JP3853089B2 - 遊離ホルムアルデヒドが低減されたセルロース系繊維製品及びセルロース系繊維製品貯蔵中の遊離ホルムアルデヒドの低減除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊離ホルムアルデヒドが低減された形態安定化セルロース系繊維製品、及び形態安定化加工を施したセルロース系繊維製品の貯蔵中の遊離ホルムアルデヒドの低減除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セルロース系繊維製品は、洗濯することによって形態寸法が収縮するため、これを抑制するために樹脂加工、ホルムアルデヒドガスによる気相加工、及び加熱収縮加工などのいわゆる形態安定化加工が施されている。このうち前2者は加工後遊離ホルムアルデヒドを生成するので、それを低減するための工夫(例えば、特開平10−168741)はなされているが、セルロース系繊維製品貯蔵中に経時的に発生する遊離ホルムアルデヒドを低減する技術は、学術雑誌に散見されるのみである。すなわち、低ホルムアルデヒド加工セルロース系繊維製品の製造後貯蔵中においてこれらセルロース系繊維製品から放散する遊離ホルムアルデヒドを低減し、公的規則基準値〔(A−A0 )値≦0.05〕を満足する最も簡便且つ有効な方法は、ホルムアルデヒド捕集除去剤の水溶液でこれらセルロース系繊維製品を処理して遊離ホルムアルデヒドを除去するものである〔Cooke Theodore F.,Olney Medal Assess 15,(12)233−238(1983)〕〔Sello Stephan B.,JSDC 101,99−105(1985)〕〔Hilden J.,Int.Tex.Bull.Dyeing/Printing/Finishing,1/86〕。この方法は、セルロース系繊維製品中に存在する遊離ホルムアルデヒド及び一部の遊離しやすいホルムアルデヒドを除去し、セルロース系繊維製品を安定化させ、セルロース系繊維製品中に存在する結合ホルムアルデヒドからホルムアルデヒドが再度遊離するのを防止するものである。この方法は一時的には有効な方法だが、3ケ月以上経過したセルロース製品をみると遊離ホルムアルデヒド量が公的規制基準値を満足しなくなっているものが多くみられる(表1参照)。
【0003】
本発明者による実験結果から、この方法による加工処理が公的規制基準値を満足する有効期間(加工処理後遊離ホルムアルデヒド量が規制基準値未満となったセルロース系繊維製品を貯蔵してから再度その遊離ホルムアルデヒド量が規制値を超えるまでの期間をいう)は通常の常温貯蔵では約3ケ月であることがわかった(表1参照)〔南部雅弘、(財)日本化学繊維検査協会平成4年度研究報告研究No.その他6〕。その対象として遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤の濃度を上げたりして加工を変えても、効果が変わらないこともわかった。そればかりか遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤の濃度を上げるとセルロース系繊維製品の変色が生じる〔Perry,R.S.,Tsou,C.H.and Lee,C.S.,Textile Chem.Color.12,No12.,311−316(1980)〕。また、蒸気によって遊離ホルムアルデヒドを追い出す方法、及びこの方法とホルムアルデヒド捕集除去剤処理を併用した方法も検討されているが、同じく有効期間延長に関して有効ではない(表1参照)。
【0004】
【表1】
【0005】
尚、従来からほかのセルロース系繊維製品から放散する遊離ホルムアルデヒドによる移染防止のためにセルロース系繊維製品を袋詰めする対策は施されていたが、それ以上の十分な対象検討はなされていない。国内又は海外でホルムアルデヒド樹脂加工した製品を輸出又は輸入の後、消費者にわたる一定期間(数ケ月)〔Jaco,P.J.,and Hendrix,J.E.,Textile Chem.Color.14,No9.,194−199(1982)〕貯蔵される場合が多い。その結果、現在市場に出ているこれらセルロース系製品のなかには貯蔵(ストック)期間の経過と共に流通販売できなくなってしまっている製品が少なからずある。
これらの実状から、セルロース系繊維製品を取り扱う現場サイドからは、上記の有効期間の2倍延長(最低6ケ月)がのぞまれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した従来技術の問題点を解決することにあり、特に形態安定化加工を施したセルロース系繊維製品中の遊離ホルムアルデヒド濃度を平均的貯蔵期間(3ケ月)の2倍以上の貯蔵期間において公的規制基準値を満足することを可能にする手段を提供することにある。
本発明者の検討の結果、ホルムアルデヒド捕集除去剤の水溶液を用いた処理を施してセルロース系繊維製品を安定化させても、セルロース系繊維製品に施された結合ホルムアルデヒドの一部が貯蔵期間内において大気中の水分により徐々に加水分解するため遊離ホルムアルデヒドが徐々に発生してセルロース系繊維製品に経時残留蓄積し、その結果3ケ月後には規制基準値を超えることがわかった。
これらの知見に基づいて、効果の顕著な本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤を付着させた形態安定化セルロース系繊維製品を乾燥剤を封入した疎水性ポリマー製の袋の中に密閉貯蔵してなることを特徴とする遊離ホルムアルデヒドが低減された形態安定化セルロース系繊維製品包装体である。
本発明の第2は、形態安定化化学加工を施したセルロース系繊維製品を、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液にて含浸処理し、次いで脱液して乾燥し、その形態を整えた後、乾燥剤を封入した疎水性ポリマー製の袋の中に密閉して貯蔵することを特徴とするセルロース系繊維製品貯蔵中の遊離ホルムアルデヒドの低減方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に供されるセルロース系製品は形態安定化処理を施したセルロース系製品であれば本質的にはいずれも包含されるが、最終加工製品、特に乳幼児用衣類やパジャマ等が好ましく用いられる。
以下本発明の好ましい態様を図面も参照しつつ説明する。
【0009】
形態安定化化学加工を施した上記のようなセルロース系繊維製品を、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤(通称ホルマリンキャッチャー)の水溶液を含有する遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液槽〔3〕内で含浸処理し、脱液して乾燥させた後、アイロン掛け又はプレス処理を施して形態を整え、ただちに乾燥剤を封入した疎水性ポリマー製の袋の中に密閉して貯蔵する。より具体的には、例えば遊離ホルムアルデヒドの除去剤水溶液を常温で操作して、セルロース系繊維製品の遊離ホルムアルデヒドを除去するよう組成及び濃度を調整工夫された遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液移送管I〔2〕及び遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液槽〔3〕、この溶液にセルロース系繊維製品を浸漬してその遊離ホルムアルデヒドを除去するための遊離ホルムアルデヒド捕集除去槽〔4〕、その後製品を脱液(加圧・遠心)・乾燥する遠心分離機〔5〕、乾燥機〔6〕からなる遊離ホルムアルデヒド捕集除去部、及びこの遠心分離機〔5〕内の溶液を濾過・回収する遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液回収槽〔7〕、この回収槽の除去剤水溶液を再び遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液槽〔3〕に送り込む除去剤水溶液移送管II〔8〕、ポンプI〔9〕、ポンプII〔10〕からなる除去剤水溶液回収部からなる装置を使用する。乾燥したセロルース系繊維製品はアイロンもしくはプレス機を使用して形態を整えた後、乾燥剤と共に疎水性ポリマーからなる袋に密閉貯蔵する。
【0010】
前記の遊離ホルムアルデヒド捕集除去部は、吸引機構に接続したものであってもよい。また、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕は、カーボアマイド、カーボヒドラジド、アミノプラスト化合物等の有機アミン系化合物等の公知のホルムアルデヒド捕集除去剤(固体)を水で溶解して水溶液としたもの等が適宜用いられる。
公知の遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤には、エアクリン(カーボアマイドタイプ、一方社油脂工業(株))、スミテックスバッファ190−AS (カーボアマイドポリマータイプ、住友化学工業(株))、パンシルAA−7(アミノプラスト化合物、高松油脂(株))等の市販品があり、これらは適宜の標準使用濃度液で用いうる。
尚、捕集除去槽〔4〕及び遠心分離機〔5〕としては具体的には工業用洗濯機(タンブラー型)等を用いうる。上記の方法で処理すべきセルロース系繊維製品の数量が少量であれば、市販のタンブル乾燥機型家庭用洗濯機及びタンブル乾燥機等を用いることができる。
【0011】
図示した遊離ホルムアルデヒド除去装置を用いることにより処理中にセルロース系繊維製品から遊離ホルムアルデヒドが生成するのを極力抑え、迅速に遊離ホルムアルデヒドの除去処理を行うことができるが、これによらず、上記の遊離ホルムアルデヒド低減方法を手動で行ってもよい。
また、必要により、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕を用いて遊離ホルムアルデヒドを捕集除去する前に、あらかじめ、10℃以下の水に3分から30分以内の間セルロース系繊維製品を浸漬してセルロース系繊維製品中において定常状態にある遊離ホルムアルデヒドを除去してもよい〔Andrews,B.A.K.and Reinhardt,R.M.,Textile Res.J.56,(2)115−120(1986)〕。
【0012】
また、乾燥後においてセルロース系繊維製品の形態を整えるために、JIS L 0217の302号又は同303号に準拠する中温又は低温のアイロン掛けもしくはJIS L 1042 H法に準拠するプレス処理をセルロース系繊維製品に対して施すことが好ましい。この場合、遊離ホルムアルデヒドの再発生を極力抑えるために、アイロン掛けもしくはプレス処理に当たってはセルロース系繊維製品に水を噴霧すべきでない。通常、乾熱のアイロン掛けもしくは乾熱プレス処理(JIS L 1042 H−1法に準拠する方法)を行う。但し、スチーム(蒸熱)トンネルによるスチーム(蒸熱)処理及びスチーム(蒸熱)アイロン掛けは、スチーム(蒸熱)が遊離ホルムアルデヒドの排除に寄与するため(表1参照)、処理時間を短くしてこれを用いてもよい。スチームトンネルによるスチーム処理は、東京洗染機械製作所製TST−500F型スチームトンネルを用いて行ってもよい。スチームアイロン掛けは、JIS C 9203に準拠する職業用スチームアイロンを用いて、JIS L 1057 B法に準拠する蒸熱を用いるアイロン法を用いた処理を行ってもよい。プレス処理についても同様である。すなわち、処理時間が短いJIS L 1042 H−2法、H−3法、及びH−4法のいずれかに準拠する蒸熱を用いるプレス処理を行ってもよい。いずれの場合も、その後、ただちにセルロース系繊維製品に対して乾熱のアイロン掛けもしくはホットプレス処理(JIS L 1042 H−1法に準拠する方法)を行い、水分を排除するとよい。なお、セルロース系繊維製品を大量に処理する場合には、工業用大型プレス機を用いて行う上記のプレス処理が好ましい。その場合、スチームトンネルを併用するとよい。
【0013】
また、貯蔵容器は、低密度ポリエチレン、又はポリプロピレン製などの疎水性ポリマー製で、セルロース系繊維製品の経時的変色に寄与するBHTなどの酸化防止剤をなるべく含まない材質の、袋状ものであり、密封シール付きで、セルロース系繊維製品封入後密封又は結び留めして密封することが可能な大きさのものであることが望ましい。
また、セルロース系繊維製品の貯蔵は、上記のような袋を用いた密封袋詰めを基本単位として貯蔵するものであるが、一度に多量のセルロース系繊維製品を貯蔵する場合には、この密封袋詰めを施したセルロース系繊維製品もしくはこの密封袋詰めを施していないセルロース系繊維製品を密閉型の大きな箱形容器を用いて多量に貯蔵してもよい。その場合には、本発明の条件を満足するように以下に記する貯蔵容器内に封入する乾燥剤と併用して、例えば市販の家庭用挿入用大型乾燥剤、すなわち吸湿量の絶対値が大きい乾燥剤を当該容器の中で使用状態にして、セルロース系繊維製品と共に密閉安置することが望ましい。
【0014】
また、貯蔵容器内に封入する乾燥剤は特に制限されないが、JIS Z0701包装用シリカゲル乾燥剤に準じた材質がシリカゲル又は塩化カルシウム等の乾燥剤の水分吸収量が0.03〜0.50gH2O /gの性能でのものが好ましい。その単一容器あたりの使用量は、封入すべきセルロース系繊維製品の乾燥度により異なるが、そのセルロース系繊維製品重量の10%から50%までとするのが望ましい。また、この乾燥剤は直接セルロース繊維製品と裸で接触しないように、包装用に包装加工(袋詰め)されたものであることが望ましい。
また、乾燥剤とともにホルムアルデヒド捕集除去剤(固体)を併用してもよい。
【0015】
〔作用〕
本発明は、上述のように構成したものであるから、上記のように遊離ホルムアルデヒド除去処理して乾燥したセルロース系繊維製品の形態を整えた後、これを直ちに乾燥剤入りポリマー製袋に封入して密封貯蔵することにより、遊離ホルムアルデヒドの捕集除去に使用したホルムアルデヒド捕集除去剤によるセルロース系繊維製品の変色がなく、遊離ホルムアルデヒドの再発生によるセルロース繊維製品の汚染を半年以上にわたり防止できる。
また、セルロース系繊維製品はスチームで加熱されることがなく、従って遊離ホルムアルデヒド捕集除去処理中に遊離ホルムアルデヒドの発生がなく、これを常温の遊離ホルムアルデヒド捕集除去槽〔4〕に導入して遊離ホルムアルデヒドを捕集してこれを除去することができる。遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕は水溶液であるため遊離ホルムアルデヒド捕集除去槽〔4〕及び遠心分離機〔5〕から多量の遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕を繰り返し回収すること及び遊離ホルムアルデヒド捕集除去槽〔4〕への繰り返し供給が容易であり、遊離ホルムアルデヒドの捕集除去処理を効率よく行うことが可能となる。
また、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕に関しては閉鎖系であるため光による遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕の劣化により発生するとされる遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕の酸化変色がなく、環境対策的にも配慮されている特徴があり、常温で安全に大量の遊離ホルムアルデヒドの捕集除去に使用することが可能となる。
また、遊離ホルムアルデヒド捕集除去部、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液回収部は、吸引機構を用いることにより更に迅速な遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液の回収が可能となる。
【0016】
【実施例】
(1)遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液によるセルロース系繊維製品の処理
遊離ホルムアルデヒド量が異なる純綿製繊維製品(原布)3点についてそれぞれ10gを採取して、それぞれ別々に遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕(標準使用濃度液滴:3w/v%)2Lに、室温で約5分間浸漬し、十分濡らした後、遠心分離機〔5〕の脱水槽で約10秒間脱液する。これを乾燥機〔6〕内に送り、80℃で乾燥した後、中温アイロンで形態を整える。
(2)セルロース系繊維製品の貯蔵
密封可能なポリエチレン製の袋を用意して、(1)で得られたセルロース系繊維製品に対して以下の貯蔵方法を適用した。
貯蔵方法:(1)で調整した試料を、そのまま直ちにポリエチレン製の袋に入れて、これに乾燥剤を加えて密封した後、常温で貯蔵する。
なお、用いた乾燥剤添加量対セルロース系繊維製品試料重量の比は、1:10である。(JIS Z0701包装用シリカゲル乾燥剤使用に対する有効量から算出した)
(3)遊離ホルムアルデヒド量測定方法
遊離ホルムアルデヒド量測定方法は、JIS L 10415.3.1液相抽出法(2)2,4−ペンタンジオン法によった。〔(注)2,4−ペンタンジオン=アセチルアセトン〕
(4)試験結果
処理後各貯蔵期間経過後のセルロース系繊維製品について吸光度測定により求めた遊離ホルムアルデヒド量(A−A0 )の測定結果を表2に示す。なお、貯蔵6ケ月後のセルロース系繊維製品は原布と比較して変色並びに硬化が認められなかった。
すなわち、セルロース系繊維製品を遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤の水溶液などで処理して遊離ホルムアルデヒドを捕集除去し、次いでそのセルロース系繊維製品を乾燥して、その形態を整えた後、そのセルロース繊維製品を乾燥状態に保った貯蔵を行った場合においては遊離ホルムアルデヒド量の規制基準値を長期(6ケ月以上)にわたり満足することを確認した。
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】
(1)本発明によれば、遊離ホルムアルデヒドを捕集除去処理前の遊離ホルムアルデヒド量が概ねA−A0 値で0.35(この値は乳幼児セルロース系繊維製品としては全く受け入れられない高い値である)未満又は濃度で110ppm未満のセルロース系繊維製品であれば、処理後6ケ月の貯蔵期間において、乳幼児用セルロース系繊維製品に対する公的規制基準を満足し、従来の方法による結果(表1参照)と比べてその有効期間には明らかに2倍の差があり、現場サイドの要求に応えるものである。すなわち、貯蔵期間の延長によるセルロース系繊維の流通販売量に寄与する効果は大きい。
(2)また、表1と表2を対比しても明らかなように、本発明は遊離ホルムアルデヒドが比較的高濃度のセルロース系繊維製品にも適用可能である。
(3)本発明は、上述のように常温で繰り返し供給される遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕に、(必要により事前に低温で水洗した)セルロース系繊維製品を浸漬して、その遊離ホルムアルデヒド捕集することによりこれを除去し、セルロース系繊維製品を回収するものであるから、比較的少ない除去剤水溶液により多量の遊離ホルムアルデヒドを捕集除去して、セルロース系繊維製品を安定化して回収することが可能となり、経済的コストの低い遊離ホルムアルデヒドの捕集除去処理を可能とする。
(4)また、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液〔1〕は、同じ装置内で回収され、この遊離ホルムアルデヒド捕集除去槽〔4〕に接続している除去剤水溶液回収部及び遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液移送管II〔8〕により、直ちに回収され再利用することが可能となる。そのため、セルロース系繊維製品浸漬後に遊離ホルムアルデヒドを常温で除去することができ、セルロース系繊維製品の品質の低下を全く損なうことなく迅速に遊離ホルムアルデヒドの除去及び除去剤水溶液の回収作業を可能とすることができる。
(5)また、この常温又は常温以下の温度下で行う遊離ホルムアルデヒド捕集除去処理という低減化処理方法は、その処理中に遊離ホルムアルデヒドの発生がなく、環境に配慮した低減化処理方法である。
(6)また、遊離ホルムアルデヒドの除去後残存する糸くずなどの不純物は除去剤水溶液回収部において常温下で濾過除去されるため、乾燥後もセルロース系繊維製品の品質が維持できる。特に、ホルムアルデヒド捕集除去部と除去剤水溶液回収部を凍結することにより、除去剤水溶液の回収を促進するこどができ、さらに吸引機構と連結することにより常温で迅速に遊離ホルムアルデヒドの除去を可能とすることができるものである。
(7)また、捕集除去槽〔4〕及び遠心分離機〔5〕は、具体的には工業用洗濯機(タンブラー型)を用いて行えるため、同時に大量のセルロース系繊維製品の遊離ホルムアルデヒド捕集除去処理が可能である点において工業的規模で効率よく行える実用性があり、経済的利点がある。
(8)さらに、貯蔵に使用する疎水性ポリマー製袋及び乾燥剤は現状では安価で大量に入手しやすいため、コストがかからず経済的で、セルロース系繊維製品の貯蔵に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる遊離ホルムアルデヒド捕集除去装置の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
1 遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液
2 遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液移送管I
3 遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液槽
4 遊離ホルムアルデヒド捕集除去槽
5 遠心分離機
6 乾燥機
7 遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液回収槽
8 遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液移送管II
9 ポンプI
10 ポンプII
Claims (2)
- 遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤を付着させた形態安定化セルロース系繊維製品を乾燥剤を封入した疎水性ポリマー製の袋の中に密閉貯蔵してなることを特徴とする遊離ホルムアルデヒドが低減された形態安定化セルロース系繊維製品包装体。
- 形態安定化化学加工を施したセルロース系繊維製品を、遊離ホルムアルデヒド捕集除去剤水溶液にて含浸処理し、次いで脱液して乾燥し、その形態を整えた後、乾燥剤を封入した疎水性ポリマー製の袋の中に密閉して貯蔵することを特徴とするセルロース系繊維製品貯蔵中の遊離ホルムアルデヒドの低減方法。
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