JP3856229B2 - カラークリア塗装ステンレス鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、表装材,内装材等に使用され、鮮明な色調を呈するカラークリア塗装ステンレス鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電製品,OA機器等の表装材として、クリア塗装を施した塗装金属板が使用され始めている。クリア塗装金属板は、金属光沢を活用した外観を呈することから、従来の着色塗装金属板では得られない雰囲気を醸し出す。従来のクリア塗装金属板は、着色剤を配合したクリア塗料を塗装原板表面に塗布し、焼付け乾燥することによって製造される。着色剤に染料を使用すると焼付け時に変色しやすく色調が安定しないので、有機顔料を通常使用している。
有機顔料を配合したカラークリア塗膜では、塗膜に入射した光の特定波長成分が有機顔料に吸収され、残りの入射光が下地金属板の表面で反射され、吸収波長成分を除く反射光により特定の色調が発現する。
【0003】
カラークリア塗膜を透過する入射光が有機顔料に吸収される光量は塗膜の厚みによって異なり、厚い塗膜ほど吸収量が大きく、薄い塗膜ほど吸収量が少ない。そのため、発現する色調の膜厚依存性が高く、僅かな膜厚変動によっても色調が微妙に変動しやすい。色調の変動は、製造ロットの異なるクリア塗装金属板を突き合わせて施工する場合に色ムラとして強調される。有機顔料による色調付与は、下地金属板の金属光沢を損ない、明度L値が低く黒味がかった冷たい感じの色調を与えやすい原因でもある。艶消し処理でL値の低下を防止できるが、艶消しによって塗膜の透明感が損なわれ、鮮映性も低くなって高級感がなくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、膜厚に応じた色調の変動を抑制するため、有機顔料に代えて発色顔料をクリア塗膜に分散させることを特願2001−376893号で提案した。鱗片状無機基質を透明な金属酸化物皮膜で被覆した発色顔料が分散したクリア塗膜では、塗膜に入射した光が鱗片状無機基質及び金属酸化物皮膜の表面で反射する。鱗片状無機基質,金属酸化物皮膜からの反射光に光路差が生じ、光路差に応じた光の干渉作用によって干渉色が発現する。
発色顔料で色調を発現させるカラークリア塗膜では、有機顔料のような光吸収物質がクリア塗膜に存在せず、基材・金属板,鱗片状無機基質,金属酸化物皮膜それぞれの表面で反射する光の合計が入射光の光量にほぼ等しい。そのため、発色した色調は、クリア塗膜の膜厚に影響されず、明度の低下もない。
【0005】
更に、鱗片状無機基質を透明の金属酸化物皮膜で被覆した透明又は半透明発色顔料を使用すると、クリア塗膜に分散している発色顔料を透過して基材・金属板の表面で反射する光もある。そのため、基材表面の光沢が適度に緩和され、マイルドな色調を呈する表面が観察される。
この点、発色顔料の表面からの反射光で光沢感を付与したクリア塗膜(特開2000−185258号公報)では、真珠光沢感を発現するものの、散乱光が強すぎクリア塗膜に濁りが生じる。その結果、塗膜の透明感が損なわれ、光沢度が低く、金属素地感が失われた外観が強調される。しかも、Crめっき層上に真珠光沢顔料を配合したクリア塗膜を形成すると、真珠光沢顔料の表面で入射光が反射されるのでCrめっき層の金属鏡面外観が遮られ、鏡面にゴミが付着したような印象が与えられ、高級感が損なわれる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、発色顔料を分散させたカラークリア塗膜を種々調査・検討する過程で、色調も含めた塗膜性能が発色顔料の分散形態に影響されることを見出した。発色顔料の分散形態を安定化できれば、色調,塗膜の表面性状も安定化し、一定品質で高級感のあるクリア塗装金属板が得られる。
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、透明又は半透明の発色顔料を使用し、発色顔料が分散しているクリア塗膜の上に発色顔料を含まないトップクリア塗膜を設けることにより、発色顔料の分散形態を揃え、色調,塗膜性状を安定化させたカラークリア塗装ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【0007】
本発明のカラークリア塗装ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、基材・ステンレス鋼板の表面に、発色顔料が分散しているクリア塗膜と、その上に発色顔料を含んでいないトップクリア塗膜が重ねて形成された塗装鋼板であって、前記クリア塗膜及びトップクリア塗膜がアクリル系又はポリエステル系の有機樹脂塗料から形成された塗膜であるとともに、前記発色顔料が鱗片状無機基質を透明の金属酸化物皮膜で被覆した透明又は半透明の発色顔料であることを特徴とする
トップクリア塗膜は、膜厚t2が2〜15μmの範囲にあり、発色顔料分散クリア塗膜の膜厚t1との間にt2/t1=0.4〜1.5の関係を成立させることが好ましい。
【0008】
発色顔料の透明度評価に関しては、板厚0.4mmのSUS430ステンレス鋼板に膜厚5μmで形成した発色顔料:10質量%のクリア塗膜の光透過率から次のようにして求めた値を使用できる。ダブルビーム,ダイノードフィードバックによるダイレクトレシオ方式の分光光度計を用い、クリア塗装鋼板を波長500nmの可視光で照射したときの透過光を測定する。測定値を式E=−logT=log(I0/I)〔E:吸光度,T:光透過率,I0:入射光強度,I:透過透光強度〕に代入して算出された光透過率が50%以上を透明又は半透明と評価する。光透過率が50%未満では、クリア塗膜にゴミが混入したような外観を呈し好ましくない。更に、光透過率が15%を下回ると、金属素地が隠蔽されてしまい、金属素地の質感が観察できない。
【0009】
【作用】
本発明のカラークリア塗装金属板は、発色顔料を含まないトップクリア塗膜を発色顔料分散クリア塗膜の上に重ねている。発色顔料分散クリア塗膜には、鱗片状無機基質を透明の金属酸化物皮膜で被覆した透明又は半透明発色顔料を分散させている。
トップクリア塗膜により、発色顔料の分散形態が適正化され、クリア塗装金属板の色調や塗膜性状が安定化する。発色顔料の分散形態がトップクリア塗膜で調整される機構は以下のように推察され、結果としての色調や塗膜性状の安定化は後述の実施例で確認される。
【0010】
光の干渉作用による干渉色で所定の色調を発現させるクリア塗膜では、鱗片状無機基質を透明の金属酸化物皮膜で被覆した透明又は半透明発色顔料をクリア塗膜に分散しているが、光の干渉作用を効率よく生起させるため可能な限り基材・金属板の面内方向に沿った鱗片の配向が望まれる。鱗片の配向性は、アスペクト比(厚みに対する最大径の比率)の大きな鱗片状無機基質を使用することにより向上する。大きなアスペクト比は、クリア塗膜に入射した光の反射面を確保し、鱗片状無機基質の透明度を増す上でも有効である。
【0011】
しかし、クリア塗膜2に分散している発色顔料3は、基材・金属板1の面内方向と完全に平行ではない(図1)。面内方向に対して若干傾斜した状態で分散している発色顔料3や、クリア塗膜2の表面から突出する発色顔料3pもある。クリア塗膜2の表面から突出する傾向は、最大径やアスペクト比が大きな発色顔料3を使用するほど強くなる。
クリア塗膜2の表面から突出した発色顔料3pの割合が多くなると、クリア塗膜2内で発色顔料3の配向度が低下し、発色顔料3,突出発色顔料3pの表面で生じる入射光の拡散反射によって光の干渉作用が弱められるため、濁りのない鮮明な干渉色が発現しない。突出発色顔料3pは、クリア塗膜2の表面を粗くする原因でもある。
【0012】
発色顔料3の突出は、クリア塗膜2の上にトップクリア塗膜4を積層することにより防止できる(図2)。トップクリア塗膜4は、突出発色顔料3pをクリア塗膜中に埋め込むことは勿論、トップクリア塗膜4の焼成時に発色顔料分散クリア塗膜2の軟化に応じて発色顔料3が再配向されるので、基材・金属板1の面内方向に対する発色顔料3の平行度も向上する。その結果、各発色顔料3の表面における光反射が均一化され、濁りのない鮮明な干渉色が発現する。しかも、塗膜表面から突出する発色顔料3pがないため、平滑度の高いクリア塗装金属板となる。
【0013】
【実施の形態】
基材・金属板1としては、光沢のある金属表面が観察される製品形態で使用されることから、ステンレス鋼が使用される。基材・金属板1には、クリア塗膜2の形成に先立って脱脂・酸洗,クロメート処理,リン酸塩処理,クロムフリー処理等、適宜の塗装前処理が施される。
発色顔料分散クリア塗膜2を形成するためのクリア塗料は、塗料種に特段の制約が加わるものではないが、透明度の高いアクリル系又はポリエステル系の有機樹脂塗料が使用される。クリア塗膜には、透明性を損なわない範囲で、防錆顔料,着色顔料,染料等を必要に応じて添加しても良い。
【0014】
発色顔料分散クリア塗膜2の形成に先立って、基材・金属板1に対する密着性を改善するため発色顔料3を含まないアンダークリア塗膜5を形成しても良い。アンダークリア塗料は、塗料種に特段の制約が加わるものではなく、エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,ウレタン樹脂,ウレタン変性エポキシ樹脂等を使用できる。アンダークリア塗膜5により、クロメート処理等の塗装前処理を施した基材・金属板1と発色顔料分散クリア塗膜2との密着性が一層向上する。アンダークリア塗膜5は、好ましくは1〜10μmの膜厚で形成される。
【0015】
発色顔料分散クリア塗膜2形成用のクリア塗料に配合される発色顔料3は、マイカ,ガラスフレーク,アルミナフレーク,シリカフレーク等の透明又は半透明鱗片状無機基質を単層又は複層の透明な金属酸化物皮膜で被覆することにより製造される。鱗片状無機基質としては、不透明又は濁りの最大要因であるFe,Cr,Co、Ni,Cu等の重金属を含まず、厚みも2μm以下(好ましくは0.5μm以下)の薄いフレークが好適である。
【0016】
金属酸化物皮膜の形成には、湿式法,CVD法,粉末スパッタリング法等が採用される。基材・金属板1の面内方向に鱗片状無機基質を配向させるほど発色顔料3の表面で入射光が反射する確率が高くなるので、鱗片状無機基質のアスペクト比(厚みに対する最大径の比率)が大きなものほど好ましい。具体的には、アスペクト比が60以上になると、大半の鱗片状無機基質が基材・金属板1の面内方向と平行又はほぼ平行な配向性をもってクリア塗膜2に分散し、透明の金属酸化物の干渉色が強く発現して鮮やかな色調となり光輝感も強くなる。
【0017】
マイカを鱗片状無機基質として使用し、湿式法でTiO2被覆する場合、種々の方法を採用できる。たとえば、希薄なチタン酸水溶液にマイカを懸濁させて70〜100℃に加温し、チタン塩の加水分解生成物である水和酸化チタン粒子をマイカ表面に析出させた後、700〜1000℃で高温焼成することによりTiO2被覆が形成される。TiO2被覆の膜厚は、チタン塩の濃度,懸濁液の温度,処理時間等の処理条件によって制御できる。
粉末スパッタリング法で発色顔料3を製造する場合、マイカ,ガラスフレーク等の透明又は半透明鱗片状無機基質を回転ドラムに入れ、Tiをターゲットとする反応性雰囲気下でスパッタリングすることにより、鱗片状無機基質の表面にTiO2被覆が形成される。
【0018】
屈折率が異なる複数の金属酸化物皮膜を透明又は半透明鱗片状無機基質の表面に設ける場合、一層目の金属酸化物層を形成した後、被覆原料を代えて一層目と同じ方法又は異なる方法で2層目の金属酸化物層を形成する。
たとえば、TiO2被覆にFe23被覆を積層する場合、TiO2被覆顔料を懸濁させた水溶液を70〜100℃に加温し、鉄塩水溶液を添加して水酸化鉄を析出させた後、150〜200℃で乾燥することによりTiO2被覆にFe23被覆が積層される。Fe23被覆の膜厚は、鉄塩水溶液の濃度,懸濁液の温度,処理時間等によって制御できる。
【0019】
透明な金属酸化物皮膜で透明又は半透明鱗片状無機基質を被覆した発色顔料3は、そのままでクリア塗料用樹脂に添加することも可能であるが、必要に応じて適宜の表面処理を施すことができる。表面処理では、クロム酸系,リン酸系,アルミナ系,ジルコニア系,セリウム系等の無機質表面処理剤や各種シランカップリング剤,チタネートカップリング剤,有機モノマー系等の有機質表面処理剤が使用される。表面処理により、クリア塗料用樹脂に対する発色顔料3の分散性及び隣接樹脂層との層間密着性が改善される。
【0020】
発色顔料3を配合したクリア塗料を塗装原板に塗布した後、クリア塗料の樹脂種や塗布量にもよるが200〜300℃で30〜120秒加熱することによってクリア塗膜2が基材・金属板1に焼き付けられる。得られたクリア塗装金属板を観察すると、基材・金属板1の金属光沢が活かされ、しかも無機質な冷たい感じを与える金属光沢が発色顔料分散クリア塗膜2で和らげられているので、マイルドな色調の外観となる。安定した色調を得る上では、膜厚t1=5〜20μmでクリア塗膜2を形成することが好ましい。
発色顔料分散クリア塗膜2を複層構成にすることもできる。この場合、第1層の発色顔料分散クリア塗膜を形成した後、同様に発色顔料3を配合したクリア塗膜を塗布・焼付けすることにより屈折率が異なる2層目以降の発色顔料分散クリア塗膜を形成する。複層構成の発色顔料分散クリア塗膜2では塗膜を透過する入射光が複雑に屈折するため、特定の色相が強調又は減衰し、色調の白色化が抑えられる。
【0021】
アスペクト比の大きな発色顔料3を使用するほど、クリア塗膜2の層内では基材・金属板1の面内方向に沿った配向度が高くなるが、クリア塗膜2の表面から突出する発色顔料3pが避けられない。突出発色顔料3pのあるクリア塗膜2では、大気中を通過した入射光が突出発色顔料3pの表面で直接反射することによる光の干渉作用と、クリア塗膜2を透過した入射光が発色顔料3の表面で反射することによる光の干渉作用がある。発色顔料分散クリア塗膜2の透過光は大気/塗膜の界面で屈折するため、直接反射による光の干渉作用と発色顔料分散クリア塗膜2内での干渉作用との間に光路差が生じ、発色した色調に濁りを混入させる原因となる。本発明では、直接反射による光の干渉作用をなくすため、発色顔料分散クリア塗膜2の上にトップクリア塗膜4を重ねている。
【0022】
トップクリア塗膜4形成用のクリア塗料は、発色顔料分散クリア塗膜2形成用のクリア塗膜と同種又は類似の塗料が好ましい。具体的には、透明度の高いアクリル系又はポリエステル系の有機樹脂や、或いはこれらの縮み模様を形成する樹脂や無機系ポリマーを配合した有機樹脂も使用できる。透明性を損なわない範囲で、防錆顔料,着色顔料,染料等を必要に応じてクリア塗料に添加しても良い。
【0023】
トップクリア塗膜4形成後にクリア塗装金属板を製品形状に加工することもあるので、基材・金属板1に対する密着性,塗膜自体の柔軟性に富むことがトップクリア塗膜4に要求される。柔軟性に相反する機能として耐疵付き性が要求されることもある。このような目的に応じた特性を考慮してクリア塗料の樹脂系が選択され、たとえばメラミン,イソシアネート等の硬化剤を適宜配合してトップクリア塗膜4を形成することも可能である。
【0024】
トップクリア塗膜4は、発色顔料分散クリア塗膜2を含まないクリア塗料を発色顔料分散クリア塗膜2の上に塗布し、たとえば200〜300℃×30〜120秒の焼付けによって形成される。トップクリア塗膜4の膜厚t2は、2〜15μmの範囲で且つ発色顔料分散クリア塗膜の膜厚t1との間にt2/t1=0.4〜1.5の関係があることが好ましい。膜厚t2≧2μm又はt2/t1≧0.4でトップクリア塗膜4を形成することにより、塗膜面から突出する発色顔料3pの割合が少なくなると共に、発色顔料3の分散形態が効果的に揃えられ、十分な平滑性が得られる。その結果、拡散反射が抑えられ、濁りのない干渉色が発現する。しかし、厚膜t2>15μm又はt2/t1>1.5でトップクリア塗膜4を形成すると、塗膜表面の平滑性が却って損なわれ、鮮映性が劣化して白濁する傾向がみられる。
【0025】
発色顔料分散クリア塗膜2,トップクリア塗膜4の形成に同種又は類似のベース樹脂をクリア塗料に使用すると、塗料焼付け条件をほぼ同じに設定できる。したがって、トップクリア塗膜4の焼付け時に発色顔料分散クリア塗膜2が軟化し、クリア塗膜2に分散している発色顔料3が基材・金属板1の面内方向に揃った形態に再配向される。再配向によって光反射に有効な発色顔料3の表面積が増加するので、光の干渉作用が強化され一層鮮やかで濁りのない色調が発現する。ベース樹脂を同種又は類似にすることは、発色顔料分散クリア塗膜2とトップクリア塗膜4との親和性を高め、層間剥離を防止する上でも有効である
【0026】
トップクリア塗膜4は、発色顔料分散クリア塗膜2の焼付け条件の下限以上の温度で焼き付けられる。焼付け温度の調整によって、トップクリア塗膜4の焼付け時に発色顔料分散クリア塗膜2が再軟化し、発色顔料3が基材・金属板1の面内方向に再配向される。その結果、濁りのない鮮明な色調を呈するクリア塗装金属板が得られる。しかし、発色顔料分散クリア塗膜2の焼付け条件の上限以上の温度でトップクリア塗膜4を焼き付けると、発色顔料3の再配向が進展するものの、クリア塗膜2の塗料樹脂が黄変し、発色顔料3本来の干渉色が損なわれる。
【0027】
【実施例1】
板厚0.4mmのSUS430ステンレス鋼板を塗装原板に使用した。塗装原板を2%塩酸で酸洗し、酸系の表面処理を施した後、クロム換算付着量20mg/m2の塗布型クロメート処理を施した。
クリア塗料としては、高分子ポリエステル系クリア樹脂塗料(PM5000:日本ペイント株式会社製)に発色顔料を4%配合することにより用意した。発色顔料には、膜厚50〜140nmのTiO2被覆を形成したアスペクト比150,中心粒径30μm,光透過率:90%,厚み:0.2μmのホワイトマイカフレーク(白雲母)を使用した。
【0028】
TiO2被覆は、次の手順でマイカフレークの表面に形成した。
マイカフレーク100gを水2リットルに懸濁させて75℃に加温した後、TiCl4溶液及びゼラチン溶液を懸濁液に添加し、NaOH溶液で懸濁液のpHを6.0に調整した。懸濁液を15分間攪拌した後、マイカフレークを濾過分離し、塩分がなくなるまでマイカフレークを洗浄した。次いで、100℃で乾燥し、窒素雰囲気中850℃で焼成することにより、TiO2被覆をマイカフレーク表面に形成した。
クリア塗料を塗装原板に塗布して乾燥した後、230℃×60秒の加熱で基材・金属板1に焼き付け、膜厚10μmの発色顔料分散クリア塗膜2を形成した。
【0029】
次いで、発色顔料を配合しない以外は同じベース樹脂のクリア塗料を発色顔料分散クリア塗膜2に塗布し、230℃で60秒加熱することにより膜厚5μmのトップクリア塗膜4を形成した。
得られたクリア塗装ステンレス鋼板について、分光測色計(CM−3700d:ミノルタ株式会社製)を用いてJIS Z8737で規定する色差表示法に従ってL値,a値,b値を測定し、表面形状解析装置(SAS−2010:明伸工機株式会社製)を用いて平均表面粗さRaを測定し、像鮮明光沢計(DGM−30型:株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて像鮮明度を表す指標D/I値を測定した。
L値,a値,b値,Ra値,D/I値の測定結果を、トップクリア塗膜4の形成前と比較して表1に示す。
【0030】
Figure 0003856229
【0031】
表1の結果にみられるように、本発明に従ったクリア塗装金属板は、トップクリア塗膜4形成前と比較してシルバー色を除く全ての色調で明度L値が低下し、色相を反映するa値,b値が増加していた。
L値の低下は、濁りの原因であったクリア塗膜2の白味が抑えられることを意味する。トップクリア塗膜4によってL値が低下することは、トップクリア塗膜4の形成時に発色顔料3が基材・金属板1の面内方向に再配向されたため、反射光の拡散が抑制されたこと、突出発色顔料3pの発色が大気中直接反射による光の干渉作用から発色顔料3の発色と同様にクリア塗膜2,4内での干渉作用になるため、反射光の光路差が補正されること等によるものと考えられる。
【0032】
a値,b値の増加は、トップクリア塗膜4により反射光の拡散が抑制されることを示唆しており、各色調を反映する鮮明な色相がクリア塗装金属板に付与された。シルバー色に関しては、色相がL値に相当するため、他色と異なりL値の増加が反射光の拡散抑制結果として現れている。
クリア塗膜への透明顔料の分散は、金属素地面の質感を活かす上でも有効であった。実際、同じ配合量10質量%で顔料をクリア塗膜に分散させたクリア塗装ステンレス鋼板の60度鏡面光沢度は、不透明顔料分散塗膜が100であったのに比較して、透明顔料分散塗膜で160,半透明顔料分散塗膜で145と高い値を示した。
【0033】
クリア塗装ステンレス鋼板の表面粗さをトップクリア塗膜4の形成前後で比較すると、表面形状の指標である算術平均表面粗さRaがトップクリア塗膜4の形成後に小さくなっており、突出発色顔料3pがトップクリア塗膜4で覆われたことが窺われる。すなわち、トップクリア塗膜4によってクリア塗装ステンレス鋼板の表面平滑性が格段に改善され、結果として入射光,反射光の拡散損失が少なくなる。このことも、濁りのない鮮明な干渉色が発現する原因である。
【0034】
【実施例2】
トップクリア塗膜4の膜厚を変化させる以外は実施例1と同様な条件下でゴールド色クリア塗装ステンレス鋼板を作製した。
得られた各クリア塗装ステンレス鋼板について、実施例1と同様にL値,a値,b値,Ra値を測定した。また、像鮮明光沢計(DGM−30型:株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて像鮮明度D/I値を測定し、トップクリア塗膜4のレベリング性も調査した。
【0035】
発色顔料分散クリア塗膜2の膜厚t1とトップクリア塗膜4の膜厚t2との間にt2/t1=0.4〜1.5の関係が成立している限り、トップクリア塗膜4の膜厚に拘らずb値の変動幅が1.0以下に抑えられ、色調の安定化が確認された(図3)。
色調の安定化は、Ra値(図4),D/I値(図5)の測定結果からも裏付けられる。具体的には、膜厚比t2/t1が0.4〜1.5の範囲にある限り、トップクリア塗膜4の膜厚に拘らず低いRa値,高いD/I値が示され、レベリング性に優れていることが判った。この結果は、トップクリア塗膜4が平滑で鮮明度が高く、光の正常な入射,反射に好適な表面状態になっていることを示す。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、透明又は半透明発色顔料を分散させたクリア塗膜の上に発色顔料を含まないトップクリア塗膜を設けることにより、発色顔料を透過して基材表面で反射する光も観察されるため、光の干渉作用で発色する色調に濁りがなくなり、金属表面特有の暗く冷たい印象が和らげられ鮮明度の高い色調を呈するクリア塗装金属板が得られる。クリア塗膜から突出する発色顔料がトップクリア塗膜で覆われることにもなるので、クリア塗装金属板の表面平滑度も高くなる。このように色調,塗膜性状が改善されたカラークリア塗装金属板は、優れた意匠性を活用し、家電製品,OA機器,厨房機器等の表装材や各種内装材として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クリア塗膜の表面から突出する発色顔料が色調に悪影響を及ぼすことを説明する図
【図2】 発色顔料分散クリア塗膜にトップクリア塗膜を重ねたカラークリア塗装金属板の表層断面図
【図3】 トップクリア塗膜の膜厚がb値に及ぼす影響を示したグラフ
【図4】 トップクリア塗膜の膜厚がRa値に及ぼす影響を示したグラフ
【図5】 トップクリア塗膜の膜厚がD/I値に及ぼす影響を示したグラフ
【符号の説明】
1:基材・金属板 2:発色顔料分散クリア塗膜 3:発色顔料 3p:クリア塗膜から突出した発色顔料 4:トップクリア塗膜
1:発色顔料分散クリア塗膜の膜厚 t2:トップクリア塗膜の膜厚

Claims (2)

  1. 基材・ステンレス鋼板の表面に、発色顔料が分散しているクリア塗膜と、その上に発色顔料を含んでいないトップクリア塗膜が重ねて形成された塗装鋼板であって、前記クリア塗膜及びトップクリア塗膜がアクリル系又はポリエステル系の有機樹脂塗料から形成された塗膜であるとともに、前記発色顔料が鱗片状無機基質を透明の金属酸化物皮膜で被覆した透明又は半透明の発色顔料であることを特徴とするカラークリア塗装ステンレス鋼板
  2. トップクリア塗膜の膜厚t2を2〜15μmの範囲に調整し、且つ発色顔料分散クリア塗膜の膜厚t1との間にt2/t1=0.4〜1.5の関係を成立させている請求項1記載のクリア塗装ステンレス鋼板
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