JP3855502B2 - 印刷物及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置 - Google Patents

印刷物及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロ波(一般的には、およそ300MHz〜300GHz程度の周波数帯域の電波を「マイクロ波」と総称しているが、この発明では、上記マイクロ波の周波数帯域のうち、印刷物の真偽判別を行うためにマイクロ波を輻射すべき印刷画線を印刷物上に構成するための便宜上、3GHz〜300GHzの範囲の帯域のマイクロ波を使用することが好ましい。)を用いた真偽判別に適した紙幣、有価証券などの印刷物及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙幣、パスポート、有価証券などの印刷物の偽造を防止する技術が必要とされており、印刷物の真偽をチェックする各種の技術が提案されている。その1つとして、印刷物の磁性を検知する技術が従来から提案されているが、これは印刷インキに用いた顔料の中に磁性を示す特徴がある場合に、印刷物を磁気センサでスキャンし、印刷デザインに応じた磁気パターンが得られることに着目し、各種の判別手段を用いて真偽判別を行っているものである。このような磁気検知による各種の真偽判別方式においては、たとえば磁気センサを用いて書類の印刷画像部をスキャンして得た磁気波形をもとに磁気分布を検知し、各種の演算を行い真偽を判別する方式がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、こうした磁性検知による真偽判別方法によって精度良く確実に真偽判別を行うためには、機械的には、磁気センサが書類を測定する際にスキャンする位置の精度、電気的には、測定した磁気波形中の特異部の再現性などの各要素の安定が重要となり、現状では繰り返し精度の観点から困難を伴っている。また、真偽判別に用いる磁気センサは、被測定物に接触させる接触式の構成が多く、搬送系のトラブルにもなりうる。そこで、本発明は、真偽判別の繰り返し精度が良好で、安定して確実な真偽判別をおこなうための新たな手段を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のマイクロ波を用いた真偽判別に適した印刷物は、印刷物の一部の領域に、マイクロ波を反射する特性をもった材料(例えば、1.Au、Ag、Cu、Al等の金属の微粉末、2.無定形カーボンブラック又はグラファイト粉末、3.金属酸化物等の導電性材料の1〜3のいずれかに記載の導電性材料)を混入した所望のインキ盛り量を付与できるインキを用いて、所定の画線幅Wをもつ直線画線を所定の画線ピッチpでq本(q≧2)配置した所定のインキ盛り量を有するm箇所(m≧1)の画線部が印刷されており、前記m箇所の画線部のうち所定の箇所の画線部にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルから検知対象区域に対応する反射波レベルを抽出して真偽判別を行うことを特徴としている。
【0005】
また、本発明のマイクロ波を用いた真偽判別に適した印刷物は、前記所望のインキ盛り量を付与できるインキとして、凹版インキ又はスクリーンインキを用いて、前記m箇所のそれぞれの画線部を凹版印刷又はスクリーン印刷したことを特徴としている。
【0006】
また、本発明のマイクロ波を用いた真偽判別に適した印刷物は、前記材料を混入したオフセットインキを用いて、前記画線幅Wをもつ直線画線を前記画線ピッチpでr本(r≧2;q=r又はq≠r)配置したn箇所(n≧1)のオフセット画線部が印刷されており、前記n箇所の画線部のうち所定の箇所の画線部にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルから検知対象区域に対応する反射波レベルを抽出して真偽判別を行うことを特徴としている。
【0007】
また、本発明のマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別方法は、マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置し、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別方法において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させてマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)を抽出し、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させてマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)を抽出することによって、前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算し、前記演算された差が全て所定の値以上であり、前記演算された比が全て所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定することを特徴としている。
【0008】
また、本発明のマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別方法は、マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置し、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項3記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別方法において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させてマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)を抽出し、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させてマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)、或いは、前記振幅方向と一致する方向又は直交する方向の画線から構成されるk箇所(1≦k≦n)のそれぞれのオフセット画線部に含まれる前記区域に対応させてマイクロ波束の反射波レベルZ(u)(u=1、2、・・・、k)を抽出することによって、前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)、或いは、前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルZ(u)との差H(s)−Z(u)又は比H(s)/Z(u)を演算し、前記演算された差が全て所定の値以上であり、前記演算された比が全て所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定することを特徴としている。
【0009】
また、本発明のマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別装置は、マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置したマイクロ波束の反射波を受信するセンサと、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別装置において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させて抽出したマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)、及び、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させて抽出したマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)を増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算し、前記演算された差が全て所定の値以上であり、前記演算された比が全て所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定する判定部から構成されることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別装置は、マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置したマイクロ波束の反射波を受信するセンサと、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項3記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別装置において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させて抽出したマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)とともに、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させて抽出したマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)、或いは、前記振幅方向と一致する方向又は直交する方向の画線から構成されるk箇所(1≦k≦n)のそれぞれのオフセット画線部に含まれる前記区域に対応させて抽出したマイクロ波束の反射波レベルZ(u)(u=1、2、・・・、k)を増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)、或いは、前記増幅部で増幅された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルZ(u)との差H(s)−Z(u)又は比H(s)/Z(u)を演算し、前記演算された差が全て所定の値以上であり、前記演算された比が全て所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定する判定部から構成されることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別装置は、マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置したマイクロ波束の反射波を受信するセンサと、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別装置において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有する画線部、及び、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有する画線部を検知して前記それぞれの画線部に含まれる前記区域の位置に関する信号を得る位置検知部と、前記検知部から入力された前記区域の位置に関する信号と前記それぞれの画線部に含まれる前記区域を同期するようにして抽出された、前記i箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応するマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)と前記j箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応するマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)を増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算し、前記演算された差が全て所定の値以上であり、前記演算された比が全て所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定する判定部から構成されることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別装置は、マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置したマイクロ波束の反射波を受信するセンサと、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項3記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別装置において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有する画線部とともに、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有する画線部、或いは、前記振幅方向と一致する方向又は直交する方向の画線から構成されるk箇所(1≦k≦n)のオフセット画線部を検知して前記それぞれの画線部に含まれる前記区域の位置に関する信号を得る位置検知部と、前記検知部から入力された前記区域の位置に関する信号と前記それぞれの画線部に含まれる前記区域を同期するようにして抽出された、前記i箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応するマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)とともに、前記j箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応するマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)、或いは、前記k箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応するマイクロ波束の反射波レベルZ(u)(u=1、2、・・・、k)を増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)、或いは、前記増幅部で増幅処理された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルZ(u)との差H(s)−Z(u)又は比H(s)/Z(u)を演算し、前記演算された差が全て所定の値以上であり、前記演算された比が全て所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定する判定部から構成されることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、スキャンしたエリアの磁気分布データを評価して真偽判別する方式と異なり、印刷物の一部の領域に、マイクロ波を反射する特性をもった材料を混入した所望のインキ盛り量を付与できるインキを用いて、所定の画線幅Wをもつ直線画線を所定の画線ピッチpでq本(q≧2)配置した所定のインキ盛り量を有するm箇所(m≧1)の画線部(以下、「前記画線部」と称する。図面に示す図1の3、図4の3、4、図7の3、図11の4つの画線部が「前記画線部」に相当する。)を印刷する。次に、前記印刷物に対してマイクロ波送受信器でマイクロ波束を輻射してマイクロ波束の反射波レベルを測定するが、測定された反射波レベルから前記m箇所の画線部のうち所定の箇所の画線部の検知対象区域(以下、「前記区域」と称する。この区域は、真偽判別に用いるためのマイクロ波束の反射波レベルを得る区域として、あらかじめ前記所定の箇所の画線部の中で位置が確定されている区域である。図面に示す図1、図4、図7、図11の17が「前記区域」に相当する。)に対応する反射波レベルを抽出して、前記区域に含まれる導電性材料の物理量と前記区域を構成する画線の方向を検知し、印刷方式が所望のインキ盛り量を付与できる印刷方式であるために十分な前記材料の付与がなされていることを識別するものであり、測定位置や検出レベルが多少変動しても安定した真偽判別が行えることを特徴としている。ここで、前記m箇所の画線部のうち所定の箇所の画線部に対してマイクロ波送受信器を走査してマイクロ波束の反射波レベルを測定する場合は、位置検知器からの前記区域に関する位置信号と照合しながら、測定された反射波レベルから前記区域に対応する反射波レベルを抽出しなければならないが、前記m箇所の画線部のうち所定の箇所の画線部に対して固定されたマイクロ波送受信器を用いてマイクロ波束の反射波レベルを測定する場合は、あらかじめマイクロ波送受信器が前記区域に相当する区域を読み取るように固定されているため、測定された反射波レベルそのものが抽出されるべき前記区域に対応する反射波レベルとなる。
【0014】
すなわち、本発明は、前記m箇所のうちi箇所の前記画線部に含まれる前記区域の画線の方向と輻射するマイクロ波束の振幅方向が一致するようにマイクロ波送受信器を設置し、且つ、前記m箇所のうちj箇所の前記画線部に含まれる前記区域の画線の方向と前記振幅方向が直交するようにマイクロ波送受信器を設置して、前記i箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域でのマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)と前記j箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域でのマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)の差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算して、前記差又は比が所定の値以上であるか否かを判定して印刷物の真偽判別を行うものである。したがって、iとjは、その性質上、1≦i≦m、1≦j≦mの関係を満足しなければならないが、m箇所のうち任意の1箇所の前記画線部(図面に示す図1の3を参照。)に2箇所の前記区域(図面に示す図1の2箇所の17を参照。)を設け、いずれか1台のマイクロ波送受信器から輻射されるマイクロ波束の振幅方向が一方の前記区域の画線の方向と一致するように、且つ、他の1台のマイクロ波送受信器から輻射されるマイクロ波束の振幅方向が他方の前記区域の画線の方向と直交するように、振幅方向が互いに90度ずれたマイクロ波束を輻射する2台のマイクロ波送受信器(図面に示す図1の13、14を参照。)を設置することによって、1箇所の前記画線部(m=1、n=0)において2つの異なるマイクロ波束の反射波レベルである反射波レベルH(s)(s=i=1)と反射波レベルL(t)(t=j=1)を得ることもできる。
【0015】
所望のインキ盛り量を付与できるインキには、マイクロ波に反応する材料として、固有の電気的特性をもつ導電性材料を適量含有させ、インキ単体の比誘電率、導電率、透磁率を調整したものを用いる。また、印刷物の真偽判別を行う際にマイクロ波を輻射する対象となる前記区域を含む画線部は、同一の画線幅Wをもつ直線画線を同一の画線ピッチpでq本(q≧2)配置したm箇所(m≧1)の画線部から構成されるものとし、前記画線部を構成する画線でインキ盛り量が十分に確保できる品質を得ればよい。ここで、前記振幅方向が前記区域の画線の方向と一致するように前記区域にマイクロ波束を輻射して得られた反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)と、前記振幅方向が前記区域の画線の方向と直交するように前記区域にマイクロ波束を輻射して得られた反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)との間で演算された差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を十分なレベルで検出するために、前記区域を含む前記画線部は、少なくとも2本以上の所定の本数からなる所定のインキ盛り量を有する画線によって構成される必要があり、q≧2の条件が必要となる。また、2箇所以上(m≧2)の前記画線部を組み合わせて配置することによって、それぞれの前記画線部ごとに真偽判別に用いるためのマイクロ波束の反射波レベルを得る区域を含めて所望の模様、文字などの種々の画像を視覚的に美感を損ねることなく構成することができる。
【0016】
マイクロ波送受信器においては、導波管を用いたTEMモードのマイクロ波回路を構成し、その開口部から被測定物である印刷物との測定距離を一定に保ちながら非接触で測定をおこなえばよい。TEMモードのマイクロ波は、空間を伝搬する際に、互いに位相が90度ずれた電界成分と磁界成分をもつため、進行方向に対して縦、横の方向性を有している。本発明は、この縦、横の方向性に着目して、印刷物に輻射するマイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成される前記区域と、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成される前記区域では、画線の画線幅、画線ピッチが共通であるにもかかわらず、マイクロ波束を輻射した際に得られる反射波レベルが異なることを真偽判別の原理としている。
【0017】
もし、印刷方式が所望のインキ盛り量を付与できる印刷方式であれば、画線におけるインキ盛り量が格段と多いために、他の印刷方式を用いて偽造した印刷物にマイクロ波束を輻射する場合と比較して、輻射するマイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成される前記画線部に含まれる前記区域と前記振幅方向と直交する方向の画線から構成される前記画線部に含まれる前記区域でのマイクロ波束の反射波レベルの差又は比が大きくなり、あらかじめ判定部に記憶したアルゴリズムを演算することで真性印刷物を確実に検知することができる。
【0018】
ここで、故意に金属箔を貼り付けることによってマイクロ波束の反射波レベルを得た場合には、反射波レベルは大きくなるが、印刷物に輻射するマイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成される前記画線部に含まれる前記区域に相当する部位と、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成される前記画線部に含まれる前記区域に相当する部位での反射波レベルがともに大きくなり、それらの差又は比が微小なものとなってしまうため、判定は「偽」となる。
【0019】
また、あらかじめ前記材料を多量に配合したオフセットインキを用いて、前記画線部と同一の画線幅W、同一の画線ピッチpをもったオフセット画線からなる前記画線部と同一の画線構成をもったオフセット画線部を印刷し、オフセット画線部に含まれる前記区域に相当する部位に対してマイクロ波束を輻射した場合に高レベルの反射波レベルを得ようとしても、オフセット画線はインキ盛り量が少ないために、前記部位で高レベルの反射波レベルを得ることはできず、前記画線部をオフセット画線部に置換した偽造物を容易に検出することができる。
【0020】
なお、前記区域を含む前記画線部は、十分なインキ盛り量が確保される形態であれば、必ずしも凹版画線によって構成されるものでなくてもよく、前記画線部をスクリーン印刷画線などの所望のインキ盛り量を付与できる画線によって構成しても同様の実施形態を得ることができる。
【0021】
更に、それぞれの画線部ごとに前記区域を含む所定のインキ盛り量を有するm箇所(m≧1)の前記画線部とともに、マイクロ波を反射する特性をもった材料を混入したオフセットインキを用いて、画線幅Wをもつ直線画線を画線ピッチpでr本(r≧2)配置したn箇所(n≧1)のオフセット画線部(図面に示す図5の5、6、図8の5、図12の4つの画線部がこれに相当する。)を印刷すれば、前記m箇所のうち前記振幅方向と一致する方向の所定のインキ盛り量を有する画線から構成されるi箇所のそれぞれの前記画線部に含まれる前記区域でのマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)と、前記n箇所のうちk箇所のそれぞれのオフセット画線部に含まれる前記区域に相当する部位(図面に示す図5、図8、図12の17がこれに相当する。)でのマイクロ波束の反射波レベルZ(u)(u=1、2、・・・、k)との差H(s)−Z(u)又は比H(s)/Z(u)が大きくなることを利用して、真性印刷物を確実に検知することも可能である。この場合、必要であれば、前記m箇所のうち前記振幅方向と一致する方向の所定のインキ盛り量を有する画線から構成されるi箇所のそれぞれの前記画線部に含まれる前記区域でのマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)と、前記m箇所のうち前記振幅方向と直交する方向の所定のインキ盛り量を有する画線から構成されるj箇所のそれぞれの前記画線部に含まれる前記区域でのマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算し、前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルZ(u)との差H(s)−Z(u)又は比H(s)/Z(u)とともに印刷物の真偽判別に利用することもできる。また、前記m箇所の所定のインキ盛り量を有する画線部とともに前記n箇所のオフセット画線部が印刷されている場合であっても、前記n箇所のオフセット画線部のいずれの画線部も真偽判別に利用することなく、前記m箇所の所定のインキ盛り量を有する画線部において、前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)―L(t)又は比H(s)/L(t)を演算するのみで印刷物の真偽判別を行うこともできる。ここで、i、j、kは、その性質上、1≦i≦m、1≦j≦m、1≦k≦nの関係を満足しなければならないが、前記画線部を構成する所定のインキ盛り量を有する画線とオフセット画線部を構成するオフセット画線は、画線幅Wと画線ピッチpを共通のものとしているので、見掛け上、前記画線部とオフセット画線部は同様の濃淡をもった画線部となるように構成されている。また、前記画線部を構成する画線の本数qとオフセット画線部を構成する画線の本数rは、マイクロ波束の反射波レベルの差又は比を十分なレベルで得るためにも、q≧2、r≧2の条件を満足しなければならないが、qとrは必ずしも同一の本数である必要はなく、前記差又は比を演算するために必要とされる反射波レベルの程度に応じて、適宜、p、qの本数を調整することができる。
【0022】
また、本発明では、演算されるマイクロ波束の反射波レベルの差又は比を十分なレベルで確保するためにも、前記画線部とオフセット画線部のそれぞれの画線部を構成する画線を直線画線として定義したが、必要とされる大きさの前記差又は比が得られる範囲であれば、曲線画線などを用いてそれぞれの画線部を構成することもできる。
【0023】
【実施例】
本発明を好ましく適用できる実施例を以下に示すが、これらの実施例によって本発明の実施形態が限定されることはなく、適宜、別の実施形態を用いることができる。また、以下の実施例1〜4では、マイクロ波を輻射する対象となる前記区域を含む所定のインキ盛り量を有する画線部を凹版画線によって構成するが、前記区域を含む前記画線部を構成する画線に十分なインキ盛り量が確保されていれば、前記画線部をスクリーン印刷画線などの所望のインキ盛り量を付与できる画線によって構成してもよい。また、以下の実施例では、マイクロ波送受信器として、自動ドアやスピードセンサに用いられるマイクロ波モジュールを利用し、図面に示す図1の13、14、図4の8、図5の8、図7の13、14、15、図8の13、14、15、図11の13、14、15、16、図12の13、14、15、16の長方形のマイクロ波送受信器は、それぞれ短手方向に振幅するマイクロ波束を前記区域17に向けて輻射するものとする。なお、実施例1〜4では、「m」は、印刷物上に付与された所定のインキ盛り量を有する画線部(前記画線部)の数、「n」は、印刷物上に付与されたオフセット画線部の数、「i」は、m箇所の所定のインキ盛り量を有する画線部(前記画線部)のうち、輻射するマイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成される真偽判別のために選択された画線部の数、「j」は、m箇所の所定のインキ盛り量を有する画線部(前記画線部)のうち、輻射するマイクロ波束の振幅方向と直交する方向の画線から構成される真偽判別のために選択された画線部の数、「k」は、n箇所のオフセット画線部のうち、真偽判別のために選択された画線部の数を表すものとする。
【0024】
(実施例1)
図1、2、3は、本発明の実施例1を示す図面であり、これらの図面に基づき実施例1を説明する。図1は、書類1の基体2上に、所定の画線幅Wの直線画線を所定の画線ピッチpでq本(q=7)配置した凹版縦画線部3を付与した例(この場合は、m=1、n=0、i=1、j=1、k=0となる。)である。この構成例において、Aセンサ13、Bセンサ14は、同じ型式のマイクロ波送受信器を用いており、Aセンサ13は、マイクロ波束の振幅方向が画線方向と一致する角度となるように設置し、Bセンサ14は、マイクロ波束の振幅方向が画線方向と直交する角度となるように設置した。ここで、Aセンサ13とBセンサ14で書類1をスキャンする際に反射波レベル7が得られるが、書類1の真偽判別においては、後述する図2の位置検知器12からの位置信号と照合して、Aセンサ13からは、図1の凹版縦画線部3に含まれる横方向の前記区域17に相当する反射波レベルを読み取り、Bセンサ14からは、図1の凹版縦画線部3に含まれる縦方向の前記区域17に相当する反射波レベルを読み取ることになる。書類1を印刷する際に、凹版縦画線部3は、導電性材料を5〜30%混入して導電率を調整したインキを用いて凹版印刷方式で画線高さ30μm程度のインキ盛り量を付与している。
【0025】
図2は、実施例1のマイクロ波を利用した真偽判別装置を示し、この構成例において、Aセンサ13とBセンサ14、及び無反射終端器9は、書類1に対して一定の測定距離を保ち、書類1を横方向に移動してマイクロ波束を走査すると反射波レベル7が得られ、この波形を増幅部10で増幅及びフィルタ処理して判定部11に取り込む。一方、位置検知器12はロータリーエンコーダからの位置信号あるいは光電センサを用いたスキャン位置の検知信号であり、判定部11に書類1の走査位置信号として入力する。判定部11は、各々の増幅部10からの検出レベルと、位置検知器12からの走査位置信号を取り込み、あらかじめ記憶された判定アルゴリズムにより、Aセンサ13で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルとBセンサ14で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルとの差を演算し、前記差が所定値以上であれば導電性材料を用いた凹版印刷物と判定して他の印刷方式と識別する。
【0026】
図3は、図1の凹版印刷物をAセンサ13及びBセンサ14で読み取った際に得られる前記区域17に相当する反射波レベルを示し、Hは高反射波レベル、Lは低反射波レベルを意味する。測定サンプルが凹版印刷物の場合はAセンサとBセンサで読み取った前記区域17に相当する反射波レベルの差が所定値以上であるため真性印刷物と判定され、複写物の場合はAセンサとBセンサで読み取った前記区域17に相当する反射波レベルの差が所定値に満たないため偽物と判定された。
【0027】
(実施例2)
図4、5、6は、本発明の実施例2を示す図面であり、これらの図面に基づき実施例2を説明する。図4は、書類1の基体2上に、所定の画線幅Wの直線画線を所定の画線ピッチpでq本(q=7)配置した凹版縦画線部3と凹版横画線部4を付与した例(この場合は、m=2、n=0、i=1、j=1、k=0となる。)である。図5は、書類1の基体2上に、所定の画線幅Wの直線画線を所定の画線ピッチpでq本(q=7)配置したオフセット縦画線部5とオフセット横画線部6を付与した例(この場合は、m=0、n=2、i=0、j=0、k=2となる。)である。この構成例において、マイクロ波送受信器8は、マイクロ波束の振幅方向が凹版縦画線部3とオフセット縦画線部5の画線方向と一致する角度となり、且つ、凹版横画線部4とオフセット横画線部6の画線方向と直交する角度となるように設置した。ここで、マイクロ波送受信器8で書類1をスキャンする際に反射波レベル7が得られるが、書類1の真偽判別においては、後述する位置検知器12からの位置信号と照合して、マイクロ波送受信器8によって、図4の凹版縦画線部3と凹版横画線部4に含まれる前記区域17に相当する反射波レベルと、図5のオフセット縦画線部5とオフセット横画線部6に含まれる前記区域17に相当する反射波レベルを読み取ることになる。
【0028】
書類1を印刷する際に、凹版縦画線部3と凹版横画線部4は、導電性材料を5〜30%混入して導電率を調整したインキを用いて凹版印刷方式で画線高さ30μm程度のインキ盛り量を付与しており、一方、オフセット縦画線部5とオフセット横画線部6は、導電性材料を5〜30%混入して導電率を調整したインキを用いるが印刷方式がオフセット印刷であるためインキ盛り量は微少である。
【0029】
図6は、実施例2のマイクロ波を利用した真偽判別装置を示し、この構成例において、マイクロ波送受信器8及び無反射終端器9は、書類1に対して一定の測定距離を保ち、書類1を横方向に移動してマイクロ波束を走査すると反射波レベル7が得られ、この波形を増幅部10で増幅及びフィルタ処理して判定部11に取り込む。一方、位置検知器12は、ロータリーエンコーダからの位置信号あるいは光電センサを用いたスキャン位置の信号を検知し、判定部11に書類1の走査位置信号として入力する。
【0030】
判定部11は、増幅部10からの検出レベルと、位置検知器12からの走査位置信号を取り込み、あらかじめ記憶された判定アルゴリズムにより、凹版縦画線部3における前記区域17に相当する反射波レベルと凹版横画線部4における前記区域17に相当する反射波レベルとの差又は比を演算し、前記差又は比が所定値以上であれば導電性材料を用いた凹版印刷物と判定して他の印刷方式による偽造物と識別する。図4の凹版縦画線部3、凹版横画線部4の場合は凹版印刷なので差又は比が大きく判定は「真」となり、図5のオフセット縦画線部5、オフセット横画線部6の場合はオフセット印刷なので差又は比が微小で判定は「偽」となる。
【0031】
更に、実施例2においては図示していないが、書類1の基体2上に凹版縦画線部3とともに、オフセット縦画線部5又はオフセット横画線部6を設けた場合(図面に示す図4において、凹版横画線部4を図5のオフセット縦画線部5又は図5のオフセット横画線部6に置換した場合。)にも、前記区域17に相当する反射波レベルの差又は比が大きくなり、判定は「真」となる。
【0032】
(実施例3)
図7、8、9は、本発明の実施例3を示す図面であり、これらの図面に基づき実施例3を説明する。図7は、書類1の基体2上の3箇所に、導電性材料を5〜30%混入して導電率を調整したインキを用いて凹版縦画線部3を付与した例(この場合は、m=3、n=0、i=2、j=1、k=0となる。)である。これに対して、図8は、図7の凹版印刷物の複写物(この場合は、m=0、n=3、i=0、j=0、k=3となる。)である。
【0033】
図9は、実施例3のマイクロ波を利用した真偽判別装置を示し、この構成例において、Aセンサ13、Bセンサ14、Cセンサ15は同じ型式のマイクロ波送受信器を用いており、Aセンサ13及びCセンサ15は、マイクロ波束の振幅方向が画線方向と一致する角度で画線上に固定し、Bセンサ14は、マイクロ波束の振幅方向が画線方向と直交する角度で画線上に固定した。ここで、3つのマイクロ波送受信器13、14、15は、それぞれのマイクロ波送受信器に対応する図7と図8に示すいずれか1箇所の前記区域17に相当する反射波レベルを読み取ることになる。3つのマイクロ波送受信器で得られた前記区域17に相当する反射波レベルは、それぞれ増幅部10で増幅して判定部11に取り込まれる。判定部11の演算の内容は、Aセンサ13、Cセンサ15で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルに対して、Bセンサ14で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルを比較し、組み合わせとして2回の演算を行い、2個の比を求めて真偽判別を行うものである。
【0034】
図10は、図7の凹版印刷物と図8の複写物を3つのマイクロ波送受信器で読み取った際に得られる前記区域17に相当する反射波レベルを示すものであり、Hは高反射波レベル、Lは低反射波レベルを意味する。凹版印刷物では、Aセンサ13で読み取った前記区域17に相当する反射波レベル対Bセンサ14で読み取った前記区域17に相当する反射波レベル、及び、Cセンサ15で読み取った前記区域17に相当する反射波レベル対Bセンサ14で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルの比のいずれも所定値以上であるため真性印刷物と判定された。一方、複写物では、Aセンサ13で読み取った前記区域17に相当する反射波レベル対Bセンサ14で読み取った前記区域17に相当する反射波レベル、及び、Cセンサ15で読み取った前記区域17に相当する反射波レベル対Bセンサ14で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルの比のいずれも所定値に満たないため偽物と判断された。
【0035】
(実施例4)
図11、12、13、14は、本発明の実施例4を説明する図面であり、これらの図面に基づき実施例4を説明する。図11は、書類1の基体2上に、導電性材料を混入して導電率を調整したインキを用いて画線方向を異ならせた4つの画線部の組み合わせで凹版画像「B」を構成した例(この場合は、m=4、n=0、i=2、j=2、k=0となる。)てある。これに対して、図12は、図11と印刷デザイン「B」は同一であるが、印刷方式がオフセット印刷であるためにインキ盛り量が微少なものとなっている例(この場合は、m=0、n=4、i=0、j=0、k=4となる。)である。
【0036】
図13は、実施例4のマイクロ波を利用した真偽判別装置を示し、この構成例において、Aセンサ13、Bセンサ14、Cセンサ15、Dセンサ16は同じ型式のマイクロ波送受信器を用いており、Aセンサ13、Cセンサ15は、マイクロ波束の振幅方向が画線方向と一致する角度で画線上に固定し、Bセンサ14、Dセンサ16は、マイクロ波束の振幅方向が画線方向と直交する角度で画線上に固定した。ここで、4つのマイクロ波送受信器13、14、15、16は、それぞれのマイクロ波送受信器に対応する図11と図12に示すいずれか1箇所の前記区域17に相当する反射波レベルを読み取ることになる。4つのマイクロ波送受信器で得られた前記区域17に相当する反射波レベルは、それぞれ増幅部10で増幅して判定部11に取り込まれる。判定部11の演算の内容は、Aセンサ13、Cセンサ15で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルに対して、Bセンサ14、Dセンサ16で読み取った前記区域17に相当する反射波レベルを比較し、組み合わせとして2×2回の演算を行い、4個の差を求めて真偽判別を行うものである。
【0037】
図14は、実施例4の結果を示すものであり、図11の凹版印刷物では4個の差が全て所定値以上であるため真性印刷物と判定された。一方、図12のオフセット印刷物では4個の差が全て所定値に満たないため偽物と判断された。
【0038】
【発明の効果】
本発明では、マイクロ波束を印刷物に輻射して、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成される所定のインキ盛り量を有する画線部と前記振幅方向と直交する方向の画線から構成される所定のインキ盛り量を有する画線部、或いは、前記振幅方向と一致する方向の画線から構成される所定のインキ盛り量を有する画線部と前記振幅方向と一致する方向又は直交する方向のオフセット画線から構成されるオフセット画線部の間において、それぞれの画線部に含まれる前記区域でのマイクロ波束の反射波レベルの差又は比を演算することによって真性印刷物と偽造印刷物とを識別できるので、真偽判別の繰り返し精度が良好で、安定して確実な真偽判別を行うことができる。
【0039】
本発明では、電気的特性を調整した所望のインキ盛り量を付与できるインキ、又は、電気的特性を調整したオフセットインキを用いて前記区域を含む画線部を印刷するにあたって、一般的な導電性材料を混入させて前記インキを製造すればよく、インキの製造が低コストであると同時に、印刷物の製造においては、特殊な工程を必要とすることなく、従来の凹版印刷機、スクリーン印刷機又はオフセット印刷機を使用して通常の手順で印刷することによって、真偽判別の対象となる前記区域を含む画線部を容易に印刷物に付与できる。
【0040】
本発明では、輻射するマイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成される所定のインキ盛り量を有する画線部に含まれる前記区域とともに、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成される所定のインキ盛り量を有する画線部に含まれる前記区域、或いは、前記振幅方向と一致する方向又は直交する方向の画線から構成されるオフセット画線部に含まれる前記区域におけるマイクロ波束の反射波レベルを用いて印刷物の真偽判別を行うので、それぞれの画線部ごとに前記区域を含む複数の画線部によって画像内部に複数の前記区域を含めて所望の模様、文字など種々の画像を構成することができ、視覚的な美感を損ねることなく、真偽判別に用いるためのマイクロ波束の反射波レベルを得る区域をデザイン的に違和感がないように盛り込むことができる。
【0041】
本発明では、マイクロ波束を被測定物に対して非接触で輻射する測定方式を用いているため、マイクロ波センサと被測定物との接触に伴う不具合がなく、真偽判別の繰り返し精度が良好で、安定して確実な真偽判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1を説明する図であり、1箇所の縦画線部を凹版印刷した書類の真偽判別を示す図。
【図2】実施例1を説明する図であり、マイクロ波を利用した真偽判別装置を示す図。
【図3】実施例1を説明する図であり、図1に示す書類の真偽判別結果を示す図。
【図4】実施例2を説明する図であり、1箇所の縦画線部及び1箇所の横画線部を凹版印刷した書類の真偽判別を示す図。
【図5】実施例2を説明する図であり、1箇所の縦画線部及び1箇所の横画線部をオフセット印刷した書類の真偽判別を示す図。
【図6】実施例2を説明する図であり、マイクロ波を利用した真偽判別装置を示す図。
【図7】実施例3を説明する図であり、3箇所の縦画線部を凹版印刷した書類の真偽判別を示す図。
【図8】実施例3を説明する図であり、図7の書類を複写した書類の真偽判別を示す図。
【図9】実施例3を説明する図であり、マイクロ波を利用した真偽判別装置を示す図。
【図10】実施例3を説明する図であり、図7と図8に示す書類の真偽判別結果を示す図。
【図11】実施例4を説明する図であり、画線方向が異なる4つのパターンの組み合わせによって画像「B」を凹版印刷した書類の真偽判別を示す図。
【図12】実施例4を説明する図であり、画線方向が異なる4つのパターンの組み合わせによって画像「B」をオフセット印刷した書類の真偽判別を示す図。
【図13】実施例4を説明する図であり、マイクロ波を利用した真偽判別装置を示す図。
【図14】実施例4を説明する図であり、図11と図12に示す書類の真偽判別結果を示す図。
【符号の説明】
1 書類
2 基体
3 凹版縦画線部
4 凹版横画線部
5 オフセット縦画線部
6 オフセット横画線部
7 反射波レベル
8 マイクロ波送受信器
9 無反射終端器
10 増幅器
11 判定部
12 位置検知器
13 マイクロ波送受信器(Aセンサ)
14 マイクロ波送受信器(Bセンサ)
15 マイクロ波送受信器(Cセンサ)
16 マイクロ波送受信器(Dセンサ)
17 真偽判別に用いるためのマイクロ波束の反射波レベルを得る区 域

Claims (5)

  1. 印刷物の一部の領域に、マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線及びマイクロ波束の振幅方向と直交する方向の画線から構成された画線部が、所定の画線幅Wを持つ直線画線を所定の画線ピッチpでq本(q≧2)配置され、前記画線部は、マイクロ波を反射する特性をもった材料を混入した所望のインキ盛り量を付与できるインキを用いて、所定のインキ盛り量を有するm箇所(m≧1)の画線部が印刷されており、前記m箇所の画線部のうち前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成される所定の箇所の画線部の検知対象区域にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルH及びマイクロ波束の振幅方向と直交する方向の画線から構成される所定の箇所の画線部の検知対象区域にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルLを抽出して前記反射波レベルHと前記反射波レベルLとの差又は比を演算し、前記演算された差又は比が所定の値以上であることを基にして真偽判別を行うことを特徴とするマイクロ波を用いた真偽判別に適した印刷物。
  2. 前記所望のインキ盛り量を付与できるインキとして、凹版インキ又はスクリーンインキを用いて、前記m箇所のそれぞれの画線部を凹版印刷したことを特徴とする請求項1記載の印刷物。
  3. マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置し、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項1又は2に記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別方法において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させてマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)を抽出し、前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させてマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)を抽出することによって、前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算し、前記演算された差がすべて所定の値以上であり、又は前記演算された比がすべて所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定することを特徴とするマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別方法。
  4. マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置したマイクロ波束の反射波を受信するセンサと、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項1又は2に記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別装置において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させて抽出したマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)及び前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有するそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応させて抽出したマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)を増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算し、前記演算された差がすべて所定の値以上であり、又は前記演算された比がすべて所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定する判定部から構成されることを特徴とするマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別装置。
  5. マイクロ波送受信器と無反射終端器を対向させて配置したマイクロ波束の反射波を受信するセンサと、前記送受信器と前記終端器の間隙に位置する請求項1又は2に記載の印刷物にマイクロ波束を輻射して測定された反射波レベルを用いて前記印刷物を真偽判別する真偽判別装置において、前記マイクロ波束の振幅方向と一致する方向の画線から構成されるi箇所(1≦i≦m)の所定のインキ盛り量を有する画線部及び前記振幅方向と直交する方向の画線から構成されるj箇所(1≦j≦m)の所定のインキ盛り量を有する画線部を検知して前記それぞれの画線部に含まれる前記区域の位置に関する信号 を得る位置検知部と、前記検知部から入力された前記区域の位置に関する信号と前記それぞれの画線部に含まれる前記区域を同期するようにして抽出された、前記i箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応するマイクロ波束の反射波レベルH(s)(s=1、2、・・・、i)と前記j箇所のそれぞれの画線部に含まれる前記区域に対応するマイクロ波束の反射波レベルL(t)(t=1、2、・・・、j)を増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅された前記反射波レベルH(s)と前記反射波レベルL(t)との差H(s)−L(t)又は比H(s)/L(t)を演算し、前記演算された差がすべて所定の値以上であり又は前記演算された比がすべて所定の値以上であれば、前記印刷物を真性印刷物として判定する判定部から構成されることを特徴とするマイクロ波を用いた印刷物の真偽判別装置。
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