JP3852298B2 - フリクションギヤ装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリクションギヤ装置及びその製造方法に関し、詳細には、フリクションギヤ装置において、伝達要素である主歯車と、これに付設される遊転歯車とを押し付けるための押付荷重を、設計公差等によらず一定に得るための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
動力伝達要素として一般的に利用されている歯車において、バックラッシュによる歯車同士の衝突を防止するために、駆動歯車又はこれにより回転駆動される従動歯車のうちいずれか一方に、フリクションギヤ装置を付加することが知られている(特開平6−66111号公報参照)。フリクションギヤ装置の基本作動原理は、次の通りである。
【0003】
フリクションギヤ装置は、一般的に、主歯車を構成する駆動歯車及び従動歯車のうち一方と同軸に、遊転可能に付設した遊転歯車(副歯車)を、当該主歯車に対して弾性的に押し付けて構成される。ここで、副歯車の歯数は、前記主歯車が駆動歯車であるか又は従動歯車であるかに応じて適宜に増減される。
例えば、副歯車を従動歯車に付設してフリクションギヤ装置を構成する場合について述べる。
【0004】
この場合には、副歯車の歯数は、従動歯車(主歯車)の歯数よりも(例えば1つだけ)増やす。このため、従動歯車と副歯車とを比較すると、両歯面の接触点(噛合点)から遠ざかるに従って、副歯車の歯が従動歯車の歯より上記接触点側に位置するようになる。
この状態で駆動歯車を回転させると、副歯車は、弾性部材により従動歯車に押し付けられているので、従動歯車と一体に回転しようとする。しかしながら、回転が進み、前述のように副歯車の歯と従動歯車の歯とが大きくズレた個所が近づくと、駆動歯車は、副歯車の歯とその1つ前の従動歯車の歯との間の狭い隙間に噛み込んでいくことになる。
【0005】
このとき、副歯車の歯の回転方向前面が、駆動歯車の歯の回転方向後面に当接し、弾性部材により押し付けられているに過ぎない副歯車は、従動歯車に対して回転方向逆向きに押し戻される。ここで、駆動歯車には、従動歯車と副歯車と間の摩擦によるトルク抵抗(フリクショントルク)が働く。
そして、駆動歯車のトルクが負となるか、又は従動歯車に正方向のトルクが付加されることにより、従動歯車が駆動歯車よりも相対的に速く回転しそうになると、従動歯車に対して副歯車からフリクショントルクが働く。このため、従動歯車と駆動歯車との相対位置を維持し、又は従動歯車の相対的な加速を抑制することができるので、従動歯車と駆動歯車との衝突を防止し、歯打音の発生を防止することができるのである。このようにして、駆動歯車と従動歯車とのバックラッシュが副歯車により埋められ、駆動歯車と従動歯車との衝突が防止される。
【0006】
なお、副歯車を駆動歯車に取り付けてフリクションギヤ装置を構成する場合には、副歯車の歯数を駆動歯車の歯数より(例えば1つだけ)減らすことにより、同様の効果を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなフリクションギヤ装置においては、副歯車を駆動歯車又は従動歯車に押し付けるために、弾性部材として一般的に皿バネが使用される。皿バネには、比較的小さな空間で大きな負荷容量が得られること、直列又は並列に組み合わせることによりバネ特性が多様に得られること等の利点がある。
【0008】
その反面、皿バネには、たわみ量のわずかな変化で、発生する荷重に大きな変化が現れる特性がある。このため、設計公差等に基づいて製品間で皿バネのたわみ量にわずかなバラツキが生じただけでも、皿バネによる押付荷重のバラツキが大きくなり、結果として、フリクションギヤ装置の騒音低減効果に関して、それらの製品間で大きなバラツキが生じてしまう。
【0009】
このような欠点を改善する皿バネとして、従来より、たわみ量の変化に対する荷重の変化が少ない領域を有する定荷重型皿バネが知られている。
この定荷重型皿バネは、板厚tに対する最大たわみ量(皿バネが無荷重状態からフラットになるまでのたわみ量であり、本明細書では、「自然高さ」ともいう)hの比(=h/t)が1.5近傍の値を有する皿バネであり、最大たわみ量近傍で、荷重がたわみ量によらず略一定となる。
【0010】
しかしながら、このような皿バネを用いたとしても、得られる定荷重領域は限られており、その領域内に設計公差等に基づくたわみ量のバラツキを収めることは、困難な場合が多かった。
このような実情に鑑み、本発明は、フリクションギヤ装置において、従来の定荷重型皿バネと比較して格別に広い範囲のたわみ量に渡って略一定の押付荷重が得られるバネ機構を提供して、騒音低減効果を設計公差等によらず安定して得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の発明に係るフリクションギヤ装置は、駆動側歯車と噛み合う従動側歯車において、従動側歯車である主歯車と、該主歯車に比べて歯数を増すとともに、該主歯車と同軸にかつ該主歯車に対して遊転可能に付設された遊転歯車と、該遊転歯車と前記主歯車とを弾性的に押し付ける押付手段と、を備えるフリクションギヤ装置であって、前記押付手段は、たわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きが負となる領域を有し、フリクションギヤ装置において、たわみ量が該負となる領域に設定された主皿バネと、たわみ量が主皿バネの前記負となる領域での、極大荷重を与えるたわみ量を超える分のたわみ量以下に設定された副皿バネと、を含んで構成される。
【0012】
また、請求項2に記載の発明に係るフリクションギヤ装置は、従動側歯車と噛み合う駆動側歯車において、駆動側歯車である主歯車と、該主歯車に比べて歯数を減らすとともに、該主歯車と同軸にかつ該主歯車に対して遊転可能に付設された遊転歯車と、該遊転歯車と前記主歯車とを弾性的に押し付ける押付手段と、を備えるフリクションギヤ装置であって、前記押付手段は、たわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きが負となる領域を有し、フリクションギヤ装置において、たわみ量が該負となる領域に設定された主皿バネと、たわみ量が主皿バネの前記負となる領域での、極大荷重を与えるたわみ量を超える分のたわみ量以下に設定された副皿バネと、を含んで構成される。
【0013】
このような構成では、押付手段による押付荷重は、主皿バネと副皿バネとの合成荷重に基づいて形成される。そして、各皿バネの上記のようなたわみ量の関係は、組立時において、主皿バネが前記負となる領域にあるときに、すなわち、主皿バネの荷重がたわみ量の増加に伴って減少するときに、副皿バネがたわみ始めることで与えられる。
【0014】
なお、主皿バネ及び副皿バネは、いずれも単一の皿バネから構成されても、また、複数の皿バネを組み合わせて構成されてもよい。複数の組合せによる場合のバネ定数は、当該複数の皿バネの合成バネ定数である。
また、請求項3に記載のように、前記主皿バネの前記負となる領域での前記傾きの絶対値と、前記副皿バネのたわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きとは、略一致させるとよい。
【0015】
このような設定により、前記負となる領域において、主皿バネにおけるたわみ量δ1の増加に対する荷重P1の減少率(=∂P1/∂δ1)の絶対値と、副皿バネにおけるたわみ量δ2の増加に対する荷重P2の増加率(=∂P2/∂δ2)とが、略等しくなる。
前記副皿バネのたわみ量は、請求項4に記載のように、前記主皿バネ及び前記副皿バネを締め付けるためのキャップと、これらの皿バネとの当接位置を調整して設定するとよい。
【0016】
本発明に係る各皿バネのたわみ量の関係は、請求項5に記載のように、前記主皿バネ及び前記副皿バネとして、内径及び外径の略等しい皿バネを直列に組み合わせても得られる。ここでは、前記副皿バネの自然全高さは、前記主皿バネが極大荷重を与えるときの前記主皿バネの高さよりも、小さくされる。
または、請求項6に記載のように、前記主皿バネ及び前記副皿バネとして、内径が略等しく外径の異なる皿バネが共通平面上に配置されてもよい。前記副皿バネの自然全高さは、ここでも、前記主皿バネが極大荷重を与えるときの前記主皿バネの高さよりも小さくされる。
【0017】
本明細書では、「バネの自然高さ」とは、バネの最大たわみ量に相当し、「バネの自然全高さ」とは、バネの自然高さに板厚を加えたものとする。また、「バネの高さ」とは、ある荷重状態において可能な残りのたわみ量(たわみ残量)に相当し、「バネの全高さ」とは、バネの高さに板厚を加えたものとする。
さらに、請求項7に記載のように、前記主皿バネの締付傾斜角度が前記副皿バネの締付傾斜角度以下であると、より好適である。
【0018】
本発明に係るフリクションギヤ装置では、請求項8に記載のように、前記副皿バネとして、自然高さの板厚に対する比が1以下である皿バネを採用するのが好ましい。
請求項9に記載の発明に係るフリクションギヤの製造方法は、伝達要素である主歯車と、該主歯車に比べて歯数を増減した遊転歯車とを同軸に配置して、これらを押付手段により弾性的に押し付けて構成されるフリクションギヤ装置の製造方法であって、前記押付手段を、たわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きが負となる領域を有する主皿バネと、副皿バネとを含んで構成するとともに、前記主皿バネと前記副皿バネとの間でたわみ量を調整して、前記副皿バネを、前記主皿バネが前記負となる領域にあるときから撓ませることを特徴とする。
【0019】
【発明の効果】
請求項1,2及び9に記載の発明によれば、主皿バネの荷重がたわみ量の増加に伴って減少する領域で副皿バネの荷重が発生することとなるので、両者の荷重の合成により、主歯車と遊転歯車との間の押付荷重のたわみ量に応じた変化を抑えることができる。従って、設計公差等に基づいて皿バネのたわみ量において製品毎にバラツキが生じたとしても、押付荷重は安定するので、フリクションギヤ装置による騒音低減効果を安定して得ることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、前記負となる領域において主皿バネの荷重と副皿バネの荷重との合成荷重が略一定となるので、押付荷重をたわみ量によらず略一定とすることができ、フリクションギヤ装置による騒音低減効果をより安定させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、副皿バネのたわみ量を容易に調整することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、主皿バネと副皿バネとを重ね合わせて締め付けるだけなので、押付手段において他に加工を施す必要もなく、安定した押付荷重を簡単かつ低廉に得ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、主皿バネと副皿バネとを共通平面上で締め付けるだけで安定した押付荷重が得られるとともに、各皿バネの外径を個別に設定可能であるので、設計上の自由度が増す。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、主皿バネの外周部が副皿バネ上に乗り上げることがないので、外径の異なる主皿バネ及び副皿バネのバネ特性を、それぞれ安定して利用することができる。
請求項8に記載の発明によれば、副皿バネのたわみ量を容易に設定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るフリクションギヤ装置の構成の概略を示す平面図である。ここでは、エンジンの動弁装置を構成するカム軸駆動ギヤに適用した場合について説明する。
【0024】
本動弁装置において、2本のカム軸1a(吸気側)及び1b(排気側)は、それぞれシリンダヘッド2に、カムキャップ3a〜3cにより回転自在に支持されている。これらのカム軸に対して、カムキャップ3aより外部に突出する先端部に歯車が取り付けられている。
カム軸1aには、従動歯車である主歯車(以下「ドリブンギヤ」という)4が取り付けられている。ドリブンギヤ4は、図示しないダウエルピンによりカム軸1aに対して位置決め固定されている。
【0025】
また、ドリブンギヤ4には、遊転歯車としてのサブギヤ5が、ドリブンギヤ4と同軸に取り付けられている。ここで、サブギヤ5は、弾性部材である皿バネ6a,6b(図1には、皿バネ6aのみを示す)によりドリブンギヤ4に弾性的に押し付けられているに過ぎず、ドリブンギヤ4に対して遊転可能な状態にある。この押付力は、皿バネ6a及び6bが、ボルト7の締付力によりキャップ8とサブギヤ5との間で圧縮されて、発生する。サブギヤ5の歯数は、ドリブンギヤ4の歯数よりも1つ(又はそれ以上)多くなっている。
【0026】
なお、皿バネ6a及び6b、ボルト7及びキャップ8は、本発明に係る押付手段を構成する。
一方、カム軸1bには、上記ドリブンギヤ4を駆動する駆動歯車である主歯車(以下「ドライブギヤ」という)9が取り付けられている。ドライブギヤ9は、図示しないダウエルピンによりカム軸1bに対して位置決め固定されている。
【0027】
また、ドライブギヤ9には、チェーンスプロケット10が一体的に取り付けられている。そして、ドライブギヤ9とチェーンスプロケット10とは、ワッシャ11を介してボルト12によりカム軸1bに固定されている。
チェーンスプロケット10は、図示しないクランクシャフトの回転動力がチェーン等を介して伝達されて、回転する。そして、これに伴ってドライブギヤ9が回転して、ドリブンギヤ4を駆動することにより、カム軸1a及び1bが回転する。
【0028】
図2は、ドリブンギヤ4及びその周辺構造の部分断面図である。同図において、(a)は、ボルト7を完全に締め付ける前のキャップ8の挿入過程における状態を、また、(b)は、ボルト7を完全に締め付けた使用状態を表し、矢印Fは、ボルト7の締付方向を示す。そこで、図2を参照して、本実施形態に係るフリクションギヤ装置の構成について詳細に説明する。
【0029】
本フリクションギヤ装置では、2つの皿バネ6a,6bが並列に組み合わされて使用される。
そして、サブギヤ5のキャップ側表面5aには、円周方向に段差が形成されており、内周側が外周側よりも一段落ち込んで、皿バネ6bを位置決めするための受座を形成している。また、キャップ側表面5aには、前記受座の外周側に隣接して皿バネ6aの受座が形成される。
【0030】
一方、キャップ8側においては、サブギヤ対向面(すなわち、皿バネとの当接面)8aのうち外周側が内周側よりも一段落ち込んで、円周方向に段差が形成されている。そして、この段差部側面により皿バネ6aが位置決めされる。
ここで、皿バネ6a,6bの各バネ特性について述べれば、皿バネ6aは、本発明に係る主皿バネに相当するものであり、自然高さが例えば板厚の2倍以上あるような、たわみ量と荷重との間の関係において高い非線形性を有する皿バネである。一方、皿バネ6bは、本発明の副皿バネに相当するものであり、自然高さが例えば板厚以下であるような、上記関係において比較的線形性の高い皿バネである。
【0031】
そして、サブギヤ5及びキャップ8において、これらの皿バネ6a,6bのそれぞれについて設けられた段差により、本フリクションギヤ装置の組立時には、ボルト7を締め付けてキャップ8を挿入していくと、図2(a)のように皿バネ6aが先にキャップ8に当接して、たわみ始める。このとき、皿バネ6bとキャップ8との間にはまだ隙間が残っており、皿バネ6bは撓まずに自然高さを維持している。
【0032】
ボルト7を更に締め付けていくと、皿バネ6aのたわみ量が極大荷重を与えるたわみ量より大きくなって荷重の変化の傾きが負となったときに、皿バネ6bもキャップ8に当接して、たわみ始める。そして、図2(b)のようにボルト7を完全に締め付けた状態では、いずれの皿バネも撓んで荷重を発生している。次に、以上のようにして構成されるフリクションギヤ装置の効果について説明する。
【0033】
まず、一般式として、皿バネにたわみ量δを与えた場合の荷重Pは、下式(1)で表される。
ここで、式中の記号は、皿バネの外径をD、内径をd、板厚をt、自然高さ(自然全高さHから板厚tを減じた値であり、最大たわみ量δmaxに等しい)をhとし(以上、いずれも単位はmm)、ヤング率をE(kgf/mm2 )、ポアソン比をν、及び形状係数をCとしている。形状係数Cは、α=D/dとして下式(2)で表される。なお、Lnは、自然対数を示す。
【0034】
【数1】
Figure 0003852298
上式(1)から明らかなように、荷重Pは、たわみ量δに対する3次関数であり、その特性は、自然高さhと板厚tとの比に応じて変化する。この特性の変化を図3に示す。
【0035】
同図によると、板厚tに対して自然高さhが比較的小さい場合には、皿バネの荷重Pはたわみ量δに関してほぼ線形であるが、板厚tに対して自然高さhが相対的に大きくなるに従って特性は非線形性を高め、h=√2tとなった時点で、図の特性曲線の傾きがδ=hにおいて0となる。そして、h>√2tの条件下では、極大荷重を与えるたわみ量よりも大きいたわみ量において、特性曲線の傾きが負となる。
【0036】
従って、本実施形態について言えば、皿バネ6aについて極大荷重を与えるたわみ量が存在し、それ以上にボルト7を締め付けたときには、皿バネ6aの荷重は減少することとなる。そして、このようにして皿バネ6aの荷重が減少する過程で、皿バネ6bの荷重が発生する。
図4は、上式(1)に基づいて計算された本実施形態に係る押付荷重特性を示している。
【0037】
同図において、曲線Aは皿バネ6aのバネ特性を、曲線Bは皿バネ6bのバネ特性を、曲線Cは両皿バネ6a及び6bの合成バネ特性を、夫々示している。そして、押付ストローク量sが所定値s1未満での曲線Aと、曲線Cとを繋いで形成される曲線が、押付荷重特性に相当する。なお、「押付ストローク量s」とは、皿バネ6aがたわみ始めてからのキャップ8の移動長さに等しく、「所定値s1」とは、皿バネ6bがたわみ始めるときの押付ストローク量である。
【0038】
本実施形態によれば、皿バネ6aの荷重が減少する過程で皿バネ6bがたわみ始めるので、皿バネ6aの荷重減少が皿バネ6bの荷重により補われる。このため、図4に示すように、ボルト7の締付けがある程度進行したときから完全に締め付けるまでの領域で押付荷重が略一定となる。
このような定荷重領域は、全押付ストロークにおける皿バネ6bのたわみ開始位置(s1)を適切に設定するとともに、皿バネ6bがたわみ始めた後の皿バネ6aの荷重の減少率と、皿バネ6bの荷重の増加率とを略一致させることで、広い範囲に渡って形成される。なお、前者の課題については、サブギヤ5の段差又はキャップ8の段差を調整することにより、後者の課題については、各皿バネの設計により、それぞれ容易に対応可能である。
【0039】
そして、このように押付荷重が広い範囲で略一定であるならば、各構成部品(皿バネ6a及び6b,サブギヤ5及びキャップ8)は、それらの設計公差等の積み上げから想定されるたわみ量のバラツキが、以上のようにして形成される定荷重領域内に収まるように設計すればよい。
このような設計により、製造誤差の影響を受けることなく一定の押付荷重が得られるので、良好な騒音低減効果が得られるフリクションギヤ装置を安定して量産することができる。また、定荷重領域が拡大されたことで、設計公差をその分緩和し、加工コストの低減を図ることもできる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
ここでは、第1の実施形態のものとの相違点についてのみ説明し、同様に構成される要素については、説明を省略する。
図5は、本フリクションギヤ装置におけるドリブンギヤ4及びその周辺構造の部分断面図であり、図2と同様に、(a)は、キャップ8の挿入過程における状態を、(b)は、ボルト7を完全に締め付けた使用状態を表している。また、第1の実施形態のものと同一の構成要素には、同一符号が付してある。
【0041】
本フリクションギヤにおいては、主皿バネ及び副皿バネとして、内径d及び外径Dが夫々等しい2つの皿バネ21a,21bを直列に組み合わせて使用している。
これらの皿バネのうち、皿バネ21aは、非線形性の高い皿バネであり(例えば、h/t≧2)、皿バネ21bは、比較的線形な特性の皿バネである(例えば、h≦t)。そして、極大荷重を与えるときの皿バネ21aの高さ(たわみ残量)が、皿バネ21bの自然全高さよりも大きくなるように、各皿バネが設計されている。
【0042】
このように設計された皿バネ21a,21bを直列に組み合わせてサブギヤ5上に乗せ、ボルト7を締め付けていくと、皿バネ21aから先にたわみ始める。このとき、皿バネ21bにはボルト7の締付力は伝わらず、皿バネ21bは、撓まずに自然高さを維持する。
ボルト7を更に締め付け、皿バネ21aのたわみ量が極大荷重を与えるたわみ量よりも大きくなると、皿バネ21bは、皿バネ21aの内周部を介して締付力を受けて、 たわみ始める。そして、ボルト7を完全に締め付けた状態では、いずれの皿バネも荷重を発生する。
【0043】
このように、本実施形態によれば、高さの異なる2種類の皿バネを単に重ね合わせて使用するだけで、定荷重領域を従来と比較して格段に拡大することができる。
また、第1の実施形態におけるようにサブギヤ5やキャップ8に位置決め用の段差等を形成するための加工が不要であるから、加工工程数を抑え又は既存の主歯車に対してそのまま適用して、低廉にフリクションギヤを構成することが可能である。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
ここでは、第1の実施形態のものとの相違点についてのみ説明し、同様に構成される要素については、説明を省略する。
図6は、本フリクションギヤ装置におけるドリブンギヤ4及びその周辺構造の部分断面図であり、図2と同様に、(a)は、キャップ8の挿入過程における状態を、(b)は、ボルト7を完全に締め付けた使用状態を表している。また、第1の実施形態のものと同一の構成要素には、同一符号が付してある。
【0045】
本フリクションギヤにおいては、主皿バネに相当する皿バネ31aと、副皿バネに相当する皿バネ31bとで内径を略等しくしてあり、また、それぞれの外周部をサブギヤ5上の平坦面に当接させている。
これらの皿バネのうち、皿バネ31aは、非線形性の高い皿バネであり(例えば、h/t≧2)、皿バネ31bは、比較的線形な特性の皿バネである(例えば、h≦t)。また、第2の実施形態におけると同様に、極大荷重を与えるときの皿バネ31aの高さを、皿バネ31bの自然全高さよりも大きくしている。
【0046】
そして、組立時には、まず、皿バネ31a内部に皿バネ31bを収めた状態でサブギヤ5上に乗せ、皿バネ31aの上からキャップ8を当てて、締め付ける。すると、皿バネ31aから先にたわみ始める。このとき、皿バネ21bは、その自然高さを維持する。
ボルト7を更に締め付け、皿バネ31aのたわみ量が極大荷重を与えるたわみ量よりも大きくなると、皿バネ31bは、皿バネ31aの内周部に押し付けられてたわみ始める。そして、ボルト7を完全に締め付けた状態では、いずれの皿バネも荷重を発生する。
【0047】
図7は、ボルト7を完全に締め付けた使用状態における皿バネ31a,31b及びその周辺構造の拡大断面図である。
図7に示されるように、本実施形態では、使用状態において、皿バネ31aの締付傾斜角度θaが皿バネ31bの締付傾斜角度θbよりも小さくなる。このような設計により、ボルト7を締め付ける過程で皿バネ31bを皿バネ31a内部に良好に収め、皿バネ31aの不要な変形を防止して、両皿バネによる安定した合成バネ特性を得ることができる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、第2の実施形態と同じく、2種類の皿バネを単に重ね合わせて使用するだけなので、拡大された定荷重領域を低廉に得ることができる。
また、外径の異なる皿バネ31a,31bを使用することができるので、設計上の自由度が増す。
【0049】
なお、以上の説明では、主皿バネとして1枚の皿バネを使用し、副皿バネとして1枚の皿バネを使用した。本発明は、これに限らず、要求仕様に応じて、主皿バネ、副皿バネ又はこれらの両方を複数の皿バネで構成し、それぞれ直列又は並列に組み合わせて使用することができる。複数の皿バネから構成される主皿バネについては、それらの合成荷重の変化の傾きが負となる領域を設ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフリクションギヤ装置の全体構成を示す平面図
【図2】同上フリクションギヤ装置の部分断面図
【図3】皿バネの荷重特性を示す図
【図4】本発明に係る押付荷重特性の一例を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係るフリクションギヤ装置の部分断面図
【図6】本発明の第3の実施形態に係るフリクションギヤ装置の部分断面図
【図7】同上フリクションギヤ装置における皿バネ及びその周辺構造の拡大断面図
【符号の説明】
1a,1b…カム軸
2…シリンダヘッド
3a,3b,3c…カムキャップ
4…ドリブンギヤ
5…サブギヤ
6a,6b,21a,21b,31a,3b…皿バネ
7…ボルト
8…キャップ
9…ドライブギヤ

Claims (9)

  1. 駆動側歯車と噛み合う従動側歯車において、従動側歯車である主歯車と、
    該主歯車に比べて歯数を増すとともに、該主歯車と同軸にかつ該主歯車に対して遊転可能に付設された遊転歯車と、
    該遊転歯車と前記主歯車とを弾性的に押し付ける押付手段と、を備えるフリクションギヤ装置であって、
    前記押付手段は、たわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きが負となる領域を有し、フリクションギヤ装置において、たわみ量が該負となる領域に設定された主皿バネと、
    たわみ量が主皿バネの前記負となる領域での、極大荷重を与えるたわみ量を超える分のたわみ量以下に設定された副皿バネと、を含んで構成されるフリクションギヤ装置。
  2. 従動側歯車と噛み合う駆動側歯車において、駆動側歯車である主歯車と、
    該主歯車に比べて歯数を減らすとともに、該主歯車と同軸にかつ該主歯車に対して遊転可能に付設された遊転歯車と、
    該遊転歯車と前記主歯車とを弾性的に押し付ける押付手段と、を備えるフリクションギヤ装置であって、
    前記押付手段は、たわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きが負となる領域を有し、フリクションギヤ装置において、たわみ量が該負となる領域に設定された主皿バネと、
    たわみ量が主皿バネの前記負となる領域での、極大荷重を与えるたわみ量を超える分のたわみ量以下に設定された副皿バネと、を含んで構成されるフリクションギヤ装置。
  3. 前記主皿バネの前記負となる領域での前記傾きの絶対値と、前記副皿バネのたわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きとを、略一致させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフリクションギヤ装置。
  4. 前記押付手段において、前記主皿バネ及び前記副皿バネを締め付けるためのキャップと、これらの皿バネとの当接位置を調整して、前記副皿バネのたわみ量を設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフリクションギヤ装置。
  5. 前記主皿バネ及び前記副皿バネとして、内径及び外径の略等しい皿バネが直列に組み合わされ、
    前記副皿バネの自然全高さは、前記主皿バネが極大荷重を与えるときの前記主皿バネの高さよりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフリクションギヤ装置。
  6. 前記主皿バネ及び前記副皿バネとして、内径が略等しく外径の異なる皿バネが共通平面上に配置され、
    前記副皿バネの自然全高さは、前記主皿バネが極大荷重を与えるときの前記主皿バネの高さよりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフリクションギヤ装置。
  7. 前記主皿バネの締付傾斜角度は、前記副皿バネの締付傾斜角度以下であることを特徴とする請求項6に記載のフリクションギヤ装置。
  8. 前記副皿バネは、自然高さの板厚に対する比が1以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のフリクションギヤ装置。
  9. 伝達要素である主歯車と、該主歯車に比べて歯数を増減した遊転歯車とを同軸に配置して、これらを押付手段により弾性的に押し付けて構成されるフリクションギヤ装置の製造方法であって、
    前記押付手段を、たわみ量の増加に対する荷重の変化の傾きが負となる領域を有する主皿バネと、副皿バネとを含んで構成するとともに、
    前記主皿バネと前記副皿バネとの間でたわみ量を調整して、前記副皿バネを、前記主皿バネが前記負となる領域にあるときから撓ませることを特徴とするフリクションギヤ装置の製造方法。
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