JP3851713B2 - 光ディスク再生システムのトラッキング制御装置 - Google Patents

光ディスク再生システムのトラッキング制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばCD(Compact Disk)やDVD(Digital Video Disk)等の光ディスクを再生する光ディスク再生システムに係り、特にその光学式ピックアップに対してトラッキング制御を施すためのトラッキング制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、首記の如き光ディスクを再生する光ディスク再生システムにあっては、光ディスクに微細な幅で形成されたトラックから記録情報を読み取るために、光学式ピックアップに対して高精度なトラッキング制御を施すことが必要となる。
【0003】
このトラッキング制御手段としては、記録情報の読み取り用の光ビームとは別に、トラッキング制御専用の補助光ビームを光ディスクに照射してトラッキング誤差の検出を行なう方式と、同一の光ビームを用いて記録情報の読み取りとトラッキング誤差の検出とを行なう方式とがある。
【0004】
後者の方式によるトラッキング制御手段には、光ディスクからの反射光を複数の受光領域を有する光電変換器に受光させ、各受光領域からそれぞれ出力される電気的信号の位相差に基づいてトラッキング誤差信号を生成するようにした、いわゆる位相差方式によるトラッキング誤差信号の生成手段が、一般的に使用されている。
【0005】
ところで、この位相差方式によるトラッキング誤差信号の生成手段では、光学式ピックアップの対物レンズが光ディスクの半径方向にシフトされた場合、シフト後にトラッキング誤差の無い状態、つまり、光スポットが正確にオントラック状態になったとしても、トラッキング誤差信号に直流オフセット(以下、トラッキング残留誤差という)が発生する。
【0006】
このため、位相差方式によるトラッキング誤差信号の生成手段を使用したトラッキング制御手段には、トラッキング残留誤差の補正手段を設置することが必要となる。このトラッキング残留誤差の補正手段としては、従来より、光電変換器の各受光領域からそれぞれ出力された電気的信号を、遅延手段によって選択的に遅延させる方式が、広く採用されている。
【0007】
このトラッキング誤差信号に発生するトラッキング残留誤差は、光ディスクに形成されたピットの深さ及び形状に依存するため、各光ディスク毎に固有の値となっている。このため、光ディスク再生システムでは、光ディスクを交換する毎に、トラッキング残留誤差を補正するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、CDでは、光学式ピックアップから照射されるレーザ光の波長をλとすると、そのピットの突出誤差が略λ/8〜λ/6の範囲内にあるので、トラッキング残留誤差もこの範囲に応じて発生することになる。このため、上記遅延手段としては、このピットの突出誤差の範囲内でのみ、トラッキング残留誤差を補正することができる性能のものであればよいことになる。
【0009】
一方、近時では、片面に5ギガバイトものデジタルデータを記録可能な、DVDと称される超高密度光ディスクが開発されている。このDVDでは、記録容量を高めるためにトラックピッチを狭くする反面、再生出力を高めるためにピットの深さをλ/4相当まで深くするように設計されている。
【0010】
この場合、光ディスクの製造上のばらつきも考慮すると、DVDのピットの深さは、λ/4を中心としてそれより深い部分や浅い部分が存在していることになる。すなわち、DVDでは、CDに比してトラッキング残留誤差の補正範囲が非常に広くなっている。
【0011】
このため、上述した従来のトラッキング残留誤差の補正手段では、例えばDVD等のようにピットが深く形成される光ディスクに対しても、トラッキング残留誤差を正確に補正し得るような性能を有する遅延手段を設計製作することが非常に困難であり、広範囲に亘ってのトラッキング残留誤差の補正に対処することができないという問題が生じている。
【0012】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、簡易な構成で広範囲に亘ってのトラッキング残留誤差の補正を容易に行なうことが可能である極めて良好な光ディスク再生システムのトラッキング制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光ディスク再生システムのトラッキング制御装置は、光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射するとともに、光ディスクからの反射光を複数の受光部を有する光検出器で受光する光学式ピックアップを備えた光ディスク再生システムを対象としている。
【0014】
そして、光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部を遅延するもので、その遅延量が一定の範囲内で可変可能な第1の遅延手段と、
光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の残りの部分を遅延するもので、その遅延量が、第1の遅延手段の遅延量と同じ遅延量を含んで、第1の遅延手段と逆の増加方向に可変可能に設定された第2の遅延手段と、
第1の遅延手段の出力信号の一部と第2の遅延手段の出力信号の一部とを加算する第1の加算手段と、
第1の遅延手段の出力信号の残りの部分と第2の遅延手段の出力信号の残りの部分とを加算する第2の加算手段と、
第1の加算手段の出力信号と第2の加算手段の出力信号との位相差に基づいて、光ディスクに形成されたトラックに対する対物レンズのトラッキング誤差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
光学式ピックアップの対物レンズを光ディスクの一方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とから、その中心値を算出する第1の算出手段と、
光学式ピックアップの対物レンズを光ディスクの他方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とから、その中心値を算出する第2の算出手段と、
第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値に基づいて、第1の遅延手段の遅延量と第2の遅延手段の遅延量との相対的な関係を決定する決定手段とを備え、
決定手段で決定された関係となるように、第1及び第2の遅延手段の遅延量を制御するようにしたものである。
【0015】
また、この発明に係る光ディスク再生システムのトラッキング制御装置は、光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射するとともに、光ディスクからの反射光を複数の受光部を有する光検出器で受光する光学式ピックアップを備えた光ディスク再生システムを対象としている。
【0016】
そして、光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部を遅延するもので、その遅延量が一定の範囲内で可変可能な第1の遅延手段と、
光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の残りの部分を遅延するもので、その遅延量が、第1の遅延手段と逆の増加方向に可変可能に設定された第2の遅延手段と、
第1の遅延手段の出力信号の一部と第2の遅延手段の出力信号の一部とを加算する第1の加算手段と、
第1の遅延手段の出力信号の残りの部分と第2の遅延手段の出力信号の残りの部分とを加算する第2の加算手段と、
第1の加算手段の出力信号と第2の加算手段の出力信号との位相差に基づいて、光ディスクに形成されたトラックに対する対物レンズのトラッキング誤差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
光学式ピックアップと第1及び第2の遅延手段との間に設置され、該光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の一部及び残りの部分を、第1及び第2の遅延手段にそれぞれ供給する状態と、光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の一部及び残りの部分を、第2及び第1の遅延手段にそれぞれ供給する状態とに切り替える切替手段と、
光学式ピックアップの対物レンズを光ディスクの一方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第1の算出手段と、
光学式ピックアップの対物レンズを光ディスクの他方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第2の算出手段と、
第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値に基づいて、切替手段の切替方向及び第1の遅延手段の遅延量と第2の遅延手段の遅延量との相対的な関係を決定する決定手段とを備え、
決定手段で決定された関係となるように、第1及び第2の遅延手段の遅延量及び切替手段を制御するようにしたものである。
【0017】
さらに、この発明に係る光ディスク再生システムのトラッキング制御装置は、光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射するとともに、光ディスクからの反射光を複数の受光部を有する光検出器で受光する光学式ピックアップを備えた光ディスク再生システムを対象としている。
【0018】
そして、光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部及び残りの部分を選択的に遅延するもので、その遅延量が一定の範囲内で可変可能な遅延手段と、
この遅延手段の出力信号の一部と、光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の残りの部分とを加算する第1の加算手段と、遅延手段の出力信号の残りの部分と、光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部とを加算する第2の加算手段と、
第1の加算手段の出力信号と第2の加算手段の出力信号との位相差に基づいて、光ディスクに形成されたトラックに対する対物レンズのトラッキング誤差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
光学式ピックアップと遅延手段との間に設置され、該光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の一部を遅延手段に供給する状態と、光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の残りの部分を遅延手段に供給する状態とに切り替える切替手段と、
光学式ピックアップの対物レンズを光ディスクの一方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第1の算出手段と、
光学式ピックアップの対物レンズを光ディスクの他方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第2の算出手段と、
第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値に基づいて、切替手段の切替方向及び遅延手段の遅延量を決定する決定手段とを備え、
決定手段で決定された関係となるように、遅延手段の遅延量及び切替手段を制御するようにしたものである。
【0019】
上記のような構成によれば、対物レンズを光ディスクの一方側に向けて半径方向に一定距離だけ移動させたときのトラッキング誤差信号の中心値と、対物レンズを光ディスクの他方側に向けて半径方向に一定距離だけ移動させたときのトラッキング誤差信号の中心値とに基づいて、トラッキング残留誤差をなくすことのできる遅延量を決定するようにしたので、簡易な構成で広範囲に亘ってのトラッキング残留誤差の補正を容易に行なうことが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1において、符号11は光ディスクである。この光ディスク11は、ディスクモータ12によって回転駆動されるようになっている。この光ディスク11の信号記録面側には、光ディスク11から情報を読み取るための光学式ピックアップ13が配置されている。
【0021】
この光学式ピックアップ13は、光ディスク11のトラッキング方向に移動自在に支持されている。そして、この光学式ピックアップ13は、光ディスク11のトラッキング方向に微駆動可能に支持された対物レンズ13aを介して、レーザ光を光ディスク11の信号記録面に集光させ、その反射光を光電変換器13bに受光させている。
【0022】
この光電変換器13bは、それぞれ受光量に応じた電気的信号を発生する、4つのフォトディテクタA,B,C,Dによって構成されている。この場合、図中左右方向、つまり、フォトディテクタA,B及びフォトディテクタC,Dの配列方向が、光ディスク11のトラッキング方向に対応し、図中上下方向、つまり、フォトディテクタA,D及びフォトディテクタB,Cの配列方向が、光ディスク11に形成されたトラック方向(タンジェンシャル方向)に対応している。
【0023】
これらフォトディテクタA,B,C,Dから出力される各電気的信号は、それぞれ、前置増幅回路14a,14b,14c,14dによって増幅された後、波形等化回路15a,15b,15c,15dに供給されて、エッジ位置が確定された信号に補正される。
【0024】
その後、波形等化回路15a,15bの各出力信号は、それぞれ、第1の遅延回路16a,16bを介して加算回路17a,17bの一方の入力端に供給されている。また、波形等化回路15c,15dの各出力信号は、それぞれ、第2の遅延回路16c,16dを介して加算回路17a,17bの他方の入力端に供給されている。
【0025】
すなわち、光電変換器13bを構成する4つのフォトディテクタA,B,C,Dのうち、対角的な位置関係にあるフォトディテクタA,C及びフォトディテクタB,Dから出力された各信号が、加算回路17a,17bによってそれぞれ加算されていることになる。
【0026】
上記第1の遅延回路16a,16b及び第2の遅延回路16c,16dの遅延量つまり遅延時間は、詳細は後述するが、遅延制御回路18から出力される制御電圧に応じて可変される。この遅延制御回路18は、光ディスク再生システムの動作を統括的に制御するための、例えばマイクロコンピュータ等を内蔵してなるシステム制御回路19によって制御されている。
【0027】
各加算回路17a,17bの出力信号は、共に位相差検出回路20に供給されている。この位相差検出回路20は、加算回路17a,17bから出力された両信号の位相差を検出し、その位相差に応じた検出信号をトラッキング誤差信号生成回路21に出力している。
【0028】
このトラッキング誤差信号生成回路21は、入力された検出信号に基づいてトラッキング誤差に対応したトラッキング誤差信号を生成し、ここに、位相差方式によるトラッキング誤差信号の生成が行なわれることになる。このトラッキング誤差信号生成回路21で生成されたトラッキング誤差信号は、上記システム制御回路19に供給されて、遅延制御回路18の制御に供されている。
【0029】
図2は、上記第1の遅延回路16a,16b及び第2の遅延回路16c,16dの遅延時間と、遅延制御回路18から出力される制御電圧との関係を示している。第1の遅延回路16a,16bは、共に、図2に直線aで示すように、遅延制御回路18から出力される制御電圧のレベルがV1〜V3と高くなるのに比例して遅延時間がd1〜d3と増大するような、同一の特性を有している。
【0030】
また、上記第2の遅延回路16c,16dは、共に、図2に直線bで示すように、遅延制御回路18から出力される制御電圧のレベルがV1〜V3と高くなるのに比例して遅延時間がd3〜d1と短縮されるような、同一の特性を有している。
【0031】
なお、直線a,bが交わる点、つまり、第1の遅延回路16a,16bと第2の遅延回路16c,16dとが同じ遅延時間d2となる制御電圧レベルV2は、λ/4相当の深さのピットを有する光ディスク11のトラッキング残留誤差を補正する場合の遅延時間に相当している。
【0032】
また、図3は、制御電圧レベルがV1〜V3と変化するのに伴なう、第1の遅延回路16a,16bの遅延時間1と第2の遅延回路16c,16dの遅延時間2との差(遅延時間1−遅延時間2)の変化を示している。すなわち、制御電圧レベルがV1のときには、フォトディテクタC,Dの出力信号がフォトディテクタA,Bの出力信号よりd1−d3だけ遅延され、制御電圧レベルがV3のときには、フォトディテクタA,Bの出力信号がフォトディテクタC,Dの出力信号よりd3−d1だけ遅延されている。
【0033】
次に、図4は、この第1の実施の形態における、トラッキング残留誤差の補正動作を説明するためのフローチャートを示している。まず、トラッキング残留誤差の補正が開始(ステップS1)されると、上記した光ディスク再生システムのシステム制御回路19は、ステップS2で、トラッキング制御をオフ状態に設定して光ディスク11の再生を行なわせる。
【0034】
その後、システム制御回路19は、ステップS3で、遅延制御回路18から所定レベルの制御電圧を発生させて、第1の遅延回路16a,16bの遅延時間1と第2の遅延回路16c,16dの遅延時間2とを初期設定する。この場合、初期設定される遅延時間は、第1の遅延回路16a,16bの遅延時間1と第2の遅延回路16c,16dの遅延時間2とが等しくなる遅延時間d2(遅延時間1=遅延時間2)に設定される。
【0035】
そして、システム制御回路19は、ステップS4で、光学式ピックアップ13の対物レンズ13aを光ディスク11の外側に向けて半径方向に一定距離だけ移動させ、ステップS5で、このときに得られたトラッキング誤差信号の最大値と最小値とから、その中心値1を算出する。このステップS4で対物レンズ13aを移動させる距離は、例えば対物レンズ13aに設定されたトラッキング制御の最大幅に対応し、実際には約300μmである。
【0036】
その後、システム制御回路19は、ステップS6で、光学式ピックアップ13の対物レンズ13aを光ディスク11の内側に向けて半径方向に一定距離だけ移動させ、ステップS7で、このときに得られたトラッキング誤差信号の最大値と最小値とから、その中心値2を算出する。このステップS6で対物レンズ13aを移動させる距離も、上記と同様に約300μmである。
【0037】
そして、システム制御回路19は、ステップS8で、中心値1から中心値2を減算し、その減算結果Xを保存した後、ステップS9で、この保存された値Xが予め設定された一定値以内にあるか否かを判別し、一定値以内にある(YES)と判断された場合、補正動作を終了(ステップS10)する。
【0038】
また、ステップS9で保存された値Xが一定値以内にない(NO)と判断された場合、システム制御回路19は、ステップS11で、保存された値Xの絶対値|X|に対応する、第1の遅延回路16a,16bの遅延時間1と第2の遅延回路16c,16dの遅延時間2との相対的な差(遅延時間1−遅延時間2)の絶対量|Y|を算出する。
【0039】
ここで、図5は、中心値1から中心値2を減算した結果Xと、この値Xに対応してトラッキング残留誤差をなくすことができる、第1の遅延回路16a,16bと第2の遅延回路16c,16dとの相対的な遅延時間差Yとの、対応関係を示している。つまり、Xの値に対応した遅延時間差Yに設定することにより、トラッキング残留誤差をなくすことができる。
【0040】
このように、ステップS11で遅延時間差Yの絶対量|Y|が算出されると、システム制御回路19は、ステップS12で、Xが正(X>0)であるか否かを判別する。そして、X>0である(YES)と判断された場合、システム制御回路19は、ステップS13で、Yが正の値となる制御電圧を設定してステップS4の処理に戻される。また、ステップS12でX>0でない(NO)と判断された場合、システム制御回路19は、ステップS14で、Yが負の値となる制御電圧を設定してステップS4の処理に戻される。
【0041】
上記した第1の実施の形態によれば、トラッキング方向に隣接する2つのフォトディテクタA,Bの出力と、トラッキング方向に隣接する他の2つのフォトディテクタC,Dの出力とを、制御電圧に対して遅延時間の増減方向が互いに逆向きの特性に設定された、第1の遅延回路16a,16bと第2の遅延回路16c,16dとによって、それぞれ遅延させるようにしている。
【0042】
このため、ピットの深さが、λ/4を中心としてそれより深い範囲や浅い範囲が存在する光ディスク11に対しても、広範囲に亘ってトラッキング残留誤差を補正することができるようになる。
【0043】
また、対物レンズ13aを光ディスク11の外側に向けて半径方向に一定距離だけ移動させたときのトラッキング誤差信号の中心値1と、対物レンズ13aを光ディスク11の内側に向けて半径方向に一定距離だけ移動させたときのトラッキング誤差信号の中心値2との差Xの絶対値|X|から、トラッキング残留誤差をなくすことのできる、第1の遅延回路16a,16bの遅延量と第2の遅延回路16c,16dの遅延量との相対関係を決定している。
【0044】
要するに、中心値1から中心値2を減算した結果Xの絶対値|X|から、第1の遅延回路16a,16bと第2の遅延回路16c,16dとの遅延時間差Yの絶対量|Y|を求めるとともに、この減算結果Xの正負に応じて遅延時間差Yの正負を決定するようにしているので、第1の遅延回路16a,16bと第2の遅延回路16c,16dのうち、いずれの遅延量を|Y|だけ多くすればよいかを容易に決定することができ、トラッキング残留誤差の補正を容易に行なうことができるようになる。
【0045】
次に、図6は、この発明の第2の実施の形態を示している。図6において、図1と同一部分には同一符号を付して示している。すなわち、前記波形等化回路15aの出力信号は、スイッチ22aによって、第1の遅延回路23aと第2の遅延回路23cとに選択的に供給され、前記波形等化回路15bの出力信号は、スイッチ22bによって、第1の遅延回路23bと第2の遅延回路23dとに選択的に供給されるようになっている。
【0046】
また、前記波形等化回路15cの出力信号は、スイッチ22cによって、第2の遅延回路23cと第1の遅延回路23aとに選択的に供給され、前記波形等化回路15dの出力信号は、スイッチ22dによって、第2の遅延回路23dと第1の遅延回路23bとに選択的に供給されるようになっている。
【0047】
そして、第1の遅延回路23aの出力信号と第2の遅延回路23cの出力信号とが、前記加算回路13aで加算され、第1の遅延回路23bの出力信号と第2の遅延回路23dの出力信号とが、前記加算回路17bで加算されるようになっている。
【0048】
また、スイッチ22a,22b,22c,22dは、前記システム制御回路19によって制御されるスイッチ制御回路24により、波形等化回路15a,15b,15c,15dの出力信号を、第1及び第2の遅延回路23a,23b,23c,23dにそれぞれ導く状態と、第2及び第1の遅延回路23c,23d,23a,23bにそれぞれ導く状態とに切り替え制御される。
【0049】
上記した第1の遅延回路23a,23b及び第2の遅延回路23c,23dの遅延時間は、システム制御回路19によって制御される遅延制御回路25から出力された制御電圧に応じて可変される。図図は、第1の遅延回路23a,23b及び第2の遅延回路23c,23dの遅延時間と、遅延制御回路25から出力される制御電圧との関係を示している。
【0050】
第1の遅延回路23a,23bは、共に、図7に直線aで示すように、遅延制御回路25から出力される制御電圧のレベルがV1〜V2と高くなるのに比例して遅延時間がd2〜d3と増大するような、同一の特性を有している。また、第2の遅延回路23c,23dは、共に、図7に直線bで示すように、遅延制御回路25から出力される制御電圧のレベルがV1〜V2と高くなるのに比例して遅延時間がd2〜d1と短縮されるような、同一の特性を有している。
【0051】
図8は、上記した第2の実施の形態における、トラッキング残留誤差の補正動作を説明するためのフローチャートを示している。まず、ステップS15〜S26までの各処理は、それぞれ先に図4で示したステップS1〜S12までの各処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0052】
なお、図9は、この第2の実施の形態のステップS25においての、中心値1から中心値2を減算した結果Xの絶対値|X|と、この絶対値|X|に対応してトラッキング残留誤差をなくすことができる、第1の遅延回路23a,23bと第2の遅延回路23c,23dとの相対的な遅延時間差との、対応関係を示している。
【0053】
そして、ステップS26でX>0である(YES)と判断された場合、システム制御回路19は、ステップS27で、各スイッチ22a,22b,22c,22dを図6で上側、つまり、波形等化回路15a,15b,15c,15dの出力信号が、第1及び第2の遅延回路23a,23b,23c,23dにそれぞれ導かれる状態に切り替えてステップS18の処理に戻される。
【0054】
また、ステップS26でX>0でない(NO)と判断された場合、システム制御回路19は、ステップS28で、各スイッチ22a,22b,22c,22dを図6で下側、つまり、波形等化回路15a,15b,15c,15dの出力信号が、第2及び第1の遅延回路23c,23d,23a,23bにそれぞれ導かれる状態に切り替えてステップS18の処理に戻される。
【0055】
この第2の実施の形態によれば、スイッチ22a,22b,22c,22dによって、波形等化回路15a,15b,15c,15dと第1及び第2の遅延回路23a,23b,23c,23dとの接続関係を切り替えるようにしたので、上記した第1の実施の形態と同様に、広範囲に亘ってのトラッキング残留誤差の補正を容易に行なうことが可能となる。
【0056】
特に、この第2の実施の形態では、第1及び第2の遅延回路23a,23b,23c,23dに要求される遅延時間の可変範囲が、第1の実施の形態で用いられた第1及び第2の遅延回路16a,16b,16c,16dの遅延時間の可変範囲に比して狭くて済むため、第1及び第2の遅延回路23a,23b,23c,23dの設計が容易になるという利点がある。
【0057】
次に、図10は、この発明の第3の実施の形態を示すもので、図6と同一部分には同一符号を付している。すなわち、前記波形等化回路15a,15b,15c,15dからアナログ形式で出力される信号は、A/D(Analogue/Digital)変換回路26a,26b,26c,26dに供給されて、それぞれデジタル化される。
【0058】
A/D変換回路26aの出力信号は、スイッチ22aによって、遅延回路27aを介して加算回路17aの一方の入力端と、加算回路17aの他方の入力端とに選択的に供給され、A/D変換回路26bの出力信号は、スイッチ22bによって、遅延回路27bを介して加算回路17bの一方の入力端と、加算回路17bの他方の入力端とに選択的に供給される。
【0059】
また、A/D変換回路26cの出力信号は、スイッチ22cによって、加算回路17aの他方の入力端と、遅延回路27aを介して加算回路17aの一方の入力端とに選択的に供給され、A/D変換回路26dの出力信号は、スイッチ22dによって、加算回路17bの他方の入力端と、遅延回路27bを介して加算回路17bの一方の入力端とに選択的に供給される。
【0060】
そして、上記遅延回路27a,27bの遅延時間は、前記システム制御回路19によって制御される遅延制御回路28から出力された制御電圧に応じて可変される。図11は、遅延回路27a,27bの遅延時間と、遅延制御回路28から出力される制御電圧との関係を示している。すなわち、遅延回路27a,27bは、共に、遅延制御回路28から出力される制御電圧のレベルがV1〜V2と高くなるのに比例して、遅延時間が0〜dと増大するような、同一の特性を有している。
【0061】
この第3の実施の形態では、A/D変換回路26a,26b,26c,26dの後段に接続される、遅延回路27a,27b、加算回路17a,17b、位相差検出回路20及びトラッキング誤差信号生成回路21等は、全てデジタル信号処理を行なうために論理演算要素で構成されることになる。
【0062】
このようにデジタル信号処理を行なうことにより、第1及び第2の実施の形態のように、4つの遅延回路16a〜16d,23a〜23dを用いることなく、2つの遅延回路27a,27bを用いて実現することが可能となる。すなわち、アナログ信号処理を行なう遅延回路では、その特性上、最大遅延量に対して小さい方の遅延量に最小限界があるため、2種類の遅延回路の遅延量を組み合わせることにより、小さい遅延量を得るようにしてる。
【0063】
ところが、デジタル信号処理を行なう遅延回路では、その遅延量を、ゼロから最大値まで自由に生成することができるので、小さい遅延量も容易に作ることができ、2種類の遅延回路を用いなくても済むことになる。そして、この第3の実施の形態に示される構成によっても、上記第1及び第2の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
なお、この発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、簡易な構成で広範囲に亘ってのトラッキング残留誤差の補正を容易に行なうことが可能である極めて良好な光ディスク再生システムのトラッキング制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る光ディスク再生システムのトラッキング制御装置の第1の実施の形態を示すブロック構成図。
【図2】同第1の実施の形態における第1及び第2の遅延回路の特性を説明するために示す図。
【図3】同第1の実施の形態における第1及び第2の遅延回路相互間の遅延時間差の変化を説明するために示す図。
【図4】同第1の実施の形態におけるトラッキング残留誤差の補正動作を説明するために示すフローチャート。
【図5】同第1の実施の形態におけるトラッキング残留誤差の補正動作を説明するために示す特性図。
【図6】この発明に係る光ディスク再生システムのトラッキング制御装置の第2の実施の形態を示すブロック構成図。
【図7】同第2の実施の形態における第1及び第2の遅延回路の特性を説明するために示す図。
【図8】同第2の実施の形態におけるトラッキング残留誤差の補正動作を説明するために示すフローチャート。
【図9】同第2の実施の形態におけるトラッキング残留誤差の補正動作を説明するために示す特性図。
【図10】この発明に係る光ディスク再生システムのトラッキング制御装置の第3の実施の形態を示すブロック構成図。
【図11】同第3の実施の形態における遅延回路の特性を説明するために示す図。
【符号の説明】
11…光ディスク、
12…ディスクモータ、
13…光学式ピックアップ、
14a〜14d…前置増幅回路、
15a〜15d…波形等化回路、
16a,16b…第1の遅延回路、
16c,16d…第2の遅延回路、
17a,17b…加算回路、
18…遅延制御回路、
19…システム制御回路、
20…位相差検出回路、
21…トラッキング誤差信号生成回路、
22a〜22d…スイッチ、
23a,23b…第1の遅延回路、
23c,23d…第2の遅延回路、
24…スイッチ制御回路、
25…遅延制御回路、
26a〜26d…A/D変換回路、
27a,27b…遅延回路、
28…遅延制御回路。

Claims (10)

  1. 光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射するとともに、前記光ディスクからの反射光を複数の受光部を有する光検出器で受光する光学式ピックアップを備えた光ディスク再生システムにおいて、
    前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部を遅延するもので、その遅延量が一定の範囲内で可変可能な第1の遅延手段と、
    前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の残りの部分を遅延するもので、その遅延量が、前記第1の遅延手段の遅延量と同じ遅延量を含んで、前記第1の遅延手段と逆の増加方向に可変可能に設定された第2の遅延手段と、
    前記第1の遅延手段の出力信号の一部と前記第2の遅延手段の出力信号の一部とを加算する第1の加算手段と、
    前記第1の遅延手段の出力信号の残りの部分と前記第2の遅延手段の出力信号の残りの部分とを加算する第2の加算手段と、
    前記第1の加算手段の出力信号と前記第2の加算手段の出力信号との位相差に基づいて、前記光ディスクに形成されたトラックに対する前記対物レンズのトラッキング誤差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
    前記光学式ピックアップの対物レンズを前記光ディスクの一方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、前記トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とから、その中心値を算出する第1の算出手段と、
    前記光学式ピックアップの対物レンズを前記光ディスクの他方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、前記トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とから、その中心値を算出する第2の算出手段と、
    前記第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値に基づいて、前記第1の遅延手段の遅延量と前記第2の遅延手段の遅延量との相対的な関係を決定する決定手段とを具備し、
    前記決定手段で決定された関係となるように、前記第1及び第2の遅延手段の遅延量を制御するようにしてなることを特徴とする光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  2. 前記第1及び第2の遅延手段は、互いに遅延量の可変範囲が同じであり、その遅延量の可変範囲の中央で同じ遅延量となるような特性を有していることを特徴とする請求項1記載の光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  3. 光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射するとともに、前記光ディスクからの反射光を複数の受光部を有する光検出器で受光する光学式ピックアップを備えた光ディスク再生システムにおいて、
    前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部を遅延するもので、その遅延量が一定の範囲内で可変可能な第1の遅延手段と、
    前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の残りの部分を遅延するもので、その遅延量が、前記第1の遅延手段と逆の増加方向に可変可能に設定された第2の遅延手段と、
    前記第1の遅延手段の出力信号の一部と前記第2の遅延手段の出力信号の一部とを加算する第1の加算手段と、
    前記第1の遅延手段の出力信号の残りの部分と前記第2の遅延手段の出力信号の残りの部分とを加算する第2の加算手段と、
    前記第1の加算手段の出力信号と前記第2の加算手段の出力信号との位相差に基づいて、前記光ディスクに形成されたトラックに対する前記対物レンズのトラッキング誤差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
    前記光学式ピックアップと前記第1及び第2の遅延手段との間に設置され、該光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の一部及び残りの部分を、前記第1及び第2の遅延手段にそれぞれ供給する状態と、前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の一部及び残りの部分を、前記第2及び第1の遅延手段にそれぞれ供給する状態とに切り替える切替手段と、
    前記光学式ピックアップの対物レンズを前記光ディスクの一方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、前記トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第1の算出手段と、
    前記光学式ピックアップの対物レンズを前記光ディスクの他方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、前記トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第2の算出手段と、
    前記第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値に基づいて、前記切替手段の切替方向及び前記第1の遅延手段の遅延量と前記第2の遅延手段の遅延量との相対的な関係を決定する決定手段とを具備し、
    前記決定手段で決定された関係となるように、前記第1及び第2の遅延手段の遅延量及び前記切替手段を制御するようにしてなることを特徴とする光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  4. 前記第1及び第2の遅延手段は、互いに遅延量の可変範囲が異なり、前記第1の遅延手段の遅延量の可変範囲の一端部の遅延量と、前記第2の遅延手段の遅延量の可変範囲の一端部の遅延量とが一致する特性を有していることを特徴とする請求項3記載の光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  5. 前記決定手段は、前記第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値の差に基づいて、前記第1の遅延手段の遅延量と前記第2の遅延手段の遅延量との相対的な差を決定していることを特徴とする請求項1または3記載の光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  6. 前記決定手段は、前記第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値の一方から他方を減算した結果の正負に応じて、前記第1及び第2の遅延手段のうちいずれの遅延量を多くするかを決定していることを特徴とする請求項5記載の光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  7. 前記第1及び第2の遅延手段に設定された同一の遅延量は、前記光学式ピックアップから照射される光ビームの波長をλとした場合、略λ/4相当のピット深さを有する前記光ディスクに対して、そのトラッキング残留誤差を補正し得る値であることを特徴とする請求項1または3記載の光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  8. 光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射するとともに、前記光ディスクからの反射光を複数の受光部を有する光検出器で受光する光学式ピックアップを備えた光ディスク再生システムにおいて、
    前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部及び残りの部分を選択的に遅延するもので、その遅延量が一定の範囲内で可変可能な遅延手段と、
    この遅延手段の出力信号の一部と、前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の残りの部分とを加算する第1の加算手段と、
    前記遅延手段の出力信号の残りの部分と、前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎にそれぞれ得られる出力信号の一部とを加算する第2の加算手段と、
    前記第1の加算手段の出力信号と前記第2の加算手段の出力信号との位相差に基づいて、前記光ディスクに形成されたトラックに対する前記対物レンズのトラッキング誤差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
    前記光学式ピックアップと前記遅延手段との間に設置され、該光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の一部を前記遅延手段に供給する状態と、前記光学式ピックアップの光検出器から各受光部毎に得られる出力信号の残りの部分を前記遅延手段に供給する状態とに切り替える切替手段と、
    前記光学式ピックアップの対物レンズを前記光ディスクの一方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、前記トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第1の算出手段と、
    前記光学式ピックアップの対物レンズを前記光ディスクの他方の半径方向に一定距離だけ移動させた状態で、前記トラッキング誤差信号生成手段から得られるトラッキング誤差信号の最大値と最小値とからその中心値を算出する第2の算出手段と、
    前記第1及び第2の算出手段からそれぞれ得られる中心値に基づいて、前記切替手段の切替方向及び前記遅延手段の遅延量を決定する決定手段とを具備し、
    前記決定手段で決定された関係となるように、前記遅延手段の遅延量及び前記切替手段を制御するようにしてなることを特徴とする光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  9. 前記遅延手段は、デジタル信号処理によって遅延動作を行なうものであることを特徴とする請求項8記載の光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
  10. 前記光学式ピックアップに設けられた光検出器が有する複数の受光部は、4つのフォトディテクタで構成され、前記第1及び第2の加算手段は、それぞれ対角に位置する2つのフォトディテクタから得られる信号を加算していることを特徴とする請求項1,3及び8いずれかに記載の光ディスク再生システムのトラッキング制御装置。
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