JP3851774B2 - メディアオブジェクトのブロードキャスト伝送方法及びシステム - Google Patents
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Description
〔発明の背景〕
インターネット上で利用可能な情報の量や種類は膨大である。しかしながら、多くのエンドユーザにとっては、インターネットが提供しなければならないもののうち大部分へのアクセスは事実上締め出されている。というのは、エンドユーザは、提供されている情報をダウンロードする有効な手だてがないからである。従来、エンドユーザは、狭いバンド幅を有するに過ぎない電話回線その他の陸上通信線を介してインターネットにアクセスしていた。バンド幅が不十分だと、待ち時間が長くなってイライラすることになるが、例えばビデオクリップのような大きなメディアオブジェクトをインターネットからユーザのコンピュータにダウンロードする場合には特にそうである。例えば2Mbのビデオオブジェクトであれば、これをダウンロードするのに1時間というような長い時間がかかる場合がある。
【0002】
従来型インターネットのもう一つの欠点は、利用可能なマテリアルとしての財が十分には組織化されていないことにある。その結果、ユーザは自分たちにとって関心があるかもしれないインターネットサイトを識別するためにサーチエンジンに頼らざるを得ない。しかしながら、これらのサーチエンジンは、比較的速度が遅く、しかもユーザにとって実際に関心のあるサイトを全ては識別できない場合がある。
【0003】
バンド幅に関するジレンマに対する一つの考えられる解決策は、インターネットからの情報をユーザにブロードキャストすなわち放送することによりユーザに伝送することである。たとえは、従来の各テレビジョンチャネルは、大抵の要望には十分な40Mbpsを伝送するのに十分なバンド幅をもっている。さらに、衛星放送ケーブル放送は、240Mbpsという大きなバンド幅を持っている場合がある。これら大きなバンド幅を利用すると、従来技術のバンド幅についての不十分さが大幅に緩和される。
【0004】
しかしながら、ブロードキャストは、その自体の問題を抱えている。インターネットの重要な特徴は、各コンテンツプロバイダが、自分が伝送するあらゆるオブジェクトのコンテンツ(内容)、タイミング及びターゲットをコントロールできるということにある。これとは対照的に、ブロードキャスト環境におけるスケジューリング及び分散に関するコントロールはブロードキャスト施設の保守及び運営を行う事業体によってコントロールされるのが普通である。さらに、ブロードキャスト施設は従来、単一形式のメディアオブジェクト、例えばテレビ番組を伝送するために用いられている。かくして、ブロードキャスターは、インターネットを介して利用できる多くの種類のメディアオブジェクト(かかるメディアオブジェクトとしては、ビデオ、オーディオ、及びデータが挙げられる)を取り扱う能力を備えていない。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明は、多種多様なメディアオブジェクトを処理し、スケジュールし、ブロードキャストする分散型ブロードキャストシステムを提供する。メディアオブジェクトは、例えばデータファイルのような静的オブジェクト又は例えばストリーミングビデオ、オーディオ又はデータのような動的オブジェクトを含む。
【0006】
好ましい実施形態では、本発明のブロードキャストシステムは、メディアオブジェクト追跡システムと、チャネル編集セグメントと、ブロードキャスト施設と、複数のエンドユーザPC(パーソナルコンピュータ)とから成る。
【0007】
メディアオブジェクト追跡システムは、複数の互いに別個のソースからメディアオブジェクトを受信してこれらの配布状態、修正変更状態、及び使用状態を追跡する。メディアオブジェクト追跡システムと連携して複数の編集ステーションが設けられており、ここで、受信したメディアオブジェクトを処理してブロードキャストレディ状態のマテリアルを作成する。
【0008】
チャネル編集セグメントは好ましくは、複数のチャネル編集センター(CEC)と、ブロードキャストレディ状態のメディアオブジェクトを集め、これらをブロードキャストできるようスケジュールする1又は2以上のチャネル管理センター(CMC)とを含む。スケジュールされた各々のメディアオブジェクトは、メディアオブジェクトの属するサービスと関連して指定された定期契約情報に従って符号化される。符号化されたメディアオブジェクトは、ブロードキャストビットストリームの時分割多重チャネル上に多重化される。
【0009】
ブロードキャスト施設は、符号化されたビットストリームをブロードキャストチャネル経由で伝送する。適当に装備がなされたエンドユーザPCは、この伝送内容を受信し、エンドユーザが受信許可を受けているブロードキャストの部分に接近できるようにする。
具体的に言えば、本発明によれば、ブロードキャストシステムであって、
(1)コンテンツプロバイダ施設を有し、コンテンツプロバイダ施設は、チャネル編集センタを有し、チャネル編集センタは、
(a)第1の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストをスケジュールする第1のスケジューラと、
(b)第1の複数のメディアオブジェクトをブロードキャスト施設に伝送するインターネットプロトコルリンクとを有し、
(2)ブロードキャスト施設は、チャネル管理センタを有し、チャネル管理センタは、
(a)第2の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストをスケジュールする第2のスケジューラと、
(b)多重チャネル上へのスケジュールされたメディアオブジェクトのローディングをコーディネートするメディアオブジェクト検索マネジャーと、
(c)ビデオファイル、オーディオファイル、イメージファイル及びテキストファイルを含む第1の複数の関連メディアオブジェクトをエンドユーザに提供するための少なくとも1つのマルチメディアブロードキャストサービスを特定する定期契約情報を記憶する定期契約データベースと、
(d)定期契約データベースに記憶されている定期契約情報に従って第1及び第2の複数のメディアオブジェクトを修正変更する手段とを有することを特徴とするブロードキャストシステムが開示されている。
また、チャネル管理センタのプレイアウトは、有限のバンド幅を有し、有限のバンド幅の少なくとも幾分かについてのブロードキャストスケジューリングは、第1のスケジューラにより行われることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、チャネル編集センタは、遠隔地から操作可能であることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、チャネル管理センタは、遠隔地から操作可能であることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、第1のスケジューラは、メディアオブジェクトのブロードキャストを図形を使ってスケジュールするGUIを更に有していることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、メディアオブジェクト追跡システムを更に有し、メディアオブジェクト追跡システムは、
互いに異なるフォーマットのメディアオブジェクトを受け取り、受け取った各メディアオブジェクトにメディアオブジェクトを表す1又は2以上のデータ属性を割り当てる入力デスクと、
各々がメディアオブジェクトと関連のあるデータ属性を記憶し、更にメディアオブジェクトに関する配布状態、使用状態及び修正変更状態の情報を記憶している複数のレコードから成る追跡データベースと、
メディアオブジェクトの配布状態、使用状態及び修正変更状態を追跡し、更に収集した追跡情報に従って追跡データベースを更新するようになったメディアオブジェクト追跡ツールとから成ることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、チャネル編集ステーションを更に有し、チャネル編集ステーションは、入力デスクと追跡データベースの両方に接続されていることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、チャネル編集ステーションにより作成されるべきコンテンツのタイプとコンパチブルでないデータ属性がメディアオブジェクトに割り当てられた場合には、チャネル編集ステーションはメディアオブジェクトにアクセスできないことを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、GUIは、メディアオブジェクトがブロードキャストされる時間をユーザが特定するのを可能にすることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、GUIは、メディアオブジェクトがブロードキャストされるバンド幅をユーザが特定するのを可能にすることを特徴とする上記のシステムが開示されている。
また、更に、第2のコンテンツプロバイダ施設を有し、第2のコンテンツプロバイダ施設はチャネル編集センタを有し、チャネル編集センタは、
(a)第3の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストをスケジューリングする第3のスケジューラと、
(b)第3の複数のメディアオブジェクトをブロードキャスト施設に伝送する第2のインターネットプロトコルリンクとを有することを特徴とする上記のシステムが開示されている。
【0010】
本発明の上記目的及び概要は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明及び添付の図面を参照すると一層よく理解されよう。
【0011】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
図1は、本発明のブロードキャストシステムの好ましい実施形態のブロック図である。図1に示すように、全体を符号10で示されたブロードキャストシステムは、メディアオブジェクト追跡システム(MOTS)15と、チャネル編集セグメント20と、ブロードキャスト施設25と、複数のエンドユーザPC(パーソナルコンピュータ)30とから成り、これらエンドユーザPCのうち1つだけが図1に示されている。チャネル編集セグメント20は、チャネル管理センター(CMC)35と、プロフェッショナルチャネル編集センター(CECプロ)40と、チャネル編集センター(CEC)45と、マスターチャネル編集センター(CECマスター)50とからなる。図1にCECプロ40、CEC45、CECマスター50、CMC35及びブロードキャスト施設25をそれぞれ1つだけ示しているが、本システムは、好ましくは、これら構成要素をそれぞれ1又は2以上有することができることが理解されるべきである。
【0012】
先ず最初に、ブロードキャストシステム10の動作原理を図1と関連して大まかに説明する。ブロードキャストシステム10の構成要素の構造及び動作原理については、図2〜図10と関連して詳細に説明する。
【0013】
ブロードキャストシステム10中の代表的なデータフローが、図1のブロック15〜50をつなぐ矢印によって概略的に示されている。まず最初に、MOTS15は、メディアオブジェクト、例えばプロプラエタリ(所有権を主張できる)又はパブリックドメインのオーディオビデオ、画像及びテキストベースのワークを受け取る。MOTS15の一機能は、受信したメディアオブジェクトがブロードキャストシステムを通過する際にこれらメディアオブジェクトの配布状態及び使用状態を追跡することにある。この追跡機能は、MOTS15によって受信されているメディアオブジェクトと関連した配布状態及び使用状態に関する情報を記憶したデータベースの助けを借りて行われる。このように、幾つかの受信されたメディアオブジェクトは、ブロードキャスト可能の状態になる前に編集又は他の処理を必要とする場合がある。かかるメディアオブジェクトは、MOTS15に接続されたチャネル編集ステーション(CEC)に伝送され、ここで編集されてブロードキャストできる状態になる。MOTS15のこれらの特徴及び他の特徴については、図2と関連して以下に詳細に説明する。
【0014】
メディアオブジェクトがいったんブロードキャストレディ状態になると、これは集約(aggregation )及びブロードキャストスケジューリングのためにCEC又はCMCに伝送される。また、ブロードキャスト用メディアオブジェクトを、MOTS15を通過させずそしてこれによって処理しないでCEC又はCMCに直接送ってもよい。ブロードキャストスケジューリングは、CMC35、CECプロ40又はCECマスター50内に設けられているスケジューラによって行われる。本発明に用いられるスケジューラ30の好ましい実施形態については、図3及び図4と関連して詳細に説明する。CMC35の好ましい実施形態については、図5と関連して説明する。CECマスター50の好ましい実施形態については、図6と関連して説明する。CECプロ40の好ましい実施形態については、図7と関連して説明する。CEC45は、スケジューラを備えておらず、したがって、ブロードキャスト用メディアオブジェクトの集約に適しているが、ブロードキャストスケジューリングには適していない。CEC45の好ましい実施形態については、図8と関連して説明する。
【0015】
メディアオブジェクトのスケジュールされたブロードキャスト時間になると、CMC35は、メディアオブジェクトを受け取ったスケジューリングの命令に従ってチャネル上に多重化する。多重化された信号は、エンドユーザPC30へのブロードキャストのためにブロードキャスト施設25に伝送される。本明細書で説明する本発明の好ましい実施形態では、採用される多重化方式は、時分割多重方式である。しかしながら、本発明は、他の多くの多重化方式、例えば周波数分割多重伝送方式又は統計的多重化方式を用いて実施できる。
【0016】
次に、ブロードキャストシステム10の構成要素につき図2〜図10と関連して詳細に説明する。
【0017】
図2は、MOTS15の好ましい実施形態のブロック図である。図2に示すように、MOTS15は好ましくは、コンテンツプロバイダからメディアオブジェクトを受信するための入力デスク202を有している。入力デスク202は、バス204に接続されている。バス204には、MOTSデータベース206及び1又は2以上のチャネル編集ステーション(CES)208〜212もまた接続されており、これについては以下に詳細に説明する。CMC35、CECプロ40、CEC45及びCECマスター50もまた、インターフェース214を介してバス204に接続されている。
【0018】
入力デスク202は、多くの互いに異なる形式のメディアオブジェクト、例えば画像、ビデオ又はテキストを受け取るようになっている。メディアオブジェクトを受け取ると、これは入力デスク202によって1又は2以上のオブジェクト属性(メタデータ)が割り当てられる。割り当てられた属性は、受け取ったオブジェクトの性質を表している。例えば、特定のメディアオブジェクトには、オブジェクトがビデオ映像であることを表す第1の属性及びオブジェクトが子供の視聴に適していることを表す第2の属性が割り当てられる。入力デスク202は、受け取った各メディアオブジェクトについてMOTSデータベース206内に新しいレコードを作製する。レコードは、メディアオブジェクトについての識別子及びオブジェクトに割り当てられたオブジェクト属性を含む。
【0019】
図2には入力デスク202を1つしか示していないが、本システムは、各々が1又は2以上の形式のメディアオブジェクトを受け取って処理するのに適した1又は2以上の入力デスクを有するのがよい。例を挙げると、各コンテンツプロバイダについて、受け取ったメディアオブジェクトを処理するための入力デスク202を備えるのがよい。入力デスク202を、遠隔地に配置し、ネットワークによってMOTS15の他の部分に接続するのがよい。
【0020】
場合によっては、MOTS15によって受け取られたメディアオブジェクトは、完全に編集されてブロードキャストレディ状態にある完全なデータ、オーディオ又はビデオオブジェクトを表していることがある。このようになる場合があるのは、例えばメディアオブジェクトをDisney(登録商標)又は別の大きなコンテンツプロバイダから受け取ったときである。この場合、MOTS15で受け取ったメディアオブジェクトを、以下に説明するように集約及びスケジューリングのためにCEC又はCMCに直接伝送する。
【0021】
また、MOTS15で受け取ったメディアオブジェクトは、そのままの状態ではブロードキャストできるようにはなっておらず、編集すると共に(或いは)例えばマルチメディアオブジェクトを生じさせるよう他のメディアオブジェクトと組み合わせられるようになったデータ、オーディオ又はビデオオブジェクトを表している場合もある。例えば、コンテンツプロバイダは、風変わりな動物のビデオ映像を、この映像をテキスト及びビデオを含む派生マルチメディアオブジェクト、例えば子供向けの百科辞典に組み込むという意図で提供する場合がある。編集は、手作業で行ってもよく、自動化してもよい。
【0022】
MOTS15で受け取ったメディアオブジェクトの編集は好ましくは、チャネル編集ステーション208〜212のところで行われ、これらチャネル編集ステーションは、それぞれリンク216〜220によりMOTS15のバス204に接続されている。リンク216〜220は、チャネル編集ステーション208〜212をMOTSバス204、例えば広域ネットワーク又は専用ラインに接続するための任意適当な通信リンクであるのがよい。これにより、CES208〜212をMOTSバス204から見て遠隔地、例えば他国に設置できる。
【0023】
代表的には、チャネル編集ステーション208〜212は、ブロードキャスト可能状態のデータ、ビデオ及びオーディオオブジェクトを作製するコンテンツプロバイダによって操作される。これらオブジェクトは、他社によって創作されたコンテンツ、例えば入力デスク202を介してMOTS15によって受け取ったコンテンツ又はソースを含むのがよい。チャネル編集ステーション208〜212を用いると、これらコンテンツプロバイダは、入力デスク202のところで受け取ったメディアオブジェクトにアクセスできる。チャネル編集ステーションは、受け取ったメディアオブジェクトを編集すると共に(或いは)これらを派生ワークに組み込む。上述したように、編集は、システムオペレータによって行われてもよく、又は完全自動化又は部分自動化されていてもよい。メディアオブジェクトを修正し又は派生メディアオブジェクトに組み込むと、この事実は、MOTSデータベース206内にオブジェクトのレコードとして記録される。かくして、従来型インターネットシステムとは対照的に、本発明のシステムは、特定のメディアオブジェクトの配布状態、修正状態及び使用状態を追跡することができ、これにより多くの利点が得られる。例えば、追跡により、メディアオブジェクトのオーナーは、これら創作物の使用状態及び配布状態を監視下において、これらに与えられている知的所有権を一層有効に行使することができる。
【0024】
データ属性のもう1つの目的は、チャネル編集ステーション208〜212へのメディアオブジェクトの適当な分配を確保することにある。例えば、メディアオブジェクトの中には、成人だけが視聴するのに適したものがあり、これらにはその事実を表すデータ属性が割り当てられる。子供向けのプログラミングを作製するために指示されたチャネル編集ステーション(例えば、ステーション210)は、この“アダルト”データ属性が付いたメディアオブジェクトにはアクセスすることができない。かくして、従来型インターネット方式とは対照的に、受け取った全てのメディアオブジェクトの使用状態及び配布状態を追跡してコントロールすることができ、かくして、権利を保護し、コンテンツプロバイダ、ブロードキャスタ及びエンドユーザの責任を限定する。
【0025】
メディアオブジェクトをいったんブロードキャストレディ状態にすると、これは集約及びブロードキャストスケジューリングのためにCEC又はCMCに伝送される。ブロードキャストスケジューリングは、ブロードキャストパラメータ、例えばブロードキャスト時間、チャネル及びバンド幅をブロードキャストが予定されているオブジェクトに割り当てるプロセスである。
【0026】
スケジューリングが必要である理由は、ブロードキャスト施設によって伝送できるデータの量は、たとえ桁はずれに多いとしても無限であるわけではないからである。ブロードキャスト施設は代表的には、チャネルと呼ばれる特定の周波数帯域で伝送を行う。ブロードキャストチャネルが情報を伝送できる速度(これは、百万ビット/秒(Mbps)で表される場合が多い)は、この帯域中の最も高い周波数と最も低い周波数の差に関連していて、したがってチャネルのバンド幅と呼ばれることが多い。
【0027】
ブロードキャストチャネルのバンド幅は、多重化技術、例えば時分割多重方式(TDM)を用いて2又は3以上のチャネルに配分される。時分割多重方式では、各TDMチャネルには、ブロードキャストのための特定の時間間隔が割り当てられている。これにより、1つのブロードキャストチャネルで2又は3以上の信号の同時通信が可能になる。TDMチャネルのバンド幅は、チャネルの情報伝送容量であり、代表的には、百万又は千ビット/秒の単位で測定される。当然のことながら、ブロードキャストチャネルを構成する全TDMチャネルの全バンド幅は、ブロードキャストチャネルの全バンド幅を越えることはできない。
【0028】
かくして、ブロードキャスト施設の情報ブロードキャスト容量は、無限ではない。この有限の容量を、ブロードキャスト施設からメディアオブジェクトをブロードキャストしたいと考えている全てのコンテンツプロバイダで共用しなければならない。したがって、ブロードキャストされるべき全てのメディアオブジェクトを適当な時期に且つ完全に伝送するためには利用可能なブロードキャストバンド幅の特定の部分を特定のメディアオブジェクトに効率よく割り当てるためのスケジューリング装置及び方法を提供することが重要である。
【0029】
好ましい実施形態では、本発明は、ブロードキャストのスケジューリングを、複数のスケジューリングロケーションのうち1又は2以上のところで行うことができるようにする分散型スケジューリング機能を提供する。代表的には、CECプロ40、CECマスター50及びCMC35は、スケジューリングロケーションを構成することになる。各スケジューリングロケーションは、スケジューラを備えている。次に、スケジューラの好ましい実施形態について、図3と関連して説明する。
【0030】
図3に示すように、スケジューラ300は好ましくは、ブロードキャストレディ状態のデータオブジェクト、ビデオオブジェクト及びオーディオオブジェクトをそれぞれ記憶するためのデータメモリ302、ビデオメモリ304及びオーディオメモリ306を有している。スケジューラ300は、メモリ302〜306に記憶されたオブジェクトのブロードキャストパラメータに関する属性データ(メタデータ)を記憶するための属性データベース308をさらに有している。例えば、ビデオオブジェクトを伝送する場合、属性データベース308は、オブジェクトを伝送するのに必要なバンド幅、オブジェクトのブロードキャスト予定時刻、オブジェクトのサイズ及び名前、オブジェクトの対象視聴者を記憶している。
【0031】
プロセッサ310が、メモリ302〜306及びデータベース308に接続されている。以下に説明するように、プロセッサ310は、メモリ302〜306に記憶されているメディアオブジェクト及び1又は2以上のライン312,314及びストリーミングインターフェース316を介して動的に伝送できるストリーミングメディアオブジェクトのブロードキャストスケジューリングを管理する。これら動的オブジェクトの属性データもまた、属性データベース308に記録してあるのがよい。好ましい実施形態では、プロセッサ310は、Windows NT(登録商標)又はWindows 95(登録商標)ワークステーション上でランするソフトウエアプログラムを含む。
【0032】
スケジューラ300は、特定のTDMチャネル上のバンド幅の特定のブロックに関するブロードキャストをスケジュールするのを受け持っている。例を挙げて説明すると、特定のスケジューラ300は、1998年3月14日の7:00:00AM〜8:00:00AMまで4Mbpsのバンド幅についてブロードキャスト内容をスケジュールすることを受け持っている。スケジューラ300は、このバンド幅の部分を、属性データベース308に記録されているオブジェクトの属性データにしたがって、メモリ302〜306に記憶されている静的オブジェクト及びライン312を経てストリームする動的オブジェクトに割り当てる。上述の例示について説明を続けると、スケジューラ300は、朝の時間帯にミュージックビデオをブロードキャストする特定のTDMチャネルでミュージックビデオをブロードキャストするために1.4Mbpsを7:20:00AM〜7:23:05に割り当てる。変形例として、このスケジューラは、1日の天気予報を含む30秒のオーディオファイルを繰り返し流す“カルーセル(Carousel)”を確立するために100kbpsを7:00:00〜8:00:00に割り当ててもよい。
【0033】
プロセッサ310を、全てのブロードキャストスケジューリングを自動的に行うようプログラムするのがよい。変形例として、スケジューリングの全て又は何割かを、システムオペレータが行ってもよい。好ましい実施形態では、マニュアルスケジューリングは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)400によって援助され、このGUIにより、ユーザは、ブロードキャストされるべきオブジェクトを表す図形アイコンを操作し(例えばマウスを用いて)、スケジューラ300に割り当てられたバンド幅についてブロードキャストスケジュール全体を目で見てわかることができる。GUI400の好ましい実施形態が、図4に示されている。
【0034】
図4に示すように、GUI400は好ましくは、複数のウィンドウ402を有する。ウィンドウ402は、ブロードキャストのためにスケジュールされた複数のメディアオブジェクト404についてのバンド幅割当てを図形表示する。
【0035】
例えば、メディアオブジェクト404cに割り当てられたバンド幅は、高さが20kb/s及び幅が約14分間のウィンドウ402内の四角形部分として図形表示されている。各四角形部分404は、ブロードキャストのための単一のデータオブジェクトを表し、或いは例えば複数のファイルからなるディレクトリを表していることは注目されるべきである。変形例として、四角形部分は、記録されたビデオ又はオーディオオブジェクト、或いはストリーミングオーディオ、ビデオ又はデータに割り当てられたバンド幅のブロックを表してもよい。
【0036】
好ましい実施形態では、ウィンドウ402のうち1又は2以上の軸(即ち、時間及びバンド幅)は、システムオペレータにブロードキャストスケジュールについて互いに異なる見方を与えるために互いに異なる尺度で引かれている。例えば、図4に示す例では、ウィンドウ402aの時間軸の尺度は、ウィンドウ402bのものの約10倍である。かくして、システムオペレータは、10秒ごとのブロードキャストスケジュールの詳細を見るためにウィンドウ402bに注意を向けながら「大きなピクチャ」(ブロードキャストスケジュールの約1時間のウィンドウ)を理解するためにウィンドウ402aを見ることができる。
【0037】
以下に詳細に説明するように、四角形部分404によって表されたメディアオブジェクトの各々は、特定のサービスに属している。好ましい実施形態では、四角形部分404の色は、四角形部分と関連したメディアオブジェクトの属するサービスを表している。例えば、特定のサービスに属する全てのメディアオブジェクトは、赤色の四角形部分によって表されている。
【0038】
四角形部分404によって図形表示されたメディアオブジェクトについてのスケジューリング情報はまた、ウィンドウ406によって数値でも表されている。図4に示す例では、ウィンドウ406は、メディアオブジェクト404cについての定量的及び属性情報を表示している。
【0039】
ウィンドウ406は好ましくは、ブロードキャストされるべき特定のメディアオブジェクトに関する情報を記憶するための複数のフィールドを有している。例を挙げて説明すると、ウィンドウ406は、以下のフィールドを有するのがよい。
【0040】
1.メディアオブジェクトのファイル名(例えば、C:\fbs \subchannel\test2.AVI )を記憶するファイル名のフィールド。
【0041】
2.メディアオブジェクトの名前(例えば、スポーツ)を記憶する名前のフィールド。
【0042】
3.メディアオブジェクトのサイズをキロバイト又はメガバイト(例えば、16445.344kB)で記憶するサイズのフィールド。
【0043】
4.伝送されるべきファイル名又はディレクトリ名(例えば、未知(unknown))を記憶するステータスのフィールド。
【0044】
5.メディアオブジェクトのブロードキャスト予定のTDMチャネル(例えば、99)を記憶するチャネルのフィールド。
【0045】
6.ファイルがストリームアウトされるサービス(例えば、0)を表す情報を記憶するサブチャネルのフィールド。
【0046】
7.チャネルの識別子(例えば、0)を記憶するIDのフィールド。
【0047】
8.メディアオブジェクトをブロードキャストするために割り当てられたバンド幅を記憶するバンド幅のフィールド。
【0048】
9.オブジェクトに割り当てられたバンド幅の0に対する垂直方向の図形のずれ(即ち、パイプ中のオブジェクトの位置)を記憶するバンド幅位置のフィールド。
【0049】
10.開始時間のフィールド。
【0050】
11.メディアオブジェクトをブロードキャストするために割り当てられた時間間隔(例えば、1996年11月20日の00:04:04から1996年2月20日の00:17:47まで)を特定する停止時間のフィールド。
【0051】
好ましい実施形態では、ウィンドウ406と同一のフィールド及び配置状態を有するブランクテンプレートをメディアオブジェクトをブロードキャストのためにスケジュールするよう用いるのがよい。特に、適当なアイコンをクリックすることにより、オペレータはブランクウィンドウ406をスクリーン上に表示させることができる。次に、オペレータはメディアオブジェクトのブロードキャスト属性を適当なフィールドにエンターするのがよい。オペレータはOK領域408をクリックすると、GUI400は、メディアオブジェクトのブロードキャスト属性を図形表示する新しい四角形部分を作り、適当なウィンドウ402内にこの四角形部分を表示する。
【0052】
同様に、メディアオブジェクトのブロードキャスト属性をウィンドウ406を用いて修正することができる。特に、オペレータは、任意の表示されたメディアオブジェクト404をクリックすることによりこれについてのウィンドウ406を呼び出すことができる。次にオペレータは、ウィンドウ406内の任意のフィールドを更新することができる。すると、GUI400は、メディアオブジェクトに関する記憶されたブロードキャスト属性を更新し、もし適当であれば、更新されたメディアオブジェクトを図形表示する四角形部分の形状及び(又は)位置を変更する。
【0053】
好ましい実施形態では、オペレータはまた、或る特定のブロードキャスト属性を図形を用いた方法で直接変更することができる。特に、ユーザは、任意のメディアオブジェクト404をクリックしてこれをバンド幅の別の利用可能な部分(ウィンドウ402の任意のブランクスペース)まで「ドラグ」することができる。このように、ユーザは、ブロードキャストされるべき全てのメディアオブジェクトを図形を用いてスケジュールすることができる。
【0054】
本発明は、利用可能なバンド幅の利用性を最適にするための自動スケジューリングアルゴリズムを用いることができる。システムオペレータは、ブロードキャストされるべき静的及びストリーミングデータ、ビデオ及びオーディオを含む複数のオブジェクトに関する情報を入力でき、スケジューラ300は、利用可能なバンド幅を効率的に利用するよう複数のアイテムをブロードキャストするためのスケジュールを決定することができる。
【0055】
加うるに、ブロードキャストされるべきオブジェクトを伝送前に圧縮し、これらのバンド幅に課される要件にしたがって圧縮形態でブロードキャストできるようスケジュールできる。圧縮解除は、PC30がブロードキャストを受信するとPC30によって行われ、かくして、メディアオブジェクトをPC30のエンドユーザには見えない方法で圧縮形態によるブロードキャストを行うことができる。
【0056】
次に、CMC35の好ましい実施形態について図5と関連して説明する。CMC35は代表的には、ブロードキャストサービスプロバイダ、例えばテレビジョンネットワークによって操作されることが考えられる。CMC35によって管理されるブロードキャスト内容のかなりの部分はしたがって、代表的には、ブロードキャスターが確立された関係を持つ相手側の大きなコンテンツプロバイダ(例えば、Disney(登録商標))からの専門的に作製されたメディアオブジェクトを含むことになろう。
【0057】
図5を参照すると、CMC35は好ましくは、図3と関連して上述したスケジューラ300と同一のアーキテクチャを有するスケジューラ300aを有する。CMC35は、スケジューラ300aの属性データベース308をモニターするメディアオブジェクト検索マネジャー502をさらに有している。メディアオブジェクト検索マネジャー502が、特定のメディアオブジェクトをブロードキャストする時刻が近づいていると判定すると、このメディアオブジェクト検索マネジャー502は、スケジューラ300aのデータベース308からオブジェクトのための属性データを検索する。
【0058】
それと同時に、メディアオブジェクト検索マネジャー502は、ファイル転送マネジャー504に命令を出してスケジューラ300aの適当なメモリ302〜306からブロードキャストされるべきメディアオブジェクトを検索させる。ファイル転送マネジャー504は、メモリ302〜306のうち1つからメディアオブジェクトを検索し、このファイルをライン516を介して定期契約コントロールマネジャー506bに送る。
【0059】
別法として、もし伝送されるべきオブジェクトが、例えばストリーミングビデオのような動的オブジェクトであれば、メディアオブジェクト検索マネジャー502は、インターフェース316に命令を出してストリーミングビデオをライン314を介して定期契約コントロールマネジャー506bに直接移させる。
【0060】
好ましい実施形態では、CMC35は、ブロードキャストシステム10によってブロードキャストされるべきメディアオブジェクトに関する課金及び定期契約に関する情報を記憶している定期契約データベース508をさらに有する。この情報は、以下に説明するようにエンドユーザが受け取るブロードキャストメディアオブジェクトへのエンドユーザによるアクセスをコントロールするために用いられる。
【0061】
特に、本発明は、複数のブロードキャストサービスへのブロードキャストオブジェクトの全体のパージングを計画している。ブロードキャストサービスが共通の主題又は視聴者を共用するひとまとまりのメディアオブジェクトを有している。例えば、一ブロードキャストサービスは、ゴルフ関連プログラムに焦点をあて、別のブロードキャストサービスは、もっぱら子供向けのプログラムからなる場合がある。
【0062】
ブロードキャストされるべき各メディアオブジェクトは、ブロードキャストシステム10により特定のブロードキャストサービスに割り当てられる。定期契約データベース508は、各メディアオブジェクトが属するブロードキャストサービスのリストを保有している。
【0063】
好ましい実施形態では、ブロードキャストシステム10は、ブロードキャストサービスの4つの互いに異なるタイプ又はカテゴリをサポートしている。第1のサービスカテゴリは、「フリーツーエアサービス(free to air services)」である。このカテゴリに属するサービスは、クライアントにより、費用がかからず且つ登録しなくても、又はコンテンツプロバイダへの戻り経路接続手段が無くても受け取り可能である。
【0064】
第2のサービスカテゴリは、「無料加入サービス(free subscribed services)」である。クライアントは、このカテゴリに属するサービスを受けるには登録しなければならないが、登録は無料である。このカテゴリに属するブロードキャストサービスに加入するには、エンドユーザは、コンテンツプロバイダへの戻り経路接続手段を備えていなければならない。例えば、エンドユーザは、コンテンツプロバイダへの戻り接続手段を介してサービスに加入することが必要な場合がある。
【0065】
第3のサービスカテゴリは、「定期契約サービス(subscription services )」である。エンドユーザは、このカテゴリに属するサービスを受けるためには登録しなければならず、登録のためには手数料が要る。このカテゴリに属するサービスに加入するには、エンドユーザはコンテンツプロバイダへの戻り経路接続手段を有していることが必要である。
【0066】
第4のサービスカテゴリは「ペイパーアイテム(pay-per-item)」方式である。エンドユーザは、このサービスカテゴリに属するブロードキャストサービスを受けるためには1回分の料金を払わなければならない。エンドユーザは、このサービスカテゴリに属するサービスを受けるためには、コンテンツプロバイダへの戻り経路接続手段を持つように求められる場合がある。
【0067】
加えて、システムは、2つのタイプのプラットホームサービスをサポートしている。第1のサービスカテゴリは「オープンマルチメディアディストリビューションプラットホーム(open multimedia distribution platform )」である。このプラットホームを用いると、IPマルチキャスト又は他の入力を介してネットワークオペレーティングセンタへのインターフェースと消費者及びビジネスサービスの両方を提供することができる。当業者には分かるように、ユニキャスト(unicast )という用語は、一度に1サイトへの情報の伝送を意味している。これとは対照的に、マルチキャストは、一度に2以上のサイトへの情報の伝送を意味している。好ましくは、プラットホームは、全てのメディアブロードキャストカテゴリについてコンテンツプロバイダ及びエンドユーザへの共通のインターフェースを提供するオープンソフトウエアプラットホームを有している。好ましい実施形態では、共通のインターフェースにより、新しいアプリケーションと内容をプラットホーム中へ継ぎ目なく統合することができる。このプラットホームの一利点は、これにより、他の転送ストリームについて直ぐに使えるサービスをDVB−Sに移しやすくなるということにある。例えば、これにより、VBIに制約されるリアルタイムデータサービス及びオーディオ/ビデオストリーミングサービスが実行可能になる。
【0068】
第2のサービスカテゴリは「追加サービス(additional services )」である。追加サービスは好ましくは、条件付きアクセスシステム、加入者管理システム、TCブロードキャストレシーバカードのためのNDISドライバ及びコンテンツデリバリ及びプレゼンテーションの自動化のためのカストマイズされたプログラムへのインターフェースが可能なサービスから成る。これらインターフェースは好ましくは、最初の製造業者からのPCカードへのインターフェースが第2の製造業者からのPCカードへのインターフェースと同一の包括的命令を用いるように標準化される。
【0069】
1又は2以上のブロードキャストサービスを抱き合わせて定期契約パッケージを作成してもよい。この場合、1つの加入により、エンドユーザは、このパッケージに含まれる全てのサービスを受ける権利を持つことになる。例えば、多くのスポーツのファンであるエンドユーザは、それぞれが別々のスポーツに関連している種々のブロードキャストサービスへのアクセスを可能にするスポーツパッケージに加入できる。
【0070】
CMC35は、定期契約コントロールマネジャー506bを含む1又は2以上の定期契約コントロールマネジャー506をさらに有し、このマネジャー506bの機能は、定期契約データベース508からの定期契約情報にしたがってメディアオブジェクトをカプセル化し又は符号化し、カプセル化又は符号化されたメディアオブジェクトをTDMチャネル上にロードすることにある。
【0071】
具体的には、ファイル転送マネジャー504が、ブロードキャストされるべきメディアオブジェクトをスケジューラ300aの適当なメモリー302〜306から検索して取り出し、このメディアオブジェクトを出力516に送り、ここで定期契約コントロールマネジャー506bによって受け取られるということを思い起こされたい。別法として、ブロードキャストされるべきメディアオブジェクトを、インターフェース316によって動的に受け取り、そしてライン314を介して定期契約コントロールマネジャー506bに伝送する。次に、定期契約情報検索マネジャー510は、受け取ったメディアオブジェクトについての定期契約情報をデータベース508から検索して取りだし、この情報を定期契約コントロールマネジャー506bに伝送する。定期契約コントロールマネジャー506bは、データベース508から受け取った定期契約情報にしたがってメディアオブジェクトをカプセル化し、符号化し、又はカプセル化と符号化の両方を行う。
【0072】
本発明によって採用されるカプセル化方法及び符号化方法は、多くの形態をとることができる。例えば、定期契約コントロールマネジャー506bを、パケットのヘッダ及びテールを識別し、定期契約情報の追加のプロトコルレイヤをパケットにラップするようプログラムできる。
【0073】
別法として、定期契約データベース508から検索により取り出した定期契約情報は、特定の暗号化ソフトウエアにしたがってメディアオブジェクトを符号化する命令を含んでもよい。サービスに加入し、かくしてこれと対応関係にある解読ソフトウエアを有するクライアントだけが、メディアオブジェクトを受け取ることができることになる。
【0074】
変形実施形態として、例えば各データパケットに透かしを入れることにより定期契約情報を伝送ビットストリーム中に埋め込んでもよい。この変形実施形態では、定期契約情報は、定期契約コントロールマネジャー506bによってビットストリームに添付する必要はない。定期契約情報を、システム内の任意の箇所でデータに加え、そしてコンテンツプロバイダ又は別の第三者によって加えてもよい。
【0075】
以下に説明するように、カプセル化方法又は符号化方法を用いることにより、本発明のシステムは、特定のエンドユーザにより特定のサービスの受取りを実行可能に又は実行不能にすることができる。
【0076】
定期契約コントロールマネジャー506bは、符号化されたメディアオブジェクトをスケジューラ300aによってオブジェクトについて特定されたブロードキャスト属性に従って適当なTDMチャネル上にディジタルフォーマットでロードするためのプロトコルハンドラをさらに有している。符号化されたメディアオブジェクトを次に、ブロードキャストデータの他のストリームとの多重化を行うサービスミキサ512に伝送する。
【0077】
定期契約コントロールマネジャー506bによって出力されたビットストリームは、次々に伝送されたメディアオブジェクト一式からなるのがよい。別法として、定期契約コントロールマネジャー506bを、受け取ったメディアオブジェクトをパケット化し、パケットを複数のメディアオブジェクトからインタリーブし、そしてインタリーブしたパケットをビットストリームとして出力するよう適合させてもよい。例えば、2つのファイルをユーザに同時に送ろうとするが、これらのファイルのうち一方は他方の3倍の長さである場合、プロトコルハンドラは、2つのファイルをパケット化し、次に第1のファイルから3つのパケットに対し第2のファイルから1つおきのパケットの割合でパケットをインターリーブする。
【0078】
好ましい実施形態では、CMC35は、定期契約コントロール506aをさらに有している。以下に詳細に説明するように、定期契約コントロール506aの目的は、更新された定期契約情報をPC30の定期契約マネジャーに伝送することにある。PC30の定期契約マネジャーは、この定期契約情報を用いてエンドユーザによりアクセスが可能な定期契約サービスを識別する。
【0079】
図5にさらに示すように、CMC35は、他のソース、例えばCECからライン514を介して追加のストリームを受け取ることができ、そしてCECから受け取ったブロードキャスト属性情報にしたがってブロードキャストできるよう適当なTDMチャネル上に多重化する定期契約コントロール手段506cをさらに有している。本発明のこの特徴については、CECマスター50及びCECプロ40を説明した後で以下に詳細に説明する。
【0080】
好ましい実施形態では、5Mbpsのバンド幅を備えるCMC35は、HP・UNIXサーバ及び3つのNTワークステーション上でランする1又は2以上のソフトウエアプログラムとして具体化されている。
【0081】
CECマスター50の好ましい実施形態が、図6に示されている。理解されるように、CECマスター50のアーキテクチャは、CMC35のアーキテクチャと同一である。しかしながら、各構成要素のサイズは、互いに異なるのがよく、その理由はCECマスター50が代表的にはCMC35よりも低いバンド幅を有するからである。
【0082】
CECマスター50は代表的には、バンド幅卸売業者によって保守され操作されることが計画されており、このバンド幅卸売業者は、ブロードキャストサービスプロバイダからブロードキャストバンド幅を大量購入し、ハンド幅のセグメントを他社に再販する。再販されたバンド幅のスケジューリングは、スケジューラ300bのGUI400を用いて管理できる。
【0083】
次に、CECプロ40の好ましい実施形態を図7を関連して説明する。CECプロ40は代表的には、それ自体メディア又は情報提供ビジネスにはそれ自体は属していないが、それにもかかわらずデータ又はビデオオブジェクト、例えば価格表、トレーニングビデオ等を提供するアウトレットを必要とする会社によって保守され、操作されることが計画されている。加うるに、この会社は、ストリーミングオーディオ又はビデオをブロードキャストし、例えば新製品の発表を知らせる生の記者会見をその顧客にブロードキャストすることを望む場合がある。かくして、CECプロ40の計画された用途では、ブロードキャスト用の静的メディアオブジェクトを記憶してスケジュールすることができそしてストリーミングデータ、オーディオ又はビデオのためのインターフェースとして機能できることが必要である。
【0084】
したがって、図7に示すように、CECプロ40は、図3と関連して上述したスケジューラ300と同一のアーキテクチャを有するスケジューラ300cを備えている。加うるに、CECプロ40は、ストリーミングビデオ、オーディオ及びデータをあらかじめ指定されたTDMチャネル上でのブロードキャストができるようCECマスター50(ライン614を介して)又はCMC35(ライン514を介して)に伝送するのに適したインターフェース702,704を備えている。
【0085】
好ましい実施形態では、CECプロ40を、NT(登録商標)ワークステーション上でランする1又は2以上のソフトウエアプログラムとして具体化されたものであるのがよい。
【0086】
CEC45の好ましい実施形態が、図8に示されている。図8に示すように、CEC45は、ストリーミングビデオ及びオーディオをあらかじめ指定されたTDMチャネルを介してブロードキャストできるようにCECマスター50又はCMC35に伝送するのに適したインターフェース802,804(CECプロ40のインターフェース702,704に類似している)を備えている。しかしながら、CEC45は、スケジューラ300を備えていない点においてCECプロ40と異なっている。その代わり、CEC45は、ビデオ、オーディオ及びデータメディアオブジェクトを記憶するのに適したオブジェクト記憶装置806を有している。かくして、CEC45は、ブロードキャスト用のファイルをスケジュールすることができない。しかしながら、CEC45は、記憶されたファイルを所定時刻にあらかじめ指定されたTDMチャネル上への多重化をするためのCECマスター50又はCMC35に伝送することができる。
【0087】
上述したように、CMC35は、データストリームを他のソース、例えばCECからライン514を介して受け取ってこれらをCECから受け取ったブロードキャスト属性情報にしたがってブロードキャストのために適当なTDMチャネル上にマージする機能を有している。本発明のこの特徴により、複数のサイトでそして複数のサービス及びコンテンスプロバイダによってブロードキャストバンド幅の分散型スケジューリングが可能になる。また、本システムにより、多くの互いに異なるタイプの伝送方式を単一のブロードキャストチャネルを介して伝送できるよう単一のストリームの状態にマージできるということは1つの方法である。
【0088】
例えば、CMC35は、1又は2以上のTDMチャネル上の1ブロックのバンド幅をCECマスター50に販売することができ、CECマスターはこのバンド幅のセグメントを1又は2以上のCECプロ40に再販することができる。40のうち1つは、そのバンド幅セグメントを用いてビデオを伝送することができ、別のCECプロ40はそのバンド幅セグメントを用いてデータファイルを伝送することができる。上述したように、各バンド幅セグメントについてのスケジューリングは、セグメントを購入した遠隔のCECプロで行われる。
【0089】
次に、スケジュールされたバンド幅セグメントをブロードキャストレディ状態のビットストリームとしてこれらのそれぞれのCECプロ40によりCECマスター50に伝送し(例えば、ライン614を介して)、ここでCECマスター50によって販売された他のバンド幅セグメントを表す他のストリームとミックスするのがよい。CECマスター50の定期契約コントロール606cは、上述したように受け取ったストリームを適当なTDMチャネル上に配置する。
【0090】
この多重化したストリームをCMC35に伝送し、ここで他のCECマスター50から受け取った又はCMC35それ自体によって作製されたブロードキャスト可能状態の内容の他のストリームとミックスする。
【0091】
変形実施形態では、CECプロ40、CECマスター50及びCMC35の2又は3以上のスケジューラ300をカスケード状態に配置するのがよい。図9は、考えられるかかるカスケードを1つ示しており、かかるカスケードでは、CECマスター50のスケジューラ300bがCMC35のスケジューラ300aとカスケードされている。上述の第1の好ましい実施形態の場合と同様に、CECマスター50のスケジューラ300bは、CMC35の受持ちのバンド幅間でブロードキャスト可能にスケジュールされたメディアオブジェクト及び関連のスケジューリング並びに定期契約情報を記憶する。特定のメディアオブジェクトのブロードキャスト時間が近づくと、CECプロ40はこのオブジェクト及びその関連スケジューリング情報を検索し、これらをメディアオブジェクトと関連のある定期契約情報と一緒にCECマスター50に伝送する。CECマスターは、メディアオブジェクト及びその関連スケジューリング並びに定期契約情報を受け取ってそのスケジューリング及び定期契約データベースをそれにしたがって更新する。次に、符号化されたビットストリームとしてのメディアオブジェクトの作成は、第1の好ましい実施形態と関連して上述したように行われる。
【0092】
CMC35によって出力されたブロードキャストレディ状態のビットストリームは、ブロードキャスト施設25に伝送される。図1に概略的に示すように、ブロードキャスト施設25は、受け取ったストリームを1又は2以上のブロードキャスト技術、例えば従来のテレビジョン放送、ケーブルTV放送又は衛星放送によりブロードキャストする。当業者に知られている他のブロードキャスト環境もまた用いることができる。
【0093】
ブロードキャスト伝送は、エンドユーザPC30によって受信される。次に、PC30の好ましい実施形態を図10と関連して説明する。本明細書で説明する好ましい実施形態では、ブロードキャストされたメディアオブジェクトを受信するためにエンドユーザによって用いられる装置は、PC30である。しかしながら、本発明はまた、ブロードキャストされたメディアオブジェクトを受信するための他の装置、例えばセットトップケーブルボックスを用いて実施できる。ただし、これら装置が、以下に説明する機能性を達成する適当なハードウエア及びソフトウエアを有することを条件とする。
【0094】
PC30は好ましくは、NDISドライバ110を介して階層化プロトコル、例えばTCP/IPスタック112に接続されたレシーバ100を有する。TCP/IPスタック112は、定期契約マネジャー114に接続され、この定期契約マネジャーの目的は、受け取った情報へのエンドユーザのアクセスをコントロールし、エンドユーザのための情報サービスのリストを維持することにある。
【0095】
レシーバ100は好ましくは、ブロードキャストをブロードキャスト施設25から受信するようになった1又は2以上のコンポーネント102〜108を有している。レシーバ100は、Rfテレビジョン伝送内容を受信するアンテナ102、ケーブルTV伝送内容を受信するCATVモデム104、サテライト伝送内容を受信するサテライトレシーバ106及び(又は)ブロードキャスト施設25で用いられるブロードキャスト技術に応じてデータリンクを介して伝送内容を受信するモデム108を有するのがよい。
【0096】
上記のように、レシーバ100は、NDISドライバ110によりプロトコルスタック、例えばTCP/IPスタック112に結合されている。好ましい実施形態では、TCP/IPスタック112は、マイクロソフト・コーポレイション製のWinsock (登録商標)TCP/IPスタックから成るのがよい。当業者に走られているように、TCP/IPスタック112の一目的は、伝送ファイル又は他のメディアオブジェクトを構成する到着中のデータパケットを吟味してファイルを構成する全パケットを受信したかどうか、及びこれらが正しい順番で受信されたかどうかを判定することにある。
【0097】
いったんTCP/IPスタック112によりTCP/IP通信内容が正確に受信されたことが確認されると、この通信内容を定期契約マネジャー114に伝送し、この定期契約マネジャーは、通信内容の属する定期契約及びサービスを識別する。定期契約マネジャー114は次に、PC30が、識別されたサービスに属する伝送内容を受信する許可を受けているかどうかを判定し、もし許可されていれば、サービスがエンドユーザにより実行可能であるかどうかを判定する。
【0098】
具体的に説明すると、定期契約マネジャー114は好ましくは、エンドユーザPC30の背景でランするソフトウエアプログラムを有する。しかしながら、所望なすると、エンドユーザは、定期契約マネジャー114を最大化してエンドユーザPC30が受信する許可を受けているサービスの一覧、即ち、エンドユーザが加入した定期契約サービスに含まれる全てのサービスを表示させる。次に、エンドユーザは定期契約パッケージに属するサービスを手動操作で実行可能又は実行不能にすることができる。許可を受けている各定期契約パッケージについて、定期契約マネジャー114は、エンドユーザにより実行可能又は実行不能になったサービスのレコードを保存する。
【0099】
次に、通信内容を受信すると、定期契約マネジャー114は先ず最初に、伝送内容がエンドユーザが加入したサービスに属しているかどうかを判定する。定期契約マネジャー114は典型的には、受信した通信内容を吟味してこれが伝送内容を解読し又はカプセルから取り出すのに必要な定期契約情報をもっているかどうかを判定することによって上記判定を行う。
【0100】
上述したように、カプセル化又は符号化を利用すれば本発明のシステムは特定のエンドユーザによる特定サービスの受け取りを可能にしたり、或いは不能にすることができる。好ましい実施形態では、本システムは、特定のPC30が特定のサービスを受けることができるようにするが、その手段は、そのサービスに加入している全てのエンドユーザPCに宛てられた定期契約メッセージをブロードキャストすることである。このメッセージは好ましくは、サービスがブロードキャストされる特定の時間及びチャネルに関する情報を含み、さらに、伝送内容をカプセル化するのに用いられたカプセル化プロトコルに関する情報を含むのがよい。サービスが暗号化されている場合、定期契約マネジャーは、伝送内容を解読するのに必要な情報も含むのがよい。この情報を用いると、PC30は、そのサービスに属するブロードキャスト伝送内容を識別し、カプセル化情報を削除し、伝送内容を解読し(必要な場合)、そして以下に説明するように伝送内容をエンドユーザに提供できる。
【0101】
特定のサービスを受けられないようにすることは、定期契約メッセージ命令PC30にタイムスタンプを入れておき、或る特定の期間経過後に定期契約メッセージをこれらのメモリから削除することにより(又は、サービスパラメータメッセージに含まれている情報を用いないようPC30に命令を出すことより)達成できる。別法として、本システムは、特定サービスのブロードキャストのためのチャネル及び時間を変更してこれらのサービスを続けて受けるようにするためには、これらサービスを受けることができないようになっているPC30には使えない追加のサービスパラメータ情報が必要であるようにしてもよい。さらに、そのサービスが暗号化されていれば、暗号化方式を修正することにより特定のPC30を使用禁止状態にするのがよく、新しい暗号化方式に関する更新済の定期契約メッセージを使用禁止状態のPC30には伝送しないようにする。また、サービスを1又は2以上の特定のPC30では利用できないようにすることができるが、その手段は、そのサービスに関するサービス利用禁止メッセージをそのサービスから外されるべき特定のPC30宛てに送ることである。
【0102】
理解されるように、特定のサービスを利用可能/利用不能にする定期契約メッセージを特定のPC30宛てに送ってもよい。具体的に言えば、各PC30に固有のアドレスを割り当てるのがよい。アドレス指定された各PC30に命令を与えて上述のやり方で特定のサービスを利用可能にすると共に(或いは)利用不能にする特定のPC30のアドレスを含む定期契約メッセージを伝送する。固有のアドレスは好ましくは、ユーザが多数のPC30を機器構成して同一アドレスを持つようになる事態を避けるためにハードウエアで具体化される。定期契約マネジャー114がそのPC30に宛てられた定期契約メッセージを認識すると、定期契約マネジャー114は受け取ってメッセージの内容に従って定期契約情報を更新する。
【0103】
別法として、定期契約情報を特定のPC30宛てに送るのではなく、本システムが別の方法で定期契約情報へのアクセスを規制してもよい。たとえば、定期契約情報をブロードキャスト前に暗号化又はカプセル化してカプセル取出し情報に関する適正な解読方式を備えたPC30だけが定期契約情報を受け取ることができるようにするのがよい。また、定期契約情報を、この定期契約情報に係るサービスに加入しているPC30にだけ分かっている特定の時間に且つ特定のチャネルでブロードキャストしてもよい。
【0104】
上述のように、実施形態によっては、エンドユーザはコンテンツプロバイダに通じる戻り接続手段によりサービスに加入する場合がある。また、別の好ましい実施形態によっては、別の仕方でサービスに加入できる場合がある。たとえば、エンドユーザがサービスに加入するための手段として、そのサービスを受けるのに必要な定期契約情報を含むディスク又は他の記憶媒体を購入する場合がある。
【0105】
この定期契約情報配布方法を用いると、サービス加入を関連(又は他の)アイテムの販売にリンクさせることができる。例を挙げると、特定の演奏者のミュージックCDのディストリビュータは、このCDを将来のある特定の日時にその演奏者により行われるライブコンサートへの応募手段と一緒にパッケージ化することが見込まれる。このためには、ディストリビュータは、CDの買手に、その買手により自分のPC30にロードされるべき適当な定期契約情報を提供することになろう。定期契約情報を、CD自体又は販売時又はその後の時期の何れに買手に提供される別の記憶媒体上に格納できる。別法として、定期契約情報を演奏者のCDを購入したエンドユーザにブロードキャストしてもよい。上述したように、定期契約情報は例えば解読ソフトウエア又は他の適当な定期契約情報、例えばカプセル化情報を含むものであってもよい。
【0106】
かくして、本発明は、エンドユーザへの戻り接続手段を必要としないでエンドユーザによる特定サービスの受け取りを可能にしたり不能にすることができるシステムを提供する。換言すると、本発明は、特定のエンドユーザへの伝送内容の特定部分の受け取りを制限する単方向伝送方式を採用できる伝送システムを提供する。
【0107】
通信方式が加入したサービスに属していれば、定期契約マネジャー114はエンドユーザがサービスを利用可能状態にしたかどうかを判定する。
【0108】
サービスに加入していて且つこれが利用可能状態になっているものとすると、定期契約マネジャー114は次に、受け取ったパケットが静的メディアオブジェクト、例えばファイルの一部であるか、又は動的メディアオブジェクト、例えばストリーミングデータ伝送内容の一部であるかを判定する。パケットがファイルの一部であれば、定期契約マネジャー114は、このパケットをファイルレシーバ116に伝送する。同様に、パケットがストリーミングデータ伝送内容の一部であれは、定期契約マネジャー114は、このパケットをストリーミングデータレシーバ116に伝送する。
【0109】
ファイルレシーバ116は、HTTPキャッシュ122を管理するI−キャッシュプロキシサーバ120に接続されている。好ましい実施形態手は、HTTPキャッシュ122は、受け取った全てのインターネットデータを記憶している。ユーザは次に、ファイルについてURLリクエストを送ってその内容にアクセスできるようにする。別法として、受け取った情報を別の記憶方式で記憶してブラウザーを用いてアクセスできるようにしてもよい。
【0110】
HTTPキャッシュ122は、多くの方法で着信データを管理するようになったものであるのがよい。例を挙げると、キャッシュ122は、新しいデータを受け取ると古いデータを上書きするようプログラムされたものであってもよく、或いはキャッシュ122に記憶される情報の量がいったん限界に達すると着信データの記憶を停止するようプログラムされたものであってもよい。
【0111】
ストリーミングデータレシーバ118は、PC30のエンドユーザに表示できるよう出力ポートへのストリーミングデータのバンド幅を管理するリアルタイムデータインターフェース124に接続されている。状況によっては、バンド幅の管理は、追加のインターフェース、例えばDDEインターフェース、エクセル(Excel :登録商標)等を介するものであってもよい。リアルタイムデータインターフェース124は、出力時に、受け取ったストリーミングデータを一時的に格納できるリアルタイムデータベース126に接続されている。
【0112】
PC30は、エンドユーザが受け取ったファイル及びストリーミングデータをナビゲートするのを助けるための幾つかのソフトウエアツールを更に備えるのがよく、かかるソフトウエアツールとしては、HTTP又はウェブブラウザ、例えばメディアサーファー(Media Surfer:登録商標)128及びインターネットエクスプローラ(Internet Explorer :登録商標)130が挙げられる。
【0113】
好ましい実施形態では、エンドユーザPC30は、最低条件として、16MbのRAM、100Mbのディスクキャッシュ及び100MHzのPentium(登録商標)プロセッサを有するPC30上で動く複数のソフトウエアプログラムを有する。加うるに、PC30は好ましくは、連続データ速度が約1MbpsのISAカード及び連続データ速度が約4MbpsのPCIカードを有する。変形例として、他のシステム構成を利用してもよい。
【0114】
かくして、上述したように、本発明は、任意の形式のメディアオブジェクトを任意のブロードキャスト環境を介して伝送する共通インターフェースを提供する。かくして、本発明により、多種多様な静的と動的の両方のオーディオ、ビデオ、及びデータオブジェクトを、ブロードキャストパラメータ及び伝送マテリアルを受け取ることが可能なエンドユーザの調整に対する管理を可能にする仕方でマージして伝送できる。
【0115】
本発明を特定の実施形態と関連して説明したが、上記説明に照らして当業者であれば多くの変形例、設計変更例や改造例を想到できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のブロードキャストシステムの好ましい実施形態のブロック図である。
【図2】 本発明のメディアオブジェクト追跡システムの好ましい実施形態のブロック図である。
【図3】 本発明のブロードキャストスケジューラの好ましい実施形態のブロック図である。
【図4】 図3に示すブロードキャストスケジューラのGUIの好ましい実施形態を示す図である。
【図5】 本発明のチャネル管理センタの好ましい実施形態のブロック図である。
【図6】 本発明のマスターチャネル編集センタの好ましい実施形態のブロック図である。
【図7】 本発明のプロフェッショナルチャネル編集センタの好ましい実施形態のブロック図である。
【図8】 本発明のチャネル編集センタの好ましい実施形態のブロック図である。
【図9】 マスターチャネル編集センタ及びカスケードスケジューラを有するチャネル管理センタの好ましい実施形態を示す図である。
【図10】 本発明のエンドユーザPCの好ましい実施形態のブロック図である。
Claims (8)
- メディアオブジェクトをエンドユーザに提供するためのブロードキャスト伝送システムであって、
(1)コンテンツプロバイダ施設に付属するチャネル編集センタを備え、上記チャネル編集センタは、
(a)第1の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストをスケジュールする第1のスケジューラ(300b)を有し、該第1のスケジューラ(300b)は、( i )第1のプロセッサ(310)と、( ii )第1の複数のメディアオブジェクトを記憶している第1のメモリ(302、304、306)と、( iii )第1の複数のメディアオブジェクトの各々のブロードキャスト属性を表す第1の属性データを記憶する第2のメモリ(308)と、を含み、上記第1プロセッサは、上記第1の属性データに基づいて第1の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストのスケジューリングを実行し;
(2)上記チャネル編集センタに対して遠隔地に配置されていて、上記チャネル編集センタを含む1つ以上のチャネル編集センタについてのブロードキャストデータを集めてそれをブロードキャスト施設に送るチャネル管理センタを備え、上記チャネル管理センタは、
(a)第2の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストをスケジュールする第2のスケジューラ(300a)を有し、該第2のスケジューラ(300a)は、(i)第2のプロセッサ(310)と、( ii )第2の複数のメディアオブジェクトを記憶する第3のメモリ(302、304、306)と、( iii )第2の複数のメディアオブジェクトの各々のブロードキャスト属性を表す第2の属性データを記憶する第4のメモリ(308)と、を含み、上記第2のプロセッサは、上記第2の属性データに基づいて第2の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストのスケジューリングを実行し;
(b)第1及び第2のスケジューラに接続されていて、第1及び第2のスケジューラによってスケジュールされたメディアオブジェクトを受け取って多重チャネルを介して転送するファイル転送マネジャー(504)を有し;
(c)複数のメディアオブジェクトをエンドユーザに提供する少なくとも1つのマルチメディアブロードキャストサービスを特定する定期契約情報を記憶する定期契約データベース(508)を有し、上記複数のメディアオブジェクトは上記定期契約情報に関連する1つ又はそれ以上のビデオファイル、オーディオファイル、イメージファイル及びテキストファイルを含み;
(d)ファイル転送マネジャー(504)と定期契約データベース(508)とに接続されていて、定期契約データベースに記憶されている定期契約情報に従って、ファイル転送マネジャーから受け取った第1及び第2のスケジュールされた複数のメディアオブジェクトから上記定期契約情報に一致するメディアオブジェクトのみを上記ブロードキャスト施設(25)に送る定期契約コントロールマネジャー(506b)を有し;
上記第2のスケジューラ(300a)は、上記第1のスケジューラ(300b)とカスケード接続され、それにより、上記チャネル編集センタを含む1つ以上のチャネル編集センタから受け取ったメディアオブジェクト及びチャネル管理センタ自身のメディアオブジェクトを集約して最終的なスケジューリングを実行することを特徴とするシステム。 - チャネル管理センタの出力は、有限のバンド幅を有し、有限のバンド幅の少なくとも幾分かについてのブロードキャストスケジューリングは、第1のスケジューラ(300b)により行われることを特徴とする請求項1記載のシステム。
- チャネル編集センタは、さらに、第1の複数のメディアオブジェクトをチャネル管理センタに伝送するインターネットプロトコルリンクを有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
- 第1及び第2のスケジューラの少なくとも1つは、上記ブロードキャスト属性データを表示するためのGUI(400)を更に有していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
- 異なるメディアオブジェクトを別個のソースから受け取ってそれをチャネル編集センタに送るメディアオブジェクト追跡システムを更に有し、メディアオブジェクト追跡システムは、
互いに異なるフォーマットのメディアオブジェクトを複数の互いに別個のソースから受け取り、受け取った各メディアオブジェクトにメディアオブジェクトを表す1又は2以上のデータ属性を割り当てる入力デスク(202)と、
各々がメディアオブジェクトと関連のあるデータ属性を記憶し、更にメディアオブジェクトに関する配布状態、使用状態及び修正変更状態の情報を記憶している複数のレコードから成る追跡データベース(206)と、
メディアオブジェクトの配布状態、使用状態及び修正変更状態を追跡して追跡情報を追跡データベースに収集し、その収集した追跡情報に従って追跡データベース(206)を更新するようになったメディアオブジェクト追跡ツールとから成ることを特徴とする請求項1記載のシステム。 - チャネル編集ステーション(208)を更に有し、チャネル編集ステーションは、入力デスク(202)と追跡データベース(206)の両方に接続され、入力デスクから受け取ったメディアオブジェクトを編集してブロードキャストレディ状態のマテリアルを作成することを特徴とする請求項5記載のシステム。
- メディアオブジェクトを表すデータ属性がチャネル編集ステーションに割り当てられ、それにより、そのチャネル編集ステーションにより作成されるべきコンテンツの種類と一致しないデータ属性が割り当てられたメディアオブジェクトに対するそのチャネル編集ステーションのアクセスが禁止されることを特徴とする請求項6記載のシステム。
- 更に、上記コンテンツプロバイダ施設と異なる別のコンテンツプロバイダ施設に付属する第2のチャネル編集センタを有し、第2のチャネル編集センタは、
(a)第3の複数のメディアオブジェクトのブロードキャストをスケジュールする第3のスケジューラ(300c)と、
(b)スケジュールされたメディアオブジェクトのブロードキャスト伝送のために第3の複数のメディアオブジェクトをブロードキャスト施設に伝送するインターネットプロトコルリンクとを有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
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