JP3266088B2 - 非接触給電装置 - Google Patents

非接触給電装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動式移動体に非接
触で電力を供給する非接触給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、電動式移動体として、工場内で部
品や製品などの運搬を行う自走式車両、例えば天井走行
用車両や自動倉庫用車両等の移動体が知られている。こ
のような電動式移動体に電力を供給する手段の一つとし
て、非接触で電力を移動体に供給するための非接触給電
装置が提案されている。
【0003】図6は従来の非接触給電装置を説明する図
である。同図において、工場の天井又は床等に施設され
たレール1の側面には給電線2を支持する支持体3が取
り付けられている。移動体である不図示の車両側に取り
付けられたE形コア4は、その凹部に給電線2が位置す
るように配設され、給電線2に高周波電流を流すことに
よってE形コア4に誘起される電力を使用して車両を駆
動する。
【0004】また、給電線2への電力の供給は、例えば
給電線2の両端に設けられた高周波電源5、及び6によ
って行われる。尚、高周波電源5は同図に示す破線より
左側の給電線2aに電力を供給し、高周波電源6は同図
に示す破線より右側の給電線2bに電力を供給する。し
たがって、破線で省略された部分にそれぞれの給電線2
a、2bの終端が位置する。
【0005】図7は従来の高周波電源5(又は6)の回
路ブロック図である。交流電源(商用電源)から供給さ
れる交流電流は整流回路7によって直流電流に変換さ
れ、チョッパ回路8に供給される。チョッパ回路8に
は、駆動パルス発生回路10から出力された所定周期
(例えば、周波数10KHz)の駆動パルスが供給され、
チョッパ回路8はこの駆動パルスの出力周波数に従って
直流電流を交流電流に変換し、前述の給電線2a(又は
2b)に供給する。尚、駆動パルス発生回路10から出
力する駆動パルスは、前段に配設された基準パルス発生
回路9の基準パルスを分周して作成したものである。
【0006】上述の回路構成は、高周波電源5及び6に
おいて同じであり、それぞれ個々に内蔵する基準パルス
発生回路9から出力される基準パルスに基づいて上述の
交流電流を出力する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の非接触給電
装置においては以下の問題が発生する。すなわち、上述
の基準パルス発生回路9は、それぞれ独立して両回路に
設けられるため、例え出力周波数は一致していたとして
も、両パルス間に位相差が存在する場合がある。
【0008】かかる場合、両高周波電源5、6から出力
される電流間に位相差が生じ、E形コア4が両給電線2
a、2bを跨いでいる時には、電力を無駄に消費する。
例えば、図8に示すように両高周波電源5、6間に18
0度の位相差があれば、前述のE形コア4に誘起される
起電力は相反する方向に発生し、E形コア4を介して2
つの電源の出力がショートしたことになり、高周波電源
5、6において過電流異常等の問題が発生する。
【0009】そこで、両高周波電源5、6間に発生する
位相差を無くすため、図9に示す高周波電源も提案され
ている。すなわち、基準パルス発生回路9を共通にし
て、同じ基準パルス発生回路9から基準パルスを高周波
電源5及び6(駆動パルス発生回路10a、10b)に
供給し、チョッパ回路8a、8bを介して給電線2a、
2bに位相差のない電力供給を行うものである。
【0010】しかし、例え基準パルスを一致させたとし
ても、給電線2a、2b間の線間容量や、インダクタン
スの相違、等により高周波電源5及び6から出力される
電流には位相差が生じる。
【0011】本発明は上記課題に鑑み、給電線に供給す
る電流の位相差をより確実に無くす非接触給電装置を提
供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は上
記課題を解決するため、給電線に電力を供給する第1、
第2の高周波電源と、前記第1の高周波電源から供給さ
れる電流の位相を測定する第1の測定手段と、前記第2
の高周波電源から供給される電流の位相を測定する第2
の測定手段と、前記第1の測定手段で測定した電流の位
相と、前記第2の測定手段で測定した電流の位相とを比
較し、両電流の位相差を検出する位相差検出手段とを有
し、該位相差検出手段で検出した位相差に従って前記第
2の高周波電源に供給する駆動パルスを制御し、前記第
2の高周波電源から出力する電流の位相を前記第1の高
周波電源から出力する電流の位相に一致させる非接触給
電装置を提供することによって達成できる。
【0013】ここで、給電線は例えば自動倉庫用のレー
ルや、天井走行車用のレール等に沿って配設された給電
線であり、例えばリッツ線等が使用される。また、第
1、第2の高周波電源は給電線の両端、走行経路の途
中、又は分岐する走行経路等に設けられ、給電線に所定
周期の電力を供給する。また、第1、第2の測定手段
は、給電線に供給される電流の位相を測定し、例えばC
T(変流器)等で構成される。さらに、位相差検出手段
は第1、第2の測定手段で測定した電流の位相差を検出
する。
【0014】このように構成することにより、位相差検
出手段で検出した両電流の位相差に従って第2の高周波
電源から位相差を補正した高周波電流を供給し、第1、
第2の高周波電源から位相差のない高周波電流を供給す
るものである。
【0015】例えば、両電流の位相差が大きい時には駆
動パルスの出力タイミングを大きくずらし、位相差が小
さくなれば駆動パルスの出力タイミングのずらし量を小
さくし、両電流の位相が一致するように制御する。した
がって、第1、第2の高周波電源から出力される電流の
位相は自動的に一致する方向に制御され、基準パルスの
調整等を行うことなく供給電流の位相制御を行うことが
できる。
【0016】請求項2記載の発明は上記課題を解決する
ため、給電線に電力を供給する2以上の高周波電源を有
し、該高周波電源の電流位相の基準となる電流位相基準
信号を出力する基準信号出力手段と、前記高周波電源か
ら出力される電流の位相を測定する測定手段と、該測定
手段で測定した電流の位相と前記基準信号出力手段から
出力された基準信号の位相とを比較する位相比較手段
と、該位相比較手段で検出した位相差から所定周波数の
電流を作成し、前記給電線に供給する電流供給手段と、
を有する非接触給電装置を提供することによって達成で
きる。
【0017】本例は2以上の高周波電源が給電線に接続
される非接触給電装置であり、給電線は前述の場合と同
じく、例えば自動倉庫用のレールや、天井走行車用のレ
ール等に沿って配設された給電線であり、第1、第2の
高周波電源は給電線の両端、走行経路の途中、又は分岐
する走行経路、等に配置され、給電線に所定周期の電力
を供給する。また、測定手段も、例えばCT等で構成さ
れている。一方、基準信号発生手段は、電流位相を比較
する際の基準となる信号発生手段であり、例えば予め基
準信号として適切な電流位相情報を含む信号を設定す
る。
【0018】このように構成することにより、2以上の
高周波電源から出力される電流の位相は自動的に一致す
る方向に制御され、基準パルスの調整等を行うことなく
供給電流の位相制御を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例につい
て、図面を参照して詳細に説明する。図2は本実施形態
例の非接触給電装置のシステム構成図である。本例にお
いても、給電線12の両側にそれぞれ高周波電源15、
16が設けられている。ここで、給電線12(12a、
12b)はレール11の側面に設けられた支持体13に
所定間隔で取り付けられている。また、上述のレール1
1に沿って移動体14が走行し、移動体14の駆動力は
コア(E形コア)14aで受電する。ここで、給電線1
2aには高周波電源15から供給される電流が流れ、給
電線12bには高周波電源16から供給される電流が流
れる。また、各給電線12a、12bは、それぞれ図2
に示す12a’、12b’の形状の端部を有する。
【0020】図3は上述の給電線12a(又は12b)
に対するE形コア14の位置関係を断面図で示すもので
ある。同図に示すように、2本の給電線12a(12
b)はE形コア14aの2箇所の凹部に位置し、給電線
12a(12b)を流れる電流によって作成される磁束
をE形コア14aに形成する。コイル14bには、この
磁束によって作成される電流が流れ、この電流を移動体
14内の駆動モータ等に供給する。
【0021】一方、非接触給電装置を構成する給電線1
2a、又は12bには前述のように、対応する高周波電
源15、又は16から電力の供給が行われ、図1にこの
構成を示す。尚、図1に示す高周波電源15、16は接
近して示しているが、実際には例えば数百mもの距離が
離れた位置にある。
【0022】高周波電源15は給電線12aに電力を供
給し、高周波電源16は給電線12bに電力を供給す
る。また、高周波電源15に近い給電線12aの位置に
はCT1が設けられ、このCT1により給電線12aを
流れる電流が検出される。この電流は高周波電源16の
PLL回路/VCO回路17に供給される。また、高周
波電源16近傍の給電線12bの位置にCT2が設けら
れ、給電線12bに流れる電流が検出され、上述のPL
L回路/VCO回路17に供給される。以下、図1の回
路を具体的に説明する。
【0023】図4は上述の高周波電源15内の回路であ
り、基準パルス発生回路20、駆動パルス発生回路2
1、整流回路22、チョッパ回路23で構成されてい
る。基準パルス発生回路20は、例えば水晶発振器等の
発振回路で構成され、発振パルスを駆動パルス発生回路
21に供給する。駆動パルス発生回路21は、入力する
発振パルスを分周し、例えば10KHzの駆動パルスを作
成し、チョッパ回路23に出力する。一方、整流回路2
2には交流電流が供給され、整流回路22によって直流
電流に変換された後、チョッパ回路23に供給される。
【0024】チョッパ回路23には上述の整流回路22
から直流電流が供給され、駆動パルス発生回路21から
駆動パルスが供給され、チョッパ回路23では供給され
る駆動パルスに従って直流電流をオン、オフし、例えば
10KHzの高周波電流を給電線12aに供給する。
【0025】一方、高周波電源16は前述の図1に示す
ように、PLL/VCO回路(以下、単にPLL回路で
示す)17、駆動パルス発生回路24、整流回路25、
チョッパ回路26で構成されている。PLL回路17に
はCT1から検出電流が供給され、更にCT2からも検
出電流が供給され、PLL回路17の比較値となる。
尚、上述の両検出電流はPLL回路17内の不図示の位
相比較器に供給され、この位相比較器によって両電流の
位相が比較される。
【0026】比較器による比較結果は、VCO(電圧コ
ントロールオシレータ)に出力され、比較結果に基づく
基準パルスが作成され、このデータが駆動パルス発生回
路24に供給される。駆動パルス発生回路24では基準
パルスに従った駆動パルスを、チョッパ回路26に出力
する。また、整流回路25は前述の整流回路22と同
様、交流電流を整流し、チョッパ回路26に供給する。
【0027】チョッパ回路26は、整流回路25から供
給される整流電流を駆動パルス発生回路24から出力さ
れる駆動パルスで、例えば10KHzの高周波電流として
給電線12bに出力する。
【0028】以上の構成の非接触給電装置において、以
下にその処理動作を説明する。先ず、基準パルス発生回
路20を駆動し、発振パルスを駆動パルス発生回路21
に供給し、駆動パルス発生回路21からチョッパ回路2
3に駆動パルスを出力し、チョッパ回路23から高周波
電流を給電線12aに供給する。
【0029】上記高周波電源15から供給される電流に
よって給電線12aには高周波電流が流れ、給電線12
aに電力供給が行われる。この電流は10KHzの周波数
を有し、給電線12aの配設条件等に見合った位相の電
流である。CT1は配電線12aを流れる電流を検出
し、PLL回路17に供給する。
【0030】一方、高周波電源16も駆動を開始し、高
周波電源16から給電線12bに電流が供給される。そ
して、PLL回路17には、給電線12bに設けられた
CT2からの検出電流も供給され、PLL回路17内の
位相比較器で両電流の位相が比較され、VCOを介して
駆動パルス発生回路24に出力される。
【0031】この駆動パルス発生回路24に供給される
駆動パルスは、実際に給電線12a、12bを流れる電
流に対するものである。したがって、実際に給電線12
a、12bを流れる電流の周波数、及び位相の情報を含
むものであり、駆動パルス発生回路24にはこのような
情報を含むパルス信号が供給される。すなわち、給電線
12a、12bに供給される電流は前述のCT1で検出
した電流を例えば基準として、CT2で測定した電流の
位相を補正した電流である。
【0032】したがって、給電線12a、12bの線間
容量や、給電線12a、12bの配設長に見合ったイン
ダクタンスの相違、等が補正された電流であり、高周波
電源15から供給される電流に対して周波数と位相が一
致した電流である。このような電流を供給することによ
り、2個の高周波電源15、16から高周波電流を供給
しても互いに位相差のない電流を給電線12a、12b
に供給することができる。
【0033】尚、上述の実施形態例では、CT1及び2
によって給電線12a、12bから直接電流を測定した
が、図5に示すように、電流位相基準パルス発生回路2
8から各高周波電源15、16、等に基準パルスを供給
する構成としてもよい。
【0034】すなわち、同図に示すように、電流位相基
準パルス発生回路28から各高周波電源15、16、・
・・に電流位相基準パルスを出力し、各高周波電源1
5、16、・・・内のPLL回路29に供給する。PL
L回路29には給電線12aに設けられたCTから電流
データが入力しており、PLL回路29は両電流を比較
し、比較結果を駆動パルス発生回路30に出力する。こ
の場合にも、駆動パルス発生回路30に供給されるパル
ス信号は、給電線12aに流れる電流の測定値を基準パ
ルスと比較したものであり、従って基準パルス発生回路
30から出力される10KHzの駆動パルスは、PLL回
路29によって位相が補正されたパルスであり、各給電
線12a、12b、等には位相差のない電流が供給され
る。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば複
数の高周波電源から電力を供給する場合でも、供給され
る電力に位相差が生じないので、電力損出を防ぐことが
できる。
【0036】また、コアに相反する磁界が発生すること
がなく、高周波電源に過電流異常等が発生することもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波電源の回路ブロック図である。
【図2】本実施形態例の非接触給電装置のシステム構成
図である。
【図3】給電線に対するE形コアの位置関係を断面図で
示すものである。
【図4】高周波電源内の具体的回路に一部を説明する図
である。
【図5】高周波電源回路の変形例である。
【図6】従来の非接触給電装置を説明する図である。
【図7】従来の高周波電源の回路ブロック図である
【図8】両高周波電源間に180度の位相差があり、両
高周波電源から出力される電流は相殺され、大きな電力
の無駄となる例を説明する図である。
【図9】従来の高周波電源の別例を示す回路ブロック図
である。
【符号の説明】
11 レール 12a、12b 給電線 13 支持体 14 移動体 14a E形コア 14b コイル 15、16 高周波電源 17、29 PLL回路 20 基準パルス発生回路 21、30 駆動パルス発生回路 22 整流回路 23 チョッパ回路 24 駆動パルス発生回路 25 整流回路 26 チョッパ回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 5/00 B60M 1/00 - 1/36 B60M 3/00 - 3/06 B60M 7/00 H02J 3/40 - 3/42 H02J 17/00 H02M 7/53 - 7/5395

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の給電線に電力を供給する第1の高
    周波電源と、 第2の給電線に電力を供給する第2の高周波電源と、 前記第1の給電線及び第2の給電線、又は前記第1の給
    電線又は第2の給電線を介して電力の供給を受け、走行
    する移動体と、 前記第1の高周波電源から供給される電流の位相を測定
    する第1の測定手段と、 前記第2の高周波電源から供給される電流の位相を測定
    する第2の測定手段と、 前記第1の測定手段で測定した電流の位相と、前記第2
    の測定手段で測定した電流の位相とを比較し、両電流の
    位相差を検出する位相差検出手段とを有し、 該位相差検出手段で検出した位相差に従って前記第2の
    高周波電源に供給する駆動パルスを制御し、前記第2の
    高周波電源から出力する電流の位相を前記第1の高周波
    電源から出力する電流の位相に一致させることを特徴と
    する非接触給電装置。
  2. 【請求項2】 第1の給電線に電力を供給する第1の高
    周波電源と、 第2の給電線に電力を供給する第2の高周波電源と、 前記第1の給電線及び第2の給電線、又は前記第1の給
    電線又は第2の給電線を介して電力の供給を受け、走行
    する移動体と、 前記第1、第2の 高周波電源の電流位相の基準となる電
    流位相基準信号を出力する基準信号出力手段と、 前記第1、第2の高周波電源から出力される電流の位相
    を測定する測定手段と、 該測定手段で測定した電流の位相と、前記基準信号出力
    手段から出力された基準信号の位相とを比較する位相比
    較手段と、 該位相比較手段で検出した位相差から所定周波数の電流
    を作成し、前記第1、第2の給電線に供給する電流供給
    手段と、 を有することを特徴とする非接触給電装置。
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