JP2911710B2 - 過冷却製氷法における氷蓄熱用製氷熱交換器の凍結防止法 - Google Patents

過冷却製氷法における氷蓄熱用製氷熱交換器の凍結防止法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】近年、電力需要が急増し、特に夏
期においては冷房負荷による昼間と夜間の電力需要のア
ンバランスが著しくなっている。この対策の一つに夜間
の余裕電力を利用して冷熱を貯蔵しておき昼間にこの冷
熱を取り出し冷房負荷に利用することにより電力需要の
昼夜平均化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】この冷熱貯蔵方式には冷水蓄熱システム
と氷蓄熱システムがあるが、設備スペースの効率的利用
等の面から、より省スペースで蓄熱が可能な氷蓄熱シス
テムが注目指されている。これ迄、氷蓄熱装置における
製氷システムでは各種の製氷方法が開発提案されてい
る。製氷方法は大きく分けてスタティック方式とダイナ
ミック方式の二種類があり、スタティック方式は製氷用
熱交換器の伝熱面に氷を着氷させ成長させるものである
ため、、氷厚の増大に伴って伝熱抵抗が大きくなり、製
氷効率が低下する。これに対し、ダイナミック方式は製
氷熱交換器の伝熱面に着氷した氷を間欠的に剥離させた
り、過冷却水を製造することにより伝熱面に着氷するこ
となく製氷するものであるため、製氷時の熱交換効率が
スタティック方式を比較して優れていると共に、製造さ
れた氷の形状が小さいことより、夜間に蓄熱した氷を用
いて昼間冷房を行う際に、冷房負荷に素早く追随するこ
とができる。
【0003】従来ダイナミック方式の製氷方法には、各
種の方法が提案されている。例えば、不凍液と水の混合
体を冷却する方法や、特開平1−114682号公報に
開示されているようにシェル&チューブ型熱交換器を用
いて、その水側の伝熱面の温度を−5.8〜0℃に制御
して連続的に過冷却水を製造し蓄熱槽内で製氷する方法
や、特開昭62−147271号公報に開示されている
ように水流速を0.1m/sec以上に保ち連続的に過
冷却水を製造する方法がある。
【0004】又、「化学工学論文集」第7号、449〜
453頁(1981)には、チューブ径4mmのシェル
&チューブ型熱交換器を用いて水流速0.2〜2.6m
/sec程度の範囲で水が過冷却現象を起こすことを明
らかにしている。又、本出願人は特願平04−0337
59号にて、この過冷却水を氷に相変化させる製氷シス
テムにおいて、熱交換性能に優れ、伝熱板の保守点検が
容易であり、能力設定の自由度が高く、かつコンパクト
な設備構成が得られる等の多くの利点を有するプレート
型熱交換器を用いた製氷方法を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの過冷却水を用
いたダイナミック方式の製氷方法は前記のように優れた
特徴を有するが唯一の欠点は熱交換器又は管路内で過冷
却水が氷に相変化すると凍結して流路を閉塞してしまう
ことである。この対策には従来から熱交換器の周囲に電
熱又は温水ヒーターを巻付配置しておき、凍結した氷を
融解する手段や、熱交換機器の冷媒流路に暖気ガスや温
水を送り凍結した氷を融解する手段があった。
【0006】しかし、これらの対策は熱交換器又は管路
内に氷が凍着した後、この氷を融解するものであるため
熱交換器の流路を損傷させたり、融解処理の間、長時間
に亘って製氷工程が中断することとなる。さらに熱交換
器の冷媒流路を用いた融解手段では冷媒と融解用ガス、
温水の入れ替え作業が伴い、面倒であった。本発明はこ
れらの従来技術の課題を解消するためなされたもので、
製氷熱交換器または管路内を流れる過冷却水が氷に相変
化する際、その徴候を把え完全に凍結して流路を閉塞す
る前に温水を送り込み凍結を予防することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決する手段】前記目的を達成するための手段
は以下の通りである。蓄熱槽の水を製氷熱交換器内に連
続的に循環させ、冷凍機で冷却された冷媒(ブライン
等)と熱交換することにより、0℃以下の過冷却状態に
冷却して、蓄熱槽内に微細な氷粒を製氷する蓄熱用製氷
法において、製氷熱交換器に送られる入口側管路の圧力
を圧力計で検知し、この圧力が製氷熱交換器内に氷が発
生することにより正常運転圧よりわずかに上昇したら凍
結防止ポンプを起動製氷し、温水槽に貯えられた温水を
前記製氷熱交換器の入口側管路に供給し、製氷熱交換器
内に発生した氷を溶かすことにより冷却水流路を流れる
冷却水が凍結して流路を閉塞することがないよう予防す
ることを特徴とする過冷却製氷法における氷蓄熱用製氷
熱交換器の凍結防止法である。
【0008】
【作用】本発明では、製氷熱交換器1又は管路内を流れ
る過冷却水が相変化した氷が完全に流路を閉塞させる前
にその徴候を把え、流路に温水を送り込み一部相変化し
た氷を融解させる。製氷熱交換器1又は管路内を流れる
過冷却水が氷に相変化する徴候を把えるには製氷熱交換
器入口における圧力を検知する手段を用いる。
【0009】即ち、図2に示すように正常運転時の圧力
1 20が一部氷に相変化する異常時21には上昇する
ためその差圧ΔPを圧力計5で検知し、A点でこの信号
をコントローラー6を介して、凍結防止ポンプ7を起動
し、常時貯えられている温水槽8の温水を製氷熱交換器
1の入口側流路2に送り込む。
【0010】製氷熱交換器1および管路は一部相変化し
た氷が存在するが完全に閉塞されていないため送り込ま
れた温水は流水が阻害されることはない。この温水の流
水により一部相変化した冷却氷は液状に融解され正常運
転に復帰したB点で凍結防止ポンプ7を停止する。この
凍結防止運転時も製氷運転は継続される。
【0011】なお、図中点線22は凍結防止対策を講じ
なかった場合の圧力の上昇の様子を示したもので、過冷
却水の一部が氷に相変化すると数秒後に流路が閉塞され
圧力が急上昇する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は本
発明の実施例でプレート型熱交換器を製氷熱交換器とし
た例の系統図を示す。本実施例に示す氷蓄熱システムは
夜間電力で運転される冷凍機4で冷却された冷媒(ブラ
イン)を製氷熱交換器1の冷媒流路にポンプ11で循環
させ、製氷熱交換器1の水流路にはポンプ12で蓄熱槽
内の底部から水31を入口側管路を介して供給し、冷媒
で冷却されたものを出口側管路3を通じて蓄熱槽13の
上部から槽内に放出する。
【0013】蓄熱槽13の水31は連続的にポンプ12
で製氷熱交換器1に送られ冷媒で冷却されて蓄熱槽13
に戻されることを繰返すうちに過冷却状態(0℃以下の
液相)まで冷却されると蓄熱槽13内に放出される際に
微細な氷粒30に相変化し、蓄熱槽内上部にシャーベッ
ト状30に貯えられる。過冷却水の温度は0℃〜−4℃
程度にコントロールされ通常は氷に相変化しないよう安
定した過冷却水として運転される。しかし、過冷却水が
製氷熱交換器1内または管路内で氷に相変化することは
絶無とは言えない。
【0014】本発明はこの対策のため行われるもので、
図1の製氷熱交換器1の冷却水入口側管路2の途中に圧
力計5を設け、この圧力信号をコントローラー6に伝送
し、コントローラー6から温水槽8と前記冷却水入側管
路2に接続された管路に設けられた凍結防止ポンプ7の
起動・停止を自動的に行うシステムとされている。温水
槽8にはヒーター9が設けられ常時所定温度に温められ
た温水が貯えられており、この管路は逆止弁10で正常
時には冷却水入口側管路2と遮断されている。
【0015】正常運転時には、冷却水入口側管路2は一
定の圧力P1 20(例えば0.5kgf/cm2 )を保
っているが製氷熱交換器1又は管路内に一部氷の相変化
が生じるような異常時には圧力が上昇するためこの圧力
信号を把えあらかじめ設定した圧力P2 との差圧ΔPに
なるとコントローラー6から凍結防止ポンプ7を起動す
る。凍結防止ポンプ7が起動すると逆止弁10が自動的
に開かれ温水槽8の温水が冷却水入口側管路2に送ら
れ、冷却水と混合されて製氷熱交換器1の出口管路3を
通じて蓄熱槽13に放出される。この際、冷却水が温め
られて一部氷相になったものが液相に変り、圧力計5の
圧力はほぼ正常運転時の値に戻る。(温水の追加により
正常運転圧より若干高くなる。)この状態になったら、
凍結防止ポンプ7を停止し、通常運転を継続する。この
異常時対処運転は数秒内の間に全て自動的に行われる。
【0016】なお、あらかじめ設定する差圧△Pは0.
2〜0.1kgf/cm程度とし、温水の温度は常温
から100℃未満の間で望ましくは30〜70℃にす
る。図1の左側は夜間電力で貯蔵された氷蓄熱槽内の冷
水を昼間、冷房負荷に利用する系統図を表すもので、氷
蓄熱槽内の底部に設けた一次冷水抜出しノズル14で冷
水を引出し冷水熱交換器16を介して冷房負荷17で温
められた二次冷水を冷却した後、氷蓄熱槽13上部の一
次冷水戻りノズル15から散水して戻す。本実施例は、
製氷熱交換器にプレート型を用いた例を示したが、シェ
&チューブ型や他の熱交換器にも適用でき同様の効果
発揮される。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば製氷熱交換器または管路
内を流れる過冷却水が氷に相変化して完全に流路に凍結
して閉塞する前にその徴候を圧力変化で把えて、流路に
温水を送り込み一部相変化した氷を融解させ正常運転に
速やかに復帰させることができるもので、これらの処置
を冷却運転を中断することなく容易かつ自動的に行うこ
とができるとともに、流路閉塞による熱交換器の損傷を
未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の系統図である。
【図2】本発明の作用を説明するための製氷熱交換器入
口側圧力の変化状況を示す。
【符号の説明】
1 製氷熱交換器 2 入口側管路 3 出口側管路 4 冷凍機 5 圧力計 6 コントローラー 7 凍結防止ポンプ 8 温水槽 9 ヒーター 10 逆止弁 11 ポンプ 12 ポンプ 13 蓄熱槽 14 一次冷水抜出しノズル 15 一次冷水戻りノズル 16 冷水熱交換器 17 負荷 20 正常圧力 21 異常時圧力 22 閉塞時圧力 30 シャーベット状氷 31 冷水

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蓄熱槽の水を製氷熱交換器内に連続的に
    循環させ、冷凍機で冷却された冷媒(ブライン等)と熱
    交換することにより、0℃以下の過冷却状態に冷却し
    て、蓄熱槽内に微細な氷粒を製氷する蓄熱用製氷法にお
    いて、プレート型製氷熱交換器に送られる入口側管路の
    圧力を圧力計で検知し、この圧力が製氷熱交換器内に氷
    が発生することにより正常運転圧よりわずかに上昇した
    ら凍結防止ポンプを起動し、温水槽に貯えられた温水を
    前記製氷熱交換器の入口側管路に供給し、製氷熱交換器
    内に発生した氷を溶かすことにより冷却水流路を流れる
    冷却水が凍結して流路を閉塞することがないよう予防す
    ることを特徴とする過冷却製氷法における氷蓄熱用製氷
    熱交換器の凍結防止法。
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