JP3852884B2 - 鋼管杭の埋設装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、翼付鋼管杭を回転して埋設または引き抜くために使用する回転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟弱な地盤上に建てる一般の住宅や低層建築物の基礎として、例えば特公平2−62648号公報に記載されているような、らせん翼を設けた鋼管杭を埋設することが行われている。
【0003】
この鋼管杭の埋設は、鋼管杭を直接地盤中にネジ込むように回転、押圧し、らせん翼の回転推進作用を利用して、無排土で埋設されるのが特徴である。このような鋼管杭の回転埋設においては、通常、鋼管杭の頭端部に係止駒を突設させ、回転動力機構に取り付けた回転キャップの溝孔を係止駒に係合させて、鋼管杭を回転させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような鋼管杭の埋設施工においては、鋼管杭の埋設深さが深くなるにつれて地盤の抵抗が大きくなって行くが、特に、鋼管杭が支持層に達するようになると抵抗がより増大し、鋼管杭の頭部は大きな捩りモーメントを受け、係止駒に作用する集中荷重によって扁平化するようになるとともに、回転キャップの方も変形する傾向となる。そのため、係止駒には設計値を越えた過大な荷重が作用して、係止駒の溶接部が破損し、その反動で係止駒が飛散するといった事故も発生し、危険な作業となっていた。
【0005】
このような欠点を除くために、従来では、肉厚を必要以上に厚くした鋼管杭を使用し、また回転キャップの方も肉厚を大にしてやるようにして対処してきた。そのため、鋼管杭及び回転キャップのコストが高くなるとともに、それらの重量の増大で施工や運搬が面倒になり、施工費が多額になるといった問題が生じており、その改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたもので、鋼管杭の回転埋設時における回転キャップ及び鋼管杭の変形を防止できるとともに、回転キャップと係止駒の係接、回転の伝達が正しく確実にでき、係止駒が飛散するというような危険が防止されるとともに、コストの低減を図れるようにした、鋼管杭の回転装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の構成について、実施例に対応する図面を参照して説明すると、本発明は、外周に一巻きまたは数巻きの大径らせん翼1を取り付けるとともに、頭端部の外周に複数の係止駒5を突設した鋼管杭Aと、鋼管杭Aの頭部に被嵌できる筒部6の上端にオーガーとの接続部7を備えた回転キャップBとよりなり、上記回転キャップBは、その筒部6の下部に、上記係止駒5を下端より挿入できる縦方向の案内孔8と、これに続き係止駒を横方向に誘導できる窓孔9とによる係止孔10が形成されているとともに、前記窓孔の側端に前記係止駒を係入する凹部を形成する起立した突片が設けられ、かつ、筒部6の外周に係止駒5の飛散を防止するとともに筒部6を補強する補強リング13を突設しことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図4は本発明における回転キャップBの一実施例を示し、図5〜図7は鋼管杭Bの一実施例を示し、図8はそれらの使用例を示し、また、図9は回転キャップBの他の実施例を示したものである。
【0009】
まず、鋼管杭Aについて説明する。鋼管杭Aは、その下部外周に、鋼管杭Aの約2倍の大径としたらせん翼1が一巻きにわたり取り付けられ、下端には底板2が固設され、その底板2には下方に向けて掘削刃3,4が突設されている。そして、鋼管杭Aの頭端部外周には、鋼管杭Aを回転させるための複数の係止駒5,5が周方向に等間隔をおいて突設されている。
【0010】
次に、回転キャップBについて説明する。回転キャップBは、鋼管杭Aの頭部に被嵌される筒部6の上端に、オーガーの回転装置(図示を略す)に接続させるオーガージョイント7が設けられている。筒部6は、その内径が鋼管杭Aの外径より若干大径にされており、上記鋼管杭Aの係止駒5,5と対応する位置に、筒部6の下端から係止駒5,5を挿入できる縦方向(軸線方向)の案内孔8が設けられ、この案内孔8の上端に続いて、係止駒5が横方向(周方向)に遊動できる大きさの、ほぼ四角形の窓孔9が形成され、それら案内孔8と窓孔9とによりほぼ逆凸形をなす係合孔10が形成されることになる。
【0011】
そして、上記係合孔10の一側部には、その下端が案内孔8の上端より下方の位置まで延長されており、案内孔8の上端部一側に起立した突片11が設けられ、この突片11と窓孔9の側端9aとの間に、係止駒5を係入する凹部12が形成されている。
【0012】
また、回転キャップBの筒部6には、その外周を巡って、複数個の補強リング13,13が上下に間隔をおいて設けられている。すなわち、その一つ13は筒部6の下端近くに位置しており、他の一つ13は凹部12に係入した係止駒5の位置に合う高さに位置するようにされ、さらに必要に応じて、その補強リング13より適宜間隔をおいた上方位置にも補強リング13が設けられる。また、窓孔9の一側端9aの外周面には、各補強リング13,13を接続して縦方向の補強リブ14を設けるのが好ましい。
【0013】
上記構成の装置により鋼管杭Aの回転埋設を行うには、鋼管杭Aの頭端部に回転キャップBを被せ、鋼管杭Aの係止駒5,5を係入孔8,8から窓孔9に入れて、図8の矢印の方向に回転キャップBを回して行く。それにより、窓孔9の一側端9aが係止駒5に圧接して鋼管杭Aが回転し、らせん翼1の切り込み推進作用で鋼管杭Aは回転しながら地盤に埋設されて行き、その際、係止駒5は係合孔10の凹部12に位置するようになる。
【0014】
鋼管杭Aの回転埋設にあたっては、埋設の進行にともない、地盤の抵抗が大となって、係止駒5と回転キャップBの窓孔9との圧接が増大する。それによって、鋼管杭Aの頭部が少し変形することがあり、また、回転キャップBの方も、その下端部を開くように変形しようとするが、筒部6の変形は、その外周に設けられた補強リング13,13によって抑制され、筒部6は正常な形態を維持できることになる。したがって、係止駒5と窓孔9の一側端9aとの圧接はほぼ正しい状態を保つことができ、確実な回転伝達がなされる。
【0015】
また、鋼管杭Aが支持層に達するなどして、抵抗が著しく増大することにより、もしも係止駒5が破損、分離するような事態が生じた場合でも、その反動で飛散しようとする係止駒5は、補強リング13等によって飛散が防止されることになる。
【0016】
なお、回転キヤップBの上記実施例では、係止駒5を係入する凹部12が窓孔9の片側だけに設けられているが、図9に示すように、この凹部12は両側に設けることもできる。このようにすれば、係止駒5と窓孔9との係合は、回転キャップBを正逆いずれの方向に回転しても係合が良好に維持されるので、鋼管杭の埋設ばかりでなく、鋼管杭を逆転させて行う引抜きにも使用することができることになる。また、上記実施例における鋼管杭Aでは、らせん翼1はその下端部に一巻き設けられたものとなっているが、このらせん翼は数巻きにわたり設けられてもよく、或は、一巻きまたは数巻きにわたるらせん翼を、鋼管杭の上下方向に間隔をおいて複数個所に設けるようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、らせん翼付き鋼管杭に回転を伝達する回転キャップの外周に補強リングを設けたことにより、鋼管杭の埋設にあたって過大な荷重が作用しても、回転キャップの方に変形を生ずることがなく、鋼管杭の係止駒への回転伝達が支障なく行えるとともに、過大な荷重によって係止駒や係止駒の溶接部が破損し、その反動で係止駒が飛散しようとしても、補強リングによってその飛散が防止され、危険が回避されることになる。
【0018】
また、回転キャップは補強リングを設けたことにより、全体を厚肉とすることなしに、強度が大で変形のおそれがなく、軽量化できるとともに、回転キヤップが変形しないことから、鋼管杭の方の変形も抑制されることになり、したがって、鋼管杭も必要な肉厚のものとしてコストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における回転キャップの一実施例を示す正面図である。
【図2】同平断面である。
【図3】同正断面図である。
【図4】同斜視図である。
【図5】本発明における鋼管杭の一実施例を示す正面図である。
【図6】同平面図である。
【図7】同底面図である。
【図8】鋼管杭と回転キャップを挿嵌した使用例を示す斜視図である。
【図9】回転キャップの他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
A 鋼管杭
B 回転キャップ
1 らせん翼
3,4 掘削刃
5 係止駒
6 筒部
7 オーガジョイント
8 案内孔
9 窓孔
10 係合孔
12 凹部
13 補強リング
14 補強リブ

Claims (1)

  1. 外周に一巻きまたは数巻きの大径らせん翼を取り付けるとともに、頭端部の外周に複数の係止駒を突設した鋼管杭と、鋼管杭の頭部に被嵌できる筒部の上端にオーガーとの接続部を備えた回転キャップとよりなり、上記回転キャップは、その筒部の下部に、上記係止駒を下端より挿入できる縦方向の案内孔と、これに続き係止駒を横方向に誘導できる窓孔とによる係合孔が形成されているとともに、前記窓孔の側端に前記係止駒を係入する凹部を形成する起立した突片が設けられ、かつ、筒部の外周に係止駒の飛散を防止するとともに筒部を補強する補強リングを突設したことを特徴とする、鋼管杭の回転装置。
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