JP3852184B2 - ノック式塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、墨液、絵の具、インキなどの筆記液、アイライナー、リップカラーなどの化粧液、筆跡修正液、接着剤といった塗布液を内蔵したノック式塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内部に塗布液収容部を形成した軸筒の先端開口部にペン先などの塗布体を固定し、この塗布体と前記塗布液収容部との間に弁機構を配置し、弁機構前方の軸筒内に塗布液貯留部を設けてなるノック式塗布具が知られている。例えば、実開昭62−109980号公報には、ノック部を押圧して塗布液収容部内に配置した可動部材を移動することにより、弁機構を開放して塗布液を弁機構前方の塗布液貯留部に吐出し、その後、塗布液貯留部の塗布液が塗布体に浸透し、筆記可能となる液体塗布具が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような塗布具において、塗布液として、粘度が数ミリPa・S程度の低粘度のものを用いた場合、塗布液収容部より吐出された塗布液は、軸筒先端開口部まで容易に移動して外部に吐出され、塗布が可能になる。しかし、塗布液として、絵の具などの液状描画材、インキなどの筆記液、アイライナー、リップカラーなどの化粧液、筆跡修正液、接着剤といった粘度が20〜1,000ミリPa・S程度の高粘度のものを使用した場合、塗布液の流動性が低いため、塗布液収容部より吐出された塗布液が、軸筒先端開口部まで移動し、塗布が可能になるまでに時間がかかるという問題が発生する。本発明は、高粘度の塗布液を用いても短時間で塗布液が軸筒先端開口部まで移動するノック式塗布具を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明は、内部に塗布液収容部を形成した軸筒の先端開口部に塗布体を配置し、この塗布体と前記収容部との間に弁機構を配置し、弁機構前方の軸筒内に塗布液貯留部を設けてなり、前記弁機構を軸筒に配置されたノック部材によって開放・閉塞させたノック式塗布具において、前記塗布液貯留部が、前記弁機構に連動して前後動する別部材で構成された可動部材の外壁と、塗布液貯留部内壁との間に形成される間隙によって連通される前方塗布液貯留部と後方塗布液貯留部とよりなると共に、それら前方塗布液貯留部と後方塗布液貯留部を空間部となし、また、前記塗布体を常時先端開口部から突出してなることを特徴とするノック式塗布具を要旨とする。
【0005】
【作用】
発明にかかるノック式塗布具において、塗布液は、ノックを押圧したとき時、弁体が前進して弁機構が開放されると共に、この弁に連動する可動部材が前進することによって容積が大きくなった後方貯留部へ供給される。その後、ノックへの押圧を解除すると可動部材及び弁体は後退するが、このとき、後方貯留部は容積が小さくなるので、加圧状態になる。後方貯留部内の加圧された塗布液は、可動部材の外壁と塗布液貯留部内壁との間隙を通って前方貯留部に供給されるが、間隙の断面積を塗布液の粘度に合わせて適宜調整することによって、塗布液は自重で移動するときに比べ大きな速度で移動するので、短時間で塗布液が軸筒先端開口部まで移動する
【0006】
【実施例】
以下、本発明を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1乃至図2に本発明の実施例1を示す。図1は、実施例1の非ノック時の縦断面図であり、図2は実施例1のノック時の要部拡大縦断面図である。参照符号1は、内部に塗布液収容部2を形成した後軸である。この後軸1の先端開口部には、前方(図中上方向)が小径で後方が大径であり、大径部外壁に鍔部3aを設けた前軸3が、前記鍔部3aを後軸1先端端面に当接する位置まで挿入固定されている。この前軸3の先端開口部には、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン系繊維などの繊維結束体や、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、セラミックなどの成型体などよりなる塗布体4が挿入されているが、この先端開口部の内壁には複数のリブ3dが軸長手方向に形成されており、このリブ3dによって塗布体4は、圧入状態となっている。上記塗布体4と前記塗布液収容部2との間には、弁機構を配置している。この弁機構は、座部5aを形成してなる蓋体5と、後述する弾発部材によって後方に付勢されて、前記座部5aに弾発的に当接する弁部6aを形成している弁体6とよりなっている。
【0007】
蓋体5は、前方の小径筒状部5bと後方の大径筒状部5cとからなるものであり、この小径筒状部5bの内壁に、内方に向かう周状突起部5dを形成し、この周状突起部5dの前方側端面に前記座部5aを形成している。この蓋体5は、大径筒状部5cによって後軸1の内壁に圧入固定され、後軸1内部に形成された塗布液収容部2の蓋体となっている。また、前記蓋体5は、前記前軸3の大径筒状部内壁に圧入固定され、前軸3内に塗布液貯留部7を形成している。弁体6は、前方筒状部6bと後方棒状部6cとよりなるものであり、この前方筒状部6bと後方棒状部6cとの間に弁部6aを形成している。そして、弁体6の前方筒状部6bと弁部6aとは、前記蓋体5の小径筒状部5b内に摺動自在に配置され、かつ、弁体6は、コイルバネなどの弾発部材8によって後方に付勢されている。
【0008】
前記弁体6の前方には、後方に弁体6との連結部となる凹部9aを形成した、前記前軸3の内径より若干小さい外径である円柱状の可動部材9が、前軸3内に凹部9aを後方にして配置されている。前記塗布液貯留部7は、この可動部材9の外壁と塗布液貯留部7内壁との間隙によって、可動部材9より塗布体4側の前方塗布液貯留部7aと塗布液収容部2側の後方塗布液貯留部7bとが連通されて形成されている。
【0009】
この可動部材9は、前記凹部9aの内側に、前記弁体6の前方筒状部6bを圧入する形で、弁体6と連結して連動するようになっている。ただし、弁体6と可動部材9との連結は、上記のような圧入に限定されるものではなく、螺合、嵌合、接着といった他の適宜手段によっても可能である。
【0010】
前記弁体6の後方棒状部5cには、前記後軸1内に設けた塗布液収容部2内に配置した筒状部材10の前方部に挿入固定されている。この筒状部材10は、その後方部を、前記塗布液収容部2後端に形成した筒状部2aの外側に挿入固定した、蛇腹状可動部11aを有する有底筒状のノック部材11内に、前記筒状部2aを貫通して挿入している。ただし、ノック部は、従来公知の方法を採用できるものであり、実施例に示す構造に限定されるものではない。
【0011】
次に、実施例1の塗布具を使用する場合の作用について説明する。ノック部材後端部を押圧すると、蛇腹状可動部が収縮し、筒状部材が前方に移動する。この筒状部材の移動に伴って、弁体が弾発部材の弾発力に抗して前方に移動し、弁機構が開放される。このとき、可動部材は、弁体と連動しているので、共に前進し、これによって、後方塗布液貯留部の容積が大きくなる。弁機構が開放されると、塗布液収容部内の塗布液は、後方塗布液貯留部内に移動し一時的に貯留される。
【0012】
次に、ノック部材後端部の押圧を解除すると、弁体が弾発部材の弾発力により後方に付勢され、弁機構が閉塞される。このとき、弁体と連動した可動部材も後退するため、後方塗布液貯留部の容積は、非ノック時の状態に戻り小さくなり、塗布液には加圧力がかかる。加圧力がかかった塗布液は、可動部材外壁と塗布液貯留部内壁との間の間隙を通り、前方塗布液貯留部に強制的に吐出される。このとき、塗布液は、上記隙間から、前軸先端開口部の方向に勢い良く吐出するため、一気に前軸先端開口部近傍に移動する。前軸先端開口部近傍に移動した塗布液は、塗布体内の空間及び塗布体と前軸先端開口部内壁との隙間を通じて外部に吐出するので塗布が可能になる。
【0013】
本発明のノック式塗布具は、ノック時に可動部材が前後動することで、塗布液に剪断力がかかったり、塗布液貯留部内が攪拌されたりするため、塗布液が高粘度であっても、塗布液中に剪断減粘性物質を含む場合には、塗布液の粘度が下がり、また、塗布液が顔料などの沈降性物質を含んでいても、顔料などが再分散されるなどして、塗布が可能となる。
【0014】
なお、可動部材外壁と塗布液貯留部内壁との間隙の大きさは、上述のように使用する塗布液の粘度に合わせて適宜設定することが出来るが、更に、可動部材外壁に長手方向の溝を設け、この長手方向の溝によって前方塗布液貯留部と後方塗布液貯留部とを連通することも可能である。この場合、可動部材は塗布液貯留部内を摺動するような大きさに設定することもできる。このように、長手方向の溝を設けたものは、塗布液を後方塗布液貯留部から前方塗布液貯留部に押し出す力が、縦方向に比較的強く働き、インキの移動が円滑になるという効果も有する。また、可動部材に設ける溝は、直線状のものだけでなく、螺旋状のものも採用できる。螺旋状の溝を採用したものの場合、塗布液は前方塗布液貯留部の内壁方向に吐出する。そのため、塗布液が、前方塗布液貯留部に吐出した勢いで軸筒先端開口部から外部に飛び出すことを防止できるという効果も有する。
【0015】
図3に、本発明の実施例2を示す。実施例2は、前記実施例1において、塗布体4と可動部材9とを一体に形成した塗布体104となした以外は実施例1と同様である。この塗布体104は、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維などの繊維収束体や、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セラミックなどの成形体などであって、塗布体相当部104aと可動部材相当部104bとよりなり、塗布体相当部104aの先端部を軸筒先端開口部より突出するようにして、塗布液貯留部107内に配置してある。前記塗布体104は、前記可動部材相当部104bの後端面に形成した、弁体106との連結部104cを弁体106の前方筒状部106b内に圧入して、弁体106と連結している。ただし、弁体106と塗布体104との連結は、上記のような圧入に限定されるものではなく、螺合、嵌合、接着といった他の適宜手段によっても可能である。なお、前記可動部材相当部104bは、前記塗布液貯留部107の内径よりもわずかに小さい外径であり、ノック時には、実施例1における可動部材9と同様の作用を示すものである。
【0016】
本実施例2は、前記実施例1に比較して、更に以下のような効果を有する。軸筒先端開口部近傍に余剰な塗布液が貯留した際、塗布体104を上に向けてノックをすると、前記余剰な塗布液が塗布体104の、ノックと連動した移動により軸筒先端開口部から露出する部分に付着する。次に、ノックに付与した押圧力を解除すると、前記塗布体104の露出する部分が再び軸筒内に戻るため、付着した余剰な塗布液は、軸筒先端開口部より後方の塗布液貯留部107に引き込まれることになり、塗布液のボタ落ちが防止できる。
【0017】
図4に、本発明の実施例3を示す。実施例3は、前記実施例1において、可動部材9を、大径孔部209aと小径孔部209bとからなる筒状の可動部材209とし、塗布体4を、鼬、馬、豚などの天然繊維、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル系繊維などの合成樹脂繊維、あるいは、前記天然筆毛と合成樹脂製筆毛とを混ぜたものなどの繊維を多数、長手方向に収束し、一方に、後端面を熱溶着や接着などの方法で固着して鍔部204aを形成したストレート部204bを設け、他方に、先端面が近づくほど外径が細くなるようなテーパー部204cを設けた筆穂とした以外は実施例1と同様である。この筆穂である塗布体204は、前方部が前記軸筒先端開口部から突出し、後端部の鍔部204aが前記筒状の可動部材209の大径孔部209aと小径孔部209bとの境界の段部209cに当接するように配置されている。
【0018】
また、前記筒状の可動部材209は、大径孔部209aの内側に、弁体206の前方筒状部206bを圧入する形で、弁体5と連結している。ただし、弁体206と筒状可動部材209との連接は、上記のような圧入に限定されるものではなく、螺合、嵌合、接着といった他の適宜手段によっても可能である。本実施例3は、前記実施例2と同様の作用を示す。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係るノック式塗布具は、内部に塗布液収容部を形成した軸筒の先端開口部に塗布体を配置し、この塗布体と前記収容部との間に弁機構を配置し、弁機構前方の軸筒内に塗布液貯留部を設けてなり、前記弁機構を軸筒に配置されたノック部材によって開放・閉塞させたノック式塗布具において、前記塗布液貯留部が、前記弁機構に連動して前後動する別部材で構成された可動部材の外壁と、塗布液貯留部内壁との間に形成される間隙によって連通される前方塗布液貯留部と後方塗布液貯留部とよりなると共に、それら前方塗布液貯留部と後方塗布液貯留部を空間部となし、また、前記塗布体を常時先端開口部から突出してなるので、高粘度の塗布液を用いても短時間で塗布液が軸筒先端開口部まで移動し、使用に際して、きわめて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の非ノック時の縦断面図。
【図2】 実施例1のノック時の要部拡大縦断面図。
【図3】 実施例2のノック時の要部拡大縦断面図。
【図4】 実施例3のノック時の要部拡大縦断面図。
【符号の説明】
1 後軸
2 塗布腋収容室
3 前軸
4、104 塗布体
5 蓋体
5a 座部
6 弁体
6a 弁部
7、107 塗布液貯留部
7a 前方塗布液貯留部
7b 後方塗布液貯留部
7c 間隙
9 可動部材
Claims (1)
- 内部に塗布液収容部を形成した軸筒の先端開口部に塗布体を配置し、この塗布体と前記収容部との間に弁機構を配置し、弁機構前方の軸筒内に塗布液貯留部を設けてなり、前記弁機構を軸筒に配置されたノック部材によって開放・閉塞させたノック式塗布具において、前記塗布液貯留部が、前記弁機構に連動して前後動する別部材で構成された可動部材の外壁と、塗布液貯留部内壁との間に形成される間隙によって連通される前方塗布液貯留部と後方塗布液貯留部とよりなると共に、それら前方塗布液貯留部と後方塗布液貯留部を空間部となし、また、前記塗布体を常時先端開口部から突出してなることを特徴とするノック式塗布具。
Priority Applications (1)
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JP28131997A JP3852184B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | ノック式塗布具 |
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JP28131997A JP3852184B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | ノック式塗布具 |
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JPH1199793A JPH1199793A (ja) | 1999-04-13 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3852184B2 (ja) |
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1997
- 1997-09-29 JP JP28131997A patent/JP3852184B2/ja not_active Expired - Fee Related
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