JP3852747B2 - 光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを用いて紫色半導体レーザ光を感光材料上に走査し、光記録を行なう電子写真装置、光ディスク装置等の光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバを用いてレーザ光を感光材料上に走査し、光記録を行なう光学装置は、例えば特開平5−93878号広報により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の光学装置においては、半導体レーザから出射する光を高い光利用効率で光ファイバに入射すること及びこの光利用効率を安定化させることが重要である。
【0004】
波長450nm以下のレーザ光を発する紫色半導体レーザを用いたLDモジュールでは、LDモジュールを組み立てる時に用いた接着剤から発生する揮発成分がLDモジュール内部に溜り、その成分が紫色半導体レーザ発光時に光ファイバ端面及び光軸上のガラス面上に付着し、紫色レーザ光の光ファイバへの結合効率を低下させてしまうことがある。これは赤色を発する半導体レーザでは生じないが、紫色を発する半導体レーザでは光化学反応が顕著になったため生じたものと考えられる。
【0005】
本発明の目的は、接着剤から放出される揮発成分(ガス)が、光ファイバ端面、及び光軸上のガラス面上に付着し、光ファイバへの結合効率を低下させてしまうことを抑え、光学装置の光利用効率を安定化させるところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、紫色レーザ光を発生させる紫色半導体レーザと、該紫色半導体レーザから発せられたレーザ光を集光するレンズと、該レンズから射出されるレーザ光を導く光ファイバを保持するLDモジュールを有し、LDモジュールにLDモジュール内部のガスを外部に抜く穴を設けることにより達成される。
【0007】
更に具体的には光ファイバから出射した紫色半導体レーザ光を変調走査し、感光材料上に走査する光学装置において、紫色レーザ光を発生させる紫色半導体レーザと、該紫色半導体レーザから発せられたレーザ光を集光するレンズとを有するLDMホルダと、LDMホルダに固定されたフェルールを支持するフェルールフォルダと、該フェルールと該フェルールフォルダを先端部に設けた光ファイバとを有するLDモジュールにおいて、該レンズと該フェルールホルダの間のLDモジュール内部のガスを外部に出すことを可能にする為の穴をLDモジュールに設けることによって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の光学装置に適用される光ファイバユニットの実施例を示す断面側面図である。光ファイバユニットは、紫色半導体レーザ1、レンズ2、平面ガラス5、光ファイバ8、LDMフォルダ(1)3、LDMフォルダ(2)4、フェルール7、フェルールホルダ6から構成されている。LDMホルダはLDMホルダ(1)とLDMホルダ(2)に分割されている場合を示しているが、必ずしも分割されていなくてもよい。LDMフォルダ(1)3、LDMフォルダ(2)4、フェルールホルダ6は、ステンレス鋼、あるいは熱膨張係数の低い材料、例えばインバーやコバ−ルにより形成されている。紫色半導体レーザ1は、パルス発振YAGレーザによるレーザ溶接によりLDMフォルダ(1)3に固定されている。レーザ光を光ファイバに集光させるレンズ2は、エポキシ樹脂によりLDMフォルダ(1)3に接着されている。光ファイバは取り扱いを容易にするために、光ファイバの先端部9をフェルール7に、また、フェルール7をフェルールホルダ6にそれぞれ嵌入させ、エポキシ樹脂で接着する。フェルールホルダ6は、平面ガラス5に接着した時に機械的強度が十分に保たれるように、接着面積を大きくする目的で設けられている。そして、光ファイバ端面9、フェルール7およびフェルールホルダ6が、同一平面になるように研磨する。フェルールホルダ6の研磨面にレーザ光を貫通する穴を設けた平面ガラス5をUV樹脂10を介して密着させ、他方の平面ガラス面からUV光を照射することにより、UV樹脂10を硬化させ、平面ガラス5をフェルールホルダ6の研磨面に固定する。
【0009】
LDMフォルダ(1)3とLDモジュール内部のガスを外部に出すことを可能にする為の穴を設けたLDMフォルダ(2)4は図1に示すように、レーザ光の光軸に対し平行な面で接しており、LDMフォルダ(2)4はレーザ光の光軸方向にスライド可能である。LDMフォルダ(2)4をLDMフォルダ(1)3に取り付ける際には、LDMフォルダ(2)4のレーザ光の光軸に対して垂直な面に、フェルールホルダ6を接着した平面ガラス5を密着させ、紫色半導体レーザ1から発するレーザ光の焦点が、光ファイバの研磨面9と一致するようにLDMフォルダ(2)4をスライドさせ、調整する。調整後はレーザ溶接でLDMフォルダ(1)3にLDMフォルダ(2)4を固定するか、または、LDMフォルダ(1)3とLDMフォルダ(2)4の間にエポキシ樹脂を充填し、このエポキシ樹脂を硬化させてLDMフォルダ(2)4を固定する。
【0010】
フェルールホルダ6に接着した平面ガラス5と、LDMフォルダ(2)4との間には、フェルールホルダ6の外径よりも外側にUV樹脂11を充填し、光ファイバ8の位置調整を行なう。レーザ光の焦点の位置は、フェルールホルダ6に接着した平面ガラス5と、LDMフォルダ(2)4を密接させた時に光ファイバ研磨面9に一致し、また、トレランス(位置ずれの許容誤差)が大きいので、レーザ光の光軸方向の位置調整はフェルールホルダ6に接着した平面ガラス5と、LDキャップを近接すればよい。レーザ光の光軸に垂直方向の位置調整は、フェルールホルダを取り付けている微調治具により、レーザ光の焦点位置が光ファイバの光伝搬部に一致するように行なう。
【0011】
また、平面ガラスのフェルールホルダが接着されている面の方向からUV光を照射し、UV樹脂を硬化させる。UV樹脂は、非加熱の硬化であり、また、数秒間の短時間の光で硬化するので、硬化中の温度変化に対する治具やホルダ類の熱膨張の影響が少ない。また、本発明においては、面同士の接着であるためUV樹脂の体積が小さく硬化時の樹脂の収縮が少ない。このようなことから本発明による光ファイバ8の固定では、硬化中の光ファイバ8の位置ずれはほとんど生じない。本実施例において平面ガラスに石英ガラス、UV樹脂としてアクリル系、またはエポキシ系の樹脂を用いた。
【0012】
図2は、上述した光ファイバユニットを5個備えた電子写真装置の光学系の概略構成図である。それぞれの光ファイバの出射端をアレイ状に設けて光ファイバアレイ17を構成することによって、光ファイバアレイから5本のレーザ光を出射させることが可能な複数ビーム発生装置を構成する。5本のレーザ光はコリメータレンズ17でそれぞれ平行光にされた後、ポリゴンミラで偏向され、fθレンズ19を通過後、感光ドラム20上に走査させる。
【0013】
図3に光ファイバアレイ16の詳細な構成を示す。光ファイバ8はSiO2を主成分としたクラット23、コア22及びそれらを保護するナイロン樹脂等の外被からなる。外被を除いたクラット23の先端の直径は125μm程度の精度の良い円形状をしている。一方、光が導波されるコア22の直径は、単一モードファイバの場合4μm程度であり、クラット23の中心に精度良く配列されている。
【0014】
従って、外被を除いた複数個の光ファイバを図3のように平坦な板21で上下から挟み込み、押し当て板24の両横からクラット部23が密接するように押す。この後、接着剤で光ファイバアレイ16を固定し端面を研磨すると一直線に並び、等ピッチで配列したコア列すなわちアレイ状の多ビームが得られる。
【0015】
ところで、コア直径が4μmであるのに対してコア配列ピッチは125μmとなっているので、光記録材料上のスポット径pに対してスポットの間隔p0は125倍になる。この問題を解消するために図4に示すように、多ビーム配列方向θを傾け、光スポット直径と走査線ピッチpが概略等しくなるようにする。そのために光ファイバアレイ部16を傾ける。
【0016】
上記のように、光ファイバから出射した紫色半導体レーザ光を変調走査し、感光材料上に走査する光学装置において、紫色レーザ光を発生させる紫色半導体レーザと、該紫色半導体レーザから発せられたレーザ光を集光するレンズとを有するLDMホルダと、LDMホルダに固定されたフェルールを支持するフェルールフォルダと、該フェルールと該フェルールフォルダを先端部に設けた光ファイバとを有するLDモジュールにおいて、組み立てには各種接着剤を用いており、LDモジュール内部には接着剤から揮発したガスが発生している。このようなガスは紫色レーザ光の光化学反応により光ファイバ端面の光集光部に析出し、異物として付着し、光ファイバへの光の結合効率を低下させてしまうことが生じた。このような現象を防ぐために、該レンズと該フェルールホルダの間のLDモジュール内部のガスを外部に出すことを可能にする為の穴をLDモジュールに設けることによって、LDモジュールを組み立てるときに使用した接着剤から放出される揮発成分が、光ファイバ端面、及び光軸上のガラス面上に付着し、光ファイバへの結合効率を低下させてしまうことを抑え、光学装置の光利用効率を安定化させることができた。なお、本発明は、電子写真装置に限らず、光ディスク装置など、光ファイバを用いてレーザ光を感光材料上に走査し、光記録を行なう光学装置全般に適用できる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、LDモジュール内のガスが抜かれるので、光ファイバへの光の結合効率を低下させてしまうことが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るもので、光ファイバユニットを示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係るもので、光学装置の光学系を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係るもので、光ファイバアレイを示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るもので、複数ビーム走査方式を示す説明図である。
【符号の説明】
1…紫色半導体レーザ、2…レンズ、3…LDMホルダ(1)、4…LDMホルダ(2)、5…石英ガラス、6…フェルールホルダ、7…フェルール、8…光ファイバ、9…光ファイバ、10…UV樹脂、11…UV樹脂、13…穴、15…LDモジュール、16…光ファイバアレイ、17…コリメータレンズ、18…ポリゴンミラ、19…Fθレンズ、20…感光ドラム、22…コア、23…クラット。

Claims (4)

  1. 変調走査されるレーザ光を光ファイバで導く光学装置において、
    紫色レーザ光を発生させる紫色半導体レーザと、該紫色半導体レーザから発せられたレーザ光を集光するレンズと、該レンズから射出されるレーザ光を導く光ファイバを保持するLDモジュールを有し、LDモジュールにLDモジュール内部のガスを外部に抜く穴を設けたことを特徴とする光学装置。
  2. 請求項1記載の光学装置において、
    前記LDモジュールは、半導体レーザ側のLDMホルダとファイバ側のLDMホルダを有し、
    前記紫色半導体レーザと前記レンズを前記半導体レーザ側のLDMホルダに保持し、
    前記光ファイバを前記ファイバ側のLDMホルダに保持し、該ファイバ側のLDMホルダに前記穴を設けたことを特徴とする光学装置。
  3. 請求項2記載の光学装置において、
    前記ファイバ側のLDMホルダは、内側に前記光ファイバを保持するフェルールおよびフェルールホルダと光ファイバの先端が当接される平面ガラスを有することを特徴とする光学装置。
  4. 請求項3記載の光学装置において、
    前記レンズと前記フェルールホルダの間から発生した前記ガスを前記穴より抜くことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
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