JP3858270B2 - 還元剤添加装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、内燃機関を「エンジン」という。)からの排気に還元剤を添加する還元剤添加装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばディーゼルエンジンなどの排気に含まれる窒素酸化物(NOx)を除去するため、エンジンの排気系にNOx還元触媒を設置し、NOx還元触媒の入口側に還元剤を添加導入する排気浄化システムが知られている(特許文献1参照)。還元剤としては、炭化水素系の還元剤が用いられ、ディーゼルエンジンの場合、燃料である軽油を還元剤として利用される。
【0003】
上述のような排気浄化システムでは、排気系を流れる排気に還元剤を添加する還元剤添加装置が設置されている。還元剤添加装置は、例えばノズルが排気通路の内部に露出して設置され、ノズルから還元剤を噴射する。そのため、還元剤添加装置のノズルは高温の排気中に曝される。
【0004】
【特許文献1】
特開平06−026328号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ノズルは、高温の排気に曝されることにより温度が上昇し、排気に含まれる不純物が付着しやすくなる。ノズル、特に噴孔の近傍に不純物が付着すると、還元剤添加装置からの還元剤の噴射量が低下し、十分な排気浄化性能の維持が困難になる。噴孔の近傍をはじめノズルへの不純物の付着を抑制するためには、噴孔の近傍におけるノズルの温度を低下させる必要がある。そこで、例えばノズルの外側にノズルを覆うノズルカバーを設置することが考えられる。ノズルの外側をノズルカバーで覆うことにより、ノズルを高温の排気から断熱し、ノズルの温度の低減が図られる。
【0006】
ノズルカバーには噴孔と対応する開口部が形成され、噴孔から噴射された還元剤は開口部を経由して排気中に添加される。一方、ノズルカバーには例えば軽量化あるいは位置合わせその他の目的のため、噴孔に対応する開口部とは別の位置にも開口部が形成されている。
【0007】
しかしながら、ノズルカバーに二か所以上の開口部を形成する場合、噴孔に対応する開口部から侵入した高温の排気はノズルとノズルカバーとの間を経由してその他の開口部へ流れる。そのため、高温の排気がノズルの周囲を流れ、噴孔の近傍におけるノズルの温度を上昇させるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ノズルとノズルカバーとの間の排気の流れを遮断し、ノズルの温度上昇が抑制される還元剤噴射装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の還元剤添加装置によると、第一開口部から第二開口部までの流体の流れを遮断する遮断手段を備えている。噴孔に対応する第一開口部から第二開口部までの排気の流れを遮断することにより、第一開口部から侵入した高温の排気がノズルとノズルカバーとの間を流れることはない。したがって、ノズルの温度の上昇を抑制することができる。
【0010】
本発明の請求項2記載の還元剤添加装置によると、遮断手段はノズルとノズルカバーとの間を閉塞している。そのため、第一開口部から侵入した排気は遮断手段により遮断され、第二開口部へ抜けることができない。これにより、第一開口部から第二開口部への排気の流れは形成されない。したがって、ノズルの温度の上昇を抑制することができる。
本発明の請求項3または5記載の還元剤添加装置によると、遮断手段はノズルまたはノズルカバーと一体の突出部を有している。そのため、部品点数を低減することができる。
【0011】
本発明の請求項4記載の還元剤添加装置によると、突出部はノズルから径方向外側へノズルカバーの内壁まで突出して形成されている。そのため、ノズルの外壁とノズルカバーの内壁との間は突出部により遮断される。これにより、第一開口部から侵入した排気がノズルとノズルカバーとの間を流れることはない。したがって、ノズルの温度の上昇を抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項6記載の還元剤添加装置によると、突出部はノズルカバーから径方向内側へノズルの外壁まで突出して形成されている。そのため、ノズルの外壁とノズルカバーの内壁との間は突出部により遮断される。これにより、第一開口部から侵入した排気がノズルとノズルカバーとの間を流れることはない。したがって、ノズルの温度の上昇を抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項7記載の還元剤添加装置によると、遮断手段は第二開口部を閉塞している。そのため、第一開口部から排気が侵入しても排気が抜ける部分はなく、第一開口部から第二開口部までの排気の流れは形成されない。したがって、ノズルの温度の上昇を抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項8記載の還元剤添加装置によると、遮断手段はノズルまたはノズルカバーと別体の遮断部材としてもよい。別体の遮断部材とすることにより、ノズルまたはノズルカバーの形状を変更する必要がなく、加工を容易にすることができる。
【0015】
本発明の請求項9記載の還元剤添加装置によると、ノズルには外壁に一対の平面部が形成されている。ノズルカバーの第二開口部は平面部に対応して形成されている。例えば、ノズルにノズルカバーを取り付ける場合、面部を保持することによりノズルを固定することができる。また、平面部と第二開口部とを対応させることにより、ノズルとノズルカバーとの位置を合わせることができ、第一開口部を確実に噴孔に対応させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による還元剤添加装置を適用したディーゼルエンジンの排気浄化システムを図2に示す。排気浄化システム1は主に還元剤添加装置10、NOx還元触媒2および還元剤供給装置3から構成されている。第1実施例による還元剤添加装置10は、4気筒のディーゼルエンジン5からの排気に還元剤を噴射する。還元剤としては、炭化水素系の還元剤であるディーゼルエンジン5の燃料すなわち軽油が用いられる。
【0017】
還元剤添加装置10は、ディーゼルエンジン5の排気系を構成する排気通路6に設置され、排気通路6を流れる排気に還元剤を噴射する。還元剤添加装置10は、排気通路6に接続されているNOx還元触媒2の入口側に設置されている。なお、図示しない過給機を備えるディーゼルエンジンの場合、還元剤添加装置10は排気通路6の途中に設置される過給機の入口側または出口側のいずれかに設置してもよい。
【0018】
排気系は、前述の排気通路6と排気通路6からディーゼルエンジン5の各気筒51に分岐している排気マニホールド61とから構成されている。排気通路6には、排気が流れる方向に沿って還元剤添加装置10およびNOx還元触媒2の順に設置されている。
【0019】
還元剤添加装置10は、ECU7からの指令により燃料の噴射を断続する。ECU7には、ディーゼルエンジン5に設置されている各種のセンサから吸気流量、吸気圧、回転数およびアクセル開度などの各種情報が入力される。ECU7は、入力された情報からディーゼルエンジン5の運転のために各気筒51に噴射される燃料の噴射量を制御するとともに、排気に還元剤を噴射する還元剤添加装置10を制御する。ECU7ではディーゼルエンジン5の回転数およびアクセル開度などに相関するNOx排出量が算出され、ECU7は算出されたNOxの排出量に基づいて還元剤添加装置10から噴射される還元剤の噴射量および噴射時期を設定する。そして、ECU7は、設定された還元剤の噴射量および噴射時期に基づいて還元剤添加装置10を制御する。
NOx還元触媒2としては、例えばPtやPdなどの貴金属系の活性成分がセラミックスあるいは金属酸化物などの担体に担持された触媒が使用される。NOx還元触媒2は、例えばモノリスタイプまたはペレットタイプに成形されている。
【0020】
還元剤供給装置3は、図示しない燃料タンクに蓄えられている還元剤である燃料を還元剤添加装置10へ供給する。燃料タンクに蓄えられている燃料は、給送管8を経由して還元剤供給装置3から還元剤添加装置10へ供給される。燃料タンクに蓄えられている燃料は、燃料としてディーゼルエンジンに供給されるとともに、炭化水素系の還元剤として還元剤添加装置10に供給される。
【0021】
還元剤添加装置10は、図3に示すように排気通路6を形成しているエンジンヘッド62ならびにエンジンヘッド62との間にカム室63を形成するヘッドカバー64を貫いて設置されている。還元剤添加装置10は、開閉弁20、駆動手段30、保持搭載部40およびノズル70から構成されている。
【0022】
開閉弁20は、弁部材21および弁ボディ22を有し、ノズル70からの還元剤の噴射を断続する。図1に示すように、弁部材21はノズル70側の端部近傍の外壁に当接部23を有している。当接部23は、弁ボディ22の内壁に形成されている弁座部24と当接可能である。当接部23が弁座部24から離座することによりノズル70への還元剤の流れは開放され、当接部23が弁座部24に着座することによりノズル70への還元剤の流れは閉鎖される。
【0023】
図3に示すように、駆動手段30は、コイル31、固定コア32、可動コア33、ステータ34およびスプリング35などを有している。駆動手段30は、可動コア33と一体の弁部材21を軸方向へ往復駆動する。コイル31は、スプール36に巻回され、固定コア32とステータ34との間に設置されている。コイル31は、通電されることにより磁界を発生する。コイル31には配線部37が接続されており、配線部37の反コイル側の端部はコネクタ11のターミナル12に接続されている。コイル31は、配線部37およびターミナル12を経由してECU7と電気的に接続されており、ECU7から電力が供給される。
【0024】
固定コア32およびステータ34は磁性材料から形成されている。固定コア32のノズル70側の端部には可動コア33設置されており、可動コア33には弁部材21が例えば溶接などにより接続されている。一体の可動コア33および弁部材21は、パイプ部材13の内周側に軸方向へ移動可能に収容されている。
【0025】
パイプ部材13は、非磁性部131を挟んで磁性部132および磁性部133を有しており、内周側に固定コア32が圧入されている。パイプ部材13のノズル70側の端部には、例えば溶接などにより弁ボディ22が接続されている。固定コア32は筒状に形成されており、固定コア32の内周側にはアジャスティングパイプ14が圧入されている。アジャスティングパイプ14はスプリング35と当接している。スプリング35の反アジャスティングパイプ側の端部は可動コア33に当接している。スプリング35は固定コア32および弁部材21を当接部23が弁座部24へ着座する方向へ付勢する。固定コア32に対するアジャスティングパイプ14の圧入量を調整することにより、スプリング35の付勢力は調整される。
【0026】
還元剤供給装置3から供給された還元剤は、還元剤入口15へ流入する。還元剤入口15から流入した還元剤は、パイプ部材13の内側、アジャスティングパイプ14の内側、固定コア32の内側、可動コア33の内側、弁部材21の内側、弁部材21に形成されている還元剤通路25、ならびに弁部材21と弁ボディ22との間を経由してノズル70に供給される。コイル31、ステータ34およびパイプ部材13の外側には、コイル31、ステータ34およびパイプ部材13などを被覆するモールド樹脂16が形成されている。開閉弁20ならびにモールド樹脂16により被覆された駆動手段30は、一体の作動部を構成している。
【0027】
ECU7からコイル31へ電力が供給されると、コイル31には磁界が発生し、コイル31の周囲に設置されている磁性部133、ステータ34、磁性部132、可動コア33および固定コア32には磁気回路が形成される。これにより、固定コア32と可動コア33との間には磁気吸引力が発生し、可動コア33はスプリング35の付勢力に抗して固定コア32方向へ吸引される。そのため、弁部材21は図3の上方へ移動し、当接部23は弁座部24から離座する。その結果、開閉弁20からノズル70への還元剤の流れは開放される。可動コア33が固定コア32に当接することにより、弁部材21の図3の上方への移動は制限される。
【0028】
一方、コイル31への電力の供給が停止されると、固定コア32と可動コア33との間の磁気吸引力は消滅する。これにより、スプリング35の付勢力により可動コア33と一体の弁部材21は図3の下方へ移動し、当接部23は弁座部24に着座する。その結果、開閉弁20からノズル70への還元剤の流れは閉鎖される。
【0029】
保持搭載部40は、ハウジングおよび樹脂カバー44を備えている。ハウジングは、それぞれ別体に構成されている第一ハウジング41、第二ハウジング42および第三ハウジング43を有している。各ハウジングは筒状に形成されており、内部に開閉弁20および駆動手段30から構成される作動部が収容されている。第一ハウジング41と第二ハウジング42、ならびに第二ハウジング42と第三ハウジング43とは、それぞれ例えばねじ止めあるいは溶接などにより接続されている。第一ハウジング41には還元剤が導入される導入口45が形成されている。導入口45は給送管8に接続され、還元剤供給装置3から給送管8を経由して還元剤が供給される。第一ハウジング41の反第二ハウジング側には、樹脂カバー44が隣接して形成されている。樹脂カバー44は、ディーゼルエンジン5のヘッドカバー64に保持される。樹脂カバー44とヘッドカバー64との間には、カム室63とヘッドカバー64の外部との間をシールするためのオイルシール65が設置されている。
【0030】
第三ハウジング43は、ディーゼルエンジン5のエンジンヘッド62に保持される。第三ハウジング43の反第二ハウジング側の端部にはノズル70が接続されている。ノズル70はノズルボディ71を有している。ノズルボディ71はリテーニングナット72によるねじ止めによって第三ハウジング43に固定されている。
【0031】
ノズルボディ71は、排気通路6の中心軸方向へ伸びて形成されている。ノズルボディ71には、図1に示すように噴孔73、ならびに噴孔73と開閉弁20の還元剤出口側とを連通する連通路74が形成されている。噴孔73は、排気の流れの下流側に向けて形成されている。開閉弁20の当接部23と弁座部24との間を通過した燃料は、連通路74を経由して噴孔73から排気通路6を流れる排気に噴射される。
【0032】
ノズルボディ71の外側には、ノズルカバー80が装着されている。ノズルカバー80は、ノズルボディ71の外側を覆い、ノズルボディ71の外壁および噴孔73の近傍に排気に含まれる不純物が付着するのを防止する。ノズルカバー80は、図1に示すように筒部81およびフランジ部82を有している。筒部81はノズルボディ71の外周側に位置している。フランジ部82はノズルボディ71とリテーニングナット72との間に挟み込まれている。フランジ部82がノズルボディ71とリテーニングナット72との間に挟み込まれることにより、ノズルカバー80はノズルボディ71に固定される。ノズルカバー80には第一開口部83および第二開口部84が形成されている。
【0033】
第一開口部83は、筒部81の底部に形成されている。すなわち、第一開口部83は、筒部81の反フランジ側の端部に形成され、ノズルボディ71に形成されている噴孔73に対応して形成されている。すなわち、第一開口部83は噴孔73から排気通路6への還元剤の流れを妨げない位置に開口している。これにより、噴孔73から噴射された還元剤は、ノズルカバー80の第一開口部83を経由して排気通路6を流れる排気に添加される。
【0034】
一方、第二開口部84は、筒部81の側壁に形成されており、筒部81においてフランジ部82と第一開口部83との間に位置している。第二開口部84は、図4に示すようにノズルボディ71の平面部75に対応する位置に形成されている。ノズルボディ71の軸方向の一部は、円弧と円弧とを接続する矩形から形成される長円形の断面形状を有している。すなわち、ノズルボディ71は外壁のうち側壁に一対の平行な平面部75を有している。第二開口部84は、この平面部75に対応して形成されている。ノズルカバー80に形成されている第二開口部84とノズルボディの71に形成されている平面部75とは、軸方向において互いの位置が重なり合っている。これにより、第二開口部84を通して、ノズルボディ71およびノズルカバー80の位置合わせが可能である。なお、ノズルボディ71には複数の組の平面部75を形成してもよい。
【0035】
ノズルボディ71に平面部75を形成することにより、ノズルボディ71は還元剤添加装置10の組み付け時において図4に示すように保持部材100により保持可能となる。保持部材100は、例えば平面部75に対応する腕部101によりノズルボディ71を挟み込んで保持する。第二開口部84は平面部75に対応して形成されているため、ノズルカバー80が装着されたノズルボディ71は第二開口部84を介して保持部材100により保持される。ノズルカバー80には第一開口部83および第二開口部84が所定の位置関係となるように形成されている。そのため、ノズルカバー80が装着されたノズルボディ71に保持部材100が取り付けられると、ノズルカバー80の回転が制限され、ノズルボディ71に対するノズルカバー80の位置が決定される。これにより、第二開口部84と平面部75との位置が合わせられると、噴孔73と第一開口部83との位置が合わせされる。ノズルボディ71とノズルカバー80との位置を合わせた状態でリテーニングナット72を第三ハウジング43に取り付けることにより、噴孔73と第一開口部83とが対応した状態でノズルボディ71およびノズルカバー80を第三ハウジング43に固定することができる。
【0036】
ノズルボディ71には、図1および図4に示すように径方向外側へ突出する遮断手段としての突出部76が形成されている。突出部76は、ノズルボディ71からノズルボディ71と一体にノズルカバー80の内壁まで形成されている。突出部76は、ノズルカバー80の内壁まで形成されることにより、ノズルボディ71とノズルカバー80との間を閉塞している。突出部76の外壁はノズルカバー80の内壁と当接している。ノズルボディ71に突出部76を形成することにより、ノズルボディ71とノズルカバー80との間に形成される隙間は突出部76により閉塞される。これにより、第一開口部83と第二開口部84との間は突出部76により遮断される。そのため、第一開口部83から排気通路6を流れる排気がノズル70の近傍に流入しても、第二開口部84へ抜けることができない。その結果、第一開口部83から第二開口部84へ至る排気の流れは形成されない。
【0037】
以上、説明したように本発明の第1実施例では、ノズルボディ71とノズルカバー80との間を閉塞する突出部76がノズルボディ71と一体に形成されている。突出部76は、第一開口部83から第二開口部84までの間においてノズルボディ71とノズルカバー80との間に形成される隙間を閉塞する。これにより、第一開口部83から第二開口部84までの排気の流れは形成されない。したがって、高温の排気がノズル70の周辺を流れることを防止でき、ノズル70の温度の上昇を抑制することができる。また、突出部76はノズルボディ71と一体に形成されているため、部品点数を低減することができる。
【0038】
第1実施例では、第二開口部84を形成することにより、ノズルボディ71とノズルカバー80との位置合わせを容易にすることができる。また、位置合わせを容易にするために第二開口部84を形成する場合でも、突出部76により第一開口部83から第二開口部84への高温の排気の流れを遮断することができる。したがって、ノズルボディ71とノズルカバー80の位置合わせの簡略化と、ノズル70の近傍における温度の上昇の抑制とを両立することができる。また、第二開口部84を形成することにより、ノズルカバー80を軽量化することができる。
【0039】
(第2実施例)
本発明の第2実施例による還元剤添加装置を図5に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図5に示すように、第2実施例による還元剤添加装置10のノズルカバー80には、径方向内側へ突出する遮断手段としての突出部85が形成されている。突出部85は、ノズルカバー80からノズルカバー80と一体にノズルボディ71の外壁まで形成されている。突出部85は、ノズルボディ71の外壁まで形成されることにより、ノズルボディ71とノズルカバー80との間を閉塞している。突出部85の内周側の端部はノズルボディ71の外壁と当接している。ノズルカバー80に突出部85を形成することにより、ノズルボディ71とノズルカバー80との間に形成される隙間は突出部85により閉塞される。これにより、第一開口部83と第二開口部84との間は突出部85により遮断される。そのため、第一開口部83から排気通路6を流れる排気がノズル70の近傍に流入しても、排気が第二開口部84へ抜けることができない。その結果、第一開口部83から第二開口部84へ至る排気の流れは形成されない。
【0040】
第2実施例では、第1実施例と同様にノズル70の温度上昇の抑制、ならびにノズルボディ71とノズルカバー80との位置合わせの簡略化などの効果を得ることができる。また、第2実施例では、ノズルボディ71に比較して板厚が薄く加工が容易なノズルカバー80に突出部85を形成している。そのため、ノズルボディ71に突出部を形成する場合と比較して、突出部85の形成のために要する加工工数および加工コストを低減することができる。
【0041】
(第3実施例)
本発明の第3実施例による還元剤添加装置を図6に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図6に示すように、第3実施例ではノズルカバー80の第二開口部84は遮断部材90により塞がれている。遮断部材90は、ノズルボディ71またはノズルカバー80とは別体に形成されており、第二開口部84を塞いでいる。遮断部材90は、第二開口部84と概ね同一形状として第二開口部84にはめ込んで第二開口部84を塞ぐ構成とすることができる。また、遮断部材90は、第二開口部84よりも大きな形状に形成し、第二開口部84の外側に取り付け第二開口部84を塞ぐ構成としてもよい。すなわち、第二開口部84は、ノズルボディ71およびノズルカバー80が第三ハウジング43に取り付けられた後、別部材である遮断部材90により塞がれる。これにより、第一開口部83から排気通路6を流れる排気がノズル7の近傍に流入しても、排気が第二開口部84へ抜けることはない。その結果、第一開口部83から第二開口部84へ至る排気の流れは形成されない。
【0042】
第3実施例では、第1実施例と同様にノズル70の温度上昇の抑制、ならびにノズルボディ71とノズルカバー80との位置合わせの簡略化などの効果を得ることができる。また、第3実施例では、ノズルボディ71およびノズルカバー80とは別体の遮断部材90を第二開口部84に取り付けている。そのため、ノズルボディ71あるいはノズルカバー80の設計の変更ならびにノズルボディ71あるいはノズルカバー80への突出部の形成が不要となる。したがって、ノズルボディ71およびノズルカバー80の加工工数および加工コストを低減することができる。
【0043】
以上説明した複数の実施例では、突出部をノズルボディまたはノズルカバーの一方に形成する場合について説明した。しかし、突出部はノズルボディおよびノズルカバーの両方に形成してもよく、ノズルボディの軸方向の複数の位置に形成してもよい。また、第1実施例、第2実施例および第3実施例を個別に説明したが、各実施例を組み合わせて適用してもよい。さらに、ノズルの噴孔の形状もしくは数、または開閉弁などの構造は任意に変更することができる。さらに、還元剤としてディーゼルエンジンの燃料である軽油を用いる例について説明したが、還元剤は軽油に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による還元剤添加装置のノズルの近傍を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例による還元剤添加装置を適用した排気浄化システムを示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施例による還元剤添加装置を示す断面図である。
【図4】図1のIII−III線で切断した断面図である。
【図5】本発明の第2実施例による還元剤添加装置のノズルの近傍を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施例による還元剤添加装置のノズルの近傍を示す断面図である。
【符号の説明】
6 排気通路(排気系)
10 還元剤添加装置
61 排気マニホールド(排気系)
70 ノズル
73 噴孔
75 平面部
76 突出部(遮断手段)
80 ノズルカバー
83 第一開口部
84 第二開口部
85 突出部(遮断手段)
90 遮断部材
Claims (9)
- 内燃機関の排気系に設置され、前記内燃機関からの排気に還元剤を添加する還元剤添加装置であって、
還元剤が噴射される噴孔を有するノズルと、
前記ノズルの外側を覆い、前記噴孔に対応する位置に形成されている第一開口部、ならびに前記第一開口部とは異なる位置に形成されている第二開口部を有するノズルカバーと、
前記第一開口部から前記第二開口部までの排気の流れを遮断する遮断手段と、
を備えることを特徴とする還元剤添加装置。 - 前記遮断手段は、前記ノズルと前記ノズルカバーとの間を閉塞していることを特徴とする請求項1記載の還元剤添加装置。
- 前記遮断手段は、前記ノズルと一体に形成されている突出部を有することを特徴とする請求項2記載の還元剤添加装置。
- 前記突出部は、前記ノズルから径方向外側へ前記ノズルカバーの内壁まで突出して形成されていることを特徴とする請求項3記載の還元剤添加装置。
- 前記遮断手段は、前記ノズルカバーと一体に形成されている突出部を有することを特徴とする請求項2記載の還元剤添加装置。
- 前記突出部は、前記ノズルカバーから径方向内側へ前記ノズルの外壁まで突出して形成されていることを特徴とする請求項5記載の還元剤添加装置。
- 前記遮断手段は、前記第二開口部を閉塞していることを特徴とする請求項1記載の還元剤添加装置。
- 前記遮断手段は、前記ノズルまたは前記ノズルカバーと別体に形成されている遮断部材を有することを特徴とする請求項1または7記載の還元剤添加装置。
- 前記ノズルは外壁に少なくとも一対の平行な平面部を有し、前記第二開口部は前記平面部に対応して形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の還元剤添加装置。
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