品の劣化による経時変化などで送風機10の起動時の負荷が重くなった場合、インバータ部24の出力電流が増大するが、インバータ部24の出力電圧が小さいため、十分な起動電力が得られず起動できない場合が発生する。その様な時には、インバータ部24の出力電流を検出して電圧制御部25にフィードバックしているため、インバータ部24の出力電流の増大に伴って電圧制御部25で出力電圧上昇指令が働き、インバータ部24の出力電圧が大きくなって、起動電力を増大されるようになっている。
【0028】
図3はインバータ部の周波数と出力電圧の関係図で、周波数F1は起動時の周波数、周波数F2は定常運転時の周波数、出力電圧V1は起動時の初期電圧、V2は定常運転時の出力電圧、Vaは電圧補償時の出力電圧である。送風機10の起動時、通常はインバータ部24より周波数F1と出力電圧V1が出力され、時間経過と共に周波数F2と出力電圧V2になり定常運転されるようになっているが、起動時に通常より多くの電流が流れると電力不足と判断し、出力電圧がV1よりVaに上昇して、電力を増大させるように動作する。
【0029】
また、温度湿度などの環境変化、構成部品の劣化による経時変化などによる負荷の増大は一時的なもので一旦回転を開始すると負荷は元の状態に戻るため、制御装置21の起動信号で電圧制御部25の出力電圧上昇指令を一時的に働かせ、起動電力を増大することも可能である。
【0030】
図4にその時の関係をインバータ部の周波数と出力電圧の関係図で示す。F1は起動時の周波数、周波数F2は定常運転時の周波数、出力電圧V1は起動時の初期電圧、V2は定常運転時の出力電圧、Vbは電圧補償時の出力電圧である。送風機10の起動時、通常はインバータ部24より周波数F1と出力電圧V1が出力され、時間経過と共に周波数F2と出力電圧V2になり定常運転されるようになっているが、起動時に通常より多くの電流が流れると電力不足と判断し、出力電圧がV1よりVbに上昇して、電力を増大させる。その後、一定時間経過後に通常の周波数と出力電圧の関係に戻るように動作する。
【0031】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るガスレーザ発振装置の構成図である。
【0032】
なお、図1と同じ構成要素には同一番号を付与している。
【0033】
図1の前記電圧制御部25の働きである、出力電圧の増減制御機能を、送風機10の駆動部のトルク補償制御に機能変更したものである。
【0034】
図2の制御装置21、ソフトスタート部22、V/F設定部23、インバータ部24の働きは同じで、インバータ部24の出力電流を電流検出部26において検出して、トルク補償部29にフィードバックするようにしている。送風機10の起動時の負荷が重たくなった場合、インバータ部24の出力電流が増大するので、インバータ部24の出力電流の増大に伴ってトルク補償部29で、トルク補償演算を行ない、最適な起動トルクになるようにインバータ部24よりの出力電圧および出力電流の最適化を行なって、起動トルクを増大されるようになっている。
【0035】
また、制御装置21の起動信号でトルク補償部29のトルク上昇指令を一時的に働かせ、起動トルクを一時的に増大することも可能である。
【0036】
ところで、上記ガスレーザ発振装置が長期間にわたり使用された場合に、本実施の形態において用いられるガス循環管体や放電管などの部品の劣化による真空不良による空気の混入等の要因により、前記送風機10の負荷が変化して、運転できなくなることが考えられる。また不慮の事故により前記送風機10が故障して動作できなくなることも考えられる。そこで、ガスレーザ発振装置には、前記送風機の駆動部に電力を供給するインバータ部の出力電流を検出する電流検出部26と、前記送風機10の運転中、前記電流検出部26の出力電流値を常時監視する比較制御部27と、出力電流が所定値を一定時間超えた場合に警報を出す、若しくは装置本体の運転を停止させるインターロック動作を行う警報手段28が設けられている。本実施の形態では、この警報手段28が定期点検が必要であるか否かを現す表示灯であり、前記電流値が所定値を一定時間超えた場合に点灯する、若しくは装置の運転を強制的に停止するものであってもよい。
【0037】
なお、以上の構成からなるガスレーザ発振装置では、各構成に制御素子を設けて、各信号処理または各構成において制御するようにしたが、上記ガスレーザ発振装置に、各構成に接続されるCPUを設け、各処理を統括的に制御するようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、第1の発明によれば、V/F設定部とインバータ部の間に電圧制御部およびインバータ部の出力電流を検出する電流検出部を設けたことにより、出力電流の増加に伴いインバータ部よりの出力電圧を増加することが出来るため、送風機の負荷に比例した電力の供給が図れ、安定した送風機の運転制御および信頼性の高いガスレーザ発振装置を実現することができる。
【0039】
また、本発明によれば、制御装置の信号により、送風機の運転開始直後の加速時に電圧制御部を作動させ、送風機の始動電力を増大させることが出来るため、送風機の起動時の一時的なトルク不足を解消し、安定した送風機の起動動作を実現することができる。
【0042】
また、第2の発明によれば、送風機の運転中、電流検出部の出力電流値を常時監視する比較制御部と、出力電流が所定値を一定時間超えた場合に警報表示または装置の運転停止時のインターロック動作を行う警報手段を設けたことにより、送風機への電流の供給状態を監視することが出来るため、不慮の事故による機器の破損および被害の拡大等を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスレーザ発振装置の構成図
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るガスレーザ発振装置の構成図
【図3】インバータ部の周波数と出力電圧の関係図
【図4】起動時のインバータ部の周波数と出力電圧の関係図
【図5】従来のガスレーザ発振装置の構成図
【図6】インバータ部の構成の詳細図
【符号の説明】
1 レーザ光
2 レーザガス
3 放電
4 放電管
6 アノード電極
7 カソード電極
8 高電圧電源
9 熱交換器
10 送風機
11 熱交換器
12 ガス循環管体
13 部分反射鏡
14 全反射鏡
21 制御装置
22 ソフトスタート部
23 V/F設定部
24 インバータ部
25 電圧制御部
26 電流検出部
27 比較制御部
28 警報手段
29 トルク補償部
Claims (2)
- レーザガスの循環路に設けた送風機と、前記送風機に電力を供給するインバータ部と、前記インバータ部の出力電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部で検出した出力電流値に対応して前記インバータ部の出力電圧を制御する電圧制御部と、前記インバータ部から出力される電力の周波数と出力電圧の割合を設定したV/F設定部と、運転開始時に加速時間を前記V/F設定部に出力するソフトスタート部を設け、前記電圧制御部は、前記電流検出部からの出力電流値に対応した出力電圧に前記V/F設定部からの初期値に対応した出力電圧を加算するガスレーザ発振装置。
- 前記送風機の運転中、前記電流検出部の出力電流値を常時監視する比較制御部と、出力電流が所定値を一定時間超えた場合に警報を出す、若しくは装置本体の運転を停止させるインターロック動作を行う警報手段を設けた請求項1記載のガスレーザ発振装置。
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