JP5434883B2 - 可変バルブタイミング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、遊星歯車機構を備えた可変バルブタイミング装置に関する
特許文献1は、遊星歯車機構を備えた可変バルブタイミング装置(以下、VVT装置という)を開示している。このVVT装置は、クランクシャフトからカムシャフトに回転力を伝達する伝達経路上に設けられている。さらに、遊星歯車機構のプラネタリを偏心状態に支持するキャリヤには、プラネタリを押す板バネが設けられている。板バネは、ギヤのバックラッシュを抑制し、異音の発生を抑制している。
特開2008−38886号公報
従来技術の構成では、特殊な形状の板バネを、キャリヤの一部分にだけ設ける必要があった。このため、構成が複雑化するという問題点があった。さらに、組み立ての難度が高くなる、作動中の騒音が大きくなる、耐久性が低下するといった問題点を有していた。
例えば、従来技術では、板バネを収容するための収容室を形成する必要があった。収容室を形成するための加工が必要となる不利に加えて、キャリヤの円筒部に収容室を形成するために難度が高い加工工程を採用する必要があった。また、収容室を形成するために体格を大型化する必要があった。また、板バネを収容室内に保持するためのスナップリング等の固定部材が必要であった。また、板バネを圧縮しながら組み付ける必要があるため、組立作業が困難であった。また、キャリヤとプラネタリとの間に板バネを配置する構成では、プラネタリを軸方向および径方向に正確に位置決めすることが困難であった。このため、ギヤの偏磨耗、騒音の増加といった問題点を生じた。また、ギヤのバックラッシュを抑制するためには板バネのバネ定数を高める必要があるが、板バネから与えられる荷重はベアリングの耐久性を低下させることがあった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特殊な形状の板バネを用いることなく遊星歯車機構のギヤを正規に噛み合わせることができる可変バルブタイミング装置を提供することである。
本発明の他の目的は、プラネタリを軸方向および径方向に対して正確に位置決めすることができる可変バルブタイミング装置を提供することである。
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関(2)のクランクシャフト(3)とカムシャフト(4)との間に設けられ、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を調節する可変バルブタイミング装置において、クランクシャフトおよびカムシャフトの一方に連動する第1部材(31)と、クランクシャフトおよびカムシャフトの他方に連動する第2部材(41)と、第1部材と第2部材との間に設けられた位相変換機構とを備え、位相変換機構は、入力部材および第2部材に対して偏心した偏心状態に配置され、入力部材に設けられた駆動ギヤ(61)に噛み合う第1ギヤ(63)、および第2部材に設けられた従動ギヤ(62)に噛み合う第2ギヤ(64)を有するプラネタリ(51)と、第1部材(31)に回転可能に支持され、プラネタリを偏心状態に支持するキャリヤ(52、352)と、第1部材(31)とキャリヤ(52、352)との間、および/またはキャリヤ(52、352)とプラネタリ(61)との間に設けられた環状の弾性部材(55、255、355、455)を備え、キャリヤ(52、352)は、第1部材(31)に回転可能に支持された支持部(52b、352b)と、プラネタリを偏心状態に支持する偏心部(52c、352c)とを有し、プラネタリは、第1部材に設けられた駆動ギヤ(61)に噛み合う第1ギヤ(63)、および第2部材に設けられた従動ギヤ(62)に噛み合う第2ギヤ(64)を有し、支持部の中心軸(AXC)と偏心部の中心軸(AXS)との間の偏心量(ec)は、駆動ギヤ、第1ギヤ、従動ギヤ、および第2ギヤによって構成される遊星歯車機構が必要とする標準偏心量(e)より大きく設定されていることを特徴とする。この構成によると、環状の弾性部材によって遊星歯車機構のギヤを正規に噛み合わせることができる。
請求項2に記載の発明は、偏心量(ec)と標準偏心量(e)との差により弾性部材(55、255、355、455)が圧縮変形することを特徴とする。この構成によると、環状の弾性部材によって遊星歯車機構のギヤを正規に噛み合わせることができる。
請求項3に記載の発明は、キャリヤおよびプラネタリを含み、第1部材(31)に回転可能に支持されるすべての部品が、軸方向および径方向に対して互いに固定されていることを特徴とする。この構成によると、プラネタリを軸方向および径方向に対して正確に位置決めすることができる。
請求項4に記載の発明は、さらに、第1部材(31)とキャリヤ(52、352)との間に設けられた第1ベアリング(53、253)と、キャリヤ(52、352)とプラネタリ(61)との間に設けられた第2ベアリング(54、454)を備えることを特徴とする。この構成によると、滑らかな回転を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、弾性部材(55)は、第1部材(31)と第1ベアリング(53)との間に設けられていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、弾性部材(255)は、第1ベアリング(253)とキャリヤ(52)との間に設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、弾性部材(355)は、キャリヤ(352)と第2ベアリング(54)との間に設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、弾性部材(455)は、第2ベアリング(454)とプラネタリ(51)との間に設けられていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、キャリヤ、プラネタリ、第1ベアリング、第2ベアリング、および弾性部材が互いに圧入によって固定されていることを特徴とする。この構成によると、比較的簡単な圧入によって、プラネタリを軸方向および径方向に対して正確に位置決めすることができる。
請求項10に記載の発明は、さらに、遊星歯車機構を駆動する電気モータ(7)を備えることを特徴とする。この構成によると、電気モータによって駆動可能な構成においても、遊星歯車機構のギヤを正規に噛み合わせることができる。
なお、特許請求の範囲および上記手段の項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本発明を適用した第1実施形態に係る可変バルブタイミング装置(以下、VVT装置という)を搭載した車両用内燃機関を示すブロック図である。 第1実施形態のVVT装置の断面図である。 第1実施形態のVVT装置の偏心量を示す平面図である。 本発明を適用した第2実施形態に係るVVT装置の断面図である。 本発明を適用した第3実施形態に係るVVT装置の断面図である。 本発明を適用した第4実施形態に係るVVT装置の断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用した第1実施形態に係る可変バルブタイミング装置(以下、VVT装置という)を搭載した車両用の内燃機関システム1を示すブロック図である。内燃機関2(以下、エンジン2という)は、多気筒の4サイクルエンジンである。図中には、1気筒に関連する構成部品が模式的に図示されている。エンジン2は、出力軸としてのクランクシャフト3と、吸気バルブおよび/または排気バルブを駆動するカムシャフト4とを有する。クランクシャフト3とカムシャフト4との間には、駆動力を伝達する伝達機構5が設けられている。この実施例の伝達機構5は、チェーンとスプロケットとを含むチェーン機構である。伝達機構5は、歯付ベルトと歯車とを含むベルト機構、または複数の歯車を含むギヤ機構によって構成されてもよい。伝達機構5は、カムシャフト4を駆動するためにクランクシャフト3の回転をカムシャフト4に伝達する伝達経路を提供する。
伝達機構5には、クランクシャフト3に対するカムシャフト4の回転位相を調節するVVT装置6が設けられている。VVT装置6は、クランクシャフト3とカムシャフト4との間に設けられている。VVT装置6は、カムシャフト4の一端に設けられている。VVT装置6は、円柱状に構成されている。VVT装置6の外周面には、伝達機構5と連動するためのスプロケットが設けられている。VVT装置6は、クランクシャフト3、すなわち伝達機構5の回転位相と、カムシャフト4の回転位相とを所定の可変範囲内で調節する位相変換機構を内蔵している。位相変換機構は、遊星歯車機構である。遊星歯車機構は、差動歯車機構とも呼ぶことができる。VVT装置6は、遊星歯車機構を駆動するための電気モータ(MTR)7を備える。電気モータ7は、プラネタリキャリヤの位置を調節することにより、位相を調節する。
VVT装置6は、制御系を構成する制御装置(CTR)8と複数のセンサ(SNR)9とを備える。制御装置8は、センサ9から入力される信号に基づいて電気モータ7を制御する。センサ9は、複数のセンサを含むことができる。例えば、センサ9には、クランクシャフト3の回転角度を検出するクランク角センサ、およびカムシャフト4の回転角度を検出するカム角センサを含むことができる。
制御装置8は、エンジン2の運転状態に応じて最適なバルブタイミングを提供するように電気モータ7を制御する。制御装置8は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを格納している。記憶媒体は、メモリによって提供されうる。プログラムは、制御装置8によって実行されることによって、制御装置8をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される制御方法を実行するように制御装置8を機能させる。制御装置8が提供する手段は、所定の機能を達成する機能的ブロック、またはモジュールとも呼ぶことができる。
図2は、第1実施形態のVVT装置6の断面図である。VVT装置6は、クランクシャフト3に連動する入力部材31と、カムシャフト4に連動する出力部材41とを有する。入力部材31は、第1部材とも呼ばれる。出力部材41は、第2部材とも呼ばれる。入力部材31は、伝達経路における回転の入力側に設けられており、入力回転部材、または駆動部材とも呼ばれる。出力部材41は、伝達経路における回転の出力側に設けられており、出力回転部材、または従動部材とも呼ばれる。出力部材41は、カムシャフト4の一端の端面にボルトによって固定される。
入力部材31は、カムシャフト4の一端の外周面に回転可能に支持されている。入力部材31は、カムシャフト4の回転軸と同軸上に設けられている。入力部材31は、スプロケット32と、ハウジング33と、駆動歯車部材34とを備える。スプロケット32と、ハウジング33と、駆動歯車部材34とは、複数のボルト35によって軸方向に締結されている。スプロケット32と、ハウジング33と、駆動歯車部材34とは、駆動歯車部材34の径方向内側に開口部を有し、スプロケット32の径方向内側がカムシャフト4によって閉じられる筒状部材を提供している。スプロケット32に掛けられたチェーンにより、入力部材31は、クランクシャフト3と連動する。スプロケット32とハウジング33との間には、位置決め用のピン36が配置されている。
出力部材41は、カップ状に形成されている。出力部材41は、カムシャフト4の端面に固定される底壁と、底壁の径方向外側からカムシャフト4の軸方向に延び出す円筒状の外壁とを有する。出力部材41とハウジング33との間には、出力部材41とハウジング33との周方向に関する相対回転を、所定の可変範囲内においてのみ許容する扇状の噛み合い部が設けられている。この可変範囲は、VVT装置6の回転位相の可変範囲に対応する。
入力部材31と出力部材41との間には、入力部材31と出力部材41との一部を含み、さらにプラネタリ51とキャリヤ52とを含む遊星歯車機構が設けられている。遊星歯車機構は、入力部材31から出力部材41へ回転力を伝達する。さらに、遊星歯車機構は、入力部材31と出力部材41との間の回転位相を調節する。遊星歯車機構は、入力部材31に設けられた駆動ギヤ61と、出力部材に設けられた従動ギヤ62とを含む。駆動ギヤ61と従動ギヤ62とは、内歯である。駆動ギヤ61は、駆動歯車部材34に形成されている。従動ギヤ62は、出力部材41の外壁の内面に形成されている。
プラネタリ51は、大径部と小径部とを有する段付き筒状に形成されている。プラネタリ51は、入力部材31および出力部材41に対して偏心した偏心状態に配置される。プラネタリ51の大径部は、駆動歯車部材34の径方向内側に配置されている。プラネタリ51の小径部は、出力部材41の径方向内側に配置されている。プラネタリ51は、駆動ギヤ61と従動ギヤ62とに対して偏心して配置されている。プラネタリ51の大径部には、駆動ギヤ61に噛み合う第1ギヤ63が形成されている。プラネタリ51の小径部には、従動ギヤ62とに噛み合う第2ギヤ64が形成されている。ギヤ63、64は、外歯である。駆動ギヤ61と第1ギヤ63とは、プラネタリ51の偏心方向において部分的にだけ噛み合っている。従動ギヤ62と第2ギヤ64とは、プラネタリ51の偏心方向において部分的にだけ噛み合っている。この実施形態では、駆動ギヤ61と従動ギヤ62との一方がサンギヤを提供し、他方がリングギヤを提供している。
キャリヤ52は、プラネタリ51の径方向内側に配置されている。キャリヤ52は、入力部材31の駆動歯車部材34に回転可能に支持され、プラネタリ51を偏心状態に支持する。キャリヤ52の内面には、電気モータ9に連結するための溝部52aが形成されている。キャリヤ52は、駆動歯車部材34によって支持される円筒状の支持部52bと、プラネタリ51を支持する円筒状の偏心部52cとを備える。支持部52bは、カムシャフト4の回転のための中心軸AXRとほぼ同心に配置されるから、同心部とも呼ぶことができる。キャリヤ52の偏心部52cは、プラネタリ51を偏心状態に支持する。キャリヤ52は、駆動ギヤ61とギヤ63、および従動ギヤ62とギヤ64の噛み合い状態が維持されるようにプラネタリ51を支持する。入力部材31とキャリヤ52との間、すなわち駆動歯車部材34とキャリヤ52との間には、ベアリング53が設けられている。ベアリング53の内輪は支持部52bに固定されている。キャリヤ52は、ベアリング53によって駆動歯車部材34に回転可能に支持されている。ベアリング53は、第1ベアリング53とも呼ばれる。
キャリヤ52とプラネタリ51との間には、ベアリング54が設けられている。ベアリング54は、プラネタリ51がキャリヤ52に対して自由に回転することを許容する。ベアリング54は、第2ベアリング54とも呼ばれる。
さらに、キャリヤ52と駆動歯車部材34との間には、環状の弾性部材55が設けられている。弾性部材55は、駆動歯車部材34とベアリング53との間、すなわち入力部材31とベアリング53との間に設けられている。ベアリング53の外輪は弾性部材55に固定されている。弾性部材55は、ゴム製の筒状体である。弾性部材55は、後述する偏心量の差dを変形によって吸収できる程度の厚さを有する。弾性部材55は、隣接して設けられたベアリング53の軸方向長さに相当する軸方向長さを有する。弾性部材55は、少なくともプラネタリ51を偏心方向、すなわちギヤ61−64の噛み合い位置に向けて押し出す付勢部材を提供する。弾性部材55は、ベアリング53とキャリヤ52とプラネタリ51とを偏心方向に向けて押し出している。
弾性部材55は、駆動歯車部材34の径方向内側に圧入され、圧入だけによって固定されている。また、ベアリング53の外輪は、弾性部材55の径方向内側に圧入され、圧入だけによって固定されている。ベアリング53の内輪は、支持部52bの外面に圧入され、圧入だけによって固定されている。ベアリング54の内輪は、偏心部52cの外面に圧入され、圧入だけによって固定されている。さらに、ベアリング54の外輪は、プラネタリ51の径方向内側に圧入され、圧入だけによって固定されている。
プラネタリ51、キャリヤ52、ベアリング53、54、および弾性部材55は、遊星歯車機構の遊星運動を生じるための可動部を構成する部品である。この実施形態では、可動部を構成するすべての部品が、軸方向および径方向に対して互いに固定されている。しかも、すべての部品が、互いに圧入によって固定されている。
図3は、第1実施形態のVVT装置6の偏心量を示す平面図である。図中には、入力部材31、出力部材41、およびプラネタリ51が模式的に図示されている。カムシャフト4は中心軸AXRの周りを回転する。遊星歯車機構の可動部を支持する駆動歯車部材34の内面、すなわち弾性部材55が圧入されている内面は、中心軸AXRと同軸に形成されている。駆動ギヤ61と従動ギヤ62とは、中心軸AXRと同軸に設けられている。プラネタリ51に設けられた第1ギヤ63と第2ギヤ64とは、プラネタリ51の回転のための中心軸AXPと同軸に設けられている。中心軸AXPは、キャリヤ52の偏心部52cの中心軸AXSと同じである。中心軸AXPは、中心軸AXRから、標準偏心量eだけ偏心している。標準偏心量eは、駆動ギヤ61、第1ギヤ63、従動ギヤ62、および第2ギヤ64によって構成される遊星歯車機構が必要とする偏心量である。この状態で、ギヤ61−64が所定の噛み合い状態となる。キャリヤ52の支持部52bは中心軸AXCと同軸の円筒状の部材である。キャリヤ52が提供する偏心量ecは、支持部52bの中心軸AXCと偏心部52cの中心軸AXSとの距離である。偏心量ecは、標準偏心量eよりわずかに大きく設定されている。中心軸AXSの位置は、中心軸AXPに一致しているから、中心軸AXCは、中心軸AXRに対して、中心軸AXPとは反対側に位置する。
標準偏心量eは、e=(Di−Do)/2=m×(Zi−Zo)/2により与えられる。ここで、mはギヤのモジュール、Ziは内歯の歯数、Zoは外歯の歯数、Diは内歯のピッチ径、Doは外歯のピッチ径である。なお、Di=m×Zi、Do=m×Zoである。
キャリヤ52が提供する実際の偏心量ecと、標準偏心量eとの差d(d=ec−e)は、過剰偏心量とも呼ぶことができる。図中には、偏心量ec、標準偏心量e、および差dがやや誇張して図示されている。過剰偏心量は、弾性部材55が圧縮変形することによって吸収される。弾性部材55は、過剰偏心量によって圧縮方向へ変形することにより、自身の弾性復元力によりベアリング53とキャリヤ52とプラネタリ51とを偏心方向に向けて押し出している。さらに、弾性部材55は、ギヤ61−64の誤差、VVT装置6の複数の部品の誤差に起因する中心軸AXP、AXCの誤差を吸収するように変形する。
環状弾性部材55は、ギヤ61−64の噛み合いにおけるバックラッシュを抑制する程度の弾性を有する。ただし、環状弾性部材55の弾性は過剰に高くはない。環状弾性部材55の弾性は、ベアリング53、54に過大な負荷が加わらない程度に設定されている。
また、遊星歯車機構としての可動部を構成する複数の部品を互いに圧入によって固定し、連結することができる。この構成によると、弾性部材55を固定するためのスナップリング等の固定部材を必要としない。
さらに、可動部と駆動歯車部材34との間を圧入によって固定できる。このため、可動部を構成する複数の部品、例えばプラネタリ51の軸方向および径方向の位置を確実に定めることができる。この結果、プラネタリの軸方向位置を規定するためのスラストワッシャなどを必要としない。
また、ゴム製の弾性部材55は、径方向ばかりでなく、軸方向へも変形可能であるため、プラネタリ51の軸方向位置の誤差を吸収することができる。
さらに、円筒状の弾性部材55は、組立作業が容易である。また、円筒状の弾性部材55は、円柱外面、または円筒内面に組み付けることができる。このため、弾性部材55を組み付ける部品、例えばキャリヤ52の外周面をシンプルな円形とすることができる。この結果、加工が容易になる。
(第2実施形態)
図4は、本発明を適用した第2実施形態に係るVVT装置206の断面図である。この実施形態では、先行する実施形態のベアリング53と弾性部材55に代えて、ベアリング253と弾性部材255とを用いる。ベアリング253の外輪は、駆動歯車部材34の径方向内側面に圧入され、圧入だけによって固定されている。ベアリング253の径方向内側には、環状の弾性部材255が配置されている。弾性部材255は、ベアリング253とキャリヤ52との間に設けられている。弾性部材255は、支持部52bの外面に圧入され、圧入だけによって固定されている。この実施形態においても、先行する実施形態と同様の作用効果が得られる。
(第3実施形態)
図5は、本発明を適用した第3実施形態に係るVVT装置306の断面図である。この実施形態では、先行する実施形態のキャリヤ52と弾性部材255に代えて、キャリヤ352と弾性部材355とを用いる。キャリヤ352は、支持部352bと、偏心部352cとを有する。支持部352bは、支持部52bより厚く形成されている。偏心部352cは、弾性部材355を装着するために、偏心部52cより薄く形成されている。環状の弾性部材355は、キャリヤ52とプラネタリ51との間に設けられている。弾性部材355は、キャリヤ52とベアリング54との間に設けられている。弾性部材355は、偏心部52cの外面に圧入され、圧入だけによって固定されている。また、ベアリング54は、弾性部材355の外面に圧入され、圧入だけによって固定されている。
支持部352bは、駆動歯車部材34に対して径方向へ移動不能に固定される。よって、支持部352bの中心軸AXCは、カムシャフト4の中心軸AXRに一致する。偏心部352cの中心軸AXSは、プラネタリ51の中心軸AXRに対して、中心軸AXR、AXCとは反対側に位置する。過剰偏心量は、弾性部材355が圧縮変形することによって吸収される。弾性部材355は、過剰偏心量によって圧縮方向へ変形することにより、自身の弾性復元力によりベアリング54とプラネタリ51とを偏心方向に向けて押し出している。この実施形態においても、先行する実施形態と同様の作用効果が得られる。
(第4実施形態)
図6は、本発明を適用した第4実施形態に係るVVT装置406の断面図である。この実施形態では、先行する実施形態のベアリング54と弾性部材355に代えて、ベアリング454と弾性部材455とを用いる。ベアリング455の内輪は、偏心部352c外面に圧入され、圧入だけによって固定されている。ベアリング455の径方向外側には、環状の弾性部材455が配置されている。弾性部材455は、ベアリング454とプラネタリ51との間に設けられている。弾性部材455は、ベアリング455の外輪の外面に圧入され、圧入だけによって固定されている。この実施形態においても、先行する実施形態と同様の作用効果が得られる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
上記実施形態では、環状の弾性部材55、255、355、455は、ゴム製の筒状体である。これに代えて、ゴム製のOリングを用いてもよい。また、金属製の弾性部材を用いてもよい。例えば、弾性部材は、環状に形成された金属製の波形板、または放射状に配置された複数の金属製バネによって提供することができる。
また、上記実施形態では、弾性部材55、255、355、455を、入力部材31とキャリヤ52、352との間、またはキャリヤ52、352とプラネタリ51との間に設けた。これに代えて、弾性部材を、入力部材31とキャリヤ52、352との間、およびキャリヤ52、352とプラネタリ51との間の両方に設けてもよい。また、弾性部材を、ベアリングの径方向内側と径方向外側との両方に設けてもよい。
また、上記実施形態では、可動部を構成するすべての部品を圧入によって固定した。これに代えて、ネジ結合、固定部材を用いた結合、スナップフィット、接着、溶接などの固定手段を、一部の部品の固定に、またはすべての部品の固定に用いてもよい。
また、上記実施形態では、ボールベアリングをベアリング53、54、253、454に用いた。これに代えて、ローラーベアリング、すべりベアリングなどを用いてもよい。
また、キャリヤ52、352は、出力部材41に回転可能に支持されてもよい。
また、本発明は、位相変換機構の一部に遊星歯車機構を備える構成にも適用することができる。例えば、特許文献1に開示されるような、減速部としての遊星歯車機構と、位相変換部としてのカムリンク機構とを備えるVVT装置に本発明の構成を適用し、減速部としての遊星歯車機構に環状の弾性部材を設けてもよい。
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
1 内燃機関システム(エンジンシステム)、2 エンジン、3 クランクシャフト、4 カムシャフト、5 伝達機構、6 可変バルブタイミング装置(VVT装置)、7 電気モータ、8 制御装置、9 センサ、31 入力部材、41 出力部材、51 プラネタリ、52 キャリヤ、55 弾性部材、206 VVT装置、255 弾性部材、306 VVT装置、355 弾性部材、406 VVT装置、455 弾性部材。

Claims (10)

  1. 内燃機関(2)のクランクシャフト(3)とカムシャフト(4)との間に設けられ、前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの回転位相を調節する可変バルブタイミング装置において、
    前記クランクシャフトおよび前記カムシャフトの一方に連動する第1部材(31)と、
    前記クランクシャフトおよび前記カムシャフトの他方に連動する第2部材(41)と、
    前記第1部材と前記第2部材との間に設けられた位相変換機構とを備え、
    前記位相変換機構は、
    前記第1部材および前記第2部材に対して偏心した偏心状態に配置されたプラネタリ(51)と、
    前記第1部材(31)に回転可能に支持され、前記プラネタリを偏心状態に支持するキャリヤ(52、352)と、
    前記第1部材(31)と前記キャリヤ(52、352)との間、および/または前記キャリヤ(52、352)と前記プラネタリ(61)との間に設けられた環状の弾性部材(55、255、355、455)を備え
    前記キャリヤ(52、352)は、前記第1部材(31)に回転可能に支持された支持部(52b、352b)と、前記プラネタリを偏心状態に支持する偏心部(52c、352c)とを有し、
    前記プラネタリは、前記第1部材に設けられた駆動ギヤ(61)に噛み合う第1ギヤ(63)、および前記第2部材に設けられた従動ギヤ(62)に噛み合う第2ギヤ(64)を有し、
    前記支持部の中心軸(AXC)と前記偏心部の中心軸(AXS)との間の偏心量(ec)は、前記駆動ギヤ、前記第1ギヤ、前記従動ギヤ、および前記第2ギヤによって構成される遊星歯車機構が必要とする標準偏心量(e)より大きく設定されていることを特徴とする可変バルブタイミング装置。
  2. 前記偏心量(ec)と前記標準偏心量(e)との差により前記弾性部材(55、255、355、455)が圧縮変形することを特徴とする請求項1に記載の可変バルブタイミング装置。
  3. 前記キャリヤおよび前記プラネタリを含み、前記第1部材(31)に回転可能に支持されるすべての部品が、軸方向および径方向に対して互いに固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変バルブタイミング装置。
  4. さらに、前記第1部材(31)と前記キャリヤ(52、352)との間に設けられた第1ベアリング(53、253)と、
    前記キャリヤ(52、352)と前記プラネタリ(61)との間に設けられた第2ベアリング(54、454)を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の可変バルブタイミング装置。
  5. 前記弾性部材(55)は、前記第1部材(31)と前記第1ベアリング(53)との間に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の可変バルブタイミング装置。
  6. 前記弾性部材(255)は、前記第1ベアリング(253)と前記キャリヤ(52)との間に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の可変バルブタイミング装置。
  7. 前記弾性部材(355)は、前記キャリヤ(352)と前記第2ベアリング(54)との間に設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の可変バルブタイミング装置。
  8. 前記弾性部材(455)は、前記第2ベアリング(454)と前記プラネタリ(51)との間に設けられていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の可変バルブタイミング装置。
  9. 前記キャリヤ、前記プラネタリ、前記第1ベアリング、前記第2ベアリング、および前記弾性部材が互いに圧入によって固定されていることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載の可変バルブタイミング装置。
  10. さらに、前記遊星歯車機構を駆動する電気モータ(7)を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の可変バルブタイミング装置。
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