JP3855016B2 - 包摂水和物を用いた蓄冷方法および蓄冷熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、包摂水和物(ガスハイドレート)を用いた蓄冷熱システムに係り、特に0℃以下の冷却システムを実現するための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
包摂水和物は、従来から冷熱の輸送媒体として注目され、水分子で構成された籠状の包接格子の中にメタン、エタン、プロパン、フロン11、フロン12等の気体分子がゲストとして包み込まれて結晶化する化合物である。ゲスト分子がホスト分子に包み込まれる過程で一定量の発熱があり、冷熱を蓄える蓄冷熱媒体が生成される。従って冷熱の輸送媒体として使用することが出来る。
【0003】
かかる包摂水和物を用いた蓄冷システムとしては、従来、例えば特開平11−264681号公報記載のものが知られている。これはゲスト分子として例えばテトラn−ブチルアンモニウム塩等を用い、冷房空調のための0℃以上の冷熱システムを実現する。また特開平10−259978号公報記載の発明は、ゲスト分子としてオニウム塩を使用し、0〜12℃の温度範囲における冷却システムを実現する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ガスハイドレート生成時の相変化潜熱を利用した従来の冷却システムは、摂氏0度以上の蓄冷熱媒体輸送を前提とする技術であり、とくに空調用蓄冷熱媒体の生成手法であった。つまり従来提案されているガスハイドレート装置では、摂氏マイナス0℃以下の冷却システムを実用装置(例えば冷凍庫、冷凍ケース)に適用出来ないという問題がある。
【0005】
一方、百貨店やスーパーマーケットの食品売場にある冷凍食品や生鮮品の冷却ケースないし保冷庫は、マイナス0℃以下の冷却条件を必要とすることが少なくない。またマイナス0℃以下における包摂水和物由来の蓄冷熱媒体の生成が可能であれば、空調を含めた各種の実用システムに蓄冷熱媒体を利用できることになる。とくに深夜電力を用いて夜間に蓄冷熱媒体を生成し昼間に放冷すれば、電力需要を均等化できるほか、ユーザにとっては電力コストの削減ができる。また従来ピーク負荷に合わせていた冷凍設備能力を、平均負荷の冷凍設備能力に低減し一定負荷で高効率運転できる等、各種の利点を得ることが出来る。
【0006】
また、ガスハイドレート生成時のゲスト分子として、実験では従来からプロパンを使用することが知られている。しかしながらプロパンは常温低圧では気体であり、大量のガスハイドレートを生成することは出来ない。また液化させたプロパンを利用するには高圧ガスの取扱規制を受けることから、各種の店舗において実用装置として稼働させるには法令や安全性確保の煩雑な問題が残る。
【0007】
プロパンの利点は入手のしやすさである。しかし一般の利用価値が高いため市販コストが高いなど不利な面があり、商業的な冷却システムに利用するにはコスト上の難点も残る。
【0008】
そこで本発明の目的は、高圧ガスの取扱規制を受けずに、0℃〜マイナス50℃の範囲でガスハイドレート由来の蓄冷熱媒体を生成可能とする点にある。また装置構成として、ガスハイドレートの生成効率を高め運用ロスを最小限に抑えることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る蓄冷方法は、蓄冷熱槽内に所定濃度のアルコール水溶液を充填し、当該アルコール水溶液を冷却してから蓄冷熱槽内に所定量の液化石油ガスを供給した後、単位時間あたり所定量の液化石油ガスを吸引して前記アルコール水溶液中に放出させる。アルコール水溶液はエチレングリコール水溶液またはエタノール水溶液であることが望ましい。液化石油ガスは、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンから一以上を選択して使用することが望ましい。
【0010】
また前記目的を達成するため、本発明に係る蓄冷熱装置は、蓄冷熱槽と、当該蓄冷熱槽の内部を冷却する冷却装置と、蓄冷熱槽で生成された包摂水和物を後段へ送出する冷媒装置とを備え、前記蓄冷熱槽は、アルコール水溶液の充填口と、減圧弁を介して供給される液化石油ガスの充填口とを備えるとともに、略鉛直方向に配した一以上の回転軸を備え、この回転軸は内部を中空とし、適宜位置に当該回転軸の回転に伴って液化石油ガスを吸入する吸引アームと、吸引した液化石油ガスをアルコール水溶液に放出する排出アームとを備えてなり、吸引アームおよび排出アームは、いずれも内部中空で前記回転軸の中空部と連通してなり、吸引アームは、前記回転軸の回転方向に向かって開設された開口を備える。
【0011】
排出アームは、回転軸から略直角に突出するストレート管であって、回転軸の回転方向に対して約45度の角度をもって斜め方向にカットされた開口を備え、当該開口は、回転方向と逆向きの方向に開設されていることが望ましい。
【0012】
【作用】
本発明は、ホストとなるアルコール水溶液を冷却し、そこにゲストである液化石油ガスを供給することによって、石油ガスの低圧液化を図る。低圧下での液化であるから高圧ガス保安法の規制を受けない。尚、低圧とはより具体的には35℃以下の温度で、0.2MPa以下の系内圧力をいう(以下同じ)。
【0013】
液化した石油ガスはアルコール水溶液とは別の層を形成する。通常のLPGの場合はアルコール水溶液の上部に層を形成する。このため上層部に液化した石油ガスを吸い込み、それを下層のアルコール水溶液中に放出分散させることは装置構造として各種の構成を採ることが出来る。
【0014】
但し、包摂水和物の生成効率を考えれば、最終的に入熱的になるゲストガスの攪拌は最小限に止めることが望ましい。このため本発明装置では、上下方向に延設した回転軸の回転に伴って吸引アームの開口から流入させた液状のゲストガスを、回転軸の中空部を通して下部に流動させ、下部に設けた排出アームの開口から遠心力(および負圧効果)によってアルコール水溶液(ホスト)中に吐出させる。これに伴いガスハイドレートが生成され、アルコール水溶液の濃度に応じて、畜冷熱媒体の生成濃度すなわち蓄冷温度のコントロールができる。ゲストとして液化石油ガスを用いた場合の実用上の制御温度範囲は0℃以下、最大マイナス50℃の範囲である。
【0015】
尚、本発明は下記の理由により、不活性ガスを添加することを制限するものではない。すなわち、本発明に係る蓄冷熱温度(0〜マイナス50℃)の範囲では液化せずかつ水溶液に溶解しない不活性ガス(窒素ガス等)を、蓄冷熱槽の上部LPG層に約50モル%以上の比率で添加しておけば、爆発の危険をより確実に抑制できるからである。また液化石油ガス流体の組み合わせによっては過度の減圧操作になる可能性があるが、それを防止するためにも圧力の緩衝用として不活性ガスを用いる場合があり得る。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る蓄冷技術を、各種の冷却庫(商品ケース/保冷庫等)に適用する場合を例にとって説明する。
まず図1に基づき、全体の装置システムを説明する。
符号11は、冷却ケースであり、例えば冷凍食品、野菜、魚介等の生鮮品、チーズや氷菓等の要冷蔵食品、飲料を納める。冷却ケース11の設定温度はそれぞれ異なっても構わない。また冷却ケース11はフロンガス等を用いた既存の冷却装置41を備える。尚、冷却ケースは通常複数あるが図面の簡単のため一つだけを例示した。
【0017】
一方、符号20は、ガスハイドレート由来の蓄冷熱媒体を生成するための蓄冷熱槽である。生成した蓄冷熱媒体は、ポンプ31、循環パイプ32、流量調整弁33を介して冷却ケース11に循環供給する。
【0018】
符号40は、蓄冷熱槽20の内部を設定温度に冷却するための冷却装置であり。冷凍機41、チラー42、ポンプ43、冷媒循環パイプ44を備える。冷媒循環パイプ44は、蓄冷熱槽20の内部空間を通過するように配する。この冷媒循環パイプ44は、蓄冷熱槽20内に充填されているアルコール水溶液を冷却するものであるから、熱交換速度を向上させるため例えば螺旋形状に設計し、アルコール水溶液との接触面積を増加させることが望ましい。尚、冷媒循環パイプ44の本数は一本に限らない。蓄冷熱槽20の内容積に応じて複数本設けても良い。
【0019】
蓄冷熱槽20には、アルコール水溶液の供給口21と、液化石油ガスの供給口22を設ける。尚、24は所定配合の石油ガスを高圧液化させたLPGボンベ、25は減圧弁、26はストップ弁、27は安全弁、28は保安弁、29は圧力計である。また符号Qはアルコール水溶液(ホスト)、Gは液化させた石油ガス(ゲスト)である。
【0020】
ホストとなるアルコール水溶液は、エタノール、メタノール等の低級アルコールの水溶液であっても良いが、高濃度では消防法上危険物の規制を受ける。従ってエタノール水溶液の場合は濃度を落として、例えば60Wt%未満で使用することが望ましい。エチレングリコールの場合は全濃度範囲で同規制を受けない。従って実用化に際してはエチレングリコール水溶液が好ましい。
【0021】
また蓄冷熱槽20には、モータ23によって回転する回転軸50を設ける。回転軸50の本数は限定されない。この実施例では一本の回転軸50だけを例示してある。回転軸50は中空パイプを用いる。丸管、角管を問わない。また回転軸50は上下方向に延設する。モータ23の配設位置は問わない。この実施例ではモータ23を蓄冷熱槽20の上部に配し回転軸50を直接駆動する。
【0022】
回転軸50の上端近傍には石油ガスの吸引アーム51を設ける。また回転軸50の下部には石油ガスの排出アーム57,58を設ける。吸引アーム51および排出アーム57,58は回転軸50に対して略垂直方向に突出させる。配設本数は限定されない。目的とする装置能力に応じて吸引量や排出量は適宜設計変更可能だからである。但し、回転軸50を中心として対称位置に配置することが望ましい。回転軸50の運動バランスを均衡させるためである。
【0023】
吸引アーム51は、例えば図2に示すように、回転軸50の回転方向(矢印Xで例示する)に向かって開いた吸入開口52を備える。好ましくは、例えば図3に示すように湾曲部53を備えるエルボー管を用いる。エルボー管を使用した場合は、液化石油ガスの流入がスムースとなり蓄冷熱媒体の生成効率が確実に高まる。
【0024】
一方、排出アーム57,58は、端末部に排出開口55を備えるパイプ材を用いる。形状は問わない。遠心力によって液化石油ガスを吐出できれば良いからである。但し、好ましくは例えば図4に示すように、回転軸50の回転方向(矢印X)と逆向きに斜めにカットした排出開口55を設ける。
【0025】
排出開口55を回転方向と反対の向きに斜めにカットするのは、負圧の利用によって液化石油ガスの吐出効率を高めるためである。また斜めにカットすることによって同一内径のパイプであっても、開口面積が大きくなるため、排出アーム57,58を小さく軽量化出来る等の利点もある。尚、カット成形する際の角度θは約45度とすることが望ましい。排出開口55の付近に均一に低圧部分が発生するからである。また蓄熱槽内壁にバッフル板を設置することにより、界面を水平にし、高密度な液相として効率的に吸い込むことも効果的である。
【0026】
次に、かかる装置を用いて蓄冷熱媒体を生成し利用する手順について説明する(図5参照)。まず、以下の手順で準備運転を行う。
▲1▼ 規定の相変化温度(例えば−25〜−30℃)に見合ったエチレングリコール濃度(60Wt%)の水溶液を供給口21から蓄冷熱槽20に規定量(例えば蓄冷熱槽20の内容積の80vol%)を充填する(S1)。尚、相変化温度は、アルコール水溶液の濃度に依存する。そしてゲストガスとして液化石油ガスを用いる場合は0℃以下〜マイナス50℃の範囲で蓄冷温度を制御できる。
▲2▼ 回転軸50を規定速度(例えば200RPM)で回転させ、エチレングリコール水溶液を均等に混合する(S2)。
▲3▼ 冷凍機41、ポンプ43を起動し、冷媒循環パイプ44を介して蓄冷熱媒体を蓄冷熱槽20内に流動させる(S3)。この後、蓄冷熱槽20のエチレングリコール水溶液を徐々に例えば−20℃まで冷却する(S4)。この場合の冷却温度は、LPGガスの成分によって異なる。準備運転での冷却の目的はLPGガスを低圧下で液化させることにあるから、ブタン(沸点−0.5℃)、ペンタン(沸点36.1℃)、ヘキサン(沸点68.74℃)のように沸点が比較的高い石油ガスを用いる場合は、−20℃まで冷却するまでもなく低圧で液化できる。
【0027】
本実施例において−20℃まで蓄冷熱槽20を冷却させるのは、現時点で最も利用しやすいプロパン混合ガスを用いた場合を例にとって説明するためである。プロパンは沸点−42.1℃であり、ブタン、ペンタンとの混合物を用いた場合、とくにプロパンを主成分とする市販のLPGガスを用いた場合は−20℃程度で低圧液化させることが出来る。尚、プロパンは沸点が低く低圧下での液化が難しいことから、本発明に係るホストガスとしてプロパンを使用する場合でもプロパンの使用量は50Wt%を越えないように配慮し、ブタン以下の重油を適宜混合して使用する。尚、メタン、エタンはさらに沸点が低く、低圧下での液化は困難であり、実質的にゲストとしての使用は困難である。
▲4▼ 回転軸50を最低速度(例;100RPM)に落として運転する(S5)。▲5▼ 蓄冷熱槽20が−20℃に到達したら、LPGボンベから減圧弁25を介して、LPGを蓄冷熱槽20に徐々に充填する(S6)。この場合、蓄冷熱槽20の内圧が0.15MPaを越えないように圧力計29で圧力を監視しながら充填する。またエチレングリコール水溶液の上部に液化して積層してくるLPG層(G)を覗き窓(図示せず)で確認しながら充填する。
【0028】
尚、最初に使用するバージンな水溶液は過冷却が起こりやすい。しかし一回でもガスハイドレートが生成した履歴のある水溶液はそれ以降は過冷却が起こりにくい。これはガスハイドレートが一度生成し解離すると、液化石油ガスは一般に水溶液に不溶といわれているが、0.016モル%以上は溶解するため、2回目以降のガスハイドレート生成の際に、この既に水溶液中に溶解し細かく分散している液化石油ガス成分がガスハイドレート生成の核となり、過冷却を抑制するためである。したがって実装置では、過冷却を完全に防止するために本運転に先立って、十分に液化石油ガスを溶解させておく。
▲6▼ 規定の高さ(例えば蓄冷熱槽20の約90VOL%)に達したところでストップ弁26を閉じてLPGの充填を停止する(S7)。
▲7▼ この場合、安全確保のため、保安弁28を例えば0.17MPaに設定して蓄冷熱槽20を設定圧以下に保つ。さらに安全弁27を例えば0.19MPaに設定し、万が一の圧力上昇から蓄冷熱槽20の破裂を防ぐ。以上で準備運転が終了する。
【0029】
次に、以下の手順で蓄冷運転を行う。
▲1▼ 冷凍機41を規定能力に、ポンプ43の駆動により蓄冷熱媒体を規定流量に、モータ23の駆動により回転軸50を規定回転数(例えば200RPM)に上げて蓄冷運転に入る(S8)。蓄冷運転は、夜間の安価な電力を用いる。これらの規定値は蓄冷運転に許される時間を勘案し決定する。(過冷却を防止したり伝熱面での氷の固着を防ぐため、出来る限りゆっくり時間をかけて実施することが望ましい)。
▲2▼ 規定時間を経過した時点で、冷凍機41,回転軸50、ポンプ43(蓄冷熱媒体流量)を最低能力に落とす(S9)。このとき、覗き窓(図示せず)より、LPG層Gの層高さを確認し、また他の覗き窓(図示せず)によりエチレングリコール水溶液(Q)中のガスハイドレードをそれぞれ確認できる。運転数値を確実にするにはドレンから内容物を抜き出し、水溶液中のエチレングリコール濃度の比重を測定しても良いし、または屈折法によりガスハイドレードの生成濃度を算出しても良い。但し、覗き窓からの視認によって蓄冷熱媒体の生成状況はほぼ確実に把握することが出来る。
▲3▼ 最後に、蓄冷熱媒体生成の終点段階をチェックし(S10)、蓄冷運転を終了する(S11)。停止チェックは、視認、エチレングリコール濃度の比重測定、あるいは屈折法によるガスハイドレードの生成濃度の算出によって行う。通常運転であれば時間測定も運転停止の参考材料となる。ガスハイドレードの生成の終点では、ホスト水溶液中の水分が欠乏してきて、ガスハイドレードの生成速度が低下し、蓄冷熱媒体の蓄冷熱槽20の出口温度T2が急激に低下する(図6)。この現象が生ずると、伝熱面に熱伝導度の極めて悪い氷が固着する可能性があるため、この現象は可能な限り避けて運転することが望まれる。これは次の通りである。
【0030】
例えば、図6の液化石油ガスを含まないエチレングリコール水溶液を単に冷却したり、液化石油ガスを含めた場合でも冷却速度に不溶性の液化石油ガス流体の水溶液中への供給が追いつかないときは、ガスハイドレートの生成が起こらずに過冷却現象が起こり、図6のII線に伴い氷単独の析出が起きる。このようにして析出した単独の固体の氷は、緻密でかつ硬く蓄冷熱槽内の冷却コイル(冷媒循環パイプ44)に固く固着し、大きな伝熱抵抗となり、総括伝熱係数で表される冷却速度の著しい低下を招き、蓄冷熱槽自体が機能を果たせなくなる。
【0031】
液化石油ガス流体を含む系において、以上の如く装置上の工夫を凝らして、冷却速度に見合った液化石油ガス流体の水溶液への供給が可能であれば、図6のI線のごとく、氷単独で析出した温度より約10度高い温度で液化石油ガスと水から構成されるガスハイドレートが生成する。このガスハイドレートは非常に微細でさらさらしており、冷却面に付着しにくく、ほぼ一定の高い冷却速度が長時間にわたって持続する。また表面積が大きく生成および逆の解離が容易であるため、蓄冷熱槽値での最大の問題のひとつである過冷却現象も殆ど起きない。これは複数の水分子により形成された形での篭の中に液化石油ガス流体が取り込まれたガスハイドレートの立体的構造に起因している。
【0032】
これらの特徴により、蓄冷段階での過冷却が抑制でき、冷却速度の著しい低下も現れずに、最初に添加された水溶液中の大部分の水が潜熱蓄冷媒体のガスハイドレートとして生成することにより、本発明のような蓄冷密度の高い蓄冷熱装置が実現できる。
【0033】
以上のようにして蓄冷熱槽20に蓄えたガスハイドレート由来の蓄冷熱媒体は、次のようにして放冷運転する。
▲1▼ ポンプ31を起動し、ガスハイドレート由来の蓄冷熱媒体を、蓄冷熱槽20から冷却ケース11へ流動させる(S12)。冷却ケース11の蓄冷熱媒体流量は、流量調整弁33の調整によってコントロールする。
▲2▼ 冷却ケース11は、収納する商品により保冷温度レベルが異なるが、コントロール温度範囲は+/−2〜3℃の精度であり、実用上は、それほど厳密な温度コントロールは要求されない。
▲3▼ 随時、冷却ケース11内の温度を測定し(S13)、それに会わせ、冷却ケース11に流す各蓄冷熱媒体流量を調整する(S14)。冷却ケースが複数ある場合は流量調整によってそれぞれの規定範囲に保つ。
【0034】
以上の放冷運転は、夜間の保冷、昼間の冷却能力の増加など、使用目的に応じて行う。大量のガスハイドレート由来の蓄冷熱媒体生成により、所定サイクルで(例えば24時間サイクルで)自由な蓄冷熱媒体の活用が出来る。蓄冷時および放冷時に使用される電力は従来の冷凍システムに較べて格段に少なく、蓄冷と放冷との間に時間のラグがあるため、低コスト電力を用いて蓄冷熱媒体を自由に使い回すことが可能となり、マイナス温度を必要とする各種の冷却設備において省力化、装置能力の飛躍的向上など、実用面においてさまざまな有用性を発揮する。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る蓄冷方法及び装置によれば、高圧ガス保安法の規制を受けずに、0℃〜マイナス50℃の範囲でガスハイドレート由来の蓄冷熱媒体を生成することが可能となる。また装置構成として、とくににゲストガスの流入とホストガスへの放出・分散を効率化する回転系の装置(吸入/排出アーム)を設けることによって包摂水和物の生成効率を確実に高めることを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシステムの一実施形態を例示する図である。
【図2】本発明に係る吸引アームの開口を例示する図である。
【図3】本発明に係る吸引アームの好ましい開口例を示す図である。
【図4】本発明に係る排出アームを例示する図である。
【図5】本発明に係るシステムを運転する手順を例示するブロック図である。
【図6】氷生成及びガスハイドレート生成に伴う冷却速度の相違を示すグラフ図である。
【符号の説明】
11 冷却ケース
20 蓄冷熱槽
21 アルコール水溶液の供給口
22 石油ガスの供給口
23 モータ
24 LPGボンベ
25 減圧弁
26 ストップ弁
27 安全弁
28 保安弁
29 圧力計
31 ポンプ
32 循環パイプ
33 流量調整弁
40 冷却装置
41 冷凍機
42 チラー
43 ポンプ
44 冷媒循環パイプ
50 回転軸
51 吸引アーム
52 吸入開口
55 排出開口
57,58 排出アーム

Claims (5)

  1. 蓄冷熱槽内に所定濃度のアルコール水溶液を充填し、当該アルコール水溶液を冷却してから蓄冷熱槽内に所定量の液化石油ガスを供給した後、単位時間あたり所定量の液化石油ガスを吸引して前記アルコール水溶液中に放出分散させることを特徴とする包摂水和物を用いた蓄冷方法。
  2. 前記アルコール水溶液はエチレングリコール水溶液またはエタノール水溶液であることを特徴とする請求項1記載の包摂水和物を用いた蓄冷方法。
  3. 前記液化石油ガスは、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンから一以上を選択して使用することを特徴とする請求項1または請求項2記載の包摂水和物を用いた蓄冷方法。
  4. 蓄冷熱槽と、当該蓄冷熱槽の内部を冷却する冷却装置と、蓄冷熱槽で生成された包摂水和物を後段へ送出する冷媒装置とを備え、
    前記蓄冷熱槽は、
    アルコール水溶液の充填口と、減圧弁を介して供給される液化石油ガスの充填口とを備えるとともに、略鉛直方向に配した一以上の回転軸を備え、
    この回転軸は、内部を中空とし、
    適宜位置に当該回転軸の回転に伴って液化石油ガスを吸入する吸引アームと、吸引した液化石油ガスをアルコール水溶液に放出分散する排出アームとを備えてなり、
    吸引アームおよび排出アームは、いずれも内部中空で前記回転軸の中空部と連通してなり、
    吸引アームは、前記回転軸の回転方向に向かって開設された開口を備えることを特徴とする包摂水和物を用いた蓄冷熱装置。
  5. 前記排出アームは、回転軸から略直角に突出するストレート管であって、回転軸の回転方向に対して約45度の角度をもって斜め方向にカットされた開口を備え、当該開口は、回転方向と逆向きの方向に開設されていることを特徴とする請求項4記載の包摂水和物を用いた蓄冷熱装置。
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