JP3855908B2 - 演奏データ作成装置及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、演奏データのチャンネル分離に当って音色情報を考慮することができる演奏データ作成システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
1つのチャンネル内の演奏データは、複数のチャンネルに分離することができる。例えば、特許文献1により提案されている方法では、ギター用などの演奏データの場合、各弦に対応するイベントを弦の数のチャンネルに分離することで、弦毎に演奏データを利用することができる。また、特許文献2のように演奏データに表情付けを行う場合、チャンネル分離を先に行えば、チャンネル毎に独立して音高や音量などの制御を加えることができ、奏法に沿った自然な表情付けが可能になる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−99017号公報
【特許文献2】
特開2000−221971号公報
【0004】
このように演奏データのチャンネル分離に当って、分離する元のチャンネルの演奏データ内に音色情報が入っている場合は、分離された各チャンネルにもその音色情報は自動的にコピーされるが、音色情報が入っていない場合には、元になるチャンネルと分離されたチャンネルが接続された音源の状態によっては“ばらばら”の音色で再生されることがある。また、仮に、分離されたチャンネルに表示付けのデータが入っていたとしても、意図しない音色で再生されてしまうと意味のないものになってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような事情に鑑み、演奏データのチャンネル分離時に、音源より元の演奏データのチャンネルに設定されている音色情報を読み、分離した各チャンネルの演奏データ内にその音色情報を表わすデータを作成することによって、元演奏データ内に音色情報が存在しない場合でも、音源の音色設定情報を分離する各チャンネルに反映させ、チャンネル分離後も自然な再生を行うことができる演奏データ作成システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の主たる特徴に従うと、演奏データを再生するための音源(TG)を備え、1つのチャンネル(ch)内に記録されている元の演奏データ(Dog)を複数チャンネル(CH)に分離して新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)を作成する演奏データ作成装置(ED)であって、音源より(TG)、元の演奏データ(Dog)に対応するチャンネル(ch)に設定されている音色情報を取得する音色情報取得手段(S11)と、取得された音色情報を新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)に書き込む音色情報書込み手段(S12,S13)とを具備する演奏データ作成装置〔請求項1〕、並びに、演奏データを再生するための音源(TG)を備え、1つのチャンネル(ch)内に記録されている元の演奏データ(Dog)を複数チャンネル(CH)に分離して新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)を作成する演奏データ作成装置(ED)に対して、音源(TG)より、元の演奏データ(Dog)に対応するチャンネル(ch)に設定されている音色情報を取得する音色情報取得ステップ(S11)と、取得された音色情報を新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)に書き込む音色情報書込ステップ(S12,S13)とから成る手順を実行させるための演奏データ作成プログラム〔請求項3〕が提供される。なお、括弧書きは、後述する実施例における参照記号又は用語を表わす。
【0007】
この発明による演奏データ作成装置(ED)では、さらに、元の演奏データ(Dog)について音色情報を検索する音色情報検索手段又はステップ(S10)を備える構成にすると共に、音色情報書込み手段又はステップ(S12,S13)により、音色情報が検索された場合(S10→YES)には、元の演奏データ(Dog)に記録されている音色情報を新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)に書き込み(S13)、音色情報が検索されない場合には(S10→NO)、音源(TG)より取得された音色情報を新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)に書き込む(S11,S12)構成とすることができる〔請求項2,4〕。
【0008】
〔発明の作用〕
この発明による演奏データ作成装置(ED)は、演奏データを再生するための音源(TG)を備え、1つのチャンネル(ch)内に記録されている元の演奏データ(Dog)を複数のチャンネル(CH)に分離する機能を有している。複数チャンネルに分離して新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)を作成する際には、音源(TG)に音色を問い合わせて、元の演奏データ(Dog)が入っていたチャンネル(ch)に設定されている音色情報(音色設定情報)を取得して、取得された音色設定情報と同じ音色を表わす音色情報を生成し(S11)、分離された各チャンネル(CH)の新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)内の所定の位置にこの音色情報を挿入する(S12)。
【0009】
つまり、この発明によれば、チャンネル分離の元になる演奏データ(Dog)内に音色情報が存在しない場合でも、分離される各チャンネル(CH)の演奏データ(Ds1,Ds2,…)に音源(TG)の音色設定情報を反映させるようにしているので、新たな演奏データ(Ds1,Ds2,…)によって、チャンネル分離を行った後でも自然な再生を得ることが可能になる。従って、分離された各チャンネルに存在する表示付けのデータも、意図された音色で再生されることになるので、効果的に再生される。
【0010】
また、この発明による演奏データ作成装置(ED)では、元演奏データ(Dog)内の所定の範囲について音色情報があるかどうかを検索し(S10)、音色情報が存在しないことが分かった場合に(S10→NO)、音源(TG)より取得した音色設定情報に基づく音色を表わす音色情報を、分離される各チャンネル(CH)の演奏データ(Ds1,Ds2,…)内に挿入する(S12)ようにしているので、ユーザは、元演奏データ(Dog)内の音色情報の有無を気にしなくて済むようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
〔システムの概要〕
図1は、この発明の一実施例による演奏データ作成システムのハードウエア構成ブロック図を示す。この例では、演奏データ作成システムは、演奏情報処理装置ED、音源部TG及びサウンドシステムSSから成る。演奏データの作成のために用いられる演奏情報処理装置EDは、シーケンサ機能を有するパーソナルコンピュータ(PC)が使用されており、中央処理装置(CPU)1、読出専用メモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3、外部記憶装置4、入力操作部5、表示部6、通信インターフェース(通信I/F)7などが備えられ、これらの装置1〜7はバス8を介して互いに接続されている。
【0012】
CPU1は、所定のソフトウエア・制御プログラムに従い、演奏データ作成処理を含む各種演奏情報処理を実行する。ROM2には、このために、演奏データ作成処理などの演奏情報処理を実行するための各種制御プログラムや各種パラメータなどが記憶されている。RAM3は、これらの処理に際して必要な各種データを一時記憶するためのワーク領域として用いられる。
【0013】
外部記憶装置4は、ハードディスク(HD)や、コンパクトディスク・リード・オンリィ・メモリ(CD−ROM)、フレキシブルディスク(FD)、光磁気(MO)ディスク、ディジタル多目的ディスク(DVD)、半導体メモリ等の記憶媒体を含み、このシステムで利用される演奏データなどの音楽情報や、演奏データ作成プログラム、各種パラメータなどを保存しておくことができる。
【0014】
入力操作部5は入力操作子及び入力検出回路から成り、マウスやキーボード等の入力操作子による設定/制御操作の内容を入力検出回路で検出してシステム内に導入する。入力操作子は、各種キーやスイッチなどの操作子を備え、このシステムの動作状態を設定したり演奏データ作成に必要な各種情報を入力するのに用いられる。また、表示部6は、これに接続されるディスプレイ(CRT、LCD等の表示器)9の表示内容や各種インジケータ(ランプ)の点灯状態をCPU1からの指令に従って制御し、入力操作部5の操作に対する表示援助を行う。
【0015】
通信I/F7に接続される音源TGは、音源装置や効果付与DSPを含み、演奏情報処理装置EDで作成された演奏データなどに対応する楽音信号を生成し、音源TGに接続されるサウンドシステムSSは、D/A変換部やアンプ、スピーカを備え、音源TGからの楽音信号に基づく楽音を発生する。つまり、音源TG及びサウンドシステムSSにより、この演奏データ作成システムで作成された演奏データに基づく楽音を発音する楽音生成部が形成される。
【0016】
なお、この演奏データ作成システムは、上述のように音源TGを別設せず、モジュール化されたソフトウエア音源をPCに内蔵させたり、シーケンサ等の演奏情報処理に特化した専用の演奏情報処理装置の形態で実現することもできる。また、通信I/F7には、演奏情報処理機能をもつ外部機器(図示せず)を接続して、外部機器から各種演奏情報や制御プログラムなどを受信することもできる。
【0017】
〔チャンネル分離の例〕
この発明の一実施例による演奏データ作成システムでは、“シーケンスデータ”と呼ばれる演奏データの或るチャンネルを分離して複数チャンネルから成る新たな演奏データを生成するに際に、元のチャンネルの演奏データ(元演奏データ)内に音色情報が存在する場合には、この音色情報を複製して、新たに分離された各チャンネルの演奏データに付加する。また、元演奏データ内に音色情報が存在しない場合には、音源TGに音色を問い合わせ、元のチャンネルに対応して設定されている音色情報を音源TGより読み出し、その音色情報を表わすデータを新たな各チャンネルの演奏データ内の所定位置に挿入する。なお、元演奏データ内に音色情報が存在するかしないかに拘わらず、音源TGに音色を問い合わせて、新たな演奏データを作成することもできる。
【0018】
次に、図2〜図4に示される極く簡単な例に基づいて、このような演奏データのチャンネル分離機能を説明する。図2は、演奏データのチャンネル分離時における条件例〔(1)チャンネル分離のルール例、(2)音源の音色設定例〕を表わす図であり、また、図3及び図4は、演奏データ作成例を説明するための図であって、図3は演奏データのチャンネル分離における楽譜例を示し、図4(1),(2)は、元演奏データ内に音色情報がある場合及び音色情報がない場合のデータリストの一例を示す。
【0019】
この条件設定例では、図2(1)に示すように、或るチャンネルの元演奏データのうち、音高“E3”(ノートナンバ“64”)以上のデータを第1チャンネル“1CH.”に分離し、音高“B2”(ノートナンバ“59”)以上“E3”(ノートナンバ“64”)未満のデータを第2チャンネル“2CH.”に分離し、以下、同様にして、音高“E1”(ノートナンバ“40”)以上“A1”(ノートナンバ“45”)未満のデータを第6チャンネル“6CH.”に分離するというルールに従って、当該元演奏データを6つのチャンネル(分離後のチャンネル)“1CH.”〜“6CH.”に分離するものとする。
【0020】
また、演奏データ(シーケンスデータ)の送信先となる音源TGには、図2(2)のように、予め用意されたオリジナル演奏データの各チャンネル(元のチャンネル)“1ch.”,“2ch.”,…に対応して、それぞれ音色“A”,“B”,…が設定されているものとする(第7チャンネル以下は図示省略)。
【0021】
いま、用意された或るオリジナル演奏データの第1チャンネル“1ch.”のデータを元演奏データDogとして、図2(1)の分離ルールに従って第1〜第6チャンネル“1CH.”〜“6CH.”の新たな演奏データに分離され、また、オリジナル演奏データの第2〜第6チャンネル“2ch.”〜“6ch.”は空きチャンネルであって、新たな演奏データの各チャンネル“1CH.”〜“6CH.”は、音源TGにおいて、オリジナル演奏データの各チャンネル“1ch.”〜“6ch.”に対応するチャンネルで再生されるものとする。
【0022】
そして、第1チャンネル“1ch.”の元演奏データDogが図3(A)に示される楽譜で表わされる場合、この元演奏データDogは、図3(B1),(B2)に示すような第1及び第2チャンネルの新たな演奏データDs1,Ds2に分離される。この場合、元演奏データDogに音色情報があるか否かに応じて図4(1)又は(2)に示されるようなデータリストが作成される。
【0023】
図4(1),(2)において、(a),(b1),(b2)の各データリストは、それぞれ、図3(A),(B1),(B2)に対応し、タイミング情報、音高情報、ゲートタイム(符長)情報、ベロシティ(強度)情報の順に、データ値を並べたものである。タイミング情報は、この例では、“(小節):(拍):(拍未満の単位)”で表わされ、拍未満については、“240”は8分音符に相当し“480”は4分音符に相当する。また、元演奏データDogに音色情報が存在するときは、例えば、図4(1)(a)に示されるように、所定箇所に、音色情報(“A”等)がプログラムチェンジデータとしてタイミング情報と共に挿入されている。
【0024】
図4(1)(a)は、オリジナル演奏データの第1チャンネル“1ch.”に入っておりチャンネル分離の元になる図3(A)の元演奏データデータDogに、「音色“A”」を表わす音色情報(ProgramChange A)が付いている場合のデータリスト例を表わしている。このように音色情報“A”が付いた元演奏データDogをチャンネル分離する場合、このシステム(第1モード)では、チャンネル分離後の第1及び第2チャンネル“1CH.”,“2CH.”の演奏データDs1,Ds2は、図4(1)(b1),(b2)のデータリストに示すように、元演奏データDogからコピーされた音色情報“A”が付加される。
【0025】
つまり、音源TGの音色設定が、図2(2)のように、オリジナル演奏データに対応して各チャンネル“1ch.”,“2ch.”で異なっていても(設定音色“A”,“B”)、新たな各チャンネル“1CH.”,“2CH.”の演奏データ内には、元演奏データDogより「音色A」がコピーされているので、新たな演奏データDs1,Ds2は共に「音色A」で再生することができる。
【0026】
一方、オリジナル演奏データにおいてチャンネル分離の元になる第1チャンネル“1ch.”に入っている元演奏データDogは、音色情報がない場合には、図3(A)に対応して図4(2)(a)のようなデータリスト例となっている。このように音色情報がない元演奏データDogを、そのまま、図3(B1),(B2)のように第1及び第2チャンネル“1CH.”,“2CH.”に分離すると、チャンネル分離後の新たな演奏データDs1,Ds2は、図4(2)(b1),(b2)のデータリストで示されるものになる。
【0027】
このままでは、各チャンネルの演奏データDs1,Ds2内に音色情報がないので、音源TGの設定に従って再生することになり、図2(2)に示される音源TGの音色設定例に従うと、第1チャンネル“1CH.”の演奏データDs1は「音色A」で再生され、第2チャンネル“2CH.”の演奏データDs2は「音色B」で再生されてしまうという事態が生じる。
【0028】
このシステムの方式では、チャンネル分離の際に、図2(2)に示される音源TGの音色設定状態を参照して、元演奏データDogに対応するチャンネル“1ch.”に設定されている音源TGの音色情報“A”を取得する。そして、音源TGから取得された音色情報“A”を、分離後の第1及び第2チャンネル演奏データDs1,Ds2の予め定められた位置(例えば、演奏データの冒頭)に挿入する。従って、この方式を用いることにより、音源TGでの再生に際しては、新たな演奏データDs1,Ds2の所定位置に挿入された音色情報“A”に従い、どちらのチャンネル“1CH.”,“2CH.”でも、音源TGの元のチャンネル“1ch.”に設定されている所望の「音色A」で再生することができる。
【0029】
〔演奏データ作成の動作フロー〕
図5は、この発明の一実施例による演奏データ作成システムの動作例を表わすフローチャートを示す。この動作フローに従って、以下、チャンネル分離時の音色情報作成の流れを説明する。
【0030】
この動作フローがスタートすると、まず、ユーザは、ディスプレイ9の表示援助の下に操作子(5)を操作して、各種設定を行う(ステップS1〜S5)。最初の設定ステップ(S1)では、チャンネル分離しようとする曲の演奏データのチャンネル(ch)から、チャンネル分離を行う元になるチャンネルを選択指示することにより、チャンネル分離の対象となるチャンネルの元演奏データDogを決定する。次いで、分離するチャンネル(CH)の数及び番号を決定する(S2)。この場合、分離チャンネル数は、デフォルトで決まっていても、或いは、ユーザによる指定でもよい。また、分離チャンネル番号についても、空きチャンネルを自動的に探してもよいし、ユーザによる指定やデフォルト固定でもよい。
【0031】
続いて、ユーザは、音色情報の取得に関するモードを設定し、音源TGの音色設定を活用するモードであるか否かを判定する(S3)。すなわち、音源TGの音色設定を活用するモードには、元演奏データDogに音色情報が存在しないときに限って音源TGに設定されている音色情報を利用する第1モードと、音色情報が元演奏データDogに存在するか否かに拘わらず音源TGの音色情報を利用する第2モードがあり、第3モードでは音源TGの音色設定を活用しない。
【0032】
このモード判定の結果、音源TGの音色設定を活用する場合(第1又は第2モード)には(S3→YES)、元演奏データDogについて、音色情報の有無を検索する範囲を決定し(S4)、さらに、分離される各チャンネル(CH)のデータ(Ds1,Ds2,…)について、自動生成される音色情報を挿入する位置を決定する(S5)。なお、第2モードのときは、音色情報の検索範囲の決定(S4)をスルーする。
【0033】
ここで、音色情報検索範囲(S4)は、例えば、先頭小節のみや、最初のノートオンの小節と直前の小節などのデフォルトの範囲でもよいし、入力操作子(5)のスイッチ操作やディスプレイ9の別画面にてユーザが任意に設定する方式でもよい。また、音色情報挿入位置(S5)は、分離される各チャンネル(CH)の演奏データ(Ds1,Ds2,…)の先頭や、そのチャンネル内で最初のノートオンのタイミングなどのデフォルトでもよいし、入力操作子(5)のスイッチ操作やディスプレイ9の別画面にてユーザが任意に設定する方式でもよい。
【0034】
次に、この演奏情報処理装置EDに対して音源TGが接続されているか否か(利用可能か否か)を判断する(ステップS6)。ここで、音源TGが接続されていないときは(S6→NO)、ディスプレイ9の設定画面上に音源TGの接続(動作状態への投入)を促すメッセージが表示され(ステップS7)、最初の元演奏データ選択ステップ(S1)に戻り、ユーザがこのメッセージ表示に従って音源TGを接続し、上述した設定ステップ(S1〜S5)を経て各種決定を確認乃至再設定する。
【0035】
そして、音源TGの接続が確認されると(S6→YES)、例えば、図2及び図3を用いて説明した方法により、決定された元演奏データDogについて、決定されたチャンネル(CH)に分離するチャンネル分離処理を実行する(ステップS8)。チャンネル分離処理の実行後は、音色情報の取得に関して第1モードが設定されているか否かを判定し(ステップS9)、第1モードであれば(S9→YES)、演奏データの音色情報検索を行い、演奏データDogの音色情報検索範囲内に音色情報がある否かを判断する(ステップS10)。
【0036】
ここで、図4(2)(a)に示すように、元演奏データDogの音色情報検索範囲内に音色情報がないときは(S10→NO)、音源TGからの音色情報取得処理を行い、この演奏情報処理装置EDに接続されている音源TGに音色設定状態を問い合わせ、元演奏データDogのチャンネル(ch)に設定されている音色情報を取得する(ステップS11)。そして、分離後の各チャンネル(CH)の演奏データ(Ds1,Ds2,…)に対して、音源より取得した音色情報を元に作成した音色情報を、先の設定(S5)で決定されている位置に挿入し(ステップS12)、この演奏データ作成処理の動作フローを終了する。
【0037】
一方、音色情報の取得に関して第2モードが設定されているとき(S9→NO)、すなわち、元演奏データDog内に音色情報があっても音源TGの音色データのみを使用する場合には、常に、演奏データの音色情報検索(S10)を経ることなく、直ちに、音源TGの音色情報を取得する処理(S11)に進み、当該音色情報取得処理(S11)及び音色情報の作成・挿入処理(S12)を行った後、この動作フローを終了する。
【0038】
また、第1モードであって、音色情報検索処理により音色情報があると判断されたときは(S9→YES)、図4(1)に示すように、元演奏データDog内に存在する各音色情報についてコピーを作成し、分離された各チャンネル(CH)の演奏データ(Ds1,Ds2,…)に夫々の音色情報の位置に挿入する音色情報挿入処理を実行して(ステップS13)、この動作フローを終了する。
【0039】
さらに、例えば、元楽曲データDogの所定箇所に音色情報が存在することが既に分かっておりこの音色情報を利用する等の場合のように、音源TGの音色設定を活用しない第3モードのときは(S3→NO)、直ちに、元演奏データDogについて前述のチャンネル分離処理(S8)と同じ処理を実行した後(ステップS14)音色情報挿入処理(S13)を行い、この動作フローを終了する。
【0040】
以上のように、この発明の一実施例による演奏データ作成システムでは、演奏情報処理装置(PC)EDは、1つのチャンネル内に記録されている元演奏データDogを複数のチャンネルに分離する機能を有しており、付属又は内蔵する音源TGにより、チャンネル分離された新たな演奏データDs1,Ds2,…を再生することができる。そして、第1モードで、元演奏データDog内に音色情報があるかどうかを検索して音色情報が存在しないことが分かった場合(S10→YES)当該音色情報をコピーして新たな演奏データDs1,Ds2,…に挿入し(S13)、或いは、元演奏データDog内に音色情報が存在するかしないかに拘わらず音源TGの音色設定情報を利用したい第2モードでは(S9→NO)、音源TGに音色を問い合わせて、元演奏データDogに対応するチャンネルに設定されている音色設定情報を音源TGより取得し(S11)、この音色設定情報に基づく音色を表わす音色情報を生成して、分離される各チャンネル(CH)の演奏データDs1,Ds2,…内に挿入する(S12)。従って、ユーザは、元演奏データDog内に音色情報があるかどうかを気にしないで、チャンネル分離後も、演奏データを所望の音色で自然に再生することができる。
【0041】
〔種々の実施態様〕
以上、図面を参照しつつこの発明の好適な実施の一形態について説明したが、これは単なる一例であって、この発明は、発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、種々の態様で実施することができる。例えば、音源TGが接続又は内蔵されていない場合は、音色情報を自動生成する実施例の機能(S9〜S12)を飛ばしてもよいし、或いは、ユーザに音源を接続させるようなメッセージを表示して待機状態にしてもよい。また、音源から音色情報を取得できないので、その代わりに、音色選択画面を開いて所望の音色をユーザに選択させるようにしてもよい。
【0042】
また、音源TG自体については、実施例のように外部音源の場合もあるが、ソフトウエア音源の場合もある。また、音源TGの音色設定には、ユーザが手動で行うこともあれば、曲データの再生によるもの、別のソフトウエアからの操作によるものなどもある。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、チャンネル分離の元になる演奏データ内に音色情報が存在しない場合には、音源より取得した音色設定情報に基づく音色を表わす音色情報を生成し、分離される新たな各チャンネルの演奏データ内の所定の位置に挿入して、新たな演奏データに音源の音色設定情報を反映させるようにしているので、新たな演奏データによって、チャンネル分離を行った後でも自然な再生を得ることができる。そして、分離された各チャンネルに存在する表示付けのデータも、意図された音色で再生されることになるので、効果的に再生される。
【0044】
また、元演奏データについて音色情報を検索して音色情報が存在しないことが分かった場合に、音源の音色設定情報を新たな演奏データに反映させるようにしているので、ユーザは、元演奏データ内の音色情報の有無を気にしなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施例による演奏データ作成システムのハードウエア構成ブロック図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例による演奏データのチャンネル分離に適用される条件例(チャンネル分離のルール例及び音源の音色設定例)を表わす図である。
【図3】図3は、演奏データのチャンネル分離の一例を表わす図である。
【図4】図4は、図3の演奏データチャンネル分離におけるデータリストの一例を表わす図である。
【図5】図5は、この発明の一実施例による演奏データ作成システムの動作例を表わすフローチャートである。
【符号の説明】
ED 演奏情報処理装置(シーケンサ、演奏データ作成装置)、
Dog 元演奏データ、
Ds1,Ds2 チャンネル分離後の各チャンネルの演奏データ。
Claims (4)
- 演奏データを再生するための音源を備え、1つのチャンネル内に記録されている元の演奏データを複数チャンネルに分離して新たな演奏データを作成する演奏データ作成装置であって、
音源より、元の演奏データに対応するチャンネルに設定されている音色情報を取得する音色情報取得手段と、
取得された音色情報を新たな演奏データに書き込む音色情報書込み手段と
を具備することを特徴とする演奏データ作成装置。 - さらに、
元の演奏データについて音色情報を検索する音色情報検索手段
を具備し、
前記音色情報書込み手段は、音色情報が検索された場合には、元の演奏データに記録されている音色情報を新たな演奏データに書き込み、音色情報が検索されない場合には、音源より取得された前記音色情報を新たな演奏データに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の演奏データ作成装置。 - 演奏データを再生するための音源を備え、1つのチャンネル内に記録されている元の演奏データを複数チャンネルに分離して新たな演奏データを作成する演奏データ作成装置に対して、
音源より、元の演奏データに対応するチャンネルに設定されている音色情報を取得する音色情報取得ステップと、
取得された音色情報を新たな演奏データに書き込む音色情報書込ステップと
から成る手順を実行させるための演奏データ作成プログラム。 - 前記手順は、さらに、
元の演奏データについて音色情報を検索する音色情報検索ステップ
を含み、
前記音色情報書込ステップでは、音色情報が検索された場合には、元の演奏データに記録されている音色情報を新たな演奏データに書き込み、音色情報が検索されない場合には、音源より取得された前記音色情報を新たな演奏データに書き込む
ことを特徴とする請求項3に記載の演奏データ作成プログラム。
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