JP3854002B2 - 排水栓装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は洗面器,浴槽等の水槽の排水口を開閉する装置として好適な排水栓装置に関し、詳しくは遠隔操作によって排水栓を開閉させる排水栓装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗面器や浴槽等の底部の排水口を排水栓にて開閉する排水栓装置としてポップアップ式の排水栓装置が多く用いられている。
図8はその一例を示している。同図において200は洗面器,浴槽等の水槽で、202はその底部204に設けられた排水口であり、206はその排水口202に設けられた排水栓である。
排水栓206は、上昇運動によって排水口202を開放し、また下降運動によって排水口202を閉鎖する。
【0003】
208は排水栓206の中心部に下向きに固定的に設けられた支持軸で、210はその支持軸208を介して排水栓206を上昇運動、即ち開動作させ且つ開位置に保持する駆動部であって、上下に昇降運動する支持ピン212を有しており、その支持ピン212の上昇運動により支持軸208を介して排水栓206を開動作させ、また支持ピン212の下降運動により排水栓206を自重で閉動作させるものとされている。
【0004】
214は駆動部210に備えられたスラストロック装置(ロック装置)で、このスラストロック装置214は、支持ピン212を上昇位置、即ち排水栓206を開位置に保持する動作と、支持ピン212を下降位置に保持して排水栓206を閉位置に保持する動作とを交互に繰り返して行う。
【0005】
216は水槽200の天板部218に設けられた遠隔操作用の操作部で操作部材220を有している。
この操作部216において操作部材220を下向きに押し込むと、その操作力が操作力伝達部としてのワイヤレリーズ222を介して駆動部210に伝えられて駆動部210が働き、排水栓206を上昇運動、即ち開動作させた上で、スラストロック装置214の作用によりこれを開位置に保持する。
更にもう一度操作部材220を下向きに押し込むと、スラストロック装置214によるロックが解除されて排水栓206が下降動作し、排水口202を閉鎖する。
【0006】
ワイヤレリーズ222は可撓性且つ非伸縮性のアウターチューブ224と、その内部に挿通された可撓性且つ非伸縮性のインナーワイヤ226とを有しており、操作部216において操作部材220が下向きに押圧操作されると、インナーワイヤ226がアウターチューブ224内部を図中左向きに摺動して操作力を駆動部210に伝達する。
【0007】
これを受けて駆動部210が排水栓206を開動作させ、そしてスラストロック装置214の作用で排水栓206を開位置に保持し、また次の操作部材220の操作によりその保持を解除して排水栓206を下降せしめる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来のこの種ワイヤレリーズ式の遠隔操作式排水栓装置の場合、操作部を手操作することによって駆動部を働かせ、排水栓を開動作させるようになっており、この場合インナーワイヤの摺動抵抗が大きいこともあって操作が重く、操作性の点で十分でないといった問題があった。
【0009】
またアウターチューブ224とインナーワイヤ226とから成るワイヤレリーズ222は価格の高いものであって、排水栓装置がコスト高となる問題がある外、アウターチューブ224及びインナーワイヤ226を急激に曲げるとインナーワイヤ226の摺動抵抗が大きくなって、操作部材220の操作が重くなる問題がある。
そのためアウターチューブ224及びインナーワイヤ226を緩やかに湾曲させる必要があり、この場合ワイヤレリーズ222の配設のために広いスペースが必要で、ワイヤレリーズ222及び操作部216等の配置のレイアウトに大きな制約がある問題があった。
【0010】
またこの種排水栓装置の場合、インナーワイヤ226の摺動運動によって駆動部210における支持ピン212を下側から上向きに突き上げる必要がある関係上、排水筒228の内部においてアウターチューブ224及びインナーワイヤ226の先端部をスラストロック装置214の下側に配置した上、これを急激に曲げなければならず、そのために排水筒228内部においてスラストロック装置214の下側にワイヤレリーズ222の急激な湾曲部222aのためのスペースを確保しておかなければならないとともに、その急激な湾曲部222aにおいて操作の際の抵抗が大きくなり、また急激な湾曲に基づいて同部分で故障を生じ易いといった種々の問題が生じていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の排水栓装置はこのような課題を解決するためになされたものである。
而して請求項1のものは、(イ)水槽の排水口を開閉する排水栓と、(ロ)該排水栓を開閉操作する操作部と、(ハ)該排水栓を駆動する駆動部と、(ニ)該操作部からの操作力を該駆動部に伝達して該駆動部を働かせる操作力伝達部とを備えた排水栓装置において、前記駆動部を空気圧により作動して前記排水栓を開閉操作するものとなすとともに、前記操作部を該駆動部に対して空気圧を供給操作するものとなし、且つ前記操作力伝達部を、それら操作部と駆動部とを連絡し内部の空気通路を通じて該駆動部に空気圧を導く空気管にて構成し、前記操作部は、空気室と、該空気室の内部と外部とを連通させる空気孔と、該空気孔を遮断するシール部を有し、加えられた操作力により前記シール部で前記空気孔を閉鎖して前記空気室内に空気圧を発生させ、該操作力が除かれると前記シール部が前 記空気孔を開放して該空気孔を通じて前記空気室及び前記空気管の内部を外部と連通させるものとなしてあり、更に前記操作力伝達部には分岐部を設けて該分岐部から複数の枝部を分岐して延出させ、各枝部を対応する操作部に連結して、複数の操作部からの操作力を該操作力伝達部を介して前記駆動部に伝達するようになし、且つ該分岐部には、操作の行なわれた操作部と前記駆動部とを連通させ、他の操作部と該駆動部との連通を遮断するように空気の通路を切り替える切替弁が組み込んであることを特徴とする
【0012】
請求項のものは、請求項に記載の排水栓装置において、前記切替弁は空気圧に基づいて弁の切替動作を行うものとなしてあることを特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】
上記請求項1の排水栓装置は、排水栓装置を空気圧作動式のものとなし且つ操作力伝達部を、空気圧を伝達する空気管にて構成したもので、この排水栓装置によれば以下の各種利点が得られる。
【0014】
図8に示す従来のワイヤレリーズ式の排水栓装置の場合、操作部の配設位置に合わせて、即ち駆動部と操作部との間隔に合せて予め適正な長さでワイヤレリーズを製造しておくことが必要で、施工現場の状況に合わせて操作部の位置を変更するといったことが難しく、施工の自由度に乏しいといった問題が内在していたが、この請求項の排水栓装置では、予め長尺の空気管を用意しておいて適宜の長さにこれを切断して駆動部ユニット及び操作部に接続し、駆動部と操作部とを連絡することが可能で、施工現場の状況に応じて施工することができ、施工性が良好であって施工の自由度も高いといった利点が得られる。
【0015】
加えてこの請求項の排水栓装置の場合、操作部からの操作力を駆動部に伝えるために単に空気圧を伝達するだけで良いので、空気管から成る操作力伝達部に分岐部を設けてそこから枝部を分岐して延出させ、その枝部を、対応する複数の操作部に連結してそれら複数の操作部からの操作力を駆動部に伝達するようになすことができる。
【0016】
而してこのようにした場合、複数の操作部をそれぞれ別異の箇所に設けておいて、その何れかの操作部を操作することで排水栓を動作させることができ、排水栓装置の使い勝手が飛躍的に向上する。
【0017】
この場合において上記分岐部には、操作の行われた操作部と駆動部とを連通させ、他の操作部と駆動部との連通を遮断するように空気の通路を切り替える切替弁を組み込んでおく。
このようにすれば、操作部の操作によって供給された空気圧が複数ある他の操作部側へと伝わって逃げてしまうといったことがなく、操作部の操作によって供給された空気圧を良好に駆動部に作用させることができ、排水栓を良好に動作させることができる。
【0018】
ここで上記切替弁は、空気圧に基づいて弁の切替動作をなすようにしておくことができる(請求項)。
このようにすれば、供給された空気圧によって自動的に弁の切替えを行うことができ、分岐部ないし切替弁の構造を簡素且つ安価に構成することができる。
また操作部の操作によって供給された空気圧を確実に駆動部へと伝達することができる。
【0019】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗面器,浴槽等の水槽12の底部で、この底部10には開口14が形成されており、そこに上端にフランジ16を有する排水筒18が下向きに挿通され、その排水筒18の上端部内側に排水口20が形成されている。
【0020】
排水筒18は、底部10の下側において外周面に雄ねじを有していてその雄ねじに固定ナット22が螺合され、その固定ナット22の締込みに基づいて排水筒18が底部10に固定されている。
尚24はシールのための三角パッキンである。
【0021】
排水口20には排水栓26が装着されており、その排水栓26の上昇・下降運動により排水口20が開放及び閉鎖されるようになっている。
28はこの排水栓26の中心部において下向きに且つ固定的に設けられた支持軸で、その上端部が排水栓26の嵌込孔に嵌込固定されている。
【0022】
排水栓26には、支持軸28から放射状に延びる形態のガイド30が設けられており、また一方支持軸28の下端部には放射状のアーム32を介して円筒形状のガイド34が設けられ、それらガイド30,34の作用により、排水栓26が円滑に昇降運動、即ち開閉動作するようになっている。
【0023】
支持軸28の下側には、排水栓26を駆動するための駆動部36が配設されている。
この駆動部36は、排水栓26に対する開位置の保持とその保持の解除とを交互に繰返し行うスラストロック装置(ロック装置)38を備えている(図2参照)。
【0024】
上記排水筒18には保持部40が形成されていて、その保持部40にこのスラストロック装置38が嵌合状態に取付保持されている。
一方、本例の排水栓装置においては排水栓26を遠隔操作するための手操作式の操作部42が複数(本例では2つ)設けられており、これら操作部42と上記駆動部36とが操作力伝達部44にて互いに連絡されている。ここで操作力伝達部44は空気管60にて構成されている。
【0025】
図2は上記駆動部36の具体的構造を詳しく示した図である。
同図において、46は駆動部36における支持ピンであって、駆動部36はこの支持ピン46を上昇運動させることにより、支持軸28を介して排水栓26を開動作させるようになっている。
【0026】
この支持ピン46の上端部には、図2中上下方向に膨張・収縮動作するベローズ48の上端部が、支持ピン46に一体に形成されたフランジ50と止め輪52とにより固定されており、かかるベローズ48の上端部が支持ピン46と一体に上下運動するようになっている。
【0027】
ここでベローズ48はテフロン製のものが用いられている。尚後述する操作部42のベローズ154もまたこの点同様である(図3参照)。このようにベローズ48,154としてテフロン製のものを用いることで優れた耐久性を付与することができる。但しこれらベローズ48,154として価格の安価なポリプロピレン製のもの或いはゴム製のもの等を用いることも可能である。
【0028】
ここで支持ピン46の上端部外周面とベローズ48の上端部内周面との間にはOリング54が介装されており、そのOリング54により、それら支持ピン46とベローズ48との間が気密にシールされている。
【0029】
本例においては、このベローズ48と後述のスラストロック装置38におけるケーシング56とによって、それらの内部に第二空気室58が形成されており、その第二空気室58内部に上記支持ピン46が挿入されている。
【0030】
上記スラストロック装置38は、円筒状のケーシング56を有しており、その下端部に対して操作力伝達部44を構成する可撓性の空気管60の端部が後述の連絡管部62を介して接続され、操作力伝達部44内部の空気通路64が駆動部36の第二空気室58に連通させられている。
【0031】
ここでケーシング56は、下部部材66と上部部材68とから成っており、それら下部部材66と上部部材68とが上下にねじ結合により固定されている。そしてそのケーシング56に対してベローズ48が下端部においてねじ結合により固定されている。
【0032】
前述のようにスラストロック装置38におけるケーシング56は第二空気室58の形成部材を兼ねており、このケーシング56と上記ベローズ48とによって第二空気室58が形成されている。
【0033】
ケーシング56の内部、即ち第二空気室58の内部には、また、ロック機構部70が設けられている。
ロック機構部70は、支持ピン46に対し回転不能に設けられた下側の固定リング72と、支持ピン46に対して回転可能な上側の回転リング74と、回転リング74の動作を案内し且つ回転リング74に係合して支持ピン46を上昇位置に保持するための案内部76とを有している。
【0034】
このロック機構部70の回転リング74とケーシング56における上部部材68との間には、コイルスプリングから成る復帰ばね78が介装されており、その復帰ばね78により支持ピン46が常時下向きに付勢され、また同時にベローズ48が常時収縮方向に付勢されている。
【0035】
図5は上記ロック機構部70の構成とその作用を具体的に示したものである。
同図(A)に示しているように、固定リング72には上端に爪を有する突起80が形成される一方、回転リング74には全周に亘って下端に爪82が形成されるとともに、周方向に所定間隔で突起84が形成されており、通常時はその回転リング74の突起84が固定リング72の突起80の上に噛合い状態で載った状態でそれら突起80及び84が、図5(B)(I)に示しているように案内部76の溝86内部に入り込んだ状態にある。
【0036】
この状態で支持ピン46が上向きに持ち上げられると、突起80及び84が溝86内部を上向きに上昇し、そして回転リング74が案内部76の上側に到ったところで、突起80と84との各カム面の作用で回転リング74が(II)に示しているように所定角度回転させられる。
【0037】
この状態で支持ピン46が微小距離下降運動すると、(III)に示しているように回転リング74の突起84が案内部76の上端部の爪に噛合い状態で載った状態となり、ここにおいて回転リング74及び支持ピン46の更なる下降運動が阻止される。即ち排水栓26が、支持ピン46及び支持軸28を介して上昇位置、つまり開位置に保持された状態となる。
【0038】
次に支持ピン46が再び上向きに持ち上げられると、回転リング74に対して若干下側に離れた位置にあった固定リング72が一体に上昇運動し(回転リング74は支持ピン46及び固定リング72に対し微小ストローク独立して上下移動可能とされている)、その際に固定リング72の突起80が溝86に沿って上昇運動して、(IV)に示しているように再び回転リング74の爪82に当接して回転リング74を再び微小ストローク持ち上げ、案内部76の上端の爪から離間させる。これと同時に突起80と爪86との各カム面の作用で回転リング74を再び微小角度回転させる。
【0039】
そして(V)に示しているようにその状態で再び支持ピン46が下降運動すると、回転リング74の突起84が各カム面の作用で再び案内部76の溝86内部に入り込み、ここにおいて支持ピン46が下降運動して(I)の当初の状態に戻る。
【0040】
即ちロック機構部70は、支持ピン46の上昇・下降運動に伴って支持ピン46に対する上昇位置の保持とその保持の解除とを交互に繰り返して行う。つまり排水栓26に対して開位置の保持とその保持の解除とを交互に繰り返して行う。
尚、スラストロック装置38におけるロック機構部70は従来公知のものであるため、ここでは更に詳しい説明は省略する。
【0041】
図2に示しているように上記排水筒18には、その内部に連絡管部62が一体成形されている。この連絡管部62は水平部88と垂直部90とを有しており、内部に空気通路92を有している。
この連絡管部62は、空気管60側の端部が第一差込接続部94とされ、また駆動部36側の端部が第二差込接続部96とされている。
第一差込接続部94は、排水筒18外面から横向きに突き出した突出部98と、その内部に形成された差込穴部100を有しており、その差込穴部100に空気管60の端部が差し込まれている。
【0042】
第一差込接続部94はまた、シール部材102と爪104と円筒形状の抜止部材106とを有している。
この第一差込接続部94においては、空気管60を差込穴部100に差し込むと、シール部材102が空気管60の外周面に密着してシール作用をなすとともに、爪104が空気管60の外面に食い込んで抜止めをなす。またその爪104は抜止部材106によって突出部98から抜止めされる。
【0043】
尚、空気管60を第一差込接続部94から抜き出す際には、単に抜止部材106を軸方向に押し込むだけで良く、これにより簡単に空気管60を第一差込接続部94から抜き出すことができる。
詳しくは、抜止部材106を軸方向に押し込むとその先端のテーパ面108の作用で空気管60の外面への爪104の食い込みが解除され、ここにおいて空気管60と爪104との係合が外れて空気管60を簡単に抜き出すことができる。
【0044】
連絡管部62の垂直部90上端部、即ち駆動部36側の端部の第二差込接続部96は内側に差込穴部110を有している。一方駆動部36におけるケーシング56の下端部にはこれに対応して円筒形状の差込部112が設けられている。
【0045】
差込部112は外周面に環状溝114を有していて、そこにOリングから成るシール部材116が装着されている。
本例の駆動部36は、その差込部112を連絡管部62における第二差込接続部96の差込穴部110に単に差し込むだけで連絡管部62と接続状態とすることができる。
【0046】
排水筒18にはまた、連絡管部62よりも大径の円筒形状の保持部40が一体に形成されている。この保持部40の下端部には内方に突出する係合突部118が形成されている。
一方ケーシング56の下部部材66には上記保持部40に対応した挿入部120が設けられている。この挿入部120の外周面には環状溝122が形成されていて、そこにOリングから成る固定保持部材124が装着されている。
【0047】
ここで保持部40は連絡管部62における第二差込接続部96と同心状に形成されており、従って駆動部36の挿入部120を保持部40に軸方向に挿入すると同時にその端部の差込部112を第二差込接続部96に差し込むことができる。即ち駆動部36の排水筒18への取付けと連絡管部62との接続とを、1つの動作で同時に且つ簡単に行うことができる。
【0048】
本例の排水栓装置の場合、図1に示すように操作力伝達部44に分岐部126が設けられている。
この分岐部126からは、枝部としての空気管が延び出しており、その空気管が対応する操作部にそれぞれ接続されている。即ち分岐部126の図1中右側から延びる空気管128aが、水槽12の天板部130に設けられた操作部42aに、また分岐部126の下側から延びる空気管128bが操作部42aとは離れた別異な箇所に設けられた操作部42bにそれぞれ接続されている。
【0049】
本例の分岐部126において、各空気管60,128a及び128bとの接続部材132の構造は、上記連絡管部62における第一差込接続部94と同様の構成とされている。
【0050】
図4に示すように、分岐部126の内部には駆動部36と各操作部42との空気の通路の切替を行う切替弁134が設けられている。この切替弁134は、空気圧に基づいて動作するものとされている。
この切替弁134の切替動作により、同図(A)に示すように駆動部36側(図中左側)と操作部42a側(図中右側)とを連通させると共に、駆動部36側と操作部42b側(図中下側)との連通を遮断し、或いは同図(B)に示すように駆動部36側と操作部42a側とを遮断すると共に、駆動部36側と操作部42b側とを連通させることができる。
【0051】
図3は操作部42の具体的構造を示したもので、本例においては操作部42a及び操作部42bはそれぞれ同一の構造のものとされている。
同図に示しているように操作部42は、ケーシング136を天板部130の下側に配設するとともに、天板部130の開口138に、上端にフランジを有する円筒形状の取付部材140を三角パッキン24及び固定ナット142により取り付け、そしてその取付部材140の下端部とケーシング136の上端部に設けた円筒部144とを、それらのフランジ146において弾性クリップ148により互いに連結している。
【0052】
このケーシング136の下端の開口部には栓体150が取り付けられていて、ケーシング136の下端開口部がその栓体150により閉鎖されている。
【0053】
この栓体150は上向きの突出部152を備えており、その突出部152の外周面に、上下に膨張・収縮可能なベローズ154の下端部が気密に嵌合した状態で固定されており、そのベローズ154と栓体150とによって内側に第一空気室156が形成されている。
【0054】
また栓体150の下端部には、上記操作力伝達部44を構成する空気管128a又は空気管128bの端部が接続部材132にて接続されており、操作力伝達部44の内部の空気通路64が、栓体150の連通孔158を介して第一空気室156に連通した状態となっている。
【0055】
この第一空気室156の内部即ちベローズ154の内部に、フランジ160と軸部162とを有する第一操作部材164が、第二操作部材166とともに収容されており、それらが復帰ばね168により上下方向逆向きに互いに弾発されている。
【0056】
本例では、上記第二操作部材166にシール部170が設けられており、そしてそのシール部170の設けられた第二操作部材166が、別の復帰ばね172により図中上向きに付勢されている。
即ちこの例では第二操作部材166が、復帰ばね168と172とのばね力がバランスする位置において栓体150から微小距離浮き上がった位置に保持されている。
【0057】
本例においては、第一空気室156の内部と外部とを連通させる空気孔174が栓体150に設けられている。ここで空気孔174は栓体150の下面で開口している。即ち天板部130(図3参照)の下側で開口している。
【0058】
ケーシング136の内部にはまた、第三操作部材176の円板状の押え部178が収容され、更にケーシング136における円筒部144内部には第三操作部材176の軸部180が上下に摺動可能に挿入されている。
一方上記取付部材140の内部には、直接押込操作部材としての第四操作部材182の軸部184が上下に摺動可能に挿入されている。
【0059】
この第四操作部材182は、上部が天板部130及び取付部材140よりも所定量上向きに突き出しており、その突き出した上端部に操作力の入力部186が設けられている。
ここで第四操作部材182は、その軸部184の下端が第三操作部材176の上端に当接させられている。
【0060】
次に本例の排水栓装置の作用を以下に説明する。
本例の排水栓装置では、図1の状態において例えば操作部42aの入力部186に下向きの押込操作力を加えると、その操作力が第四操作部材182,第三操作部材176を通じてベローズ154に伝えられ、ベローズ154が収縮動作させられるとともに、併せて第一操作部材164,第二操作部材166が図中下向きに移動させられる。そしてその第二操作部材166のシール部170により空気孔174が閉鎖され、第一空気室156内部に空気圧が発生せしめられる(図3参照)。
そして発生した空気圧は、操作部42aの接続された空気管128aを介して分岐部126へと導かれる。
【0061】
分岐部126へと導かれた空気圧は分岐部126内の切替弁134が図4(A)の状態であれば、駆動部36側へとそのまま導かれる。この時操作部42b側は切替弁134によって遮断されており、これによって操作部42aからの空気圧が操作部42b側へと伝わってその操作力が逃げていってしまうのが防止される。
【0062】
一方切替弁134が同図(B)の状態、即ち駆動部36側と操作部42a側とを遮断すると共に、駆動部36側と操作部42b側とを連通させた状態の場合、操作部42aからの空気圧によって切替弁134が押されて同図(A)の状態に切り替わり、空気圧が駆動部36側へと導かれる。
【0063】
駆動部36側へと導かれた空気圧は、空気管60及び連絡管部62内部のそれぞれの空気通路64,92を通じて駆動部36の第二空気室58に伝えられ、これにより第二空気室58を形成している駆動部36側のベローズ48が図2中上向きに膨張動作させられる。
これとともに駆動部36における支持ピン46が上端部において復帰ばね78の付勢力に抗し上向きに引っ張り上げられる。
これにより排水栓26が支持軸28を介して上昇運動、即ち開動作させられ、排水口20を開放する。
【0064】
そして上昇運動した駆動部36の支持ピン46は、操作部42aの操作の解除とともにロック機構部70のロック作用により上昇位置に保持され、排水栓26の下降動作が阻止される。即ち排水栓26が開位置に保持される(図6参照)。
【0065】
さて排水栓26を開動作させたところで入力部186に加えていた押込操作力を除くと、第二操作部材166は復帰ばね172の付勢力により栓体150から上向きに離間して空気孔174の開口を開放する。
ここにおいて第一空気室156内部の空気圧が解除されるとともにベローズ154が復帰ばね168の付勢力で再び膨張し、元形状に戻る。
尚このとき、入力部186もベローズ154の膨張動作とともに図中上向きに復帰運動して元位置に到る。
【0066】
この操作力解除に伴う動作に際して、空気孔174を通じて第一空気室156内部に外部の空気が取り入れられ、ベローズ154が円滑に膨張動作することができる。
尚、駆動部36側の第二空気室58の空気圧も同時に解消するが、ベローズ48はロック機構部70のロック作用により引続き膨張状態に保持される。
【0067】
さて次に再び入力部186を押込操作すると、第一空気室156に再び空気圧が発生する。
その空気圧は操作力伝達部44内部の空気通路64を通じて駆動部36の第二空気室58に導かれ、これによりベローズ48が僅かに膨張動作して支持ピン46を微小ストローク上向きに持ち上げる。
このときロック機構部70による支持ピン46のロック作用、即ち支持ピン46に対する上昇位置の保持が解除される。
【0068】
従ってこの状態で入力部186に加えていた操作力を除くと、駆動部36における復帰ばね78の付勢力によりベローズ48が収縮動作するとともに支持ピン46が下降運動し、これにより開位置に保持されていた排水栓26が自重で下降運動して排水口20を閉鎖する。
【0069】
このとき駆動部36側の第二空気室58内部の空気は、操作力伝達部44内部の空気通路64を通じて第一空気室156内に入り込み、更に引き続いて空気孔174を通じて外部に逃げることができる。
従って駆動部36側のベローズ48は円滑に収縮動作することができる。
【0070】
一方操作部42aとは別異の箇所に取付けられた操作部42bの入力部186に押込操作力を加えた場合、上記操作部42aと同様に操作部42bにおいても空気圧が発生し、空気管128bを介して分岐部126へと導かれる。
【0071】
そして分岐部126において切替弁134が図4(A)の状態の場合、操作部42b側からの空気圧によって切替弁134が操作部42a側を遮断した状態(同図(B)の状態)に切り替わり、駆動部36側と操作部42b側とが連通した状態となり、操作部42bからの空気圧が駆動部36へと導かれ、排水栓26は上記操作部42aを操作した場合と同様の動作をする。
【0072】
この場合においても、切替弁134によって操作部42a側が遮断されており、操作部42bからの空気圧が操作部42a側へと伝わってその操作力が逃げていってしまうのが防止される。
【0073】
以上のような本例の排水栓装置の場合、空気を媒体として操作力を操作部42から排水栓26の駆動部36に伝達するようになしていることから、図8に示すような高価なレリーズ式の操作力伝達部を必要とせず、操作力伝達部を安価に構成することができ、またこれにより排水栓装置の所要コストを低減することができる。
【0074】
また図8に示すワイヤレリーズ式の排水栓装置と異なり、本例の排水栓装置では予め長尺の空気管を用意しておいて適宜の長さにこれを切断して駆動部36及び操作部42に接続し、駆動部36と操作部42とを連絡することが可能で、施工現場の状況に応じて施工することができ、施工性が良好であって施工の自由度も高い。
【0075】
加えて本例の排水栓装置では空気管から成る操作力伝達部44に分岐部126を設けてそこから枝部を分岐して延出させ、対応する複数の操作部42に連結していることから、複数の操作部42をそれぞれ別異の箇所に設けておいて、その何れかの操作部42を操作することで排水栓26を動作させることができ、排水栓装置の使い勝手が飛躍的に向上する。
【0076】
また分岐部126には切替弁134が設けられており、これによって操作部42の操作によって供給された空気圧が複数ある他の操作部側へと伝わって逃げてしまうといったことがなく、操作部42の操作によって供給された空気圧を良好に駆動部36に作用させることができ、排水栓を良好に動作させることができる。
【0077】
更に本例の排水栓装置ではその切替弁134を空気圧に基づいて弁の切替動作をなすようにしており、供給された空気圧によって自動的に弁の切替えを行い得て分岐部126ないし切替弁134の構造を簡素且つ安価に構成できる。
また操作部42の操作によって供給された空気圧を確実に駆動部36へと伝達することができる。
【0078】
次に、図7は本発明の他の実施例を示したものである。
本例は図1に示す例の操作部42bに代えて足踏式操作部188を設けたものである。
尚この足踏式操作部188は、踏込操作により空気圧を発生する点を除いて上記手操作式の操作部42aとその内部構造については基本的に同様である。
【0079】
本例の場合、足踏式操作部188を踏込操作することで空気圧が発生し、そして発生した空気圧が空気管128bを介して分岐部126へと導かれる。その後の動作については図1の実施例と同様であって、足踏式操作部188からの空気圧によって駆動部36が動作し、排水栓26が開或いは閉動作させられる。
【0080】
本例の排水栓装置においても、前記実施例と同様の効果が得られる他、本例の排水栓装置によれば、力の強い足の踏込操作によって駆動部36を働かせ排水栓26を開閉操作でき、容易に排水栓26を動作させることができる。
また両手で作業をしていたり或いは両手に物を持っているような状態でも支障なく排水栓26を動作させることができる。
【0081】
尚本例においては手操作式の操作部42aと足踏式操作部188とを設けているが、2つ若しくはそれ以上の複数の操作部を何れも足踏式操作部となすこともできるし、或いはまた操作部を単数のみ設けてこれを足踏式操作部188となすといったことも可能である。
【0082】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施例では分岐部126の切替弁134としてフラッパータイプのものを示したが、この形式のものに限定するものではなく、操作の行われた操作部と駆動部とを連通させ、他の操作部と駆動部との連通を遮断するようなものであれば良く、例えば逆止弁を複数組み合せて切替機能を持たせたようなものを用いることもできる。
その他本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である排水栓装置を示す図である。
【図2】 図1における駆動部の内部構造を拡大して示す図である。
【図3】 図1における操作部の内部構造を拡大して示す図である。
【図4】 図1における分岐部の内部構造を拡大して示す図である。
【図5】 図1ないし図4の実施例のロック機構部の作用を示す図である。
【図6】 図1における駆動部を図2とは異なった作用状態で示す作用図である。
【図7】 本発明の他の実施例の排水栓装置を示す図である。
【図8】 従来の排水栓装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 水槽
20 排水口
26 排水栓
36 駆動部
42 操作部
42a,42b 操作部
44 操作力伝達部
60,128a,128b 空気管
64,92 空気通路
126 分岐部
134 切替弁
156 空気室(第一空気室)
170 シール部
174 空気孔

Claims (2)

  1. (イ)水槽の排水口を開閉する排水栓と、(ロ)該排水栓を開閉操作する操作部と、(ハ)該排水栓を駆動する駆動部と、(ニ)該操作部からの操作力を該駆動部に伝達して該駆動部を働かせる操作力伝達部とを備えた排水栓装置において
    記駆動部を空気圧により作動して前記排水栓を開閉操作するものとなすとともに、前記操作部を該駆動部に対して空気圧を供給操作するものとなし、且つ前記操作力伝達部を、それら操作部と駆動部とを連絡し内部の空気通路を通じて該駆動部に空気圧を導く空気管にて構成し、
    前記操作部は、空気室と、該空気室の内部と外部とを連通させる空気孔と、該空気孔を遮断するシール部を有し、加えられた操作力により前記シール部で前記空気孔を閉鎖して前記空気室内に空気圧を発生させ、該操作力が除かれると前記シール部が前記空気孔を開放して該空気孔を通じて前記空気室及び前記空気管の内部を外部と連通させるものとなしてあり、
    更に前記操作力伝達部には分岐部を設けて該分岐部から複数の枝部を分岐して延出させ、各枝部を対応する操作部に連結して、複数の操作部からの操作力を該操作力伝達部を介して前記駆動部に伝達するようになし、且つ該分岐部には、操作の行なわれた操作部と前記駆動部とを連通させ、他の操作部と該駆動部との連通を遮断するように空気の通路を切り替える切替弁が組み込んであることを特徴とする排水栓装置。
  2. 請求項に記載の排水栓装置において、前記切替弁は空気圧に基づいて弁の切替動作を行うものとなしてあることを特徴とする排水栓装置。
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