JP3854444B2 - インモールド塗装用艶消し塗膜組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成型品基体樹脂注入成型金型に予め塗装することにより、成型品に塗膜を転写するインモールド艶消し塗膜組成物において、成型品離型性及び耐磨耗性に優れた、高級な艶消し感とソフトな感触を有する塗膜が得られるインモールド艶消し塗膜組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車のステアリングホイール等の内装品は、複雑な形状に一体的に成形されていなければならないだけでなく、ビロード調等の艶消し感、柔らかでしっとりとした手触り感触等の高級感が要求される。このような高級な意匠感を付与するため、従来から、艶消し微粉末を添加した塗膜組成物を用いて、成型品基体樹脂注入成型金型に予め塗装を施し、これにポリウレタン樹脂等の樹脂を注入することで成形品の表面に塗膜を転写するインモールド塗装が行われている。
【0003】
従来、艶消し微粉末剤としては、シリカ、珪素土、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アクリル樹脂等の微粉末、特にシリカ系が多用されており、このような微粉末を、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のバインダー樹脂に分散して用いていた。
【0004】
しかし、これらの微粉末はバインダー樹脂と一体となり得る官能基を持たず、機械的な結合状態で保持されているに過ぎないため、高級感や柔らかな触感に乏しい。また、塗装面の摩擦摩耗により、艶消し微粉末剤が脱落し、光沢が増す等の欠点を有している。また、成形品に塗膜を転写するため、金型からの離型時に塗料の一部や艶消し微粉末剤が残留する不良品も多く、歩留まりが悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、高級な艶消し感及び柔らかでしっとりとした触感を有するとともに、艶消し微粉末剤が脱落せず、艶消し表面を長期間保持でき、かつ、成型金型表面に塗膜の一部を残留させること無く、均一に塗膜を転写することのできるインモールド塗装用艶消し塗膜組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【発明を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、鋭意研究の結果、本発明者らは、艶消し微粉末として水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末を用いるとともに、バインダー樹脂としてウレタン硬化するポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の混合物を用いることにより、優れた艶消し感及び触感を有するとともに、長期間にわたって艶消し状態を保持でき、かつ、成型品離型性の良好なインモールド塗装用艶消し塗膜組成物が得られることを見出し、本発明に想到した。
【0007】
すなわち、本発明のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物は、
(A)ウレタン硬化する(a-1)水酸基含有ポリエステル樹脂及び(a-2)水酸基含有ポリウレタン樹脂からなるバインダー樹脂と、
(B)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末
を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の塗膜組成物は、その使用に先立って、硬化剤としてポリイソシアネート化合物を添加する。ポリウレタン樹脂微粉末の水酸基が、イソシアネート基と反応して、バインダー樹脂とともに強固で一体的な塗膜となり得るため、本発明により得られる塗膜は長期に渡り、経時変化のないものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[I]インモールド塗装用艶消し塗膜組成物
以下、本発明のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0010】
(A)バインダー樹脂
本発明の塗膜組成物においては、バインダー樹脂として、(a-1)水酸基含有ポリエステル樹脂及び(a-2)水酸基含有ポリウレタン樹脂を用いる。本発明に用いるポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂は、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有するため、硬化剤たるポリイソシアネート化合物と反応してウレタン硬化する。上記2種類の樹脂を混合して使用することにより、成型金型表面に塗膜の一部が残留することなく、柔軟かつ擦傷性に強い強靭な塗膜が形成できる。
【0011】
(a-1)水酸基含有ポリエステル樹脂
本発明に用いる水酸基含有ポリエステル樹脂は、数平均分子量10,000〜40,000であることが好ましく、15,000〜30,000であることがより好ましい。分子量10,000以下である場合、油脂汚染性に乏しく、形成された塗膜は脆くなるおそれがあり、分子量40,000以上である場合、可とう性が低下するので好ましくない。
【0012】
また水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は、1〜30であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい(樹脂固形分換算)。水酸基価が1未満である場合、耐薬品性に乏しくなり、水酸基価が30を超える場合、耐水性に乏しくなるので好ましくない。
【0013】
このようなポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸又はその無水物とを重縮合(エステル化)することにより得られる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチル-3- ヒドロキシプロピル-2,2- ジメチル-3- ヒドロキシプロピオネート、2,2,4-トリメチル-1,3- ペンタンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、アニソール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、これらの多量体(2量体、8量体等)等が挙げられ、これらの多価アルコールを2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリトット酸、無水トリメリトット酸、ピロメリトット酸、無水ピロメリトット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸等が挙げられ、これらを2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
(a-2)水酸基含有ポリウレタン樹脂
水酸基含有ポリウレタン樹脂は、数平均分子量5,000〜60,000であることが好ましく、数平均分子量10,000〜50,000であることがより好ましい。分子量5,000以下である場合、塗膜が脆くなり、分子量60,000以上である場合、可とう性が低下するので好ましくない。
【0016】
また、水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、70〜180であることが好ましく、水酸基価100〜150であることがより好ましい(樹脂固形分換算)。水酸基価70以下である場合、耐薬品性が乏しくなり、水酸基価180以上である場合、耐水性が乏しくなるので好ましくない。
【0017】
このような水酸基含有ポリウレタン樹脂はポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物として得られる。ここに、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0018】
ポリエステルポリオールは、上述の(a-1)で示した多価アルコールの中の1種又は複数種と、多塩基酸又はその無水物の中の1種又は複数種との反応生成物として得られる。
【0019】
ポリエーテルポリオールは、上述の(a-1)で示した多価アルコールの中の1種又は複数種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合させることによって得られる生成物である。
【0020】
また、ポリカーボネートポリオールは、上述の(a-1)で示した多価アルコールの中の1種又は複数種とエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のカーボネート基を有する化合物との反応生成物として得られる。
【0021】
一方、ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、 4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ダイマー酸ジイソシアネート等の有機ジイソシアネート、及びこれらの化合物と多価アルコールとの反応生成物が挙げられる。
【0022】
ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてポリウレタン樹脂を生成させる方法としては、公知の方法を使用することが可能であり、使用される上記反応体の種類、所望の重合度等を考慮して適宜選択される。ポリオールとポリイソシアネートとを反応させるに際して、ポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールの中の1種又は2種以上を使用することが可能である。この反応においては、生成されるポリウレタン樹脂の重合度を高めるために鎖延長剤を使用することが可能である。この鎖延長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子量ジアミンが挙げられる。また、アミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン、エチルアミン、ブチルアミン等のモノアミン、又はエチレングリコール等の上記低分子量のジオールをこれら低分子量ジアミンと併用することも可能である。さらに、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる際に使用される触媒としては、通常のウレタン化反応用の触媒が使用可能であり、例として、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、鉄アセチルアセトナート、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0023】
好ましくは、上記ポリウレタン樹脂をアクリル変性して用いることが好ましい。アクリル変性することにより、ポリウレタン樹脂により多量の水酸基を導入できるため、塗膜組成物をウレタン硬化しやすくなるよう設計できる。また、溶剤に対する溶解性を高め、防眩性と共に擦傷性に対し強い塗膜形成をすることができる。
【0024】
アクリル変性には、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N-メチロールアクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル等を使用するのが好ましい。
【0025】
(a-3)その他
塗膜の物性を著しく阻害しない範囲であれば、(a-1)及び(a-2)以外の他のバインダー樹脂を併用しても良い。この場合、他のバインダー樹脂の混合割合は、バインダー樹脂全体に対して、50%(重量比)以下とする。
【0026】
(B)ポリウレタン樹脂微粉末
本発明において、ポリウレタン樹脂微粉末は艶消し剤としての役割を有する。水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末は、水酸基価100以上250以下であることが好ましい。当該水酸基が、硬化剤であるポリイソシアネート化合物とウレタン結合するので、ポリウレタン樹脂微粉末はバインダー樹脂とともに強固な一体塗膜となるため艶消し微粉末剤が脱落しにくくなり、長期に渡って良好な艶消し状態が維持される。
【0027】
ポリウレタン樹脂微粉末の水酸基価が100以下である場合、官能基による結合力が小さく、耐摩擦摩耗性が低下するので好ましくない。また、水酸基価が250以上である場合、樹脂の粘着性が高くなり、感触に違和感を生じるので好ましくない。より好ましくは水酸基価150〜200である。
【0028】
また、ポリウレタン樹脂微粉末は、ガラス転移点(Tg)が0〜30℃であることが好ましい。Tgが0℃以下だと耐磨耗性が低下し、30℃以上だと、硬い触感の塗膜となるので好ましくない。
【0029】
ポリウレタン樹脂微粉末は、平均粒子径が10〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましい。平均粒子径が10μm以下だと、十分な艶消し感が得られず、平均粒子径が100μm以上だと、塗膜の平滑性が低下するので好ましくない。
【0030】
次に、このようなポリウレタン微粉末の製造方法につき説明する。まず、脂肪族二塩基酸の少なくとも一種と、脂肪族二価アルコールの少なくとも一種とを反応させ、分子量500〜3000程度のポリエステルポリオールとなす。脂肪族二塩基酸としては、マロン酸,コハク酸,グルタール酸,アジピン酸,ピメリン酸,コルク酸,アゼライン酸,セバシン酸等が挙げられる。また脂肪族二価アルコールとしては、エチレングリコール,ジエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0031】
次いで、上記ポリエステルポリオールを更に、上述した脂肪族二価アルコールの少なくとも一種と、ジイソシアネート化合物の少なくとも一種とを用いて鎖延長反応させることにより、分子量4,000〜40,000程度のポリエステルウレタン樹脂を合成する。ジイソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
次に、攪拌機,還流冷却器及び滴下ロートを有する三つ首フラスコを使用し、攪拌しながら上記ポリエステルウレタン樹脂と分散助剤とを、分散媒と共に約70〜90℃に加熱することにより、ポリエステルウレタン樹脂を分散させると共に分散助剤を溶解する。さらに、ポリイソシアネート、反応触媒及び硬化促進剤とを加え、70〜90℃に保持しながら1〜4時間反応させる。これにより10〜100μmの粒子径を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末の懸濁液が得られる。
【0033】
この際、使用できるポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ポリイソシアネート、及び水添ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
[II]インモールド塗装用艶消し塗膜組成物の調製方法
上記のようにしてそれぞれ調製された(A)バインダー樹脂と(B)のポリウレタン樹脂微粉末とを、(A)+(B)100部(固形分重量)に対して、(B)が好ましくは20〜70部、より好ましくは30〜70部、特に好ましくは40〜60部の割合で混合する。この混合比率も塗膜の性状に与える影響が大きく、(B)の割合が20部未満だと、十分な艶消し表面が形成できない恐れがある。
【0035】
また、(a-1)の水酸基含有ポリエステル樹脂と、[(a-2)+(B)]の水酸基含有ポリウレタン樹脂との混合比は、重量比で20:80〜50:50であることが好ましい。ポリエステル樹脂が20%以下の場合、素材への付着性が劣る上、形成された塗膜の柔軟性が乏しくなり、プラスチック成型板のような堅いイメージの塗膜となる。一方、50%以上の場合は塗膜が柔らかくなり、塗膜強度が低下する。
【0036】
なお、この塗料組成物には、必要に応じて、体質顔料、着色顔料、レベリング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0037】
このようにして構成成分を溶剤に溶解して、インモールド塗装用艶消し塗膜組成物とする。使用可能な溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤等の通常の塗料用の有機溶剤が挙げられる。
【0038】
[III]インモールド塗装用艶消し塗膜組成物の使用方法
本発明のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物は、その使用に先立って、硬化剤としてポリイソシアネート化合物を添加する。
【0039】
イソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用できる。
【0040】
本発明のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物は所定の塗装方法によって塗膜厚さが10〜100μm、好ましくは、30〜70μmとなるよう成形型に対して塗布される。塗装方法としては通常使用されている方法を選択できるが、望ましい方法は、エアースプレー方式、エアレススプレー方式、フローコーター方式等である。塗膜組成物が乾燥したら、ポリウレタン樹脂を注入し、約120℃で硬化することにより、成型品表面に高級感のある塗膜が一体的に形成される。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
実施例1〜8
(I)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末の作製
まず、ポリエステルポリオール(「デスモーフェン1700」、日本ポリウレタン工業(株)製)200gとエチレングリコール32gを、キシレン1100gに溶解し、80℃で2時間加熱した。
【0043】
次いで、コロネードHL(ヘキサメチレンジイソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製)20gを用いて鎖延長反応させポリエステルポリウレタン樹脂を得た。
【0044】
次に、攪拌機,還流冷却器及び滴下ロートを有する三つ首フラスコを使用し、攪拌しながら上記ポリエステルウレタン樹脂130.5gと、分散助剤の油変性アルキッド樹脂(ヤシ油変性,油長40%)(フタルキッド133−60〔日立化成工業(株)〕製)10.5gとを、分散媒のキシレン743.0gと共に約85℃に加熱する。これにより、ポリエステルウレタン樹脂を分散させると共に油変性アルキッド樹脂を溶解した。
【0045】
次に、イソシアネートとしてコロネードHL(ヘキサメチレンジイソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製)68.5g,反応触媒としてナフテン酸亜鉛3.5g(金属含有量6%)及び硬化促進剤としてジブチル錫ジラウリレートの1%のキシレン溶液12.Ogを加え、85℃にて2時間反応させた。
【0046】
その後、反応停止剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル35.0gを加え、85℃にて1時間維持し、未反応のイソシアネートを除去して、20〜70μmの粒子径を有するポリウレタンビーズの懸濁液450gを得た。
【0047】
上記懸濁液を濾過することにより、水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末を得た。得られたポリウレタン樹脂微粉末の水酸基価は、180であった。
【0048】
(II)インモールド塗装用艶消し塗膜組成物の調製
A:バインダー樹脂
(a-1)水酸基含有ポリエステル樹脂(「デスモーフェン670」、日本ポリウレタン工業(株)製)
(a-2)アクリル変性ポリウレタン樹脂(商品名「ポリウレタン6600」、荒川化学工業(株)製)
【0049】
B:艶消し剤
(I)で作製した水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末
【0050】
C:硬化剤
ヘキサメチレンジイソシアネートの多量体(商品名「デュラネートE-402-90T」、旭化成工業(株)製)
【0051】
表1に示す組成に従い、Aバインダー樹脂、B艶消し剤を、60重量部のキシレンに混合分散して、塗料組成物を作製し、塗布直前にC硬化剤を混合した。
【0052】
【表1】
【0053】
(III)インモールド塗装
上記艶消し塗料を塗膜厚さが約30〜70μmとなるよう成形型に塗装し、その後60℃にて1分間乾燥した後、ポリウレタン樹脂を注入し110〜120℃の型温度に約2分間保持した。十分に冷却後、脱型したところ、実施例1〜8のすべてについて、成型金型表面に塗膜の一部を残留させること無く、均一に塗膜を転写することができた。また、得られた塗膜は、スエード調で表面光沢値(60°グロス値)が0.5〜3.0であった。
【0054】
(IV)性能評価
(耐摩耗性)
30×220mmの試験片を採取し,学振型摩擦試験機型の試験機(JISL0849)に取り付けて乾布及び汗布の各条件の白綿布を摩擦子に被せ、摩擦子荷重を2N(200gf)で試験片上の100mm間を毎分30回往復の速度で5000回摩擦した。結果を表2に表示する。
【0055】
【表2】
【0056】
(耐薬品性)
表3の薬品を約O.4g/100cm2程度の塗布量となるように塗り延ばし、常温で48時間放置した後、80℃の雰囲気下に48時間加熱した。その後、室温に戻した時の外観を評価した。結果を表3に表示する。
【0057】
【表3】
【0058】
(耐薬品摩耗性)
幅約30mm、長さ200mmの試験片をとり、HSL0849に規定される摩擦試験機II型の試験台に取り付け、表4の薬品に浸積した白綿布(カナキン3号)を摩耗子の接触面にかぶせて固定し、摩耗子の荷重を2N(200gf)として試験片上100mmの間を毎分30回往復する速さで往復摩擦し、白綿布汚染及び材料の摩耗の程度を外観目視判定した。結果を表4に表示する。
【0059】
【表4】
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物は、成型金型表面に塗膜の一部を残留させること無く、均一に塗膜を転写することができる。得られる塗膜は、高級な艶消し感と柔らかでしっとりとした触感を有するとともに、当該艶消し状態を長期間保持できるため、自動車内装品等のインモールド塗装に好適に使用することができる。
Claims (6)
- (A)(a-1)水酸基含有ポリエステル樹脂及び(a-2)水酸基含有ポリウレタン樹脂からなるバインダー樹脂と、(B)水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末と、(C)ポリイソシアネート化合物とを含有することを特徴とするインモールド塗装用艶消し塗膜組成物。
- 請求項1に記載のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物において、前記(a-1)の水酸基含有ポリエステル樹脂は、数平均分子量10,000〜40,000、水酸基価1〜30であり、前記(a-2)の水酸基含有ポリウレタン樹脂は、数平均分子量5,000〜60,000、水酸基価70〜180であり、重量比で(a-1):[(a-2)+(B)]=20:80〜50:50であることを特徴とするインモールド塗装用艶消し塗膜組成物。
- 請求項1または2に記載のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物において、前記(a-2)の水酸基含有ポリウレタン樹脂は、アクリル変性ポリウレタン樹脂であることを特徴とするインモールド塗装用艶消し塗膜組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物において、前記(B)の水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末が、水酸基価100以上250以下であることを特徴とするインモールド塗装用艶消し塗膜組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物において、前記(B)の水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末は、平均粒径20〜70μmであることを特徴とするインモールド塗装用艶消し塗膜組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のインモールド塗装用艶消し塗膜組成物において、前記(B)の水酸基含有ポリウレタン樹脂微粉末を20〜70部(ただし、(A)+(B)を100部とする)含有することを特徴とするインモールド塗装用艶消し塗膜組成物。
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