JP3836947B2 - サンプリングレート変換ユニット、サンプリングレート変換装置及びサンプリングレート変換方法 - Google Patents

サンプリングレート変換ユニット、サンプリングレート変換装置及びサンプリングレート変換方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンプリングレート変換ユニット、サンプリングレート変換装置及びサンプリングレート変換方法に係り、特にサンプリング周波数が96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]あるいは32[kHz]であるディジタルオーディオ装置相互間でサンプリングレート変換(サンプリング周波数変換)を行うためのサンプリングレート変換ユニット、サンプリングレート変換装置及びサンプリングレート変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アナログ方式サンプリングレート変換
サンプリングレート変換の最も簡単な方法は、一旦、オーディオデータであるディジタルデータのD/A(Degital to Analog)変換を行ってアナログ信号とし、それを希望する新たなサンプリング周波数でA/D(Analog to Degital)変換することによりディジタルデータに変換する方法である。
【0003】
しかしこの方法によれば、アナログ信号に変換を行っているため、変換に伴うノイズやジッター等の問題で音質劣化・変化は避けられないこととなる。
そこで、アナログ信号を介さずディジタルオーディオデータのサンプリングレート変換を全てディジタル処理だけで行えるサンプリングレート変換方法が望まれていた。
ディジタル方式サンプリングレート変換
上記アナログ方式サンプリングレート変換の問題点を解決すべく、従来よりディジタル方式サンプリングレート変換が提案されている。
【0004】
原理的には、サンプリング周波数をfa[Hz]からfb[Hz]に変換するには、
▲1▼ サンプル点の個数をサンプリング周波数faとサンプリング周波数fbの最小公倍数個に増やす。
【0005】
▲2▼ その後、サンプル点を間引いてサンプリング周波数fb[Hz]に対応する個数とする。
ことで達成できる。
しかしこれらの処理をただ単純に行うと、折り返しノイズ等が発生することとなる。
【0006】
したがって、折り返しノイズ等の発生を抑制するためには、処理過程でサンプリング定理を満たすようにするか、あるいは、サンプリングレート変換後に折り返しノイズが相殺されているようにすることが必要となる。
さらにこの処理を高精度に行うには膨大な量の演算が必要であり、現実的にはハードウェアでの実現を可能とすべく演算量を減らす工夫が必要となる。
【0007】
ここで、ディジタル方式サンプリングレート変換の具体例を説明する。
以下においては、出力ディジタルデータのサンプリング周波数を入力ディジタルデータのサンプリング周波数の3/2に変換する場合(変換比=3/2の場合)及び2/3に変換する場合(変換比=2/3の場合)について説明する。
【0008】
(A) 変換比=3/2の場合
まず変換比=3/2の場合のサンプリングレート変換手順について図31を参照して説明する。
図31に変換比=3/2の場合におけるサンプリングレート変換時のスペクトル変化を示す。
【0009】
▲1▼ まず、原信号のサンプル点(サンプリングディジタルデータ)の間に2個の0点(0データ)を挿入し、サンプリング周波数を3倍に引き上げる(3倍オーバーサンプリング)。
この結果、原信号のスペクトルが図31(a)に示すようなものであるとすると、z変換及びフーリエ変換の関係から0点挿入後のスペクトルは図31(b)に示すようなものとなる。
【0010】
▲2▼ 上記3倍オーバーサンプリングの処理で発生したイメージ成分を、1/3帯域のLPF(Low Pass Filter;図31(c)参照)によって取り除く(図31(d)参照)。
この場合において、0点挿入の段階で信号のDCレベルは1/3に低下しているので、このLPFのDCゲインは図31(c)に示すように、3(倍)としている。
【0011】
▲3▼ 次に2個に1個の割合でデータを取得することにより、サンプル点の個数を1/2に間引く(1/2ダウンサンプリング)。
この結果、得られる信号のスペクトルは、図31(e)に示すようなものとなり、サンプリングレート変換が終了する。
【0012】
(B) 変換比=2/3の場合
次に変換比=2/3の場合のサンプリングレート変換手順について図32を参照して説明する。
図32に変換比=2/3の場合におけるサンプリングレート変換時のスペクトル変化を示す。
【0013】
▲1▼ まず、原信号のサンプル点(サンプリングディジタルデータ)の間に1個の0点(0データ)を挿入し、サンプリング周波数を2倍に引き上げる(2倍オーバーサンプリング)。
この結果、原信号のスペクトルが図32(a)に示すようなものであるとすると、z変換及びフーリエ変換の関係から0点挿入後のスペクトルは図32(b)に示すようなものとなる。
【0014】
▲2▼ 上記2倍オーバーサンプリングの処理で発生したイメージ成分を、1/3帯域のLPF(Low Pass Filter;図32(c)参照)によって取り除く(図32(d)参照)。
この場合において、0点挿入の段階で信号のDCレベルは1/2に低下しているので、このLPFのDCゲインは図32(c)に示すように、2(倍)としている。
【0015】
▲3▼ 次に3個に1個の割合でデータを取得することにより、サンプル点の個数を1/3に間引く(1/3ダウンサンプリング)。
この結果、得られる信号のスペクトルは、図32(e)に示すようなものとなり、サンプリングレート変換が終了する。
【0016】
(C)サンプリングレート変換の原理
以上の変換比=3/2の場合のサンプリングレート変換及び変換比=2/3の場合のサンプリングレート変換の手順に基づき、一般的には、すなわち、変換比L/M(L、M;自然数)の場合には以下の手順で行えばよい。
【0017】
▲1▼ まず、原信号のサンプル点(サンプリングディジタルデータ)の間に(L−1)個の0点(0データ)を挿入し、サンプリング周波数をL倍に引き上げる(L倍オーバーサンプリング)。
▲2▼ 上記L倍オーバーサンプリングの処理で発生したイメージ成分を間引き後に折り返し雑音の発生がないよう、1/L帯域または1/M帯域のうち帯域が狭いいずれか一方のLPFによって取り除く。
【0018】
この場合において、0点挿入の段階で信号のDCレベルは1/Lに低下しているので、このLPFのDCゲインはL(倍)とする。
▲3▼ 次にM個に1個の割合でデータを取得することにより、サンプル点の個数を1/Mに間引く(1/Mダウンサンプリング)。
【0019】
したがって変換フィルタ(LPF)は、L/Mの場合とM/Lの場合では、DCゲインが異なるだけでカットオフ周波数は同じである。
(D)同期式直接変換
以下の説明においては、上記(C)で示したサンプリングレート変換の原理通りにサンプリングレート変換を行う変換方法を同期式直接変換というものとする。
【0020】
図33(a)に同期式直接変換に用いられるサンプリングレート変換装置の概要構成ブロック図を示す。
サンプリングレート変換装置は、変換比が固定の変換比固定サンプリングレートコンバータと、発振周波数が可変の発振器が接続され、変換比固定サンプリングレートコンバータの入力信号のクロックと出力信号のクロックとを同期させるためのPLL回路と、を備えて構成されている。
【0021】
このサンプリングレート変換装置において、上述の例のサンプリングレート変換を行う場合、サンプリング周波数を3/2に変換するために、図33(b)(i)に示すように、入力信号のサンプル点(図中、○印で示す。)に対し、図33(b)(ii)に×印で示すようにサンプル点を挿入し、サンプル点を3倍に増やす。
【0022】
そして、得られたサンプル点(○印及び×印)を1つおきに間引いて図33(b)(iii)に●印で示すサンプル点とすることによりサンプリングレート変換を行っている。
この方法では、変換比は固定であり、変換フィルタとしてのLPFの精度が変換精度を決定する。
【0023】
また、変換比固定サンプリングレートコンバータの入出力信号のクロックを同期させるべくPLLを用いることが必須となるため、変換精度が入力信号のタイムジッターなどに影響されることはない。つまり一旦コンピュータなどに取り込んで変換するのと同じ処理が行える。
【0024】
(E)非同期式間接変換
上述の同期式直接変換では、1種類の変換レートでも膨大な演算量が必要となり、複数の変換レートに対応するハードウェアの実現はかなりの困難を伴うこととなる。
【0025】
また、ビデオレートとの変換等、入出力信号を非同期で変換を行う要求もあり、必ずしも同期式直接変換が適用できるとは限らない。
これらの観点から、現在市場に出ているサンプリングレート変換装置のほとんどが非同期式変換を採用している。
【0026】
非同期式変換では、出力信号のサンプリング周波数は、目的とする固定の周波数であり、これに対する入力信号のサンプリング周波数を何らかの方法で測定して、変換比を適応的(アダプティブ)に変更する。
変換比が可変(バリアブル)であるため、当然全ての変換フィルタを持つことはできない。
【0027】
図35(a)に非同期式間接変換に用いられるサンプリングレート変換装置の概要構成ブロック図を示す。
サンプリングレート変換装置は、変換比が可変の変換比可変サンプリングレートコンバータと、発振周波数が固定の発振器が接続され、入力信号のサンプリング周波数を出力信号のサンプリング周波数でカウントするカウンタと、を備えて構成されている。
【0028】
このサンプリングレート変換装置において、サンプリングレート変換を行う場合、以下のような手順で変換を行っている。
▲1▼ 図35(b)(i)に示すように、入力信号のサンプル点(図中、○印で示す。)に対し、処理が簡単な2の乗数倍(数百倍程度)でオーバーサンプリングする。
【0029】
▲2▼ 入力周波数を出力周波数でカウントし(図35(b)(ii)参照)、平均等の処理を行って変換比を決定する。
▲3▼ 決定された変換比に従い必要なサンプリング点(図35(b)(iii)中、△印で示す。)のデータを、その周辺のサンプリング点(図35(b)(iii)中、●印で示す。)のデータから直線補間等の簡単な処理で算出する。
【0030】
このように、サンプリング点のデータを周辺のデータから算出することから、このような変換方法を非同期式間接変換というものとする。
より具体的には、上述の例の場合と同様に、サンプリング周波数を3/2倍にサンプリングレート変換を行う場合には、一旦2倍にオーバーサンプリングし、それらのデータを用いて直線補間で必要なサンプル点のデータを算出している。
【0031】
非同期式間接変換ではPLLも不要であり、前段のオーバーサンプリングの処理には、既存のオーバーサンプリングICなども利用できる。
したがってハードウェアでの実現性は高く、IC化もし易い。
またジッターのある入力でも変換比を変えて対応するため、結果的に出力のクロック精度を上げることができ、ジッターリデューサーとしての機能も有することとなる。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
図34に入力信号のサンプリング周波数及び出力信号のサンプリング周波数に対応する原理的な変換比を示す。
図34から分かるように、上記従来の同期式直接変換を原理通りに行うためには最高320 倍オーバーサンプリング上で変換フィルタによるフィルタリングを行う必要があるという問題点があった。
【0033】
しかもこの変換フィルタに必要なタップ数は、24ビット精度を得ようとする場合には3万タップ以上にもなってしまうという問題点があった。
一方、上記従来の同期式間接変換については、入力信号に対して変換後の出力信号のスペクトルが変動し、目的とする精度を原理的に達成できないという問題点があった。
【0034】
より具体的に、図36を参照して説明する。
図36にCD(Compact Disc:サンプリング周波数44.1[kHz])から再生した10.007[kHz]の正弦波を非同期式間接変換により、サンプリング周波数=48[kHz]とした場合のスペクトルを示す。
【0035】
図36に示すように、入力信号に対して変換後のスペクトルは時間とともに変動し、メインローブが広がってしまっており、目的とする精度を達成できなかっった。
また、同期式間接変換は、A/D変換、D/A変換の組合せでは有効であるが、D/D(Digital to Digital)変換では、変換比を変えることによってジッターや絶対偏差を吸収しているため、原信号と周波数成分が変わってしまい音質変化が避けられない。
【0036】
また、以下のような問題もある。
変換精度を上げるには、前段のオーバーサンプリングの段数を上げる必要がある。20ビット精度程度を得るのにも最低数百倍のオーバーサンプリングが必要であり、それ以上の精度向上を図ろうとするとハードウェアの規模が増大する。
【0037】
また、変換比を入出力クロックから算出するため、特にジッターのあるソースに対してその精度が問題となる。
さらに、同期式で間接変換を行う手法も考えられるが、変換精度を上げるには、前段のオーバーサンプリングの段数を上げる必要があり、精度向上を図ろうとするとハードウェアの規模が増大するという問題点は同じである。
【0038】
そこで、本発明の目的は、リアルタイムで高精度の変換を行うことができるとともに、装置構成を簡略化することが可能なサンプリングレート変換ユニット、サンプリングレート変換装置及びサンプリングレート変換方法を提供することにある。
【0039】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]のうちのいずれか一のサンプリング周波数である第1サンプリング周波数を有する入力信号を96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]あるいは32[kHz]のサンプリング周波数のうちいずれかのサンプリング周波数である第2サンプリング周波数を有する出力信号に変換して出力するサンプリングレート変換ユニットにおいて、
前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて、前記入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングすることによりサンプリング信号として出力するオーバーサンプリング手段と、
前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比で前記サンプリング信号のフィルタリング処理を行いフィルタリング信号を出力する変換フィルタ手段と、
所定の遮断周波数を有し、前記フィルタリング信号の低域成分を通過して低域成分信号を出力するロウパスフィルタ手段と、
前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて前記低域成分信号通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングして前記出力信号として出力するダウンサンプリング手段と、を備え、
前記プロトタイプフィルタは、48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するバンド幅を有するように構成する。
【0040】
請求項1記載の発明によれば、オーバーサンプリング手段は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいて、入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングすることによりサンプリング信号として変換フィルタ手段に出力する。
変換フィルタ手段は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比でサンプリング信号のフィルタリング処理を行いフィルタリング信号をロウパスフィルタ手段に出力する。
【0041】
ロウパスフィルタ手段は、フィルタリング信号の低域成分を通過して低域成分信号をダウンサンプリング手段に出力する。
ダウンサンプリング手段は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいて低域成分信号を通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングして出力信号として出力する。
変換フィルタ手段は、最も条件の厳しい48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するバンド幅を有するプロトタイプフィルタを用いてフィルタリング処理を行う。
【0042】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換フィルタ手段は、プロトタイプフィルタの複数のフィルタ係数に基づいて複数のフェーズに対応する複数のサブフィルタを生成し、前記サブフィルタを切り換えることによりポリフェーズフィルタを構成し、前記ポリフェーズフィルタにより前記サンプリング信号から前記フィルタリング信号を直接生成するように構成する。
【0043】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用に加えて、変換フィルタ手段は、ポリフェーズフィルタによりサンプリング信号からフィルタリング信号を直接生成するので、演算量を低減できる。
【0045】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記変換フィルタ手段は、複数のサブ変換フィルタ手段が多段接続されたマルチ・ステージ構成とされているように構成する。
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明の作用に加えて、変換フィルタ手段は、複数のサブ変換フィルタ手段によりフィルタリング処理を順次行う。
【0047】
項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のサンプリングレート変換ユニットにおいて、前記ロウパスフィルタ手段は、fc=π/6、π/4をそれぞれ満たす遮断周波数を有するように構成する。
【0048】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、ロウパスフィルタ手段はfc=π/6、π/4を有すればよい。
【0049】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のサンプリングレート変換ユニットを備えたサンプリングレート変換装置において、前記出力信号にディジタル・ディザを付加してディザ付加出力信号として出力するディザ付加手段を備えて構成する。
【0050】
請求項5記載の発明によれば、ディザ付加手段は、出力信号にディジタル・ディザを付加してディザ付加出力信号として出力する。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記ディジタルディザは、矩形ディザであるように構成する。
【0051】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の作用に加えて、ディザ付加手段は、出力信号に矩形ディザを付加してディザ付加出力信号として出力する。
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記ディジタルディザは、フラットディザであるように構成する。
【0052】
請求項7記載の発明によれば、請求項5記載の発明の作用に加えて、ディザ付加手段は、出力信号にフラットディザを付加してディザ付加出力信号として出力する。
請求項8の発明は、請求項5記載の発明において、前記ディジタルディザは、ハイパスディザであるように構成する。
【0053】
請求項8記載の発明によれば、請求項5記載の発明の作用に加えて、ディザ付加手段は、出力信号にハイパスディザを付加してディザ付加出力信号として出力する。
請求項9記載の発明は、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記ディザ付加出力信号のノイズシェーピングを行い、ディザ・ノイズシェーピング出力信号を出力するノイズシェーピング手段を備えて構成する。
【0054】
請求項9記載の発明によれば、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の発明の作用に加えて、ノイズシェーピング手段は、ディザ付加出力信号のノイズシェーピングを行い、ディザ・ノイズシェーピング出力信号を出力する。
請求項10記載の発明は、96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]のうちのいずれか一のサンプリング周波数である第1サンプリング周波数を有する入力信号を96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]あるいは32[kHz]のサンプリング周波数のうちいずれかのサンプリング周波数である第2サンプリング周波数を有する出力信号に変換して出力するサンプリングレート変換方法において、前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて、前記入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングするオーバーサンプリング工程と、前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比で前記オーバーサンプリング工程後の信号のフィルタリング処理を行なう変換フィルタ工程と、所定の遮断周波数で前記フィルタリング工程後の信号の低域成分を通過させるロウパスフィルタ工程と、前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて前記低域成分信号通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングするダウンサンプリング工程と、を備え、前記プロトタイプフィルタは、48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するバンド幅を有するように構成する。
【0055】
請求項10記載の発明によれば、オーバーサンプリング工程は、第1サンプリング周波数第2サンプリング周波数に基づいて、入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングする。
変換フィルタ工程は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比でオーバーサンプリング工程後の信号のフィルタリング処理を行なう。
【0056】
ロウパスフィルタ工程は、所定の遮断周波数でフィルタリング工程後の信号の低域成分を通過させる。
ダウンサンプリング工程は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいて低域成分信号通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングする。
変換フィルタ工程は、最も条件の厳しい48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するバンド幅を有するプロトタイプフィルタを用いてフィルタリング処理を行う。
【0057】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記変換フィルタ工程は、ポリフェーズフィルタにより前記オーバーサンプリング工程後の信号に直接フィルタリング処理を行うように構成する。
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の発明の作用に加えて、変換フィルタ工程は、ポリフェーズフィルタによりオーバーサンプリング工程後の信号に直接フィルタリング処理を行う。
【0058】
請求項12記載の発明は、請求項10または請求項11記載の発明において、前記変換フィルタ工程は、複数のサブ変換フィルタ工程を有するマルチ・ステージ構成とするように構成する。
請求項12記載の発明によれば、請求項10または請求項11記載の発明の作用に加えて、変換フィルタ工程は、複数のサブ変換フィルタ工程を有するマルチ・ステージ構成とされ、フィルタリング処理を多段階に分けて行う。
【0060】
項13記載の発明は、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の発明において、前記ダウンサンプリング工程後の信号にディジタル・ディザを付加するディザ付加工程を備えて構成する。
【0061】
請求項13記載の発明によれば、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の発明の作用に加えて、ディザ付加工程は、ダウンサンプリング工程後の信号にディジタル・ディザを付加する。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記ディザ付加後の信号ノイズシェーピングを行うノイズシェーピング工程を備えて構成する。
請求項14記載の発明によれば、請求項13記載の発明の作用に加えて、ノイズシェーピング工程は、ディザ付加後の信号のノイズシェーピングを行う。
【0062】
請求項15記載の発明は、請求項10ないし請求項14のいずれかに記載のサンプリングレート変換方法において、前記ロウパスフィルタ工程は、fc=π/6、π/4をそれぞれ満たす複数の遮断周波数を有するように構成する。
請求項15記載の発明によれば、請求項10ないし請求項14のいずれかに記載の発明の作用に加えて、ロウパスフィルタ手段は、fc=π/6、π/4を有すればよい。
【0063】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1に実施形態のサンプリングレート変換装置の概要構成ブロック図を示す。
サンプリングレート変換装置1は、大別すると、96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]の4種類のサンプリング周波数のうちいずれか一のサンプリング周波数であるサンプリング周波数fIN(第1サンプリング周波数に相当)を有する入力信号DINを96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]あるいは32[kHz]のサンプリング周波数のうちいずれかのサンプリング周波数であるサンプリング周波数fOUT(第2サンプリング周波数に相当)を有する出力信号DOUTに変換して出力するサンプリングレート変換ユニット1Aと、入力信号DINを再量子化して出力信号DOUTを得る際に発生する信号の欠落や高調波歪み等を補償するために出力信号DOUTにディザ付加及びノイズシェーピングを行って補償出力信号DOUT1として出力するディザ・ノイズシェイパユニット1Bと、を備えて構成されている。
【0064】
サンプリングレート変換ユニット1Aは、入力信号DINのサンプリング周波数fINに基づいて、入力信号DINをそのまま通過(through)させ、あるいは、2倍オーバーサンプリング(図中、↑2で示す。)することによりサンプリング信号DSとして出力するオーバーサンプリング部2と、サンプリング周波数fIN及びサンプリング周波数fOUTに基づいて変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比でサンプリング信号DSのフィルタリング(=オーバーサンプリング(インターポレーション)及びダウンサンプリング(デシメーション))を行いフィルタリング信号DFを出力する変換フィルタ部3と、後述する所定の遮断特性を有し、フィルタリング信号DFの低域成分を通過して低域成分信号DLPを出力するロウパスフィルタ4と、サンプリング周波数fIN及びサンプリング周波数fOUTに基づいて低域成分信号DLPをそのまま通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリング(図1中、↓2で示す。)あるいは、1/3ダウンサンプリング(図1中、↓3で示す。)して出力信号DOUTとして出力するダウンサンプリング部5と、を備えて構成されている。
【0065】
なお、サンプリングレート変換装置1は、実際には、3個のDSP(Digital Signal Processor)で構成されており、第1のDSP(図1中、DSP1で示す。)により、オーバーサンプリング部2及び変換フィルタ部3が構成されている。
【0066】
また、第2のDSP(図1中、DSP2で示す。)は、左(L)チャンネル側のロウパスフィルタ4、ダウンサンプリング部5及びディザ・ノイズシェイパユニット1Bを構成し、及び第3のDSP(図1中、DSP3で示す。)は右(R)チャンネル側のロウパスフィルタ4、ダウンサンプリング部5及びディザ・ノイズシェイパユニット1Bを構成している。
【0067】
オーバーサンプリング部2は、96[kHz]→32/44.1/48/96[kHz]変換動作時及び88.2[kHz]→32/44.1/48/88.2[kHz]変換動作時は、0点挿入を行わず、入力信号DINをそのまま通過(through)させるともに、それ以外の変換動作ではでは0点挿入を行って2倍オーバーサンプリング処理をする。
【0068】
また、オーバーサンプリング部2における2倍オーバーサンプリングは0点挿入だけなので実際には単独で行う必要はない。従って、実際には、その後の160(若しくは147)倍とする処理と合わせ、320/147(若しくは294/160)倍とする処理として行っている。
【0069】
ここで、変換フィルタ部の共用について詳細に説明する。
変換フィルタ部3としては、本来、変換レートごとに別々の特性のフィルタを設ける必要がある。なお、L/Mサンプリングレート変換とM/Lサンプリングレート変換は同じでよいので4種類あればよい。
【0070】
図2ないし図9に本実施形態における全フラクショナルレート変換過程(32[kHz]出力の場合を除く。)を示す。
しかし図1に示したサンプリングレート変換装置1のように、マルチ・ステージ構成で図11に示すような変換レートとすると、図2ないし図9から分かるように、
▲1▼ 44.1[kHz]/48[kHz]
→32[kHz]、44.1[kHz]、
48[kHz]、88.2[kHz]、96kHz変換動作
▲2▼ 88.2[kHz]→48[kHz]変換動作
▲3▼ 96[kHz]→44.1[kHz]変換動作
等の変換動作は、全て初段のオーバーサンプリング後のサンプリング周波数が同じになり、変換フィルタ部3に要求されるフィルタ特性も非常に近いものとなり、変換フィルタ部3の共用が可能となっている。
【0071】
ところで、88.2[kHz]→96[kHz]変換動作時、96[kHz]→88.2[kHz]変換動作時は、サンプリング周波数が倍となっており、変換フィルタ部3のフィルタ係数も別のものを用意する必要があるように思われるが、フィルタの周波数特性も倍に引き伸ばしたものとなっているため、フィルタ係数は同じでよく、変換フィルタ部3を共用できるのである。
【0072】
結局のところ、一番フィルタ特性が要求される、すなわち、トランジッションバンド幅の狭い48[kHz]→88.2[kHz]変換の要求を満たすフィルタ特性を有するフィルタをプロトタイプフィルタとして用いることにより、1種類のフィルタ係数で全フラクショナル変換レートに対応できるのである。
【0073】
但し、ロウパスフィルタ4を構成するフィルタは、4種類(fc=π/6,π/4,fc<π/4,fc>π/4)が必要である。
これらの結果、ロウパスフィルタ4を構成するフィルタが150〜350タップであるのに対して、変換フィルタ部3は約3520タップ必要であるので、トータルのタップ係数メモリは大幅に削減されることとなる。
【0074】
上述した変換フィルタ部3の共用条件を満たした変換フィルタ部3の周波数特性を図10に示す。
24ビットのノイズフロアは、146.2[dB]であるので、フィルタのリップルは後述するマルチ・ステージ・フィルタ構成を考慮にいれて−152[dB]程度で設計すれば良い。
【0075】
しかしながら、有限タップ長のフィルタを後述のポリ・フェーズ分解すると、それぞれのフェーズ間でゲインの誤差が生じ、DC入力時に出力レベルがばらつくことがある。
これを解決するには、各フェーズのフィルタのDCゲインが同じになるようにイタレーションを行ってタップ係数を調整すればよいが、本実施形態では、後述するように、1つのプロトタイプフィルタで全フラクショナルレートに対応しているため、変換レートを変える度に調整をしなければならず、また、第1のDSPの出力は折り返し雑音を含んでいるため、DCを入力しても出力には高調波(当然倍音ではなくイメージ成分)が現れる。
【0076】
したがって、実際はDCゲインの調整は行えないため、変換フィルタ部3をオーバスペックで設計することにより、この問題を回避している。
つまり許容リップルを−158[dB]程度で設計してタップ係数を多めに持つことにより、ポリフェーズ化後もゲインのばらつきが24ビットLSBより十分小さくなるようにしているのである。
【0077】
図11に3個のDSPをオーバーサンプリング部2、変換フィルタ部3、ロウパスフィルタ部4及びダウンサンプリング部5として機能させる場合の実際の変換比を示す。
例えば、入力信号DINのサンプリング周波数fIN=44.1[kHz]、出力信号DOUTのサンプリング周波数fOUT=32[kHz]の場合のサンプリングレート変換を行う場合の、第1のDSPの変換比は、図11(a)に示すように、
2*[160/147]
であり、オーバーサンプリング部2で2倍オーバーサンプリングを行い、変換フィルタ部3の変換比として、160/147を用い、ロウパスフィルタ部4のゲインはオーバーサンプリング部2と合わせて320倍であることがわかる。
【0078】
一方、第2及び第3のDSPの変換比は、図11(b)に示すように、
1/3
であり、ダウンサンプリング部5として1/3ダウンサンプリングを行うことがわかる。
【0079】
また、入力信号DINのサンプリング周波数fIN=88.2[kHz]、出力信号DOUTのサンプリング周波数fOUT=48[kHz]の場合のサンプリングレート変換を行う場合の、第1のDSPの変換比は、
1*[160/147]
であり、オーバーサンプリング部2では0点挿入を行わず、入力信号DINをそのまま通過(through)させ、変換フィルタ部3の変換比として、160/147を用い、ロウパスフィルタ部4のゲインは160倍であることがわかる。
【0080】
一方、第2及び第3のDSPの変換比は、
1/2
であり、ダウンサンプリング部5として1/2ダウンサンプリングを行うことがわかる。
【0081】
この場合において、変換フィルタ部3は、後述するマルチ・ステージ・フィルタを用い、各マルチ・ステージ・フィルタを後述するポリ・フェーズ・フィルタ化することにより、大幅な演算量の削減を行っている。
ここで、演算量及び装置規模を低減させるべく、本実施形態で採用しているマルチ・ステージ・フィルタ、ポリ・フェーズ・フィルタについて説明する。
【0082】
マルチ・ステージ・フィルタ
サンプリングレート変換におけるインターポレーションレートあるいはデシメーションレートの少なくとも一方が大きい数の場合、変換フィルタ部3を1段(シングル・ステージ)で構成する場合と比較して、変換フィルタ部3を多段(マルチ・ステージ)に分割して構成することによりフィルタのタップ数を減らせる可能性がある。
【0083】
具体的には、fIN=44.1[kHz]→fOUT=48[kHz]のサンプリングレート変換を、シングル・ステージ・フィルタで行う場合及びマルチ・ステージ・フィルタで行う場合を例として説明する。
この場合のサンプリングレート変換を行うに手順は、図12(b)に示すように、以下のようになる。
【0084】
▲1▼ まず、サンプリング周波数を44.1[kHz]と48[kHz]の公倍数の周波数とするために、160倍オーバーサンプリングを行う。
▲2▼ 次に急峻な遮断特性を持つフィルタで、160倍オーバーサンプリング信号からイメージ成分(図12(b)中、破線で示す。)を取り除く。
【0085】
▲3▼ イメージ成分が取り除かれた160倍オーバーサンプリング信号を1/147ダウンサンプリングを行う。
ここで、160倍オーバーサンプリング信号からイメージ成分を取り除くためのフィルタリングに必要な演算量を試算してみる。
【0086】
等リップルフィルタのタップ数Nは、以下の式(1)で与えられることが知られている。
【0087】
【数1】
Figure 0003836947
【0088】
例えば、以下の条件でフィルタ設計を行う場合について考察する。
δp=−150[dB]
δs=−150[dB]
ΔF=2[kHz]
この結果、シングル・ステージの場合に必要なフィルタのタップ数NSは、
NS =32377(FS=160×44.1[kHz])
となる。
【0089】
ここで1/147ダウンサンプリングを行うフィルタを、図12(a)に示すように、1/49ダウンサンプリングを行う第1段フィルタと1/3ダウンサンプリング行う第2段フィルタとに分けて、マルチ・ステージ化した場合を考える。
【0090】
この場合、最終的には不要な帯域であるが、1/49ダウンサンプリングした段階では、(44.1/2)[kHz]〜(48×3−44.1/2)[kHz]の帯域が存在する。
この帯域は後で取り除けば、この段階では折り返し雑音があっても良い。
【0091】
したがってシングル・ステージで構成したフィルタのように急峻な遮断特性を有するフィルタは必要なく、図12(a)に示すような、緩やかな遮断特性のフィルタでよい。つまり、高い周波数段階では緩やかな(タップ数の少ない=演算量の少ない)フィルタを用い、周波数が低くなったところで急峻なフィルタで折り返し雑音を取り除いてやればよい。この場合のフィルタは、以下の条件で設計する。
【0092】
Figure 0003836947
この場合、マルチ・ステージ・フィルタ構成とすると、総合特性のリップルは各ステージのリップルを乗じたものとなるので注意する必要がある。従って、各ステージのパスバンドリップルδpはこれを考慮する必要がある。なお、ストップバンドリップルδsは抑圧方向となるので考慮せず、そのままで良い。
【0093】
従って、第1段(第1ステージ)で必要な第1段フィルタのタップ数Nm1は、
Nm1=656(FS=160×44.1[kHz])
となり、第2段(第2ステージ)で必要な第2段フィルタのタップ数Nm2は、
Nm2=671(FS=3×48[kHz])
となる。
【0094】
従って、シングル・ステージでフィルタを構成した場合と比較して大幅に演算量が削減される。
ポリ・フェーズ・フィルタ
次にポリ・フェーズ・フィルタについて図13を参照して説明する。
【0095】
サンプリングレート変換の原理説明では、一旦L倍にインターポレーションを行い、その後1/Mにデシメーションを行うことによりL/M倍のサンプリングレート変換を行うと述べた。
しかしこの方法では、最終的に必要なサンプリングレートはL/M倍であるにもかかわらず、途中でL倍のサンプリングレートのデータが発生することとなる。 そこでサンプリングレート変換処理を、図13に示すように、時間軸での処理に書き直し、検討することとする。
【0096】
そのサンプリングレート変換処理の過程を見ると、以下に示す無駄な演算が存在することが分かる。
▲1▼ 図13(b)に示す0点挿入後のオーバーサンプリングデータを、図13(c)に示すプロトタイプLPFを用いて図13(d)に示すデータを算出するフィルタリング処理においてオーバーサンプリングデータの三つに二つは0データであるため、これら二つの0データについては演算を行う必要はない。
【0097】
従って、実際に演算が必要なのは、三つのうち一つのオーバーサンプリングデータだけである。
すなわち、ある演算タイミングにおいて、図13(d)の1つのデータを算出するのに必要なフィルタ係数は、図13(c)に示すプロトタイプLPFの五つのフィルタ係数のうち、三つに一つの割合で存在し、データを算出するのに不必要なフィルタ係数は、三つに二つの割合で存在することとなる。
【0098】
具体的には、ある演算タイミングにおいて、五つのフィルタ係数のうち、一つまたは二つのフィルタ係数はデータ算出に必要なフィルタ係数である(図13中、実線矢印で示す。)。
また、五つのフィルタ係数のうち、三つまたは四つのフィルタ係数はデータ算出に不必要なフィルタ係数である(具体的には、図13中、破線矢印で示す。)。
【0099】
▲2▼ 図13(d)のデータから図13(e)のデータに間引くに際し、二つに一つのデータを捨てられてしまう。
したがって、演算を行う必要がないデータあるいは最終的に採用されないデータを算出する演算を省けば、演算量を低減させることが可能となる。
【0100】
そこで以上の無駄な演算を省いたのがポリ・フェーズ・フィルタである。
より詳細には、元々のフィルタ係数の(L−1)個おきの係数を採ってL組のフィルタを作り(この操作をポリフェーズ分解と呼ぶ)、これらを切り替えることにより(フィルタの畳み込み演算器のメモリは共通で、係数器だけを切り替えれば良い)、L倍のサンプリングレートのデータを発生することなく、入力データ(図13(a)参照)からフィルタリングデータ(図13(e)参照)を直接算出することができる。
【0101】
ここで、ポリ・フェーズ分解について図14及び図15を参照して具体的に説明する。
図14に3/2サンプリングレート変換のポリ・フェーズ分解の処理を示す。
3/2サンプリングレート変換の場合には、元々のプロトタイプフィルタPF(図14(c)左側参照)のフィルタ係数の(3−1)個おきの係数を採って3組のサブフィルタを作り(図14(c)右側参照)、これらのサブフィルタを切り替えてサンプリングレート変換を行う。
【0102】
すなわち、第1フェーズ(図14中、フェーズ0で示す。)では、第1サブプロトタイプフィルタFS1を用い、第2フェーズ(図14中、フェーズ1で示す。)では、第2サブフィルタFS2を用い、第3フェーズ(図14中、フェーズ2で示す。)では、第3サブフィルタFS3を用いてフィルタリング処理を行うことにより、オーバーサンプリングデータ(図14(a)参照)から、図14(b)及び図14(d)に示すようなデータ状態を経ることなく、直接フィルタリングデータ(図14(e)参照)を算出することができる。
【0103】
この場合において、サブフィルタFS1〜FS3の切替は、フィルタの畳み込み演算器のメモリは共通で、係数器だけを切り替えれば良い。
図15に2/3変換のポリ・フェーズ分解の処理を示す。
2/3サンプリングレート変換の場合には、元々のプロトタイプフィルタPF(図15(c)左側参照)のフィルタ係数の(2−1)個おきの係数を採って2組のサブフィルタを作り(図15(c)右側参照)、これらのサブフィルタを切り替えてサンプリングレート変換を行う。
【0104】
すなわち、第1フェーズ(図15中、フェーズ0で示す。)では、第1サブプロトタイプフィルタFS11を用い、第2フェーズ(図15中、フェーズ1で示す。)では、第2サブフィルタFS12を用いてフィルタリング処理を行うことにより、オーバーサンプリングデータ(図15(a)参照)から、図15(b)及び図15(d)に示すようなデータ状態を経ることなく、直接フィルタリングデータ(図15(e)参照)を算出することができる。
【0105】
この場合においても、サブフィルタFS11〜FS12の切替は、フィルタの畳み込み演算器のメモリは共通で、係数器だけを切り替えれば良い。
このポリ・フェーズ分解処理により、以下のような二つのメリットがある。
▲1▼ ソフトウェアにおいては、演算スピードが上がり、ハードウェアにおいてはクロック周波数が低くても良い。
【0106】
▲2▼ ソフトウェア、ハードウェアともに、多くのメモリを必要としない。
ポリフェーズフィルタの数式表現
次にポリフェーズフィルタを一般化するため、ポリフェーズフィルタの数式表現について考察する。
【0107】
まず、図16に示すようなサンプリングレート変換システムを考える。
この時、各信号の関係は以下のようになる。
v(k)は、w(k)とh(k)のコンボルーション(Convolution)であるから、
【0108】
【数2】
Figure 0003836947
【0109】
w(k)は、x(n)のサンプル点の間にL−1個の0点を挿入したものであるから、rを整数とすると、
w(l)=x(l/L) :l/L=r
w(l)=0 :l/L≠r …(3)
よってv(k)は、
【0110】
【数3】
Figure 0003836947
【0111】
と表される。またy(m)は、v(k)をMサンプルに1つとったものであるから、
y(m)=v(Mm) …(5)
よって、入出力の関係は次式で与えられる。
【0112】
【数4】
Figure 0003836947
【0113】
ここで、
mM%L
は、m・MをLで割った剰余である。
次に入出力のインデックス関係を明らかにするために、式(3)、式(5 )から、
r=int(mM/L)−n …(7)
とおく。すると式(6)は以下のようになる。
【0114】
【数5】
Figure 0003836947
【0115】
このとき、h[nL+mM%L]は各フェーズの係数組を表しており、それらを
m(n)=h[nL+mM%L] …(9)
とおけば、
m(n)=gm+rL(n) :r=0,±1,±2,… …(10)
の関係がある。
【0116】
さらに、プロトタイプフィルタのタップ数Nを、Lの整数倍、N=QLとすると、
【0117】
【数6】
Figure 0003836947
【0118】
となる。Qは各フェーズのフィルタのタップ数である。これより、mが0〜L−1で入出力関係が一巡し、その時、入力ポインタは0〜M−1まで進むことが分かる。
換言すれば、M個の新規入力データから、L個のデータが出力され、ブロックごとの演算が可能であることを示している。
【0119】
したがって、入力バッファとして“M+Q−1”の長さがあれば、1出力サンプル毎にgm%L の係数組を用いてコンボルーションを行い、L個の出力データを発生することができる。
図17(a)にL=3,M=2の場合の実際のポインタの値の説明図を示し、図17(b)にその演算に“M+Q−1”の容量のリングバッファを適用した場合のリングバッファの状態を示す。
【0120】
図17(a)に示すように、3個の出力データを得るためには2個の新規入力データが必要であり、その間、3組の係数組が用いられることが分かる。
そこで、リングバッファを用いた場合は、以下のような手順で演算を行えばよい。
【0121】
▲1▼ リングバッファの内容を0で初期化;ポインタ=0
▲2▼ 2個の新規入力データ読み込み
【0122】
【数7】
Figure 0003836947
【0123】
の演算
▲4▼ 先頭ポインタを+2移動
▲5▼ ▲2▼〜▲4▼の処理を繰り返し
このように、原理的には、入出力の周波数が近い場合は多くの演算量が要求されることになるが、その分はポリフェーズ化によって削減ができる。
【0124】
従って、どのような変換比であっても、入出力レート以上に演算レートを上げることなくレート変換を行うことができる。
ディザ・ノイズ・シェーパーユニット
次にディザ・ノイズシェーパユニット1Bについて、ディザとノイズシェーパとに分けて説明する。
【0125】
より短い語長への再量子化が行われる場合(演算により語長が増えた場合も含む)、特に低レベル信号において信号の欠落や高調波歪み等の発生が起こり得る。これらを補償するため、ディザ、あるいはディザとノイズ・シェーパーの組み合わせが用いられる。
【0126】
ディジタル・ディザ
通常の量子化では閾値が固定であるため、量子化ステップより小さな変化は量子化により情報が失われてしまうことがある。
しかし、これにあるノイズを加えて閾値を越えさせれば閾値を変化させるのと同様の効果があり、量子化ステップより小さな変化も保存される。
【0127】
これにより非線形な伝達関数により発生する低レベル信号入力時の高調波歪みも、除去したり、抑制することができる。
その結果、本来量子化ステップ幅で階段状に変化する量子化器の非線形な伝達特性が線形化されることとなる。
【0128】
このような付加ノイズをディザと呼ぶ。
図18にディジタル・ディザ付加装置1B1の概要構成ブロック図を示す。
このとき、出力の平均値を
【0129】
【数8】
Figure 0003836947
【0130】
ディザ付加による出力ノイズをνn(V)と表記すると、
【0131】
【数9】
Figure 0003836947
【0132】
となることが望ましい。
ディザは再生時に取り除くことが理想であるが一般的には困難であり、ノイズレベルの上昇とのトレードオフになる。しかし実際にはディザの付加によりダイナミックレンジは広がり、ノイズレベルの上昇もノイズシェーパーとの併用により改善または回避できる。
【0133】
A: 矩形(R−pdf)ディザ
ある区間で一様な乱数をディザとして用いたものを矩形(Rectangular-pdf)ディザという。
ディザの値としては、±1/2LSBをピークとするバイポーラディザが良い。+の値だけではオフセットが発生してしまうからである。
【0134】
また、ディザのビット数が少ないとディザのランダム性が悪くなり、量子化ノイズを白色化(ホワイトノイズ化)できず不都合である。さらにビット数が多ければ多いほど、変換のリニアリティも良くなる。
また、量子化器はミッドトレッド量子化器(0.5を加算してから0.1の位で切り捨て処理を行う量子化器)を用いる。この場合、ディザのビット数が十分大きいとすると、
【0135】
【数10】
Figure 0003836947
【0136】
となり、量子化器の伝達特性が線形化される。
量子化ステップをhとすると、±h/2で一様なノイズvのpdf p(v)は、
【0137】
【数11】
Figure 0003836947
【0138】
であり、矩形ディザDr(n)は、
Dr(n)=ν(n)
である。
矩形ディザのノイズレベル
ノイズが一様に分布するとするとそのpdf Pr(x)は、
【0139】
【数12】
Figure 0003836947
【0140】
平均電力は、
【0141】
【数13】
Figure 0003836947
【0142】
したがって、ノイズの平均電力Nrdは量子化ノイズの平均電力Nqと合わせ、
【0143】
【数14】
Figure 0003836947
【0144】
となり、Nqだけの場合に比べ
【0145】
【数15】
Figure 0003836947
【0146】
S/Nが劣化することとなる。
B: T−pdf(フラット)ディザ
±1/2LSBのディザは、量子化器の伝達特性を線形化できるが、このレベルではノイズと入力信号に相関が生まれ、入力信号によってノイズパワーが変動するノイズ変調が発生する。
【0147】
ノイズ変調をなくすには、ディザのピークレベルを上げればよいが、ただノイズのレベルを上げただけでは、ノイズ変調も量子化ノイズも抑えることはできずノイズレベルが上がるだけである。
そこで相関のない2つのノイズを加えてレベルを上げると、ノイズ変調を抑えることができる。
【0148】
またここで3つ以上のノイズを加えても、ノイズレベルの上昇なしにノイズ変調特性の改善を行うことはできない。そのpdfは中央極限定理によるガウス分布の粗い近似で三角形となるため、これをT(=Triangular)-pdfディザと呼んでいる。
【0149】
ディザとしては±1/2LSBをピークとする2つの相関のないノイズを加えると、
【0150】
【数16】
Figure 0003836947
【0151】
となり、量子化器の伝達特性を線形化するとともに、ノイズ変調もなくすことができる。
T−pdfディザDt(n)は、±h/2で一様で、お互いに無相関な2つのノイズをそれぞれv1,v2とすると、
Dt(n)=ν1(n)+ν2(n)
である。
【0152】
T−pdfディザのノイズレベル
T−pdfディザは、矩形ディザを2つ足したものであるから、
【0153】
【数17】
Figure 0003836947
【0154】
となり、
【0155】
【数18】
Figure 0003836947
【0156】
となって、S/Nが劣化する。したがって、矩形ディザに比べてさらにS/Nが1.76dB劣化するがノイズ変調を避けることができ、ディザとしては最適な特性が得られる。
C: ハイパスT−pdfディザ
T−pdfディザにおいて、2つの別の乱数を用いる替わりに1つ前の乱数を引くことにより、ディザにハイパス型の相関を持たせることができる。
【0157】
つまり、T−pdfディザと同様の性質でノイズのパワースペクトルが高域側に偏った、ハイパスディザを発生することができるのである。
これにより、別にノイズシェーパーを用いることなく、聴感上のノイズレベルを低くすることができる。
【0158】
T−pdfハイパスディザDh(n)は、
Dh(n)=v(n)−v(n−1)
である。
平均ノイズレベルはT−pdfディザと同じであるが、ノイズのパワースペクトルが高域側に偏っているため、聴感上のダイナミックレンジはT−pdfディザよりも広くなる。
【0159】
ディザの効果
図19に(±16bit-LSB)振幅の正弦波を単に16ビットにミッドトレッド量子化した場合(図19(a)参照)と、±16bit-LSB振幅の正弦波にR−pdf,T−pdf、T−pdfハイパスディザをそれぞれ加えて量子化した場合(図19(b)〜(d)参照)の波形を示す。
【0160】
図19(b)〜(d)に示すように、波形を見ると、ディザを付加した場合はノイジーになっているようにしか見えない。
これらの波形の時間平均をとったものを図20に示す。
±16bit-LSB振幅の正弦波を単に16ビットにミッドトレッド量子化した場合(図20(a)参照)及び±16bit-LSB振幅の正弦波にR−pdf,T−pdf、T−pdfハイパスディザをそれぞれ加えて量子化した場合(図20(b)〜(d)参照)についてそれぞれ128回の時間平均をとった場合の、各pdf、スペクトラム及び波形である。
【0161】
ディザを加えた場合、通常矩形波になってしまう微小レベル信号の平均波形がきれいな正弦波となっていることが分かる。
つまりディザを加えることで元の正弦波との差信号が白色化され、その成分と量子化前の信号成分とをはっきり聞き分けられるようになるのである。
【0162】
次により具体的に説明する。
図21にCDから再生した±16bit-LSB振幅の997[Hz]正弦波スペクトルを示す。
このレベルでは波形は矩形波となるため、多くの高調波が発生している。
【0163】
しかしこれにT−pdfハイパスディザを加えると、図22に示すように、高調波歪みが白色化され、聴感上の歪みがかなり抑えられる。
さらに、図21の±16bit-LSB振幅の正弦波スペクトルの信号と同じレベルの信号を24ビットで入力すれば、図23に示すように16ビットに丸めても高調波歪みの発生はなくなる。
【0164】
このように量子化器による非線形歪みが、ディザを加えることにより白色化されていることがわかり、これは、ステップ状に変化する量子化器の非線形特性が線形化されていることを意味する。
これらのスペクトルは全て44.1[kHz]→48[kHz]変換を行ったときのものであるが、1/1を含め全ての変換比で同じことが言える。
【0165】
さらに、通常16ビットでは表現できない(±18bit-LSB)の信号を入力した場合には、ディザを加えない場合、当然出力には何も現れない。
しかしディザを加えることにより、図24に示すように、16ビットで18ビットLSBの信号を表現することができている。
【0166】
ノイズ・シェーピング
ノイズシェーパーの概要構成ブロック図を図25に示す。
ノイズシェーピングは、量子化ノイズをフィードバックすることにより、聴感上のノイズレベルを低減する技術である。
【0167】
ノイズに聴感上感度の良い周波数帯域のパワーを低く、感度の悪い周波数帯域のパワーを高くするような周波数特性を持たせることができれば、聴感上のダイナミックレンジを広げることができ、ディザにより増加したノイズレベルを聴感上落とすこともできる。
【0168】
また、ノイズシェーパーは、量子化ノイズのみをフィードバックしているため、入力信号自体は影響を受けないという特徴がある。
この場合において、ノイズの周波数特性を目的通りにシェーピングするには、ディザを加えることによりノイズを白色化しておく事が重要である。
【0169】
なぜなら、ノイズシェーピングだけでは、微小レベル信号での高調波歪みの発生は免れることができないからであり、高調波歪みごとシェーピングされると、これらがかえって耳につくようになってしまうからである。
図25の構成において入力信号をs、ディザも含めた量子化ノイズをe、シェーピング後の量子化ノイズをe’とすると、
s’+e=s+e’
であるから、z領域のs’は以下の2通りの式で表現できる。
【0170】
s’(z)=s(z)+e’(z)−e(z)
s’(z)=s(z)−H(z)e(z)
これらから
e’(z)=[1−H(z)]e(z)
が求まる。ここでz=ejwT (Tはサンプリング間隔)とおけばH(z)の周波数応答はH(ejwT )で表される。したがってeが白色化されていれば、その周波数特性は|1−H(ejwT )|で重み付けがされることになる。
【0171】
シェーピングフィルタの設計
ノイズシェーピングフィルタは情報理論より、チャネル容量を保つために以下の条件を満たす必要がある。
(1) 1−H(ejwT )は最小位相でなければならない。
【0172】
(2) 1−H(z)の対数パワースペクトル密度(PSD)の平均は0でなければならない。
設計手順としては以下のようになる。
▲1▼ 目的のシェーピング特性を、対数PSDの平均が0になるよう正規化する。 これが、実際の最小位相ノイズシェーパーの周波数応答
|1−H(ejwT ) |2
を表す。
【0173】
▲2▼ 1−H(ejwT )を決定するため、これが最小位相となるよう、位相を求める。
実際には、最小位相であれば振幅と位相はヒルベルトの関係にあるので、振幅特性のヒルベルト変換により位相特性が求まる。これにより、1−H(ejwT )が一意に定まる。
【0174】
▲3▼ 1−H(ejwT )をIFFTし、ノイズシェーパーのインパルス応答h(n)を求める。
▲4▼ IFFTのポイント数Nよりフィルタのタップ数Mが少ない場合、ハーフハニングウインドウなどを使用してh(0)〜h(M)を係数から切り出す。
【0175】
Mはフィルタのタップ数であり、ここで求まるのは1−H(z)である。
1−H(z)=h(0)+h(1)z-1+h(2)z-2+…h(M)z-M
ここで、手順▲1▼、▲2▼が正しく行われていれば、h(0)=1.0 となる。
▲5▼ ノイズシェーピングフィルタH(z)のインパルス応答は、▲4▼より、
H(z)=z-1[−h(1)−h(2)z-1−…−h(M)z-(M-1)
これよりフィルタのタップ係数−h(1),−h(2),…−h(M)が求まる。
【0176】
ノイズシェーパーの効果
ディザとノイズ・シェーパーとを併用すれば、1LSBよりはるかに小さな信号さえ再生することができる。
つまり高精度な信号をディザとシェーパーを使用してビットを切りつめれば、たとえばCD(16ビット)から、通常20ビット以上でなければ表せない信号も再生できるようになる。
【0177】
図26に、18ビットのLSBをピークとする997 Hzの正弦波をノイズシェーパーだけを用いて16ビットに丸めた場合のスペクトルを示し、図27にノイズシェーパーループ内でT−pdfディザを加えて丸めた場合のスペクトルを示す。
【0178】
図26及び図27に示すように、ディザがない場合、信号より高いレベルの高調波ノイズが発生しているが、ディザを加えた場合高調波ノイズの発生はないことがわかる。
さらに図28に示すように、20ビットLSBの信号もディザが加えてあれば16ビットで再生できる。
【0179】
このシェーパー特性では、ディザがないとこのレベルの信号を入力しても出力は現れない。つまり、シェーパーだけでは17〜18ビット精度しか得られないが、ディザを加えることで19〜20ビット精度が得られている。
また、図29に示すように、最小可聴帯域曲線を近似したような特性のシェーピングフィルタを使った場合、〜14[kHz]まで21ビットLSBの信号も再生できる。したがってシェーピングフィルタ特性次第では、16ビットで聴感上ほぼ完全に20ビット以上の精度を得ることもできる。
【0180】
以上の説明のように、本実施形態によれば、入力信号のサンプリング周波数と出力信号のサンプリング周波数の比を用いて直接的にサンプリングレート変換を行うので、図30(10.007[kHz]の場合)に示すように、図36に示した場合と異なり、入力信号のクロックのタイムジッタや絶対偏差に影響を受けることなく高精度な変換が行える。
【0181】
この変換に際し、マルチ・ステージ・フィルタやポリ・フェーズ・フィルタを用いることにより演算量及びメモリ容量を低減することが可能となり、ハードウェアを用いたリアルタイム高精度変換を行うことが可能となっている。
また、変換フィルタ部におけるリップルは−155[dB]以下に抑制されており、96[kHz]×24ビットサンプリング入力にもフルに対応が可能となっている。
【0182】
さらに総合フィルタ特性は急峻な遮断特性を有することとなっており、折り返し雑音が発生することもない。
さらにまた、サンプリングレート変換ユニットの後段にディザ・ノイズシェーパユニットを設けることにより音質劣化のない変換や、16ビット出力時においても高精度な信号を得ることが可能となっている。
【0183】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、オーバーサンプリング手段は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいて、入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングすることによりサンプリング信号として変換フィルタ手段に出力し、変換フィルタ手段は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比でサンプリング信号のフィルタリング処理を行いフィルタリング信号をロウパスフィルタ手段に出力し、ロウパスフィルタ手段は、フィルタリング信号の低域成分を通過して低域成分信号をダウンサンプリング手段に出力し、ダウンサンプリング手段は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいて低域成分信号を通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングして出力信号として出力するので、タイムジッタや絶対偏差に影響されない高精度なサンプリングレート変換を行うことができる。
【0184】
また、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数の組み合わせにかかわらず、装置構成の共用化が図れ、装置構成を簡略化することができる。
さらに、変換フィルタ手段は、最も条件の厳しい48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するバンド幅を有するプロトタイプフィルタを用いてフィルタリング処理を行っているので、全てのサンプリングレート変換において、共通したフィルタで処理を行うことができ、装置構成を簡略化できるにもかかわらず、高精度な変換が行える。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、変換フィルタ手段は、ポリフェーズフィルタによりサンプリング信号からフィルタリング信号を直接生成するので、演算量を低減でき、ハードウェア及びソフトウェアの規模を小さくすることができるので、ハードウェアを用いたリアルタイム高精度変換を行うことが可能となっている。
【0186】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加えて、変換フィルタ手段は、複数のサブ変換フィルタ手段によりフィルタリング処理を順次行うので、周波数の高い前段に急峻なフィルタ特性を有するフィルタ手段を構成する必要がなく、装置構成を簡略化できるにもかかわらず、折り返し雑音等が出力されるのを防止して、高音質を維持することができる。
【0188】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ロウパスフィルタは、fc=π/6、π/4をそれぞれ満たす遮断周波数を有すればよい。
【0189】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ディザ付加手段は、出力信号にディジタル・ディザを付加してディザ付加出力信号として出力するので、量子化ステップよりも小さな波形変化を保存することが可能となるとともに、波形歪みの少ない高品位なサンプリングレート変換が行える。
【0190】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、ディザ付加手段は、出力信号に矩形ディザを付加してディザ付加出力信号として出力するので、量子化ノイズを白色化することが可能となり、高品位な出力信号が得られる。
【0191】
請求項7記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、ディザ付加手段は、出力信号にフラットディザを付加してディザ付加出力信号として出力するので、ノイズ変調の発生を抑制して、量子化ノイズを白色化することが可能となり、高品位な出力信号が得られる。
【0192】
請求項8記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、ディザ付加手段は、出力信号にハイパスディザを付加してディザ付加出力信号として出力するので、ノイズ変調の発生を抑制して、量子化ノイズを白色化することが可能となり、高品位な出力信号が得られるとともに、聴感上のノイズレベルを低減することが可能となる。
【0193】
請求項9記載の発明によれば、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ノイズシェーピング手段は、ディザ付加出力信号のノイズシェーピングを行い、ディザ・ノイズシェーピング出力信号を出力するので、入力信号に影響を与えることなく、1LSBよりも小さな信号を再生することが可能となる。
【0194】
請求項10記載の発明によれば、オーバーサンプリング工程は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいて、入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングし、変換フィルタ工程は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比でオーバーサンプリング工程後の信号のフィルタリング処理を行ない、ロウパスフィルタ工程は、所定の遮断周波数でフィルタリング工程後の信号の低域成分を通過させ、ダウンサンプリング工程は、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数に基づいて低域成分信号通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングするので、タイムジッタや絶対偏差に影響されない高精度なサンプリングレート変換を行うことができる。
また、変換フィルタ工程は、最も条件の厳しい48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するバンド幅を有するプロトタイプフィルタを用いてフィルタリング処理を行っているので、全てのサンプリングレート変換において、共通したフィルタで処理を行うことができ、装置構成を簡略化できるにもかかわらず、高精度な変換が行える。
【0195】
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の発明の効果に加えて、変換フィルタ工程は、ポリフェーズフィルタによりオーバーサンプリング工程後の信号に直接フィルタリング処理を行うので、演算量を低減でき、ハードウェア及びソフトウェアの規模を小さくすることができ、ハードウェアを用いたリアルタイム高精度変換を実現することが可能となる。
【0196】
請求項12記載の発明によれば、請求項10または請求項11記載の発明の効果に加えて、変換フィルタ工程は、複数のサブ変換フィルタ工程を有するマルチ・ステージ構成とされ、フィルタリング処理を多段階に分けて行うので、周波数の高い前段に急峻なフィルタ特性を有するフィルタを用いる必要がなく、装置構成を簡略化でき、折り返し雑音等が出力されるのを防止して、高音質を維持することができる。
【0198】
請求項13載の発明によれば、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ディザ付加工程は、ダウンサンプリング工程後の信号にディジタル・ディザを付加するので、量子化ノイズを白色化することが可能となり、高品位な出力が得られる。
【0199】
請求項14記載の発明によれば、請求項13記載の発明の効果に加えて、ノイズシェーピング工程は、ディザ付加後の信号のノイズシェーピングを行うので、入力信号に影響を与えることなく、1LSBよりも小さな信号を再生することが可能となる。
請求項15記載の発明によれば、請求項10ないし請求項14の発明の効果に加えて、ロウパスフィルタ工程は、fc=π/6、π/4をそれぞれ満たす複数の遮断周波数を有すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】サンプリングレート変換装置の概要構成ブロック図である。
【図2】48[kHz]→88.2[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図3】48[kHz]→44.1[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図4】44.1[kHz]→96[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図5】44.1[kHz]→48[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図6】96[kHz]→88.2[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図7】96[kHz]→44.1[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図8】88.2[kHz]→96[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図9】88.2[kHz]→48[kHz]変換スペクトルの説明図である。
【図10】変換フィルタの周波数特性の説明図である。
【図11】具体的変換比の説明図である。
【図12】マルチ・ステージ・フィルタの説明図である。
【図13】ポリ・フェーズ・フィルタの説明図である。
【図14】3/2変換ポリフェーズ分解の説明図である。
【図15】2/3変換ポリフェーズ分解の説明図である。
【図16】ポリ・フェーズ・フィルタの数式表現考察のための説明図である。
【図17】ポリ・フェーズ・フィルタの具体的演算の説明図である。
【図18】ディジタルディザ付加装置の概要構成ブロック図である。
【図19】ディジタルディザの付加状態の説明図である。
【図20】ディザ付加状態による時間平均をとった場合のpdf、スペクトル及び波形の説明図である。
【図21】CDから再生した±16ビットLSB振幅の997[Hz]正弦波スペクトルの説明図である。
【図22】図21の信号にT−pdfハイパスディザを付加した場合のスペクトルの説明図である。
【図23】24ビット入力T−pdfハイパスディザ付加の場合のスペクトルの説明図である。
【図24】18ビットLSB24ビット入力T−pdfハイパスディザ付加の場合のスペクトルの説明図である。
【図25】ディザ付加回路の概要構成ブロック図である。
【図26】18ビットLSB入力の場合のスペクトルの説明図である。
【図27】18ビットLSB入力ディザ付加の場合のスペクトルの説明図である。
【図28】20ビットLSB入力ディザ付加の場合のスペクトルの説明図である。
【図29】21ビットLSB入力ディザ付加の場合のスペクトルの説明図である。
【図30】本実施形態の効果の説明図である。
【図31】従来の3/2サンプリングレート変換の説明図である。
【図32】従来の2/3サンプリングレート変換の説明図である。
【図33】従来の同期式直接変換の説明図である。
【図34】サンプリングレート変換における原理的変換比の説明図である。
【図35】従来の非同期式間接変換の説明図である。
【図36】従来の非同期式間接変換の問題点の説明図である。
【符号の説明】
1 サンプリングレート変換装置
1A サンプリングレート変換ユニット
1B ディザ・ノイズシェーパユニット
2 オーバーサンプリング部
3 変換フィルタ部
4 ロウパスフィルタ
5 ダウンサンプリング部
DF フィルタリング信号
DIN 入力信号
DOUT 出力信号
DS サンプリング信号
fIN サンプリング周波数
fOUT サンプリング周波数

Claims (15)

  1. 96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]のうちのいずれか一のサンプリング周波数である第1サンプリング周波数を有する入力信号を96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]あるいは32[kHz]のサンプリング周波数のうちいずれかのサンプリング周波数である第2サンプリング周波数を有する出力信号に変換して出力するサンプリングレート変換ユニットにおいて、
    前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて、前記入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングすることによりサンプリング信号として出力するオーバーサンプリング手段と、
    前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比で前記サンプリング信号のフィルタリング処理を行いフィルタリング信号を出力する変換フィルタ手段と、
    所定の遮断周波数を有し、前記フィルタリング信号の低域成分を通過して低域成分信号を出力するロウパスフィルタ手段と、
    前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて前記低域成分信号通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングして前記出力信号として出力するダウンサンプリング手段と、を備え、
    前記変換フィルタ手段は、48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するトランジッションバンド幅を有するプロトタイプフィルタを備えている
    ことを特徴とするサンプリングレート変換ユニット。
  2. 請求項1記載のサンプリングレート変換ユニットにおいて、
    前記変換フィルタ手段は、プロトタイプフィルタの複数のフィルタ係数に基づいて複数のフェーズに対応する複数のサブフィルタを生成し、前記サブフィルタを切り換えることによりポリフェーズフィルタを構成し、前記ポリフェーズフィルタにより前記サンプリング信号から前記フィルタリング信号を直接生成することを特徴とするサンプリングレート変換ユニット。
  3. 請求項1または請求項記載のサンプリングレート変換ユニットにおいて、
    前記変換フィルタ手段は、複数のサブ変換フィルタ手段が多段接続されたマルチ・ステージ構成とされていることを特徴とするサンプリングレート変換ユニット。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のサンプリングレート変換ユニットにおいて、
    前記ロウパスフィルタ手段は、fc=π/6、π/4をそれぞれ満たす複数の遮断周波数を有することを特徴とするサンプリングレート変換ユニット。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載のサンプリングレート変換ユニットを備えたサンプリングレート変換装置において、
    前記出力信号にディジタル・ディザを付加してディザ付加出力信号として出力するディザ付加手段を備えたことを特徴とするサンプリングレート変換装置。
  6. 請求項5記載のサンプリングレート変換装置において、
    前記ディジタルディザは、矩形ディザであることを特徴とするサンプリングレート変換装置。
  7. 請求項5記載のサンプリングレート変換装置において、
    前記ディジタルディザは、フラットディザであることを特徴とするサンプリングレート変換装置。
  8. 請求項5記載のサンプリングレート変換装置において、
    前記ディジタルディザは、ハイパスディザであることを特徴とするサンプリングレート変換装置。
  9. 請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のサンプリングレート変換装置において、
    前記ディザ付加出力信号のノイズシェーピングを行い、ディザ・ノイズシェーピング出力信号を出力するノイズシェーピング手段を備えたことを特徴とするサンプリングレート変換装置。
  10. 96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]のうちのいずれか一のサンプリング周波数である第1サンプリング周波数を有する入力信号を96[kHz]、88.2[kHz]、48[kHz]、44.1[kHz]あるいは32[kHz]のサンプリング周波数のうちいずれかのサンプリング周波数である第2サンプリング周波数を有する出力信号に変換して出力するサンプリングレート変換方法において、
    前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて、前記入力信号を通過させ、あるいは、2倍オーバーサンプリングするオーバーサンプリング工程と、
    前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいてプロトタイプフィルタを用いて、変換比147/160、変換比160/147あるいは変換比1/1のいずれか一の変換比で前記オーバーサンプリング工程後の信号のフィルタリング処理を行なう変換フィルタ工程と、
    所定の遮断周波数で前記フィルタリング工程後の信号の低域成分を通過させるロウパスフィルタ工程と、
    前記第1サンプリング周波数及び前記第2サンプリング周波数に基づいて前記低域成分信号通過させ、若しくは、1/2ダウンサンプリングあるいは、1/3ダウンサンプリングするダウンサンプリング工程と、を備え、
    前記プロトタイプフィルタは、48[kHz]のサンプリング周波数を有する入力信号を88.2[kHz]のサンプリング周波数を有する出力信号に変換する場合に相当するトランジッションバンド幅の内側に存在するバンド幅を有することを特徴とするサンプリングレート変換方法。
  11. 請求項1記載のサンプリングレート変換方法において、
    前記変換フィルタ工程は、ポリフェーズフィルタにより前記オーバーサンプリング工程後の信号に直接フィルタリング処理を行うことを特徴とするサンプリングレート変換方法。
  12. 請求項1または請求項1記載のサンプリングレート変換方法において、
    前記変換フィルタ工程は、複数のサブ変換フィルタ工程を有するマルチ・ステージ構成とされていることを特徴とするサンプリングレート変換方法。
  13. 請求項1ないし請求項1のいずれかに記載のサンプリングレート変換方法において、
    前記ダウンサンプリング工程後の信号にディジタル・ディザを付加するディザ付加工程を備えたことを特徴とするサンプリングレート変換方法。
  14. 請求項1記載のサンプリングレート変換方法において、
    前記ディザ付加後の信号ノイズシェーピングを行うノイズシェーピング工程を備えてことを特徴とするサンプリングレート変換方法。
  15. 請求項10ないし請求項14のいずれかに記載のサンプリングレート変換方法において、
    前記ロウパスフィルタ工程は、fc=π/6、π/4をそれぞれ満たす複数の遮断周波数を有することを特徴とするサンプリングレート変換方法。
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