WO2010016461A1 - 補聴器用の音声信号処理システムの設計方法、補聴器用の音声信号処理システム、および補聴器 - Google Patents

補聴器用の音声信号処理システムの設計方法、補聴器用の音声信号処理システム、および補聴器 Download PDF

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  • the audio signal processing system includes an anti-aliasing filter that performs anti-aliasing on the digital audio input signal output from the AD converter; A downsampler that downsamples the output of the anti-aliasing filter; An upsampler that returns the sample rate lowered by the downsampler;
  • the hearing aid digital filter preferably performs the signal processing on the digital audio input signal output from the upsampler.
  • Bode diagrams of W (s) and P (s) are shown in FIGS. 4 and 5, respectively.
  • a Bode diagram of the hearing aid digital filter K (z) designed by setting the above parameters is shown in FIG.
  • the hearing aid digital filter K (z) allows the hearing person to perceive the sound w c as in the case of a healthy person.

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Abstract

 難聴者に合わせた補聴器を、サンプル値制御理論を用いて設計する。補聴器へのアナログ音声入力信号ycをディジタル音声入力信号へ変換するAD変換器と、AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号の信号処理を行う補聴器用ディジタルフィルタK(z)と、補聴器用ディジタルフィルタから出力されたディジタル信号を、難聴者へ出力するためのアナログ音声出力信号に変換するDA変換器と、を有する補聴器用の音声信号処理システムの設計方法であって、難聴者の聴覚特性に対応する特性を有するアナログフィルタP(s)によってDA変換器から出力されるアナログ音声出力信号をフィルタリングして得られる復元アナログ信号zcと、補聴器へのアナログ音声入力信号ycとの誤差ecが小さくなるように、サンプル値制御理論によって、補聴器用ディジタルフィルタK(z)を設計する。

Description

補聴器用の音声信号処理システムの設計方法、補聴器用の音声信号処理システム、および補聴器
 本発明は、補聴器用の音声信号処理システムの設計方法、補聴器用の音声信号処理システム、および補聴器に関するものである。
 本出願は、2008年8月4日出願の日本国特許出願第2008-201310号および2008年10月29日出願の日本国特許出願第2008-278051号の優先権を主張し、それらの全内容は、ここに援用される。
 世界的にみて難聴者数は増加傾向にあると推測されている。難聴は、聴覚系の障害の部位によって、伝音性難聴、感音性難聴、および両者を含む混合性難聴に分類される。これらの難聴に共通する性質として、難聴者が聞きたい音声の、ある周波数帯域が知覚できない、または知覚しにくいことが挙げられる。
 さて、近年のディジタル信号処理プロセッサ(DSP)の小型化と高速化によって、補聴器設計の自由度が増し、補聴器の主流は、アナログからディジタルに移行している。
 現在、ディジタル補聴器の音声信号処理として多く用いられているのが、従来の信号処理理論を用いたマルチチャンネル方式である。この方式では、まずマイクから入ったアナログ音声信号を、マイクアンプを通した後に、AD変換する。
 次に、AD変換されたディジタル信号をバンドパスフィルタによって複数の周波数帯域に分割し、難聴者の聴覚特性に合わせて、それぞれの周波数帯域のゲインをディジタルフィルタによって増減する。
 次に、分割した周波数帯域を再合成する。
 最後に、DA変換を行って、スピーカアンプを通したアナログ音声信号をスピーカから出力する。
 なお、本発明に関連する文献としては、下記の特許文献1,2がある。下記特許文献1,2は、本発明者によるものであり、特許文献1にはサンプル値H制御理論によってディジタルフィルタを設計する方法が開示され、特許文献2には、サンプル値H制御理論によって設計されたサンプリングレート変換装置が開示されている。
特許第3820331号公報 特許第3851757号公報
 さて、上記のマルチチャンネル方式では、難聴者の聴力測定を行い、分割された各周波数帯域のゲインの増減を行うことによって、ディジタルフィルタの周波数特性を、難聴者それぞれに合わせるための調整が必要となる。
 補聴器を、その使用者である難聴者に合わせて調整して最適化する作業は、試行錯誤的作業であり、煩雑である。
 本発明は、難聴者にとって、より適切な補聴器を設計するための新たな技術、並びに、その音声信号処理システムおよび補聴器を提供することを目的とする。
 本発明は、補聴器へのアナログ音声入力信号(yc)をディジタル音声入力信号へ変換するAD変換器と、
 前記AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号の信号処理を行う補聴器用ディジタルフィルタ(K(z))と、
 前記補聴器用ディジタルフィルタから出力されたディジタル信号を、難聴者へ出力するためのアナログ音声出力信号(uc)に変換するDA変換器と、
 を有する補聴器用の音声信号処理システムの設計方法であって、
 前記DA変換器から出力されるアナログ音声出力信号(uc)を難聴者の聴覚特性に対応する特性を有するアナログフィルタ(P(s))によってフィルタリングして得られる復元アナログ信号(zc)と、補聴器へのアナログ音声入力信号(yc)との誤差(ec)が小さくなるように、サンプル値制御理論によって、前記補聴器用ディジタルフィルタ(K(z))を設計する、
 ことを特徴とする補聴器用の音声信号処理システムの設計方法である。
 従来のディジタル補聴器では、前述のように、マルチチャンネル方式やその他の信号処理理論に基づく方式の枠組みにおいて、音声信号処理を行っていた。
 これに対し、本発明者らは、制御理論の枠組みにおいて、ディジタル補聴器の音声信号処理を考えるという、従来のディジタル補聴器の設計方法とは全く異なる、新規な着想を得た。
 ここで、制御理論の分野では、アナログの制御対象をディジタル制御するサンプル値制御系についての手法が確立している。
 そして、本発明者らは、アナログ制御対象として、難聴者の聴覚のアナログ特性を含めた音声入出力系を想定することで、サンプル値制御系の手法が、補聴器の設計に適用できるという着想を得た。
 すなわち、補聴器とは、音声の、ある周波数帯域を、難聴者の聴覚特性に合わせて調整することで、難聴者の聴覚を取り戻すための装置ということができる。
 換言すると、補聴器と難聴者の聴覚特性とを合わせた信号系を想定した場合、補聴器に入力された音声と、難聴者が聴覚を通じて認識できる音声と、を可能な限り一致させ、その誤差を小さくするのが補聴器の役割ということができる。
 したがって、適切な補聴器の設計は、難聴者の聴覚特性を含めた音声入出力系において、補聴器に入力された音声と、難聴者が聴覚を通じて認識できる音声との差(誤差)を小さくするディジタルフィルタを設計することといえる。
 本発明は、上記着想に基づき、完成されたものであり、DA変換器から出力されるアナログ音声出力信号を、難聴者の聴覚特性に対応する特性を有するアナログフィルタによってフィルタリングすることで復元アナログ信号が生成される信号復元系を想定することで、従前のサンプル値制御理論によって、適切なディジタルフィルタを理論的に設計することができる。
 なお、難聴者の聴覚特性としては、個々の難聴者の聴覚特性を測定して得られたものを用いても良いし、一般的に想定される難聴者の聴覚特性を用いても良い。
 前記サンプル値制御理論は、サンプル値H制御理論であるのが好ましいが、他のサンプル値制御理論、例えば、サンプル値H2制御理論であってもよい。
 また、前記音声信号処理システムは、前記AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号に対してアンチエリアシングを行うアンチエリアシングフィルタと、
 前記アンチエリアシングフィルタの出力に対してダウンサンプルを行うダウンサンプラと、
 前記ダウンサンプラによって下げられたサンプルレートを戻すアップサンプラと、を更に含み、
 前記補聴器用ディジタルフィルタは、前記アップサンプラから出力されたディジタル音声入力信号に対して、前記信号処理を行うものであるのが好ましい。
 上記構成を採用することにより、従来の補聴器で問題となる高周波音の除去も可能となる。すなわち、従来の補聴器では、「硬い物がぶつかるときに生じるようなピーク性の高周波雑音」が耳障りな音となっていたが、上記構成によれば、耳障りな音となるピーク性の高周波雑音をまず除去した上で、補聴器用ディジタルフィルタによって、難聴者の聴覚特性に基づき、適切な信号処理を行うことができ、より自然な音の補聴器が得られる。
 他の観点からみた本発明は、補聴器へのアナログ音声入力信号をディジタル音声入力信号へ変換するAD変換器と、
 前記AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号の信号処理を行う補聴器用ディジタルフィルタと、
 前記補聴器用ディジタルフィルタから出力されたディジタル信号を、難聴者へ出力するためのアナログ音声出力信号に変換するDA変換器と、
 を有する補聴器用の音声信号処理システムであって、
 前記補聴器用ディジタルフィルタは、
 前記DA変換器から出力されたアナログ音声出力信号を、難聴者の聴覚特性に対応する特性を有するアナログフィルタによってフィルタリングして得られる復元アナログ信号と、補聴器へのアナログ音声入力信号との誤差が小さくなるように、サンプル値制御理論によって設計されたものである、
 ことを特徴とする補聴器用の音声信号処理システムである。
 さらに他の観点からみた本発明は、前記音声信号処理システムを有する補聴器である。
 本発明によれば、補聴器用ディジタルフィルタの理論的な設計が可能である。
補聴器のハードウェア構成図である。 実施例1に係る信号処理システムの機能ブロック図である。 補聴器用ディジタルフィルタK(z)を設計するための誤差系のブロック線図である。 アナログフィルタW(s)のボード線図である。 聴覚特性P(s)のボード線図である。 補聴器用ディジタルフィルタK(z)のボード線図である。 入力音の時間応答グラフである。 実施例1における出力音の時間応答グラフである。 入力音と、実施例1に係る信号処理システムを備えた補聴器1による出力音の周波数特性図である。
10 音声信号処理システム
13 AD変換器
15 DA変換器
K(z) 補聴器用ディジタルフィルタ
 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[1.補聴器の構成]
 図1は、本実施形態に係るディジタル補聴器1の基本構成(ハードウェア構成)を示している。この補聴器1は、マイク11、マイクアンプ12、AD変換器13、信号処理用プロセッサ(Digital Signal Processor)14、DA変換器15、スピーカアンプ16、およびスピーカ17を有して構成されている。なお、上記構成要素のうち、AD変換器13、信号処理用プロセッサ14、およびDA変換器15は、音声信号処理システム10を構成している。
 マイク11から入力されたアナログ音声信号は、マイクアンプ13によって増幅された後、AD変換器13によってAD変換される。AD変換器13の出力は、信号処理用プロセッサ14によってディジタル信号処理されてから、DA変換器15によって変換される。DA変換器15の出力は、スピーカアンプ16によって増幅され、スピーカ17から出力され、難聴者Hに与えられる。
 本実施形態に係る前記補聴器1は、ある音声に対する健聴者の知覚と、同じある音声が補聴器1によってディジタル信号処理されて難聴者Hに与えられたときの当該難聴者Hの知覚とを一致させるものである。これを周波数領域で考えると、本実施形態に係る補聴器1の役割は、難聴者Hの聴覚特性を前記補聴器1によって補正することで、健聴者の聴覚特性に一致させることになる。
 さて、図2は、前記信号処理システム10の詳細な機能ブロックを示している。この信号処理システム10は、前記AD変換器(サンプラ)13および前記DA変換器(ホールド)15のほか、アンチエリアシングフィルタ(ローパスフィルタ)21、ダウンサンプラ22、アップサンプラ23、および補聴器用ディジタルフィルタ24の機能を有している。
 アンチエリアシングフィルタ21は、エリアシングを防ぐため、AD変換器13の出力に対する帯域制限を行う。この帯域制限は、AD変換器13のサンプリング周波数fsの1/2(ナイキスト周波数)又はそれ以下の周波数で行われる。これにより、fs/2以上の高周波の音が除去され、したがって耳障りな音の原因となる高周波のノイズが除去される。なお、アンチエリアシングフィルタ21の実装上の配置としては、AD変換器13側に設けても良いし、信号処理用プロセッサ14側に設けても良い。
 ダウンサンプラ22は、アンチエリアシングフィルタ21の出力に対して、サンプルレートを1/M倍にするダウンサンプルを行う。アップサンプラ23は、ダウンサンプラ22の出力に対してアップサンプルを行う。アップサンプルは、サンプル点間に0を補間することによりサンプルレートをM倍し、サンプルレートを元に戻す。なお、前記Mは、2又は3が好ましい。
 補聴器用ディジタルフィルタ(K(z))24は、前記アップサンプラ23の出力に対して、処理を行う。この補聴器用ディジタルフィルタ24によって、各サンプル値が、難聴者の聴覚特性が考慮された適切な値へと処理される。なお、補聴器用ディジタルフィルタ24の設計方法については後述する。
 本実施形態の信号処理システムでは、アンチエリアシングフィルタ21によって高周波帯域を除去した上で、補聴器用ディジタルフィルタ24によって、難聴者の聴覚特性が考慮された状態で適切に補間される。したがって、硬い物がぶつかるときに生じるようなピーク性の高周波雑音を抑制しつつ、難聴者の聴覚特性に合わせた音声を出力することができる。
 ここで、従来のマルチチャンネル方式の補聴器では、難聴者の聴覚特性に合わせて、各周波数帯域のゲインをディジタルフィルタによって増減するだけであるため、硬い物がぶつかるときに生じるピーク性の高周波雑音のように非常に耳障りな音が生じることが不可避的であり、難聴者にとって使い勝手が良いとは言えないものであった。
 しかし、本実施形態の補聴器1では、硬い物がぶつかるときに生じるようなピーク性の高周波雑音を抑制しつつ、難聴者の聴覚特性に合わせた音声を出力することができるため、難聴者にとって非常に使い易いものとなる。
[2.補聴器用の信号処理システムの設計方法]
 さて、制御理論の枠組みで、ディジタル補聴器1の音声信号処理を考えると、難聴者の聴覚のアナログ特性を含めた音声入出力システムを制御対象として、これを補聴器用ディジタルフィルタ(K(z))24によって最適に制御することが問題となる。その意味で、サンプル値制御理論によるディジタル補聴器の設計は、難聴者の聴覚のアナログ特性P(s)を考慮した信号復元問題と捉えることができる。
 図3は、補聴器用ディジタルフィルタ(K(z))24を設計するための誤差系のブロック線図を示している。ここでは、簡単のため、マイク11、マイクアンプ12、スピーカアンプ16、スピーカ17のアナログ特性は考慮しないが、考慮してもよい。
 図3において、wcからzcに至る下側のパスは、補聴器1の信号復元系を示している。また、図3において上側のパスは、時間遅れを示している。
 図3においては、wcは、処理すべきアナログ信号であり、W(s)(符号31)は、補聴器1のマイク11に入力される音のアナログモデルである。入力される音のアナログモデルW(s)は安定かつ厳密にプロパーとする。
 信号wcは、W(s)によって帯域制限された信号ycとなる。この信号ycは、AD変換器13、アンチエリアシングフィルタ21、ダウンサンプラ22、アップサンプラ23、補聴器用ディジタルフィルタ24、DA変換器25、およびアナログフィルタP(s)を通って、出力zcとなる。
 前記アナログフィルタP(s)は、安定かつプロパーな特性を持ち、難聴者の聴覚特性が対応する。したがって、図3における出力zcは、難聴者が知覚する音声である。なお、アナログフィルタP(s)は、難聴者の聴覚特性とともに、補聴器1のDA変換器15以降のアナログ要素(スピーカアンプ16やスピーカ17)の特性が合わせて考慮されたものであってもよい。
 図3の上側のパスにおけるe-mhs(符号33)は、信号復元の時間遅れを考慮したものであり、e-mhsは、W(s)の出力信号ycがmhだけ遅れた信号を出力する。
 理想的な補聴器1は、ycとzcが一致しているものといえる。したがって、アナログフィルタP(s)の出力zcと、W(s)の出力信号ycがmhだけ遅れた信号との誤差をec(t):=zc(t)-yc(t-mh)とおくと、この誤差ecを小さくする補聴器用ディジタルフィルタK(z)を設計すればよい。
 つまり、補聴器用ディジタルフィルタK(z)の設計問題は、アナログ信号wcからecへのシステムをTewとおいたときに、与えられた設計基準値γ>0に対し、
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
を満たす補聴器用ディジタルフィルタK(z)を求めることである。ただし、W(s)は安定かつ厳密にプロパー、P(s)は安定かつプロパーとする。
 上記設計問題は、サンプル値制御理論のうち、例えば、サンプル値H制御理論を用いて解くことができるがこれに限定されるものではない。なお、上記式におけるK(z)をサンプル値H制御理論を用いて近似的に求める手順は、特許文献1,2に記載されている(これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
 特許文献1,2に記載の手順を簡潔に説明する。前記システムTewは、複数のサンプル周期をもつことから時変系であるが、これを単一レート系に変換する。この変換のため、離散時間リフティングと逆リフティングが導入される。
 さらに、前記システムTewを近似的な離散時間系にするため、FSFH(ファーストサンプル・ファーストホールド)手法を適用する。FSFH手法はサンプル値制御系の性能を近似的に評価する手法の一つであって、周期hのサンプル値制御系のアナログ入出力をh/N(Nは自然数)周期で動作するサンプルとホールドによって離散化し、十分に大きなNに対するディジタル信号でアナログ信号を近似する手法である。
 前記離散時間系に対し、離散時間H制御により、フィルタK(z)(IIR型フィルタ)を得ることができる。
[3.設計例]
 上記のサンプル値H制御理論を用いたディジタル補聴器1の設計例は下記の通りである。ここでのパラメータh,m,Mは、下記の通り設定した。
パラメータ:
 サンプル周期h=1/11025
 許容遅れステップm=3
 アップサンプラ定数およびダウンサンプラ定数M=2
 また、アナログフィルタW(s)は、補聴器1に入力される音声信号の周波数特性を仮定するために、人間の可聴帯域(約20Hzから約20kHz)を考慮し、次のように設定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 このアナログフィルタW(s)は、5kHzから1次で、10kHzから2次でゲインが減衰する周波数特性を持つ。
 難聴者の聴覚特性P(s)は、難聴者に対する聴力検査によって得られた聴力レベルのグラフから決定すべきであるが、ここでは簡単のため、次のように設定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 この聴覚特性P(s)は、200Hzから1次で、400Hzから2次で,1kHzから3次でゲインが減衰する周波数特性を持つ。
 W(s)とP(s)のボード線図をそれぞれ、図4および図5に示す。
 以上のパラメータ設定によって設計された補聴器用ディジタルフィルタK(z)のボード線図を図6に示す。補聴器用ディジタルフィルタK(z)によって、難聴者であっても、健常者と同様に、音声wcを知覚することができる。
[4.信号処理システムの検証]
 以下、信号処理システム10による効果を検証する。
 実施例1の信号処理システム10は、図2に示すものと同様の構成であり、AD変換器13のサンプリング周波数fs=44.1kHz、アンチエリアシングフィルタ21のカットオフ周波数Cf=5kHz、ダウンサンプラ定数およびアップサンプラ定数M=4とした。また、DA変換器の動作周波数は、44.1kHzである。アナログモデルW(s)と難聴者の聴覚特性P(s)は、前記数2、前記数3に記載のものを用いた。補聴器用ディジタルフィルタK(z)は、上記設計手順によって設計され、最適化されている。
 実施例1に係る信号処理システム10を備えた補聴器1への入力音として、ティースプーンがグラスに当たる音を用いた。図7は、入力音の時間応答グラフ(waveファイル)を示している。この波形は、ティースプーンがグラスに当たる音を、サンプリング周波数44.1kHzでモノラル録音したものである。なお、この検討では、マイク11、マイクアンプ12、スピーカアンプ16およびスピーカ17を用いず、wave音声を、直接、信号システム10へ与え、DA変換器15の出力を、サンプリング周波数44.1kHzで録音した。図8に、実施例1における出力音の時間応答グラフを示す。さらに、図9に、入力音と、実施例1に係る信号処理システムを備えた補聴器1による出力音の周波数特性図を示す。なお、図9において、実線は、実施例1に係る信号処理システムを備えた補聴器1による出力音の周波数特性を示し、破線は、入力音の周波数特性を示す。
 図7と図8とを比較すると、図8の実施例1に係る信号処理システムを備えた補聴器1による出力音では、図7に示される入力音に比べて、インパルス的な音の振幅の最大値が小さくなっている。したがって、実施例1に係る信号処理システム10を備えた補聴器1により、ティースプーンがグラスに当たったときに生じる不快な音の振幅の最大値が減衰していることがわかる。しかしながら、図8の実施例1に係る信号処理システムを備えた補聴器1による出力音では、図7に示される入力音における立ち上がり特性が十分に再現されている。
 また、図9に示された結果から、実施例1に係る信号処理システムを備えた補聴器1による出力音の周波数特性(実線)は、約5kHz以下の周波数帯域においては、入力音の周波数特性(破線)とほぼ同じであることがわかる。一方、より高い周波数帯域においては、入力音の周波数特性(破線)では、高周波ノイズが見られる(図9中、「A」を参照)のに対して、出力音の周波数特性(実線)では、高周波ノイズが見られない(図9中、「B」を参照)ことがわかる。したがって、この結果から、実施例1に係る信号処理システムを備えた補聴器1により、高周波ノイズが抑えられていることがわかる。これは、アンチエリアシングフィルタ(デシメーションフィルタ)21とダウンサンプラ22によって、音声信号を帯域制限することで、高周波ノイズを減らし、その後で高周波帯域をサンプル点間の最適補間で作り出しているためである。
 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、上記実施形態中に説明されている構成・課題・作用効果は、上記実施形態についてのものであり、特許請求の範囲に記載された発明を限定して解釈するために用いられるべきではない。

Claims (7)

  1.  補聴器へのアナログ音声入力信号(yc)をディジタル音声入力信号へ変換するAD変換器と、
     前記AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号の信号処理を行う補聴器用ディジタルフィルタ(K(z))と、
     前記補聴器用ディジタルフィルタから出力されたディジタル信号を、難聴者へ出力するためのアナログ音声出力信号に変換するDA変換器と、
     を有する補聴器用の音声信号処理システムの設計方法であって、
     難聴者の聴覚特性に対応する特性を有するアナログフィルタ(P(s))によって前記DA変換器から出力されるアナログ音声出力信号をフィルタリングして得られる復元アナログ信号(zc)と、補聴器へのアナログ音声入力信号(yc)との誤差(ec)が小さくなるように、サンプル値制御理論によって、前記補聴器用ディジタルフィルタ(K(z))を設計する、
     ことを特徴とする補聴器用の音声信号処理システムの設計方法。
  2.  前記サンプル値制御理論は、サンプル値H制御理論である、
     請求項1記載の設計方法。
  3.  前記音声信号処理システムは、
     前記AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号に対してアンチエリアシングを行うアンチエリアシングフィルタと、
     前記アンチエリアシングフィルタの出力に対してダウンサンプルを行うダウンサンプラと、
     前記ダウンサンプラによって下げられたサンプルレートを戻すアップサンプラと、
     を更に含み、
     前記補聴器用ディジタルフィルタは、前記アップサンプラから出力されたディジタル音声入力信号に対して、前記信号処理を行うものである
     請求項1又は2記載の設計方法。
  4.  補聴器へのアナログ音声入力信号をディジタル音声入力信号へ変換するAD変換器と、
     前記AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号の信号処理を行う補聴器用ディジタルフィルタと、
     前記補聴器用ディジタルフィルタから出力されたディジタル信号を、難聴者へ出力するためのアナログ音声出力信号に変換するDA変換器と、
     を有する補聴器用の音声信号処理システムであって、
     前記補聴器用ディジタルフィルタは、
     難聴者の聴覚特性に対応する特性を有するアナログフィルタによって前記DA変換器から出力されるアナログ音声出力信号をフィルタリングして得られる復元アナログ信号と、補聴器へのアナログ音声入力信号との誤差が小さくなるように、サンプル値制御理論によって設計されたものである、
     ことを特徴とする補聴器用の音声信号処理システム。
  5.  前記サンプル値制御理論は、サンプル値H制御理論である、
     請求項4記載の補聴器用の音声信号処理システム。
  6.  前記音声信号処理システムは、
     前記AD変換器から出力されたディジタル音声入力信号に対してアンチエリアシングを行うアンチエリアシングフィルタと、
     前記アンチエリアシングフィルタの出力に対してダウンサンプルを行うダウンサンプラと、
     前記ダウンサンプラによって下げられたサンプルレートを戻すアップサンプラと、
     を更に含み、
     前記補聴器用ディジタルフィルタは、前記アップサンプラから出力されたディジタル音声入力信号に対して、前記信号処理を行うものである
     請求項4又は5記載の補聴器用の音声信号処理システム。
  7.  請求項4に記載の音声信号処理システムを有する補聴器。
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