JP3854990B2 - コンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、防波堤,岸壁,護岸,係船施設,突堤,離岸堤等に使用されるコンクリート製のケーソンを、所定の高さの区画毎に鉄筋を配筋しコンクリートを打設する作業を上方に順次繰返し行って製造する際の一区画における鉄筋の配筋法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製のケーソンは、一般に製造すべきケーソンの形状に合わせて鉄筋を配筋して後、この配筋された鉄筋を挾んで両側に設置した型枠間にコンクリートを打設して製作されている。従来、このようなコンクリート製のケーソンを製造する際の鉄筋の配筋作業は、鉄筋加工図に従って所定の長さに切断され必要に応じて加工機を用いて曲げ加工等を行って所定寸法・所定形状に成形された鉄筋を、配筋図に従ってこれらの鉄筋の1本1本を作業者により結束線等の連結手段を用いて連結する作業を繰返し行って配筋していた。
【0003】
しかしながら、港湾施設の大水深化により港湾等に設置されるコンクリート製のケーソンの大型化が要求されるようになってきた。このような大型のケーソンとしては、例えば縦×横×高さが約22m×30m×22mもある非常に大型のものを挙げることができるが、このような大型のケーソンを製造するために鉄筋を配筋する作業を前記した如く作業者により鉄筋を1本1本結束線等を用いて連結して配筋するためには多数の熟練した作業者を確保しなければならないのであり、また製作日数も非常に長期間を要し、作業効率が非常に悪いという欠点があった。このような欠点は、作業者確保の困難性,熟練鉄筋工の高齢化に伴って作業者が減少している建設業界の現状から、作業効率の低下は更に顕著にあらわれていた。
【0004】
一般にコンクリート製のケーソンを製造するには、先ず土台を構成する鉄筋コンクリートを形成し、次いでこの土台を構成する鉄筋コンクリートの上端に突出された突出縦筋に、適当な長さ(一般に3m程度の長さ)の鉄筋を縦筋として連結すると共にこの縦筋に横筋を所定の間隔毎に連結する作業を繰返し行って製造するケーソンの形状に対応させて配筋する。しかる後、配筋された鉄筋を挾んで両側に型枠を配設し、配筋されている縦筋の上端部が適当な長さだけ突出した状態となるまでこの型枠間にコンクリートを打設するのである。そしてコンクリートが固化した後、固化したコンクリートの上面より突出している突出縦筋に、前記したと同様に適当な長さの鉄筋を縦筋として連結し、この縦筋に横筋を所定の間隔毎に連結する作業を繰返し行って鉄筋を配筋し、配筋された鉄筋を挾んで両側に配設した型枠間にコンクリートを打設する作業を、製造すべきケーソンの高さに至るまで繰返し行ってコンクリート製のケーソンを製造している。
【0005】
しかしながら、上記した如きコンクリート製のケーソンの製造に際し、鉄筋を配筋する作業は配筋すべき全ての鉄筋を作業者が配筋すべき位置まで1本ずつ又は数本纏めて運搬した後に、結束線等の連結手段によって1本1本連結しなければならないので、多くの手間と時間とを要するという欠点があった。更に、これらの作業は高所、例えば前記した如き非常に大型のケーソンの場合には高い所で20m以上の高所における作業となるため危険性が非常に高いという欠点があった。
また、コンクリート製のケーソンは、その構造や用途に応じて強い強度を要求される部分とあまり強い強度を要求されない部分とがあり、例えば外側壁は一般に高い強度を要求される場合が多いのでケーソンの製造に際しこの部分に配筋される鉄筋は密な状態に配筋され、また隔壁部分は一般にあまり高い強度を要求されない場合が多いのでこの部分に配筋される鉄筋は比較的粗な状態に配筋されていればよいため、製造コスト及び作業効率の面からあまり高い強度を要求されない部分については比較的粗な状態に配筋されるのである。更に、配筋される鉄筋は、同一平面の外側壁が形成される部分においても均一な状態に配筋されるものではなく、ましてや外側壁が形成される部分と隔壁が形成される部分とでも均一な状態に配筋されるものではなく、更に連結部分が上下方向,水平方向のそれぞれにおいて直線上に位置しているとこの部分の強度が低下するので、連結部分が各方向においてズレた千鳥状を成すように複雑に配筋することが好ましいのである。このため、作業者は鉄筋の配筋作業を行う高所で注意を払いながら使用する鉄筋の選択を行い且つ配筋すべき位置を測定しながら鉄筋同士を連結する配筋作業を進めていくので、非常に手間と時間とを要するという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、コンクリート製のケーソンを製造する際に鉄筋を配筋する作業を安全に且つ短期間で行うことができるコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも外側壁及びこの外側壁で囲まれた空間内に平面で見て格子状の隔壁を形成されて成るコンクリート製のケーソンを所定の高さの区画毎に鉄筋を配筋しコンクリートを打設する作業を上方に順次繰返し行って製造する際の一区画における鉄筋を配筋する作業として、縦筋と横筋とを格子状に連結してそれぞれL型,T型及び+型に形成せしめた立体配筋部材を予め製作し、製造すべきコンクリート製のケーソンの四隅の角部に対応する位置に前記L型の立体配筋部材を、外側壁と隔壁とが交差する位置に前記T型の立体配筋部材を、隔壁同士が交差する位置に前記+型の立体配筋部材を、既にコンクリートを打設された鉄筋コンクリート上に配置して該鉄筋コンクリートの上端に突出されている突出縦筋にその縦筋の下端をそれぞれ連結し、横筋を介して所定の間隔を隔てて複数の縦筋を予め連結した主として縦筋より成る外側壁用平面配筋部材を前記突出縦筋に連結された隣合うL型の立体配筋部材とT型の立体配筋部材との間及びT型の立体配筋部材間に配置すると共に、縦筋と横筋とを格子状に予め連結した隔壁用平面配筋部材を前記突出縦筋に連結された隣合うT型の立体配筋部材と+型の立体配筋部材との間及び+型の立体配筋部材間に配置して、その各縦筋と突出縦筋とをまたその各横筋と立体配筋部材の横筋とを連結し、しかる後に少なくとも1つ以上のL型又はT型の立体配筋部材を隔てて位置する、L型の立体配筋部材とT型の立体配筋部材とを連結できる長さ,L型の立体配筋部材同士を連結できる長さ,又はT型の立体配筋部材同士を連結できる長さを有する長さの長い各主横筋をそれぞれ少なくともL型又はT型の立体配筋部材の位置を股いで上下方向に所定の間隔を隔てて水平に配置して全周に亘って連結すれば、熟練した作業者でなくても配筋図通りに容易に鉄筋を配筋することができ、予め製作しておく立体配筋部材や平面配筋部材を工場で製作する場合でも現場近傍で製作する場合でも一区画における配筋を短期間に行うことができケーソンを短期間に製造することができることを究明して本発明を完成したのである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明に係るコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法について詳細に説明する。
図1は製造すべきコンクリート製のケーソンの1例を示す斜視図、図2は本発明法に使用する予め製作されたL型の立体配筋部材を示す斜視図、図3は本発明法に使用する予め製作されたT型の立体配筋部材を示す斜視図、図4は本発明法に使用する予め製作された+型の立体配筋部材を示す斜視図、図5は本発明法に使用する予め製作された平面配筋部材をそれぞれ示すものであって、(イ)は外側壁用平面配筋部材を、(ロ)は隔壁用平面配筋部材を示す斜視図、図6は本発明法を実施して図1に示すコンクリート製のケーソンを製造するために先ず各立体配筋部材を所定の位置に固定した状態を示す平面説明図、図7は図6の状態から各立体配筋部材間に所定の平面配筋部材を連結した状態を示す平面説明図、図8は図7における外側壁位置における配筋状態を示す側面説明図、図9は図7におけるA−A線断面説明図、図10は図7の状態から主横筋を固定して配筋作業が完了した状態を示す側面説明図である。
【0009】
図面中、1は四周の外側壁1aに囲まれた空間内に平面で見て格子状の隔壁1bが全高さに亘って形成されているコンクリート製のケーソンであって、図1に示す如く下端部が土台を形成されて閉塞されているものや、下端部が開口しているものがある。
本発明法は、このようなコンクリート製のケーソン1を、所定の高さの区画毎に製造すべきコンクリート製のケーソン1の形状に対応させて鉄筋を配筋しこの配筋された鉄筋を挾んで両側に型枠を配設して配筋されている縦筋の上端部が適当な長さだけ突出した状態となるまでこの型枠間にコンクリートを打設して固化した後、固化したコンクリートの上面より突出している突出縦筋6aに前記したと同様に製造すべきコンクリート製のケーソン1の形状に対応させて鉄筋を配筋してその縦筋の下部を突出縦筋6aに連結してから型枠を配設し,この型枠間にコンクリートを打設する作業を、製造すべきコンクリート製のケーソン1の高さに至るまで上方に順次繰返し行って製造する際の、各区画毎にコンクリートに埋設される鉄筋を配筋する方法に関するものである。
【0010】
本発明法を実施するためには、先ず縦筋2aa,2ba,2caと横筋2ab,2bb,2cbとを格子状に且つそれぞれ平面で見てL型,T型及び+型に、即ち横筋2ab,2bb,2cbをそれぞれL型,T型及び+型に形成せしめた立体配筋部材2a,2b及び2cを予め製作する。
【0011】
このL型の立体配筋部材2aとしては、図2に示す如く所定の間隔を隔てて垂直に配された縦筋2aaに所定の間隔を隔てて上下方向に水平に配された略L型に加工された横筋2abを直線状の縦筋2aaとこの横筋2abとが格子状を成す状態に連結した鉄筋の前記略L型の横筋2abのそれぞれに、端部が直角に折曲された直線状の横筋2abをその端部で連結したものに直線状の縦筋2aaを連結して格子状にし、前記格子状を成す状態に連結した鉄筋が例えば略コ字状の幅止め筋を介して所定の間隔を維持されて並列状態に連結されていると共に角部の位置にハンチ筋2acが連結されて形成されている態様を挙げることができる。
【0012】
T型の立体配筋部材2bとしては、図3に示す如く所定の間隔を隔てて上下方向に水平に配された直線状の横筋2bbと所定の間隔を隔てて垂直に配された直線状の縦筋2baとが格子状を成す平面状態に連結された外側と内側の平行な2組の平面部材が例えば前記した如き略コ字状の幅止め筋を介して所定の間隔を維持されて並列状態に連結されていると共に、前記外側の平面部材の横筋2bbの略中央位置に一端部が直角に折曲された横筋2bbの折曲された端部が連結され、この新たに連結された横筋2bbに水平方向に所定の間隔を隔てて垂直に縦筋2baが格子状を成す状態に連結されていたり、又は前記一端部が直角に折曲された横筋2bbを平面で見て所定の間隔を隔てて並列状態にして前記外側の平面部材の横筋2bbの略中央位置に折曲された端部がそれぞれ連結され、この新たに連結された各横筋2bbに水平方向に所定の間隔を隔てて垂直に縦筋2baが格子状を成す状態に連結されて、いわゆるダブル配筋されていたりする態様を挙げることができる。
このとき、外側の平面部材の横筋2bbとこの横筋2bbの略中央位置に新たに連結された横筋2bbとの連結位置の近傍部には、ハンチ筋2bcが連結されている。
【0013】
+型の立体配筋部材2cとしては、図4に示す如く平面で見て+型に配した垂直な縦筋2caにそれぞれ直線状の横筋2cbを略中央位置で互いに交差させた状態に水平に配置して格子状に連結しその交差部近傍で横筋2cb同士をハンチ筋2ccで連結されて+型を成した1組の+型部材より成るものや、この+型部材が2組であってその中央位置が所定間隔を維持するように配置されこの2組の+型部材の各横筋2cb同士がそれぞれ例えば略コ字状の幅止め筋を介して平面で見て所定の間隔を隔てて並列状態に連結されて、いわゆるダブル配筋されて形成されているもの等の態様を挙げることができる。
【0014】
また、上記したL型,T型及び+型の各立体配筋部材2a,2b及び2cは、それぞれ四隅の角部に対応する位置と、外側壁1aと隔壁1bとが交差する位置に対応する位置と、隔壁1b,1b同士が交差する位置に対応する位置とに配設されるものであり、製造すべきコンクリート製のケーソン1の高い強度を要求される部分に配設される立体配筋部材2a,2b及び2cについては上下方向に隣接する横筋2ab,2bb及び2cbがその間隔を狭くして鉄筋密度を密の状態に連結されている。
【0015】
また上記した各立体配筋部材2a,2b,2cの他に、横筋3bを介して所定の間隔を隔てて複数の縦筋3aを予め連結した主として縦筋3aより成る外側壁用平面配筋部材3と、横筋4bと縦筋4aとを格子状に連結された隔壁用平面配筋部材4を予め製作しておく。前者の外側壁用平面配筋部材3は、例えば打設された鉄筋コンクリート6の上面より突出している突出縦筋6aの間隔に合致した所定の間隔や配設される位置の製造すべきコンクリート製のケーソン1の強度を考慮した間隔で複数の縦筋3aが連結されているものであり、これらの縦筋3aを前記所定の間隔を維持して連結するために図5(イ)に示す実施例ではこの縦筋3aの上端部近傍及び下端部近傍にのみそれぞれ横筋3bが連結されている。また、後者の隔壁用平面配筋部材4は、後述する如く製造すべきコンクリート製のケーソン1の比較的高い強度を要求される部分に対応する位置や、あまり高い強度を要求されない部分に対応する位置に配設されるものであり、配設すべき位置の強度に対応する上下方向に隣接する水平な横筋4bの間隔及び水平方向に隣接する垂直な縦筋4aの間隔を調整して鉄筋密度を密の状態や粗の状態に連結されている。
【0016】
このように予め製作しておく各立体配筋部材2a,2b,2c及び各平面配筋部材3,4は、上下方向に隣接する水平な横筋2ab,2bb,2cb及び4bがその先端が一直線状を成した状態に、また水平方向に隣接する垂直な縦筋2aa,2ba,2ca,3a及び4aがその先端が一直線状を成した状態にそれぞれ連結されていてもよいが、横筋2ab,2bb,2cb及び4bがその先端が一直線状を成さないように水平方向にズレた状態に、また縦筋2aa,2ba,2ca,3a及び4aがその先端が一直線状を成さないように上下方向にズレた状態にそれぞれ連結されていることが好ましい。
【0017】
これら各立体配筋部材2a,2b,2c及び各平面配筋部材3,4を製作する際の横筋2ab,2bb,2cb,3b及び4bと縦筋2aa,2ba,2ca,3a及び4aとの各連結は、鉄筋の交差部を結束線により緊結して連結したり産業機械によりスポット溶接したりすればよい。
【0018】
そして、既にコンクリートを打設された鉄筋コンクリート6上のそれぞれ対応する位置に各立体配筋部材2a,2b,2cを配置し、打設された鉄筋コンクリート6の上端に突出している突出縦筋6aにその縦筋2aa,2ba,2caの下端を連結する。即ち、製造すべきコンクリート製のケーソン1の四隅の角部に対応する位置にはL型の立体配筋部材2aを、外側壁1aと隔壁1bとが交差する位置にはT型の立体配筋部材2bを、隔壁1b,1b同士が交差する位置には+型の立体配筋部材2cをそれぞれクレーンで垂下させて配置し、作業者により前記突出縦筋6aと立体配筋部材2a,2b,2cの縦筋2aa,2ba,2caとを連結するのである。
このとき、隔壁に対応する位置に連結されている横筋2bbがダブル配筋ではなく同一鉛直面にのみ配されているT型の立体配筋部材2bが配設される場合には、このT型の立体配筋部材2bに隣接する+型の立体配筋部材2cとして、交差部近傍で横筋2cb同士をハンチ筋2ccで連結されて+型を成した1組の+型部材より成るものを配設する。
【0019】
次いで、打設された鉄筋コンクリート6の上端に突出している突出縦筋6aに連結された隣合うL型の立体配筋部材2aとT型の立体配筋部材2bとの間及びT型の立体配筋部材2b,2b間に、その位置に対応する強度の鉄筋密度で横筋3bを介して縦筋3aが連結されている外側壁用平面配筋部材3をクレーンで垂下させて配置してその縦筋3aと突出縦筋6aとを、またその横筋3bとL型及びT型の立体配筋部材2a,2bの横筋2ab,2bbとを連結する。更に前記突出縦筋6aに連結された隣合うT型の立体配筋部材2bと+型の立体配筋部材2cとの間及び+型の立体配筋部材2c,2c間に、その位置に対応する強度の鉄筋密度で横筋4bと縦筋4aとが格子状に連結せしめられている隔壁用平面配筋部材4をクレーンで垂下させて配置してその縦筋4aと突出縦筋6aとを、またその横筋4bとT型及び+型の立体配筋部材2b,2cの横筋2bb,2cbとを連結する。
【0020】
このとき、上記各配筋部材2a,2b,2c,3及び4の縦筋2aa,2ba,2ca,3a及び4aと突出縦筋6aとの連結位置及び隣接する立体配筋部材2a,2b,2cの横筋2ab,2bb,2cbと平面配筋部材3,4の横筋3a,4aとの連結位置は、各配筋部材2a,2b,2c,3及び4の縦筋2aa,2ba,2ca,3a及び4aと横筋2ab,2bb,2cb及び4bとがその先端がそれぞれ一直線状を成した状態に構成されている場合には各方向に一直線状を成す所謂いも状を成し、またその先端がそれぞれ一直線状を成さない状態に構成されている場合には各方向についてズレた千鳥状を成すのであるが、使用している鉄筋の直径や材質が同一の場合に前記いも状を成す場合と比較して千鳥状を成す場合の方が連結部分の強度が高いので、その先端が各方向について千鳥状を成していることが好ましい。
【0021】
また、隣合うL型の立体配筋部材2aとT型の立体配筋部材2bとの間及びT型の立体配筋部材2b,2b間に外側壁用平面配筋部材3を連結した後、少なくとも1つ以上のL型又はT型の立体配筋部材 2a 又は 2b を隔てて位置する、L型の立体配筋部材 2a とT型の立体配筋部材 2b とを連結できる長さ,L型の立体配筋部材 2a , 2a 同士を連結できる長さ,又はT型の立体配筋部材 2b , 2b 同士を連結できる長さを有する長さの長い主横筋5をそれぞれ少なくともL型又はT型の立体配筋部材2a又は2bの位置を股いで上下方向に所定の間隔を隔てて水平に配置して全周に亘って連結する。従って、この少なくとも1つ以上のL型又はT型の立体配筋部材 2a 又は 2b を隔てて位置する、L型の立体配筋部材 2a とT型の立体配筋部材 2b とを連結できる長さ,L型の立体配筋部材 2a , 2a 同士を連結できる長さ,又はT型の立体配筋部材 2b , 2b 同士を連結できる長さを有する長さの長い主横筋5は、L型の立体配筋部材2aを股いで配置されるものはL型に折曲されたものであり、それ以外の部分に配置されるものは直線状のものが使用される。この主横筋5の配置は、その位置に対応する強度の鉄筋密度で水平に配置するのであるが、例えば高い強度を要求される位置である場合には各立体配筋部材2a,2bにおける隣接する各横筋2ab,2ab及び2bb,2bb間に必ず配置せしめるか又はその配置を密にすればよく、またあまり高い強度を要求されない位置である場合には各立体配筋部材2a,2bの横筋2ab,2bbを基準にして所定の間隔で連結すればよい。
【0022】
このように各立体配筋部材2a,2b,2c及び各平面配筋部材3及び4を配設する際の、突出縦筋6aと各配筋部材2a,2b,2c,3及び4の縦筋2aa,2ba,2ca,3a及び4aとの連結や、L型及びT型の立体配筋部材2a,2bの横筋2ab,2bbと外側壁用平面配筋部材3の横筋3bとの連結や、T型及び+型の立体配筋部材2b,2cの横筋2bb,2cbと隔壁用平面配筋部材4の横筋4bとの連結や、T型及び+型の立体配筋部材2b,2cの横筋2bb,2cbと主横筋5との連結や、主横筋5,5同士の連結は、鉄筋の両端部を重ね合わせて結束線による重ね継手,一側面が開口しており連結すべき鉄筋の外径よりわずかに小さい曲率半径の2個の鉄筋装着部が隣接して形成されたばね作用を有するクリップより成る重ね継手により連結したり、連結すべき鉄筋の両端部をスリーブ内に挿入して突き合わせた後にそのスリーブに法線方向から軸心側に荷重を作用させ冷間圧着加工する圧着継手により連結したり等により行えばよい。
【0023】
【発明の効果】
このような本発明に係るコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法を実施すると、製造すべきケーソンの強度を考慮して構成箇所に対応した長さを有する鉄筋を所望の状態に配筋するための配筋状態を示す配筋図に合わせて配筋するに際し、L型,T型及び+型の各立体配筋部材2a,2b,2c及び外側壁用と隔壁用の平面配筋部材3,4を予め製作するので、前記各配筋部材2a,2b,2c,3及び4を効率良く製作することができる。このため各配筋部材2a,2b,2c,3及び4を繰返し製作することによって種々の鉄筋が複雑に配された状態を示す配筋図通りに正確に且つ短時間に各配筋部材を製作することができる。
【0024】
また前記各配筋部材2a,2b,2c,3及び4を工場で製作する場合であっても現場近傍で製作する場合であっても、既にコンクリートを打設された鉄筋コンクリート6上の一区画に配筋するに際し各配筋部材2a,2b,2c,3及び4が予め製作されているので、少ない作業者により短時間に配筋することができる。即ち、例えば縦×横×高さが約22m×30m×22mのような非常に大きなケーソンを初めとしてコンクリート製のケーソン1は通常適当な高さの区画毎に鉄筋を配筋しコンクリートを打設する作業を下方より順次繰返し行って製造されるので、前記各配筋部材2a,2b,2c,3及び4を現場近傍で製作する場合には各配筋部材2a,2b,2c,3及び4の製作は型枠間にコンクリートを打設しこのコンクリートが固化するまでの間に行うことができるので効率的に各配筋部材を製作することができ、コンクリート製のケーソン1の製造に要する期間を大幅に短縮することができる。
【0025】
そして所定の区画に鉄筋を配筋する作業は、先ず、自立性がある立体配筋部材2a,2b,2cを既にコンクリートを打設された鉄筋コンクリート6の上端に突出された突出縦筋6aに連結するので、所定の正確な位置に容易に配設することができる。次に、自立性のない平面配筋部材3及び4を既に配設されている立体配筋部材2a,2b,2c間に配設するのであり、各立体配筋部材2a,2b,2cの横筋2ab,2bb,2cbと各平面配筋部材3,4の横筋3b,4bとを重ね合わせて容易に位置決めすることができ、更にT型及び+型の立体配筋部材2b,2cの横筋2bb,2cbと隔壁用平面配筋部材4の横筋4bとがその先端を上下方向に千鳥状を成して製作されている場合には隣接して配設される一方の配筋部材の横筋の突出している先端と他方の配筋部材の横筋の引っ込んでいる先端とを重ね合わせて容易に位置決めすることができ短時間に容易に連結することができる。
また、少なくとも1つ以上のL型又はT型の立体配筋部材 2a 又は 2b を隔てて位置する、L型の立体配筋部材 2a とT型の立体配筋部材 2b とを連結できる長さ,L型の立体配筋部材 2a , 2a 同士を連結できる長さ,又はT型の立体配筋部材 2b , 2b 同士を連結できる長さを有する長さの長い主横筋5をそれぞれ少なくともL型の立体配筋部材2a又はT型の立体配筋部材2bの位置を股いで上下方向に所定の間隔を隔てて水平に配置して全周に亘って連結する際には、高い強度を要求される位置であってもあまり高い強度を要求されない位置であってもL型及びT型の立体配筋部材2a,2bの横筋2ab,2abを高さの基準とすることができ、主横筋5を配筋すべき位置の測定を行うことなく所定の位置に容易に固定することができる。
【0026】
このように配筋すべき高所において、鉄筋の位置の測定や作業者による運搬を非常に軽減することができ、更にコンクリート製のケーソン1における高い強度を要求される位置とあまり高い強度を要求されない位置とでは連結すべき配筋部材の鉄筋密度の状態が異なるのであるが、連結される位置の強度に対応する鉄筋密度の状態に各配筋部材2a,2b,2c,3及び4を予め製作しておき、更にL型及びT型の立体配筋部材2a,2bの横筋2ab,2abを高さの基準として主横筋5を連結するので、作業者は連結すべき位置の配筋部材の種類を図面上から読み取り判断してその位置に対応する鉄筋密度を有する各配筋部材2a,2b,2c,3及び4を配置して連結すると共に主横筋5を連結するだけでよく、複雑な配筋図から鉄筋1本1本の配筋を読み解くことを要することなく、従って比較的簡単な鉄筋を連結する作業のみでよくしかも熟練工でなくても短時間で行うことができ、鉄筋の運搬数や連結数を著しく低減できることによって配筋作業の危険性が非常に減少する本発明に係るコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法は、海洋土木に寄与するところの非常に大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製造すべきコンクリート製のケーソンの1例を示す斜視図である。
【図2】 本発明法に使用する予め製作されたL型の立体配筋部材を示す斜視図である。
【図3】 本発明法に使用する予め製作されたT型の立体配筋部材を示す斜視図である。
【図4】 本発明法に使用する予め製作された+型の立体配筋部材を示す斜視図である。
【図5】 本発明法に使用する予め製作された平面配筋部材をそれぞれ示すものであって、(イ)は外側壁用平面配筋部材を、(ロ)は隔壁用平面配筋部材を示す斜視図である。
【図6】 本発明法を実施して図1に示すコンクリート製のケーソンを製造するために先ず各立体配筋部材を所定の位置に固定した状態を示す平面説明図である。
【図7】 図6の状態から各立体配筋部材間に所定の平面配筋部材を連結した状態を示す平面説明図である。
【図8】 図7における外側壁位置における配筋状態を示す側面説明図である。
【図9】 図7におけるA−A線断面説明図である。
【図10】 図7の状態から主横筋を固定して配筋作業が完了した状態を示す側面説明図である。
【符号の説明】
1 コンクリート製のケーソン
1a 外側壁
1b 隔壁
2a L型の立体配筋部材
2aa 縦筋
2ab 横筋
2ac ハンチ筋
2b T型の立体配筋部材
2ba 縦筋
2bb 横筋
2bc ハンチ筋
2c +型の立体配筋部材
2ca 縦筋
2cb 横筋
2cc ハンチ筋
3 外側壁用平面配筋部材
3a 縦筋
3b 横筋
4 隔壁用平面配筋部材
4a 縦筋
4b 横筋
5 主横筋
6 鉄筋コンクリート
6a 突出縦筋
Claims (4)
- 少なくとも外側壁(1a)及びこの外側壁(1a)で囲まれた空間内に平面で見て格子状の隔壁(1b)を形成されて成るコンクリート製のケーソン(1)を所定の高さの区画毎に鉄筋を配筋しコンクリートを打設する作業を上方に順次繰返し行って製造する際の一区画における配筋法であって、縦筋(2aa,2ba,2ca)と横筋(2ab,2bb,2cb)とを格子状に連結してそれぞれL型,T型及び+型に形成せしめた立体配筋部材(2a,2b,2c)を予め製作し、製造すべきケーソン(1)の四隅の角部に対応する位置に前記L型の立体配筋部材(2a)を、外側壁(1a)と隔壁(1b)とが交差する位置に前記T型の立体配筋部材(2b)を、隔壁(1b,1b)同士が交差する位置に前記+型の立体配筋部材(2c)を、既にコンクリートを打設された鉄筋コンクリート(6)上に配置して該鉄筋コンクリート(6)の上端に突出されている突出縦筋(6a)にその縦筋(2aa,2ba,2ca)の下端をそれぞれ連結し、横筋(3b)を介して所定の間隔を隔てて複数の縦筋(3a)を予め連結した主として縦筋(3a)より成る外側壁用平面配筋部材(3)を前記突出縦筋(6a)に連結された隣合うL型の立体配筋部材(2a)とT型の立体配筋部材(2b)との間及びT型の立体配筋部材(2b,2b)間に配置すると共に、縦筋(4a)と横筋(4b)とを格子状に予め連結した隔壁用平面配筋部材(4)を前記突出縦筋(6a)に連結された隣合うT型の立体配筋部材(2b)と+型の立体配筋部材(2c)との間及び+型の立体配筋部材(2c,2c)間に配置して、その縦筋(3a,4a)と突出縦筋(6a)とをまたその横筋(3b,4b)と立体配筋部材(2a,2b,2c)の横筋(2ab,2bb,2cb)とを連結し、しかる後に少なくとも1つ以上のL型又はT型の立体配筋部材 (2a 又は 2b) を隔てて位置する、L型の立体配筋部材 (2a) とT型の立体配筋部材 (2b) とを連結できる長さ,L型の立体配筋部材 (2a , 2a) 同士を連結できる長さ,又はT型の立体配筋部材 (2b , 2b) 同士を連結できる長さを有する長さの長い各主横筋(5)をそれぞれ少なくともL型又はT型の立体配筋部材(2a又は2b)の位置を股いで上下方向に所定の間隔を隔てて水平に配置して全周に亘って連結することを特徴とするコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法。
- L型,T型及び+型の各立体配筋部材(2a,2b,2c)として、隣合う縦筋(2aa,2ba,2ca)がその先端を上下方向にズレた状態に配された縦筋(2aa,2ba,2ca)に隣合う横筋(2ab,2bb,2cb)がその先端を水平方向にズレた状態に配されて連結された立体配筋部材を使用する請求項1に記載のコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法。
- 外側壁用平面配筋部材(3)として、隣合う縦筋(3a)がその先端を上下方向にズレた状態に配されて連結された平面配筋部材を使用する請求項1又は2に記載のコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法。
- 隔壁用平面配筋部材(4)として、隣合う縦筋(4a)がその先端を上下方向にズレた状態に配された縦筋(4a)に隣合う横筋(4b)がその先端を水平方向にズレた状態に配されて連結された平面配筋部材を使用する請求項1から3までのいずれか1項に記載のコンクリート製のケーソン製造における一区画の配筋法。
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