JP3851724B2 - 連続熱処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、浸炭や焼入に使用する連続熱処理装置に関し、特に、冷却室でのガス雰囲気制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の連続熱処理装置は、熱処理炉の下流側に冷却室と真空室とを連続して配置し、熱処理炉と冷却室との間、冷却室と真空室との間及び真空室の出口部にそれぞれ扉を配置し、真空室出口部の外側にフレームカーテンを形成していた。この場合、熱処理は炉内での雰囲気ガスの組成、温度、滞留時間が重要であり、特に連続式熱処理炉の場合、炉内搬送中に徐々に加熱処理されるものであるから最下流側部分の雰囲気組成が重要であり、この部分での雰囲気組成に変動があると製品欠陥が生じることになる。一方、この最下流側部分は処理した製品を冷却室側へ取り出すために、熱処理炉内と冷却室とが連通することになるから、冷却室側の雰囲気ガスが熱処理炉側に流入しないように熱処理炉内の圧力を冷却室内の圧力よりも僅かに高く設定するとともに、冷却室内を熱処理炉内と同じ変成ガス雰囲気に保持している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、冷却室内も熱処理炉の内部と同じ変成ガス雰囲気になっていることから、この冷却室内で熱処理温度(例えば930℃)から所定の温度(例えば300℃)まで冷却すると、雰囲気ガス中のCOガスによるスーティング現象から、冷却室内にススを発生させる。このススは冷却室内での搬送機構であるローラの下側に堆積し、ローラの転動を阻害することになる。このため、従来では、冷却室の清掃を週に1回程度の頻度で行わなければならなかった。このため、熱処理炉の運転停止が頻繁になって運転効率が低下するうえ、清掃作業はローラ間の下側部分を清掃することになるため、作業者にとって大きな負担となっていた。
【0004】
また、従来の連続熱処理装置では、真空室でガス置換した状態で製品を取り出すのであるが、真空室の取出口の外側にフレームカーテンを形成して真空室と外部の大気とを遮断するようにしていることから、作業環境を悪化させるという問題もあった。
【0005】
本発明はこのような点に着目してなされたもので、冷却室でのスーティングの発生を抑制し、かつ、安全性及び作業環境を改善することのできる連続熱処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明は、変成ガスを使用している連続熱処理炉の下流側に配設した冷却室にガス供給路を介して不活性ガス供給源を接続し、ガス供給路に介装したガス流量調整弁を熱処理炉と冷却室との間に配置した開閉扉の開閉作動に連動して開閉するように構成し、このガス流量調整弁は、開閉扉が非閉止姿勢にある状態では冷却室への不活性ガスの供給を遮断し、開閉扉が全閉姿勢になってから一定時間の間は大流量供給状態になるとともに、一定時間経過後は小流量供給状態になるように開閉制御されていることを特徴としている。
【0007】
【発明の作用】
本発明は、冷却室に不活性ガスを供給可能にし、この不活性ガス供給路に配置したガス流量調整弁を冷却室と熱処理炉との間に配置した開閉扉の開閉作動に連動して開閉するように構成し、開閉扉が非閉止姿勢にある状態では冷却室への不活性ガス供給を遮断し、開閉扉が全閉姿勢に切換わってから一定時間は大流量で不活性ガスを供給するとともに、一定時間経過後は小流量で不活性ガスを供給するようにガス流量調整弁を開閉制御するように構成してあるので、ワークを熱処理炉から冷却室に移送する際には、この種の熱処理炉においては通常熱処理炉内の圧力が冷却室内の圧力よりも僅かに高圧にしてあることから、冷却室側から熱処理炉に冷却室内の雰囲気ガスが侵入することはなく、冷却室にはワークとともに熱処理炉の雰囲気ガスが流れ込むことになる。そして、熱処理炉と冷却室との連通口部分に配置した開閉扉が完全に閉じ切ると窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガスを大流量で冷却室内に一定時間供給して、冷却室内に流入してきた熱処理炉の雰囲気ガスを不活性ガスで置換し、一定時間経過後、不活性ガスを小流量流し続けるようにしていることから、冷却室内ではスーティングの原因となるCOガスがなくなることから、熱処理炉に比べて格段に低い雰囲気温度の冷却室内でのススの発生がなくなることになる。
【0008】
これにより、冷却室内の清掃サイクルを大幅に延長することができるうえ、真空室に可燃性・毒性ガスである熱処理雰囲気ガスが入り込むことがなくなることから、真空室の出口部外側に排出ガス燃焼処理用のフレームカーテンを形成しておかなくてもよくなり、作業環境の悪化を抑制することができることになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図は連続式熱処理装置の概略構成図であり、図中符号(1)は連続搬送式の熱処理炉、(2)は熱処理炉(1)の搬送方向下流側で熱処理炉(1)と連続する状態で配置した水冷式の冷却室、(3)は冷却室(2)の下流側で冷却室(2)と連続する状態で配置された真空室であり、熱処理炉(1)と冷却室(2)の間の連通口(4)には開閉扉(5)が、また冷却室(2)と真空室(3)との間の連通口(6)には開閉扉(7)がそれぞれ配置してある。また、真空室(3)の下流側に形成した取出口(8)にも開閉扉(9)が配置してある。
【0010】
各開閉扉(5)・(7)・(9)は制御装置(10)からの指令で関連づけて開閉できるようにしてあり、開閉扉(5)と開閉扉(7)及び開閉扉(7)と開閉扉(9)はいずれも同時に開閉作動しないようにしてある。
【0011】
冷却室(2)はガス供給路(11)を介して窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガス供給源(12)に連通接続してあり、このガス供給路(11)に前記制御装置(10)の指令に基づいて開閉作動するガス流量調整弁(13)が装着してある。また、冷却室(2)から排気路(14)が導出してあり、この排気路(14)は燃焼装置(15)に接続されている。さらに、真空室(3)から真空排気路(16)と外気取入路(17)とが連出してある。
【0012】
この連続式熱処理装置では、熱処理炉(1)内に吸熱型変成ガスを供給圧がゲージ圧で300mmAq程度を維持する状態で供給することにより熱処理炉内を変成ガス雰囲気に構成している。この変成ガス雰囲気内で加熱処理されたワークは熱処理炉(1)と冷却室(2)の間の連通口(4)から冷却室(2)内に移送される。
【0013】
冷却室(2)にはガス供給路(11)から不活性ガスで供給圧がゲージ圧200mmAq程度の内圧を維持する状態に供給されている。したがって、ワークが熱処理炉(1)から冷却室(2)に移送される際、ワークとともに熱処理炉(1)内の雰囲気ガスである変成ガスが冷却室(2)に流入することになる。この冷却室(2)内に流入してきた変成ガスを冷却室(2)と真空室(3)との間に配置した開閉扉(7)が開くまでの間にガス供給路(11)から不活性ガスを注入して置換し、冷却室(2)内を不活性ガス雰囲気に維持する。
【0014】
ちなみに、本実施態様では、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間の連通口(4)に配置した開閉扉(5)は10分間隔で開閉し、冷却室(2)と真空室(3)との間に配置した開閉扉(7)は前記開閉扉(5)の開閉作動に対して6分遅れて10分間隔で開閉するようにしてある。
【0015】
そして冷却室(2)では、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間に配置した開閉扉(5)が開き始めると同時にガス供給路(11)に配置したガス流量調整弁(13)を全閉にして不活性ガスの供給を停止し、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間に配置した開閉扉(5)が閉じ切るとガス供給路(11)に配置したガス流量調整弁(13)を開弁して不活性ガスを大流量(例えば25m3/h)で供給を始めるとともに、制御装置(10)内のタイマーでの計時を開始する。タイマーがあらかじめ設定した時間(例えば5分)を経過すると、ガス流量調整弁(13)の開度を絞って冷却室(2)に不活性ガスを小流量(例えば10m3/h)で継続的に供給する。ここで、タイマーに設定する流量調整弁(13)の流量を絞るまでの時間は、冷却室(2)に接続している燃焼装置(15)での燃焼状態が完全消火の状態、すなわち、冷却室(2)内が不活性ガスで完全に置換されるまでの時間を基準に余裕をみて決定することになる。
【0016】
ワークが冷却室(2)を経て真空室(3)に移送されてくると、搬入ワークとともに冷却室(2)内の雰囲気ガス(不活性ガス)も真空室(3)に流入するから、そのままワークを装置外に取り出すと、その雰囲気ガスが作業場に流出して作業環境を悪化させることになる。このため真空室(3)では、ワークガス移送され、冷却室(2)と真空室(3)との間に配置した開閉扉(7)が閉じきると、真空排気路(16)から真空室(3)内の雰囲気ガスを排出し、外気取入路(17)から大気を取り入れ、真空室(3)内の雰囲気が大気雰囲気になると、真空室(3)の下流側に位置する開閉扉(9)を開けてワークを装置外に搬出するようにしてある。
【0017】
このように、真空室(3)内の雰囲気は不活性ガスあるいは大気であることから、真空室(3)内の雰囲気ガスが大気と完全に置換されていなくても、そこに混入するガスは微量の不活性ガスであるから、仮にこのガスが装置外に漏れ出すことがあっても、特別な処理を施さなくてもよい。
【0018】
以上のように構成した連続式熱処理装置では、熱処理炉(1)から冷却室(2)にワークを移送する際に、冷却室(2)側での内圧が熱処理炉(1)よりも低い上に、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間の開閉扉(5)が非閉止姿勢の間は冷却室(2)への不活性ガス供給を停止するようにしてあるので、熱処理炉(1)側に不活性ガスが流入することがなく、熱処理に悪影響を及ぼすことはない。また、冷却室(2)と熱処理炉(1)との間の開閉扉(5)が閉じると一定時間大流量で、その時間が経過する閉じると小流量で不活性ガスを冷却室(2)に供給して、ワーク搬入とともに流入してきた熱処理炉内ガスを短時間でパージし、常時不活性ガス雰囲気に保つようにしているから、冷却室(2)内でのスーティング現象が抑制され、ほとんどススが生じることはない。これにより、冷却室(2)での清掃作業を3カ月に1度位の頻度にまで減らすことが可能となった。また、冷却室(2)に続く真空室(3)の雰囲気は不活性ガスか大気であることから、真空室(3)の下流側にフレームカーテンを形成しなくてもよくなり、作業環境の改善が図れる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、冷却室に不活性ガスを供給可能にし、この不活性ガス供給路に配置したガス流量調整弁を冷却室と熱処理炉との間に配置した開閉扉の開閉作動に連動して開閉するように構成し、開閉扉が非閉止姿勢にある状態では冷却室への不活性ガス供給を遮断し、開閉扉が全閉姿勢に切換わってから一定時間は大流量で不活性ガスを供給するとともに、一定時間経過後は小流量で不活性ガスを供給するようにガス流量調整弁を開閉制御するように構成してあるので、ワークを熱処理炉から冷却室に移送する際には、冷却室側から熱処理炉に冷却室内の雰囲気ガスが侵入することがなく、熱処理炉での熱処理に悪影響を及ぼすことなく良好な熱処理を行うことができる。
【0020】
また本発明では、熱処理炉と冷却室との連通口部分に配置した開閉扉が完全に閉じ切ると窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガスを大流量で冷却室内に一定時間供給して、冷却室内に流入してきた熱処理炉の雰囲気ガスを不活性ガスで迅速に置換し、一定時間経過後に不活性ガスを小流量流し続けるようにしていることから、冷却室内ではスーティング現象の原因となるCOガスがなくなることから、熱処理炉に比べて格段に低い雰囲気温度の冷却室内でのススの発生がなくなることになる。これにより、冷却室での清掃を含むメンテナンス作業のサイクルを長期化することができ、熱処理炉の運転効率を高めることができるうえ、メンテナンス作業による作業者の負担を軽減することができる。
【0021】
さらに、冷却室を不活性ガス雰囲気に形成していることから、可燃性・毒性ガスである熱処理雰囲気ガスが真空室に入り込むことがなくなることから、真空室の出口部外側に排出ガス燃焼処理用のフレームカーテンを形成しておかなくてもよくなり、フレームカーテン形成に伴って生じていた熱・油煙による作業環境の悪化を無くすことができ、作業環境の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続式熱処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…熱処理炉、2…冷却室、3…真空室、、5…開閉扉11…ガス供給路、12…不活性ガス供給源、13…ガス流量調整弁。
【発明の属する分野】
本発明は、浸炭や焼入に使用する連続熱処理装置に関し、特に、冷却室でのガス雰囲気制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の連続熱処理装置は、熱処理炉の下流側に冷却室と真空室とを連続して配置し、熱処理炉と冷却室との間、冷却室と真空室との間及び真空室の出口部にそれぞれ扉を配置し、真空室出口部の外側にフレームカーテンを形成していた。この場合、熱処理は炉内での雰囲気ガスの組成、温度、滞留時間が重要であり、特に連続式熱処理炉の場合、炉内搬送中に徐々に加熱処理されるものであるから最下流側部分の雰囲気組成が重要であり、この部分での雰囲気組成に変動があると製品欠陥が生じることになる。一方、この最下流側部分は処理した製品を冷却室側へ取り出すために、熱処理炉内と冷却室とが連通することになるから、冷却室側の雰囲気ガスが熱処理炉側に流入しないように熱処理炉内の圧力を冷却室内の圧力よりも僅かに高く設定するとともに、冷却室内を熱処理炉内と同じ変成ガス雰囲気に保持している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、冷却室内も熱処理炉の内部と同じ変成ガス雰囲気になっていることから、この冷却室内で熱処理温度(例えば930℃)から所定の温度(例えば300℃)まで冷却すると、雰囲気ガス中のCOガスによるスーティング現象から、冷却室内にススを発生させる。このススは冷却室内での搬送機構であるローラの下側に堆積し、ローラの転動を阻害することになる。このため、従来では、冷却室の清掃を週に1回程度の頻度で行わなければならなかった。このため、熱処理炉の運転停止が頻繁になって運転効率が低下するうえ、清掃作業はローラ間の下側部分を清掃することになるため、作業者にとって大きな負担となっていた。
【0004】
また、従来の連続熱処理装置では、真空室でガス置換した状態で製品を取り出すのであるが、真空室の取出口の外側にフレームカーテンを形成して真空室と外部の大気とを遮断するようにしていることから、作業環境を悪化させるという問題もあった。
【0005】
本発明はこのような点に着目してなされたもので、冷却室でのスーティングの発生を抑制し、かつ、安全性及び作業環境を改善することのできる連続熱処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明は、変成ガスを使用している連続熱処理炉の下流側に配設した冷却室にガス供給路を介して不活性ガス供給源を接続し、ガス供給路に介装したガス流量調整弁を熱処理炉と冷却室との間に配置した開閉扉の開閉作動に連動して開閉するように構成し、このガス流量調整弁は、開閉扉が非閉止姿勢にある状態では冷却室への不活性ガスの供給を遮断し、開閉扉が全閉姿勢になってから一定時間の間は大流量供給状態になるとともに、一定時間経過後は小流量供給状態になるように開閉制御されていることを特徴としている。
【0007】
【発明の作用】
本発明は、冷却室に不活性ガスを供給可能にし、この不活性ガス供給路に配置したガス流量調整弁を冷却室と熱処理炉との間に配置した開閉扉の開閉作動に連動して開閉するように構成し、開閉扉が非閉止姿勢にある状態では冷却室への不活性ガス供給を遮断し、開閉扉が全閉姿勢に切換わってから一定時間は大流量で不活性ガスを供給するとともに、一定時間経過後は小流量で不活性ガスを供給するようにガス流量調整弁を開閉制御するように構成してあるので、ワークを熱処理炉から冷却室に移送する際には、この種の熱処理炉においては通常熱処理炉内の圧力が冷却室内の圧力よりも僅かに高圧にしてあることから、冷却室側から熱処理炉に冷却室内の雰囲気ガスが侵入することはなく、冷却室にはワークとともに熱処理炉の雰囲気ガスが流れ込むことになる。そして、熱処理炉と冷却室との連通口部分に配置した開閉扉が完全に閉じ切ると窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガスを大流量で冷却室内に一定時間供給して、冷却室内に流入してきた熱処理炉の雰囲気ガスを不活性ガスで置換し、一定時間経過後、不活性ガスを小流量流し続けるようにしていることから、冷却室内ではスーティングの原因となるCOガスがなくなることから、熱処理炉に比べて格段に低い雰囲気温度の冷却室内でのススの発生がなくなることになる。
【0008】
これにより、冷却室内の清掃サイクルを大幅に延長することができるうえ、真空室に可燃性・毒性ガスである熱処理雰囲気ガスが入り込むことがなくなることから、真空室の出口部外側に排出ガス燃焼処理用のフレームカーテンを形成しておかなくてもよくなり、作業環境の悪化を抑制することができることになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図は連続式熱処理装置の概略構成図であり、図中符号(1)は連続搬送式の熱処理炉、(2)は熱処理炉(1)の搬送方向下流側で熱処理炉(1)と連続する状態で配置した水冷式の冷却室、(3)は冷却室(2)の下流側で冷却室(2)と連続する状態で配置された真空室であり、熱処理炉(1)と冷却室(2)の間の連通口(4)には開閉扉(5)が、また冷却室(2)と真空室(3)との間の連通口(6)には開閉扉(7)がそれぞれ配置してある。また、真空室(3)の下流側に形成した取出口(8)にも開閉扉(9)が配置してある。
【0010】
各開閉扉(5)・(7)・(9)は制御装置(10)からの指令で関連づけて開閉できるようにしてあり、開閉扉(5)と開閉扉(7)及び開閉扉(7)と開閉扉(9)はいずれも同時に開閉作動しないようにしてある。
【0011】
冷却室(2)はガス供給路(11)を介して窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガス供給源(12)に連通接続してあり、このガス供給路(11)に前記制御装置(10)の指令に基づいて開閉作動するガス流量調整弁(13)が装着してある。また、冷却室(2)から排気路(14)が導出してあり、この排気路(14)は燃焼装置(15)に接続されている。さらに、真空室(3)から真空排気路(16)と外気取入路(17)とが連出してある。
【0012】
この連続式熱処理装置では、熱処理炉(1)内に吸熱型変成ガスを供給圧がゲージ圧で300mmAq程度を維持する状態で供給することにより熱処理炉内を変成ガス雰囲気に構成している。この変成ガス雰囲気内で加熱処理されたワークは熱処理炉(1)と冷却室(2)の間の連通口(4)から冷却室(2)内に移送される。
【0013】
冷却室(2)にはガス供給路(11)から不活性ガスで供給圧がゲージ圧200mmAq程度の内圧を維持する状態に供給されている。したがって、ワークが熱処理炉(1)から冷却室(2)に移送される際、ワークとともに熱処理炉(1)内の雰囲気ガスである変成ガスが冷却室(2)に流入することになる。この冷却室(2)内に流入してきた変成ガスを冷却室(2)と真空室(3)との間に配置した開閉扉(7)が開くまでの間にガス供給路(11)から不活性ガスを注入して置換し、冷却室(2)内を不活性ガス雰囲気に維持する。
【0014】
ちなみに、本実施態様では、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間の連通口(4)に配置した開閉扉(5)は10分間隔で開閉し、冷却室(2)と真空室(3)との間に配置した開閉扉(7)は前記開閉扉(5)の開閉作動に対して6分遅れて10分間隔で開閉するようにしてある。
【0015】
そして冷却室(2)では、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間に配置した開閉扉(5)が開き始めると同時にガス供給路(11)に配置したガス流量調整弁(13)を全閉にして不活性ガスの供給を停止し、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間に配置した開閉扉(5)が閉じ切るとガス供給路(11)に配置したガス流量調整弁(13)を開弁して不活性ガスを大流量(例えば25m3/h)で供給を始めるとともに、制御装置(10)内のタイマーでの計時を開始する。タイマーがあらかじめ設定した時間(例えば5分)を経過すると、ガス流量調整弁(13)の開度を絞って冷却室(2)に不活性ガスを小流量(例えば10m3/h)で継続的に供給する。ここで、タイマーに設定する流量調整弁(13)の流量を絞るまでの時間は、冷却室(2)に接続している燃焼装置(15)での燃焼状態が完全消火の状態、すなわち、冷却室(2)内が不活性ガスで完全に置換されるまでの時間を基準に余裕をみて決定することになる。
【0016】
ワークが冷却室(2)を経て真空室(3)に移送されてくると、搬入ワークとともに冷却室(2)内の雰囲気ガス(不活性ガス)も真空室(3)に流入するから、そのままワークを装置外に取り出すと、その雰囲気ガスが作業場に流出して作業環境を悪化させることになる。このため真空室(3)では、ワークガス移送され、冷却室(2)と真空室(3)との間に配置した開閉扉(7)が閉じきると、真空排気路(16)から真空室(3)内の雰囲気ガスを排出し、外気取入路(17)から大気を取り入れ、真空室(3)内の雰囲気が大気雰囲気になると、真空室(3)の下流側に位置する開閉扉(9)を開けてワークを装置外に搬出するようにしてある。
【0017】
このように、真空室(3)内の雰囲気は不活性ガスあるいは大気であることから、真空室(3)内の雰囲気ガスが大気と完全に置換されていなくても、そこに混入するガスは微量の不活性ガスであるから、仮にこのガスが装置外に漏れ出すことがあっても、特別な処理を施さなくてもよい。
【0018】
以上のように構成した連続式熱処理装置では、熱処理炉(1)から冷却室(2)にワークを移送する際に、冷却室(2)側での内圧が熱処理炉(1)よりも低い上に、熱処理炉(1)と冷却室(2)との間の開閉扉(5)が非閉止姿勢の間は冷却室(2)への不活性ガス供給を停止するようにしてあるので、熱処理炉(1)側に不活性ガスが流入することがなく、熱処理に悪影響を及ぼすことはない。また、冷却室(2)と熱処理炉(1)との間の開閉扉(5)が閉じると一定時間大流量で、その時間が経過する閉じると小流量で不活性ガスを冷却室(2)に供給して、ワーク搬入とともに流入してきた熱処理炉内ガスを短時間でパージし、常時不活性ガス雰囲気に保つようにしているから、冷却室(2)内でのスーティング現象が抑制され、ほとんどススが生じることはない。これにより、冷却室(2)での清掃作業を3カ月に1度位の頻度にまで減らすことが可能となった。また、冷却室(2)に続く真空室(3)の雰囲気は不活性ガスか大気であることから、真空室(3)の下流側にフレームカーテンを形成しなくてもよくなり、作業環境の改善が図れる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、冷却室に不活性ガスを供給可能にし、この不活性ガス供給路に配置したガス流量調整弁を冷却室と熱処理炉との間に配置した開閉扉の開閉作動に連動して開閉するように構成し、開閉扉が非閉止姿勢にある状態では冷却室への不活性ガス供給を遮断し、開閉扉が全閉姿勢に切換わってから一定時間は大流量で不活性ガスを供給するとともに、一定時間経過後は小流量で不活性ガスを供給するようにガス流量調整弁を開閉制御するように構成してあるので、ワークを熱処理炉から冷却室に移送する際には、冷却室側から熱処理炉に冷却室内の雰囲気ガスが侵入することがなく、熱処理炉での熱処理に悪影響を及ぼすことなく良好な熱処理を行うことができる。
【0020】
また本発明では、熱処理炉と冷却室との連通口部分に配置した開閉扉が完全に閉じ切ると窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガスを大流量で冷却室内に一定時間供給して、冷却室内に流入してきた熱処理炉の雰囲気ガスを不活性ガスで迅速に置換し、一定時間経過後に不活性ガスを小流量流し続けるようにしていることから、冷却室内ではスーティング現象の原因となるCOガスがなくなることから、熱処理炉に比べて格段に低い雰囲気温度の冷却室内でのススの発生がなくなることになる。これにより、冷却室での清掃を含むメンテナンス作業のサイクルを長期化することができ、熱処理炉の運転効率を高めることができるうえ、メンテナンス作業による作業者の負担を軽減することができる。
【0021】
さらに、冷却室を不活性ガス雰囲気に形成していることから、可燃性・毒性ガスである熱処理雰囲気ガスが真空室に入り込むことがなくなることから、真空室の出口部外側に排出ガス燃焼処理用のフレームカーテンを形成しておかなくてもよくなり、フレームカーテン形成に伴って生じていた熱・油煙による作業環境の悪化を無くすことができ、作業環境の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続式熱処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…熱処理炉、2…冷却室、3…真空室、、5…開閉扉11…ガス供給路、12…不活性ガス供給源、13…ガス流量調整弁。
Claims (1)
- 変成ガスを使用してワークを熱処理する連続熱処理炉(1)の下流側に冷却室(2)と真空室(3)とを連続して配設した連続熱処理装置において、
冷却室(2)にガス供給路(11)を介して不活性ガス供給源(12)を接続し、ガス供給路(11)に介装したガス流量調整弁(13)を連続熱処理炉(1)と冷却室(2)との間に介在させた開閉扉(5)の開閉作動に連動して開閉するように構成し、このガス流量調整弁(13)は、開閉扉(5)が非閉止姿勢にある状態では冷却室(2)への不活性ガスの供給を遮断し、開閉扉(5)が全閉姿勢になってから一定時間の間は大流量供給状態になるとともに、一定時間経過後は小流量供給状態になるように制御されていることを特徴とする連続熱処理装置。
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1998
- 1998-05-22 JP JP14071198A patent/JP3851724B2/ja not_active Expired - Fee Related
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