JP3848829B2 - トンネル掘削機の制御装置及び駆動モータの異常検出装置 - Google Patents

トンネル掘削機の制御装置及び駆動モータの異常検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルボーリングマシンやシールド掘削機などのトンネル掘削機において、駆動モータの締付異常を検出する駆動モータの異常検出装置、並びにこの駆動モータの締付異常を検出してトンネル掘削機を制御するトンネル掘削機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、従来のトンネルボーリングマシンにおいて、掘削機本体が円筒形状をなす前胴と後胴とから構成され、この前胴の前部にはカッタヘッドが回転自在に装着され、複数の駆動モータによって駆動回転可能となっている。そして、この前胴と後胴とは揺動自在に連結しており、複数本のスラストジャッキからなるパラレルリンク機構が架設されている。このスラストジャッキは油圧の給排によって伸縮作動するものであって、前胴と後胴との相対位置を変更することができると共に、各スラストジャッキの各作動ストロークを変えることで、後胴に対する前胴、つまり、カッタヘッドの位置姿勢を変更し、トンネルボーリングマシンの掘進方向を変更することができる。
【0003】
また、前胴にはフロントグリッパが装着されており、このフロントグリッパを外方に張り出して既設トンネルの内壁面に圧接することで、前胴を位置保持することができる。一方、後胴にはリヤグリッパが装着されており、このリヤグリッパを外方に張り出して既設トンネルの内壁面に圧接することで、後胴を位置保持することができる。更に、後胴の後部には支保やセグメントを組み付けるエレクタ装置が搭載されている。
【0004】
従って、リアグリッパにより後胴を移動不能に保持した状態で、駆動モータによりカッタヘッドを回転駆動させながら、パラレルリンク機構の各スラストジャッキを伸長して前胴を前進されると、旋回するカッタヘッドが岩盤をせん断破壊して掘削する。そして、各スラストジャッキを所定ストローク伸長すると、フロントグリッパにより前胴を移動不能に保持する一方、リアグリッパを収納して後胴を移動自在とし、各スラストジャッキを収縮することで前胴に対して後胴を引き寄せる。そして、再びリアグリッパにより後胴を移動不能に保持する一方、フロントグリッパにより前胴を移動自在とし、カッタヘッドを旋回させながら各スラストジャッキを伸長して前胴を前進させると、カッタヘッドが岩盤を掘削する。この作動の繰り返しによって連続してトンネルを掘削していく。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したトンネルボーリングマシンでは、回転するカッタヘッドを岩盤に押し付けることで、カッタヘッドの前面に装着された多数のローラカッタがこの岩盤をせん断破壊して掘削する。そのため、このローラカッタが岩盤をせん断破壊するときには、振動や衝撃が発生して掘削機本体側に作用する。特に、カッタヘッドのリングギヤには駆動モータの出力ギヤが噛み合っているため、各駆動モータには過大な重心加速度が発生する。すると、この振動の大きさによっては駆動モータのモータ取付ボルトを緩めてしまい、ギヤや軸受などで構成されるトルク伝達部が破損してしまう虞がある。
【0006】
また、カッタヘッドによる地盤の掘削条件によっては、駆動モータに作用する反力が異なり、振動だけでなく各駆動モータを制御する電流、トルク、減速機の油温などのバランスが崩れてしまうことがある。この電流、トルク、油温のバランスが大きく崩れると、特定の駆動モータに負荷が集中して作用し、地盤を適正に掘削することができなくなる虞がある。
【0007】
更に、トンネルボーリングマシンによるトンネル掘削現場は、遠隔地である場合が多いが、トンネル掘削作業時における各種の計測データや掘削状況のデータを遠隔監視する方法がなく、不具合の兆候把握によるトラブル未然防止やトラブル発生後の即時分析によるマシン停止時間の短縮化が困難であった。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するものであって、トンネル掘削機における安全性の向上並びに作業能率の向上を図ったトンネル掘削機の制御装置及び駆動モータの異常検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明のトンネル掘削機の制御装置は、筒状をなす掘削機本体の前部にカッタヘッドが回転自在で、且つ、駆動モータによって駆動回転可能に装着される一方、該掘削機本体の後部に周辺地盤からの反力を得て該掘削機本体を前進させる推進ジャッキが装着されたトンネル掘削機において、前記駆動モータの振動レベルを検出する振動検出手段と、該振動検出手段が検出した振動レベルに基づいてモータ取付ボルトの軸力変化を推定して該モータ取付ボルトの締付異常を判定する軸力判定手段と、該軸力判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御する制御手段とを具えたことを特徴とするするものである。
【0010】
請求項2の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記軸力判定手段は、前記推定したボルト軸力と予め設定された基準ボルト軸力とを比較することで前記モータ取付ボルトの締付異常を判定することを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記軸力判定手段は、前記基準ボルト軸力は、初期ボルト締付軸力と許容ボルト締付軸力とに基づいて許容締付軸力変動量を算出し、モータ重心加速度と該許容締付軸力変動量との比例関係から前記許容締付軸力変動量に基づいてモータ重心加速度の許容値を算出し、該モータ重心加速度の許容値に対するRMS値から算出される判定値であることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記振動検出手段は前記駆動モータの取付部の振動レベルを検出する一方、前記基準ボルト軸力は前記RMS値に対して前記駆動モータの重心から前記取付部への伝達関数を用いて前記判定値を算出することを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記判定値は前記RMS値に基づいて少なくとも2つの判定値を求め、第1判定値に基づいて前記駆動モータの運転条件の変更を判定し、第2判定値に基づいて前記駆動モータの停止を判定することを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記振動検出手段は、前記駆動モータのモータ重心加速度を検出する加速度センサ、あるいは、該駆動モータの取付フランジに装着されてモータフランジ加速度を検出する加速度センサであることを特徴としている。
【0015】
請求項7の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記判定手段は、前記モータ重心加速度あるいはモータフランジ加速度から所定の周波数帯域でのRMS平均値を算出し、該RMS平均値を前記ボルト軸力とすることを特徴としている。
【0016】
請求項8の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記駆動モータの電流偏差及び最大電流値に基づいて制御電流バランスを判定する制御電流バランス判定手段を設け、前記制御手段は前記軸力判定手段あるいは該制御電流バランス判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御することを特徴としている。
【0017】
請求項9の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記駆動モータのトルク偏差及び最大トルクに基づいてトルクバランスを判定するトルクバランス判定手段を設け、前記制御手段は前記軸力判定手段あるいは該トルクバランス判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御することを特徴としている。
【0018】
請求項10の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記駆動モータの油温偏差及び最大油温に基づいて油温バランスを判定する油温バランス判定手段を設け、前記制御手段は前記軸力判定手段あるいは該油温バランス判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御することを特徴としている。
【0019】
請求項11の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記バランス判定手段は、前記偏差値が予め設定された基準値を越えたときに第1締付異常と判定し、前記最大値が予め設定された基準値を越えたときに第2締付異常と判定することを特徴としている。
【0020】
請求項12の発明のトンネル掘削機の制御装置では、前記軸力判定手段及び前記制御手段に送受信手段を設け、遠隔地に設けられた監視操作手段は受信した前記軸力判定手段の判定結果に基づいて前記制御手段に指示を送信可能としたことを特徴としている。
【0021】
請求項13の発明の駆動モータの異常検出装置は、掘削機本体に駆動モータによりカッタヘッドが駆動回転可能に装着されたカッタ装置において、前記駆動モータの振動レベルを検出する振動検出手段と、該振動検出手段が検出した振動レベルに基づいてモータ取付ボルトの軸力変化を推定して該モータ取付ボルトの締付異常を判定する軸力判定手段とを具えたことを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
図1に本発明の第1実施形態に係るトンネル掘削機の制御装置の概略構成、図2に駆動モータ及び加速度センサの取付構造を表す概略、図3に本実施形態のトンネル掘削機の制御装置が適用されたトンネルボーリングマシンの概略断面、図4にモータフランジ加速度の判定値を設定する処理を表すフローチャート、図5にモータ取付ボルトの締付異常を判定する処理を表すフローチャート、図6にモータ取付ボルトの伸び量に対するモータ取付ボルトの締付軸力を表すグラフ、図7にモータ重心加速度に対するボルト締付軸力の変動量を表すグラフ、図8に周波数に対する振動の応答倍率を表すグラフ、図9に周波数に対するモータフランジ加速度を表すグラフを示す。
【0024】
本実施形態のトンネルボーリングマシン(以下、TBMと称する。)において、図3に示すように、掘削機本体は円筒形状をなす前胴11と後胴12とから構成されており、この前胴12の前部にはカッタヘッド13が回転自在に装着されており、このカッタヘッド13は前面部に岩盤をせん断破壊するローラカッタ14が多数枢着されている。このカッタヘッド13の後部には内歯を有するリングギヤ15が一体に固定される一方、前胴11には駆動モータ16が固定されており、この駆動モータ16の駆動ギヤ17がリングギヤ15に噛み合っている。また、前胴11には掘削により発生したずりが内部に浸入しないようにバルクヘッド18が形成されており、カッタヘッド13とこのバルクヘッド18との間にはチャンバ19が形成されている。そして、このチャンバ19にはずりを集積するホッパ20が配設され、このホッパ20の下部には集積したずりを外部に排出するベルトコンベヤ21の前部が位置している。
【0025】
従って、駆動モータ16を駆動して駆動ギヤ17を回転駆動すると、この駆動ギヤ17が噛み合うリングギヤ15が回転し、リングギヤ15と一体のカッタヘッド13を旋回し、ローラカッタ14が岩盤をせん断破壊して掘削することができる。そして、カッタヘッド13の開口部からチャンバ19に取り込まれたずりはホッパ20内に落下し、このホッパ20内に集積されたずりはベルトコンベヤ21によって外部に排出される。
【0026】
前胴11と後胴12とは互いにシール部材22を介して揺動自在に嵌合しており、両者の間には複数(本実施形態では8本)のスラストジャッキ23が架設されている。各スラストジャッキ23は基端部が後胴12の前端部に固定されたベースプレート24に玉軸受25によって連結され、各駆動ロッドの先端部が前胴11の前端部に固定されたエンドプレート26に玉軸受27によって連結されている。そして、このスラストジャッキ23は油圧の給排によって伸縮作動するものであって、全体としてトラス状に配設されることでパラレルリンク機構28を構成している。従って、このパラレルリンク機構28において、各スラストジャッキ23の各駆動ロッドを伸縮することで、後胴12に対する前胴11の位置を変更することができ、また、各スラストジャッキ23の各作動ストロークを変えることで、後胴12に対して前胴11を屈曲し、カッタヘッド13の姿勢を変更して掘進方向を変更することができる。
【0027】
また、前胴11には複数のフロントグリッパ29が周方向にほぼ均等間隔で装着されており、各フロントグリッパ29は内蔵された図示しない油圧ジャッキによってグリッパシュー30を径方向に張り出すことができる。従って、この油圧ジャッキを駆動して各グリッパシュー30を径方向に張り出すと、グリッパシュー30が既設トンネルの内壁面に圧接して前胴11を位置保持することができる。一方、後胴12には複数のリヤグリッパ31が周方向にほぼ均等間隔で装着されており、各リヤグリッパ31は内蔵された図示しない油圧ジャッキによってグリッパシュー32を径方向に張り出すことができる。従って、この油圧ジャッキを駆動して各グリッパシュー32を径方向に張り出すと、グリッパシュー32が既設トンネルの内壁面に圧接して後胴12を位置保持することができる。
【0028】
なお、通常のTBMは岩盤掘削用のトンネル掘削機であり、前述したリヤグリッパ31による掘進反力を得て前胴11を推進させるものであるが、トンネル掘削中の地盤が岩盤層から一般土砂層に変化した場合には、掘削したトンネル壁面が軟弱であり、リアグリッパ31から掘進反力を得ることができない。そのため、シールド掘削機のようにセグメントSによって掘進反力を得て前胴11が推進できるようになっている。即ち、後胴12の後部には円周方向に複数のシールドジャッキ33が並設されており、このシールドジャッキ33を伸長すると、掘削したトンネル内周面に構築された既設のセグメントSに押し付けられ、その反力により前胴11を前進させることができる。そして、このシールドジャッキ33と共に後胴12の後部にはトンネル内壁面にセグメントSを組付けるエレクタ装置34が装着されている。
【0029】
従って、リアグリッパ31によって後胴12を位置保持した状態で、駆動モータ16によってカッタヘッド13を回転駆動させながら、パラレルリンク機構28の各スラストジャッキ23を伸長して前胴11と共にカッタヘッド13を前方へ移動させる。すると、旋回するカッタヘッド13のローラカッタ14が岩盤をせん断破壊してトンネルを掘削する。そして、各スラストジャッキ23を所定ストローク伸長すると、フロントグリッパ29によって前胴11を位置保持する一方、リアグリッパ31によって後胴12を移動自在とした状態で、各スラストジャッキ23を収縮することで前胴11に対して後胴12を引き寄せる。そして、再び、リアグリッパ31によって後胴12を位置保持する一方、フロントグリッパ29によって前胴11を移動自在とした状態で、カッタヘッド13を回転駆動させながら、各スラストジャッキ23を伸長して前胴11と共にカッタヘッド13を前方へ移動させ、カッタヘッド13のローラカッタ14がトンネルを掘削する。この作動の繰り返しによって連続してトンネルを掘削していく。
【0030】
このように構成されたTBMでは、掘削作業中にカッタヘッド14を駆動回転する駆動モータ16のボルト締付異常を検出することができるようになっている。即ち、上述したTBMに適用された制御装置において、図1に示すように、駆動モータ16にはこの駆動モータ16の振動レベルを検出する振動検出手段としての加速度センサ41が装着されている。具体的には、図2に詳細に示すように、前胴11にはモータ取付台35がボルト36により取付けられ、このモータ取付台35の取付フランジ35aには駆動モータ16のフランジ16aが密着し、複数の取付ボルト37及びナット38により取付けられている。そして、互いに密着したモータ取付台35の取付フランジ35aと駆動モータ16のフランジ16aの端面に加速度センサ41が取付けられている。
【0031】
この加速度センサ41は各フランジ35a,16aにおけるモータフランジ加速度を計測するものであり、各駆動モータ16の少なくとも1台に装着されており、その装着位置は装着し易い箇所でよい。加速度センサ41は動歪み計アンプ42に接続されて計測結果を出力しており、この動歪み計アンプ42は加速度センサ41からの信号を計測電圧(あるいは電流)に変換することができる。そして、動歪み計アンプ42は異常診断装置43に接続されており、この異常診断装置43は、入力信号を計測値に変換する計測部44と、異常を判定する判定部45と、計測値や判定結果を記録する記録部46とで構成されている。また、制御装置(シーケンサ)47は図示しない操作パネルの操作に応じたモータ制御盤48,49の操作やスラストジャッキ23、フロントグリッパ29、リアグリッパ31の制御弁の操作等を行うことで、TBMを駆動制御している。
【0032】
ここで、上述したトンネル掘削機の制御装置によるボルト締付異常の検出方法について説明する。この場合、TBMによる掘削作業前にボルト締付軸力等に基づいて異常判定を行うための判定値(基準ボルト軸力)を設定する。図4のフローチャートに示すように、ステップS11において、各取付ボルト37の初期ボルト締付軸力F0 等の入力データの処理を行い、この初期ボルト締付軸力初F0 に基づいてボルト締付線図(図6)を作成し、ステップS12にて、このボルト締付線図から許容締付軸力変動量ΔFmax を設定する。即ち、図6のグラフは、駆動モータ16の取付ボルト37の初期ボルト締付軸力F0 を基準にした取付ボルト37の伸び量とボルト締付軸力Fの関係を示したものであり、初期ボルト締付軸力F0 からボルト締付軸力Fが変動して上昇すると、取付ボルト37が伸び始め、被締結体(フランジ35a,16a)への圧縮力が減少する。そして、ボルト締付軸力Fが許容ボルト締付軸力Fmax に達すると、この圧縮力が0になる。そこで、ステップS12では、初期ボルト締付軸力F0 から圧縮力が0となる変動量ΔFを下記数式1より許容締付軸力変動量ΔFmax として設定する。
【0033】
【数1】
Figure 0003848829
【0034】
次に、ステップS13にて、取付ボルト37の軸力変化と駆動モータ16の振動特性とを対応付けるために、算出した許容締付軸力変動量ΔFmax を振動レベルの尺度に変換し、駆動モータ16の重心点での加速度の許容値のRMS値αrms を設定する。即ち、図7のグラフは、駆動モータ16の振動特性の評価基準点をその重心位置とした場合のモータ重心加速度(ピーク値)αp とボルト軸力変動量ΔFとの関係を示す計測線図である。この線図より両者の関係は直線近似できることがわかる。従って、この近似直線の勾配と許容締付軸力変動量ΔFmax よりモータ重心加速度(ピーク値)の許容値αpmaxを下記数式2より算出する。
【0035】
【数2】
Figure 0003848829
【0036】
そして、この許容値αpmaxを振動レベルの尺度に変換する。この場合、平均値、2乗平均値、RMS(Root Mean Square)が一般的に用いられるが、ここではRMSを用いた例を示す。RMSとは、パワースペクトル密度関数Φx の周波数に関する積分値(2乗平均値)の平方根で定義されるものであり、下記数式3、4で表される。
【0037】
【数3】
Figure 0003848829
【数4】
Figure 0003848829
【0038】
ここで、モータ重心加速度のピーク許容値αpmaxの平均とRMS値の平均との比をβとすると、ピーク許容値αpmaxに対するRMS値αrmsmaxは下記数式5で表される。なお、以降、αrmsとして用いる。
【0039】
【数5】
Figure 0003848829
【0040】
そして、最後に、ステップS14にて、モータ重心加速度から伝達関数Gω(図8)を用いてモータフランジ加速度に換算し、異常判定のための判定値L1,L2を設定するが、このとき、段階の異なる2つの判定L1,L2(L1<L2)を設定して警報レベルを区分する。
【0041】
この場合、対象となるTBMにて、常に駆動モータ16の重心位置に加速度センサ41を装着して加速度を計測できれば、RMS値αrmsmaxを判定値として異常判定に用いることができるが、機械の状況によっては重心位置に加速度センサ41が装着しにくい場合があり、また、駆動モータ16の重心位置に常設用の治具を取付ことは余り好ましくない。そこで、本実施形態では、上述したように、駆動モータ16の重心点(一時的計測点)と常設箇所(フランジ35a,16a)に加速度センサ41を取付けて掘削中の振動を計測し、図8のグラフに示すような周波数に対する振動の応答倍率Gωを表すグラフを求める。
【0042】
【数6】
Figure 0003848829
【0043】
この図7のグラフにて、伝達関数Gωは所定の周波数帯(例えば、40Hz)に1次振動モードがあり、その応答倍率は約10倍となっている。そこで、この着目する周波数帯域(例えば20〜60Hz)でのRMSを用い、モータ重心加速度のRMSをαg_rms、モータフランジ加速度のRMSをα0_rms、伝達関数のRMSをG_rmsとすると、下記数式7が成り立つ。
【0044】
【数7】
Figure 0003848829
【0045】
ここで、モータ重心加速度αg_rmsは、前述の数式5のRMS値αrmsmaxより、下記数式8を導き出し、異常とみなす振動レベルの判定値L2を設定することができる。
【0046】
【数8】
Figure 0003848829
【0047】
なお、ここでは、着目する1つの周波数帯域に関して示したが、複数箇所設けることは可能である。例えば、0〜20Hz、20〜60Hz、60〜100Hz、100Hz〜140Hz・・・などである。これらの周波数帯域での判定値を求めた結果を図9のグラフに示す。この場合、1次振動モードがある所定の周波数帯(例えば、40Hz)に対して判定値を低くするようにしている。
【0048】
そして、上述した数式8にて判定値L2を設定したが、計測データのばらつき、計測データの誤差等を考慮して、もう一つの判定値L1を設定するようにしてもよい。この場合、判定値L1は判定値L2よりも低い値であって、TBMによる実掘削での振動レベルを監視して設定することが望ましい。
【0049】
また、上述した伝達関数Gωは、機械の構造物に関わるものであるため、TBMによる掘進状態で変化するものではない。そのため、必ずしも掘進中に上述の振動計測を行って伝達関数を求める必要はなく、例えば、TBMの製作が完成した段階で、ハンマー打撃試験で振動を計測して伝達関数Gωを求めることも可能である。
【0050】
このように伝達関数Gωを用いることで、前述した数式8によりモータフランジの振動を計測して取付ボルト37の軸力に着目した異常判定を行うことができる。そのため、TBMによるトンネル掘削作業には、モータ重心位置での加速度センサ等による計測作業は不要になる。
【0051】
以下、トンネル掘削作業における駆動モータ16の取付ボルト37の緩み異常検出処理について説明する。図5に示すように、ステップS21において、モータフランジ16aに装着した加速度センサ41がモータフランジ加速度として加速度データを計測し、この入力データの処理を行い、ステップS22にて、この加速度データより、モータフランジ加速度RMSの平均値αf を算出する。この場合、前述した数式2〜4を用いて加速度センサ41が計測したモータフランジ加速度αからRMS値αi を算出する。そして、着目すべき周波数帯域をf1〜f2と設定し、以下の処理を行う。なお、着目すべき周波数帯域は複数箇所存在しても良い。
【0052】
即ち、周波数帯域f1〜f2での加速度RMSの平均値αf の算出方法において、周波数帯域f1〜f2をδf間隔に分割し、各δfでのRMS値αi を算出し、δfでの面積相当Ai を求め、続いて、各面積相当Ai の和を求めて周波数帯域で除算する。即ち、下記数式9、10に基づいて算出する。
【0053】
【数9】
Figure 0003848829
【数10】
Figure 0003848829
【0054】
このようにδf間隔で分割する理由は、周波数帯域f1〜f2の間で加速度RMSが変化している可能性が高く、f1〜f2間の加速度RMSを直接算出方法では、誤差が大きくなるからである。そこで、周波数間隔をδfとして各δfで加速度RMSを算出し、f1〜f2間のRMSの平均値を求めることで、より精度の高い加速度RMSの平均値αf を求めることができる。なお、δfは一定値である必要はなく、f1〜f2間を異なる分割幅δfで上記演算を行うことも可能である。
【0055】
次に、ステップS23では、求めた加速度RMSの平均値αf が判定値L1を越え、且つ、その状態がT1秒以上継続したかどうかを判定し、加速度RMSの平均値αf が判定値L1を越えていなかったり、越えていてもその状態がT1秒以上継続していなければ何もせずにこのルーチンを抜ける。一方、加速度RMSの平均値αf が判定値L1を越えてT1秒以上継続していれば、ステップS24に移行する。この継続時間T1の設定方法は、例えば、代表的な周波数での単位時間あたりのボルト締付軸力低下量εf(kgf/min)と初期ボルト締付軸力F0 (kgf) の低下制限率γ(%) よりT1(min) を算出する。即ち、下記数式11より求めることができる。なお、実稼働状態によって経験的に時間T1を設定することも可能である。
【0056】
【数11】
Figure 0003848829
【0057】
そして、ステップS24では、加速度RMSの平均値αf が判定値L2を越えたかどうかを判定する。そして、ここで加速度RMSの平均値αf が判定値L2を越えていなければ、ステップS25に移行して警報レベル1とし、運転条件を変更する指示をオペレータに出力する。即ち、カッタヘッド14の回転速度を低下したり、パラレルリンク機構28により推進速度を低下したりする。また、ステップS24にて、加速度RMSの平均値αf が判定値L2を越えていれば、ボルト軸力が0に近づくほどの振動であるため、ステップS26に移行して警報レベル2とし、TBMを停止させる指示をオペレータに出力し、停止指示後に各部の緩み等の点検を指示する。
【0058】
このように本実施形態のトンネル掘削機の制御装置にあっては、駆動モータ16の取付ボルト37の初期ボルト締付軸力初F0 、伸び量、ボルト締付軸力Fから許容締付軸力変動量ΔFmax を設定し、この許容締付軸力変動量ΔFmax を振動レベルの尺度に変換して駆動モータ16の重心点での加速度の許容値のRMS値αrms を設定し、伝達関数Gωを用いてモータフランジ加速度に換算することで、予め異常判定のための判定値L1,L2を設定しておき、TBMによるトンネル掘削作業中に、カッタヘッド14を駆動する駆動モータ16のフランジ16aにおけるモータフランジ加速度αを加速度センサ41で計測し、モータフランジ加速度RMSの平均値αf を算出し、この加速度RMSの平均値αf が判定値L1を越え、且つ、その状態がT1秒以上継続したら、警報レベル1として運転条件を変更し、更に、加速度RMSの平均値αf が判定値L2を越えたら、警報レベル2としてTBMを停止させるようにしている。
【0059】
従って、TBMの主要部位の一つであるカッタヘッド14を駆動回転する駆動モータ16の取付ボルト37の健全性(緩み度合い)を掘削中に発生する振動レベルで容易に判定できる。また、駆動モータ16の重心位置等の代表点での振動レベルとボルト軸力変化のデータベース、この代表点とセンサ常設計測点(任意位置)間の加速度伝達関数を用いることで、この任意位置の常設計測点の振動レベルで駆動モータ16の取付ボルト37の軸力緩み度合いが判定でき、異常を検出することが可能になる。
【0060】
なお、上述の実施形態では、トンネル掘削作業中における駆動モータ16のモータフランジ加速度αをRMSの平均値αf として算出し、取付ボルト37の初期ボルト締付軸力初F0 などから予め設定した判定値L1,L2と比較して駆動モータ16の異常検出を行ったが、判定値は一つでもよく、あるいは判定値をなくしてモータフランジ加速度αの変化または変化率等により異常を判定してもよい。
【0061】
図10に本発明の第2実施形態に係るトンネル掘削機の制御装置の概略構成、図11に駆動モータの異常を判定する処理を表すフローチャート、図12に本発明の第3実施形態に係るトンネル掘削機の制御装置の概略構成を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0062】
駆動モータ16の異常兆候の初期段階では、第1実施形態で示した振動や、発熱、回転トルク変動などが生じるため、この第2実施形態では、異常振動の判定と共に、各駆動モータ16間の電流バランス、トルクバランス及び減速機の油温バランスを異常判定とする。
【0063】
第2実施形態のトンネル掘削機の制御装置において、図10に示すように、駆動モータ16には加速度センサ41が装着され、動歪み計アンプ42を介して異常診断装置43に接続されており、この異常診断装置43は計測部44と判定部45と記録部46とから構成されている。また、駆動モータ16にはモータ減速機内の油温を計測する温度計51が装着されており、この温度計51は温度変換器52を介して異常診断装置43に接続されている。従って、この異常診断装置43には、駆動モータ16に装着した加速度センサ41の計測データと、この温度計51の計測データとしての油温Ti と、モータ制御盤47からの制御電流Ii 及びトルクTriが入力される。また、制御装置(シーケンサ)47には加速度センサ41の計測データを除く、温度計51の計測データ、モータ制御盤47からの制御電流Ii 及びトルクTriが入力される。
【0064】
ここで、上述したトンネル掘削機の制御装置によるトンネル掘削作業中における駆動モータ16の異常検出処理について説明するが、この駆動モータ16の異常検出処理は、前述した第1実施形態での異常検出処理と選択的に、あるいは並行して行うものであり、重複する説明は省略する。
【0065】
図11に示すように、ステップS31において、温度計51から油温Ti とモータ制御盤47から制御電流Ii 及びトルクTriが入力される。そして、ステップS32にて、各駆動モータ16の電流バランスを判定する。即ち、各駆動モータ16の電流Ii の平均値I0 と電流偏差δIi を算出する。この場合、
電流の平均値I0 :モータ最大、最小電流を除いた平均値
電流偏差δIi :δIi =Ii −I0
最大電流値 :Im
となる。そして、電流偏差の判定値をδlLMT 、最大電流の判定値をImLMT とする。なお、この判定値は実稼働中のデータをもとに設定する。
【0066】
従って、このステップS3では、各駆動モータ16の電流偏差δIiが判定値δlLMT を越えておらず、且つ、最大電流値Im が判定値ImLMT を越えていなければ、ステップS33に移行し、一方でも越えていれば駆動モータ16の異常と判定し、ステップS36に移行して駆動モータ16を制御してカッタヘッド14の回転を停止する。
【0067】
ステップS33では、各駆動モータ16のトルクバランスを判定する。即ち、各駆動モータ16のトルクTriの平均値Tr0とトルク偏差δTriを算出する。この場合、
トルクの平均値Tr0:モータ最大、最小トルク電流を除いた平均値
トルク偏差δTri :δTri=Tri−Tr0
最大トルク :Trm
となる。そして、トルク偏差の判定値をδTrLMT 、最大電流の判定値をTrLMT とする。なお、この判定値は実稼働中のデータをもとに設定する。
【0068】
従って、各駆動モータ16のトルク偏差δTriが判定値δTrLMT を越えておらず、且つ、最大トルクTrmが判定値TrmLMT を越えていなければ、ステップS34に移行し、一方でも越えていれば駆動モータ16の異常と判定し、ステップS36に移行して駆動モータ16を制御してカッタヘッド14の回転を停止する。
【0069】
ステップS34では、各駆動モータ16の油温バランスを判定する。即ち、各駆動モータ16の油温Ti の平均値T0 と油温偏差δTi を算出する。この場合、
油温の平均値T0 :モータ最大、最小トルク電流を除いた平均値
油温偏差δTi :δTi =Ti −T0
最大油温 :Tm
となる。そして、油温偏差の判定値をδTLMT 、最大電流の判定値をTmLMT とする。なお、この判定値は実稼働中のデータをもとに設定する。
【0070】
従って、各駆動モータ16の油温偏差δTi が判定値δTLMT を越えておらず、且つ、最大トルクTm が判定値TmLMT を越えていなければ、駆動モータ16の正常と判定し、ステップS35に移行して駆動モータ16の回転を継続して行う。また、このステップS34で、一方でも越えていれば駆動モータ16の異常と判定し、ステップS36に移行して駆動モータ16を制御してカッタヘッド14の回転を停止する。
【0071】
なお、上述の実施形態では、偏差と最大値の両者が各判定値以下であるときに、駆動モータ16を正常と判定したが、この偏差あるいは最大値の一方のみを判定に使用するようにしてもよい。また、電流バランス、トルクバランス、減速機の油温バランスのいずれか一つで異常検出を行ってもよい。
【0072】
このように本実施形態にあっては、駆動モータ16の振動レベルによる取付ボルト37の締付軸力の異常判定だけでなく、モータ電流バランス、モータトルクバランス、モータ減速機温度バランスを並行して異常判定することにより、駆動モータ16の異常兆候を初期段階で把握することができる。
【0073】
また、第3実施形態のトンネル掘削機の制御装置において、図12に示すように、異常診断装置43には送受信手段としてのモデム53が接続されており、このモデム53は遠隔地に据え付けた監視装置手段としての監視装置54にモデム55を介してデータの送受信が可能となっている。なお、駆動モータ16の異常検出処理は、前述した第1実施形態及び第2実施形態での異常検出処理と同様であり、説明は省略する。
【0074】
そのため、駆動モータ16の異常診断は、加速度センサ41、温度計51の計測データ、モータ制御盤47からのモータ電流データ、モータトルクを用いて、異常診断装置43の計測部44及び判定部45が処理する。そして、その計測結果、判定結果は記録部46で記録され、モデム53と遠隔地に設けたモデム55とを用いて監視装置54により、遠隔で掘削中の計測データや判定結果をモニタリングすることができる。モニタリングするデータは、上述した情報のみではなく、掘削・施工に関する各種データであっても構わない。また、遠隔地でのモニタリングで異常情報を把握した場合、遠隔地から現地作業員に対して、指示を促すことが可能になる。
【0075】
従って、モデム53,55を用いて現地と遠隔地とのデータ送受信を可能にすることにより、遠隔地で掘削機の状態を把握することが可能になり、異常が発生した場合、現地作業員に適切な指示を促すことが可能になるため、異常発生後の機械の停止時間を短縮化することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、駆動モータの振動レベルを検出する振動検出手段と、この振動検出手段が検出した振動レベルに基づいてモータ取付ボルトの軸力変化を推定してモータ取付ボルトの締付異常を判定する軸力判定手段と、軸力判定手段の判定結果に基づいて駆動モータを駆動を制御する制御手段とを設けたので、駆動モータの取付ボルトの緩み度合いを掘削中に発生する振動レベルで容易に判定することができ、トンネル掘削機における安全性の向上並びに作業能率の向上を図ることができる。
【0077】
請求項2の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、軸力判定手段は、推定したボルト軸力と予め設定された基準ボルト軸力とを比較することでモータ取付ボルトの締付異常を判定するので、駆動モータの取付ボルトの緩み度合いを容易に、且つ、短時間で判定することができる。
【0078】
請求項3の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、基準ボルト軸力は、初期ボルト締付軸力と許容ボルト締付軸力とに基づいて許容締付軸力変動量を算出し、モータ重心加速度と許容締付軸力変動量との比例関係から許容締付軸力変動量に基づいてモータ重心加速度の許容値を算出し、モータ重心加速度の許容値に対するRMS値から算出される判定値であるので、取付ボルトの緩み度合いを判定するための判定値を容易に設定することができる。
【0079】
請求項4の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、振動検出手段は駆動モータの取付部の振動レベルを検出する一方、基準ボルト軸力はRMS値に対して駆動モータの重心から取付部への伝達関数を用いて判定値を算出するので、駆動モータの重心位置等の代表点での振動レベルとボルト軸力変化のデータベース、この代表点とセンサ常設計測点(任意位置)間の加速度伝達関数を用いることで、この任意位置の常設計測点の振動レベルで駆動モータの取付ボルトの軸力緩み度合いが判定でき、容易に異常を検出することが可能になる。
【0080】
請求項5の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、判定値はRMS値に基づいて少なくとも2つの判定値を求め、第1判定値に基づいて駆動モータの運転条件の変更を判定し、第2判定値に基づいて駆動モータの停止を判定するので、取付ボルトの緩み度合いを段階的に判定することで、駆動モータの制御を段階的に制御し、安全性及び作業能率を向上することができる。
【0081】
請求項6の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、振動検出手段は、駆動モータのモータ重心加速度を検出する加速度センサ、あるいは、駆動モータの取付フランジに装着されてモータフランジ加速度を検出する加速度センサとしたので、簡単な構造でボルト軸力変化を算出することができる。
【0082】
請求項7の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、判定手段は、モータ重心加速度あるいはモータフランジ加速度から所定の周波数帯域でのRMS平均値を算出し、RMS平均値をボルト軸力とするので、高精度の加速度のRMS平均値を求めることができる。
【0083】
請求項8の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、駆動モータの電流偏差及び最大電流値に基づいて制御電流バランスを判定する制御電流バランス判定手段を設け、制御手段は軸力判定手段あるいは制御電流バランス判定手段の判定結果に基づいて駆動モータを駆動を制御するので、駆動モータのモータ電流バランスを並行して異常判定することにより、駆動モータの異常兆候を初期段階で把握することができる。
【0084】
請求項9の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、駆動モータのトルク偏差及び最大トルクに基づいてトルクバランスを判定するトルクバランス判定手段を設け、制御手段は軸力判定手段あるいはトルクバランス判定手段の判定結果に基づいて駆動モータを駆動を制御するので、駆動モータのトルクバランスを並行して異常判定することにより、駆動モータの異常兆候を初期段階で把握することができる。
【0085】
請求項10の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、駆動モータの油温偏差及び最大油温に基づいて油温バランスを判定する油温バランス判定手段を設け、制御手段は軸力判定手段あるいは油温バランス判定手段の判定結果に基づいて駆動モータを駆動を制御するので、駆動モータの油温バランスを並行して異常判定することにより、駆動モータの異常兆候を初期段階で把握することができる。
【0086】
請求項11の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、バランス判定手段は、偏差値が予め設定された基準値を越えたときに第1締付異常と判定し、最大値が予め設定された基準値を越えたときに第2締付異常と判定するので、駆動モータの制御を段階的に制御し、安全性及び作業能率を向上することができる。
【0087】
請求項12の発明のトンネル掘削機の制御装置によれば、軸力判定手段及び制御手段に送受信手段を設け、遠隔地に設けられた監視操作手段は受信した軸力判定手段の判定結果に基づいて制御手段に指示を送信可能としたので、異常が発生した場合、現地作業員に適切な指示を促すことが可能になり、異常発生後の機械の停止時間を短縮化することができる。
【0088】
請求項13の発明の駆動モータの異常検出装置によれば、駆動モータの振動レベルを検出する振動検出手段と、この振動検出手段が検出した振動レベルに基づいてモータ取付ボルトの軸力変化を推定してモータ取付ボルトの締付異常を判定する軸力判定手段とを設けたので、駆動モータの取付ボルトの緩み度合いを振動レベルで容易に判定することができ、トンネル掘削機における安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るトンネル掘削機の制御装置の概略構成図である。
【図2】駆動モータ及び加速度センサの取付構造を表す概略図である。
【図3】本実施形態のトンネル掘削機の制御装置が適用されたトンネルボーリングマシンの概略断面図である。
【図4】モータフランジ加速度の判定値を設定する処理を表すフローチャートである。
【図5】モータ取付ボルトの締付異常を判定する処理を表すフローチャートである。
【図6】モータ取付ボルトの伸び量に対するモータ取付ボルトの締付軸力を表すグラフである。
【図7】モータ重心加速度に対するボルト締付軸力の変動量を表すグラフである。
【図8】周波数に対する振動の応答倍率を表すグラフである。
【図9】周波数に対するモータフランジ加速度を表すグラフである。
【図10】本発明の第2実施形態に係るトンネル掘削機の制御装置の概略構成図である。
【図11】駆動モータの異常を判定する処理を表すフローチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態に係るトンネル掘削機の制御装置の概略構成図である。
【符号の説明】
11 前胴(掘削機本体)
12 後胴(掘削機本体)
13 カッタヘッド
15 リングギヤ
16 駆動モータ
16a モータフランジ
17 駆動ギヤ
23 スラストジャッキ
28 パラレルリンク機構
37 取付ボルト
41 加速度センサ(振動検出手段)
42 動歪み計アンプ
43 異常診断装置
44 計測部
45 判定部(軸力判定手段)
46 記録部
47 制御装置(制御手段)
51 温度計
52 温度変換器
53,55 モデム(送受信手段)
54 監視装置(監視操作手段)

Claims (13)

  1. 筒状をなす掘削機本体の前部にカッタヘッドが回転自在で、且つ、駆動モータによって駆動回転可能に装着される一方、該掘削機本体の後部に周辺地盤からの反力を得て該掘削機本体を前進させる推進ジャッキが装着されたトンネル掘削機において、前記駆動モータの振動レベルを検出する振動検出手段と、該振動検出手段が検出した振動レベルに基づいてモータ取付ボルトの軸力変化を推定して該モータ取付ボルトの締付異常を判定する軸力判定手段と、該軸力判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御する制御手段とを具えたことを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  2. 請求項1記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記軸力判定手段は、前記推定したボルト軸力と予め設定された基準ボルト軸力とを比較することで前記モータ取付ボルトの締付異常を判定することを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  3. 請求項2記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記基準ボルト軸力は、初期ボルト締付軸力と許容ボルト締付軸力とに基づいて許容締付軸力変動量を算出し、モータ重心加速度と該許容締付軸力変動量との比例関係から前記許容締付軸力変動量に基づいてモータ重心加速度の許容値を算出し、該モータ重心加速度の許容値に対するRMS値から算出される判定値であることを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  4. 請求項3記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記振動検出手段は前記駆動モータの取付部の振動レベルを検出する一方、前記基準ボルト軸力は前記RMS値に対して前記駆動モータの重心から前記取付部への伝達関数を用いて前記判定値を算出することを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  5. 請求項3記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記判定値は前記RMS値に基づいて少なくとも2つの判定値を求め、第1判定値に基づいて前記駆動モータの運転条件の変更を判定し、第2判定値に基づいて前記駆動モータの停止を判定することを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  6. 請求項1記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記振動検出手段は、前記駆動モータのモータ重心加速度を検出する加速度センサ、あるいは、該駆動モータの取付フランジに装着されてモータフランジ加速度を検出する加速度センサであることを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  7. 請求項6記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記判定手段は、前記モータ重心加速度あるいはモータフランジ加速度から所定の周波数帯域でのRMS平均値を算出し、該RMS平均値を前記ボルト軸力とすることを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  8. 請求項1記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記駆動モータの電流偏差及び最大電流値に基づいて制御電流バランスを判定する制御電流バランス判定手段を設け、前記制御手段は前記軸力判定手段あるいは該制御電流バランス判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御することを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  9. 請求項1記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記駆動モータのトルク偏差及び最大トルクに基づいてトルクバランスを判定するトルクバランス判定手段を設け、前記制御手段は前記軸力判定手段あるいは該トルクバランス判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御することを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  10. 請求項1記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記駆動モータの油温偏差及び最大油温に基づいて油温バランスを判定する油温バランス判定手段を設け、前記制御手段は前記軸力判定手段あるいは該油温バランス判定手段の判定結果に基づいて前記駆動モータを駆動を制御することを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  11. 請求項8または9または10記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記バランス判定手段は、前記偏差値が予め設定された基準値を越えたときに第1締付異常と判定し、前記最大値が予め設定された基準値を越えたときに第2締付異常と判定することを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  12. 請求項1記載のトンネル掘削機の制御装置において、前記軸力判定手段及び前記制御手段に送受信手段を設け、遠隔地に設けられた監視操作手段は受信した前記軸力判定手段の判定結果に基づいて前記制御手段に指示を送信可能としたことを特徴とするトンネル掘削機の制御装置。
  13. 掘削機本体に駆動モータによりカッタヘッドが駆動回転可能に装着されたカッタ装置において、前記駆動モータの振動レベルを検出する振動検出手段と、該振動検出手段が検出した振動レベルに基づいてモータ取付ボルトの軸力変化を推定して該モータ取付ボルトの締付異常を判定する軸力判定手段とを具えたことを特徴とする駆動モータの異常検出装置。
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