JP3857857B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弁金属からなる陽極体表面に誘電体酸化皮膜及び陰極層が順次形成された固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の固体電解コンデンサは、図5乃至図6に示すように、Ta(タンタル)等の弁金属(valve metal)の焼結体からなる陽極体(2)に陽極リード線(3)を結合又は接着し、リン酸水溶液中の陽極酸化処理にて陽極体(2)の表面に誘電体酸化皮膜(4)を形成し、該誘電体酸化皮膜(4)上にMnO2(二酸化マンガン)、導電性有機化合物等の固体導電性物質からなる陰極層(5)を形成することにより、コンデンサ素子(6)を形成する。ここで弁金属とは、電解酸化処理により、極めて緻密で耐久性を有する誘電体酸化皮膜が形成される金属をいい、Taの他、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Nb(ニオブ)等が該当する。また、導電性有機化合物には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン等の導電性高分子や、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)錯塩、無機半導体などが挙げられる。
【0003】
次に、コンデンサ素子(6)の陰極層(5)上に、カーボン層(7)及び銀ペイント層(8)を形成して、コンデンサ素子本体(1)となし、該コンデンサ素子本体(1)の陽極リード線(3)に溶接等によって陽極リードフレーム(9)を取り付け、コンデンサ素子本体(1)の銀ペイント層(8)に銀ペースト(図示せず)によって帯板状の陰極リードフレーム(10)を接着する。この際、陰極リードフレーム(10)は、図6に示すように、コンデンサ素子本体(1)を保持する部分は予め折り曲げられている。そして、全体をエポキシ樹脂等のモールド樹脂(11)によって封止し、エージング処理を行って固体電解コンデンサが完成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、高周波を用いた電子機器の発展に伴い、高周波領域において内部インピーダンスの低い高周波特性に優れた小型且つ大容量のコンデンサが必要とされている。特に、コンデンサの内部インピーダンスのうち、ESR(等価直列抵抗)を低減する市場要求が大きくなってきている。
【0005】
しかし乍ら、Ta焼結体を陽極体に用いた従来の固体電解コンデンサでは、容量の点で優れているものの、ESRが比較的高く、これを低減することが望まれている。また、陽極体としてAl板を用いた固体電解コンデンサでは、大容量化が困難であるといった問題があった。
【0006】
従って、本発明は、コンデンサを大型化することなく、ESRが低く、且つ大容量の固体電解コンデンサを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る固体電解コンデンサは、上記問題を解決するため、弁金属からなる陽極体表面に誘電体酸化皮膜、陰層、カーボン層及び、銀ペースト層が順次形成されたコンデンサ素子本体を複数備え、前記複数のコンデンサ素子本体は、少なくとも焼結体で形成されてなるものと薄板状のものが用いられ、コンデンサ素子本体の銀ペースト層間を銀ペーストによって並列に接合されてなると共に、前記複数のコンデンサ素子本体を樹脂で被覆してなる固体電解コンデンサにおいて、前記焼結体の陽極リード線埋め込み面と薄板状の陽極側端面がずれてなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に本発明に係る固体電解コンデンサに用いるコンデンサ素子本体を示す。
【0009】
図1(a)において、(2a)は焼結体からなるTa陽極体、(3a)は陽極リード線、(4)はTa陽極体(1a)表面に形成した誘電体酸化皮膜、(5)は誘電体酸化皮膜(4)上に形成したポリピロールからなる陰極層で、これらによりTaコンデンサ素子(6a)が構成される。次いで、陰極層(5)表面にカーボン層(7)、銀ペイント層(8)を順次形成し、Taコンデンサ素子本体(1a)を完成した。
【0010】
また、図1(b)において、(2b)は薄板状のAl陽極体、(3b)は金属箔(図示せず)を介してAl陽極体(2b)に接続されたリードワイヤ、(4)はAl陽極体(1b)表面に形成した誘電体酸化皮膜、(5)は誘電体酸化皮膜(4)上に形成したポリピロールからなる陰極層で、これらによりAlコンデンサ素子(6b)が構成される。次いで、陰極層(5)表面にカーボン層(7)、銀ペイント層(8)を順次形成し、Alコンデンサ素子本体(1b)を完成した。
(実施例1)
図2に本発明の第1の実施例を示す。本実施例では、図1に示したTaコンデンサ素子本体(1a)とAlコンデンサ素子本体(1b)の銀ペイント層間を銀ペースト(図示せず)によって並列に接合し、各々のコンデンサ素子本体(1a)(1b)から導出されている陽極リード線(3a)及びリードワイヤ(3b)を陽極リードフレーム(9)に溶接、または銀ペーストにて接着すると共に、Taコンデンサ素子本体(1a)の接合面と異なる面で銀ペースト(図示せず)を介して陰極リードフレーム(10)に接着する。また、図示はしていないが、これらコンデンサ素子本体(1a)(1b)をエポキシ樹脂等の外装樹脂で覆い、エージング処理を行って固体電解コンデンサが完成する。
(実施例2)
図3に本発明の第2の実施例を示す。斯かる実施例では、図1に示したTaコンデンサ素子本体(1a)と2個のAlコンデンサ素子本体(1b)(1b)で挟むように、各銀ペイント層間を銀ペースト(図示せず)によって並列に接合し、各々のコンデンサ素子本体(1a)(1b)(1b)から導出されている陽極リード線(3a)及びリードワイヤ(3b)(3b)を陽極リードフレーム(9)に溶接、または銀ペーストにて接着すると共に、一方のAlコンデンサ素子本体(1b)の接合面と異なる面で銀ペースト(図示せず)を介して陰極リードフレーム(10)に接着する。最後に、第1実施例と同様に、コンデンサ素子本体(1a)(1b)(1b)を外装樹脂で覆い、エージング処理を行って固体電解コンデンサが完成する。
(実施例3)
図4に本発明の第3の実施例を示す。斯かる実施例では、図1に示したTaコンデンサ素子本体(1a)とAlコンデンサ素子本体(1b)の銀ペイント層間を銀ペースト(図示せず)によって並列に接合し、Taコンデンサ素子本体(1a)の接合面と異なる面で銀ペースト(図示せず)を介して陰極リードフレーム(10)に接着すると共に、陰極リードフレーム(10)の他面にもう1つのAlコンデンサ素子本体(1b)を銀ペースト(図示せず)を介して接着し、各々のコンデンサ素子本体(1a)(1b)(1b)から導出されている陽極リード線(3a)及びリードワイヤ(3b)(3b)を陽極リードフレーム(9)に溶接、または銀ペーストにて接着する。最後に、第1実施例と同様に、コンデンサ素子本体(1a)(1b)(1b)を外装樹脂で覆い、エージング処理を行って固体電解コンデンサが完成する。
【0011】
次に、図1に示したコンデンサ素子本体(1a)(1b)の各単体と、第1乃至第3実施例のコンデンサを各々20個作成し、120Hzにおける容量及び100kHzにおけるESRを測定し、その平均値を算出した。その結果を表1に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0003857857
【0013】
表1より、第1乃至第3実施例は、コンデンサ素子本体(1a)(1b)の各単体(即ち、従来装置に相当)に比べ、ESRが大きく低減していることが分かる。尚、第1乃至第3実施例は、焼結体からなるTaコンデンサ素子本体(1a)に薄板状のAlコンデンサ素子本体(1b)1又は2個を平板面で接合しているだけなので、外装樹脂をした際には、図5で示される従来例の大きさと変わらないものである。
【0014】
以上の実施例では、各コンデンサ素子本体(1a)(1b)間を銀ペーストにて接着したが、各々のコンデンサ素子本体(1a)(1b)を作成する際、銀ペイント層(8)の硬化時に各コンデンサ素子本体(1a)(1b)同士の接着も斯かる銀ペイント層(8)によって同時に行えば、後で銀ペーストを用いて接着する場合に比べ、追加された銀ペーストによるESRの増加を防ぐことができ、低ESR化にさらに有効である。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる陽極体を用いた複数のコンデンサ素子本体を並列に接合することによって、低ESR化が可能となる。特に、焼結体からなる陽極体を用いたコンデンサ素子本体と薄板状の陽極体を用いたコンデンサ素子本体を並列接合することによって、コンデンサのサイズを大きくすることなく低ESR化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いるコンデンサ素子本体を示す断面図。
【図2】本発明に係る固体電解コンデンサの第1の実施例を示す要部断面図。
【図3】本発明に係る固体電解コンデンサの第2の実施例を示す要部断面図。
【図4】本発明に係る固体電解コンデンサの第3の実施例を示す要部断面図。
【図5】従来の固体電解コンデンサを示す断面図。
【図6】従来の固体電解コンデンサを示す斜視図。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子本体
2 陽極体
3 陽極リード線
4 誘電体酸化皮膜
5 陰極層
6 コンデンサ素子
7 カーボン層
8 銀ペイント層

Claims (3)

  1. 弁金属からなる陽極体表面に誘電体酸化皮膜、陰層、カーボン層及び、銀ペースト層が順次形成されたコンデンサ素子本体を複数備え、前記複数のコンデンサ素子本体は、少なくとも焼結体で形成されてなるものと薄板状のものが用いられ、コンデンサ素子本体の銀ペースト層間を銀ペーストによって並列に接合されてなると共に、前記複数のコンデンサ素子本体を樹脂で被覆してなる固体電解コンデンサにおいて、前記焼結体の陽極リード線埋め込み面と薄板状の陽極側端面がずれてなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記複数のコンデンサ素子本体の薄板状のものから導出されているリード線を陽極リードフレームに溶接してなることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記陽極体はTa焼結体とAl薄板を含むことを特徴とする請求項記載の固体電解コンデンサ。
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