JP3857863B2 - 液体現像方式の電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体現像方式の電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フルカラー電子写真装置における構成部材に厚さ数十μm程度の薄いシームレスベルトが用いられることがある。これは、各色トナーを重ね合わせるために中間転写ベルトを用いる方式や、各色毎に感光体を有し、逐次転写ベルト上の紙媒体に重ね合わせるタンデム方式などで採用されている。いずれにしても、ベルトの安定駆動は画像の位置精度や重ね合わせ精度にとって非常に重要である。
【0003】
但し、これらのベルト構造において、駆動はベルトが巻き掛けられている原動ローラとベルトの接触面の摩擦力に負うところが大きく、使用状態によってはベルト内面に異物やオイル分が付着して、ベルトの安定走行性に支障をきたすことがある。
【0004】
従来より、中間転写ベルト表面に残余したキャリア溶媒やオイル分は、ブレード構造により掻き取られていたが、十分なものではなかった。特に、不揮発性キャリア溶媒を用いる液体現像電子写真装置においては、ベルト上の残存キャリア溶媒(オイル)がベルト内面に回り込むことがあり、ベルトの安定駆動に支障を生じていた。
【0005】
また、中間転写ベルト上に形成された画像が最終的に、印刷媒体(紙など)へ転写されるため、ベルトの表面状態が、画像の光沢、解像度、ムラ、転写効率、或いは画像欠陥に大きく影響を与えている。ベルト表面は、印刷媒体と接触するため摩耗が発生し、画像を劣化させる。画像品質を保つため、ベルト寿命が設定されており、ランニングコスト上昇の原因となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、高粘度液体トナーを始めとする不揮発性のキャリア溶媒を用いて液体現像電子写真装置において、各色トナー画像の重ね合わせに用いられる中間転写体の一形態である中間転写ベルト内面に浸入するトナーや異物、オイル等を確実に除去して、中間転写ベルトを滑ることなく、安定的に駆動させることを目的としている。
【0007】
また、本発明は、中間転写ベルトの表裏を画像転写面として利用することを可能にして、ベルト寿命を延長させて、ランニングコストを低下させることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体現像方式の電子写真装置は、複数色のトナー画像の重ね合わせに用いられるベルト構成の中間転写ベルト、及び該中間転写ベルト上に残存するキャリア溶媒を除去するため中間転写ベルトに当接するブレードを備えて、該残存キャリア溶媒がベルト内面に浸入するのを防ぐ。中間転写ベルトの幅よりも広い幅を有するブレードは、当接する中間転写ベルトの幅方向両側のエッジ部において、ブレードの掻き取り側を板状形状の厚さ方向に端部を幅広にしたテーパ形状にされる。そして、このブレードは、中間転写ベルト表面に接触するブレード先端側の形状を、中間転写ベルト幅方向の両側においてブレード両端部を突き出して中間転写ベルトを付圧する方向に両端部を長くしたテーパ形状にされる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に従って本発明を詳細に説明する。図1は、本発明を具体化する液体現像方式の電子写真装置の構成例を示す図である。なお、本発明は、不揮発性を示す高粘度で高濃度の液体トナーを液体現像液として用いるものであるが、液体トナーは、液体キャリア(オイル)中に顔料などの固体粒子を分散させたものである。
【0011】
図示したように、本発明の液体現像電子写真装置は、装置の最下部に設けられる現像部と、その上の中間転写部と、装置最上部に位置する転写定着部とから構成される。現像部は、イエロー/マゼンタ/シアン/ブラックに対応付けて設けられるが、感光ドラム(感光体)10は、4色に対して共通に設けられている。感光ドラム10を帯電させるための帯電器、露光装置、及び除電装置も4色共通に設けられている。帯電器は、感光ドラム10を約700Vに帯電させる。矢印で示す露光は、帯電した感光ドラム10を画像データに基づき、例えば、780nmの波長を持つレーザ光を使って行われる。これによって、感光ドラム10上に、露光部分の電位が約100Vとなる静電潜像が形成される。また、除電装置は、感光ドラム10上の残存電位を除電する。
【0012】
色毎に備えられた現像ローラは、約400V〜600Vのような所定の電圧にバイアスされて、感光ドラム10との間の電界に従って、正に帯電しているそのトナーを感光ドラム10に供給する。これによって、約100Vに帯電される感光ドラム10上の露光部分にトナーを付着させて、感光ドラム10上の静電潜像を現像し、画像を形成する。トナー供給ローラは、各色トナー毎に1つ又は複数のローラから構成されて、トナー粘度が100〜4000mPa・Sで、キャリア粘度が20〜500cSt、好適には100cStを持つ液体トナーを、トナー溜まりから薄く延ばしながら搬送していくことで現像ローラ上に所定の層厚(例えば、4〜10μm)で液体トナーを塗布する。
【0013】
第一中間転写体としての中間転写ローラ15は、約−800Vにバイアスされて、感光ドラム10との間の電界に従って、感光ドラム10に付着されたトナーを、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に1色づつ転写して、中間転写ローラ15の上で4色のトナー画像が重ね合わされて、カラー画像が形成される。4色重ね合わされる間に、中間転写ローラ15は4回転させられる。クリーニングブレードは、第二中間転写体に転写後の適切なタイミングで中間転写ローラ15に接触して、その上に残存するトナーやプリウエット液を取り除く。
【0014】
第二中間転写体としてのベルト構成の中間転写ベルト16上に、4色カラー画像は静電的に転写され、キャリア除去部でキャリア液体が除去された後、転写されたトナー画像は印刷媒体との接触部において加熱溶融され、印刷媒体に溶融転写される。中間転写ベルト16上に液体トナーで形成された画像にはキャリア液体が含まれており、複数のローラから構成されるように例示したキャリア除去部では、このキャリアオイル分が除去される。中間転写ベルト16上のトナー画像は、ヒートローラ18によって加熱溶融されると共に、該ヒートローラ18と協働するヒータ内蔵の加圧ローラ19によって印刷媒体に転写定着させられる。
【0015】
ヒートローラ18及びヒータ内蔵の加圧ローラ19による加熱は、中間転写ベルト16上のトナー画像を溶融させて、キャリア除去効率を改善すると共に、印刷媒体への転写定着を行うためである。そして、このように加熱された中間転写ベルト16は、転写定着後に、冷却する必要がある。これは、例えば、中間転写ベルト16を巻き掛けたローラ(冷却ローラ)を冷却することにより行うことができる。冷却を行うのは、中間転写ローラ15から中間転写ベルト16にトナーが転写されるときに、トナーが溶融してしまうことにより、転写不良が発生するのを防止すると共に、中間転写ローラ15に熱が伝達するのを防止するためである。
【0016】
印刷媒体に転写定着された後、残余のトナーは、再び中間転写ローラ15に接触する前までの位置において、中間転写ベルトに対してドクター方向(食い付き方向)に当接させたブレードにより掻き取られる。図2は、このようなブレード構造の概念図を示している。ブレード構造は、金属支持体に支持され、かつ、例えばゴムにより板状に構成されたブレードを有している。
【0017】
ブレードとベルト表面に溜まった液体分は、接触部で塗れ拡がりながら、ベルト端部からベルト内面に浸入しやすい。そこで、ブレード材料を表面エネルギーの小さい材料(例えば、フッソ樹脂コート等)とすることで、ベルトと掻き取りブレード接触部で液体分を水玉状にして、ベルト端部への拡がりを抑制することができる。
【0018】
図3は、図2に示すブレードの厚さ方向を、図の上下に示している。比較のために従来方式のブレードを図4に示している。図4に示す従来のブレードは、ベルト幅方向に一定の厚さを有している。このため、ベルト端部から外方向にトナーや異物、オイル分が逃げやすく、ベルト内面に浸入する原因になっていた。 これに対して、図3に示す掻き取りブレードのエッジ形状は、図示したように、ベルト幅方向の左右両側のエッジ部において、ブレードの上流側(掻き取り側)で端部を幅広したテーパ形状とすることで、ベルトエッジのトナーや異物、オイル分を外方向に逃がさないようにすることが可能となる。
【0019】
図5は、図2に示すブレードの付圧方向を、図の上下に示している。比較のために従来方式のブレードを図6に示している。図6に示す従来のブレードは、ベルトの左右方向の端部が、ブレードの接圧に対して逃げやすいため、十分な接触が得られず、トナーや異物、オイル分の掻き取り不良(擦り抜け、掻き取りムラ)を起こしやすい。
【0020】
これに対して、図5に示すブレード構造は、ベルト表面に接触するブレード先端側(ベルトに当接する側)の形状を、図示したように、ベルト幅方向の両側(ベルトエッジ)において、両端部を長くしたテーパ形状(逆クラウン形状)とすることで、ベルト端部においても十分な接圧を保証することが可能となる。
【0021】
図7は、図1に示した中間転写ベルトの表裏を反転させる構成を説明するための図である。図示したように、中間転写ベルト16上のトナー画像が、ヒートローラ18及びヒータ内蔵の加圧ローラ19による加熱により溶融されて、印刷媒体に転写定着を行った後の、画像が存在せず、印刷プロセスに支障のない適宜の位置において、中間転写ベルトの表裏が反転させられる。いわゆる「メビウスの輪」形状に構成される。これによって、ベルト表裏が画像転写面として使用できるため、同じベルト長さで比較すると、寿命が2倍の中間転写ベルトを実現することができる。
【0022】
図8は、このような中間転写ベルトの断面図を示している。図示したように、導電性ポリイミド樹脂PIから成る基材層の表裏両側に表面層をコートすることにより、構成される。表面層としては、剥離性があり、表面粗さが小さく、導電性、耐熱性の、例えばシリコーンゴム系或いはフッ素系のゴム層を用いることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、中間転写ベルト内面に浸入するトナーや異物、オイル等を確実に除去して、中間転写ベルトを滑ることなく、安定的に駆動させることを可能にする。
【0024】
また、本発明は、中間転写ベルトの表裏を画像転写面として利用することを可能にして、ベルト寿命を延長させて、ランニングコストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化する液体現像方式の電子写真装置の構成例を示す図である。
【図2】ブレード構造の概念図である。
【図3】図2に示すブレードの厚さ方向を、図の上下に示す図である。
【図4】図3との比較のために従来方式のブレードを示す図である。
【図5】図2に示すブレードの付圧方向を、図の上下に示す図である。
【図6】図5との比較のために従来方式のブレードを示す図である。
【図7】図1に示した中間転写ベルトの表裏を反転させる構成を説明するための図である。
【図8】中間転写ベルトの断面図を示す図である。
【符号の説明】
10 感光ドラム
15 中間転写ローラ
16 中間転写ベルト
18 ヒートローラ
19 加圧ローラ
Claims (2)
- 複数色のトナー画像の重ね合わせに用いられるベルト構成の中間転写ベルト、及び該中間転写ベルト上に残存するキャリア溶媒を除去するため中間転写ベルトに当接するブレードを備えて、該残存キャリア溶媒がベルト内面に浸入するのを防ぐ液体現像方式の電子写真装置において、
前記中間転写ベルトの幅よりも広い幅を有する前記ブレードは、当接する中間転写ベルトの幅方向両側のエッジ部において、ブレードの掻き取り側を板状形状の厚さ方向に端部を幅広にしたテーパ形状にし、かつ、中間転写ベルト表面に接触するブレード先端側の形状を、中間転写ベルト幅方向の両側においてブレード両端部を突き出して中間転写ベルトを付圧する方向に両端部を長くしたテーパ形状にした
ことから成る液体現像方式の電子写真装置。 - 前記ブレードは、表面エネルギーの小さい材料とすることで、ベルトと掻き取りブレード接触部で液体分を水玉状にして、ベルト端部への拡がりを抑制した請求項1に記載の液体現像方式の電子写真装置。
Priority Applications (1)
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JP2000230164A JP3857863B2 (ja) | 2000-07-31 | 2000-07-31 | 液体現像方式の電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000230164A JP3857863B2 (ja) | 2000-07-31 | 2000-07-31 | 液体現像方式の電子写真装置 |
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JP2002040814A JP2002040814A (ja) | 2002-02-06 |
JP3857863B2 true JP3857863B2 (ja) | 2006-12-13 |
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ID=18723162
Family Applications (1)
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JP2000230164A Expired - Lifetime JP3857863B2 (ja) | 2000-07-31 | 2000-07-31 | 液体現像方式の電子写真装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3857863B2 (ja) |
-
2000
- 2000-07-31 JP JP2000230164A patent/JP3857863B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JP2002040814A (ja) | 2002-02-06 |
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