JP3853661B2 - 多回路電力計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場、ビルなどで省エネルギーのための電力計測を行う多回路電力計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場、ビルなどのエネルギー消費に対する法規制の強化などから、省エネルギーへの関心は、高まってきている。省エネルギーのためには、動力機器、空調、照明機器などをエネルギー効率の高いものに替える他、現在どこにどのようにエネルギーが使われているのかを把握することが、効果的な改善のための重要なポイントである。
【0003】
電力エネルギーでは従来、電力会社からの受電端でのデマンド監視が主であったが、以上の事情から低圧回路個々の負荷の電力消費量の計測まで必要になってきた。
【0004】
こうした用途のために、最近、図7のような多回路電力計測装置が使用され始めるようになってきた。図7に示す多回路電力計測装置101は、配電系統である電路107にブレーカ111a〜111eを介して接続される負荷回路105a〜105eの消費電力、電力量を計測するものであり、負荷回路105a〜105eに対応して電力演算回路103a〜103eを有している。
【0005】
電力演算回路103a〜103eは、電圧変換回路104により電路107からの電源電圧が変換された所定の電圧と電流トランス(以下、CTと略称する。)113a〜113eで検出された、負荷回路105a〜105eに流れる電流とに基づき、負荷回路105a〜105eの電力を演算する。即ち、例えば、単相5回路を計測できる装置101では、装置101内に単相電力演算回路を5回路分備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示す装置にあっては、以下のような問題がある。即ち、計測対象の負荷回路が電力演算回路に対して少ない場合には無駄が発生する。例えば、計測装置が5回路分の電力演算回路を備えていても、計測対象の負荷回路が2回路しかない場合には3回路分が無駄になる。
【0007】
また、電力計測センサとして用いるCTには、個別商品で少なからぬばらつきがある。電気料金取引に使われる電力量計等の場合には、CTが計器内に内蔵されるので、調整によってばらつきが補正される。
【0008】
しかし、図7に示すような多回路電力計測装置にあっては、接続されるCTが不特定であるため、事前に調整しておくことができない。このため、高い計測精度を保証することができない。
【0009】
また、計測対象となる負荷回路には50Aの回路もあれば、250Aの回路もあり、CTは、その計測対象に合わせた定格のものが用いられる。このため、図7に示す装置の場合、どの接続端子にどういう定格のCTが接続されているのかを設定する操作が必要となる。
【0010】
そこで、図7に示す装置に代えて、例えば図8に示すような小型電力計測装置を考えることもできる。図8に示す装置は、負荷回路105a〜105eに対応して小型電力計測装置121a〜121eを設け、小型電力計測装置121a〜121eの各々は、電路107からの電源に基づき電源回路123a〜123eで生成された電源電圧とCT113a〜113eからの電流とに基づき、負荷回路105a〜105eの電力を演算する。
【0011】
即ち、小型電力計測装置121a〜121eにより、個別の負荷回路の電力を計測すると、計測しようとする回路数だけ小型電力計測装置を用意すれば良いので、無駄がなくなる。また、CTは、小型電力計測装置に固定されるので、そのCTに合わせて調整でき、高精度となる。電流定格値も小型電力計測装置毎に予め定められているので、電流定格値を設定することはない。このように、図8に示す装置によって、上記問題は解決できる。
【0012】
しかしながら、図8に示す装置にあっては、それぞれの小型電力計測装置がそれぞれの負荷回路から電圧を取り出しているので、それぞれの小型電力計測装置121a〜121e内にそれぞれの電源回路123a〜123eなどが必要となり、コスト高になってしまう。
【0013】
また、それぞれの小型電力計測装置が個別にデータを計測するので、データを収集する場合には、小型電力計測装置のそれぞれに対してデータ収集作業をしなければならず、その作業が大変であった。
【0014】
本発明は、装置の無駄をなくし、高い計測精度を保証でき、個別計測装置のそれぞれに電源回路を設ける必要がなく、データを一括して収集できる多回路電力計測装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の多回路電力計測装置は、配電系統に接続された複数の負荷回路の消費電力、電力量を測定する多回路電力計測装置において、前記配電系統から電源電圧を入力するとともに前記電源電圧に相当する電圧信号を供給する主装置と、前記負荷回路に流れる電流を検出し前記電流に相当する電流信号を供給する電流検出部と、前記複数の負荷回路にそれぞれ設けられ、前記主装置から前記電圧信号が供給されるとともに、前記電流検出部から電流信号が供給される個別計測装置とを備え、前記複数の個別計測装置の各々は、電流検出部で検出された、当該負荷回路に流れる電流信号と前記主装置から供給される前記電圧信号とに基づき当該負荷回路の消費電力を演算する電力演算手段を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の多回路電力計測装置によれば、多回路電力計測装置を主装置と複数の個別計測装置とで構成し、個別計測装置に設けられた電力演算手段には、配電系統からの電源電圧に相当する電圧信号が共通電源として入力されるため、個別計測装置のそれぞれに電圧信号入力回路、即ち電源回路を設ける必要がなくなる。このため、装置の構成を簡素化することができる。また、装置の無駄をなくし、高い計測精度を保証できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る多回路電力計測装置の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係る多回路電力計測装置の第1の実施形態を示す構成図である。図1に示す多回路電力計測装置は、配電系統である電路7にブレーカ9a〜9cを介して接続される複数の負荷回路5a〜5cの消費電力、電力量を計測するものであり、主装置1と、複数の負荷回路5a〜5cに1対1対応で設けられた複数の個別計測装置2a〜2cとを有して構成される。なお、この例では、個別測定装置を3個だけ設けたが、これに限定されることなく、2個又は4個以上設けても良い。
【0019】
主装置1は、電路7からの電源電圧を入力して直流電源を生成する直流電源部11と、この直流電源部11からの直流電源により動作する制御回路13と、データを表示する表示部14、電路7からの電源電圧を個別計測装置2a〜2c内の電力演算回路(本発明の電力演算手段に対応)21a〜21cが取り扱いやすい低電圧に変換して変換された電圧を共通電源として電圧線8a,8bを介して個別計測装置2a〜2cに供給する電圧変換回路15とを有している。
【0020】
個別計測装置2a〜2cは、個別の負荷回路5a〜5cの消費電力、電力量を計測するものであり、電力演算回路21a〜21cと、直流電源23a〜23cとを有している。
【0021】
直流電源23a〜23cは、主装置1の直流電源部11からの直流電源により生成された所定の直流電源であり、生成された直流電源の電圧は、電力演算回路21a〜21c等に供給される。電力演算回路21a〜21cは、CT3a〜3cで検出された、負荷回路5a〜5cに流れる電流信号と主装置1の電圧変換回路15からの電圧信号とに基づき、負荷回路5a〜5cの電力を演算して得られた負荷回路5a〜5cの電力値を主装置1内の制御回路13に出力する。主装置1内の制御回路13は、負荷回路5a〜5cの電力値を管理する。
【0022】
次に、このように構成された第1の実施形態に係る多回路電力計測装置の動作を説明する。
【0023】
まず、個別計測装置2a〜2cに設けられた電力演算回路21a〜21cには、CT3a〜3cからの電流信号が入力される。また、個別計測装置2a〜2cに設けられた電力演算回路21a〜21cには、電路7からの電源電圧を変換した低電圧の電圧信号が共通電源として入力される。
【0024】
そして、電力演算回路21a〜21cは、入力された電流信号と電圧信号に基づき、負荷回路5a〜5cの電力を演算する。得られた結果は、瞬時電力値となる。さらに、電力演算回路21a〜21cは、この瞬時電力値を積算して、消費電力量を計測する。
【0025】
また、電力演算回路21a〜21cで得られた計測量は、主装置1の制御回路13に伝送され、制御回路13の制御の下で、表示部14に個別の負荷回路5a〜5cの計測量が表示される。
【0026】
なお、主装置1の直流電源部11の電源電圧が個別計測回路2a〜2c内の直流電源23a〜23cに印加され、直流電源23a〜23cで生成された電圧により、個別計測装置2a〜2cを動作させている。
【0027】
このように第1の実施形態に係る多回路電力計測装置によれば、個別計測装置2a〜2cに設けられた電力演算回路21a〜21cには、電路7からの電源電圧を変換した低電圧の電圧信号が共通電源として入力されるため、個別計測装置2a〜2cのそれぞれに電圧信号入力回路、即ち図8に示すような電源回路を設ける必要がなくなる。このため、装置の構成を簡素化することができる。
【0028】
また、装置の無駄をなくすことができる。例えば2回路だけ負荷回路の電力を計測する場合、主装置1台と個別計測装置2台を用意すればよく、この構成で無駄な要素がなくなる。また、個別計測装置は、電力演算回路を内蔵しているシンプルな装置であるので、単品の計測器と比べ安価に構成できる。従って、例えば5回路分の計測回路を内蔵した装置を2回路だけの計測に使い、3回路分の無駄を生じることや、一方、単品の計測器を2台用意してコストがかさむという問題点を解消できる。
【0029】
また、CT3a〜3cは、個別計測装置2a〜2cと一対一になるため、CTのばらつきに合わせた電流調整を行える。従って、高い計測精度を保証することができる。
【0030】
また、個別計測装置2a〜2cは、CT3a〜3cと一対一の組合せになるため、50AのCTが接続されたものは50Aに限定して使用される。このため、電流定格値を設定する必要がなくなる。
【0031】
また、個別計測装置2a〜2cで計測したデータは、主装置1に伝送されるので、主装置1において、計測したデータを一括して収集することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
図2は本発明に係る多回路電力計測装置の第2の実施形態を示す構成図である。図2に示す第2の実施形態に係る多回路電力計測装置は、図1に示す第1の実施形態に係る多回路電力計測装置に対して、個別計測装置2a1〜2c1内にさらに重み付け回路27a〜27cを設けたことを特徴とする。
【0033】
重み付け回路27a〜27cは、電力演算回路21a〜21cからの電力値に対してCT3a〜3cに合わせた定格設定値25a〜25cを重み付けして、重み付けされた電力値を制御回路13aに供給するようになっている。
【0034】
このように第2の実施形態に係る多回路電力計測装置によれば、重み付け回路27a〜27cにより、電力演算回路21a〜21cからの電力値に対して、CT3a〜3cに合わせた定格設定値25a〜25cを重み付けして、負荷回路5a〜5cの電力そのものを主装置1aに送ることができる。主装置1aでは、定格付けられた電流値に合わせて計測値そのものが電力、電力量として直読できる。
【0035】
即ち、従来の装置では、接続されるCTの定格が何であるかを負荷回路毎に設定しなければならなかったが、第2の実施形態では、電流定格値の設定が不要となる。従って、わずらわしい設定作業を省略することができる。なお、図2に示すような重み付け回路27a〜27cでなくても、個別計測装置内にマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)などを内蔵させ、このマイコンが重み付け処理プログラムを実行することで実現される機能、即ちソフト処理で電力演算回路21a〜21cからの電力値に対して、重み付けすることもできる。
【0036】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る多回路電力計測装置の第3の実施形態を説明する。図3は本発明に係る多回路電力計測装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。図4は本発明に係る多回路電力計測装置の第3の実施形態を示す主要部構成図である。
【0037】
第3の実施形態は、多回路電力計測装置を単相三線回路に適用した例であり、多回路電力計測装置を、宅内配線で多用されている単相三線の配電系統に接続される負荷回路の電力計測に使用する場合について説明する。
【0038】
図3に示す多回路電力計測装置は、100V負荷6a,6b,6d,6e及び200V負荷6cの消費電力、電力量を計測するものであり、単相三線からなる電路7a〜7cに接続される主装置1bと、複数の負荷6a〜6eに1対1対応で設けられた複数の個別計測装置2a2〜2e2とを有して構成される。
【0039】
ブレーカ9aは、入力側が電路7a,7bに接続され出力側が100V負荷6aに接続されており、CT3aは、100V負荷6aに流れる電流を個別計測装置2a2に出力する。ブレーカ9bは、入力側が電路7a,7bに接続され出力側が100V負荷6bに接続されており、CT3bは、100V負荷6bに流れる電流を個別計測装置2b2に出力する。
【0040】
ブレーカ9cは、入力側が電路7a,7cに接続され出力側が200V負荷6cに接続されており、CT3cは、200V負荷6cに流れる電流を個別計測装置2c2に出力する。ブレーカ9dは、入力側が電路7b,7cに接続され出力側が100V負荷6dに接続されており、CT3dは、100V負荷6dに流れる電流を個別計測装置2d2に出力する。ブレーカ9eは、入力側が電路7b,7cに接続され出力側が100V負荷6eに接続されており、CT3eは、100V負荷6eに流れる電流を個別計測装置2e2に出力する。
【0041】
主装置1は、図4に示すように、電路7a〜7cからの電源電圧を入力して直流電源を生成する直流電源部11と、この直流電源部11からの直流電源により動作する制御回路13と、電路7a,7bからの電源電圧を所定の電圧に変換して変換された電圧を共通電源として電圧線8a,8bを介して個別計測装置2a2〜2e2に供給する電圧変換回路15aと、電路7b,7cからの電源電圧を所定の電圧に変換して変換された電圧を共通電源として電圧線8c,8dを介して個別計測装置2a2〜2e2に供給する電圧変換回路15bとを有している。
【0042】
個別計測装置2a2〜2e2は、個別の負荷6a〜6eの消費電力、電力量を計測するものであり、電力演算回路21a〜21eと、電圧選択部29a〜29eとを有している。なお、図4では、個別計測装置2a2が電力演算回路21a及び電圧選択部29aを有する構成を示しているが、個別計測装置2a2と同様に、個別計測装置2b2〜2e2も、電力演算回路21b〜21e(図示せず)と、電圧選択部29b〜29e(図示せず)とを有しているものとする。
【0043】
電圧選択部29a〜29eは、電圧線8a〜8dに接続される接続端子a〜dと、電力演算回路21a〜21eに接続される共通端子c1,c2と、共通端子c1と接続端子a〜dのいずれかの接続端子とに接続させる切片30a1と、共通端子c2と接続端子a〜dのいずれかの接続端子とに接続させる切片30a2とを有している。
【0044】
また、電圧線8a〜8dが個別計測装置2a2の電圧選択部29aに接続されている構成と同様に、電圧線8a〜8dは、個別計測装置2b2〜2e2の電圧選択部29b〜29eに接続されている。
【0045】
電力演算回路21a〜21eは、CT3a〜3eで検出された、負荷6a〜6eに流れる電流と主装置1の電圧変換回路15a又は/及び電圧変換回路15bからの電圧とに基づき、負荷6a〜6eの電力を演算する。
【0046】
このように第3の実施形態に係る多回路電力計測装置によれば、100V負荷6a,6bの場合には、ブレーカ9a,9bが電路7a,7bに接続されているので、個別計測装置2a2,b2内の電圧選択部29a,29bは、切片30a1が接続端子aを選択し、且つ切片30a2が接続端子bを選択する。このため、電路7a,7bからの電圧を電圧変換回路15aで変換した電圧、即ち100V負荷6a,6bに対応した電圧が電力演算回路21a,21bに供給される。
【0047】
また、100V負荷6d,6eの場合には、ブレーカ9d,9eが電路7b,7cに接続されているので、個別計測装置2d2,e2内の電圧選択部29d,29eは、切片30a1が接続端子cを選択し、且つ切片30a2が接続端子dを選択する。このため、電路7b,7cからの電圧を電圧変換回路15bで変換した電圧、即ち100V負荷6d,6eに対応した電圧が電力演算回路21a,21bに供給される。
【0048】
また、200V負荷6cの場合には、ブレーカ9cが電路7a,7cに接続されているので、個別計測装置2c2内の電圧選択部29cは、切片30a1が接続端子aを選択し、且つ切片30a2が接続端子dを選択する。このため、電路7a,7cからの電圧を電圧変換回路15a及び電圧変換回路15bで変換した電圧、即ち200V負荷6cに対応した電圧が電力演算回路21cに供給される。
【0049】
そして、電力演算回路21a〜21eは、CT3a〜3eで検出された、負荷6a〜6eに流れる電流と主装置1の電圧変換回路15a又は/及び電圧変換回路15bからの電圧とに基づき、負荷6a〜6eの電力を演算する。
【0050】
このように、第3の実施形態に係る多回路電力計測装置によれば、同じ個別計測装置によって、100V負荷の電力計測も200V負荷の電力計測も行うことができる。
【0051】
また、第1の実施形態に係る多回路電力計測装置と同様に、電力演算回路21a〜21eで計測されたデータを主装置1bの制御回路13に伝送し、制御回路13の制御の下で、計測されたデータを表示部14に表示しても良い。
【0052】
また、第1の実施形態に係る多回路電力計測装置と同様に、主装置1bに設けられた直流電源部11からの直流電源により、個別計測装置2a2〜2e2の直流電源を生成して、生成された直流電源により個別計測装置2a2〜2e2を動作させても良い。
【0053】
また、第1の実施形態に係る多回路電力計測装置と同様に、個別計測装置2a2〜2e2に重み付け回路を設け、この重み付け回路により、電力演算回路21a〜21eからの電力値に対して、CT3a〜3eに合わせた定格設定値を重み付けして、負荷6a〜6eの電力そのものを主装置1bに送るようにしても良い。
【0054】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る多回路電力計測装置の第4の実施形態を説明する。図5は本発明に係る多回路電力計測装置の第4の実施形態を示す構成図である。図5に示す第4の実施形態に係る多回路電力計測装置は、図1に示す第1の実施形態に係る多回路電力計測装置に対して、個別計測装置2a3〜2c3の構成が異なることを特徴とする。
【0055】
個別計測装置2a3〜2c3は、直流電源22a〜22cと、電力演算回路33a〜33cと、中央処理装置(以下、CPUと略称する。)35a〜35cとを有している。
【0056】
電力演算回路33a〜33cは、電圧変換回路15からのアナログ電圧信号をデジタル電圧信号に変換する電圧計測回路としてのアナログデジタル変換器(以下、ADCと略称する。)31a〜31cと、CT3a〜3cで検出された、負荷回路5a〜5cに流れるアナログ電流信号をデジタル電流信号に変換するADC32a〜32cと、ADC31a〜31cからのデジタル電圧信号とADC32a〜32cからのデジタル電流信号とを乗算して負荷回路5a〜5cの電力を算出する乗算器33a〜33cとを有している。
【0057】
CPU35a〜35cは、乗算器33a〜33cで得られた負荷回路5a〜5cの電力値とADC31a〜31cからのデジタル電圧信号とを主装置1c内の制御回路13cに送信するようになっている。
【0058】
このように第4の実施形態に係る多回路電力計測装置によれば、個別計測装置2a3〜2c3内のADC31a〜31cが主装置1c内の電圧変換回路15からの電圧信号を計測してCPU35a〜35cに出力し、主装置1cの制御回路13cは、電圧変換回路15からの電圧信号の値を個別計測装置2a3〜2c3内のCPU35a〜35cから読み出すことができる。従って、主装置1cの処理負担を軽減することができる。
【0059】
なお、主装置1cは、電路7から電源電圧を入力するので、個別計測装置2a3〜2c3に電圧計測回路を設ける代わりに、主装置1cに電圧計測回路を設け、この電圧計測回路により、電路7から入力された電源電圧を計測しても良い。
【0060】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係る多回路電力計測装置の第5の実施形態を説明する。多回路電力計測装置のそれぞれは、盤内に設置されることが多く、多くの電力負荷からのノイズの影響を受けやすい環境にある。個別計測装置は、負荷回路の電力量の積算を行うが、ノイズの影響でこの積算値がリセットされることもあり得る。
【0061】
そこで、図6に示す第5の実施形態に係る多回路電力計測装置は、ノイズの影響を最小限にするために、個別計測装置2a4〜2c4内に積算部37a〜37cを設けるとともに、主装置1dに差分値算出部17及び積算レジスタ19を設けたことを特徴とする。
【0062】
積算部37a〜37cは、電力演算回路21a〜21cで得られた電力を収集サイクル毎に積算し、収集サイクル毎の積算電力量を主装置1d内の制御回路13dに出力する。差分値算出部17は、収集サイクル毎に積算部37a〜37cからの積算電力量の差分値を算出し、算出された差分値を積算レジスタ19に積算させる。
【0063】
このように第5の実施形態に係る多回路電力計測装置によれば、積算部37a〜37cで得られた収集サイクル毎の積算電力量が主装置1d内の差分値算出部17に送られ、差分値算出部17は、収集サイクル毎に積算部37a〜37cからの積算電力量の差分値を算出する。そして、差分値算出部17は、差分値が所定値以下かどうかを判定する。このとき、差分値は、個別計測装置が正常であれば所定値よりも小さい値となる。この場合には、算出された差分値を積算レジスタ19に足し込んでいく。
【0064】
一方、差分値が所定値を超えている場合、例えば、個別計測装置からの積算電力量がノイズの影響によりリセットした場合には、差分値は、収集サイクル内では理論上あり得ない大きな値となる。この場合には、算出された差分値を積算レジスタ19に足し込まないようにする。このとき、収集サイクルを短くすれば、ノイズによる積算電力量のリセットの影響を実際上問題のない範囲に押えることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上の発明によれば、装置の無駄をなくし、高い計測精度を保証でき、個別計測装置のそれぞれに電源回路を設ける必要がなく、データを一括して収集できる多回路電力計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多回路電力計測装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係る多回路電力計測装置の第2の実施形態を示す構成図である。
【図3】本発明に係る多回路電力計測装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る多回路電力計測装置の第3の実施形態を示す主要部構成図である。
【図5】本発明に係る多回路電力計測装置の第4の実施形態を示す構成図である。
【図6】本発明に係る多回路電力計測装置の第5の実施形態を示す構成図である。
【図7】従来の多回路電力計測装置の一例を示す構成図である。
【図8】従来の多回路電力計測装置の他の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…主装置、2a〜2c…個別計測装置、3a〜3c…電流トランスCT、5a〜5c…負荷回路、7,7a〜7c…電路、8a〜8d…電圧線、9a〜9c…ブレーカ、11…直流電源部、13…制御回路、14…表示部、15…電圧変換回路、17…差分値算出部、19…積算レジスタ、21a〜21c…電力演算回路、23a〜23c…直流電源、27a〜27c…重み付け回路、29a…電圧選択部、31a〜31c…ADC、32a〜32c…ADC、33a〜33c…乗算器、35a〜35c…CPU、37a〜37c…積算部。
Claims (8)
- 配電系統に接続された複数の負荷回路の消費電力、電力量を測定する多回路電力計測装置において、
前記配電系統から電源電圧を入力するとともに前記電源電圧に相当する電圧信号を供給する主装置と、
前記負荷回路に流れる電流を検出し前記電流に相当する電流信号を供給する電流検出部と、
前記複数の負荷回路にそれぞれ設けられ、前記主装置から前記電圧信号が供給されるとともに、前記電流検出部から電流信号が供給される個別計測装置とを備え、
前記複数の個別計測装置の各々は、電流検出部で検出された、当該負荷回路に流れる電流信号と前記主装置から供給される前記電圧信号とに基づき当該負荷回路の消費電力を演算する電力演算手段を備えることを特徴とする多回路電力計測装置。 - 前記複数の個別計測装置の各々は、前記電力演算手段で得られた当該負荷回路の消費電力の値を前記主装置に伝送することを特徴とする請求項1記載の多回路電力計測装置。
- 前記主装置は、前記配電系統から電源電圧を入力して直流電源を生成する直流電源部を備え、該直流電源部の直流電源を前記複数の個別計測装置の各々に供給することを特徴とする請求項1記載の多回路電力計測装置。
- 前記複数の個別測定装置の各々は、前記電力演算手段からの消費電力に対して前記電流検出部に合わせた定格設定値を重み付けして、重み付けされた消費電力を前記主装置に供給する重み付け手段を備えることを特徴とする請求項1記載の多回路電力計測装置。
- 前記配電系統は、第1及び第2電路間に定格電圧が印加され且つ第2及び第3電路間に前記定格電圧が印加されると共に第1及び第3電路間に前記定格電圧の2倍電圧が印加されてなる単相三線回路からなり、
前記複数の負荷回路は、前記定格電圧に対応した1以上の第1負荷と、前記定格電圧の2倍電圧に対応した1以上の第2負荷とからなり、
前記主装置は、前記第1及び第2電路間の前記定格電圧に相当した第1電圧信号と前記第2及び第3電路間の前記定格電圧に相当した第2電圧信号とを前記複数の個別計測装置の各々に出力し、
前記複数の個別計測装置の各々は、前記第1負荷又は前記第2負荷に応じて、前記主装置からの前記第1電圧信号と前記第2電圧信号との少なくとも1つの電圧信号を選択して前記電力演算手段に供給する選択手段を備えることを特徴とする請求項1記載の多回路電力計測装置。 - 前記複数の個別計測装置の各々は、前記主装置から供給される前記電圧信号の値を計測する電圧計測手段を備え、該電圧計測手段で計測された値を前記主装置に供給することを特徴とする請求項1記載の多回路電力計測装置。
- 前記複数の個別計測装置の各々は、前記電力演算手段で得られた消費電力を収集サイクル毎に積算する積算手段を備え、前記主装置は、前記個別計測装置内の前記積算手段からの積算電力量の差分値を収集サイクル毎に算出し算出された差分値を積算する差分値算出手段を備えることを特徴とする請求項1記載の多回路電力計測装置。
- 前記差分値算出手段は、算出された差分値が所定値以下である場合にはそのときの差分値を積算し、前記算出された差分値が前記所定値を超える場合にはそのときの差分値を積算しないことを特徴とする請求項7記載の多回路電力計測装置。
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