JP3856078B2 - 給電システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータを備えインバータが生成した交流電流を給電線に供給する給電装置、特に、物理的に非接触の状態で電磁誘導により負荷に給電を行う非接触給電用の給電線に、高周波電流(商用周波数を超える周波数の交流電流)を供給する給電装置を1又は複数備えた給電システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、案内レールに沿って移動する搬送車により荷物の搬送を行う搬送システムが種々実施されており、工場内及び倉庫内の物流の効率化が図られている。一般に、このような搬送車の走行には、走行用モータが使用されており、この走行用モータへの駆動電力は、案内レールに沿って敷設され交流電力が流れる給電線を介して供給される。
【0003】
この給電方法には、従来、トロリー式と非接触方式とがある。トロリー式は、搬送車側に設けた集電子を給電線に接触させて給電する方式である。一方、非接触方式は搬送車側に設けたピックアップを給電線の近傍に配置し、ピックアップのコイルに誘導起電力を発生させて交流電力を得る方式である。トロリー式が集電子の摩耗によるメンテナンスの必要があり、また塵芥及び火花の発生という問題を有するのに対して、非接触方式ではそのような問題がなく、非接触方式の給電装置が多用されている。
【0004】
非接触方式の給電方法を長距離の案内レールにおいて利用する場合、給電線の抵抗損失を減らす為に、給電線を分割し、分割した給電線にそれぞれの給電装置から交流電力を供給することは避けることが出来ない。しかし、複数台の給電装置から交流電力をそれぞれの給電線に供給する場合、個々の給電装置が給電する交流電力の位相にズレがあると、個々の給電装置から供給される給電線の隣接箇所では、ピックアップには、位相が異なる2つの電流による誘導起電力が発生する為、ピックアップの受電能力が低下するという問題がある。
【0005】
その為、従来は、高周波誘導加熱炉用電源装置を給電装置に転用して、この高周波誘導加熱炉用電源装置が有する電源周波数の自動追従機能を利用して、交流電力の位相を合わせていた。
電源周波数の自動追従機能は、高周波誘導加熱炉用電源装置では必須の機能であるが、位相合わせの為に特に設けられた機能ではない。
高周波誘導加熱炉用電源装置では、負荷(屑鉄等)とで構成した共振回路を共振させながら電流を供給している。この場合、負荷の状態が変動して共振周波数は頻繁に大きく変化するが、これに電源周波数を追随させて行かないと、破損を招く場合がある。その為、高周波誘導加熱炉用電源装置では、電源周波数と共振周波数とにズレが生じ、出力電流と電圧とに位相のズレが発生すると、内蔵する発振器により電源周波数を走査し、新たな共振周波数による共振により出力電流が大きくなるようにしている。
【0006】
図8は、従来の、高周波誘導加熱炉用電源装置を転用した給電装置の構成を示すブロック図である。この給電装置37は、発振回路32と、発振回路32が発振した信号が、出力切替回路35を介して与えられるインバータ装置36と、子機給電装置として使用する場合に、親機給電装置からの高周波電源出力を電気的に絶縁して受ける為のトランス30と、親機給電装置として使用する場合に、出力切替回路35が切替動作を行う為の、インバータ装置36からの出力電流の出力レベルを設定する為の切替レベル設定回路31と、トランス30を介して受けた高周波電源出力信号を波形整形して、インバータ装置36のスイッチング素子を動作させるスイッチング信号を作成し、出力切替回路35を通じて与える波形整形回路33,34とを備えている。
【0007】
このような構成の給電装置37を親機給電装置として使用する場合、始動時には、発振回路32が発振した信号により、インバータ装置36のスイッチング素子を動作させ、給電線5に給電する。出力電流が給電線5に共振して、出力レベルが切替レベル設定回路31の設定レベルを超えると、出力切替回路35が作動し、インバータ装置36のスイッチング素子は、発振回路32に代えて波形整形回路33,34が作成したスイッチング信号により動作するようになり、給電線5に給電する。このとき、波形整形回路33,34は、トランス30を介して与えられた、給電装置37自身が出力した高周波電源出力信号を波形整形して、スイッチング信号を作成する。
【0008】
給電装置37を子機給電装置として使用する場合は、発振回路32、切替レベル設定回路31及び出力切替回路35は使用せず、インバータ装置36のスイッチング素子は、波形整形回路33,34が作成したスイッチング信号により動作し、給電線5に給電する。このとき、波形整形回路33,34は、トランス30を介して与えられた、親機給電装置が出力した高周波電源出力信号を波形整形して、スイッチング信号を作成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の、高周波誘導加熱炉用電源装置を転用した給電装置は、上述したように構成が複雑になり、また、親機給電装置からの高周波電源出力(正弦波)をスイッチング信号の作成に使用している為、外部からのノイズにより正弦波形が歪み易く、ノイズに対して弱いという問題があった。
尚、類似の技術を扱ったものとしては、特表平8−501435号公報に、周波数を維持する非接触配電システムが、特表平8−501436号公報に、1次誘導線路(給電線)の所定領域毎の給電装置を切替運転する1次誘導線路がそれぞれ開示されている。
【0010】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により、ノイズに強く、また、他の給電装置の出力と位相を合わせて、給電線に出力することが出来る給電装置を複数台備えた給電システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る給電システムは、複数のスイッチング素子を動作させることにより交流電流を生成するインバータを有し、該インバータが生成した交流電流を給電線に供給する複数の給電装置を備える給電システムにおいて、所定の周期を有する周期信号を作成する周期信号作成回路を備え、前記給電装置は、該周期信号作成回路が作成した周期信号を受信する受信回路と、該受信回路が受信した周期信号に基づき、前記スイッチング素子を動作させるスイッチング信号を作成するスイッチング信号作成回路と、該スイッチング信号作成回路が作成したスイッチング信号により前記インバータが生成した交流電流を、前記給電線を含む共振回路に共振させて、該給電線に供給する為の供給回路とを有することを特徴とする。
【0013】
この給電システムでは、インバータが、複数のスイッチング素子を動作させることにより交流電流を生成し、生成した交流電流を給電線に供給する複数の給電装置を備えている周期信号作成回路が、所定の周期を有する周期信号を作成する。給電装置は、周期信号作成回路が作成した周期信号を受信回路が受信し、スイッチング信号作成回路は、受信回路が受信した周期信号に基づき、スイッチング素子を動作させるスイッチング信号を作成する。供給回路は、スイッチング信号作成回路が作成したスイッチング信号によりインバータが生成した交流電流を、給電線を含む共振回路に共振させて、給電線に供給する。これにより、簡単な構成で、所定の周期を有する周期信号としてオン/オフ信号を使用出来るのでノイズに強く、また、他の給電装置の出力と位相を合わせて、給電線に出力することが出来る給電装置を複数台備えた給電システムを実現することが出来る。
【0014】
第2発明に係る給電システムは、複数のスイッチング素子を動作させることにより交流電流を生成するインバータを有し、該インバータが生成した交流電流を給電線に供給する複数の給電装置を備える給電システムにおいて、発振回路と、該発振回路が発振した発振信号に基づき、所定の周期を有するパルス状の同期引込信号を作成し出力するフォトカプラ駆動回路とを備え、前記給電装置は、前記同期引込信号を電気的に絶縁して受信するフォトカプラ部と、該フォトカプラ部が受信した同期引込信号に略同期した三角波を発生させる三角波発生回路と、該三角波発生回路が発生させた三角波に基づき、前記スイッチング素子を動作させるスイッチング信号を作成するスイッチング信号作成回路と、該スイッチング信号作成回路が作成したスイッチング信号により前記インバータが生成した交流電流を、前記給電線を含む共振回路に共振させて、該給電線に供給する為の供給回路とを有することを特徴とする
【0015】
この給電システムでは、複数のスイッチング素子を動作させることにより交流電流を生成するインバータを有し、インバータが生成した交流電流を給電線に供給する複数の給電装置を備えている。フォトカプラ駆動回路が、発振回路が発振した発振信号に基づき、所定の周期を有するパルス状の同期引込信号を作成し出力する。給電装置は、フォトカプラ部が同期引込信号を電気的に絶縁して受信し、三角波発生回路が、その受信した同期引込信号に略同期した三角波を発生させる。スイッチング信号作成回路が、その発生させた三角波に基づき、スイッチング素子を動作させるスイッチング信号を作成し、供給回路が、そのスイッチング信号によりインバータが生成した交流電流を、給電線を含む共振回路に共振させて、給電線に供給する。これにより、簡単な構成で、所定の周期を有する同期引込信号としてオン/オフ信号を使用出来るのでノイズに強く、また、他の給電装置の出力と位相を合わせて、給電線に出力することが出来る給電装置を複数台備えた給電システムを実現することが出来る。
【0016】
第3発明に係る給電システムは、前記給電線に流すべき交流電流値を設定する電流値設定回路と、前記給電線に流れる交流電流値を検出する電流検出回路と、前記電流値設定回路が設定した交流電流値及び前記電流検出回路が検出した交流電流値の差を演算する演算回路とを更に備え、前記スイッチング信号作成回路は、該演算回路が演算した差及び前記周期信号に基づき、前記スイッチング信号を作成すべくなしてあることを特徴とする。
【0017】
この給電システムでは、電流値設定回路が、給電線に流すべき交流電流値を設定し、電流検出回路が、給電線に流れる交流電流値を検出する。演算回路は、電流値設定回路が設定した交流電流値及び電流検出回路が検出した交流電流値の差を演算する。スイッチング信号作成回路は、演算回路が演算した差及び周期信号に基づき、スイッチング信号を作成する。これにより、簡単な構成で、所定の周期信号としてオン/オフ信号を使用出来るのでノイズに強く、また、他の給電装置の出力と位相を合わせて、給電線に出力することが出来る給電装置を複数台備えた給電システムを実現することが出来る。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る給電システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。この給電システムは、発振回路1が出力した発振信号が、フォトカプラ駆動回路2(周期信号作成回路)に与えられ、フォトカプラ駆動回路2は、与えられた発振信号がD型フリップフロップ10のクロック端子に入力され、D型フリップフロップ10のQ出力は、2入力NANDゲート11の両入力端子と、抵抗R1を介して2入力NANDゲート12の一方の入力端子とに与えられる。2入力NANDゲート12の一方の入力端子は、コンデンサC1を介して接地され、他方の入力端子は、2入力NANDゲート11の出力端子と接続されている。
【0029】
D型フリップフロップ10のバーQ出力は、2入力NORゲート13の両入力端子と、D型フリップフロップ10のデータ端子と、抵抗R2を介して、2入力NORゲート14の一方の入力端子とに与えられる。2入力NORゲート13の出力は、2入力NORゲート14の他方の入力端子とに与えられ、この他方の入力端子は、コンデンサC2を通じて接地されている。
【0030】
2入力NANDゲート12の出力は、PNP型トランジスタTr1のベースに、2入力NORゲート14の出力は、NPN型トランジスタTr2のベースにそれぞれ与えられている。PNP型トランジスタTr1のエミッタには電源電圧+Vccが、NPN型トランジスタTr2のエミッタには電源電圧−Vccがそれぞれ与えられ、PNP型トランジスタTr1及びNPN型トランジスタTr2の各コレクタは共通接続されている。
【0031】
PNP型トランジスタTr1及びNPN型トランジスタTr2の各コレクタの共通接続節点は、抵抗R3を通じて、フォトカプラ駆動回路2の出力信号を出力する。
フォトカプラ駆動回路2の出力信号は、フォトカプラ部3(受信回路)及びインバータ装置4からなり、それぞれの給電線5ヘ電流を供給する各給電装置(本実施の形態では4台)のフォトカプラ部3へ与えられる。それぞれの給電線5は、例えば、図示しない搬送システムの案内レールに沿って、1本の給電線の代わりに、それぞれ異なる範囲を分担するように敷設されている。
【0032】
図2は、本発明に係る給電システムの給電装置の構成を示すブロック図である。この給電装置は、フォトカプラ部3及びインバータ装置4からなっており、フォトカプラ部3は、フォトカプラ駆動回路2(図1)の出力信号が与えられる2つのフォトカプラ3a,3bを備えている。
フォトカプラ3aは、LEDのアノードにフォトカプラ駆動回路2(図1)の出力信号が与えられ、LEDのカソードは接地されており、フォトトランジスタのコレクタには電源電圧+Vccが与えられている。
フォトカプラ3bは、LEDのカソードにフォトカプラ駆動回路2(図1)の出力信号が与えられ、LEDのアノードは接地されており、フォトトランジスタのエミッタには電源電圧−Vccが与えられている。
【0033】
フォトカプラ3aのフォトトランジスタのエミッタ及びフォトカプラ3bのフォトトランジスタのコレクタは共通接続され、この共通接続節点からはフォトカプラ部3の出力信号が出力され、三角波発生回路29(スイッチング信号作成回路)に与えられる。
三角波発生回路29は、フォトカプラ部3の出力信号が、オペアンプ23の非反転入力端子に与えられ、オペアンプ23の反転入力端子は接地されている。オペアンプ23の出力は、抵抗R5を通じて非反転入力端子に、可変抵抗VR1を通じてオペアンプ24の反転入力端子にそれぞれ与えられ、オペアンプ24の非反転入力端子は接地されている。
【0034】
オペアンプ24の出力は、三角波発生回路29の出力信号(三角波信号)としてスイッチング信号作成回路19に与えられ、また、コンデンサC3を通じて反転入力端子に、抵抗R6を通じてオペアンプ23の非反転入力端子にそれぞれ与えられる。
スイッチング信号作成回路19は、制御信号作成回路18から正の制御信号及びその反転信号である負の制御信号が与えられ、制御信号作成回路18には、演算回路17の出力信号が与えられている。演算回路17の出力信号は、抵抗R4を通じて例えば−8Vにプルダウンされている。
【0035】
演算回路17は、電流検出回路16が検出した給電線5に流れる電流値を、電流値設定回路15が設定した電流値から差し引いて出力する。
スイッチング信号作成回路19は、4つのスイッチング信号を作成して、インバータ21の4つのスイッチング素子に与える。
【0036】
図3は、インバータ21周辺の構成を示す回路図である。インバータ21は、nチャネル形のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )25,27の各コレクタが、コンバータ20の正側出力端子に接続され、nチャネル形のIGBT26,28の各エミッタが、コンバータ20の負側出力端子に接続され、IGBT25のエミッタとIGBT26のコレクタとが共通接続され、IGBT27のエミッタとIGBT28のコレクタとが共通接続され、その各共通接続節点から共振回路22へ出力する。
【0037】
共振回路22(供給回路)は、IGBT25のエミッタ及びIGBT26のコレクタの共通接続節点からの出力が、一方の端子に与えられるリアクタL7と、IGBT27のエミッタ及びIGBT28のコレクタの共通接続節点からの出力が、一方の端子に与えられるリアクタL8と、リアクタL7,L8の各他方の端子間に接続されたコンデンサC5と、一方の端子がリアクタL7の他方の端子に接続されたリアクタL9とを備え、リアクタL9,L8の各他方の端子が給電線5にそれぞれ接続されている。
【0038】
コンバータ20は、順接続された2個のダイオードからなる直列回路が3個並列接続され、各直列回路におけるダイオードの接続節点に、3相AC200Vの各相が入力される。各直列回路におけるカソード端の共通接続節点がコンバータ20の正側出力端子に、アノード端の共通接続節点がコンバータ20の負側出力端子になっており、正側出力端子及び負側出力端子間には平滑コンデンサC4が接続されている。
【0039】
以下に、このような構成の給電装置及び給電システムの動作を説明する。
フォトカプラ駆動回路2は、発振回路1からの発振信号がD型フリップフロップ10のクロック端子に与えられる都度、+Vcc又は−Vccのパルス状の同期引込信号(周期信号)を出力する。
各給電装置のフォトカプラ部3は、フォトカプラ駆動回路2から+Vccの同期引込信号を受信したときは、フォトカプラ3aがオン、フォトカプラ3bがオフとなり、三角波発生回路29に+Vccのパルス信号を与え、フォトカプラ駆動回路2から−Vccの同期引込信号を受信したときは、フォトカプラ3aがオフ、フォトカプラ3bがオンとなり、三角波発生回路29に−Vccのパルス信号を与える。
【0040】
三角波発生回路29は、+Vccのパルス信号を与えられたときは、図4(a)に示す三角波形信号の下降波形信号を出力し、−Vccのパルス信号を与えられたときは、図4(a)に示す三角波形信号の上昇波形信号を出力し、反転する+Vcc及び−Vccのパルス信号1周期分で、図4(a)に示す三角波形信号の1周期分を作成しスイッチング信号作成回路19へ与える。
これにより、各給電装置の三角波発生回路29は、互いに略同位相の三角波形信号を、それぞれのスイッチング信号作成回路19へ与えることができる。
【0041】
尚、ここでは、反転する+Vcc及び−Vccの同期引込信号により、三角波形信号の極大及び極小の各頂点を形成しているが、回路構成をより簡単にする為、+Vccのみの同期引込信号又は−Vccのみの同期引込信号にしても、動作には影響しないことが確認されている。また、三角波形信号の各頂点毎には同期引込信号を与えず、三角波形信号の周期の整数倍の周期毎に同期引込信号を与えるようにしても、動作に問題は生じないことが実験により確認出来ている。
この結果、同期引込信号にノイズが含まれたりして異常な場合には、その同期引込信号を無視するように構成すれば、極めてノイズに強い給電装置を実現することが出来る。
【0042】
一方、電流検出回路16は、インバータ装置4付近の給電線5に流れる電流値を検出しており、演算回路17は、電流検出回路16が検出した電流値を、電流値設定回路15が設定した電流値から差し引いて出力する。
電流検出回路16が検出した電流値が、比較的小さいとき、演算回路17は比較的大きい正の電圧値を出力し、この正の電圧値は−8Vのバイアスをかけられ、絶対値が比較的小さい負の電圧値となって、制御信号作成回路18に与えられる。
制御信号作成回路18は、図4(a)に示すような、与えられた負の電圧値とその反転信号とを出力してスイッチング信号作成回路19に与える。
【0043】
スイッチング信号作成回路19は与えられた、絶対値が等しく、絶対値が比較的小さい正負の電圧値と、三角波発生回路29から与えられた三角波形信号の電圧値とを比較して、図4(b)(c)に示すような、パルス幅が比較的大きなパルス信号(スイッチング信号)を作成して、インバータ21の各スイッチング素子25〜28に与える。
例えば、IGBT25,28を、図4(b)に示すパルス信号で、IGBT26,27を、図4(c)に示すパルス信号でそれぞれ動作させると、インバータ21は図4(d)に示すような比較的大きな交流電流を、共振回路22へ出力する。共振回路22は、この交流電流を給電線5に共振させて供給する。
つまり、電流検出回路16が検出した電流値が小さいとき、インバータ21は大きい交流電流を給電線5に供給する。
【0044】
また、電流検出回路16が検出した電流値が、比較的大きいとき、演算回路17は比較的小さい正の電圧値を出力し、この正の電圧値は−8Vのバイアスをかけられ、絶対値が比較的大きい負の電圧値となって、制御信号作成回路18に与えられる。制御信号作成回路18は、図5(a)に示すような、与えられた負の電圧値とその反転信号とを出力してスイッチング信号作成回路19に与える。
【0045】
スイッチング信号作成回路19は与えられた、絶対値が等しく、絶対値が比較的大きい正負の電圧値と、三角波発生回路29から与えられた三角波形信号の電圧値とを比較して、図5(b)(c)に示すような、パルス幅が比較的小さなパルス信号(スイッチング信号)を作成して、インバータ21の各スイッチング素子25〜28に与える。
例えば、IGBT25,28を、図5(b)に示すパルス信号で、IGBT26,27を、図5(c)に示すパルス信号でそれぞれ動作させると、インバータ21は図5(d)に示すような比較的小さな交流電流を、共振回路22へ出力する。共振回路22(供給回路)は、この交流電流を、給電線5とで構成した共振回路に共振させて、給電線5に供給する。
【0046】
つまり、電流検出回路16が検出した電流値が大きいとき、インバータ21は小さい交流電流を給電線5に供給する。
ここで、各給電装置において、同期引込信号により三角波発生回路29から与えられる三角波形信号は略同位相であるから、スイッチング信号作成回路19が作成するパルス信号(スイッチング信号)のパルス幅の大小に関係なく、各インバータ21が出力する交流電流も略同位相である。
【0047】
また、電流検出回路16が検出した電流値が、電流値設定回路15が設定している電流値より大きいとき、演算回路17は負の電圧値を出力し、この負の電圧値は−8Vのバイアスをかけられ、絶対値が大きい負の電圧値となって、制御信号作成回路18に与えられる。
制御信号作成回路18は、与えられた負の電圧値とその反転信号とを出力してスイッチング信号作成回路19に与える。
【0048】
スイッチング信号作成回路19は与えられた、絶対値が等しく、絶対値が大きい正負の電圧値と、三角波発生回路29から与えられた三角波形信号の電圧値とを比較するが、正負の電圧値が三角波形信号の電圧値を超えているので、パルス信号(スイッチング信号)は作成されず、インバータ21は交流電流を減少させる。
つまり、電流検出回路16が検出した電流値が、電流値設定回路15が設定している電流値より大きいとき、インバータ21は交流電流を減少させる。
本実施の形態では、各給電装置の位相を合わせる為の信号を、フォトカプラにより送受信しているので、各給電装置毎の接地ラインを分離することが出来、耐ノイズ性が向上する。
【0049】
図6は、開示される給電装置及び給電システムの構成を示すブロック図である。この給電システムは、主たる給電装置において、発振回路1が出力した発振信号が、インバータ装置4aに与えられ、インバータ装置4aは、与えられた発振信号に基づき、給電線5に交流電流を供給する。
【0050】
従たる各給電装置(ここでは3台)においては、主たる給電装置の発振回路1が出力した発振信号が、同期回路6に与えられ、同期回路6は、与えられた発振信号と同位相の同期信号を作成し、インバータ装置4aに与えると共に、他の従たる各給電装置の同期回路6に与える。
従たる各給電装置の同期回路6は、主たる給電装置の発振回路1から縦続に接続されている。
尚、従たる各給電装置の同期回路6は、主たる給電装置の発振回路1に並列に接続しても良い。
【0051】
同期回路6は、その出力した同期信号と、発振回路1が出力した発振信号又は他の給電装置の同期回路6が出力した同期信号とが与えられ、それらの位相を比較し、位相差に応じた信号を出力する位相比較回路6aと、位相比較回路6aが出力した信号を積分する積分回路6bと、積分回路6bが積分し出力した信号の電圧値に応じた周波数の信号を発振し、同期回路6の出力として同期信号を出力する電圧制御発振回路6cとを備えている。
【0052】
この同期回路6は、位相比較回路6aが出力する位相差に応じた信号の絶対値が小さくなるように、電圧制御発振回路6cが発振周波数を制御して行き、時間の経過と共に(実際には瞬時に)、電圧制御発振回路6cは、発振回路1が出力した発振信号又は他の給電装置の同期回路6が出力した同期信号と、同位相の同期信号を出力するようになる。
このとき、位相比較回路6aが出力した位相差に応じた信号を、積分回路6bが積分するので、他の給電装置からの発振信号又は同期信号にノイズが含まれていても、その影響を低減することが出来る。
【0053】
図7は、インバータ装置4aの構成を示すブロック図である。このインバータ装置4aは、同期回路6から同期信号(同期引込信号)を与えられ、与えられた同期信号に同期して、実施の形態1において説明したフォトカプラ部3と同様に、+Vcc又は−Vccのパルス信号を反転して出力する同期引込回路7を備え、同期引込回路7が出力したパルス信号は三角波発生回路29に与えられる。その他の構成及び動作は、実施の形態1において説明したインバータ装置4と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
この給電システムでは、各給電装置において、同期信号により三角波発生回路29から与えられる三角波形信号は略同位相であるから、スイッチング信号作成回路19が作成するパルス信号(スイッチング信号)のパルス幅の大小に関係なく、各インバータ21が出力する交流電流も略同位相である。
尚、この開示された構成において、発振回路1及びインバータ装置4aからなる主たる給電装置に代えて(図6)、周期信号作成回路としての発振回路1のみを備える構成としても、同様の効果を得ることが出来る。
また、この開示された構成において、発振回路1から、従たる給電装置の各インバータ装置4aへ直接、同期信号を与えるようにして、従たる給電装置の各同期回路6を省略する構成としても良い。
【0055】
【発明の効果】
発明に係る給電システムによれば、簡単な構成で、所定の周期信号としてオン/オフ信号を使用出来るのでノイズに強く、また、他の給電装置の出力と位相を合わせて、給電線に出力することが出来る給電装置を複数台備えた給電システムを実現することが出来る。
また、給電装置を使用台数に関係なく分散化して最適配置することが出来るので、高周波大電流(例えば16kHz、40A程度)を流す給電線の抵抗損失を減少させることが可能となり、給電システム全体の効率向上を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る給電システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明に係る給電システムの給電装置の構成を示すブロック図である。
【図3】インバータ周辺の構成を示す回路図である。
【図4】インバータ装置の動作を示す波形図である。
【図5】インバータ装置の動作を示す波形図である。
【図6】 開示される給電装置及び給電システムの構成を示すブロック図である。
【図7】インバータ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の、高周波誘導加熱炉用電源装置を転用した給電装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 フォトカプラ駆動回路(周期信号作成回路)
3 フォトカプラ部(受信回路)
3a,3b フォトカプラ
4,4a インバータ装置
5 給電線
6 同期回路
6a 位相比較回路
6b 積分回路
6c 電圧制御発振回路
7 同期引込回路
15 電流値設定回路
16 電流検出回路
17 演算回路
18 制御信号作成回路
19 スイッチング信号作成回路
20 コンバータ
21 インバータ
22 共振回路(供給回路)
29 三角波発生回路(スイッチング信号作成回路)

Claims (3)

  1. 複数のスイッチング素子を動作させることにより交流電流を生成するインバータを有し、該インバータが生成した交流電流を給電線に供給する複数の給電装置を備える給電システムにおいて、
    所定の周期を有する周期信号を作成する周期信号作成回路を備え、前記給電装置は、該周期信号作成回路が作成した周期信号を受信する受信回路と、該受信回路が受信した周期信号に基づき、前記スイッチング素子を動作させるスイッチング信号を作成するスイッチング信号作成回路と、該スイッチング信号作成回路が作成したスイッチング信号により前記インバータが生成した交流電流を、前記給電線を含む共振回路に共振させて、該給電線に供給する為の供給回路とを有することを特徴とする給電システム
  2. 複数のスイッチング素子を動作させることにより交流電流を生成するインバータを有し、該インバータが生成した交流電流を給電線に供給する複数の給電装置を備える給電システムにおいて、
    発振回路と、該発振回路が発振した発振信号に基づき、所定の周期を有するパルス状の同期引込信号を作成し出力するフォトカプラ駆動回路とを備え、前記給電装置は、前記同期引込信号を電気的に絶縁して受信するフォトカプラ部と、該フォトカプラ部が受信した同期引込信号に略同期した三角波を発生させる三角波発生回路と、該三角波発生回路が発生させた三角波に基づき、前記スイッチング素子を動作させるスイッチング信号を作成するスイッチング信号作成回路と、該スイッチング信号作成回路が作成したスイッチング信号により前記インバータが生成した交流電流を、前記給電線を含む共振回路に共振させて、該給電線に供給する為の供給回路とを有することを特徴とする給電システム
  3. 前記給電線に流すべき交流電流値を設定する電流値設定回路と、前記給電線に流れる交流電流値を検出する電流検出回路と、前記電流値設定回路が設定した交流電流値及び前記電流検出回路が検出した交流電流値の差を演算する演算回路とを更に備え、前記スイッチング信号作成回路は、該演算回路が演算した差及び前記周期信号に基づき、前記スイッチング信号を作成すべくなしてある請求項1又は2記載の給電システム
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