JP3850620B2 - 内燃機関の空燃比フィードバック制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の空燃比をフィードバック制御する装置に関し、特にスライディングモード制御を用いて燃焼混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スライディングモード制御を用いて空燃比のフィードバック制御を行なうことが、特開平8−232713号公報等において提案されている。
【0003】
また、特開平9−274504号公報には、超平面(切換線)上への収束状態に応じて超平面(切換線)の傾きを変更することで、平衡点(目標空燃比)への収束応答性と収束安定性とを両立させる構成の開示がある。具体的には、超平面(切換線)上に略収束している状態では傾きを増大変化させ、逆に、超平面(切換線)上に収束していない状態では傾きを減少変化させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、空燃比をフィードバック制御する場合、実際の空燃比を排気中の酸素濃度に基づいて検出するのが一般的であるが、この場合、排気の輸送遅れによって空燃比の検出遅れが生じ、該検出遅れが大きいときには超平面(切換線)上への収束安定性が悪化するという問題があった。
【0005】
前記特開平9−274504号公報に開示されるものでは、超平面(切換線)上に収束していない状態が判定されてから傾きを変化させる構成で、換言すると、超平面(切換線)上への収束安定性が悪化していることが検出されてから傾きを変化させる構成であるため、傾きの変更が後追いとなって、空燃比フィードバック制御において目標空燃比への収束応答性及び収束安定性を高い次元で両立させることができない場合があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、前記空燃比の検出遅れに応じた適切な傾きの超平面(切換線)を設定することで、運転状態の変化によって前記検出遅れが変化しても、常に収束応答性及び収束安定性を高い次元で両立させることができる、スライディングモード制御を用いた空燃比フィードバック制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明は、実際の空燃比と目標空燃比との偏差及び該偏差の微分値で示される位相平面上に設定される切換線上に拘束させるスライディングモード制御によって、実際の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御するよう構成する一方、機関運転状態によるフィードバック制御の無駄時間の変化に応じて前記切換線の傾きを設定するよう構成した。
【0008】
かかる構成によると、実際の空燃比と目標空燃比との偏差、即ち、エラー量及び該エラー量の微分値で示される位相平面上に切換線が設定され、この切換線上に拘束されて原点(目標空燃比)に近づくように制御されるが、フィードバック制御の無駄時間(例えば空燃比の検出遅れ時間)が、機関の運転状態に応じて変化することに対応して切換線の傾きが変更される。
【0009】
請求項2記載の発明では、前記無駄時間を空燃比の検出遅れ時間とし、この検出遅れ時間に関与する機関運転状態に応じて切換線の傾きを設定する構成とした。
【0010】
かかる構成によると、例えば排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する場合には、機関運転状態によって空燃比の検出遅れ時間が変化するので、前記空燃比の検出遅れ時間に影響する運転状態を検出し、該検出した運転状態に応じて切換線の傾きを変更する。
【0011】
請求項3記載の発明では、機関の吸入空気量に応じて前記切換線の傾きを設定する構成とした。
かかる構成によると、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する場合に、機関の吸入空気量が少ないときほど、燃焼混合気の空燃比変化に対する検出空燃比の遅れが大きくなるので、吸入空気量に応じて切換線の傾きを設定し、空燃比の検出遅れ時間に応じた傾きに変更する。
【0012】
請求項4記載の発明では、機関の吸入空気量に応じて設定された前記切換線の傾きを、前記吸入空気量の微分値に応じて補正する構成とした。
かかる構成によると、吸入空気量の微分値によって吸入空気量の変化方向と変化速度が分かり、これから空燃比の検出遅れ時間の変化傾向を判断して、吸入空気量の瞬時値に対応して設定された切換線の傾きを補正する。
【0013】
請求項5記載の発明では、機関の回転速度に応じて前記切換線の傾きを設定する構成とした。
かかる構成によると、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する場合に、機関の回転速度が低いときほど、燃焼混合気の空燃比変化に対する検出空燃比の遅れが大きくなるので、機関回転速度に応じて切換線の傾きを設定し、空燃比の検出遅れ時間に応じた傾きに変更する。
【0014】
請求項6記載の発明では、機関の回転速度に応じて設定された前記切換線の傾きを、前記機関回転速度の微分値に応じて補正する構成とした。
かかる構成によると、機関回転速度の微分値によって機関回転速度の変化方向と変化速度が分かり、これから空燃比の検出遅れ時間の変化傾向を判断して、機関回転速度の瞬時値に対応して設定された切換線の傾きを補正する。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、切換線の傾きを、そのときの無駄時間に対応した適切な値に予め設定できるので、目標空燃比への収束安定性及び収束応答性を向上させて、空燃比の過渡的なエラーを小さくできるという効果がある。
【0016】
請求項2記載の発明によると、空燃比の検出遅れによるフィードバック制御の無駄時間の変化に対応して切換線の傾きを適切な値に設定できるという効果がある。
【0017】
請求項3記載の発明によると、特に排気中の酸素濃度から燃焼混合気の空燃比を検出する場合に、空燃比の検出遅れ時間が吸入空気量によって変化することに対応して、切換線の傾きを空燃比の検出遅れ時間に応じた値に設定できるという効果がある。
【0018】
請求項4記載の発明によると、吸入空気量が変化する過渡運転時に、空燃比の検出遅れ時間の推定に大きな過不足が生じることを回避でき、実際の検出遅れ時間に精度良く対応する傾きを設定できるという効果がある。
【0019】
請求項5記載の発明によると、特に排気中の酸素濃度から燃焼混合気の空燃比を検出する場合に、空燃比の検出遅れ時間が機関回転速度によって変化することに対応して、切換線の傾きを空燃比の検出遅れ時間に応じた値に設定できるという効果がある。
【0020】
請求項6記載の発明によると、機関回転速度が変化する過渡運転時に、空燃比の検出遅れ時間の推定に大きな過不足が生じることを回避でき、実際の検出遅れ時間に精度良く対応する傾きを設定できるという効果がある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施の形態における内燃機関のシステム構成図である。
【0022】
この図1において、車両に搭載される内燃機関1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2,吸気通路3,モータで開閉駆動される電子制御式スロットル弁4を介して空気が吸入される。各気筒の燃焼室内に燃料(ガソリン)を直接噴射する電磁式の燃料噴射弁5が設けられており、該燃料噴射弁5から噴射される燃料と前記吸入される空気とによって燃焼室内に混合気が形成される。
【0023】
燃料噴射弁5は、コントロールユニット20から出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射する。そして、噴射された燃料は、吸気行程噴射の場合は燃焼室内に拡散して均質な混合気を形成し、また圧縮行程噴射の場合は点火栓6回りに集中的に層状の混合気を形成する。燃焼室内に形成される混合気は、点火栓6により着火燃焼する。
【0024】
但し、内燃機関1を上記の直接噴射式ガソリン機関に限定するものではなく、吸気ポートに燃料を噴射する構成の機関であっても良い。
機関1からの排気は排気通路7より排出される。前記排気通路7には排気浄化用の触媒8が介装されている。
【0025】
また、燃料タンク9にて発生した蒸発燃料を燃焼処理する蒸発燃料処理装置が設けられている。
キャニスタ10は、密閉容器内に活性炭などの吸着剤11を充填したもので、燃料タンク9から延設される蒸発燃料導入管12が接続されている。従って、燃料タンク9にて発生した蒸発燃料は、前記蒸発燃料導入管12を通って、キャニスタ10に導かれ吸着捕集される。
【0026】
また、キャニスタ10には、新気導入口13が形成されると共に、パージ配管14が導出され、前記パージ配管14には、コントロールユニット20からの制御信号によって開閉が制御されるパージ制御弁15が介装される。
【0027】
上記構成において、パージ制御弁15が開制御されると、機関1の吸入負圧がキャニスタ10に作用する結果、新気導入口13から導入される空気によってキャニスタ10の吸着剤11に吸着されていた蒸発燃料がパージされ、パージエアがパージ配管14を通って吸気通路3のスロットル弁4下流に吸入され、その後、機関1の燃焼室内で燃焼処理される。
【0028】
コントロールユニット20は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイコンを備え、各種センサからの入力信号を受け、これらに基づいて演算処理して、燃料噴射弁5,点火栓6及びパージ制御弁15などの作動を制御する。
【0029】
前記各種センサとして、機関1のクランク角を検出するクランク角センサ21、カム軸から気筒判別信号を取り出すカムセンサ22が設けられており、前記クランク角センサ21からの信号に基づき機関の回転速度が算出される。
【0030】
この他、吸気通路3のスロットル弁4上流で吸入空気流量Qaを検出するエアフローメータ23、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)APSを検出するアクセルセンサ24、スロットル弁4の開度TVOを検出するスロットルセンサ25、機関1の冷却水温Twを検出する水温センサ26、排気中の酸素濃度に応じて燃焼混合気の空燃比をリニアに検出する広域型の空燃比センサ27、車速VSPを検出する車速センサ28などが設けられている。
【0031】
ここで、前記広域型の空燃比センサ27の構造を、図2に基づいて説明する。
ジルコニア(ZrO2)等の固体電解質部材からなる基板31上には、酸素濃度測定用の+電極32が設けられている。また、基板31には大気が導入される大気導入孔33が開設され、この大気導入孔33には、−電極34が+電極32に対向させて取り付けられている。
【0032】
このようにして、基板31と+電極32と−電極34とにより酸素濃度検出部35が形成される。
また、ジルコニア等からなる固体電解質部材36の両面に一対の白金からなるポンプ電極37,38を設けて形成される酸素ポンプ部39を有している。
【0033】
そして、該酸素ポンプ部39を、例えばアルミナで枠状に形成したスペーサ40を介して酸素濃度検出部35の上方に積層して、酸素濃度検出部35と酸素ポンプ部39との間に中空室41が設けられ、かつ、この中空室41に機関の排気を導入するための導入孔42が酸素ポンプ部39の固体電解質部材36に形成されている。
【0034】
尚、前記スペーサ40の外周にはガラス製の接着剤43が充填され、中空室41の密閉性を確保すると共に、基板31及びスペーサ40と固体電解質36とを接着固定するようにしてある。ここで、スペーサ40と基板31とは同時焼成して結合されるため、中空室41の密閉性はスペーサ40と固体電解質部材36とを接着することによって確保されるものである。また、酸素濃度検出部39には、暖機用のヒーター44が内蔵されている。
【0035】
そして、導入孔42を介して中空室41に導入された排気の酸素濃度を前記+電極32の電圧から検出する。具体的には、大気導入孔33内の大気中の酸素と中空室41内の排気中の酸素との濃度差に応じて基板31内を酸素イオン電流が流れ、これに伴って、+電極32に排気中の酸素濃度に対応する電圧が発生する。
【0036】
そして、この検出結果に応じて中空室41内の雰囲気を一定(例えば理論空燃比) に保つように酸素ポンプ部39に流す電流値を可変制御し、その時の電流値から排気中の酸素濃度を検出する。
【0037】
具体的には、前記+電極32の電圧を、制御回路45によって増幅処理した後、電圧検出抵抗46を介して電極37,38間に印加し、中空室41内の酸素濃度を一定に保つようにする。
【0038】
例えば、排気中の酸素濃度の高いリーン領域での空燃比を検出する場合には、外側のポンプ電極37を陽極、中空室41側のポンプ電極38を陰極にして電圧を印加する。すると、電流に比例した酸素(酸素イオンO2- )が中空室41から外側に汲み出される。そして、印加電圧が所定値以上になると、流れる電流は限界値に達し、この限界電流値を前記制御回路45で測定することにより排気中の酸素濃度、換言すれば、空燃比を検出できる。
【0039】
逆に、ポンプ電極37を陰極、ポンプ電極38を陽極にして中空室41内に酸素を汲み入れるようにすれば、排気中の酸素濃度の低い空燃比リッチ領域での検出ができる。
【0040】
かかる限界電流は、前記電圧検出抵抗46の端子間電圧を検出する差動増幅器47の出力電圧から検出する。
前記コントロールユニット20は、所定の空燃比フィードバック制御条件が成立するときに、前記空燃比センサ27で検出される空燃比(実空燃比)を運転条件に応じた目標空燃比に一致させるべく、本発明に係るスライディングモード制御による空燃比フィードバック制御を行なう。
【0041】
図3は、前記スライディングモード制御による空燃比フィードバック制御を示すブロック図である。
図3において、エラー演算部101では、機関の運転条件(負荷、回転、水温等)に応じて設定される目標空燃比と、空燃比センサ27で検出された実際の空燃比(以下、実空燃比という)とから、空燃比エラー量(偏差)を下式に従って演算する。
【0042】
エラー量=実空燃比−目標空燃比
微分演算部102では、前記エラー量の微分値を演算する。
切換関数設定部103では、前記エラー量,前記エラー量の微分値及び傾き係数Kに基づき、切換関数Sを、
S=K×(エラー量−所定値q)+微分値
として設定する。
【0043】
非線形分演算部104では、前記切換関数Sに基づき、非線形分を下式に従って演算する。
非線形分=非線形分ゲイン×S/|S|
一方、線形分演算部105では、前記エラー量に基づき、線形分を下式に従って演算する。
【0044】
線形分=線形分ゲイン×エラー量
そして、空燃比フィードバック補正係数演算部106では、前記非線形分,前記線形分及び空燃比フィードバック補正係数αの中央値(=1.0)を加算し、該加算結果を、新たな空燃比フィードバック補正係数αとする。
【0045】
α=1.0+非線形分+線形分
前記空燃比フィードバック補正係数αは、機関運転条件に応じて算出される基本燃料噴射量に乗算され、該乗算した結果を最終的な燃料噴射量とし、該燃料噴射量に相当するパルス幅の噴射パルス信号を燃料噴射弁5に出力することで燃料を噴射させる。
【0046】
前記線形分は、切換線(S=0)上に沿ってシステム状態を目標値へ向けて動かし、前記非線形分は、システム状態を切換線(S=0)に向かわせ、切換線(S=0)上に拘束させる働きをする。これにより、エラー量と該エラー量の微分値とで示される位相平面における切換線(S=0)上にシステム状態を向かわせ、切換線(S=0)上にシステム状態が乗ったら、切換線(S=0)上に拘束され滑りながら原点(目標空燃比)に到達する(図4参照)。
【0047】
ここで、上記切換関数設定部103で用いる傾き係数Kは、以下のようにして設定される。
まず、基本値設定部107では、傾き係数Kの基本値であるK1を、エアフローメータ23で検出された吸入空気流量Qaに応じて設定する。具体的には、吸入空気流量Qaが多いときほど傾き係数Kとして大きな値を設定し、切換線(S=0)の傾きを急にする。
【0048】
燃焼混合気の空燃比変化が空燃比センサ27で検出されるまでの検出遅れ時間は、空燃比フィードバック制御の無駄時間となり、吸入空気流量Qaが少ないと排気の輸送遅れにより前記検出遅れ時間が長くなり、前記無駄時間が長くなる。前記無駄時間が長いときに、急な傾きの切換線上にシステム状態を拘束しようとすると、切換線上への収束安定性・収束応答性が悪くなってしまうので、切換線の傾きを緩くするが、吸入空気流量Qaが多く前記検出遅れ時間(無駄時間)が短いときには、切換線の傾きを急にしても、切換線上への収束安定性・収束応答性が悪くなることがないので、切換線の傾きを急にして最大限の応答性で目標空燃比に近づくようにするものである。
【0049】
一方、過渡補正項設定部108では、前記吸入空気流量Qaの微分値に基づいて、前記基本値K1を補正するための補正値K2を設定する。具体的には、吸入空気流量Qaの微分値がプラスであるとき(吸入空気流量Qaの増大変化時)には、補正値K2がプラスの値に設定され、吸入空気流量Qaの微分値がマイナスであるとき(吸入空気流量Qaの減少変化時)には、補正値K2がマイナスの値に設定され、吸入空気流量Qaの微分値の絶対値が大きいほど補正値K2の絶対値が大きくなるようにしてある。
【0050】
前記基本値K1は、吸入空気流量Qaの瞬時値に基づき設定されるため、吸入空気流量Qaが変化していると、傾きの設定に遅れを生じることになってしまう。そこで、吸入空気流量Qaの微分値から吸入空気流量Qa(換言すれば検出遅れ時間)の変化方向及び変化速度を判断し、吸入空気流量Qaの変化による検出遅れ時間の変化に遅れなく追従して傾き(傾き係数K)が設定されるように、基本値K1を、吸入空気流量Qaの微分値に応じた補正値K2で補正する。
【0051】
傾き係数設定部109では、前記基本値K1に前記補正値K2を加算して、傾き係数Kを設定し、これを、前記切換関数設定部103に出力する。
ところで、上記では、空燃比の検出遅れ時間に関与する機関運転状態として吸入空気流量Qaを用いたが、機関回転速度Neによっても空燃比の検出遅れ時間が変化するので、図5に示すように、吸入空気流量Qaに代えて機関回転速度Neに応じて傾き係数Kを設定させる構成としても良い。
【0052】
図5に示す第2の実施形態は、基本値設定部107及び過渡補正項設定部108における処理内容のみが図3に示した第1の実施形態と異なるので、基本値設定部107及び過渡補正項設定部108における処理のみを以下に説明する。
【0053】
図5に示す第2の実施形態において、基本値設定部107では、機関回転速度Neが高く空燃比の検出遅れ時間が短いときほど、傾き係数Kの基本値K1を大きな値に設定する。
【0054】
即ち、機関回転速度が低いと排気の輸送遅れにより空燃比の検出遅れ時間が長くなり、フィードバック制御の無駄時間が長くなるので、基本値K1として小さい値を設定し、切換線の傾きを緩くする。逆に、機関回転速度が高いと排気の輸送遅れが少なく空燃比の検出遅れ時間が短くなるので、基本値K1として比較的大きな値を設定し、切換線の傾きを急にする。
【0055】
また、過渡補正項設定部108では、機関回転速度Neの微分値がプラスであるとき(機関回転速度Neの増大変化時)に補正値K2をプラスの値に設定し、機関回転速度Neの微分値がマイナスであるとき(機関回転速度Neの減少変化時)に、補正値K2をマイナスの値に設定し、機関回転速度Neの微分値の絶対値が大きいほど補正値K2の絶対値が大きくなるようにする。
【0056】
尚、吸入空気流量Qaと機関回転速度Neとの双方に基づいて傾き係数Kを設定する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】実施の形態における空燃比センサ及びその周辺回路を示す図。
【図3】第1の実施形態における空燃比フィードバック制御を示す制御ブロック図。
【図4】実施形態におけるスライディングモード制御の様子を示す線図。
【図5】第2の実施形態における空燃比フィードバック制御を示す制御ブロック図。
【符号の説明】
1…内燃機関
3…吸気通路
4…スロットル弁
5…燃料噴射弁
6…点火栓
20…コントロールユニット
21…クランク角センサ
23…エアフローメータ
27…空燃比センサ
Claims (6)
- 内燃機関の燃焼混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御装置であって、
実際の空燃比と目標空燃比との偏差及び該偏差の微分値で示される位相平面上に設定される切換線上に拘束させるスライディングモード制御によって、実際の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御するよう構成する一方、
機関運転状態によるフィードバック制御の無駄時間の変化に応じて前記切換線の傾きを設定するよう構成したことを特徴とする内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。 - 前記無駄時間が空燃比の検出遅れ時間であり、該検出遅れ時間に関与する機関運転状態に応じて前記切換線の傾きを設定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
- 機関の吸入空気量に応じて前記切換線の傾きを設定することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
- 前記機関の吸入空気量に応じて設定された前記切換線の傾きを、前記吸入空気量の微分値に応じて補正することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
- 機関の回転速度に応じて前記切換線の傾きを設定することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
- 前記機関の回転速度に応じて設定された前記切換線の傾きを、前記機関回転速度の微分値に応じて補正することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
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