JP3851757B2 - サンプリングレート変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルオーディオ信号、デジタル画像信号等のデジタル信号のサンプリングレート(サンプリング周波数)を変換するためのサンプリングレート変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDプレーヤやMDレコーダ/プレーヤを代表とするデジタルオーディオ機器は、既に一般に広く普及している。また、DVDプレーヤやMP3レコーダ/プレーヤといった新たな機器も市場に登場し始めており、今後、大きな普及が期待されている。更にまた、デジタル画像処理が普及し、質の良い画像の圧縮や解像度変換なども今後大きな需要が見込まれている。
【0003】
これら機器で扱われるデジタル信号は、元の連続的なアナログ信号を所定のサンプリング周期でもってサンプリングして離散信号として変換されたものである。上に挙げたようなオーディオ機器では、そこで取り扱われるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数は必ずしも同一ではなく、主なものだけみても、CDやMDでは44.1kHz、DATでは48kHz、DVDでは96kHzが使用されている。また、サンプリング周期はオーディオ特性(具体的には周波数特性)を左右する要素であるため、将来的には更に異なるサンプリング周波数が使用されることも考えられる。
【0004】
例えば、CDプレーヤによる再生信号をDVDレコーダに記録しようとする場合、一旦、CDプレーヤにおいてアナログ信号に変換したあとDVDレコーダで再びデジタル信号に変換するという方法を採ることができる。しかし、一般に、D/A、A/Dを通すと音質が劣化することから、アナログ信号を介すことなしにデジタル信号のまま接続することが好ましい。これが、いわゆるデジタルインターフェイスと呼ばれるものである。信号の送り出し側と受け側とのサンプリング周波数が同一であるとき、場合によってはジッタを吸収するPLLなどを利用する必要はあるものの、基本的に両者を直結することが可能である。ところが、信号の送り出し側と受け側とのサンプリング周波数が相違する場合には、両者の間に、サンプリング周波数を変換するためのサンプリングレート変換器というインタフェース装置が必要となる。また、画像の圧縮や、画像を拡大/縮小するのにもサンプリングレート変換の技術が必要であり、元のアナログ画像の画質を保存するような変換が望まれる。
【0005】
図27は、従来のサンプリングレート変換装置の原理構成図である。この装置は、L倍のアップサンプラ30と、伝達関数がC(z)であるデジタルローパスフィルタ31と、1/Mのダウンサンプラ32とから構成される。
【0006】
サンプリングレートの変換比が3/2である場合を例に挙げて、図28の信号波形図を参照しながらサンプリングレートの変換原理を説明する。この場合、L=3、M=2である。まず、アップサンプラ30により、原信号のサンプル点の間に(L−1)個、つまり2個の0点を挿入し、サンプリング周波数をL倍つまり3倍に引き上げる(図28(b)参照)。そのあと、間引き後に折返し雑音が発生しないように、アップサンプラ30の処理により発生したイメージング成分を、1/L帯域又は1/M帯域のうちの帯域が狭い方の一方のLPF31により除去する。そして、ダウンサンプラ32により1個おきにサンプル点を間引いて、サンプリング周波数を1/Mつまり1/2に落とす(図28(c)参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のサンプリングレート変換法では、次のような問題がある。
【0008】
まず第1には、聴感上の音質劣化の問題である。上述したようなLPFは図29に示すような特性、つまり帯域内は平坦な周波数特性であって、帯域外では急激に大きく減衰が得られるような特性が理想的である。このような特性をそのままハードウエアで実現することは不可能であるから、一種の近似手法として、等リップル法、窓関数法、ジョンストンフィルタ等の設計手法が用いられる。しかしながら、一般に、急峻な減衰特性を得ようとすると通過帯域内のリップルが大きくなる傾向にある。また、時間応答ではギブス(Gibbs)現象として知られるリンギングが発生する傾向にあり、特に音の急峻な立ち上がり及び立ち下がり時に顕著に現れる。すなわち、従来のこの種のデジタルフィルタは、聴音上で最良になるように考慮して設計されたものではなく、サンプリングレート変換を行うとアナログオーディオとしての音質が損なわれてしまうという問題がある。なお、このような問題は、サンプリングレート変換装置のみならず、オーバーサンプリング変換を行うD/A変換器などにも共通する問題であって、例えば、一般に、CD等のデジタルオーディオの音は「硬い」、「刺激が強い」或いは「冷たい」等と言われることが多いが、上述のような現象がその一因であるものと推察できる。
【0009】
第2には、ハードウエアの構成上の問題である。すなわち、変換前後の周波数比が簡単な整数比になる場合、例えば32kHzと48kHzとの間の変換では、上述したように2乃至3倍にオーバサンプリングしたデータに対してフィルタリング処理を実行すればよい。しかしながら、44.1kHzと32kHz又は48kHzとのようにサンプリング周波数の比が簡単な整数比にならない場合、オーバサンプリングの次数が非常に大きくなり、例えば320倍にオーバサンプリングしたデータに対してフィルタリング処理を行わなければならない。このため、フィルタの次数は非常に大きなものとなり、或る程度の精度をもった演算を行おうとすると、ハードウエア規模は膨大なものとなってしまう。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その第1の目的とするところは、音質や画質の劣化の少ない、具体的に言えば、サンプリングレート変換したあとのデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に戻したときに、特に聴感上、自然な音楽信号を得ることができる、或いは、サンプリングレート変換したあとのデジタル画像信号を復元して表示したときに、良質でごく自然な画像を得ることができるようなサンプリングレート変換装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、サンプリングレート変換前後の周波数比が簡単な整数比にならない場合であっても、ハードウエア構成の規模を抑えることができるサンプリングレート変換装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された発明は、第1のサンプリング周波数を有するデジタル信号列を第2のサンプリング周波数を有するデジタル信号列に変換するサンプリングレート変換装置において、
時系列的に隣接するサンプル間にn−1個の0点データを挿入してサンプリング周波数をn(nは2以上の整数)倍にするアップサンプラ、及び、アップサンプリングされたサンプルから成る信号の帯域を制限する低域通過型の第1のデジタルフィルタから成るインタポレータと、
ダウンサンプリングによるエリアシングに起因する信号劣化を回避するための低域通過型の第2のデジタルフィルタ、及び、該第2のデジタルフィルタにより得られる信号列の隣接するm個のサンプルに1個の割合でサンプルを間引くダウンサンプラから成るデシメータとを含み、
第1及び第2のデジタルフィルタは、
元のアナログ信号w を帯域制限したものとアナログ/デジタル/アナログ変換を通して得られるアナログ信号との誤差信号 ノルムの意味で設計基準値γよりも小さくするようにIIR型フィルタを設計すべく設定した後述の (3) 式による条件式に対し、サンプル値H 制御理論を用い、ファーストサンプル−ファーストホールド近似を適用して有限次元離散時間系に変換して近似計算式を導出し、前記条件式において設計基準値γを最小又はそれに近い状態にするように設定した条件に基づいて前記近似計算式をH制御により解くことによって算出されたパラメータを係数とするIIR型フィルタにより成る、ことを特徴としている。
【0012】
発明に係るサンプリングレート変換装置に含まれる第1及び第2のデジタルフィルタは、理想周波数特性等に着目して設計を行う従来の手法とは全く発想を異にする手法で設計されるものである。すなわち、従来の手法では、標本化される連続時間信号は完全に帯域制限されていると仮定しているが、実際にはエリアシング(折返し)の影響が無視できない。そこで、より良い信号復元性を達成するには、デジタル信号のサンプルを単に離散時間信号としてのみ捉えるのではなく、サンプル間応答に含まれるアナログ特性をも考慮した設計を行う必要がある。このようなことから、本発明者は連続時間特性を扱うことができるサンプル値制御理論、より詳しくはサンプル値H制御をデジタルオーディオ信号を扱うD/A変換技術やサンプリングレート変換技術に導入する試みについて長年研究を続けてきた。
【0013】
その研究の過程で、本発明者らはH制御を用いてFIR型デジタルフィルタを設計する方法について明らかにしている(例えば「マルチレートD/A変換器のサンプル値H,H/H設計」(システム制御情報学会論文誌、Vol.11,No.10,pp.585-592,1998)等を参照)。しかしながら、全周波数帯域において最適性を保証するために、次数を限定したFIR型デジタルフィルタを対象とするという制約があった。また、その制約のため、一般的なH制御の解法でなく、数理計画法の中の凸最適化問題の一つに帰着させて解く必要があるが、これが高次元であるため、H制御の解法を与える一般に入手可能なツールで容易に解くことが困難であった。
【0014】
これに対し、本発明者は、更なる研究の結果、次数の制限を設けず、またFIR型のみならず一般的なIIR型フィルタを対象とした最適設計問題がサンプル値制御の問題に帰着されること、更にそのサンプル値制御系の設計にFSFH(ファーストサンプル・ファーストホールド)の手法を導入することにより有効な近似最適化解法が得られるという知見を得るに至った。この手法によれば、FIR型デジタルフィルタに対象を限らないで、しかも一般に次数が少なくて済むIIR型デジタルフィルタを容易に設計することができる。また、フィルタの次数の制約等がない、一般的な形式での最適性が保証されると共に、特殊な解法を用いることなく一般的なH制御理論の解法が適用できる。そのため、一般に入手容易な種々のソフトウエア等を利用して設計を行うことができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るサンプリングレート変換装置において、前記インタポレータ及び/又は前記デシメータは、第1及び第2のサンプリング周波数の比に応じた整数比の少なくとも一方の整数を複数の整数の乗算に分解し、該分解の結果得られた整数に応じたアップサンプラ及びデジタルフィルタ、又はデジタルフィルタ及びダウンサンプラを直列的に接続して構成したものとすることができる。
【0016】
この構成によれば、複数に分割された各段のオーバーサンプリング次数又はダウンサンプリング次数は元の周波数比の整数に比べて小さくなり、それに応じて各デジタルフィルタの次数も小さくすることができる。また、複数に分割されたインターポレータ及びデシメータをそれぞれ縦続に接続することにより、複雑な周波数比を有するサンプリングレート変換装置を容易に構成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係るサンプリングレート変換装置の設計方法の原理を以下に説明する。図27に示したようなサンプリングレート変換装置は、デジタルフィルタを2つに分割することにより、図1に示すように構成することができる。すなわち、このサンプリングレート変換装置は、アップサンプラ1a及び第1デジタルフィルタ1bから成るインタポレータ1と、第2デジタルフィルタ2a及びダウンサンプラ2bから成るデシメータ2とから構成される。
【0018】
また、上記構成において、整数L、MをそれぞれL…L、M…Mに分解することができる場合には、図2に示すように、インタポレータ1をそれぞれ複数のアップサンプラ1a1,…,1am及びデジタルフィルタ1b1,…,1bmの縦属接続で構成するとともに、デシメータ2も複数のデジタルフィルタ2a1,…,2an及びダウンサンプラ2b1,…,2bmの縦属接続で構成する。これにより、各デジタルフィルタ1b1,…,1bm,2a1,…,2anの次数は元のデジタルフィルタ1b,2aの次数と比べてかなり小さくすることができる。勿論、通常、上記のように分解できないような整数L、Mであれば、それ自身があまり大きくなく、フィルタの次数も比較的小さい。
【0019】
ここで一例として、DATの規格周波数である48kHzからCDの規格周波数である44.1kHzにサンプリングレートを変換する場合について考える。この場合、図1の構成では、Lは147、Mは160となるから、L=3×7、M=2×5と分解することができる。したがって、上述した縦属接続の手法を用いれば、このサンプリングレート変換装置は図3に示す構成とすることができる。インタポレータ1はアップサンプリングが3倍及び7倍の2種類、デシメータ2はダウンサンプリングが1/2及び1/5の2種類をそれぞれ設計し、それらを図3に示すように複数段縦属接続すればよい。
【0020】
本発明では、図1〜図3に示すようにインタポレータ1とデシメータ2とにそれぞれ含まれるデジタルフィルタは、それぞれ別個に設計される。次に、このデジタルフィルタの設計方法を説明する。以下の説明により、IIR型フィルタを設計すべく設定した条件式、その条件式を有限次元離散時間系に近似的に変換する方法が明らかになる。
【0021】
まず、インタポレータ1側のデジタルフィルタの設計方法を説明する。
(A1)設計の命題の設定
図4は、インタポレータによる信号復元系モデルを示すブロック図である。連続時間信号である入力wは、A/D変換部10に含まれるアンチエリアシングフィルタ11で帯域制限されたあと、サンプラ12においてサンプル周期hでサンプリングされ離散時間信号yとなる。この離散時間信号yが続くインタポレータによりレート変換される。まず、この離散時間信号yをアップサンプラ14によりサンプル周期h/Mの離散時間信号xに変換する。その際、次の(1)式のようにyに0信号が挿入される。
【数1】
Figure 0003851757
続いて、この離散信号xはK(z)で表現されるデジタルフィルタ15で処理されることにより上記挿入された0信号が適宜な値に修正され、周期h/Mで動作する0次ホールド16により連続時間信号uとなる。最後に、この信号uをアナログローパスフィルタ(LPF)17により平滑化し復元信号zを得る。このインタポレータ(つまりアップサンプラ14及びデジタルフィルタ15)、0次ホールド16及びLPF17により構成されるシステムは、速いサンプル周期で動作するホールド回路によりデジタル信号をアナログ信号に変換するオーバーサンプリング型D/A変換器13と看做すことができる。
【0022】
オーディオ分野では、このような信号復元には或る程度の時間遅延が許される。そこで、この時間遅れを考慮して信号復元の際の誤差系モデルを考えると、図5に示すようになる。図5では、下側の信号経路がインタポレータによるレート変換の信号処理系であり、上側の信号経路がその信号処理系による時間遅れを考慮した遅延系である。時間遅れ要素18は帯域制限信号yに上述した信号処理による時間遅れmhを与え、減算器19により復元信号zと遅延した帯域制限信号との誤差信号eを取り出す。この誤差信号eも連続時間信号であるから、次の(2)式のようにおく。
(t)=z(t)−y(t−mh) …(2)
【0023】
ここでは、この誤差信号eができる限り小さくなるようにIIR型デジタルフィルタを構成する。すなわち、安定な連続時間フィルタ(アンチエリアシングフィルタ11及びLPF17)と正の整数m、N、Mとが与えられている条件下で、IIR型デジタルフィルタを設計する。そのために、連続時間信号wから誤差信号eへ変換するシステムをTewとおいたとき、与えられたγに対し、次の(3)式を満たすようなK(z)を求める。
【数2】
Figure 0003851757
つまり、この(3)式が上述したIIR型フィルタを設計すべく設定した条件式である。ここでγは誤差の大きさを支配するものであり、小さいほどよい。H制御では、これを繰り返し計算によって最小化する方法が採られる。
【0024】
(A2)単一レート系への変換
まず、図5に示したアップサンプラ及びむだ時間系を含む系(マルチレート系)を単一のサンプル周期の有限次元系(単一レート系)に変換する。そのためには、次の式(4)で定義される離散時間リフティングL及び逆リフティングL −1を導入する。
【数3】
Figure 0003851757
ただし、↓Mはダウンサンプラであり次の(5)式で定義される。
【数4】
Figure 0003851757
【0025】
上記離散時間リフティング及び逆リフティングを用いてK(z)(↑M)、つまりアップサンプラ14とデジタルフィルタ15とによる処理を変換する。
【数5】
Figure 0003851757
ここで、K’(z)は1入力M出力の線形時不変(LTI:Linear Time-Invariant)システムであり、K(z)との関係は次の(7)式で与えられる。
【数6】
Figure 0003851757
【0026】
次に、(8)式で示される一般化ホールド〈H〉’を導入する。
【数7】
Figure 0003851757
【0027】
このとき次の等式(9)が成り立つ。
【数8】
Figure 0003851757
(6)式及び(9)式より、次の(10)式が成り立つ。
【数9】
Figure 0003851757
すなわち、図5に示したマルチレート系のモデルは図6に示す単一レート系のモデルに等価的に変換される。
【0028】
続いて、連続時間むだ時間要素であるe−mhsを有限次元化するために、系の入力をmステップだけ遅らせるような変換を行う。これにより、所望の設計問題は、K’(z)の代わりに非因果的なフィルタzK’(z)を設計する問題に変換される。また、これを更に有限次元離散時間系の設計問題に帰着させることもできる。その手法の詳細は、カルゴネカー、山本:「ディレイド・シグナル・リコンストラクション・ユージング・サンプルド−データ・コントロール」、プロシーディングス・オブ・35ス・コンファレンス・オン・デシジョン・アンド・コントロール、1259頁〜1263頁(1996年)(P.P.Khargonekar and Y.Yamamoto:"Delayed signal reconstruction using sampled-data control"; Proc. of 35th Conf. on Decision and Control, pp.1259-1263(1996))に記載されている。ただし、これには近似は入らないものの、中間段階での設計フィルタの非因果性により、最終的に因果的なフィルタを得るために、後述するような強い制約条件が課せられており、その仮定は本デジタルフィルタの設計問題では余り満たされないことに注意しておく必要がある。したがって、より実際的な離散時間問題への変換法が求められる。
【0029】
(A3)離散時間系への変換
上記事情に鑑み、原問題が制約条件のない近似的な離散時間系設計問題に帰着できることを示す。そのために、ここではFSFH(ファーストサンプル・ファーストホールド)手法を適用する。FSFH手法はサンプル値制御系の性能を評価する一手法であって、h周期のサンプル値系の連続時間入出力をh/N(Nは自然数)周期で動作するサンプラとホールドによって離散化し、十分に大きなNに対する離散時間信号で連続時間信号を近似する方法である。なお、FSFH手法の詳細は、山本、マディエフスキ、アンダーソン:「コンピュテーション・アンド・コンバージェンス・オブ・フリクエンシ・レスポンス・ビア・ファスト・サンプリング・フォー・サンプルド−データ・コントロール・システムズ」、プロシーディングス・オブ・36ス・コンファレンス・オン・デシジョン・アンド・コントロール、2157頁〜2162頁(1997年)(Y.Yamamoto, A.G.Madievski and B.D.O.Anderson:"Computation and convergence of frequency response via fast sampling for sampled-data control systems"; Proc. of 36th Conf. on Decision and Control, pp.2157-2162(1997))に記載されている。
【0030】
設計のために図6を一般化プラント形式に描き直したものが図7である。この図7中に示したサンプル値系g は次の(11)式で定義される。
【数10】
Figure 0003851757
FSFH手法を用いれば、このサンプル値系gの近似離散時間系は次の(12-1)式で与えられる。ただし、FSFHにおいてN=Ml(lは自然数)としている。
【数11】
Figure 0003851757
dN(z)の各行列及び作用素は次のように定義される。
【数12】
Figure 0003851757
【0031】
上記近似離散時間系GdNを用いて上記(3)式は次の(13)式で近似され、(3)式を満たすようなK(z)を求めるということは近似的に有限次元離散時間系の問題に帰着される。
【数13】
Figure 0003851757
ただし、
【数14】
Figure 0003851757
である。すなわち、図7は図8に示す有限次元離散時間系に変換されることになる。
【0032】
ここで注意すべきことは、条件‖D11‖<γの下で図7のサンプル値系とHノルム上界等価な離散時間系を計算する方法が従来提案されているが(藤岡、臼井、山本:「マルチレートフィルタバンクのサンプル値H∞設計−Mチャンネルの場合−」、第27回制御理論シンポジウム(1998年)参照)、ここでは通常のサンプル値H制御とは異なり、‖D11‖<γは(3)式において非常に強い制約となる。これが上述したようなFSFH近似を必要とする(また上記のカルゴネカー及び山本による文献に記載の、近似無しの離散時間系への変換手法を適用し難い)理由である。ただし、
【数15】
Figure 0003851757
であり、(A,B,C)はアンチエリアシングフィルタ11のF(s)の実現である。
【0033】
而して、式(13)を求め、ごく一般的な離散時間H制御問題を解けば、所望のIIR型フィルタK(z)が得られることになる。
【0034】
次に、デシメータ2側のデジタルフィルタの設計方法を説明する。デシメータの設計方法も上記インタポレータ1側のデジタルフィルタの設計方法と基本的に同一の手法であるので、重複する部分については説明を簡単に済ませる。
【0035】
(B1)設計の命題の設定
図9はデシメータによる信号復元系モデルを示すブロック図である。連続時間信号である入力wは、アンチエリアシングフィルタ21で帯域制限されたあと、サンプラ22においてサンプル周期h/Mでサンプリングされ離散時間信号yとなる。この離散時間信号yが続くデシメータによりレート変換される。まず、この離散時間信号yはH(z)で表現されるデジタルフィルタ23で処理され、そのあとダウンサンプラ24によりサンプル周期hの離散時間信号xに変換される。このxが周期hで動作する0次ホールド26によって連続時間信号uに変換され、最後に、この信号uをアナログローパスフィルタ(LPF)27により平滑化し復元信号zを得る。フィルタ21、サンプラ22及びデシメータ(つまりデジタルフィルタ23及びダウンサンプラ24)により構成されるシステムは、速いサンプル周期で動作するサンプラにより離散化したあと、遅い周期の離散時間信号に変換するオーバーサンプリング型A/D変換器20と看做すことができる。
【0036】
上記インタポレータ設計の場合と同様に、時間遅れを考慮して信号復元の際の誤差系モデルを考えると、図10に示すようになる。図10では、下側の信号経路がデシメータによるレート変換の信号処理系であり、上側の信号経路がその信号処理系による時間遅れを考慮した遅延系である。この誤差信号eができる限り小さくなるようにIIR型デジタルフィルタを構成することを考えると、上記(3)式がIIR型フィルタを設計すべく設定した条件式となる。
【0037】
(B2)単一レート系への変換
このダウンサンプラ及びむだ時間系を含む系(マルチレート系)を単一のサンプル周期の有限次元系(単一レート系)に変換する。そのためには、上述したような離散時間リフティング及び逆リフティングを導入する。この離散時間リフティング及び逆リフティングを用いて、(↓M)H(z)つまりデジタルフィルタ23とダウンサンプラ24とによる処理を変換すると次の(14)式となる。
【数16】
Figure 0003851757
ここで、H’(z)はM入力1出力の線形時不変システムであり、H(z)との関係は次の(15)式で与えられる。
【数17】
Figure 0003851757
【0038】
次に、(16)式で示される一般化サンプラS’を導入する。
【数18】
Figure 0003851757
【0039】
このとき次の等式(17)が成り立つ。
【数19】
Figure 0003851757
(14)式及び(17)式より、次の(18)式が成り立つ。
【数20】
Figure 0003851757
すなわち、図10に示したマルチレート系のモデルは図11に示す単一レート系のモデルに等価的に変換される。
【0040】
(B3)離散時間系への変換
更にFSFH手法を適用して離散時間系への変換を行う。その設計のために図11を一般化プラント形式に描き直したものが図12である。上述したようにFSFHにより、この図12中に示されたサンプル値系g の近似離散時間系GdNを用いて、このデシメータ設計においても上記(3)式は(19)式で近似され、(3)式を満たすようなH(z)を求めるということは近似的に有限次元離散時間系の問題に帰着されることになる。
【数21】
Figure 0003851757
ただし、
【数22】
Figure 0003851757
である。すなわち、図12は図13に示す有限次元離散時間系に変換される。
【0041】
而して、(19)式を求め、ごく一般的な離散時間H制御問題を解けば、所望のIIR型フィルタH(z)が得られることになる。
【0042】
なお、この発明によるデジタルフィルタの設計方法はコンピュータで所定のプログラムを実行することにより実現される。そのプログラムの一部は後述の如く既存のものを利用することができる。
【0043】
次いで、この発明に係る上記手法に従った具体的なフィルタ設計の一例を説明する。
【0044】
まず、インタポレータの設計の単純な例として、アップサンプリング次数M=2(つまり2倍オーバーサンプリング)、サンプル周期h=1、信号復元に許容する遅れのステップ数m=2とした場合を考える。アンチエリアシングフィルタ11の特性F(s)は、
Figure 0003851757
とする。したがって、ナイキスト周波数はπ[rad/sec]=0.5[Hz]となる。このフィルタの周波数特性は、0.14248[rad/sec]から1次特性で減衰し、更に1.4248[rad/sec]から2次特性で減衰する。これをCDのサンプリング周波数fs=44.1kHzに換算すると、1kHzから1次特性で減衰し、更に10kHzから2次特性で減衰するフィルタに相当する。
【0045】
CDは約20kHzまでのオーディオ周波数帯域を有しているが、実際に収録されている音楽の周波数スペクトルはこの帯域内で平坦ではなく、高域において減衰している。実際、オーケストラなどの広帯域のソースで優秀録音と言われているものを観測しても、20kHzまでほぼ平坦に伸びているものは殆どなく、10kHz以上でなだらかに減衰する特性となっている。したがって、上記のような特性のアンチエリアシングフィルタは、音楽信号の自然なエネルギー分布を反映したものと考えられる。すなわち、従来のように完全に帯域制限された信号を原音楽信号のモデルとするのではなく、このような周波数分布に対する重み付けを反映してCDに対応するデジタルフィルタを設計するのが、より自然なアプローチであると言える。
【0046】
また計算を簡単化するために、ホールド後の信号平滑化のためのLPF17の特性はP(s)=1としている。実際には1次遅れ型LPFなどが適当であるが、この場合でも減衰特性が緩やかであるため殆ど周波数特性には影響を与えず、本例と類似した結果が得られる。
【0047】
上記条件の下で、上述したような設計手法によりデジタルフィルタの設計を行った。まず、F(s)は次のような状態空間表現を持つ。
【数23】
Figure 0003851757
ただし、ここで、
【数24】
Figure 0003851757
である。
【0048】
また、式(12-2)を用いて、
【数25】
Figure 0003851757
とし、これから、
【数26】
Figure 0003851757
が得られる。すなわち、これが図8の誤差系の一般化プラントgに対応する式である。
【0049】
このようにしてA、Bc1等、全てのパラメータが得られるので、以降は式(12−1)によりGdN(z)を求める。この計算は、マトラブ(Matlab)等、既存のCADを利用して行うことができる。更に、図9に従って離散時間H制御を利用して解を求める。この計算も例えばMatlabのミューツールズ(μTools)やロバスト・コントロール・ツールボックス(Robust Control Toolbox)を利用して行うことができる。
【0050】
このようにして得られたIIR型デジタルフィルタの特性の計算を行った。このフィルタが23次であって、次のような伝達関数を有する。
【数27】
Figure 0003851757
【0051】
また、比較対象のため、従来の設計手法によるデジタルフィルタとして、いわゆるジョンストンフィルタによる特性も計算した。このジョンストンフィルタは31次であって、次のような伝達関数を有する。
【数28】
Figure 0003851757
【0052】
本発明によるデジタルフィルタとジョンストンフィルタとの特性の計算結果を図14〜図17に示す。図14は両フィルタの利得の周波数特性(本発明によるフィルタを実線で、従来のフィルタを点線で示す。以下同様)、図15は本発明による方形波パルス応答、図16はジョンストンフィルタによる方形波パルス応答、図17は図6に示したような誤差信号eの利得の周波数数特性を上記実施例とジョンストンフィルタとについて示したグラフである。
【0053】
図15と図16とを比較するとわかるように、本発明によるデジタルフィルタでは立ち上がり及び立ち下がり時のリンギングがジョンストンフィルタよりも小さくなっている。既述したように、このような相違は特に音の「硬さ」や「刺激の強さ」等に影響を与えるものと考えられる。また図17では、誤差信号が小さいほど原音(厳密にはアンチエリアシングフィルタの出力)に忠実に再生されていると言うことができ、本発明によるデジタルフィルタを用いれば広い周波数帯域において再現音の忠実性が高いことがわかる。これは、本発明によるフィルタと従来のジョンストンフィルタとにおける上記の時間応答の差異を反映した結果になっている。
【0054】
また、デシメータのデジタルフィルタに関しても、ダウンサンプリング次数M=2とし、サンプル値設計は上記インタポレータと同様の条件として設計した。その結果、フィルタの次数は6次となり、ジョンストンフィルタに比べて大幅に低い次数となる。このときの本発明によるデジタルフィルタと従来のフィルタとの特性の計算結果を図18〜図21に示す。図18は両フィルタの利得の周波数特性、図19は本発明による方形波パルス応答、図20はジョンストンフィルタによる方形波パルス応答、図21は図11に示したような誤差信号eの利得の周波数数特性を上記実施例とジョンストンフィルタとについて示したグラフである。インタポレータの場合と同様に、本発明によるフィルタは広い周波数帯域において再現音の忠実性が高い。
【0055】
なお、上記フィルタはいずれもIIR型フィルタとして設計したものであるが、実際にインパルス応答を計算してみると、所定のステップ数以降は実質的に応答は零となっている。これは、そのステップ数までで打ち切ったFIR型フィルタで実現可能であることを示している。このことは、実際にハードウエアで構成する場合に、規模を抑制するために非常に有利な性質である。
【0056】
次に、サンプリング周期をh1=1からh2=4/3に変換するサンプリングレート変換装置の設計の一例を説明する。つまり、図1に示す構成において、L=3、M=4である。また、設計の際のパラメータは次の通りとした。
Figure 0003851757
【0057】
このような条件の下で、上述したようなサンプル値設計によりそれぞれ得られたインタポレータ1のフィルタK(z)とデシメータ側のフィルタH(z)とを直列に接続したフィルタC(z)=H(z)K(z)は23次となった。このフィルタC(z)の伝達関数は次式のようになる。
【数29】
Figure 0003851757
【0058】
このデジタルフィルタC(z)と従来の等リップルフィルタとの特性の計算結果を図22〜図24に示す。図22は両フィルタの利得の周波数特性、図23は本発明による方形波パルス応答、図24は等リップルフィルタによる方形波パルス応答である。図23及び図24を見ればわかる通り、等リップルフィルタでは方形波のエッジの部分に大きなリンギングが生じているのに対し、本発明のフィルタによればこのようなリンギングが殆ど発生しない。また、図25に示すような誤差系に対して、連続時間入力wから連続時間出力eまでの周波数応答の計算結果を図26に示す。これにより、本発明のデジタルフィルタによれば、特に低周波域と高周波域とで約10dB程度の改善効果が得られることがわかる。すなわち、各デジタルフィルタを上記手法により最適設計することにより、これらを組み合わせたフィルタでも高い原音忠実性が保たれる。
【0059】
以上はコンピュータによりソフトウエア的にフィルタを構成した場合の計算結果であるが、このフィルタをハードウエアで具現化する際には周知の構成とすればよい(例えば、三谷:「ディジタルフィルタデザイン」昭晃堂(1987年)等を参照)。実際に、汎用のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)やワンチップのLSIで容易に構成することができる。
【0060】
なお、上記説明はオーディオ信号に関して本発明を適用した例であるが、同様の手法を画像信号に適用できることは当業者には明らかである。
【0061】
【発明の効果】
以上説明した通り、第1の発明に係るサンプリングレート変換装置によれば、サンプリングレート変換によるアナログ信号の復元誤差が広い周波数帯域に亘って小さくなるように保証されているので、音質や画質の劣化が少なくなる。つまり、本発明をデジタルオーディオ信号に適用すれば、サンプリングレート変換後のデジタルオーディオ信号をアナログ信号に戻したときに、きわめて原音(集音又は録音時の音)に忠実なオーディオ信号を得ることができる。特に、聴感上きわめて滑らかで、高音がきわめて素直に伸びた再生音を得ることができる。また、本発明をデジタル画像信号に適用すれば、サンプリングレート変換後のデジタル画像信号を復元して画面上に表示したときに、きわめて元の画像に近い自然な画像を得ることができる。
【0062】
また、第2の発明に係るサンプリングレート変換装置によれば、サンプリング周波数の変換比が簡単な整数比にならないような場合であっても、デジタルフィルタの次数を抑えることができるので、適切なハードウエア規模でもって装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサンプリングレート変換装置の基本構成図。
【図2】 本発明に係るサンプリングレート変換装置を多段縦属接続した場合の基本構成図。
【図3】 本発明に係るサンプリングレート変換装置を多段縦属接続した場合の構成の一例。
【図4】 本発明に係るサンプリングレート変換装置のインタポレータの信号復元系モデルを示すブロック図。
【図5】 図4の信号復元系モデルに対する誤差系モデルを示すブロック図。
【図6】 図5の誤差系モデルを単一レート系モデルに変換したときのブロック図。
【図7】 誤差系の一般プラント形式のブロック図。
【図8】 図7の形式を有限次元離散時間系に変換したときのブロック図。
【図9】 本発明に係るサンプリングレート変換装置のデシメータの信号復元系モデルを示すブロック図。
【図10】 図9の信号復元系モデルに対する誤差系モデルを示すブロック図。
【図11】 図10の誤差系モデルを単一レート系モデルに変換したときのブロック図。
【図12】 誤差系の一般プラント形式のブロック図。
【図13】 図12の形式を有限次元離散時間系に変換したときのブロック図。
【図14】 本発明の一実施例によるインタポレータ側のIIR型デジタルフィルタの利得の周波数特性を示す図。
【図15】 このIIR型デジタルフィルタの方形波パルス応答を示す図。
【図16】 従来のジョンストンフィルタの方形波パルス応答を示す図。
【図17】 本発明によるIIR型デジタルフィルタと従来のジョンストンフィルタとの誤差信号eの利得の周波数数特性を示す図。
【図18】 本発明の一実施例によるデシメータ側のIIR型デジタルフィルタの利得の周波数特性を示す図。
【図19】 このIIR型デジタルフィルタの方形波パルス応答を示す図。
【図20】 従来のジョンストンフィルタの方形波パルス応答を示す図。
【図21】 本発明によるIIR型デジタルフィルタと従来のジョンストンフィルタとの誤差信号eの利得の周波数数特性を示す図。
【図22】 本発明の一実施例によるサンプルレート変換装置のデジタルフィルタの利得の周波数特性を示す図。
【図23】 このIIR型デジタルフィルタの方形波パルス応答を示す図。
【図24】 従来のジョンストンフィルタの方形波パルス応答を示す図。
【図25】 本発明の一実施例によるサンプルレート変換装置の誤差系モデルを示すブロック図。
【図26】 本発明によるIIR型デジタルフィルタと従来のジョンストンフィルタとの誤差信号eの利得の周波数数特性を示す図。
【図27】 従来のサンプリングレート変換装置の原理構成図。
【図28】 サンプリングレートの変換動作を説明するための信号波形図。
【図29】 理想的なフィルタの特性を示す図。
【符号の説明】
1…インタポレータ
2…デシメータ
1a、1a1〜1am、14、…アップサンプラ
2b、2b1〜2bn、24…ダウンサンプラ
1b、2a、1b1〜1bm、2a1〜2an、15、23…デジタルローパスフィルタ
11、21…アンチエリアシングフィルタ
12、22…サンプラ
16、26…0次ホールド
17、27…アナログローパスフィルタ
18、28…遅れ時間要素
19、29…減算器

Claims (2)

  1. 第1のサンプリング周波数を有するデジタル信号列を第2のサンプリング周波数を有するデジタル信号列に変換するサンプリングレート変換装置において、
    時系列的に隣接するサンプル間にn−1個の0点データを挿入してサンプリング周波数をn(nは2以上の整数)倍にするアップサンプラ、及び、アップサンプリングされたサンプルから成る信号の帯域を制限する低域通過型の第1のデジタルフィルタから成るインタポレータと、
    ダウンサンプリングによるエリアシングに起因する信号劣化を回避するための低域通過型の第2のデジタルフィルタ、及び、該第2のデジタルフィルタにより得られる信号列の隣接するm個のサンプルに1個の割合でサンプルを間引くダウンサンプラから成るデシメータとを含み、
    第1及び第2のデジタルフィルタは、
    元のアナログ信号w を帯域制限したものとアナログ/デジタル/アナログ変換を通して得られるアナログ信号との誤差信号 ノルムの意味で設計基準値γよりも小さくするようにIIR型フィルタを設計すべく設定した次の条件式
    Figure 0003851757
    但し、T ew はアナログ信号w から誤差信号e へ変換するシステムの伝達関数
    に対し、サンプル値H 制御理論を用い、ファーストサンプル−ファーストホールド近似を適用して有限次元離散時間系に変換して近似計算式を導出し、前記条件式において設計基準値γを最小又はそれに近い状態にするように設定した条件に基づいて前記近似計算式をH制御により解くことによって算出されたパラメータを係数とするIIR型フィルタにより成る、ことを特徴とするサンプリングレート変換装置。
  2. 前記インタポレータ及び/又は前記デシメータは、第1及び第2のサンプリング周波数の比に応じた整数比の少なくとも一方の整数を複数の整数の乗算に分解し、該分解の結果得られた整数に応じたアップサンプラ及びデジタルフィルタ、又はデジタルフィルタ及びダウンサンプラを直列的に接続して構成したことを特徴とする請求項1に記載のサンプリングレート変換装置。
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