JP3852203B2 - 熱現像感光材料及び画像記録方法並びに画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料及び画像記録方法に関し、特にカブリ、感度が良好で、画像保存性、銀色調を改良する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターやレーザー・イメージャーにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされてきた。
【0003】
このための技術として熱現像処理法を用いて写真画像を形成する熱現像感光材料は、例えば米国特許第3152904号、3457075号、及びD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials) Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)に開示されている。
【0004】
このような熱現像感光材料は、還元可能な銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、及び還元剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している。熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温に加熱した場合に還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対象をなし、画像の形成がなされる。この画像のカブリを制御するカブリ防止剤が感材中に必要により用いられている。従来のカブリ防止技術として最も有効な方法は、カブリ防止剤として水銀化合物を用いる方法であった。
【0005】
感光材料中にカブリ防止剤として水銀化合物を使用することについては、例えば米国特許第3589903号に開示されている。しかし、水銀化合物は環境的に好ましくなく、非水銀系のカブリ防止剤の開発が望まれていた。非水銀カブリ防止剤としては、これまで各種のポリハロゲン化合物(例えば米国特許第3874946号、同4756999号、同5340712号、欧州特許第605981A1号、同622666A1号、同631176A1号、特公昭54−165号、特開平7−2781号)が開示されている。しかし、これら記載の化合物は、カブリ防止の効果が低かったり、銀の色調を悪化させるという問題があった。また、カブリ防止効果が高いものは、感度低下を引き起こすなどの問題があり、改善が必要であった。更に該感光材料を積層した形で加湿・加温の強制条件下に経時した後、露光・現像すると未露光部におけるカブリが上昇するといった問題があり、これら問題のないカブリ防止剤の開発が望まれていた。
【0006】
これらを解決する方法として特開平9−160164号、同9−244178号、同9−258367号、同9−265150号、同9−281640号、同9−319022号公報等に上記の欠点が改良されたポリハロゲン化合物が記載されている。しかしながら、特に、医療用レーザーイメージャー用の熱現像感光材料、あるいは硬調化剤を含有し、600〜800nmに発振波長を有する印刷用イメージセッターの出力用の熱現像感光材料にこれらの化合物を適用した場合、上記の欠点はかなり改善されるものの、現像処理済みの試料が経時でカブリ上昇するといった画像の経時保存性が悪いという欠点を有していた。
【0007】
また、カブリの問題と同時に、銀画像の色調が黄色みがかった温黒調であり、特に医療用画像に使用する場合は改良が望まれるが、未だ有効な改良技術は見つかっていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、現像処理済みの試料が経時でカブリ上昇したりせず、かつ銀画像の色調が良好な熱現像感光材料及び画像記録方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、バインダー及び下記一般式1〜3で示されるジハロメチル基又はトリハロメチル基を少なくとも1つ有する化合物の少なくとも1種を含有し、かつ該還元剤の酸化体と反応して青色染料を形成するロイコ化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料である。
【0011】
【化9】
[式中、X1及びX2はハロゲン原子を表す。Yは2価の連結基を表す。Aは水素原子、ハロゲン原子又はその他の電子吸引性基を表す。mは3以上4以下の整数を表す。Qはヘテロ環基、アリール基又は脂肪族基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。Qが脂肪族基の場合は分子全体のハロゲン原子の個数が6以上10未満である。]
【0012】
【化10】
[式中、X1及びX2はハロゲン原子を表す。Aは水素原子、ハロゲン原子又はその他の電子吸引性基を表す。Qは酸素原子を1つ、窒素原子を2つ以上3つ以下有する芳香族ヘテロ5員環、フラン環、チオフェン環又はピロール環の各基を表す。但し、Qがチオフェン環の場合、X1は臭素原子を表す。]
【0013】
【化11】
[式中、X1及びX2はハロゲン原子を表す。Aは水素原子、ハロゲン原子又はその他の電子吸引性基を表す。
【0014】
Yは-SO-、-CO-、-N(R11)-SO2-、-N(R11)-CO- 、 -N(R11)-COO- 、
-COCO- 、 -COO-、 -OCO-、 -OCOO- 、 -SCO-、 -SCOO- 、-C(Z1)(Z2)- 、
アルキレン、アリーレン、2価のヘテロ環又はこれらの任意の組み合わせで形成される2価の連結基を表す。R11は水素原子又はアルキル基を表す。Z1およびZ2は水素原子又は電子吸引性基を表す。Z1およびZ2は同時に水素原子であることはない。Qは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表す。但し、Yが−SO−の時、QはN以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族ヘテロ5員環基およびピリジン環基を表す。]
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のロイコ化合物が、一般式4〜7で示される化合物が少なくとも1種であることを特徴とする熱現像感光材料である。
【0015】
【化12】
[式中、Wは-NR1R2、-OHまたは-OZを表し、R1およびR2はそれぞれアルキル基またはアリール基を表し、Zはアルカリ金属イオンまたは第四級アンモニウムイオンを表す。R3は水素原子、ハロゲン原子または1価の置換基を表し、nは1〜3の整数を表す。Z1およびZ2はそれぞれ窒素原子または=C(R3)−を表す。XはZ1、Z2およびそれに隣接する炭素原子とともに5〜6員の芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R4は水素原子、アシル基、スルホニル基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。Rは脂肪族基又は芳香族基を表す。pは1〜2の整数を表す。CP1は以下の基を表す。]
【0016】
【化13】
[式中、R5〜R8はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子およびベンゼン環に置換可能な置換基を表す。またR5とR6及びR7とR8は互いに結合して5〜7員の環を形成しても良い。R9はR4と同義である。R10およびR11はそれぞれアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R12はR4と同義である。R13およびR14はR10およびR11と同義である。R15はR12と同義である。R16はアルキル基、アリール基、スルホニル基、トリフルオロメチル基、カルボキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基またはシアノ基を表す。R17はR4と同義である。R18はR3と同義であり、mは1〜3の整数を表す。Y1は2つの窒素原子とともに5及び6員の単環または縮合環の含窒素ヘテロ環を構築するのに必要な原子群を表す。R19およびR20はアルキル基又はアリール基を表す。R21はR4と同義である。R22およびR23はR19およびR20と同義である。R24はR21と同義である。R25、R27およびR28は水素原子または置換基を表す。R26はR4と同義である。R29、R31およびR32はR25、R27およびR28と同義である。R30はR26と同義である。R34、R35およびR36はR25、R27およびR28と同義である。R33はR26と同義である。R38、R39およびR40はR25、R27およびR28と同義である。R37はR26と同義である。R41、R42およびR43はR25、R27およびR28と同義である。R44はR26と同義である。★は一般式4におけるCP1と他の部分構造との結合点を表す。]
【0017】
【化14】
[式中、R1、R2、R3、R4、CP1、n、Rおよびpは一般式4におけるR1、R2、R3、R4、CP1、n、Rおよびpと同義である。]
【0018】
【化15】
[式中、R3、n、R4、W、X、Z1、Z2、およびCP1は一般式4におけるR3、n、R4、W、X、Z1、Z2、およびCP1と同義である。]
【0019】
【化16】
〔式中、R1、R2、R3、R4、CP1およびnは一般式4におけるR1、R2、R3、R4、CP1およびnと同義である。〕
上記課題を解決する請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の熱現像感光材料が赤外レーザーで露光されることを特徴とする画像記録方法である。
【0020】
また上記課題を解決する請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の熱現像感光材料が80℃以上250℃以下で加熱することにより現像される画像形成方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、バインダー及び上記一般式1〜3で表されるジハロメチル基又はトリハロメチル基を少なくとも1つ有する化合物の少なくとも1種を含有し、かつ該還元剤の酸化体と反応して青色染料を形成するロイコ化合物を含有することを特徴とする。
【0022】
まず一般式1で示される化合物について詳細に説明する。
【0023】
X1 及びX2 で表されるハロゲン原子は、互いに同一でも異なっていてもよいフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0024】
Yは2価の連結基を表すが、具体的には
-SO2-、 -SO- 、 -CO- 、-N(R11)-SO2-、-N(R11)-CO- 、 -N(R11)-COO- 、
-COCO-、 -COO-、 -OCO-、 -OCOO- 、 -SCO-、 -SCOO- 、-C(Z1)(Z2)- 、
アルキレン、アリーレン、2価のヘテロ環又はこれらの任意の組み合わせで形成される2価の連結基を表す。
【0025】
Yとして好ましいのは、-SO2- 、-SO-、-CO-であり、より好ましいのは-SO2- である。
【0026】
nは好ましくは1である。
【0027】
R11は水素原子又はアルキル基を表すが、好ましくは水素原子である。
【0028】
Z1およびZ2は水素原子又は電子吸引性基を表すが、Z1およびZ2は同時に水素原子であることはない。
【0029】
電子吸引性基として好ましいのは、ハメットの置換基定数σp 値が0.01以上の置換基であり、より好ましくは0.1以上の置換基である。
【0030】
ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207-1216等を参考にすることができる。
【0031】
電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子(σp 値:0.06)、塩素原子(σp 値:0.23)、臭素原子(σp 値:0.23)、ヨウ素原子(σp 値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp 値:0.29)、トリクロロメチル(σp 値:0.33)、トリフルオロメチル(σp 値:0.54))、シアノ基(σp 値:0.66)、ニトロ基(σp 値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp 値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp 値:0.50)、ベンゾイル(σp 値:0.43))、エチニル基(σp値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp 値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp 値:0.45))、カルバモイル基(σp 値:0.36)、スルファモイル基(σp 値:0.57)などが挙げられる。
【0032】
Z1およびZ2として好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基であり、ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは臭素原子である。
【0033】
Aは水素原子、ハロゲン原子又はその他の電子吸引性基を表し、Aで表される電子吸引性基として好ましいのは、ハメットの置換基定数σp 値が0.01以上の置換基であり、より好ましいのはσp 値が0.1以上の置換基である。
【0034】
電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp 値:0.06)、塩素原子(σp 値:0.23)、臭素原子(σp 値:0.23)、ヨウ素原子(σp 値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp 値:0.29)、トリクロロメチル(σp 値:0.33)、トリフルオロメチル(σp 値:0.54))、シアノ基(σp 値:0.66)、ニトロ基(σp 値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp 値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp 値:0.50)、ベンゾイル(σp 値:0.43))、エチニル基(σp 値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp 値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp 値:0.45))、カルバモイル基(σp 値:0.36)、スルファモイル基(σp 値:0.57)などが挙げられる。
【0035】
Aは、好ましいのは電子吸引性基であり、より好ましいのはハロゲン原子、脂肪族・アリール若しくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリール若しくは複素環アシル基、脂肪族・アリール若しくは複素環オキシカルボニル基であり、特に好ましいのはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは、臭素原子である。
【0036】
Qは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表すが、Qで表される脂肪族基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましいのは炭素数1〜30、より好ましいのは炭素数1〜20、更に好ましいのは炭素数1〜12であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばプロパルギル、3−ペンテニル等が挙げられる。)であり、置換基を有していてもよい。置換基としては例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。Qで表される脂肪族基として好ましいのはアルキル基であり、より好ましいのは鎖状アルキル基である。
【0037】
Qで表される芳香族基としては、好ましいのは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましいのは炭素数6〜20のフェニル基、更に好ましいのは6〜12のフェニル基である。アリール基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。
【0038】
Qで表されるヘテロ環基は、N、O又はS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和若しくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましいのは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましいのは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましいのは窒素原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。
【0039】
ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニンであり、より好ましいのはトリアジン、キノリン、チアジアゾール、ベンズチアゾール、オキサジアゾールであり、特に好ましいのは、ピリジン、キノリン、チアジアゾール、オキサジアゾールである。Qとして好ましいのは芳香族含窒素ヘテロ環基である。
【0040】
mは3以上4以下の整数を表すが、好ましくはmは3である。
【0041】
Qが脂肪族基の場合は分子全体のハロゲン原子の個数は6以上10未満であるが、好ましいのは6である。
【0042】
なお、一般式1において、Yが-SO-の時には、QはN以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族ヘテロ5員環基およびピリジン環基を表す。
【0043】
次に、一般式2で示される化合物について詳述する。
【0044】
式中、X1 、X2 及びAは一般式1に記載のものと同義である。
【0045】
Qは酸素原子を1つ、窒素原子を2つ以上3つ以下有する芳香族ヘテロ5員環、フラン環、チオフェン環及びピロール環を表すが、酸素原子を1つ、窒素原子を2つ以上3つ以下有する芳香族ヘテロ5員環の具体例としては、オキサジアゾール、オキサトリアゾールが挙げられ、好ましいのはオキサジアゾールである。
【0046】
Qで表される環のうち好ましいものはオキサジアゾールである。
【0047】
なお一般式2において、Qがチオフェン環の場合、X1 は臭素原子である。
【0048】
次に一般式3で示される化合物について詳述する。
【0049】
式中、X1 、X2 、及びAは一般式1に記載のものと同義である。
【0050】
Yは-SO- 、-CO- 、-N(R11)-SO2-、-N(R11)-CO- 、-N(R11)-COO- 、
-COCO- 、-COO-、-OCO-、-OCOO- 、-SCO-、-SCOO-、-C(Z1)(Z2)- 、
アルキレン、アリーレン、2価のヘテロ環又はこれらの任意の組み合わせで形成される2価の連結基を表す。R11 は水素原子又はアルキル基を表すが、好ましくは水素原子である。Z1およびZ2は水素原子又は電子吸引性基を表すが、Z1およびZ2は同時に水素原子であることはない。
【0051】
電子吸引性基として好ましいのは、ハメットの置換基定数σp 値が0.01以上の置換基であり、より好ましいのは0.1以上の置換基である。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207-1216等を参考にすることができる。
【0052】
電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp 値:0.06)、塩素原子(σp 値:0.23)、臭素原子(σp 値:0.23)、ヨウ素原子(σp 値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp 値:0.29)、トリクロロメチル(σp 値:0.33)、トリフルオロメチル(σp 値:0.54))、シアノ基(σp 値:0.66)、ニトロ基(σp 値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp 値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp 値:0.50)、ベンゾイル(σp 値:0.43))、エチニル基(σp 値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp 値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp 値:0.45))、カルバモイル基(σp 値:0.36)、スルファモイル基(σp 値:0.57)などが挙げられる。
【0053】
Z1およびZ2として好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基である。ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは、臭素原子である。
【0054】
Yとして好ましいのは-SO- 、 -CO- 、-N(R11)-SO2-、
-N(R11)-CO- 、-C(Z1)(Z2)- であり、より好ましいのは-SO-、-C(Z1)(Z2)- である。
【0055】
nは好ましいのは1である。
【0056】
Qは脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。但し、Yが-SO-の時、QはN以外のヘテロ原子を少なくとも1つを有する芳香族ヘテロ5員環基およびピリジン環を表す。これらの環はさらに他の環と縮合していてもよい。
【0057】
N以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族ヘテロ5員環基の具体例としては、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、フラン、ピロール、チアジアゾール、オキサジアゾール、チアトリアゾール、オキサトリアゾールが挙げられるが、Qとして好ましいのは、チアジアゾール環、ピリジン環、キノリン環である。
【0058】
以下に、一般式1、一般式2および一般式3で示される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化17】
【0060】
【化18】
【0061】
【化19】
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
一般式1〜3で示される化合物は、例えば特開昭54−165号、特開平6−340611号、同7−2781号、同7−5621号、特公昭7−119953号、米国特許第5369000号、同5374514号、同5460938号、5464737号、欧州特許第605981号、同631176号等に記載の方法に準じて合成できる。
【0065】
以下に、一般式1〜3で示される化合物の合成について具体例を示す。
(合成例1) 例示化合物1ー1の合成
2,4,6−トリス−カルボキシメチルチオ−1,3,4−トリアジンの合成2,4,6−トリメルカプト−1,3,4−トリアジン23.0g(0.13モル)、クロロ酢酸54.0g(0.44モル)、及びエタノール300mlを室温で攪拌しているところへ、水酸化ナトリウム17.66g(0.44モル)/水30mlの水溶液を滴下した。20分攪拌後、50℃に加熱し、更に水酸化ナトリウム17.6g(0.44モル)/水30mlの水溶液をゆっくり滴下した。50℃で3時間攪拌した後、室温まで冷却し、反応液が均一になるまで水を加え、更に塩酸を加え中和した。得られた結晶を濾取し、メタノールで再結晶することにより、2,4,6−トリス−カルボキシメチルチオ−1,3,4−トリアジンを35.4g(0.10モル)得た。収率76%
【0066】
2,4,6−トリス−トリブロモスルホニル−トリアジンの合成(例示化合物1−1)の合成
水酸化ナトリウム49.1g(1.23モル)/水1リットルを0〜5℃で攪拌しているところへ、臭素31.1ミリリットルをゆっくり滴下した。更に、上記反応で得られた2,4,6−トリス−カルボキシメチルチオ−1,3,4−トリアジン8.2g(0.023モル)、炭酸水素ナトリウム7.2g(0.0857モル)及び水150ミリリットルの水溶液を内温が10℃を越えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に上げ一夜放置した。析出固体を濾取し、水で洗浄した後、エタノールで再結晶することにより白色固体の例示化合物1−1を11.3g(0.011モル)得た。収率48%
【0067】
(合成例2) 例示化合物2ー7の合成
2−カルボキシメチルチオフランの合成
2−メルカプトフラン20.0g(0.20モル)、クロロ酢酸27.0g(0.22モル)及びエタノール300mlを室温で攪拌しているところへ、水酸化ナトリウム8.8g(0.22モル)/水15mlの水溶液を滴下した。20分攪拌後、50℃に加熱し、更に水酸化ナトリウム8.8g(0.22モル)/水15mlの水溶液をゆっくり滴下した。50℃で3時間攪拌した後、室温まで冷却し、反応液が均一になるまで水を加え、更に塩酸を加え中和した。
【0068】
得られた結晶を濾取し、メタノールで再結晶することにより、2−カルボキシメチルチオフランを23.5g(0.148モル)得た。 収率74%
【0069】
2−トリブロモメチルスルホニルフラン(例示化合物2−7)の合成
水酸化ナトリウム49.1g(1.23モル)/水1リットルを0〜5℃で攪拌しているところへ、臭素31.1ミリリットルをゆっくり滴下した。更に、上記反応で得られた2−カルボキシメチルチオフラン11.2g(0.0706モル)、炭酸水素ナトリウム7.2g(0.0857モル)及び水150ミリリットルの水溶液を内温が10℃を越えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に上げ一夜放置した。
【0070】
析出固体を濾取し、水で洗浄した後、エタノールで再結晶することにより白色固体の例示化合物2−7を11.5g(0.0312モル)得た。収率44%
【0071】
(合成例3) 例示化合物3ー1の合成
2−カルボキシメチルチオ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾールの合成2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール26.4g(0.20モル)、クロロ酢酸27.0g(0.22モル)及びエタノール300mlを室温で攪拌しているところへ、水酸化ナトリウム8.8g(0.22モル)/水15mlの水溶液を滴下した。20分攪拌後、50℃に加熱し、更に水酸化ナトリウム8.8g(0.22モル)/水15mlの水溶液をゆっくり滴下した。50℃で3時間攪拌した後、室温まで冷却し、反応液が均一になるまで水を加え、更に塩酸を加え中和した。
【0072】
得られた結晶を濾取し、メタノールで再結晶することにより、2−カルボキシメチルチオ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾールを28.7g(0.150モル)得た。 収率75%
【0073】
2−トリブロモメチルスルホ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール(例示化合物3−1)の合成
水酸化ナトリウム49.1g(1.23モル)/水1リットルを0〜5℃で攪拌しているところへ、臭素31.1ミリリットルをゆっくり滴下した。更に、上記反応で得られた2−カルボキシメチルチオ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール13.5g(0.0706モル)、炭酸水素ナトリウム7.2g(0.0857モル)及び水150ミリリットルの水溶液を内温が5℃を越えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に上げ一夜放置した。
【0074】
析出固体を濾取し、水で洗浄した後、エタノールで再結晶することにより白色固体の例示化合物3−1を13.2g(0.0332モル)得た。収率47%
【0075】
本発明の一般式1〜3で示される化合物の添加量は、特に制限はないが、
10-4モル〜1モル/Agモルが好ましく、特に10-3モル〜0.3モル/Agモルが好ましい。一般式1〜3で示される化合物は、感光性層でも非感光層でも添加することができる。好ましくは感光層である。一般式1〜3で示される化合物は有機溶剤に溶かして添加することが好ましい。
【0076】
尚、本発明に用いられるトリブロモメチル基を少なくとも一つ有する化合物としては上記一般式1〜3で示される化合物以外に
【0077】
【化22】
【0078】
次に、一般式4〜7で示されるロイコ化合物について説明する。
【0079】
一般式4〜7において、R1及びR2で表されるアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらはさらに置換されていてもよく好ましい置換基としてヒドロキシ基、スルホンアミド基が挙げられる。
【0080】
R1及びR2で表されるアリール基として好ましくはフェニル基が挙げられる。
【0081】
R3で表される1価の置換基としてはアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシル基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、ヒドロキシ基、ニトロ基、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)が挙げられる。
【0082】
R4で表されるアシル基としては、好ましくは、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。スルホニル基としては、好ましくは、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等が挙げられる。カルバモイル基としては、好ましくは、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。スルファモイル基としては、好ましくは、ジエチルスルファモイル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、好ましくは、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは、フェノキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0083】
Zで表されるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。第四級アンモニウムとしては、トリメチルベンジルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラデシルアンモニウム等の炭素総数が8以上のアンモニウムが挙げられる。
【0084】
X、Z1、Z2及びそれに隣接する炭素原子で構築される5〜6員の芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、テトラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環等が挙げられ、好ましくはピリジン環である。
【0085】
R5〜R8で表されるベンゼン環に置換可能な置換基としては、上述のR3で挙げられる1価の置換基と同義の基を挙げることができ、好ましくはアルキル基、アシルアミノ基である。
【0086】
R5とR6及びR7とR8が互いに結合して形成する5〜7員の環としては、芳香族炭素環及び複素環が挙げられるが、好ましくはベンゼン環を挙げることができる。
【0087】
R10及びR11で表されるアルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、ヘテロ環基としてはO、S、及びN原子の少なくとも1種を環内に有する5〜6員の芳香族複素環(例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン環等の6員環アジン及びそのベンゼローグ:ピロール、チオフェン、フラン及びそのベンゼローグ:イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール等の5員環アゾール及びそのベンゼローグ等)が挙げられる。R10及びR11として好ましくはフェニル基、ピラゾリル基、ピリジル基等が挙げられる。
【0088】
R16で表されるアルキル基としては、メチル基、イソプロピル基、ペンチル基、t−ブチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。スルホニル基としては、メチンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基等が挙げられる。カルバモイル基としては、ジエチルアミノカルバモイル基等が挙げられる。
【0089】
Y1で表される含窒素ヘテロ環としては、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の各環及びそのベンゾ縮合環を挙げることができる。
【0090】
R19及びR20で表されるアルキル基としては、メチル基、ペンチル基、t−ブチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0091】
R25、R27およびR28で表される置換基としては、フェニル基、メチル基、ベンゾイル基、フェノキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
【0092】
Rで表される脂肪族基としては、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。芳香族基としては、p−トルエン、ドデシルベンゼン等が挙げられる。
【0093】
以下、一般式4〜7で示される化合物を具体的に列挙するが、これらに限定されるものではない。
【0094】
【化23】
【0095】
【化24】
【0096】
【化25】
【0097】
【化26】
【0098】
【化27】
【0099】
【化28】
【0100】
【化29】
【0101】
【化30】
【0102】
【化31】
【0103】
【化32】
【0104】
【化33】
【0105】
【化34】
【0106】
合成例1(例示化合物8の合成)
反応経路
【0107】
【化35】
【0108】
(1)3.9gを酢酸エチル50mlに溶解し、5%Pd/C0.5gを加え常圧接触水素添加をおこなった。反応液の青色が消失し、(2)が生成した。
【0109】
次に反応液にトリエチルアミン1.2g、及びアセチルクロリド1.5gを加え室温で2時間撹拌した。触媒及び不溶物を濾別し、残渣を酢酸エチルから再結晶して目的の例示化合物8を3.8g(収率89%)得た。
【0110】
構造はNMRスペクトル及びMassスペクトルにより確認した。
【0111】
合成例2(例示化合物9の合成)
反応経路
【0112】
【化36】
【0113】
合成例1の(1)3.9gを酢酸エチル50mlに溶解し、5%Pd/C0.5gを加え常圧接触水素添加をおこなった。反応液の青色が消失し、(2)が生成した。
【0114】
次に反応液にトリエチルアミン1.2g、及び無水トリフルオロ酢酸4.0gを加え室温で2時間撹拌した。触媒及び不溶物を濾別し、残渣を酢酸エチルから再結晶して目的の例示化合物9を4.0g(収率85%)得た。
【0115】
構造はNMRスペクトル及びMassスペクトルにより確認した。
【0116】
合成例3(例示化合物58の合成)
反応経路
【0117】
【化37】
【0118】
メタノール30mlに例示化合物8を3.5g溶解し、p−トルエンスルホン酸・1水和物2.6gを加え撹拌する。
【0119】
次にこの反応液を水300mlにあけ、濾取して目的の例示化合物58を4.1g(収率87%)得た。
【0120】
構造はNMRスペクトル及びMassスペクトルにより確認した。
【0121】
これ以外の化合物についても上記合成例と同様の方法で容易に合成することができた。
【0122】
本発明の一般式4〜7で示される化合物の添加量としては、医用感光材料においては、銀1molあたり1×10−6モル以上5×10−1モル未満含有することが本特許の効果の発現には好ましく、これ以下では銀色調の改良効果が小さく、これ以上では画像全体が暗く感じられ好ましくない。さらに好ましくは、銀1molあたり5×10−5モル以上5×10−2モル未満含有する場合、特に銀1molあたり5×10−4モル以上1×10−2モル未満含有する場合が効果の発現において好ましい。
【0123】
本発明において、一般式4〜7で示される化合物の添加方法はそれぞれの化合物の性質によって任意の方法が用いられる。例えば固体微粒子分散体として添加する方法、高沸点溶媒に溶解し上記分散を行った後添加する方法、水混和性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン等)に溶解し添加する方法等が挙げられる。好ましい方法としては、固体微粒子分散体として添加する方法または水混和性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン等)に溶解し添加する方法である。固体微粒子分散体として添加する場合、分散方法は酸析出法、ボールミル、ジェットミル或いはインペラー分散法等の公知の方法が適用でき、これら固体分散されている染料微粒子の平均粒径は任意の値を取り得るが、好ましくは0.01〜20μmであり、より好ましくは0.03〜2μmである。
【0124】
本発明の一般式6、7で示される化合物とRSO3Hのモル比は一般式(6)、(7)で示される化合物1モルに対してRSO3H1〜3モルであることが好ましい。
【0125】
本発明の一般式4〜7で示される化合物は、写真構成層中の任意の層に含有することができるが、感光性層または感光性層に隣接する層に含有するのが好ましく、特に感光性層に含有するのが好ましい。
【0126】
本発明における感光性ハロゲン化銀のハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、好ましい平均粒子サイズは0.20μm以下であり、より好ましいのは0.03μm〜0.15μm、特に0.03μm〜0.11μmが好ましい。ここでいう平均粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0127】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0128】
前述の単分散粒子の平均粒径は0.1μm以下が好ましく、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μmが好ましい。
【0129】
またもう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、粒子の投影面積の平方根を粒径rμmとし、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比(=r/h)が3以上のものをいう。その中でも好ましいのはアスペクト比が3以上50以下のものである。
【0130】
平板粒子の粒径は平均粒径0.1μm以下であることが好ましく、さらに0.01μm〜0.08μmがより好ましい。これらは米国特許第5,264,337号、第5,314,798号、第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明において、これらの平板状粒子を用いた場合には、更に画像の鮮鋭性も向上する。
【0131】
ハロゲン化銀の組成は特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0132】
即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させて形成するには、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。
【0133】
このハロゲン化銀はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀は還元可能な銀源に近接するように配置する。
【0134】
又、ハロゲン化銀は有機銀塩とハロゲンイオンとの反応による有機銀塩中の銀の一部又は全部をハロゲン化銀に変換することによって調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加してもよく、又はこれらの方法の組み合わせも可能であるが、後者が好ましい。
【0135】
一般にハロゲン化銀は有機銀塩に対して0.75〜30重量%の量で含有することが好ましい。
【0136】
本発明に用いられるハロゲン化銀には、元素周期律表の遷移金属に属するVIB、VIIB、VIII、IB族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、Cr、W(以上VIB族):Re(VIIB族):Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt(以上VIII族):Cu、Au(以上IB族)が好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。
【0137】
これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。本発明においては、遷移金属錯体は、下記一般式で示される6配位錯体が好ましい。
【0138】
一般式 [ML6]m
式中、Mは元素周期表のVIB族、VIIB族、VIII族、IB族の元素から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−1、−2又は−3を表す。
【0139】
Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0140】
Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)又はオスミウム(Os)である。
【0141】
以下に遷移金属配位錯体の具体例を示す。
【0142】
1:[RhCl6]3-
2:[RuCl6]3-
3:[ReCl6]3-
4:[RuBr6]3-
5:[OsCl6]3-
6:[CrCl6]4-
7:[Ru(NO)Cl5]2-
8:[RuBr4(H2O)]2-
9:[Ru(NO)(H2O)Cl4]-
10:[RhCl5(H2O)]2-
11:[Re(NO)Cl5]2-
12:[Re(NO)CN5]2-
13:[Re(NO)ClCN4]2-
14:[Rh(NO)2Cl4]-
15:[Rh(NO)(H2O)Cl4]-
16:[Ru(NO)CN5]2-
17:[Fe(CN)6]3-
18:[Rh(NS)Cl5]2-
19:[Os(NO)Cl5]2-
20:[Cr(NO)Cl5]2-
21:[Re(NO)Cl5]-
22:[Os(NS)Cl4(TeCN)]2-
23:[Ru(NS)Cl5]2-
24:[Re(NS)Cl4(SeCN)]2-
25:[Os(NS)Cl(SCN)4]2-
26:[Ir(NO)Cl5]2-
【0143】
これらの金属のイオン又は錯体イオンは一種類で用いてもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。
【0144】
これらの金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。
【0145】
これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。
【0146】
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布を持たせることができる。
【0147】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加して置く方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第三の水溶液として添加し、三液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0148】
本発明に用いられる有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(炭素数10〜30が好ましく、より好ましいのは炭素数15〜25である。)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸)、チオエン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオエン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエン)、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体また塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプチド類の銀塩。好ましい銀源はベヘン酸銀である。
【0149】
有機銀塩の添加量は、銀量として4g/m2以下で含有せしめることが好ましく、より好ましくは2g/m2以下である。
【0150】
有機銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されているようなコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。
【0151】
本発明においては、有機銀塩は平均粒径が1μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.01μm〜0.8μm、特に0.05μm〜0.5μmが好ましい。また単分散とは、ハロゲン化銀粒子の場合と同義であり、好ましい単分散度は1%〜30%である。本発明においては、有機銀塩が平均粒径1μm以下の単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることにより濃度の高い画像が得られる。
【0152】
本発明において、所定の光学透過濃度にするためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.3g以上1.5g以下であることが好ましい。この範囲にすることにより硬調な画像が得られる。
【0153】
本発明の熱現像感光材料には還元剤を内蔵させることが好ましい。好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号、及びResearch Disclosure第17029及び29963に記載されており、次のものがある。
【0154】
アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノヘキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシン類;アジン類(例えば、脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ、リダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール類である。
【0155】
ヒンダードフェノール類としては下記一般式(A)で示される化合物が挙げられる。
【0156】
【化38】
【0157】
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0158】
一般式(A)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
【0159】
【化39】
【0160】
【化40】
【0161】
前記一般式(A)で示される化合物を始めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に好ましくは1×10−2〜1.5モルである。
【0162】
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コ ポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。これらは親水性のものでも非親水性のものでもよい。
【0163】
本発明においては、感光性層のバインダー量は、1.5〜6g/m2であることが好ましく、さらに好ましくは1.7〜5g/m2である。
1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0164】
本発明においては、感光性層側にマット剤を含有することが好ましく、本発明の寸法の繰り返し精度を高めるには、ポリマーマット剤又は無機マット剤を乳剤層側の全バインダーに対し、重量比で0.5〜10%含有することが好ましい。
本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0165】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0166】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0167】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
【0168】
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に係るマット剤は任意の構成層中に含むことができるが、本発明の目的を達成するためには好ましくは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。
【0169】
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0170】
本発明においては、熱現像感光材料が特に600〜800nmに発振波長を有する印刷用イメージセッターの出力用の熱現像感光材料である場合、ヒドラジン化合物が感光材料中に含有してもよい。
【0171】
好ましいヒドラジン化合物としては、下記一般式[H]で示される化合物である。
【0172】
【化41】
〔式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、
-G0-D0基又は複素環基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。G0は-CO-基、-COCO-基、-CS-基、-C(=NG1D1)-基、-SO-基、-SO2-基又は-P(O)(G1D1)-基を表し、G1は単なる結合手、-O-基、-S-基又は-N(D1)-基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。〕
一般式〔H〕において、A0で表される脂肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えばアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。
【0173】
一般式〔H〕において、A0で表される芳香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられ、A0として特に好ましいものはアリール基及び複素環基であり、A0 の芳香族基及び複素環基は置換基を有していてもよく、特に好ましい基としては、pKa7〜11の酸性基を有する置換基で、具体的にはスルホンアミド基、ヒドロキシル基、メルカプト基等が挙げられる。
【0174】
一般式〔H〕において、A0で表される-G0-D0基について説明する。
【0175】
G0は、-CO-基、-COCO-基、-CS-基、-C(=NG1D1)-基、-SO-基、-SO2-基又は-P(O)(G1D1)-基を表し、好ましいG0としては-CO-基、-COCO-基で、特に好ましくは-COCO-基が挙げられる。G1は単なる結合手、-O-基、-S-基又は-N(D1)-基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。
【0176】
D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基等が挙げられる。
【0177】
又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散基又はハロゲン化銀吸着基を少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としてはカプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては炭素数8以上の写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられる。
【0178】
一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着促進基としてはチオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基、或いは特開昭64−90439号に記載の吸着基等が挙げられる。
【0179】
一般式〔H〕において、B0はブロッキング基を表し、好ましくは
-G0-D0であり、A0における-G0-D0基と同義であり、A0とB0は同じでも異なっても良い。
【0180】
A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、又はオキザリル基(例えばエトキザリル基等)を表す。
【0181】
次に一般式〔H〕で示される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0182】
【化42】
【0183】
【化43】
【0184】
【化44】
【0185】
【化45】
【0186】
【化46】
【0187】
【化47】
【0188】
本発明に用いられるヒドラジン化合物としては、上記以外に以下に示す化合物を用いることもできる。
【0189】
RESEARCHDISCLOSURE Item 23516(1983年11月号、P.346)およびそこに引用された文献の他、米国特許第4,080,207号、同4,269,929号、同4,276,364号、同4,278,748号、同4,385,108号、同4,459,347号、同4,478,928号、同4,560,638号、同4,686,167号、同4,912,016号、同4,988,604号、同4,994,365号、同5,041,355号、同5,104,769号、英国特許第2,011,391B号、欧州特許第217,310号、同301,799号、同356,898号、特開昭60−179734号、同61−170733号、同61−270744号、同62−178246号、同62−270948号、同63−29751号、同63−32538号、同63−104047号、同63−121838号、同63−129337号、同63−223744号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号、同63−294552号、同63−306438号、同64−10233号、特開平1−90439号、同1−100530号、同1−105941号、同1−105943号、同1−276128号、同1−280747号、同1−283548号、同1−283549号、同1−285940号、同2−2541号、同2−77057号、同2−139538号、同2−196234号、同2−196235号、同2−198440号、同2−198441号、同2−198442号、同2−220042号、同2−221953号、同2−221954号、同2−285342号、同2−285343号、同2−289843号、同2−302750号、同2−304550号、同3−37642号、同3−54549号、同3−125134号、同3−184039号、同3−240036号、同3−240037号、同3−259240号、同3−280038号、同3−282536号、同4−51143号、同4−56842号、同4−84134号、同2−230233号、同4−96053号、同4−216544号、同5−45761号、同5−45762号、同5−45763号、同5−45764号、同5−45765号、同6−289524号、同9ー160164号等に記載されたものを挙げることができる。
【0190】
またこの他にも特公平6−77138号に記載の(化1)で示される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号に記載の一般式(I)で示される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で示される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号に記載の一般式(I)および一般式(2)で示される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号に記載の(化2)および(化3)で示される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号に記載の(化1)で示される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号に記載の一般式(I)で示される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号に記載の一般式(II)で示される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で示される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44、に記載されたものを用いることができる。
【0191】
ヒドラジン化合物(誘導体)の添加層は、感光性層及び/又は感光性層に隣接した構成層である。また添加量はハロゲン化銀粒子の粒径、ハロゲン組成、化学増感の程度、還元剤の種類、抑制剤の種類等により最適量は一様ではないが、ハロゲン化銀1モル当たり10−6モル〜10−1モル程度、特に10−5モル〜10−2モルの範囲が好ましい。
【0192】
本発明の熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温に加熱することで現像される。加熱温度としては80℃以上250℃以下が好ましく、更に好ましくは100℃以上200℃以下である。加熱温度が80℃以下では短時間で十分な画像濃度が得られず、また250℃以上ではバインダーが溶融し、ローラーへの転写など、画像そのものや搬送性にも悪影響を及ぼし好ましくない。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0193】
本発明の熱現像感光材料は支持体上に少なくとも一層の感光性層を有しており、支持体の上に感光性層のみを形成しても良いが、感光性層の上に少なくとも1層の非感光性層を形成することが好ましい。感光性層に通過する光の量又は波長分布を制御するために感光性層と同じ側又は反対側にフィルター層を形成しても良いし、感光性層に染料又は顔料を含ませても良い。染料としては特願平7−11184号の化合物が好ましい。感光性層は複数層にしても良く、また階調の調節のため感度を高感層/低感層又は低感層/高感層にしても良い。各種の添加剤は感光性層、非感光性層、又はその他の形成層のいずれに添加しても良い。本発明の熱現像感光材料には例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いても良い。
【0194】
本発明の熱現像感光材料には、色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。
【0195】
イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。好ましい色調剤としてはフタラゾン又はフタラジンである。
【0196】
本発明の熱現像感光材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許4639414号、同4740455号、同4741966号、同4751175号、同4835096号に記載された増感色素を使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えば RESEARCH DISCLOSURE Item 17643IV-A項(1978年12月p.23)、同 Item 1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えばA)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号、特開平2−48653号、米国特許2,161,331号、西独特許936,071号、特願平3−189532号記載のシンプルメロシアニン類、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭50−62425号、同54−18726号、同59−102229号に示された三核シアニン色素類、特願平6−103272号に示されたメロシアニン類、C)LED光源及び赤色半導体レーザーに対しては特公昭48−42172号、同51−9609号、同55−39818号へ特開昭62−284343号、特開平2−105135号に記載されたチアカルボシアニン類、D)赤外半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号、特開昭60−80841号に記載されたトリカルボシアニン類、特開昭59−192242号、特開平3−67242号の一般式(IIIa)、一般式(IIIb)に記載された4−キノリン核を含有するジカルボシアニン類などが有利に選択される。さらに赤外レーザー光源の波長が750nm以上、さらに好ましくは800nm以上でである場合このような波長域のレーザーに対応されるためには、特開平4−182639、同5−341432、特公平6−52387、同3−10931、US5,441,866、特開平7−13295等に記載されている増感色素が好ましく用いられる。これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と共に、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
【0197】
本発明の熱現像感光材料の露光は、Arレーザー(488nm)、He−Neレーザー(633nm)、赤色半導体レーザー(670nm)、赤外半導体レーザー(780nm、820nm)などが好ましく用いられるが、レーザーパワーがハイパワーであることや、感光材料を透明にできるなどの点から、赤外半導体レーザーがより好ましく用いられる。
【0198】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0199】
実施例1
[下引済み写真用支持体の作製]
〈PET下引済み写真用支持体の作製〉
市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ100μmのPETフィルムの両面に8w/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1とした。
【0200】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30重量%)
t−ブチルアクリレート(20重量%)
スチレン(25重量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25重量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる。
【0201】
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40重量%)
スチレン(20重量%)
グリシジルアクリレート(40重量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる。
【0202】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8w/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に下引層A−2として、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に帯電防止機能をもつ下引上層B−2として塗設した。
【0203】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる重量
(C−1) 0.2g
(C−2) 0.2g
(C−3) 0.1g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる。
【0204】
《下引上層塗布液b−2》
(C−4) 60g
(C−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g
硫酸アンモニウム 0.5g
(C−6) 12g
ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる。
【0205】
【化48】
【0206】
【化49】
【0207】
(乳剤Aの調製)
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液及び塩化ロジウムを銀1モル当たり1×10−4モルを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。
特開平9−127643号実施例1の方法に従い下記のような方法でベヘン酸銀を作成した。
【0208】
ベヘン酸Na溶液の調製
340mlのイソプロパノールにベヘン酸34gを65℃で溶解した。次に攪拌しながら0.25Nの水酸化ナトリウム水溶液をpH8.7になる様に添加した。この際水酸化ナトリウム水溶液は約400ml必要とした。次にこのベヘン酸ナトリウム水溶液を減圧濃縮を行いベヘン酸ナトリウムの濃度が重量%で8.9%とした。
【0209】
ベヘン酸銀の調製
750mlの蒸留水中に30gのオセインゼラチンを溶解した溶液に2.94Mの硝酸銀溶液を加え銀電位を400mVとした。この中にコントロールドダブルジェット法を用いて78℃の温度下で前記ベヘン酸ナトリウム溶液374mlを44.6ml/分のスピードで添加し同時に2.94Mの硝酸銀水溶液を銀電位が400mVになる様に添加した。添加時のベヘン酸ナトリウム及び硝酸銀の使用量はそれぞれ0.092モル、0.101モルであった。
添加終了後さらに30分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。
【0210】
感光性乳剤の調製
このベヘン酸銀分散物に前記ハロゲン化銀乳剤をそれぞれ0.01モル加え、更に攪拌しながらポリ酢酸ビニルの酢酸n−ブチル溶液(1.2wt%)100gを徐々に添加して分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に2回の水洗と水の除去を行った後、バインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量3000)の2.5wt%の酢酸ブチルとイソプロピルアルコールの1:2混合溶液60gを攪拌しながら加えた後、こうして得られたゲル状のベヘン酸及びハロゲン化銀の混合物にバインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量4000)及びイソプロピルアルコールを加え分散した。
【0211】
支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作成した。尚、乾燥は各々75℃、5分間で行った。
【0212】
バック面側塗布:以下の組成の液を湿潤厚さ80μmになるように塗布した。
【0213】
ポリビニルブチラール(10%イソプロパノール溶液) 150ml
染料−B 70mg
染料−C 70mg
【0214】
【化50】
【0215】
感光性層面側塗布
感光性層:以下の組成の液を塗布銀量が2.0g/m2、バインダーとしてのポリビニルブチラールを3.2g/m2になる様に塗布した。
【0216】
乳剤A 銀量として3g/m2になる量
増感色素−1(0.1%DMF溶液) 2mg
一般式1〜3の化合物、比較化合物(2%アセトン溶液) 表1
一般式4〜7の化合物(1%メタノール溶液) 表1
フタラゾン(4.5%DMF溶液) 8ml
現像剤−1(10%アセトン溶液) 13ml
硬調化剤H(1%メタノール/DMF=4:1溶液) 2ml
【0217】
【化51】
【0218】
【化52】
【0219】
表面保護層:以下の組成の液を湿潤厚さ100μmになる様に各感光性層上に塗布した。
【0220】
アセトン 175ml
2−プロパノール 40ml
メタノール 15ml
セルロースアセテート 8.0g
フタラジン 1.0g
4−メチルフタル酸 0.72g
テトラクロロフタル酸 0.22g
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g
平均粒径4μmの単分散シリカ バインダーに対して1%(W/W)
【0221】
「センシトメトリーの評価」
前記塗布済み試料を3.5cm×15cmに断裁し、820nmダイオードを備えたレーザー感光計で露光した後、写真感光材料を120℃で15秒間処理(現像)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、Dmin、感度(Dminより1.0高い濃度を与える露光量の比の逆数)で評価し、試料No.1の感度を100として相対感度で表2に示した。結果を表2に示す。
【0222】
<画像保存性の評価>
センシトメトリー評価と同様の処理をした2枚の試料を1枚は25℃、55%で7日間遮光保存し、もう1枚は25℃、55%で7日間自然光に晒した後両者のカブリ部分の濃度を測定した。結果を表2に示す。
(カブリの増加2)=(自然光に晒したときのカブリ)ー(遮光保存したときのカブリ)
【0223】
<銀色調の評価>
前記塗布済み各試料をセンシトメトリーと同様の処理を行った後、得られた現像済み各試料に対し、目視で以下のように5段階の評価を行った。結果を表2に示す。
【0224】
5:黄色みが全くなく、冷黒調である
4:かすかに黄色みが見られるが、ほとんど気にならないレベルである
3:黄色みが見られるが、実用上問題ないレベルである
2:黄色みが強く、実用上問題となる
1:黄色みが著しく強く、実用上適さない
【0225】
【化53】
【0226】
【表1】
【0227】
【表2】
【0228】
表2より本発明の試料は十分な感度があり、かつ、カブリが低く、感光材料の画像保存性及び銀色調も良好であることがわかる。
【0229】
【発明の効果】
本発明によれば、現像処理済みの試料が経時でカブリ上昇したりせず、かつ銀画像の色調が良好な熱現像感光材料を提供することができる。
Claims (4)
- 支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、バインダー及び下記一般式1〜3で示されるジハロメチル基又はトリハロメチル基を少なくとも1つ有する化合物の少なくとも1種を含有し、かつ該還元剤の酸化体と反応して青色染料を形成するロイコ化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
-N(R 11 )-COO- 、 -COCO- 、 -COO- 、 -OCO- 、 -OCOO- 、 -SCO- 、 -SCOO- 、 -C(Z 1 )(Z 2 )- 、
アルキレン、アリーレン、2価のヘテロ環又はこれらの任意の組み合わせで形成される2価の連結基を表す。R 11 は水素原子又はアルキル基を表す。Z 1 およびZ 2 は水素原子又は電子吸引性基を表す。Z 1 およびZ 2 は同時に水素原子であることはない。Qは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表す。但し、Yが−SO−の時、QはN以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族ヘテロ5員環基およびピリジン環基を表す。] - 該ロイコ化合物が、一般式4〜7で示される化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
- 請求項1または2に記載の熱現像感光材料が赤外レーザーで露光されることを特徴とする画像記録方法。
- 請求項1または2に記載の熱現像感光材料が80℃以上250℃以下で加熱することにより現像される画像形成方法。
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