JPH11323724A - セルロース系繊維製品の処理方法 - Google Patents

セルロース系繊維製品の処理方法

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JPH11323724A
JPH11323724A JP10137784A JP13778498A JPH11323724A JP H11323724 A JPH11323724 A JP H11323724A JP 10137784 A JP10137784 A JP 10137784A JP 13778498 A JP13778498 A JP 13778498A JP H11323724 A JPH11323724 A JP H11323724A
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幹二 重松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 形態安定性に優れ、更に染色性にも優れたセ
ルロース系繊維製品を提供する。 【解決手段】 セルロース系繊維製品を、絶対圧力4k
gf/cm2以上で且つ温度140℃以上の水蒸気雰囲
気下で所定時間処理する。水蒸気処理した後、この処理
雰囲気を維持した状態で、セルロース系繊維製品に水を
付与する。具体的には、スチーマーに設けられた上部プ
レス板にセルロース系繊維製品付きピン枠を固定し、水
蒸気処理する。この後、上部プレス板を下方に降ろし
て、下部プレス板に載置されたバット中の水に浸漬す
る。セルロース繊維が水を吸水した後、大気雰囲気に戻
す。これによって、形態安定性に優れたセルロース系繊
維製品を得ることができる。また、この後、従来公知の
方法で染色すれば、中濃色に染色でき、良好な染色性を
発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース系繊維
製品の処理方法に関する。特に、セルロース系繊維製品
の形態安定加工方法に関し、合理的に且つ経済的に形態
安定加工できる方法を提供するものである。また、セル
ロース系繊維製品の染色方法に関し、形態安定加工が施
されているセルロース系繊維製品を、合理的に且つ経済
的に中濃色に染色できる方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】綿やビスコースレーヨン等を用いて得ら
れたセルロース系編織物は、一般に形態安定性が悪い。
即ち、セルロース系編織物はしわがより易く、W/W性
(ウォッシュアンドウエア性)が悪く、また、ひだ付け
加工されたセルロース系編織物は、そのひだが洗濯によ
って簡単に消失してしまう。このような形態安定性の悪
さを改善するために、従来より、セルロース系編織物に
樹脂加工を施すことが行なわれている。この樹脂加工
は、セルロース分子相互間を架橋するもので、例えばジ
メチロール尿素やジメチロールトリアゾン等の各種架橋
剤をセルロース系編織物に付与して行なうものである。
この樹脂加工によって、セルロース分子相互間が動きに
くくなって、セルロース系編織物に形態安定性が付与さ
れるのである。しかしながら、この方法は、セルロース
系繊維への樹脂付着を伴うことにより、セルロース系繊
維の引張強力や摩耗強力を低下させるという欠点があっ
た。
【0003】このため、近年、セルロース系繊維製品に
樹脂付着を伴わない、形態安定加工法が提案されてい
る。この方法は、セルロース系繊維製品を、絶対圧力3
kgf/cm2以上で且つ温度130℃以上の水蒸気雰
囲気下で所定時間処理することによって、セルロース系
繊維製品に形態安定性を付与するというものである(特
開平5−33259号公報)。この方法の作用は、セル
ロース系繊維製品を高圧・高温の水蒸気で処理すること
によって、セルロース繊維内部の非晶領域ないしは疑結
晶領域における水素結合を水蒸気の作用により切断し、
セルロース分子を外力に応じて移動せしめた後、所定の
状態で結晶化を進行させるというものである。従って、
高圧・高温の水蒸気処理を終えたセルロース系繊維製品
は、その処理時の形態に固定され、洗濯等を数回程度繰
り返しても、しわが生じにくく、また当初の形態を消失
しにくいものである。
【0004】しかしながら、この方法は、セルロース分
子の結晶化を進行させて、形態安定性を図るものである
ため、処理後のセルロース系繊維製品を染色した場合
に、濃色に染色しにくいということがあった。即ち、セ
ルロース繊維の染色は、非晶領域に染料が染着すること
によって行なわれるのであるが、処理後のセルロース繊
維には、非晶領域が少なくなっている傾向があり、多量
の染料が染着しにくく、そのために、セルロース繊維を
中濃色に合理的且つ経済的に染色しにくい傾向にある。
また、セルロース繊維表面の結晶化が進行していると、
セルロース繊維内部にある程度非晶領域があっても、そ
の非晶領域に染料が侵入しにくく、セルロース繊維を中
濃色に合理的且つ経済的に染色しにくくなる傾向とな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等
は、特開平5−33259号公報に記載された方法を利
用しながら、なおかつ、染色性を向上させる方法を見出
すべく、種々研究を行なった。その結果、予期せぬこと
に、高圧・高温の水蒸気処理を行った後、直ちに、即ち
水蒸気処理した雰囲気を保ったまま、処理したセルロー
ス系繊維製品に水を付与することによって、染色性を向
上させうることを見出した。また、この方法によって
も、セルロース系繊維製品に十分な形態安定性を付与し
うることも判明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の知見に
基づいてなされたものであり、また、特開平5−332
59号公報に記載された方法を利用する発明でもある。
即ち、本発明は、セルロース系繊維製品を、絶対圧力4
kgf/cm2以上で且つ温度140℃以上の水蒸気雰
囲気下で所定時間処理した後、該水蒸気雰囲気を維持し
た状態で該セルロース系繊維製品に水を付与することを
特徴とするセルロース系繊維製品の形態安定加工方法、
並びに水を付与して形態安定加工を施した後、染色する
ことを特徴とするセルロース系繊維製品の染色方法に関
するものである。
【0007】まず、本発明においては、セルロース繊維
を含むセルロース系繊維製品を準備する。セルロース繊
維としては、従来公知のものであればどのようなもので
も用いることができ、例えば、綿,ビスコースレーヨ
ン,ポリノジック,テンセル,キュプラ等を用いること
ができる。セルロース系繊維製品としては、セルロース
繊維、この繊維を紡績したセルロース系糸条,この糸条
を製編織してなるセルロース系編織物,この編織物を縫
製してなる衣料品等のセルロース系最終製品,セルロー
ス繊維を集積してなるセルロース系不織布等を挙げるこ
とができる。セルロース系糸条や編織物等には、セルロ
ース繊維の他に、ポリエステル繊維やナイロン繊維等の
異種繊維が若干量混合されていても良い。
【0008】形態安定加工のみを施す場合には、セルロ
ース系繊維製品中のセルロース繊維は、一般的に、漂白
されているか又は先染めされている。セルロース繊維を
漂白又は先染めするには、セルロース系繊維製品を漂白
又は先染めすれば良いことは言うまでもない。しかし、
セルロース繊維は、漂白も先染めもされず、市販のまま
の状態(原綿のときの状態)であっても良い。セルロー
ス系繊維製品を漂白するには、さらし粉,次亜塩素酸ナ
トリウム,過酸化水素,亜塩素酸ナトリウム,過酢酸,
塩素化イソシアヌル酸等の従来公知の漂白剤を用いて、
連続式,半連続式,非連続式等の従来公知の方法で行な
えば良い。また、セルロース系繊維製品を先染めするに
は、直接染料,反応染料,建染染料,硫化染料等の従来
公知の染料を用いて、浸染法,連続染色法,コールドバ
ッチ法,捺染法等の従来公知の方法で行なえば良い。
【0009】また、形態安定加工の後に染色を施す場合
には、セルロース系繊維製品中のセルロース繊維は、一
般的に、先染めされず漂白のみがなされている。しか
し、セルロース繊維は、先染めも漂白もされずに、原綿
のときの状態のままであっても良い。また、稀には、先
染めされていることもある。
【0010】セルロース系繊維製品には、後述する水蒸
気処理を行なうに際して、一定の形付け加工が施されて
いても良いし、施されていなくても良い。いずれの場合
であっても、W/W性の向上や形付けが消失しにくくな
る等の形態安定性を付与しうる。形付け加工としては、
例えば、以下のような形付けを挙げることができる。セ
ルロース系繊維製品がセルロース繊維そのものである場
合には、捲縮加工等によってクリンプを設けることが挙
げられる。また、セルロース系糸条の場合には、嵩高加
工等によって捩れや曲がりを付与することが挙げられ
る。また、セルロース系編織物の場合には、しぼ付け加
工やひだ付け加工等によって、所定のしぼやひだ等を付
与することが挙げられる。更に、衣料品等のセルロース
系最終製品の場合には、プリーツ加工等によって、所定
の箇所に折り目線を設けることが挙げられる。
【0011】このようなセルロース系繊維製品を、絶対
圧力4kgf/cm2以上で且つ温度140℃以上の水
蒸気雰囲気下で所定時間処理する。具体的には、一定容
積の密閉した容器中に、温度140℃以上に加熱した水
蒸気を充填することによって、絶対圧力4kgf/cm
2以上で且つ温度140℃以上の水蒸気雰囲気が得られ
る。一般に、一定温度の水蒸気を、密閉容器中に充填し
てゆくと、飽和蒸気圧までの絶対圧力を得ることができ
る。例えば、温度140℃の水蒸気の場合、絶対圧力を
約4kgf/cm2とすることができる。また、温度が
150℃の水蒸気の場合、絶対圧力は約5kgf/cm
2とすることができ、温度が190℃の水蒸気の場合、
絶対圧力は約13kgf/cm2とすることができ、温
度が200℃の水蒸気の場合、絶対圧力は約16kgf
/cm2とすることができる。本発明においては、飽和
蒸気圧における絶対圧力で処理しても良いが、その必要
はなく、要するに、絶対圧力4kgf/cm2以上で且
つ温度140℃以上の水蒸気雰囲気下であれば良い。特
に、好ましくは、絶対圧力が4〜16kgf/cm2
且つ温度が140〜200℃であり、より好ましくは、
絶対圧力が5〜13kgf/cm2で且つ温度が150
〜190℃であるのが良い。そして、このような水蒸気
雰囲気下で、所定時間、例えば30秒〜60分、好まし
く1分〜30分程度の時間処理する。
【0012】この処理を行った後、この処理条件を保っ
たまま、処理されたセルロース系繊維製品に水を付与す
る。具体的には、所定条件の水蒸気が充填された密閉容
器中で、この密閉を大気雰囲気に解除することなく、セ
ルロース系繊維製品に水を付与すれば良い。付与する水
の温度は、どの程度であっても差し支えない。また、水
を付与した状態に保っておく時間も、セルロース繊維が
水を若干量吸水しうる時間であれば、どの程度であって
も差し支えない。従って、付与する水温,付与手段及び
付与時間によっては、水の付与と共に、所定条件の水蒸
気雰囲気の系が変更を受けることもあるが、この変更は
何ら差し支えない。要するに、水が付与される前まで
は、所定条件の水蒸気雰囲気に保っておく必要がある
が、水が付与された後は、この雰囲気が壊されても良い
のである。
【0013】水を付与する手段としては、以下のような
手段を採用することができる。例えば、密閉容器内に、
水を張った水槽を設置しておき、水蒸気処理を行ったセ
ルロース系繊維製品を、この水中に浸漬させるという手
段を採用することができる。この場合、水蒸気処理を行
う前から、水槽を密閉容器内に設置しておく必要がある
ため、水槽中の水は、比較的高温の水となっている。ま
た、密閉容器内に、ポンプ等で水を導入し、セルロース
系繊維製品に水を噴霧するという手段を採用することも
できる。この場合は、密閉容器内が比較的高い圧力とな
っているので、それと同等か又はそれよりも高い圧力で
水を導入しなければならないことは言うまでもない。な
お、導入する水の温度は、どの程度であっても良い。
【0014】以上のような水の付与手段によって、セル
ロース系繊維製品に水をある程度吸水せしめた後、密閉
容器内からセルロース系繊維製品を取り出す。これによ
って、セルロース系繊維製品は、大気雰囲気下に戻さ
れ、セルロース系繊維製品に形態安定加工を施すことが
できる。
【0015】以上のような形態安定加工を施した後、そ
のまま最終製品としても良いが、本発明においては、こ
の後、従来公知の方法で染色を施すのが好ましい。即
ち、直接染料,反応染料,建染染料,硫化染料等の従来
公知の染料を用いて、浸染法,連続染色法,コールドバ
ッチ法,捺染法等の従来公知の方法で染色するのが好ま
しい。本発明においては、特にセルロース分子と反応し
て染着される反応染料を用いるのが、洗濯堅牢度の点で
好ましい。
【0016】なお、前記した絶対圧力4kgf/cm2
以上で且つ温度140℃以上での水蒸気処理の前に、特
願平9−314453号に係る発明において提案したよ
うに、セルロース系繊維製品に水分或いはヒドロトロー
プ剤を付与しておいても良い。このような前処理を行っ
ておくと、セルロース系繊維製品の黄変や変色を防止す
ることができる。
【0017】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明の範囲はこの実施例に限られるもので
はない。本発明は、高圧・高温の水蒸気処理を行った
後、セルロース系繊維製品に水を付与すると、染色性が
向上するという発見に基づくものであるとして解釈され
るべきである。
【0018】
【実施例】実施例1 30番手のビスコースレーヨン紡績糸(単糸)を経糸及
び緯糸として用い、経糸密度68本/インチ,緯糸密度
60本/インチで、平織組織で製織したレーヨンモスリ
ンを準備した。このレーヨンモスリンを、標準工程によ
り、糊抜,精練,漂白した後、裁断して、400mm×
260mmの大きさの試料とした。この試料を、ステン
レス製ピン枠に原寸で固定した。
【0019】一方、水蒸気処理装置として、図1に示し
た如き、油圧プレス装置を内蔵した高温高圧プレス成形
装置(株式会社日阪製作所製、以下「スチーマー」と言
う。)を準備した。この装置は、内径400mm×奥行
600mmの大きさで、上部プレス板と下部プレス板と
を備えたものである。そして、上部プレス板には、試料
を固定したピン枠を水平に取り付け、下部プレス板に
は、水を張ったステンレスバット(水槽)を載置した。
バットの大きさは、長さ520mm×幅310mm×深
さ80mmである。
【0020】ピン枠に固定された試料が、バット中の水
に浸漬されない状態で、スチーマーを密封した後、内部
空気を5分間かけて水蒸気に置換した後、高圧蒸気をス
チーマー内に導入した。そして、密封したまま、昇温加
圧し、スチーマー内の雰囲気を温度179℃で絶対圧力
10kgf/cm2とした。この雰囲気下で、5分間維
持し、試料を水蒸気処理した。その後、密封状態を維持
したまま、油圧プレス装置を作動させて、上部プレス板
を下方(図1中の矢印方向)に降ろし、試料をピン枠に
固定したまま、バット内の水に浸漬した。
【0021】以上の処理を行った後、系を開放し(スチ
ーマーの密封を解除し)、常圧(大気圧)とした後、上
部プレス板を上げて、スチーマー内から試料を取り出
し、ピン枠で固定したまま乾燥した。乾燥後、ピン枠か
ら試料を取り外した。以上のような形態安定加工を施し
た試料の各種物性を以下の方法で評価し、表1に示し
た。
【0022】また、この試料から10gを計り取り、5
00mlの三角フラスコに投入し、以下の方法で染色し
た。即ち、反応染料であるDrimarene Nav
yX−RBL(C.I. Reactive Blue
79)を4%owfとなるようにし、浴比1:20、
80℃で90分間の条件で、振盪式染色機(株式会社中
央理化機製作所製)を用いて染色した。そして、得られ
た染色試料の染色性及び各種物性を以下の方法で評価
し、表1に示した。なお、各種物性については、染色前
のものも染色後のものも、同一であった。
【0023】(1)染色性:自記分光光度計(株式会社
島津製作所製のUV−3100)を用いて、染色試料の
分光反射率曲線を得た後、使用染料の最大吸収波長λma
x =590nmにおける染色試料の反射率を読み取る。
そして、この反射率をクベルカ・ムンク(Kubelk
a−Munk)の式に適用し、K/S値を計算した。K
/S値が大きいほど、濃色に染色されている。
【0024】(2)各種物性 (a)収縮率:JIS−L 0217に記載の取り扱い
絵表示における番号103の、いわゆる家庭洗濯に準じ
て、形態安定加工後の試料を連続して5回洗濯した後、
家庭用タンブルドライヤー(高温)にて60分間乾燥し
た。その後、試料の経方向及び緯方向の収縮率(%)
を、次の式で算出した。即ち、当初の試料の経方向の長
さをlm0及び緯方向の長さをlc0とし、洗濯乾燥後の試
料の経方向の長さをlm1及び緯方向の長さをlc1とした
とき、経方向の収縮率(%)=[(lm0−lm1)/
m0]×100で、緯方向の収縮率(%)=[(lc0
c1)/lc0]×100である。
【0025】(b)W/W性(ウォッシュアンドウエア
性):上記した収縮率の場合と同様にして、試料に洗濯
及び乾燥を施した後、JIS−L 1096 6.23
に記載の洗濯後のしわに準じて、AATCC Test
Method 124のレプリカを使用し、級判定を
行なった。級数が大きいほど、洗濯乾燥後における試料
にしわが生じにくいことを示している。
【0026】(c)引張強力:JIS−L 1096
6.12 A法(ラベルドストリップ法)に基づき、試
料幅を25mmとして測定した。なお、引張強力の単位
は、kgf/25mm幅である。
【0027】(3)総合評価:上記(2)の各種物性が
良好で、上記(1)の染色性が未処理試料(対照例)と
同等程度以上であるものを、○と評価した。一方、上記
(2)の各種物性が良好で、上記(1)の染色性が未処
理試料(対照例)よりもかなり劣るものを、×と評価し
た。また、染色性は良好であるが、上記(2)の収縮率
及びW/W性等の各種物性が改善されておらず、形態安
定性に欠けるものは、未処理試料(対照例)を含めて×
と評価した。
【0028】対照例 実施例1で用いた400mm×260mmの大きさの試
料を用いて、何らの処理も施さずに、そのまま、実施例
1と同様の方法で染色を行なった。そして、得られた染
色試料の染色性及び各種物性を表1に示した。
【0029】実施例2 実施例1と同様にして、ピン枠に固定された試料を準備
した。一方、水蒸気処理装置としては、図2に示したよ
うに、補助タンクが導水管で連結されており、スチーマ
ー内の下部プレス板に水槽が載置されていない他は、実
施例1で用いたのと同様の装置を準備した。この補助タ
ンクには、水が充填されており、水圧は11kgf/c
2に設定されている。そして、導水管には、開閉用バ
ルブが設けられており、このバルブは閉の状態になって
いる。この状態で、スチーマーの上部プレス板に、試料
を固定したピン枠を水平に取り付け、スチーマーを密閉
した。
【0030】その後、実施例1 と同様にし、同様の条件
で水蒸気処理した。水蒸気処理した後、スチーマーの密
封状態は維持したままで、バルブを開とし、補助タンク
内の水をスチーマー内に導入し、試料に水を噴霧した。
試料が噴霧された水を吸水した後、系を開放し(スチー
マーの密封を解除し)、系内から水を排出すると共に、
常圧(大気圧)とした。そして、スチーマー内から試料
を取り出し、ピン枠で固定したまま乾燥した。乾燥後、
ピン枠から試料を取り外し、実施例1と同様にして、試
料の染色性及び各種物性を評価し、表1に示した。
【0031】比較例 水を張ったバットを用いずに、試料を水に浸漬しない他
は、実施例1と同様にして、水蒸気処理のみを行った。
そして、実施例1と同様にして、試料の染色性及び各種
物性を評価し、表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】実施例1及び2と対照例とを対比すれば明
らかなとおり、実施例1及び2に係る方法で得られた試
料は、染色性及び引張強力が対照例と同等程度でありな
がら、収縮率及びW/W性が向上しており、形態安定性
に優れていることが分かる。一方、実施例1及び2と比
較例とを対比すれば明らかなとおり、比較例の場合は、
水蒸気処理の後に水を付与していないため、形態安定性
には優れているものの、染色性が不十分であることが分
かる。従って、実施例1及び2に係る方法で得られた試
料は、形態安定性に優れると共に染色性にも優れるもの
である。
【0034】なお、上記各実施例及び比較例において
は、セルロース系繊維製品として、レーヨンモスリンを
使用したが、レーヨン繊維やその他のレーヨン編織物等
を用いても、上記と同様の総合評価が得られるものであ
った。また、素材として、レーヨン以外の綿,ポリノジ
ック,テンセル,キュプラ等を用いたセルロース系繊維
製品の場合にも、上記と同様の総合評価が得られるもの
であった。
【0035】
【作用】本発明の作用は、以下のとおりと考えられる。
セルロース系繊維製品を、絶対圧力4kgf/cm2
上で且つ温度140℃以上の水蒸気雰囲気下で所定時間
処理すると、特開平5−33259号公報に記載されて
いるように、セルロース繊維内部の非晶領域の一部にお
ける水素結合が水蒸気の作用により切断し、セルロース
分子を外力に応じて移動せしめた後、所定の状態で結晶
化が進行せしめられる。また、セルロース繊維内部の結
晶領域においても、結晶が部分的に再配列し、安定構造
となる。従って、セルロース系繊維製品は、水蒸気処理
したときの形態に固定されやすくなり、良好な形態安定
性を発揮する。そして、この結晶化の大部分は水蒸気処
理中に進行するが、染色に関与する一部の結晶化が、水
蒸気処理した後、大気雰囲気に戻すときに進行すると考
えられる。従って、水蒸気処理した後、その状態を維持
したまま、セルロース系繊維に水を吸水させておき、そ
の後大気雰囲気に戻すと、水を保持したまま結晶化が進
行する部分が生じ、その結果、結晶構造の一部に水に起
因するポア(空孔)が生じるため、この部分のポアサイ
ズ(空孔径)を大きくすることができる。従って、この
大きなポア(空孔)から染料がセルロース繊維内部へ侵
入しやすくなり、このため、染色性が良好になると考え
られる。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法によれば、上記した作用に
よって、形態安定性に優れ、更に染色性にも優れたセル
ロース系繊維製品を得ることができるという効果を奏す
る。特に、中濃色に良好に染色され、形態安定性に優れ
たセルロース系繊維製品を、合理的に且つ経済的に得る
ことができるという効果を奏する。従って、本発明に係
る方法で得られたセルロース系繊維製品は、製品として
の品位も良好で、洗濯を繰り返してもしわが生じにく
く、W/W性に優れているという効果を奏するものであ
る。
【0037】また、セルロース系繊維製品として、以下
の如き、各種の形付けが施されたものを用いた場合に
も、洗濯を繰り返しても形付けが消失しにくく、且つ中
濃色に合理的・経済的に染色されたセルロース系繊維製
品を得ることができるという効果も奏する。即ち、セル
ロース系繊維製品として、クリンプを設けたセルロース
繊維を使用した場合、洗濯を繰り返してもクリンプが消
失しにくく、且つ中濃色に合理的・経済的に染色された
セルロース繊維を得ることができるという効果を奏す
る。また、セルロース系繊維製品として、嵩高加工を施
したセルロース系糸条を使用した場合、洗濯を繰り返し
ても嵩高性の低下が少なく、且つ中濃色に合理的・経済
的に染色されたセルロース系糸条を得ることができると
いう効果を奏する。また、セルロース系繊維製品とし
て、しぼ付け加工やひだ付け加工を施してセルロース系
編織物を使用した場合、洗濯を繰り返してもしぼやひだ
が消失しにくく、更にしわが生じにくく、且つ中濃色に
合理的・経済的に染色されたセルロース系編織物を得る
ことができるという効果を奏する。更に、セルロース系
繊維製品として、折り目線を設けた衣料品等のセルロー
ス系最終製品を使用した場合、洗濯を繰り返しても、折
り目線が消失しにくく、更にしわが生じにくく、且つ中
濃色に合理的・経済的に染色されたセルロース系最終製
品を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る方法で用いる装置の概略断
面図を示したものである。
【図2】本発明の他の例に係る方法で用いる装置の概略
断面図を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 重松 幹二 岐阜県岐阜市光町2−2 (72)発明者 棚橋 光彦 岐阜県岐阜市大洞柏台1−3−8

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース系繊維製品を、絶対圧力4k
    gf/cm2以上で且つ温度140℃以上の水蒸気雰囲
    気下で所定時間処理した後、該水蒸気雰囲気を維持した
    状態で該セルロース系繊維製品に水を付与することを特
    徴とするセルロース系繊維製品の形態安定加工方法。
  2. 【請求項2】 絶対圧力が4〜16kgf/cm2で且
    つ温度が140〜200℃である請求項1記載のセルロ
    ース系繊維製品の形態安定加工方法。
  3. 【請求項3】 セルロース系繊維製品を、絶対圧力4k
    gf/cm2以上で且つ温度140℃以上の水蒸気雰囲
    気下で所定時間処理した後、該水蒸気雰囲気を維持した
    状態で該セルロース系繊維製品に水を付与し、そのあと
    染色することを特徴とするセルロース系繊維製品の染色
    方法。
  4. 【請求項4】 絶対圧力が4〜16kgf/cm2で且
    つ温度が140〜200℃である請求項3記載のセルロ
    ース系繊維製品の染色方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001234465A (ja) * 2000-02-17 2001-08-31 Kurabo Ind Ltd セルロース系繊維の形態安定加工方法
JP2008163519A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Tokai All-Set Kk 機能性繊維材料の製造方法
CN108457082A (zh) * 2018-03-29 2018-08-28 鲁泰纺织股份有限公司 提高潮交联整理色织面料免烫性的加工方法

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