JP3848978B2 - 顔料塗被紙用塗料用コバインダーおよび顔料塗被紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料塗被紙用塗料用コバインダーに関するものである。さらに詳しくは、顔料塗被紙用塗料に対しバインダー効果を付与するコバインダーに関するものであり、顔料塗被紙の塗被紙物性、印刷適性を低下させることなく顔料塗被紙の塗被層のドライピック強度、ウエットピック強度を高めることのできるコバインダー、さらにはそのコバインダーを含有する顔料塗被紙用塗料およびその顔料塗被紙用塗料を塗被した顔料塗被紙に関するものである。ここで言う顔料塗被紙用塗料用コバインダーとは、顔料塗被紙用塗料にラテックス、デンプンといったバインダーとともに添加され、塗被塗料にバインダー効果を付与し、かつ塗被塗料の保水性、流動性を改良するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年顔料塗被紙の需要がますます高まり、生産量も増加し、顔料塗被紙の塗被速度は年々高速化へと移行している。また、顔料塗被紙への印刷速度も高速化する傾向にあり、それに伴い顔料塗被紙には、より強度の高い塗被層が要求されている。従来、顔料塗被塗料用バインダーとしては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、酢酸ビニル系、アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、メチルメタクリレート・ブタジエン系、ブチルアクリレート系などの共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体などの合成系バインダー、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変成デンプン、冷水可溶性デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、カゼインおよび大豆蛋白などの天然系バインダーなどが知られている。特にバインダー効果と経済性との観点から、顔料塗被紙にはデンプンとスチレン・ブタジエン系ラテックスが併用して使用されることが多い。しかしながら、塗被層のドライピック強度、ウエットピック強度を増加させるためにこれらのバインダーの添加量を増加させると、顔料塗被紙物性および印刷適性が低下するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら顔料塗被紙物性、印刷適性を低下させることなく、顔料塗被紙の塗被層のドライピック強度、ウエットピック強度を増加させるという要望に対して、ラテックスの印刷適性、塗工紙物性を改良する提案が第1427990号公報、特開昭62−117897号公報、特開平6−240559号公報、特開平7−258308号公報、特開平7−324112号公報、特開平7−324113号公報、特開平9−31141号公報、特開平9−31895号公報で提案されているが、いずれも要望を十分に満足させるものではなかった。また、従来のバインダーのバインダー効果を高める試みが提案されている。例えば、特開平11−106435号には、顔料塗被紙の塗被層のドライピック強度を向上させるなどの目的で、分子中に硫酸エステル基を有する水溶性オリゴマーをラテックスに添加し、それを用いることにより塗被紙のドライピック強度を向上させる提案がなされているが、必ずしも満足のできるものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のように、従来のバインダーでは、顔料塗被紙の塗被紙物性、印刷適性を低下させることなく、顔料塗被紙の塗被層の強度を十分に高めることは困難であった。そこでこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、(a)重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレングリコール、(b)重量平均分子量が1,000〜20,000である、炭素数1〜5の脂肪族1価アルコールにアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン化合物および(c)ジイソシアネートのウレタン化反応により誘導され、重量平均分子量が50,000〜500,000であり、オキシエチレン基が全ポリオキシアルキレン基の60質量%以上である化合物Aからなり、(a)、(b)が、質量比換算で(a)/(b)=90/10〜50/50であることを特徴とする顔料塗被紙用塗料用コバインダーであり、この顔料塗被紙用塗料用コバインダーを、顔料100質量部に対して0.01〜15質量部含有することを特徴とする顔料塗被紙用塗料およびこの顔料塗被紙用塗料を塗被した顔料塗被紙に関するものである。
【0005】
本発明に用いる(a)ポリオキシアルキレン化合物としては、オキシアルキレン基の炭素数が2〜4のポリオキシアルキレングリコールが好ましく、オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられる。ポリオキシアルキレングリコールは、これらの2種以上のオキシアルキレン基をブロックまたはランダムに繋いだものでも良い。またポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量は、1,000〜20,000、好ましくは2,000〜15,000である。重量平均分子量が1,000未満では化合物Aが水に難溶性になり、20,000を超えるとジイソシアネートとの反応性が乏しくなり好ましくない。
【0006】
本発明に用いる(b)炭素数1〜5の脂肪族アルコールにアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン化合物は、炭素数1〜5の脂肪族の1価または多価アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキシド基を付加して得られる。炭素数1〜5の脂肪族アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコールなどの1価アルコール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールなどの2価アルコール、トリヒドロキシメタン、トリヒドロキシエタン、グリセリン、トリヒドロキシブタン、トリヒドロキシペンタンなどの3価アルコール、テトラヒドロキシメタン、テトラヒドロキシエタン、テトラヒドロキシプロパン、テトラヒドロキシブタン、ペンタエリスリトールなどの4価アルコールなどがあげられ、好ましくは炭素数1〜5の脂肪族1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレンである。炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどがあげられ、ポリオキシアルキレン化合物はこれらの2種以上のオキシアルキレン基をブロックまたはランダムに繋いだものでも良い。またポリオキシアルキレン化合物の重量平均分子量は、1,000〜20,000、好ましくは2,000〜15,000である。重量平均分子量が1,000未満では化合物Aが水に難溶性になり、20,000を超えるとジイソシアネートとの反応性が乏しくなり好ましくない。
【0007】
本発明に用いる(c)ジイソシアネートは特に限定されず、脂肪族ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物、脂環族系ジイソシアネート化合物などがあげられる。
【0008】
脂肪族系ジイソシアネート化合物としては、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどがあげられる。
【0009】
芳香族系ジイソシアネート化合物としては、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどがあげられる。
【0010】
脂環族系ジイソシアネート化合物としては、シクロヘキシルジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどがあげられる。
【0011】
本発明の顔料塗被紙用塗料用バインダー中の、全ポリオキシアルキレン中のオキシアルキレン基の比率は、60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。オキシエチレン基が60質量%未満では、顔料塗被紙用塗料用コバインダーのバインダー効果が低下する。
【0012】
本発明の顔料塗被紙用塗料用バインダー中の(a)重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレングリコール、(b)重量平均分子量が1,000〜20,000である、炭素数1〜5の脂肪族アルコールにアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン化合物は、質量換算比で(a)/(b)=90/10〜50/50である。この範囲外では顔料塗被紙用塗料用コバインダーのバインダー効果が低下する。
【0013】
本発明の顔料塗被紙用塗料用バインダーの重量平均分子量は、50,000〜500,000であり、好ましくは100,000〜400,000であり、更に好ましくは150,000〜300,000である。重量平均分子量が50,000未満および500,000を超えると、顔料塗被紙用塗料用コバインダーのバインダー効果が低下する。
【0014】
本発明の顔料塗被紙用塗料用バインダーの重量平均分子量は、分子量既知のポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(G.P.C.)を用いて測定することができる。例えば、東ソー(株)製、型式HLC−8120GPCのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(G.P.C)を用いて以下の条件で測定できる。カラムには東ソー製、型式SuperH−4000×2本と型式SuperH−3000×1本を用い、カラム温度は40℃、検出器は示差屈折計(RI検出器)、溶離液としてTHF(試薬1級、片山化学工業製)を用い、流速は0.5ml/min.、試料濃度は1%、試料溶液注入量は10μl、データ処理機は東ソー(株)製、型式SC−8020、分子量既知のポリスチレンの標準物質として東ソー(株)製、TSK標準ポリスチレンを用いる。
【0015】
本発明の顔料塗被紙用塗料用コバインダーは、ウレタン化反応により誘導される重合体であり、重合体を単独でも混合して使用しても良い。
【0016】
本発明の顔料塗被紙用塗料用コバインダーを合成する方法としては、公知のウレタン化反応を用いることができる。例えば、(a)ポリエチレングリコール6000(分子量6000)などのポリオキシアルキレン化合物、(b)ポリオキシエチレン(エチレンオキシド50モル付加物)メチルエーテルなどの炭素数1〜5の脂肪族アルコールにアルキレンオキシドを付加したポリエーテルモノオールおよび(c)キシリレンジイソシアネートなどのジイソシアネートを2〜10時間反応して合成できる。ポリオキシアルキレン化合物、ポリエーテルモノオールおよびジイソシアネートを反応させる方法としては、一括仕込みによる合成方法でも良く、またポリエーテルモノオールとジイソシアネートを反応させた後、オキシアルキレン化合物と反応させ合成する方法でも良い。反応により一部副生成物ができる場合があるが、主生成物は副生成物を含有したままでも使用できる。
【0017】
ウレタン化反応の反応温度は40〜130℃であり、好ましくは70〜100℃である。40℃未満では反応が遅く時間がかかりすぎる欠点があり、また130℃より高い温度では異常な副反応が起こり好ましくない。
【0018】
これらの反応において、必要に応じて使用される溶剤は活性水素を含有しないことが必須であり、例えば芳香族系溶剤としてトルエン、キシレンなど、脂肪族系溶剤として石油エーテル、n−ヘキサンなど、脂環式系溶剤としてシクロヘキサン、シクロヘキサノン、デカリンなど、ハロゲン含有溶剤としてクロロホルム、四塩化炭素、エチレンジクロライド、クロロベンゼンなど、エステル系溶剤として酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチルなど、ケトン系溶剤としてメチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどがあげられる。
【0019】
ウレタン化反応に使用される触媒としては、例えばアミン系化合物としてトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘプタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、ベンジルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイドなど、金属含有化合物として塩化第1スズ、塩化第2スズ、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸カリウム、三塩化アンチモンなどがあげられる。触媒添加量は仕込み全質量に対し、0.001〜1質量%であり、添加方法は、通常反応初期に加えるが、反応中に分割して添加しても良い。
【0020】
顔料塗被紙用塗料に用いられる顔料としては、カオリンクレー、デラミネーテッドクレー、焼成クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、シリカ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、活性白土、珪藻土、レーキおよびプラスチックピグメントなどがあげられ、これらを適宜単独または併用して使用することができる。
【0021】
顔料塗被紙用塗料に用いられるバインダーとしては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、酢酸ビニル系、アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、メチルメタクリレート・ブタジエン系、ブチルアクリレート系などの共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体などの合成系バインダー、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変成デンプン、冷水可溶性デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、カゼインおよび大豆蛋白などの天然系バインダーなどの一般の顔料塗被紙用バインダーが単独あるいは併用して用いられる。
【0022】
本発明における顔料塗被紙用塗料は、主として顔料、接着剤成分および本発明の顔料塗被紙用塗料用コバインダーからなり、その他必要に応じて分散剤、耐水化剤、増粘剤、消泡剤、潤滑剤、湿潤剤、保水性・流動性改良剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤および防腐剤などの各種助剤を適宜使用することができる。
【0023】
本発明の顔料塗被紙用塗料用コバインダーを顔料およびラテックスを主体とする顔料塗被紙用塗料に用いる場合、使用量(固形分換算)は、顔料塗被紙用塗料中の顔料100質量部に対して通常0.01〜15質量部であり、好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。0.01質量部未満ではバインダー効果が低く、十分な塗被層の強度が得られない。15質量部を超える場合、十分なバインダー効果は得られるが、増粘性が高くなりすぎ、顔料塗被紙用塗料の取り扱い上好ましくない。
【0024】
本発明の顔料塗被紙用塗料は、オフセット印刷用紙のドライピック強度、ウエットピック強度を向上し、グラビア印刷用紙、各種機能紙などの強度向上に最適であるため、オフセット印刷用紙、グラビア印刷用紙、凸版印刷用紙などの塗被紙、塗被板紙に使用できるとともに、インクジェット記録用紙、ノーカーボン紙、感熱記録紙、磁気記録紙、静電記録用紙などの機能性塗工紙用の塗被塗料としても使用できる。
【0025】
本発明における顔料塗被紙は、本発明の顔料塗被紙用塗料を、パルプ繊維を主体とする原紙上に両面または片面に単層または二層以上塗被後、乾燥して得られる。
【0026】
本発明の原紙に用いられるパルプとしては、広葉樹、針葉樹などの木材繊維を原料とした木材パルプ(砕木パルプ、リファイナー砕木パルプおよびサーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、クラフトパルプおよび亜硫酸パルプなどの化学パルプ、ケミグランドパルプ、中性亜硫酸セミケミカルパルプなどのセミケミカルパルプなど)、新聞、雑誌、情報用紙および印刷紙などを原料とした古紙再生パルプ(離解パルプおよび脱インキパルプなど)、木材以外の繊維を原料とした非木材パルプ(パガス、ケナフ、アシ、ワラ、麻およびリンターなどの非木材繊維を原料としたパルプ、ナイロン、ビニロン、テトロン、アクリル、レーヨンおよびポリオレフィンなどの合成繊維をパルプ状にした合成パルプなど)などがあげられ、これらを適宜単独または併用して使用することができる。
【0027】
本発明における顔料塗被紙用塗料は、通常の顔料塗被紙製造に用いられるブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、カーテンフローコーター、スプレイコーター、ロッドコーター、ダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、ツーロールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーターおよびゲートロールコーターなどの塗被装置を備えたオンマシンあるいはオフマシンコーターによって塗被することができる。顔料塗被紙用塗料の塗被量は、片面あたり乾燥質量で通常5〜40g/m2 、白紙品質や印字適性の面から10〜25g/m2 の範囲で塗被されるのが好ましい。また、塗被後の原紙上の湿潤塗被層を乾燥させる方法としては、熱風加熱、ガスヒーター加熱、高周波加熱、電気ヒーター加熱、赤外線ヒーター加熱、レーザー加熱、電子線加熱などの各種加熱乾燥方式を適宜使用することができる。さらに本発明の顔料塗被紙には、白紙光沢の調整や印字適性向上のためスーパーカレンダー、マットカレンダー、ソフトニップカレンダーおよびマシンカレンダーなどの表面処理装置を使用することもできる。
【0028】
顔料塗被紙用塗料を原紙上へ塗被する際の固形分濃度は、一般に20〜75質量%であるが、乾燥負荷、顔料塗被紙用塗料の粘度および保水性などに影響される操業性を考慮すると、好ましくは55〜75質量%である。
【0029】
本発明の顔料塗被紙には、各種高分子化合物、添加剤を含有せしめることができる。例えば、スターガムやアルギン酸誘導体などの天然高分子多糖類、ロジン誘導体、ジアルキルケトン、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物、エポキシ化高級脂肪酸アミド、有機フルオロ化合物およびジアルキルケテンダイマー乳化物などのサイズ剤、デンプン、デンプン誘導体(カチオン化デンプン、エステル化デンプンおよび酸化デンプンなど)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体(完全ケン化、部分ケン化、カルボキシ変成、カチオン変成、その他の各種変成ポリビニルアルコールなど)、ゼラチン(アルカリ処理、酸処理および各種変成ゼラチンなど)などの乾燥紙力増強剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂などの湿潤紙力増強剤、安定剤、染料、酸化防止剤、蛍光増白剤、各種ラテックス、無機電解質(塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化バリウムなど)、pH調整剤、定着剤(硫酸バンド、塩化アルミなど)、有機導電剤などの添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。これらの添加剤は、抄紙段階においてパルプスラリー中に分散させてもよいし、抄紙後ダブサイズにおいて添加させてもよく、また各種コーターで溶液を塗被してもよい。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例で得られた顔料塗被紙用塗料用コバインダーのバインダー効果(ドライピック強度、ドライピック強度)、顔料塗被塗料物性(低剪断粘度、高剪断粘度、保水性)、顔料塗被紙物性(白紙光沢、印刷光沢、吸水インキ着肉)の評価方法および評価結果を以下に示す。
【0031】
ドライピック強度:明製作所製RI−1型印刷適性試験機で印刷し、5点法で評価した。数値が大きい方が良好である。
【0032】
ウエットピック強度:明製作所製RI−1型印刷適性試験機で印刷し、5点法で評価した。数値が大きい方が良好である。
【0033】
低剪断粘度:(株)東京計器製BM型粘度型を用いて、60rpm、25℃で測定した。粘度は高い方が好ましい。
【0034】
高剪断粘度:SMT(株)製ハイシアビスコメーター、PM−9001HVを用い、8800rpm、25℃で測定した。粘度は低い方が好ましい。
【0035】
保水性:KALTEC SCIENTIFIC社製、GRAVIMETRI C WATER RETENTIONMETERを用い、圧力0.5kg/m2、加圧時間30秒間の脱水量を測定した。数値は小さい方が好ましい。
【0036】
白紙光沢:JIS.P8142法に準じ、日本電色(株)製光沢度計を用い、75度光沢を測定した。数字が大きいほど白紙光沢は高い。
【0037】
印刷光沢:明製作所製RI−1型印刷適性試験機を用いて印刷を行い、一昼夜放置後、日本電色(株)製光沢度計を用い75度光沢を測定した。数字が大きいほど白紙光沢は高い。
【0038】
吸水インキ着肉:明製作所製RI−1型印刷適性試験機で印刷し、5点法で評価した。数値が大きい方が良好である。
【0039】
実施例1
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール6000(重量平均分子量6000)600質量部、メチルアルコールにエチレンオキシドを100モル付加したポリエーテルモノオール354.6質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.3質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0040】
実施例2
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール1000(重量平均分子量1000)100質量部、エチルアルコールにエチレンオキシドを25モル付加したポリエーテルモノオール91.7質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネート20.2質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(3時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0041】
実施例3
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを質量比50:50の割合でランダム共重合させた重量平均分子量10000のポリエーテルジオール600質量部、n−プロピルアルコールにエチレンオキシドを50モル付加したポリエーテルモノオール179.5質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、トリレンジイソシアネート24.4質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(3時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0042】
実施例4
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール10000(重量平均分子量10000)1200質量部、n−ペンチルアルコールにエチレンオキシドを400モル付加したポリエーテルモノオール707.5質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート23.5質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0043】
実施例5
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを質量比84:16の割合でランダム共重合させた重量平均分子量6000のポリエーテルジオール720質量部、メチルアルコールにエチレンオキシドを50モル付加したポリエーテルモノオール89.3質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.3質量部を投入し、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(3時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0044】
実施例6
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール10000(重量平均分子量10000)900質量部、t−ブチルアルコールにエチレンオキシドを200モル付加したポリエーテルモノオール887.4質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネート19.6質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0045】
実施例7
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール5000(重量平均分子量5000)780質量部、n−ペンチルアルコールにエチレンオキシドを450モル付加したポリエーテルモノオール397.8質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.3質量部を投入し、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(3時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0046】
実施例8
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、エチレンオキシドとブチレンオキシドを質量比88:12の割合でランダム共重合させた重量平均分子量10000のポリエーテルジオール1480質量部、メチルアルコールにエチレンオキシドを100モル付加したポリエーテルモノオール160.0質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート23.5質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0047】
比較例1
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール6000(重量平均分子量6000)240質量部、メチルアルコールにエチレンオキシドを50モル付加したポリエーテルモノオール446.4質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.3質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0048】
比較例2
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリプロピレングリコール6000(重量平均分子量6000)6000(重量平均分子量6000)600質量部、メチルアルコールにエチレンオキシドを100モル付加したポリエーテルモノオール354.6質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.3質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0049】
比較例3
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール10000(重量平均分子量10000)200質量部、エチルアルコールにエチレンオキシドを20モル付加したポリエーテルモノオール222.2質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート23.5質量部加え、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0050】
比較例4
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール10000(重量平均分子量10000)1000質量部、ステアリルアルコールにエチレンオキシドを50モル付加したポリエーテルモノオール197.7質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、トリレンジイソシアネート24.4質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0051】
比較例5
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール20000(重量平均分子量20000)2800質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート23.5質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0052】
比較例6
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを質量比84:16の割合でランダム共重合させた分子量10000のポリエーテルジオール1300質量部、メチルアルコールにエチレンオキシドを500モル付加したポリエーテルモノオール440.6質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.3質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0053】
比較例7
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール10000(重量平均分子量10000)400質量部、t−ブチルアルコールにエチレンオキシドを20モル付加したポリエーテルモノオール190.8質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネート20.2質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0054】
比較例8
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール30000(重量平均分子量30000)1200質量部、メチルアルコールにエチレンオキシドを50モル付加したポリエーテルモノオール446.4質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.0質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0055】
比較例9
温度計、窒素導入管、および高粘度用攪拌機付きガラス製反応容器に、ポリエチレングリコール800(重量平均分子量500)96質量部、n−プロピルアルコールにエチレンオキシドを25モル付加したポリエーテルモノオール46.4質量部を投入し、低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03質量%とした。次いで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネート26.0質量部を投入し、窒素気流下90〜95℃でイソシアネート含量が0質量%になるまで反応(2時間)させ加水し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0056】
比較例10
顔料塗被紙用塗料用バインダーであるスチレン・ブタジエン系ラテックス(ジェイエスアール(株)製JSR 2803F)を用いて、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0057】
比較例11
顔料塗被紙用塗料用バインダーであるリン酸変性デンプン(日本食品加工(株)製、MS−4600)の5%水溶液を調整し、顔料塗被紙用塗料用コバインダーを得た。
【0058】
評価例
カオリン(ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社製、ウルトラホワイト90)70質量部、重質炭酸カルシウム((株)ファイマテック製、FMT−90)15質量部、軽質炭酸カルシウム、(奥多摩工業(株)製、タマパールTP−221−GS)15質量部を分散剤(サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040)0.2質量部、水酸化ナトリウム0.1〜0.3質量部、スチレン・ブタジエンラテックス(ジェイエスアール(株)製、JSR2803F)5質量部、潤滑剤(サンノプコ(株)製、ノプコートC−104−HS)1質量部および顔料塗被紙用塗料用コバインダー1質量部を配合し濃度63%の顔料塗被紙用塗料を作成した。さらにこの顔料塗被紙用塗料を、(株)オースギ製、MLC−100を用いて、坪量84g/m2 の上質紙原紙に、塗被量が15g/m2 になるように塗被後乾燥し、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップに60℃、線圧80kg/cmで2回通紙し顔料塗被紙を作成した。
【0059】
実施例1〜8、比較例1〜11の顔料塗被紙用塗料用コバインダーを表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例1〜8、比較例1〜11で得られた顔料塗被紙用塗料用コバインダーの評価結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】
表2から明らかなように、本発明の顔料塗被紙用塗料用コバインダーを顔料塗被紙用塗料中に含有させた場合、印刷適性を低下させることなく塗被層のドライピック強度、ウエットピック強度を高めることができる。
Claims (4)
- (a)重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレングリコール、(b)重量平均分子量が1,000〜20,000である、炭素数1〜5の脂肪族1価アルコールにアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン化合物および(c)ジイソシアネートのウレタン化反応により誘導され、重量平均分子量が50,000〜500,000であり、かつオキシエチレン基が全ポリオキシアルキレン基の60質量%以上である化合物Aからなる顔料塗被紙用塗料用コバインダー。
- 請求項1に記載の(a)、(b)が、質量比換算で(a)/(b)=90/10〜50/50であることを特徴とする顔料塗被紙用塗料用コバインダー。
- 請求項1または2に記載の顔料塗被紙用塗料用コバインダーを、顔料100質量部に対して0.01〜15質量部含有することを特徴とする顔料塗被紙用塗料。
- 請求項3に記載の顔料塗被紙用塗料を塗被したことを特徴とする顔料塗被紙。
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