JP3853516B2 - ラミネートシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、発泡剤や助剤を混入したオレフィン系の樹脂を混練・溶融してシート状の未発泡シート部を押出す押出機を設け、前記未発泡シート部を加熱して発泡シートを形成する発泡炉を設け、前記発泡シートの片面をさらに加熱して溶融させる加熱ロールを設けて、別途形成した表皮の裏面に押圧して、一体に形成するラミネートシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のものとしては、図4〜図7に示すようなものが知られている。
【0003】
すなわち、図4は、カレンダーロール成形機2により、ラミネートシート1を構成する表皮1Aを成形している状態を示している。
【0004】
この表皮1Aは、PP樹脂やEPDMなどをブレンダ3に投入し予備混合し、次にバンバリーミキサ4とミキシングロール4Aとにより混練し、次に加熱ロール5で熱入れして、複数のロールを備えたカレンダロール成形機2に送る。そして、複数のロール間でシート状に圧延し、続くエンボスロール6によりシボ付けし、次にクーリングドラム7間を移送させて冷却し、厚み計8aで表皮厚さを検査した後、ワインダ8で巻取り、所定の長さの巻き取り量になったところで、スリッタ8bで切断して表皮1Aを形成させている。
【0005】
図5は、ラミネートシート1を構成する発泡シート11Bとなる未発泡シート部1Bを押出機12により押出し、成形している状態を示している。
【0006】
この未発泡シート部1Bは、オレフィン系の樹脂に化学発泡剤をホッパ13から投入し、ヒータ14Bで加熱させ、駆動モータ14aでスクリュー14cを回転させる混練部14で混練・溶融させ、Tダイ15からシート状に所定の厚さに押出して未発泡シート部1Bを形成させる。
【0007】
図6は、図4で形成した表皮1Aと、図5で形成した未発泡シート部1Bとを接合して、ラミネートシート1を成形している状態を示している。
【0008】
すなわち、熱風発泡工程では、図4で形成された未発泡シート部1Bを加熱炉16に移送させ、予備加熱ヒータ16aで予備加熱させながら本加熱に移り、本加熱ヒータ16bと熱風16cの加熱により混練されている発泡剤を発泡させて、発泡シート11Bを形成させる。
【0009】
この発泡シート11Bは表皮接合工程において、加熱ロール17により加熱され片面を溶融させる、また発泡シート11Bに向けて移送さられてきた表皮1Aも、加熱ロール17で加熱されその裏面側が溶融される。
【0010】
そして、互いに溶融した両面が押圧ロール18で加圧させることにより接合させ、巻取られたり定尺ものにしたりして、続く切断工程でスリッタ8bにより切断されてラミネートシート1が形成される。
【0011】
図7は、図6で形成されたラミネートシート1を使用し、芯材19を射出成形したり、プレス射出成形(一般にSPMと称する。)したりして成形された成形品111の要部断面を示している。
【0012】
また、その横側には、成形品111の各層の圧縮かたさを、イメージ表現したものである。
【0013】
この様に芯材19用樹脂が、溶融されゲート(図示せず)からスプルー19aを介して射出され、ラミネートシート1の発泡面に高熱・高圧の状態でぶつかり、発泡面を溶融(n厚さ)しながら流動して芯材19を形成する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のラミネートシート1にあっては、一層の発泡シート11Bであるので、当圧部19bにおいては発泡面が熱と圧力によってえぐられ薄くなる上に、発泡面が大きく溶融されて発泡シート19が薄くなり(感触の良い発泡倍率の高いもの程、薄くなる傾向が大きい)、したがって、クッション性が低下し感触を喪失するという課題を有していた。
【0015】
また、耐熱・耐圧性を向上させるために発泡倍率を下げると圧縮かたさが高くなり感触が低下するので、成形品111の質感が劣ることになる。すなわち、感触と耐熱性のどちらかを犠牲にしなければならないという課題を有していた。
【0016】
それで、本発明は、成形品を成形する時に芯材用樹脂の射出圧や高熱を受けても、発泡体のクッション性を喪失しないラミネートシートを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、発泡剤や助剤を混入したオレフィン系の樹脂を混練・溶融してシート状の未発泡シート部を押出機により押出し、前記未発泡シート部を発泡炉により加熱することによって発泡シートを形成し、前記発泡シートの片面を加熱ローラによってさらに加熱することにより溶融させ、前記発泡シートの前記片面を別途形成した表皮の裏面に押圧することにより前記発泡シートと前記表皮とを一体にすることによって成形されるラミネートシートにおいて、複数の押出機でそれぞれ異なる所定量の発泡剤や助剤を混入した各樹脂を混練・溶融し、前記複数の押出機のうち第1押出機より第1樹脂をノズルからシート状に押出して第1未発泡シート部を形成し、該第1未発泡シート部を第1発泡室内に移送し、前記第1発泡室に装着された電子線照射装置により電子線を前記第1未発泡シート部に照射することにより該第1未発泡シート部を架橋した後、前記第1発泡室に装着された加熱ヒータで加熱することによって前記第1未発泡シート部を発泡させることにより形成される第1発泡層、前記未発泡シート部を前記第1発泡室内に移送することにより形成した前記第1発泡層の上側に、第2押出機から第2樹脂をシート状に押出し、該第2樹脂が積層された前記第1発泡層を第2発泡室内に移送し、該第2発泡室で前記第2樹脂を架橋・発泡させることにより前記第1発泡層上に形成される第2発泡層、及び、該第2発泡層の上側に順次、多層に成形される複数の発泡層を有し、前記第1発泡層から最上層を構成する前記発泡層に向けて発泡倍率が漸減又は漸増する発泡体と、該発泡体を構成する前記各発泡層のうち発泡倍率が最も高い前記発泡層の表面に接合される前記表皮とを備え、該表皮が接合された前記発泡層と反対側に位置する前記発泡層に向けて溶融樹脂が射出されることによりインサート成形品に埋設されることを特徴としている。
【0018】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載のラミネートシートにおいて、前記各発泡室で加熱され発泡する前記各発泡層の発泡倍率は、それぞれ前記発泡剤の混合率の規制により、所定の発泡倍率に設定されることを特徴としている。
【0019】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載のラミネートシートにおいて、前記ノズルからシート状に押出された樹脂は、回転可能なベルトにより所定の厚さに移送されることを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
【0023】
【実施の形態1】
本発明のラミネートシートに係る実施の形態1を図1及び図3に基づいて説明する。
【0024】
図1は、ラミネートシートの成形工程を断面で示す説明図である。
【0025】
図3は、ラミネートシートを使用して成形した成形品の説明図である。
【0026】
図1において、21はラミネートシートで、このラミネートシート21は表皮22に発泡体23が接合されて表裏一体になっている。また、発泡体23は第1発泡層231〜第4発泡層234と多層の積層された発泡層である。
【0027】
このラミネートシート21の成形工程は、発泡ステージと表皮接合ステージとからなっており、まず発泡ステージでは、平滑で回転可能なベルトコンベア24を設け、このベルトコンベア24の上部に位置して第1〜第4の各発泡室25,26,27,28を設け、この各発泡室25,26,27,28には電子線照射装置25dと加熱ヒータ25eとを装着させている。
【0028】
また、それぞれの電子線照射装置25dの前部近傍には、複数の樹脂押出機にそれぞれ連結されているノズル25cを設けている。
【0029】
そして、第4発泡室28の後方に、調厚ロール30と加熱ロール31を設けている。
【0030】
続く、表皮接合ステージにおいては、この加熱ロール31の上方に、表皮22ロールを位置させ、矢印のように下方に向けて送出できるように装着させている。
【0031】
この表皮は加熱ロール31により挟み込まれて裏面側が溶融され、続けて発泡体に向けて押圧がかかるように、狭めた間隔に押圧ロール32を設けている。
【0032】
この押圧ロール32間を表皮と発泡体とが、押圧を受けながら移送されて接合される。そして、押圧ロール32間を通過すると発泡体23が所定の厚さに復元する。
【0033】
続けて、冷却・移送ロール33を配設している。さらに続けて、スリッタ34を設け、所定の寸法にラミネートシートを切断するようにしている。
【0034】
勿論、所定の長さに巻き取ってロール状にしてからスリッタをかけてラミネートシートを切断し、搬送や保管するようにしてもよい。
【0035】
以上に示したように、発泡密度が各異なる多層の発泡層231,232,233,234で構成された発泡体23と、表皮22とを接合して形成したラミネートシート21を使用して、成形品20を成形した場合の成形状態について、主に図3に基づいて説明する。
【0036】
図3は、成形品の要部断面図を示しており、その横側には成形品を構成している各発泡層の圧縮かたさを示している。
【0037】
すなわち、芯材19用の溶融された樹脂(約180℃)がスプルー19aから射出されると、ラミネートシート21の最下面である第1発泡層231に当たり、図3中、横方向に広がるように流動する。
【0038】
このとき、第1発泡層231は発泡倍率を低くして圧縮かたさを高くしているので、芯材19用の樹脂には表面が溶融(m)され接着層となるだけであって、図7に示す従来例のように、発泡層231が溶融(n)されえぐり取られ、発泡層が薄くなることはない。
【0039】
それで、第2発泡層232以降の高発泡である発泡層232,233,234も保護されて、発泡成形時のままのクッション性を保持することができる。
【0040】
なお、成形品20を低圧成形であるプレス射出成形に比し、高圧成形である射出成形の場合には、第1発泡層231のみ殆ど発泡させずソリッドの薄いシート状に形成させて多層としてもよい。
【0041】
【実施例】
さらに、以下のような条件でラミネートシートを形成させた結果、成形品の成形に当たってクッション性が失われることなく、極めて良好な感触が得られた。
なお、発泡層を本実施の形態では、4層としたが、発泡倍率を調整しながら発泡層を増減させて、良感触を見出すことも考えられる。
【0042】
【実施の形態2】
本発明のラミネートシート用の発泡体に係る実施の形態2を図2及び図3に基づいて説明する。
【0043】
図2は、ラミネートシート用の発泡体の成形状態を示す説明図である。
【0044】
図2において、44はホッパ45から投入されたオレフィン系の樹脂43Aを混練・溶融する押出機、46は押出機44の先端部44aにブレーカプレート46bを挟んでダイス46を組み付け、このダイス46の内部には放射状に分流路46aを形成させ押し出されてきた樹脂を分流させるようにしている。
【0045】
47はダイス46に組付けられ、ダイス46の分流路46aと連結する平行分流路47cを有する混入部で、この混入部47には外部からそれぞれ所定量の発泡剤が投入できるように、平行分流路47cに開口する混入口47eを有する発泡剤用ホッパ47dを装着させている。
【0046】
また、混入口47eの流路後部には、それぞれミキサ47f(主にスタティックミキサを指す。)を挿着させている。
【0047】
そして、この混練部47の後端部には、積層ノズル48を組付けている。
【0048】
この積層ノズル48内部には、積層流路48gを設けており、この積層流路48gは平行分流路47cと連結して吐出口48hに向かい、この吐出口48hで各平行分流路47cが一体に積層され未発泡多層シート431を吐出し移送する構成としている。
【0049】
この移送された未発泡シート部431は、架橋のために設けられた電子線照射用の電子線照射装置の下方を移送される。
【0050】
続けて、発泡させるために設けられた予備加熱ヒータと熱風ノズルを内在させた発泡室の中を移送される。
【0051】
この発泡室で発泡された発泡シートは冷却され、ロール状に巻取って成形を完了する。
【0052】
この成形された発泡シートは、実施の形態1と同様に別途成形された表皮に接合されて、ラミネートシートを形成させる。
【0053】
その他の構成、作用及び実施例は実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、従来一種類の発泡シートと表皮を接合してラミネートシートをしていたものが、各種の発泡倍率のものを組み合わせて多層の発泡体の成形ができるので、成形時に芯材の射出圧・熱に対応できる発泡体となる。
【0055】
したがって、成形後も発泡体のクッション性が喪失されることなく、感触の良い成形品を得ることができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、発泡体の各発泡層の発泡倍率が自由に選定でき、第1発泡層には耐圧・耐熱の機能を持たせ、それに載せる発泡層は高発泡として感触の機能を持たせることにより、従来、耐圧・耐熱のために発泡シートの発泡倍率を低くして感触を犠牲にしていたものと比し、発泡倍率が自由にとれて良感触の発泡体とすることが可能となった。
【0057】
請求項3の発明によれば、ベルトの送り速度が自由に調整できる。
【0058】
したがって、ベルト送りを発泡速度と合わせることができて、品質の安定した発泡シートを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るラミネートシートの成形工程を示す断面による説明図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る発泡体の成形状態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1,2に係る成形品の要部断面図である。
【図4】従来例に係る表皮の成形状態を示す説明図である。
【図5】従来例に係る未発泡シート部の成形状態を示す説明図である。
【図6】従来例に係るラミネートシートの成形状態を示す説明図である。
【図7】従来例に係る成形品の要部断面図である。
【符号の説明】
21……ラミネートシート
23a……未発泡シート部
231……第1発泡層
232……第2発泡層
233……第3発泡層
234……第4発泡層
25……第1発泡室
25c……ノズル
25d……電子線照射装置
25e……加熱ヒータ
26……第2発泡室
Claims (3)
- 発泡剤や助剤を混入したオレフィン系の樹脂を混練・溶融してシート状の未発泡シート部を押出機により押出し、前記未発泡シート部を発泡炉により加熱することによって発泡シートを形成し、前記発泡シートの片面を加熱ローラによってさらに加熱することにより溶融させ、前記発泡シートの前記片面を別途形成した表皮の裏面に押圧することにより前記発泡シートと前記表皮とを一体にすることによって成形されるラミネートシートにおいて、
複数の押出機でそれぞれ異なる所定量の発泡剤や助剤を混入した各樹脂を混練・溶融し、前記複数の押出機のうち第1押出機より第1樹脂をノズルからシート状に押出して第1未発泡シート部を形成し、該第1未発泡シート部を第1発泡室内に移送し、前記第1発泡室に装着された電子線照射装置により電子線を前記第1未発泡シート部に照射することにより該第1未発泡シート部を架橋した後、前記第1発泡室に装着された加熱ヒータで加熱することによって前記第1未発泡シート部を発泡させることにより形成される第1発泡層、
前記未発泡シート部を前記第1発泡室内に移送することにより形成した前記第1発泡層の上側に、第2押出機から第2樹脂をシート状に押出し、該第2樹脂が積層された前記第1発泡層を第2発泡室内に移送し、該第2発泡室で前記第2樹脂を架橋・発泡させることにより前記第1発泡層上に形成される第2発泡層、
及び、該第2発泡層の上側に順次、多層に成形される複数の発泡層を有し、
前記第1発泡層から最上層を構成する前記発泡層に向けて発泡倍率が漸減又は漸増する発泡体と、
該発泡体を構成する前記各発泡層のうち発泡倍率が最も高い前記発泡層の表面に接合される前記表皮とを備え、
該表皮が接合された前記発泡層と反対側に位置する前記発泡層に向けて溶融樹脂が射出されることによりインサート成形品に埋設されることを特徴とするラミネートシート。 - 前記各発泡室で加熱され発泡する前記各発泡層の発泡倍率は、それぞれ前記発泡剤の混合率の規制により、所定の発泡倍率に設定されることを特徴とする請求項1に記載のラミネートシート。
- 前記ノズルからシート状に押出された樹脂は、回転可能なベルトにより所定の厚さに移送されることを特徴とする請求項1又は2に記載のラミネートシート。
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