JP3852653B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを用いて被処理物の灰化、エッチング、薄膜形成を行うプラズマ処理装置に係わり、特に酸素含有雰囲気中のプラズマにより生じた活性酸素原子を利用して使用済みイオン交換樹脂等の灰化処理を行うプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のプラズマ処理装置においては、処理に用いるプラズマとして誘導結合プラズマを用いている。誘導結合プラズマは、誘導コイルに高周波電流を通電することによって生じる電磁誘導現象により得られるプラズマである。その基本的な発生原理は金属などの誘導加熱(IH:Induction Heating )と同じであり、電磁誘導でθ方向に生ずる誘導電界によりプラズマに渦電流を生じさせ、プラズマを加熱するものである。無電極で高密度のプラズマが得られるという長所を持っている。
【0003】
この誘導結合プラズマを用いる装置としては、例えば特開平7−211490号公報、特開平8−195296号公報、特開平10−284298号公報に半導体素子あるいは液晶素子の製造に用いられるプラズマ処理装置が開示されている。また、特願平10−284064号には使用済みのイオン交換樹脂の灰化処理に用いられるプラズマ処理装置が提示されている。
【0004】
図14は、上記の特願平10−284064号に記載の高周波誘導コイルを利用したイオン交換樹脂減容処理装置の構成を模式的に示す断面図である。本減容処理装置は、被処理用のイオン交換樹脂3を搭載した処理皿4を内蔵する反応容器2、反応容器2の上面に配された石英よりなる平板窓40、平板窓上部に巻装された高周波誘導コイル15、高周波誘導コイル15に高周波電流を供給する高周波電源1、反応容器2内部を排気する図示しない減圧ポンプに接続される排気口17、および反応容器2の内部に酸素または酸素を含む複数のガスを導入するためのガス導入口5より構成されている。また、イオン交換樹脂3を積載した処理皿4を移動機構31により鉛直方向に移動可能に組み込まれた移動ステージ30の上に置載して、灰化減容処理を行うよう構成されている。本装置においては、反応容器2の内部を酸素含有雰囲気とし、高周波誘導コイル15による高周波磁界を平板窓40を通して高周波誘導コイル15に反応容器2の内部に形成し、電磁誘導によって得られた酸素プラズマ6を被処理用のイオン交換樹脂3と反応させて灰化処理が行われる。
【0005】
上記の酸素プラズマによる使用済みイオン交換樹脂灰化処理の概要は以下の通りである。まず、プラズマ中では、次式(1)、(2)で代表される過程により化学的活性の高い酸素原子や酸素イオン等の活性粒子が生成される。
【0006】
5eV以上の電子衝突 :
2 +e→O2 * +e→O2 +e+hν→O+O+e (1)
12eV以上の電子衝突 :
2 +e→O2 * +e→O2 + +2e→O+O+ +2e (2)
これらの活性粒子は、イオン交換樹脂やイオン交換樹脂の分解ガスに直接作用して、アルキル基から水素を引き抜いたり、C−C結合への割り込みや切断を経て、炭化水素の酸化を行う。その結果、樹脂は、COやCO2 、H2Oとしてガス化され減容される。また、イオン交換樹脂の交換基に吸着されていたCoなどの金属イオンは、酸化物として減容された残さ中に残留する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図14に示した従来のプラズマ処理装置は、樹脂灰化処理に優れた性能を有しており、特に原子力設備から廃棄されるイオン交換樹脂等の廃棄物の減容処理に有効である。しかしながら本装置においても下記のような問題を残している。
【0008】
すなわち、実際の樹脂の処理においては、被処理樹脂の性状に合わせた処理を行う必要があり、温度耐性が大きくプラズマによる加熱で熱分解しにくい樹脂の場合には、プラズマ入力パワーを大きくして、活性粒子数を増大させ、処理効率を上げることによって不完全酸化物の生成が抑えられる。一方、キレート材を多量に含む場合や温度耐性の低い樹脂の場合には、プラズマ入力パワーを下げてプラズマによる加熱を抑制し、これによって熱分解ガスの大量発生を抑え、活性粒子の不足による不完全酸化物の生成に起因するタール等の生成を効果的に低減させることが必要である。この場合には、樹脂が枯れ始め、熱分解ガスの放出量が少なくなるのに応じてプラズマ入力パワーを徐々に上げて、処理が行われる。このように、イオン交換樹脂等の樹脂廃棄物の減容処理を行う場合には、気相における完全酸化を実現させるためには、被処理イオン交換樹脂の状況に応じて、プラズマ入力パワーを調整し、生成している活性粒子量に応じて熱分解気化ガスの発生量を調整することが必要である。
【0009】
樹脂量に対してプラズマ入力パワーが過大になると、熱分解ガスが大量に発生し、タールが処理容器の内壁に付着する。容器の内壁の温度は室温程度と低く、またこの容器の内壁にはプラズマによる活性酸素原子も届き難いため、容器壁に付着したタールは処理されないで、付着したまま残ることとなる。本装置には、処理容器の圧力調整用のバルブや、処理皿を上下に駆動するための移動ステージが備えられており、生成したタールがこれらの駆動部に付着すると、所期の性能が維持できなくなる恐れがあるため、一度タールを発生させると、タールの除去作業が必要である。この除去作業は装置の稼働率を下げるにとどまらず、特に原子力設備からの放射性を有するイオン交換樹脂処理の場合では作業自体が困難となる。したがって、このような事態を引き起こさないためには、樹脂性状に合わせたプラズマ入力パワーの正確かつ精度の高い制御が必要である。
【0010】
しかしながら、本構成のプラズマ処理装置においては以下に示すように二つのモードでプラズマが発生するため、プラズマ入力パワーの制御に問題が生じる。すなわち、本構成の装置においては、図8の発生原理と図9の発生原理によってプラズマが発生する。誘導結合プラズマは、その名の示すとおり高周波電源1より高周波誘導コイル15に供給された高周波電流によって容器2の内部に発生する誘導電界E1がプラズマ6を生成する役割を果たす(図8)。しかしながら、高周波誘導コイル15に高周波電流を供給すると、図9に示したように、誘導電界E1の他に、高周波誘導コイル15に印可する高周波電圧による静電界E2も同時に発生しており、インダクティブな誘導結合とキャパシティブな容量結合が存在する。一般にプラズマ密度が低い場合には容量結合主体のプラズマ(Eモードプラズマ)、プラズマ密度の高い場合には誘導結合主体のプラズマ(Hモードプラズマ)が発生する。EモードからHモードへの遷移はプラズマ密度に依存し、プラズマ密度がある値(しきい値)以上になるとプラズマへのパワー供給が急激に大きくなる。この現象を一般にモードジャンプと呼んでいる。
【0011】
図10はこの現象の実測例を示したものであり、高周波誘導コイルに通電する誘導コイル電流値がある値に達すると急激にプラズマ入力が大きくなることがわかる。この一定のコイル電流値以下で発生しているプラズマがEモード、このコイル電流値以上で発生しているプラズマがHモードである。
【0012】
図11は、このモードジャンプの説明図で、本図のE1モードとHモードより構成される挙動が図10の実測例に対応している。すなわち、高周波誘導コイルに通電する誘導コイル電流を増加させていくと、プラズマ入力がある値(しきい値Ps1)に達するまでは、コイルに印加される電圧によりプラズマにパワーが供給されることとなり、図中のE1モードに従ってプラズマ入力が増大する。このしきい値Ps1に達すると(図中のA点)、モードジャンプが生じてHモードへと移行する(図中のB点)。 E1モードによってプラズマ入力がしきい値Ps1に到達したときのコイル電流値が比較的小さければ、Hモードへの移行に伴うプラズマ入力のジャンプ幅も比較的小さいが、しきい値Ps1に到達したときのコイル電流値が非常に大きければ、プラズマ入力のジャンプ幅も大きくなる。モードジャンプによってHモードになると、プラズマ入力は、誘導コイル電流の調整によってHモードの特性に従って制御される。しかしながら、コイル電流が減少し、プラズマ入力がある値(しきい値Ps2)に達すると(図中のC点)、HモードからEモードへの移行が生じる。したがって、プラズマ入力はコイル電流に対してヒステリシスループを描くこととなる。このため、プラズマ入力は一義的に制御できないばかりでなく、Ps1とPs2の間の値に制御することは不可能である。特に、しきい値Ps1に到達したときのコイル電流値が大きければヒステリシスループも大きくなり、制御はより困難となる。
【0013】
このように、図14に示した従来のプラズマ処理装置においては、プラズマ入力が高周波誘導コイルに通電する誘導コイル電流に対してヒステリシスループを描くので、誘導コイル電流を制御してもプラズマ入力を一義的に制御することはできない。したがって、被処理用の樹脂の性状に合わせたプラズマ入力パワーの制御を十分に行うことができないで、プラズマ入力パワーが過大となり、熱分解ガスが大量に発生してタールが処理容器の内壁に付着し、その除去のために多大のメンテナンスを必要とし、装置の稼働率が大幅に低下してしまうという問題点がある。
【0014】
本発明の目的は、上記のごとき従来技術の難点を解消し、被処理用の樹脂の性状に合わせた精密なプラズマ入力パワーの制御が可能で、樹脂処理に伴うタールの発生が抑制され、そのメンテナンスが軽減され、高い稼働率で運転できるイオン交換樹脂等の処理用のプラズマ処理装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明においては、
被処理物を内包する金属製の処理容器、処理容器の一面に設けられた電気絶縁性材料よりなる窓、この窓の近傍に配置された高周波誘導コイル、高周波電流を供給する高周波電源、および処理容器内に反応性ガスまたは反応性ガスを含む複数のガスを導入するためのガス導入手段を備え、高周波電源より高周波誘導コイルに高周波電流を通電して処理容器内部に高周波磁界を形成し、電磁界作用によって処理容器内にプラズマを発生させ、反応性ガスのプラズマ化により生じた活性原子あるいはイオンを作用させて被処理物を灰化、あるいはエッチングし、あるいは被処理物に薄膜を形成するプラズマ処理装置において、
(a)窓の表面積がS(m2)、窓の厚さがd(m)、窓を形成する電気絶縁性材料の比誘電率がεS 、高周波誘導コイルに通電される高周波電流の周波数がf(Hz)のとき、高周波誘導コイルの導体の窓に対向する表面積の総和A(m2)が、A> 4×108 ×S×d/(f・εS )となるように高周波誘導コイルを形成する。
【0016】
(b)さらに上記の(a)において、高周波誘導コイルを、窓に対向する面に幅広面を配した平板状の断面を有するコイルとする。
【0017】
(c)さらに上記の(b)において、高周波誘導コイルを上記の窓の大気側表面に薄膜として形成することとする。
【0018】
(d)あるいは、高周波誘導コイルを窓の内部に形成することとする。
【0019】
ところで、図11に見られるように、前述のモードジャンプは、Eモードにおけるプラズマ入力〜誘導コイル電流特性の傾きが、Hモードにおけるプラズマ入力〜誘導コイル電流特性の傾きに比べて小さいことが原因となって生じている。したがって、Eモードにおけるプラズマ入力〜誘導コイル電流特性の傾きが大きくなれば、モードジャンプの幅が小さくなることになる。
【0020】
図12は、図14の装置のHモードにおけるプラズマ発生の等価回路、図13はEモードプラズマ発生の等価回路を示したものである。Eモードでは、図13のごとく、容器と高周波誘導コイルの間に位置する石英製の窓部分がコンデンサCwを形成し、プラズマの等価抵抗Rpに流れる電流Iを制限する。すなわち、プラズマへの入力はI2 Rpで与えられるが、窓部分のコンデンサ容量Cwが小さい場合には、インピーダンス1/(ωCw)が大きくなり、このためプラズマの等価抵抗Rpに流れる電流Iが小さくなるので、プラズマへの入力は小さくなる。これに対して、窓部分のコンデンサCwが大きければ大きいほどインピーダンス1/(ωCw)が小さくなり、電流Iが上昇するので、Eモードにおけるプラズマへのパワー供給量が大きくなることになる。一方、Hモードでは、図12のようにプラズマ発生の等価回路には窓部分のコンデンサCwは現れず、誘導コイルに通電する電流値に依存してプラズマにパワーが供給されることが解る。すなわち、Hモードでは、窓部分のコンデンサ容量Cwを変えても、プラズマ入力〜誘導コイル電流特性には影響を与えないことがわかる。
【0021】
したがって、平板形状の窓部分が形成するコンデンサのインピーダンスを低減させれば、Eモードにおけるプラズマ入力〜誘導コイル電流特性の傾きが大きくなり、Hモードにおけるプラズマ入力〜誘導コイル電流特性の傾きに近づいてモードジャンプの幅が小さく抑えられるため、プラズマ入力の精度の高い制御が可能となる。
【0022】
すなわち、モードジャンプを説明するために示した図11のプラズマ入力〜誘導コイル電流特性において、Eモードのしきい値Ps1への到達点の電流値が、Hモードのしきい値Ps1での電流値となるように構成すれば、すなわち、図に示したE2モードのごとき特性を有するように構成すれば、プラズマ入力〜誘導コイル電流特性は、E2モードとHモードを点Qにおいて連結した特性を持つこととなる。このような特性においては、しきい値Ps1においてE2モードからHモードへとジャンプを生じることなく連続的に移行するので、E1モードのごときヒステリシスは生じない。したがって、プラズマへの入力は、誘導コイル電流の調整によって精度よく制御される。なお、Eモードの傾きがさらに増大して、点Qの電流値より小さな電流値でしきい値Ps1に到達した場合には、誘導コイル電流を増大させると、プラズマ入力Ps1を維持したまま点Qに達し、Hモードへと移行するので、ヒステリシスを生じることはなく、プラズマへの入力は精度よく制御できる。
【0023】
本図に見られるように、従来の装置の特性(図10)を摸式的に示したE1モードと、点QにおいてHモードに連結するE2モードのそれぞれの傾きを比較すると、E2モードの傾きがE1モードの傾きの約2倍であることが認められる。一方、Eモードの傾きは、前述のごとく、窓部分のコンデンサ容量Cwに依存し、そのインピーダンス1/(ωCw)が大きくなるほど小さくなり、後述の測定例に示したように、この傾きはほぼ(ωCw)に比例して増大する。したがって、一般的に、プラズマにパワーが投入される面積、すなわち窓部分の面積がS(m2)、窓部分のコンデンサ容量がCw、誘導コイル電流の周波数がf(Hz)、したがってω= 2πfのとき、(ωCw)/Sの値を、図10の特性を示した図14の装置の窓部分の面積、コンデンサ容量等から算出される(ωCw)/Sの値の約2倍以上とすれば、プラズマ入力〜誘導コイル電流特性は、EモードとHモードが連続する特性を示すこととなり、プラズマへの入力の高精度の制御が可能となる。ここで、窓材の比誘電率をεS 、厚さをd(m)、誘導コイルの窓部に対向する導体面積をA(m2)とすれば、Cw=εS ・εS ・A/dで表されるので、上記の(ωCw)/Sの値は、f・εS ・A/(S・d)に比例することとなる。したがって、f・εS ・A/(S・d)の値が図14の装置の値の約2倍以上であれば、プラズマへの入力は高い精度で制御できることとなる。
【0024】
図14の装置においては、窓には石英ガラス(比誘電率εS =3.7 )が用いられており、その半径は 0.33 m 、したがって窓の面積は 0.108 m2 、厚さdは30×10-3 mである。また、高周波誘導コイルの石英ガラス窓に対向する導体面積Aは1.36×10-2 m2 、誘導コイルの電流の周波数fは13.56 ×106 Hzである。これらの数値より本装置のf・εS ・A/(S・d)の値は 2.1×108 と算出される。したがって、この種のプラズマ処理装置において、f・εS ・A/(S・d)の値が、凡そ、
【0025】
f・εS ・A/(S・d)≧ 4×108 (3)
となるように構成すれば、プラズマへの入力は高い精度で制御できることとなる。
【0026】
したがって、上記(a)のごとくプラズマ処理装置を構成すれば、上記の式(3)が満たされることとなり、基本的にプラズマ入力〜高周波誘導コイル電流特性は、EモードとHモードが連続する特性を示すこととなるので、少なくともモードジャンプの幅が小さく抑えられ、プラズマへの入力の高精度の制御が可能となる。
【0027】
また上記(b)のごとく構成すれば、高周波誘導コイルの大型化を引き起こすことなく上記の式(3)が満たされることとなる。したがって、コンパクトな構成で、プラズマ入力パワーの精度の高い制御が可能となる。
【0028】
また、上記(c)のごとく構成すれば、平板形状の窓と高周波誘導コイルとの間の空気層ギャップを皆無とすることができ、また、上記(d)のごとく構成すれば、窓部分のコンデンサとして作用する実効的な誘電体層の厚さdが薄くなるので、窓部に対向する誘導コイルの導体面積Aが相対的に小さくとも上記の式(3)が満たされることとなる。したがって、コンパクトな構成で、プラズマ入力パワーの精度の高い制御を可能とするのに効果的である。
【0029】
また、上記(d)のごとく通常用いられている石英より誘電率の高い材料により平板形状の窓を形成することとすれば、実効的な静電容量は誘導コイルとプラズマとの間の静電容量に依存し、窓の厚さに依らないので、窓部の機械的強度を損なうことなく静電容量を大きくすることができ、上記(1)と同様に、プラズマ入力パワーの精度の高い制御が可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
<実施例1>
図1は、本発明のプラズマ処理装置の第1の実施例の基本構成を模式的に示す図である。本プラズマ処理装置は、図14に示した従来の実施例の構成を基に形成されたもので、図14のプラズマ処理装置との相違点は、高周波誘導コイル15Aの導体の断面形状を幅の広いリボン状とし、かつ、窓部に対向する高周波誘導コイル15Aの導体面積を従来例の2倍にしたことにある。
【0031】
すなわち、図1のプラズマ処理装置においては、石英ガラスよりなる窓40の面積S、厚さdは従来例と同一であり、高周波誘導コイル15Aの電流の周波数fも 13.56×106 Hzで従来例と同一である。これに対して、高周波誘導コイル15Aの導体の断面形状は、従来例の 8 mm の方形から、窓に対向する幅が 16 mm、高さが 4 mm の平板形状に替わり、コイル長は双方とも1.7 m である。したがって、本実施例の高周波誘導コイル15Aの石英ガラス窓40に対向する導体の面積Aは従来例の 1.36 ×10-2 m2 の2倍の 2.72 ×10-2 m2 に上昇しており、f・εS ・A/(S・d)の値は、 4.2×108 である。
【0032】
図2は、本実施例のプラズマ処理装置のコイル電流に対するプラズマ入力パワーの変化を従来例と対比して示した特性図である。図中、Aで示した特性は、比較にために示した従来例の特性で、図10に示した特性と同一であり、Bで示した特性が本実施例の特性である。図に見られるように、特性Bではいわゆるモードジャンプは見られず、EモードとHモードとの間でスムーズな遷移が生じている。すなわち、コイル面積を2倍に増大させてf・εS・A/(S・d)の値を 4×108 以上としたことによって、窓部での静電容量が増大し、EモードとHモードとの間の遷移がスムーズとなり、プラズマ入力の制御性が向上したことが判る。
【0033】
なお、本実施例では高周波誘導コイル15Aの形状を平板型(あるいはリボン型)としているが、本実施例のようにEモードとHモードとの間でスムーズな遷移が得られるための条件は、上述のように、f・εS ・A/(S・d)の値の選定にある。したがって、f・εS ・A/(S・d)の値を所定値以上とすれば、コイル形状が平板型(あるいはリボン型)でなくとも、同様な効果が得られる。したがって、図3の高周波誘導コイル15Bあるいは図4の高周波誘導コイル15Cのごとく窓に対向する面が広い面を備えた断面のコイル形状とすれば、静電容量が大きくなり、上記のf・εS ・A/(S・d)の値が増大するので好適である。
【0034】
<実施例2>
図5は、本発明のプラズマ処理装置の第2の実施例の基本構成を模式的に示す図である。
【0035】
本実施例のプラズマ処理装置の基本構成は図1に示した実施例1と同様であるが、高周波誘導コイル15Dが平板状窓40の大気側の表面に薄膜として形成され、かつ、窓40に対向する面が上述の実施例1の高周波誘導コイル15Aと同等の広さを持つように考慮されている点が特徴である。
【0036】
本構成では、高周波誘導コイル15Dの窓40に対向する面が広く、静電容量が増大するのみならず、高周波誘導コイル15Dと窓40との間の空気層ギャップを皆無にすることができるので、窓部に形成される静電容量はより大きくなり、プラズマ入力パワーの制御性の向上に効果的である。
【0037】
<実施例3>
図6は、本発明のプラズマ処理装置の第3の実施例の基本構成を模式的に示す図である。
【0038】
本実施例の基本構成も図1に示した実施例1と同様である。実施例1との相違は高周波誘導コイル15Eが平板状窓40Aの内部に内装されていることにある。本基本構成のプラズマ処理装置では、窓の厚さは大気圧に対する強度から決まるため、ある値以上の厚さを備える必要があり、任意に厚みを変えることはできない。したがって、上記の実施例1あるいは2のごとく高周波誘導コイルを窓の外側に配置した構成においては、窓部の静電容量は、高周波誘導コイルとプラズマ間に挿入される窓の厚みdに依存するが、本実施例のごとく、高周波誘導コイルを平板状窓40Aの内部に内装すれば、静電容量は高周波誘導コイルとプラズマ間に存在する部分の厚さd1 によって定まり、窓の厚さには依存しないので、強度上必要な窓の厚さdを変えることなく、窓の静電容量を大きくすることが可能となる。したがって、プラズマ入力が安定して制御できる条件式は、式(3)においてdをd1 で置換したものとなり、高周波誘導コイルの導体のプラズマに対向する面積少ないものにあっても、プラズマ入力を安定して制御することが可能となる。
【0039】
<実施例4>
図7は、本発明のプラズマ処理装置の第4の実施例の基本構成を模式的に示す断面図である。本プラズマ処理装置も、図14に示した従来の実施例の構成を基に形成されたもので、図14の処理装置との相違点は、窓40Bの材質を従来例の窓40,40Aに用いられていた石英ガラスからセラミックに変えたことにある。
【0040】
既に述べたように、EモードとHモードとの間のスムーズな遷移を可能とするには窓部の静電容量を大きくして式(3)が成り立つように構成する必要がある。本式(3)に見られるように、当然のことながら、窓部を構成する材料の誘電率が高ければ高いほど式(3)を満たすことが容易となる。したがって、本実施例のごとく、窓の構成材料を石英ガラス(誘電率:3.7 程度)からセラミック(誘電率:5 〜 8程度)に変更すれば、式(3)を満たすことが容易となる。
【0041】
なお、上記の実施例1〜4の特徴をそれぞれ組み合わせて構成することも可能であり、組み合わせることによってその効果も大きくなる。
【0042】
また、上記の実施例においては、処理容器2に設けられた窓40,40A,40Bがいずれも平板形状をもつものとして例示されているが、その形状は平板形状に限定されるものではなく、例えば略半球状に外側に突出した、いわゆるドーム型の窓においても適用されることは、本発明の思想から容易に想定される。
【0043】
【発明の効果】
上述のごとく本発明によれば、プラズマ処理装置を請求項1、あるいは請求項2〜のごとく構成することとしたので、プラズマ入力〜誘導コイル電流特性のEモードとHモードとの間の遷移によるプラズマ入力のジャンプ現象、ヒステリシス現象が無くなり、被処理イオン交換樹脂の性状に合わせたプラズマ入力の精密な制御が可能となった。その結果、樹脂処理におけるタール発生の問題を解消し、装置のメンテナンスを軽減させ、装置の稼働率を向上させたプラズマ処理装置が得られることとなった。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明によるプラズマ処理装置の第1の実施例の基本構成を模式的に示す断面図。
【0046】
【図2】本発明の第1の実施例のプラズマ処理装置と従来のプラズマ処理装置のプラズマ入力パワーのコイル電流依存性を示す特性図。
【0047】
【図3】本発明の第1の実施例の高周波誘導コイルの断面形状の他の例を示す断面図。
【0048】
【図4】本発明の第1の実施例の高周波誘導コイルの断面形状のさらに他の例を示す断面図。
【0049】
【図5】本発明によるプラズマ処理装置の第2の実施例の基本構成を模式的に示す断面図。
【0050】
【図6】本発明によるプラズマ処理装置の第3の実施例の基本構成を模式的に示す断面図。
【0051】
【図7】本発明によるプラズマ処理装置の第4の実施例の基本構成を模式的に示す断面図。
【0052】
【図8】誘導結合Hモードプラズマの発生原理を示す図。
【0053】
【図9】容量結合Eモードプラズマの発生原理を示す図。
【0054】
【図10】EモードからHモードへの遷移を表す図。
【0055】
【図11】EモードからHモードへのジャンプ現象を説明する図。
【0056】
【図12】Eモードプラズマの電気等価回路図。
【0057】
【図13】Hモードプラズマの電気等価回路図。
【0058】
【図14】従来のイオン交換樹脂処理用プラズマ処理装置の構成を模式的に示す断面図。
【0059】
【符号の説明】
1 高周波電源
2 反応容器
3 イオン交換樹脂
4 処理皿
5 ガス導入口
6 プラズマ
15,15A,15B 高周波誘導コイル
15C,15D,15E 高周波誘導コイル
17 排気口
30 移動ステージ
31 移動機構
40,40A,40B 窓

Claims (3)

  1. 被処理物を内包する金属製の処理容器、処理容器の一面に設けられた電気絶縁性材料よりなる窓、該窓の近傍に配置された高周波誘導コイル、高周波電流を供給する高周波電源、および処理容器内に反応性ガスまたは反応性ガスを含む複数のガスを導入するためのガス導入手段を備え、高周波電源より高周波誘導コイルに高周波電流を通電して処理容器内部に高周波磁界を形成し、電磁界作用によって処理容器内にプラズマを発生させ、反応性ガスのプラズマ化により生じた活性原子あるいはイオンを作用させて被処理物を灰化、あるいはエッチングし、あるいは被処理物に薄膜を形成するプラズマ処理装置において、
    前記の窓の表面積がS(m)、窓の厚さがd(m)、窓を形成する電気絶縁性材料の比誘電率がεs、高周波誘導コイルに通電される高周波電流の周波数がf(Hz)のとき、高周波誘導コイルの導体の窓に対向する表面積の総和A(m)が、A>4×10×S×d/(f・εs)となるように形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記高周波誘導コイルの導体断面が、前記の窓に対向する面に幅広面を配した平板状の断面を有することを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記高周波誘導コイルが、前記の窓の大気側表面に薄膜として形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
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