JP3854091B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、乾式電子写真機器における定着装置であって、ジュール熱により加熱部材自体を発熱させるようにした誘導加熱装置を備えた定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱装置として、例えば、複写機等の乾式電子写真方式の画像形成装置において用紙に転写されたトナー像を溶融定着させるべく、一対の加熱ローラ及び加圧ローラによって構成された定着装置では、従来より、加熱ローラ内にハロゲンランプを配置し、このハロゲンランプによって加熱ローラの温度をトナーが溶融する所定温度まで上昇させるようにしている。
【0003】
ところが、ハロゲンランプにより加熱ローラの温度を上昇させる方法では、電気エネルギを一旦光エネルギに変換するために熱効率が悪く、加熱ローラの温度上昇の立ち上がりが遅くなり、加熱ローラを所定温度まで上昇させるために長時間を必要とする問題がある。また、消費電力が大きく、ランニングコストが高騰する問題がある。
【0004】
そこで、近年、加熱ローラに導電層を形成し、磁界発生手段からの交番磁界を加熱ローラに与えることで、加熱ローラに発生する渦電流によるジュール熱を用いて加熱ローラ自体を発熱させるようにした誘導加熱方式の定着装置が提案されている。
【0005】
例えば、特開平9−305045号公報には、誘導加熱方式の定着装置において、温度センサを励磁コアで形成された無磁場空間に配置するようにした構成が開示されている。この構成により、クイックスタート性を具備し、省エネルギ型で、温度制御性、均一加熱性に優れた加熱装置が得られるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−305045号公報に開示された構成では、励磁コアと加熱部材との間に空間が存在するため、この空間部分で発生した漏れ磁束が無磁場空間内に配置された温度センサに大きな影響を与え、検出温度にノイズによる誤差を生じる問題がある。即ち、誘導加熱装置は、加熱部材の導電層に磁界発生手段で発生した交番磁界が鎖交することで導電層に生じた渦電流により、導電層自体の電気抵抗値に応じたジュール熱で温度を上昇させるものであり、磁界発生手段が加熱部材に接触することなく配置されており、磁界発生手段と加熱部材との間の空間部分で漏れ磁束が発生し易く、この漏れ磁束の影響によって温度検知素子が誤検出する。一方、漏れ磁束の影響を受けない位置に温度センサを配置しようとすると、温度センサを配置するための十分なスペースが必要になって装置の大型化を招くとともに、加熱部材の温度を正確に検出することができなくなる。
【0007】
特開平9−305045号公報に開示された構成では励磁コア及び温度センサを加熱部材の内側に配置しているが、励磁コア及び温度センサを加熱部材の外側に配置した構成においても上記の問題を同様に生じる。
【0008】
この発明の目的は、温度センサに対する励磁コアの漏れ磁束の影響を遮蔽することにより、装置の大型化や温度の検出不良を招来することなく、温度センサの誤検出を確実に防止することができる定着装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0010】
(1)加圧ローラとの間に挟持した用紙を加熱して用紙上にトナー像を定着させる加熱ローラであって外周面に導電層を形成した加熱ローラと、中央に空隙部を設けて巻回した誘導コイルであって加熱ローラの外周面との間に空間を設けて配置された誘導コイルと、誘導コイルの空隙部に加熱ローラの外周面に対向して配置された温度検知素子と、温度検知素子の検出温度に基づいて誘導コイルを励磁する励磁手段と、を備えた定着装置において、
温度検知素子と加熱ローラの周面との間に配置され、加熱ローラの周面に対する対向面積が温度検知素子の対向面積よりも広い第1の磁界遮蔽部材と、
加熱ローラの周面方向における温度検知素子と誘導コイルとの間に配置され、加熱ローラの周面及び誘導コイルのそれぞれに対する対向面を折曲部を挟んで形成した板状体である第2の磁界遮蔽部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成においては、誘導コイルが発生した交番磁界によって温度上昇する加熱ローラの周面に対向して配置された温度検知素子の周囲に、磁界遮蔽部材が配置される。したがって、温度検知素子は、磁界遮蔽部材によって誘導コイル加熱ローラとの間の空間において発生した漏れ磁束から遮蔽され、漏れ磁束の影響による誤検出を生じることがない。
【0013】
また、温度検知素子と加熱ローラの周面との間に、加熱ローラの周面に対する対向面積が温度検知素子よりも広い磁界遮蔽部材が配置される。したがって、温度検知素子は、加熱ローラの周面に直接対向することがなく、誘導コイル加熱ローラとの間の空間において発生した漏れ磁束の影響を受けることがない。
【0015】
さらに、加熱ローラの周面方向における温度検知素子と誘導コイルとの間に、加熱ローラの周面及び誘導コイルのそれぞれに対する対向面を形成した磁界遮蔽部材が位置する。したがって、温度検知素子を加熱ローラにおける発熱量が最大となる誘導コイルに近接した位置に配置した場合にも、加熱ローラの周面と誘導コイルとの間の空間から温度検知素子に向かう漏れ磁束が、磁界遮蔽部材によって確実に吸収され、温度検知素子に影響を与えることがない。
【0017】
加えて、誘導コイルの空隙部に温度検知素子が配置される。したがって、温度検知素子は、加熱ローラにおける発熱量が最大となる誘導コイルに近接した位置で、かつ、誘導コイルと共用されるスペースに配置され、温度検知素子の配置スペースによって装置が大型化することがない。
【0018】
前記励磁手段が、電源部から温度検知素子を経由して電圧検出部に至る回路中において、少なくとも温度検知素子と電圧検出部との間にLCフィルタを配置したことを特徴とする。
【0019】
この構成においては、電源部から温度検知素子を経由して電圧検出部に至る回路中における少なくとも温度検知素子と電圧検出部との間にLCフィルタが配置される。したがって、磁界発生手段と加熱部材の周面との間の空間に発生した漏れ磁束によって温度検知素子の出力信号に生じたノイズ成分が、電圧検出部に入力される前にLCフィルタによって出力信号から除去され、温度検知素子が磁界発生手段に近接して配置された場合でも、電圧検出部は温度検知素子の出力信号に基づいて加熱部材の温度を正確に検出する。
【0020】
【発明の実施の形態】
1は、この発明の実施形態に係る定着装置が適用される画像形成装置のプロセス部の構成を示す概略図である。プロセス部10は、駆動ローラ31及び従動ローラ32に張架された無端状の転写搬送ベルト33の上面に、4個の画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Bを転写搬送ベルト33の上面の移動方向にこの順に並べて配置している。転写搬送ベルト33は、用紙トレイ20から給紙された用紙Pを上面に載置した状態で画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Bに順次対向させつつ、定着装置40に搬送する。
【0021】
画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Bは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)の各色の画像データに基づいて、乾式電子写真法による画像形成を行う。このため、画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Bは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)の各色のトナーを収納している点を除いて、同一の構成を有する。一例として、画像形成ステーション10Yは、感光体ドラム11の周囲に、帯電器12、露光ユニット13、現像ユニット14、転写器15及びクリーナ16を、感光体ドラム11の回転方向にこの順に配置して構成されている。
【0022】
画像形成ステーション10Yにおいて、矢印方向に回転する感光体ドラム11の周面は、帯電器12によって単一極性の電荷が均一に付与された後、露光ユニット13によってイエロー(Y)の画像データに基づく画像光の照射を受ける。これによって、感光体ドラム11の周面には静電潜像が形成され、この静電潜像が現像ユニット14から供給されるイエロー(Y)のトナーによってトナー像に顕像化される。このトナー像は、転写搬送ベルト33を挟んで感光体ドラム11の周面に対向する転写器15によって用紙Pの上面に転写される。
【0023】
画像形成ステーション10M,10C,10Bにおいても、画像形成ステーション10Yと同様にして、転写搬送ベルト33の回転によって移動する用紙Pの移動速度に合わせたタイミングで、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)の各色のトナー像が形成される。これによって、用紙Pが画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Bに順に対向して搬送される間に、用紙Pの上面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)の各色のトナー像が順に転写される。4色のトナー像が転写された用紙Pは、定着装置40において加熱及び加圧され、トナー像が溶融して用紙Pの上面に定着する。これによって、用紙Pの上面には、各色のトナー像の減色混合により、フルカラーの画像が形成される。
【0024】
なお、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)のうちの一部の色のみの画像を形成する場合には、画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Bのうち、対応するトナーを収納した画像形成ステーションにおいてのみ画像形成プロセスが実行される。例えば、モノクロ画像を形成する場合には、ブラックのトナーを収納した画像形成ステーション10Bのみにおいて画像形成プロセスが実行され、その他の画像形成ステーション10Y,10M,10Cでは画像形成プロセスは実行されない。
【0025】
図2は、上記画像形成装置のプロセス部における定着装置の構成を示す図である。定着装置40は、加熱ローラ1及び加圧ローラ2からなる上下一対のローラによって構成されている。加熱ローラ1は、この発明の加熱部材である内側の導電層1aと外側の離形層1bとの2層構造の中空円筒形状を呈している。加圧ローラ2は、芯金2aの外周部にゴム等の弾性層2bを備えた弾性ローラであり、所定の押圧力で加熱ローラの周面に圧接している。
【0026】
加熱ローラ1の周面の一部には、この発明の磁界発生手段である誘導コイル3が対向している。誘導コイル3には、この発明の励磁手段である励磁回路5から電源が印加される。励磁回路5は、加熱ローラ1の周面に近接して配置されているこの発明の温度検知素子を含む温度センサ4の検出温度に基づいて誘導コイル3を励磁する。励磁されることによって誘導コイル3は交番磁界を発生し、この交番磁界によって加熱ローラ1の導電層1aには渦電流が発生する。導電層1a内を渦電流が流れる際に、導電層1aはその抵抗値に応じたジュール熱によって加熱される。
【0027】
このように構成された定着装置40において、転写工程を終了して表面にトナー像Tが転写された用紙Pは、加熱ローラ1と加圧ローラ2との間を通過し、加熱及び加圧を受ける。このとき、トナー像Tは、加熱ローラ1からの加熱によって溶融するとともに、加圧ローラ2の押圧力によって用紙Pの表面に押圧され、用紙Pの表面に堅牢に定着する。
【0028】
図3(A)〜(C)は、上記定着装置の平面図、側面図及び正面図である。また、図4は、誘導コイルの外観図である。加熱ローラ1及び加圧ローラ2を上下に配置した定着装置40において、加熱ローラ1の周面における上側部分に対向して誘導コイル3が配置されている。誘導コイル3は、図4に示すように、一本の導電線を加熱ローラ1の軸方向に平行な直線部3a及び3bと加熱ローラ1の周方向に沿った円弧部3c及び3dとにわたって空隙部3eを形成して巻回して構成されている。この空隙部3e内に加熱ローラ1の周面における上側の一部が露出する状態で、かつ、加熱ローラ1の周面との間に所定の空間D(図2参照)を配置して誘電コイル3が配置されている。
【0029】
図5は、上記定着装置における温度センサの配置状態を示す図である。加熱ローラ1の温度を検出する温度センサ4は、加熱ローラ1の周面における上側の一部において、誘導コイル3の空隙部3eに露出する部分に対向して配置されている。前述のとおり、加熱ローラ1は、誘電コイル3において発生した交番磁界によって導電層1aにおける渦電流によるジュール熱により発熱する。
【0030】
したがって、加熱ローラ1の周方向の各部(図3(B)の側面図に現れる。)において、誘電コイル3に最も近接している部分が、誘電コイル3の励磁状態に応じて最も早く温度変化を生じる。このため、温度センサ4を加熱ローラ1において誘電コイル3に最も近接している位置に近接して配置することにより、加熱ローラ1の温度変化を素早く検出することができる。また、加熱ローラ1の周面において誘導コイル3に対向する範囲に温度センサ4を配置したことにより、加熱ローラ1の周面の他の部分に対向させて温度センサ4を配置する場合に比較して、スペースを有効に活用することができ、定着装置40を小型化できる。
【0031】
図6は、上記温度センサの構成を示す図である。温度センサ4は、ホルダ4a、支持板4b、断熱弾性部材4c、温度検知素子4d、磁界遮蔽部材4e及びシート4fを備えている。ホルダ4aは、図示しない画像形成装置のフレームに固定されており、支持板4bの一端を保持する。支持板4bは、例えば、厚さ0.1mm程度のステンレス板であり、他端の下面には断熱弾性部材4cが貼付されている。この断熱弾性部材4cの下面に、温度検知素子4dが固定されている。
【0032】
温度検知素子4dは、図示しないリード線を介して励磁回路5に接続されている。磁界遮蔽部材4e及びシート4fは、温度検知素子4dと加熱ローラ1の周面との間に配置される。磁界遮蔽部材4eは、一例として、厚さ40μm程度の板状体である。加熱ローラ1の周面に対する磁界遮蔽部材4eの対向面積は、温度検知素子4dの対向面積に比較して十分に広くされている。シート4fは、支持板4bの他端側の下面において、断熱弾性部材4c、温度検知素子4d及び磁界遮蔽部材4eを被覆し、少なくとも外側面は摩擦係数が極めて小さい素材によって形成されている。
【0033】
以上の構成により、温度センサ4においては、支持板4bの他端側の下面部分が、支持板4bの弾性力によって所定の押圧力で加熱ローラ1の周面に当接している。このとき、加熱ローラ1の周面と温度検知素子4dとの間には、加熱ローラ1の周面に対する対向面積が温度検知素子4dに比較して十分に広くされた磁界遮蔽部材4eが位置している。このため、温度検知素子4dは加熱ローラ1の周面に直接対向することがなく、誘導コイル3と加熱ローラ1の周面との間の空間Dにおいて生じた漏れ磁束は磁界遮蔽部材4eによって確実に吸収され、漏れ磁束の影響によって温度検知素子4dの出力信号にノイズを発生することがなく、励磁回路5によって加熱ローラ1の温度を正確に検出することができる。
【0034】
なお、実験の結果、磁界遮蔽部材4eの素材として、銅を用いた場合には温度センサ4の出力信号に対する漏れ磁束の影響を効果的に排除することができなかったが、鉄を用いた場合には効果的に排除することができた。
【0035】
図7は、この発明の別の実施形態に係る定着装置の要部の構成を示す図である。この実施形態に係る定着装置40では、温度センサ4が配置された誘導コイル3の空隙部3eにおいて、誘導コイル3と温度センサ4との間に略L字型に屈曲された磁界遮蔽部材6を設置している。磁界遮蔽部材6は、加熱ローラ1の軸方向における空隙部3eの略全域に匹敵する長さの板状体を、誘導コイル3に対向する第1の対向面6aと加熱ローラ1の周面に対向する第2の対向面6bとが折曲部を挟む略L字型断面形状に形成したものである。
【0036】
この構成により、漏れ磁束を生じる誘導コイル3と加熱ローラ1の周面との間の空間Dと温度センサ4との間に磁界遮蔽部材6が位置し、空間Dで発生した漏れ磁束は温度センサ4に影響を与えることなく磁界遮蔽部材6に吸収される。これによって、温度センサ4を誘導コイル3の空隙部3e内に配置しても、温度センサ4の出力信号に漏れ磁束の影響によるノイズを生じることがなく、加熱ローラ1の温度を正確に検出することができる。
【0037】
図8は、この発明の更に別の実施形態に係る定着装置の構成を示す図である。この実施形態に係る定着装置では、温度センサ4及び励磁回路5において、電源VCCから温度検知素子4dを経由して電圧検出部51に至る回路中の電源VCCと温度検知素子4dとの間にLCフィルタ52aを配置し、温度検知素子4dと電圧検出部51との間にLCフィルタ52bを配置している。
【0038】
この構成により、誘電コイル3に近接して温度センサ4を配置した場合に、誘電コイル3と加熱ローラ1との間の空間Dにおいて生じた漏れ磁束によって温度センサ4の出力信号にノイズが発生した場合にも、このノイズを励磁回路5内のLCフィルタ52a,52bで除去することができる。これによって、加熱ローラ1の温度を正確に検出することができる。
【0039】
なお、励磁回路5内において、少なくともLCフィルタ52bを配置することにより、比較的良好なノイズ除去の効果を得ることができる。したがって、LCフィルタ52aについては必須ではない。但し、LCフィルタ52aのみでは十分なノイズ除去効果を得ることはできない。
【0040】
以上の実施形態に係る定着装置40における温度センサ4の出力信号におけるノイズレベルは、何ら対策を施さない場合を“1”として、図6に示すように検知素子4dの下方における加熱ローラ1の周面との間に磁界遮蔽部材4eを設けたものでは“0.8”であり、図8に示すように励磁回路5内にLCフィルタ52a,52bを備えたものでは“0.72”であり、図7に示すように誘導コイル3と温度センサ4との間に磁界遮蔽部材6を配置したものでは“0.6”であった。したがって、上述したいずれの実施形態に係る定着装置40においても、誘導コイル3に近接して配置した温度センサ4によって加熱ローラ1の温度を正確に検出することができる。
【0041】
なお、何ら対策を施さない場合のノイズレベルを“1”として、磁界遮蔽部材6を温度検知素子4dの上面のみに配置した場合のノイズレベルは“1.2”であり、磁界遮蔽部材6を温度検知素子4dの上下面に配置した場合のノイズレベルは“1.08”であった。このことからも、上述した実施形態に係る定着装置の構成によって十分なノイズ除去効果を得られることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0043】
(1)磁界発生手段が発生した交番磁界によって温度上昇する加熱部材の周面に対向して配置された温度検知素子の周囲に、磁界遮蔽部材を配置することにより、磁界遮蔽部材によって磁界発生手段と加熱部材との間の空間において発生した漏れ磁束から温度検知素子を遮蔽することができ、漏れ磁束によるノイズの発生を防止して、加熱部材の温度を正確に検出することができる。
【0044】
(2)温度検知素子と加熱部材の周面との間に、加熱部材の周面に対する対向面積が温度検知素子よりも広い磁界遮蔽部材を配置することにより、温度検知素子を加熱部材の周面に直接対向させないようにすることができ、温度検知素子の出力信号に磁界発生手段と加熱部材との間の空間において発生した漏れ磁束の影響によるノイズを生じることがないようにし、加熱部材の温度を正確に検出することができる。
【0045】
(3)加熱部材の周面方向における温度検知素子と磁界発生手段との間に、加熱部材の周面及び磁界発生手段のそれぞれに対する対向面を形成した磁界遮蔽部材を位置させることにより、温度検知素子を加熱部材における発熱量が最大となる磁界発生手段に近接した位置に配置した場合にも、加熱部材の周面と磁界発生手段との間の空間から温度検知素子に向かう漏れ磁束を、磁界遮蔽部材によって確実に吸収することができ、加熱部材の温度を正確に検出することができる。
【0046】
(4)磁界発生手段である誘導コイルの空隙部に温度検知素子を配置することにより、加熱部材における発熱量が最大となる磁界発生手段に近接した位置で、かつ、磁界発生手段と共用されるスペースに温度検知素子を配置することができ、温度検知素子の配置スペースによる装置の大型化を防止できる。
【0047】
(5)電源部から温度検知素子を経由して電圧検出部に至る回路中における少なくとも温度検知素子と電圧検出部との間にLCフィルタを配置することにより、磁界発生手段と加熱部材の周面との間の空間における漏れ磁束によって温度検知素子の出力信号に生じたノイズ成分を、電圧検出部に入力される前にLCフィルタによって出力信号から除去することができ、温度検知素子を磁界発生手段に近接して配置した場合でも、温度検知素子の出力信号に基づいて電圧検出部により加熱部材の温度を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る定着装置が適用される画像形成装置のプロセス部の構成を示す概略図である。
【図2】上記画像形成装置のプロセス部における定着装置の構成を示す図である。
【図3】上記定着装置の平面図、側面図及び正面図である。
【図4】上記定着装置に備えられる誘導コイルの外観図である。
【図5】上記定着装置における温度センサの配置状態を示す図である。
【図6】上記温度センサの構成を示す図である。
【図7】この発明の別の実施形態に係る定着装置の要部の構成を示す図である。
【図8】この発明の更に別の実施形態に係る定着装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1−加熱ローラ
1a−導電層
2−加圧ローラ
3−誘導コイル
3e−空隙部
4−温度センサ
4d−温度検知素子
4e,6−磁界遮蔽部材
5−励磁回路(励磁手段)
52a,52b−LCフィルタ
D−空間
P−用紙(加熱対象物)

Claims (2)

  1. 加圧ローラとの間に挟持した用紙を加熱して用紙上にトナー像を定着させる加熱ローラであって外周面に導電層を形成した加熱ローラと、中央に空隙部を設けて巻回した誘導コイルであって加熱ローラの外周面との間に空間を設けて配置された誘導コイルと、誘導コイルの空隙部に加熱ローラの外周面に対向して配置された温度検知素子と、温度検知素子の検出温度に基づいて誘導コイルを励磁する励磁手段と、を備えた定着装置において、
    温度検知素子と加熱ローラの周面との間に配置され、加熱ローラの周面に対する対向面積が温度検知素子の対向面積よりも広い第1の磁界遮蔽部材と、
    加熱ローラの周面方向における温度検知素子と誘導コイルとの間に配置され、加熱ローラの周面及び誘導コイルのそれぞれに対する対向面を折曲部を挟んで形成した板状体である第2の磁界遮蔽部材と、
    を備えたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記励磁手段が、電源部から温度検知素子を経由して電圧検出部に至る回路中において、少なくとも温度検知素子と電圧検出部との間にLCフィルタを配置したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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