JP3858509B2 - 改質された充填剤、その改質方法及びそれを用いたクロマトグラフィー用カラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊離カルボキシル基を含むポリマー系充填剤の遊離カルボキシル基を効果的に不活性化することにより改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系充填剤、ポリマー系充填剤の改質方法及び該充填剤を用いたクロマトグラフィー用カラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な分配吸着カラム用の充填剤として最も用いられているのは、オクタデシル化シリカゲル(以下、「ODS」という。)などのシリカ系粒子である。これらシリカ系粒子には、未反応のシラノール基が残っている場合が多く、そのため十分な分離性能が得られないことがある。シラノール基残存量の程度は、充填カラムにピリジンなどの有機塩基を注入し、そのピーク形状を比較することによって調べることができ、一般に残存シラノール基が多いほどピークのテーリングが激しくなることが知られている。
シリカ系充填剤に見られるような上記問題の解決法として、残存シラノール基を不活性基でキャッピングする方法があり、最近ではより高密度にキャッピングを行なう方法として、不活性ガス雰囲気下の密閉容器中で一部錯体化合物を形成する2種の末端付加剤を反応させる方法(特開平10-73579)、超臨界流体中で化学修飾剤と反応させる方法(特開平9-49829 )などが報告されている。
また、分配吸着カラム用の充填剤として、上記シリカ系粒子のほかにポリマー系粒子も用いられる。ポリマー系粒子の代表例としては、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アルキルメタクリレート共重合体、架橋ポリビニルアルコールにオクタデカノイル基を導入したものなどが挙げられる。一般にこれらを充填したポリマーカラムは、シリカカラムに比べて化学的安定性が優れているという長所を持つが、理論段数をはじめとする基本分離性能がシリカカラムと同レベルには至っていない。そのため、市販されているポリマー系分配吸着カラムの種類は極めて少なく、使用される機会も非常に限られる。一般的には、ポリマーカラムの価値をODSカラム相当まで高めるには、粒子径を小さく揃えて分離能を向上させる必要があると考えられている。このような背景により、ポリマーカラムを用いピリジンなどの有機塩基を分析したときに生じる問題等については、議論も検討もほとんどされていないのが現状である。むしろ、ポリマーカラムにはシラノール基が存在しないため、シリカカラムのような問題は生じえないと考えられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、種々のポリマー系分配吸着カラムを用いて有機塩基分析の検討を行なったところ、ポリマー系分配吸着カラムの問題点として、▲1▼保持容量のロット差が大きい、▲2▼保持容量の再現性が悪い、▲3▼テーリングが激しい、▲4▼理論段数が低い、という4つの課題が明らかになった。これらの問題点は、特に塩を全く添加しない溶離液を用いるときに、顕著に現れる。
これまで、ポリマーカラムの性能改善については、理論段数を向上させることにのみ注力されてきたが、ODSカラム以上の性能を目指すには、新たに発見された上記4つの課題をも解決する必要がある。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、高分離能を有するクロマトグラフィー用ポリマー系充填剤、該充填剤の改質方法及び該充填剤を用いたクロマトグラフィー用カラムを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ポリマー系分配吸着カラム充填剤粒子に残存するカルボキシル基にエステル化またはアミド化反応などを施し、遊離カルボキシル基に不活性基を共有結合させることにより、上記課題が解決し高分離能のポリマー系分配吸着カラム充填剤が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は次の事項に関する。
(1) ポリエステル構造、ポリアミド構造及び/またはポリイミド構造を含む架橋性粒子の遊離カルボキシル基を、不活性基によりキャッピングしてなることを特徴とする改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤。
(2) 不活性基によるキャッピングが、エステル化またはアミド化であることを特徴とする上記(1)に記載の改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤。
(3) 平均粒径が1〜50μmである上記(1)または(2)に記載の改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤。
(4) ポリエステル構造、ポリアミド構造及び/またはポリイミド構造を含む架橋性粒子の遊離カルボキシル基を、エステル化またはアミド化によりキャッピングすることを特徴とするクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤の改質方法。
(5) ポリエステル構造、ポリアミド構造及び/またはポリイミド構造を含む架橋性粒子の遊離カルボキシル基に導入されるエステルまたはアミドが、炭素数18以下のアルキルエステルまたはアルキルアミドである上記(4)に記載のクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤の改質方法。
(6) 上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤を用いてなるクロマトグラフィー用カラム。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリマー系充填剤の遊離カルボキシル基が不活性基によりキャッピングされたクロマトグラフィー用ポリマー系充填剤、その改質方法及びその充填剤を用いたクロマトグラフィー用カラムに関する。
本発明において、キャッピングとは、改質前のポリマー系充填剤粒子の疎水性に大きな変化を与えない範囲で不活性基を共有結合させることを意味する。
【0006】
本発明の方法で改質を施す対象となるポリマー系充填剤粒子は、製造工程中、加水分解等によって目的としないカルボキシル基が生じているものである。例えば、ポリエステル構造、ポリアミド構造及び/またはポリイミド構造を含む架橋性粒子及び上記構造を含まないその他架橋性粒子が対象となる。
【0007】
ポリエステル構造を含むポリマー系充填剤粒子の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート単独重合体、グリセリンジ(メタ)アクリレート/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、グリセリンジ(メタ)アクリレート単独重合体及びそれを修飾したもの、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート/グリセリンジ(メタ)アクリレート共重合体及びそれを修飾したもの、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート単独重合体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート/アルキル(メタ)アクリレート共重合体及びそれを修飾したもの、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート単独重合体及びそれを修飾したもの、ビニル(メタ)アクリレート単独重合体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体を加水分解あるいは修飾したものなどが挙げられる。
【0008】
また、ポリアミド及び/またはポリイミド構造を含むポリマー系充填剤粒子の例としては、N ,N'- メチレンビスアクリルアミド/アクリルアミド共重合体、N ,N'- ジアクリロイルピペラジン/アクリルアミド共重合体、ジビニルベンゼン/N-アルキルアクリルアミド共重合体、イソシアヌル酸トリアリル/酢酸ビニル共重合体を加水分解したもの及び加水分解して生成した水酸基をさらに修飾したもの、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体にN-イソプロピルアクリルアミドをグラフト重合したものなどが挙げられる。
これらのポリマー系充填剤粒子には数多くのエステル結合またはアミド結合が含まれるため、重合、洗浄、乾燥などの製造工程における加熱、水や金属との接触、pHの変動その他によって、それらの一部が加水分解を受け、カルボキシル基を生じている可能性が大きい。また、原料モノマーが一部加水分解されてカルボキシル基を生じ、それがそのままポリマー鎖に組み込まれる可能性もある。
【0009】
一方、ポリエステル構造、ポリアミド構造及びポリイミド構造を含まないポリマー系充填剤粒子であっても、重合中、二重結合に酸素が付加することによって含酸素基が生じ、それがさらに酸化、加水分解を経てカルボキシル基になっている場合があるため、本発明において改質を施す対象になりうる。
ポリエステル構造、ポリアミド構造及びポリイミド構造を含まないポリマー系充填剤粒子の例としては、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体、ジビニルベンゼン/アルキルスチレン共重合体、ジビニルベンゼン単独重合体、ジビニルベンゼン/クロロメチルスチレン共重合体及びそれを修飾したもの、ジビニルベンゼン/2 ,3-エポキシプロピルビニルベンジルエーテル共重合体を加水分解したもの及び加水分解して生成した水酸基をさらに修飾したもの、ジビニルベンゼン/アセトキシスチレン共重合体を加水分解したもの及び加水分解して生成した水酸基をさらに修飾したものなどが挙げられる。
【0010】
本発明でいう改質されたポリマー系充填剤とは、上に例示したようなポリマー粒子の残存カルボキシル基が、不活性基によりキャッピングされたものすべてを含むものである。
本発明において改質対象となるポリマー系充填剤粒子は、平均粒径1〜50μmのものを用いるのがよく、好ましくは1.5〜30μm、より好ましくは2〜10μmのものを用いる。平均粒径が1μmより小さい場合は、カラム圧力が上がりすぎて粒子の強度限界を越えてしまうため好ましくなく、50μmより大きい場合は,分離能が低く実用上好ましくない。
【0011】
本発明においてキャッピングに用いられるエステル化及びアミド化の具体的方法を述べる。
エステル化、アミド化いずれの場合においても、導入される不活性基の大きさは小さい方がよい。新たに導入される部分が小さいほど、立体障害が小さいので導入効率が上がり、改質前のポリマー系充填剤粒子の疎水性に大きな変化を及ぼさないなどの利点があるからである。しかしながら、キャッピングすべき遊離カルボキシル基の量が極めて少ない場合には、比較的大きい不活性基を導入しても疎水性の変化が少なくてすむこともあるので、例えばアルキル基ならば炭素数18以下のものから選ぶのが好ましい。炭素数が18より大きい場合は、立体障害、導入効率などの問題点から好ましくない。
【0012】
本発明でのエステル化においては、改質を施すポリマー系充填剤粒子の遊離カルボキシル基以外の部分に好ましくない変化を及ぼさない限り、方法に制限はない。
エステル化の方法としては、例えば T.W.Greene 、 P.G.M.Wuts 著 "Protective Groups in Organic Synthesis" 2nd ed. 、 John Wiley & Sons Inc. 、 New York 、 1991 、 p.227-234 に記載されている方法などが挙げられる。
【0013】
特に導入効率、扱いやすさ、コストなどの実用面を考慮すると、以下のような試薬の組み合わせが好ましく用いられる。
(1)2 ,2-ジメトキシプロパン及び、濃塩酸またはこれに類する酸触媒。
(2)メタノールまたは炭素数18以下のアルコール、4-( ジメチルアミノ) ピリジンまたはこれに類する塩基触媒及び、N ,N'- ジイソプロピルカルボジイミドまたはこれに類する脱水縮合剤。
(3)ヨウ化メチルまたは炭素数18以下のヨウ化アルキル、フッ化カリウムまたはフッ化セシウム及び、N ,N-ジメチルホルムアミド。
【0014】
本発明におけるアミド化は、ペプチド合成などで使われる一般的方法が適用できる。ただし、改質を施すポリマー系充填剤粒子の遊離カルボキシル基以外の部分に好ましくない変化を及ぼさないことが必要である。さらに、導入効率、扱いやすさ、コストなど実用面を考慮すると、以下のような試薬の組み合わせが好ましく用いられる。
(1)1-プロピルアミンまたは炭素数18以下のアミン(三級は除く)、N ,N'- ジイソプロピルカルボジイミドまたはこれに類する脱水縮合剤、不活性有機溶媒。
(2)1-プロピルアミンまたは炭素数18以下のアミン(三級は除く)、N ,N'- ビス(2- オキソ-3- オキサゾリジニル) ホスフィン酸クロリド、ピリジンまたはその他の不活性有機溶媒。
【0015】
本発明における充填剤の改質方法は、ポリマー系充填剤粒子に上記エステル化試薬またはアミド化試薬を含む溶液または懸濁液を接触させることを特徴とする。
すなわち、エステル化試薬またはアミド化試薬を含む溶液または懸濁液をポリマー系充填剤粒子に接触させることによって、遊離カルボキシル基に不活性基を共有結合するのである。したがって、改質を施されるポリマー系充填剤粒子は、あらかじめカラムに充填されていてもいなくてもかまわない。すなわち、本発明には、改質前のポリマー系充填剤粒子をカラムに充填した後で、試薬またはその溶液をカラムに送り込んでキャッピング反応を行なう方法も含まれる。
【0016】
本発明のポリマー系充填剤粒子を充填したカラムでピリジンなどの有機塩基を分析することにより、従来のポリマーカラムによる測定時に見られた、▲1▼保持容量のロット差が大きい、▲2▼保持容量の再現性が悪い、▲3▼テーリングが激しい、▲4▼理論段数が低い、という4つの問題点を解決することができる。
【0017】
従来のポリマーカラムによる測定時に見られた上記4つの問題点は、遊離カルボキシル基のプロトン型(R-COOH)と金属型(R-COOM)の割合が変動しやすいために起こっていると考えられる。ピリジンなどの有機塩基(以下、「ピリジン」という。)の吸着を大きくするのは、主に前者である。これはプロトン型(R-COOH)の近傍では局部的にpHが低くなっているため、ピリジンとピリジニウムイオンの平衡が後者に傾き、RCOO(-) →HNC5H5(+) というイオン結合を生じやすくなるからである。ところが、溶離液に微量の金属が混在していると、それがプロトン型(R-COOH)の近傍を通るときに捕捉され、カラム内に濃縮されていく。その結果、金属型(R-COOM)が増加し、ピリジンは吸着されにくくなる。逆に、超高純度の水を通液し続けると、金属型(R-COOM)から金属が奪われてプロトン型(R-COOH)へ移行していき、ピリジンは吸着されやすくなる。
【0018】
さらに、以下(1)〜(3)のように推測する。
(1)EDTA洗浄で金属を排除することで、ほとんどがプロトン型(R-COOH)になり、ピリジンは吸着されやすくなる。
(2)CaCl2 を注入すれば、ほとんどがカルシウム型(R-COOCaCl または R-COOCaOH または R-COOCaOOC-R )になり、ピリジンは吸着されにくくなる。(3)遊離カルボキシル基をキャッピングすることにより、(1)や(2)の操作を施しても、プロトン型(R-COOH)と金属型(R-COOM)の変動はほとんどなくなると考えられる。
これらの点から、評価対象カラムに対して(a)初期状態、(b)EDTA洗浄後、(c)CaCl2 注入後、(d)EDTA再洗浄後のように遊離カルボキシル基のプロトン型と金属型の割合を変動させる操作を順次施し、各々の段階でピリジンを分析すれば、キャッピングの効果を明確に検出することができる。
【0019】
すなわち、遊離カルボキシル基が少ないほど、各段階におけるピークの変動(理論段数、テーリング係数、保持容量の変化量)は小さくなるため、本発明における改質後のポリマー系充填剤粒子を改質前のポリマー系充填剤粒子と比較することにより、本発明の効果を検知することが可能である。
上記方法により、キャッピングによるクロマトグラフィー用充填剤の改質効果を明らかにすることができた。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0021】
(製造例)
エチレングリコールジメタクリレート32g 、メチルメタクリレート22g 及びトルエン54g の混合溶液に、2 ,2'- アゾビスイソブチロニトリル0.81g を溶解させた。この溶液をポリビニルアルコール(重合度約500 )の2 重量%水溶液367gと合わせホモジナイザーで分散させた。油滴の粒子径を顕微鏡で観察し、最大粒子径が5 μmになるように回転数及び分散時間を調節し、得られた分散液を反応容器に移し、70℃の温度で6 時間重合を行なった後、室温まで放冷した。ゲルスラリーを2000rpm で20分間遠心分離し、微粒子を除いた後に水300ml に分散させて吸引濾過した。次いで漏斗上のゲルを70℃の温水2000mlで洗浄後、アセトン180ml に分散させ再び吸引濾過した。漏斗上のゲルをアセトン720ml で洗浄し、ステンレス製バットに広げて一日風乾した後、60℃で8 時間真空乾燥した。得られた乾燥粒子を風力分級装置により分級し、平均粒子径4 μmの多孔性ポリマー系充填剤粒子19g を得た。
【0022】
なお、キャッピング効果の具体的評価方法及び液体クロマトグラフィーの測定条件を以下に示す。
(1)キャッピング効果の評価方法
以下の(a)→(d)を順次実行した。
(a)[初期状態]初期状態のままクロマトグラフィー分析を行なった。
(b)[EDTA洗浄後]CH3CN/(0.1mM EDTA in H2O) = 30/70 を20ml以上通液してから、CH3CN/H2O = 30/70 に戻した後、クロマトグラフィー分析を行なった。
(c)[CaCl2 注入後]100mM CaCl2 in CH3CN/H2O=30/70を5 μl ずつ計100 μl 注入した後、クロマトグラフィー分析を行なった。
(d)[EDTA再洗浄後]再び(b)の操作を行なった。
(2)液体クロマトグラフィー測定条件
溶離液:CH3CN/H2O = 30/70 ;
流速:1.00ml/min;
カラム温度:40℃;
検出器:UV-254nm;
試料:ピリジンのCH3CN 溶液(0.12μl/ml);
注入量:5 μl
【0023】
(実施例1)
多孔性ポリマー系充填剤粒子3gをスクリュー管にとり、2 ,2-ジメトキシプロパン15mlと塩酸0.6ml を加えてよく振り混ぜた。室温で一夜静置後、吸引濾過し、メタノール、水、アセトンで順次洗浄し、乾燥した。こうして得た改質ポリマー系充填剤粒子を4.6mm i.d.×150mm L のステンレス製カラムにスラリー法で充填した。
【0024】
(実施例2)
多孔性ポリマー系充填剤粒子3gをスクリュー管にとり、メタノール15ml、N ,N'- ジイソプロピルカルボジイミド1.0g、4-( ジメチルアミノ) ピリジン0.15g を加えてよく振り混ぜた。室温で一夜振とう後、吸引濾過し、メタノール、DMF 、アセトンで順次洗浄し、乾燥した。得られた改質ポリマー系充填剤粒子を4.6mm i.d.×150mm L のステンレス製カラムにスラリー法で充填した。
【0025】
(実施例3)
多孔性ポリマー系充填剤粒子を4.6mm i.d.×150mm L のPEEK製カラムにスラリー法で充填し、メタノールで十分に置換した。このカラムに、4 重量%の塩酸を含む2 ,2-ジメトキシプロパン20mlを0.2ml/min の流速で送液し、室温で一夜静置後、メタノールで十分に置換した。
【0026】
(実施例4)
多孔性ポリマー系充填剤粒子3gをスクリュー管にとり、ピリジン15ml、1-プロピルアミン1.0g、N ,N'- ビス(2- オキソ-3- オキサゾリジニル) ホスフィン酸クロリド0.5gを加えてよく振り混ぜた。室温で一夜振とう後、吸引濾過し、DMF 、メタノール、水、アセトンで順次洗浄し、乾燥した。得られた改質ポリマー系充填剤粒子を4.6mm i.d.×150mm L のステンレス製カラムにスラリー法で充填した。
【0027】
(比較例)
多孔性ポリマー系充填剤粒子を4.6mm i.d.×150mm L のステンレス製カラムにスラリー法で充填した。
【0028】
実施例1〜4及び比較例のカラムについて、遊離カルボキシル基のプロトン型と金属型の割合を変動させる操作を順次施し、(a)初期状態、(b)EDTA洗浄後、(c)CaCl2 注入後、(d)EDTA再洗浄後の各々の段階で液体クロマトグラフィーによりピリジンを分析した結果を表1〜3に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
本発明の方法で改質したポリマー系充填剤でカラムを作り、有機塩基を分析すると、本発明の改質ポリマー系充填剤粒子は改質前のものと比較して、各段階におけるピークの変動が顕著に小さくなっているのがわかる。従来のポリマーカラム使用時に見られた、▲1▼保持容量のロット差が大きい、▲2▼保持容量の再現性が悪い、▲3▼テーリングが激しい、▲4▼理論段数が低い、という4つの問題点のすべてを解決することができた。
【0033】
【発明の効果】
本発明のクロマトグラフィー用充填剤を用いたカラムは、高分離能を有するため、特に医・農薬、食品添加物及びそれらの中間体、天然または合成ポリマー及びそれらの添加物及び環境汚染物質の分離・分析など幅広い分野に有用である。
Claims (6)
- ポリエステル構造、ポリアミド構造及び/またはポリイミド構造を含む架橋性粒子の遊離カルボキシル基を、不活性基によりキャッピングしてなることを特徴とする改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤。
- 不活性基によるキャッピングが、エステル化またはアミド化であることを特徴とする請求項1に記載の改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤。
- 平均粒径が1〜50μmである請求項1または2に記載の改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤。
- ポリエステル構造、ポリアミド構造及び/またはポリイミド構造を含む架橋性粒子の遊離カルボキシル基を、エステル化またはアミド化によりキャッピングすることを特徴とするクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤の改質方法。
- ポリエステル構造、ポリアミド構造及び/またはポリイミド構造を含む架橋性粒子の遊離カルボキシル基に導入されるエステルまたはアミドが、炭素数18以下のアルキルエステルまたはアルキルアミドである請求項4に記載のクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤の改質方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の改質されたクロマトグラフィー用ポリマー系分配吸着カラム充填剤を用いてなるクロマトグラフィー用カラム。
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