JP3848710B2 - 引き違い戸の錠部材の芯出し構造及び錠部材の芯出し方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は引き違い戸の錠部材の芯出し構造及び錠部材の芯出し方法に関する。ここで「錠部材」とは、引き違い戸に於ける外側框に取り付けられる外側錠部材と、この外側錠部材に対向するように内側縦框に取り付けられる内側錠部材とを意味する。
【0002】
【従来の技術】
一般に引き違い戸の錠部材の芯出し構造及び錠部材の芯出し方法は、「錠部材」が鎌用係合孔を有する外側錠部材と鎌を内装する内側錠部材とから成るので、両部材を整合するように引き違い戸の縦框に固定的に取り付けなければ成らない。
【0003】
そこで、従来、外側錠部材のストライク板に位置決め用マークを付し、一方、内側錠部材の錠箱のフロント板に照準孔を形成し、またこの照準孔と位置決め用マークとの一致を目視により確認することができるように前記フロント板と対向する後部垂直壁に覗き孔を形成する引違錠の取付装置が提案されている(特開平7−28640号公報)。
【0004】
また従来、予め外側框に固定的に取付けられた外側錠部材に対し、内側錠部材を内側縦框に取り付ける際に、外側錠部材のストライク板に形成された芯出し用基準小孔、内側錠部材の錠箱のフロント板並びに後部垂直壁にそれぞれ形成された一対の水平貫通孔等にセッテイング用ピンを差し込み、錠部材の芯出した状態で内側錠部材(錠箱及び化粧板)を内側縦框に固定している。
【0005】
しかしながら、前者の実施例は、目視により錠部材の芯出しを行うため、勘やある程度の熟練さを要すると共に、内側錠部材の錠箱を仮止めした状態で化粧板を固定しなければ成らない。すなわち、作業員が一旦目視により錠部材の芯出しをしたならば、錠箱を上下に「ずらさない」ようにしながら内側錠部材の取付け作業をしなければ成らないので、結構面倒である。
【0006】
一方、後者の実施例は、芯出しの際セッテイング用ピンを用いるので、前者の実施例の欠点を解消することができると言う利点を有するものの、一旦引違錠を引き違い戸の縦框に取付けてしまうと、経験則上(日常)、セッテイング用ピンを捨ててしまったり、或いは紛失してしまうのが一般である。したがって、使用後に再度芯出しの必要性が生じた場合に、新たなセッテイング用ピンを用意しないと、直ちに錠部材の芯出しができないという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、第1の目的は外側錠部材に対する内側錠部材の芯出しが容易であると同時に、内側縦框に内側錠部材を簡単に取付けることができることである。第2の目的は錠部材の使用後に、再度芯出しの必要性が生じた場合、新たなセッテイング用ピンを用意しなくとも直ちに錠部材の芯出しができることである。第3の目的は錠部材を縦框に固定した後、内側カバーに設けられた操作片を簡単に操作するだけで、セッテイング用係合棒の全体を錠箱内に自動的に復帰させることができることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の引き違い戸の錠部材の芯出し構造は、ストライク板4に芯出し用基準小孔9を有し、かつ、予め外側框1に固定された外側錠部材2と、この外側錠部材2に対向して内側縦框21に固定され、かつ、錠箱24のフロント板23に芯出し孔40を有する内側錠部材22とから成る引き違い戸の錠部材の芯出し構造に於いて、内側錠部材22の錠箱24内に支持板25を設け、この支持板25には前記芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26で錠箱24の垂直壁部46に形成されたドライバー用差し込み孔48の方向に付勢された芯出し用係合棒27を設け、一方、この芯出し用係合棒27はセッテイングの際に、錠箱24内に上下動可能に内装された駆動板28と係合し、この駆動板28は内側縦框21に固定された内側カバーに設けられた操作片34に連結していることを特徴とする。
【0009】
また本発明の引き違い戸の錠部材の芯出し構造は、ストライク板4に芯出し用基準小孔9を有し、かつ、予め外側框1に固定された外側錠部材2と、この外側錠部材2に対向して内側縦框21に固定され、かつ、錠箱24Aのフロント板23に芯出し孔40Aを有する内側錠部材22とから成る引き違い戸の錠部材の芯出し構造に於いて、内側錠部材22の錠箱24A内に支持板25を設け、この支持板25には前記芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26Aで錠箱24Aの垂直壁部46に形成されたドライバー用差し込み孔48Aの方向に付勢された芯出し用係合棒27Aを設け、この芯出し用係合棒27Aはセッテイングの際に、錠箱24Aの内壁面に設けられた係止突片56Aと係合し、また内側縦框21に固定される内側カバー32Aには、錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aと直線上一致するドライバー用貫通孔81が形成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の引き違い戸の錠部材の芯出し方法は、内側框21の取付け用嵌合孔43にフロント板23を有する錠箱24を遊嵌合する錠箱遊嵌合工程Aと、次にドライバー80を錠箱24のドライバー用差し込み孔48に差し込み、かつ、係合棒27の頭部50を突っ突きながら該係合棒27の先端部をフロント板23の芯出し孔40を介し、外側錠部材2のストライク板4の芯出し用基準小孔9に挿入する錠箱位置決め工程Bと、次にCは錠箱24の取付け位置が割り出された状態に於いて、ドライバー80を介して係合棒27を回転し、該係合棒27の係合部51を駆動板28の係止突片56に係止させる係合棒セッテイング工程Cと、次に内側カバー32を固着具31を介して錠箱24並びに内側框21に固定する錠箱固定工程Dと、しかる後に、内側カバー32に設けられた操作片34を操作して錠箱24内の駆動板28を下降させ、これにより係合棒27と駆動板28との係合関係を解除し、係合棒27をバネ部材26のバネ力により錠箱24内に復帰させる係合棒復帰工程Eとから成ることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の物の発明に於ける実施の形態を説明する。まず図1は引き違い戸に於ける外側框1の錠部材2と、内側縦框21の錠部材22との芯出し構造Xを示す概略図である。
【0012】
まず外側框1の錠部材2について説明する。本発明に於いて、外側錠部材2の内部構造は発明を特定する要件ではないので省略する。
【0013】
しかして、外側錠部材2は、外側カバー(通称、化粧板又は外側エスカチオンと言う。)3と、ストライク板4と、このストライク板4と外側錠部材2を一体的に結合する第1の固着具5とから成る。前記外側カバー3の開口部6が形成された内部空間7には、キーによって作動するシリンダ錠が内装される。また外側カバー3の内部空間7の下方の中央空間8には、複数個のロックアームを有するロック機構が組み込まれる。
【0014】
一方、前記ストライク板4には複数個の貫通孔や開口が形成されている。そこで、これらの貫通孔等について説明すると、9はストライク板4の上部に形成された芯出し用基準小孔である。この芯出し用基準小孔9は円形であり、シリンダ錠用内部空間7と連通可能である。一方、10はストライク板4の下部に形成された鎌用係合孔である。鎌用係合孔10は矩形状であり、後述する内側錠部材22の鎌が入り込む。そして、11はストライク板4の中央部に形成された複数個のロックアーム用貫通孔である。
【0015】
次に内側縦框21の錠部材22について説明する。この内側錠部材22は、予め外側框1に固定された外側錠部材2に対し、錠箱24の芯出し孔を外側錠部材2の基準小孔9に一致させた後、内側縦框21に固定される。
【0016】
しかして、内側錠部材22は、フロント板23を有する錠箱24と、この錠箱24内に支持板25を介し、芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26で一方向に付勢された芯出し用係合棒27と、この芯出し用係合棒27を前記外側錠部材2の基準小孔9にセッテイングした際に、該芯出し用係合棒27を係止できるように錠箱24に上下動可能に内装された駆動板28と、この駆動板28の上下動により回動するように錠箱24に軸支された鎌29と、錠箱24を内側縦框21に仮止めする仮止め固定手段30と、内側縦框21に第2の固着具31を介して直接的又は間接的に固定される内側カバー(通称、化粧板又は内側エスカチオンと言う。)32と、駆動板28に一端部が固定された連結棒33を介して内側カバー32にスライド自在に設けられた操作片34とから成る。
【0017】
そこで、内側錠部材22の各構成要素についてさらに詳しく説明する。まずフロント板23の上部には芯出し孔40が形成されている。芯出し孔40は錠箱24を上下に調節すると、外側錠部材2の基準小孔9と一致可能であると共に、これらの孔9、40が一致した場合には、係合棒27が貫通状態にセッテイング可能である。またフロント板23の中央部には外側錠部材2の図示しないロック機構のロックアームが入り込む開口41が形成されている。さらに、フロント板23の下部には鎌用開口42が形成されている。鎌用開口42は錠箱24を上下に調節すると、丁度外側錠部材2の鎌用係合孔10に一致する。
【0018】
次に錠箱24は内側框21の取付け用嵌合孔43に上下方向に調整できるように多少の余裕を有して嵌め込まれる。錠箱24は全体として長箱状であり、取付け用嵌合孔43に縦に配設される。しかして、44、45はフロント板23と交差する上下の側壁部であり、また46はフロント板23に対する垂直壁部である。この垂直壁部46の上下部には第2の固着具31用メネジ孔47がそれぞれ形成されている。また垂直壁部46の上部には係合棒27をセッテイングするためのドライバー用差し込み孔48が形成されている。さらに、垂直壁部46の中央部には垂直案内長孔49が形成されている。
【0019】
次に支持板25は上壁部44の内壁面に固定的に垂設され、中央部に貫通孔を有する。また係合棒27は、支持板25にその貫通孔を介して設けられたピン状のバーであり、ドライバー用差し込み孔48に臨む頭部50と支持板25との間には、係合棒27を錠箱24内(差し込み孔48の方向)に付勢するバネ部材26が介在している。そして、係合棒27の中央部には駆動板28と係脱する小判状の係合部51が設けられている。
【0020】
次に駆動板28は全体としては長板状であり、錠箱24内に図示しない垂直ガイド部を介して上下動可能に設けられている。そして、駆動板28の人差し指状の上端部55には係合棒27の係合部51を係止する係止突片56が形成されている。また駆動板28の親指状部57側には錠箱の垂直壁部46と対向する折曲部58が形成され、この折曲部58の中央部には連結棒33の一端部が固定されている。さらに、駆動板28の下端部には鎌29のT字型ガイド孔60と係合する突起軸59が設けられている。
【0021】
次に鎌29は錠箱24の下端部寄りの部位に横設軸架された横軸61に軸支され、駆動板28が下降すると、横軸61を支点に回転し、鎌用開口42及び鎌用係合孔10へと入り込む。
【0022】
次に仮止め固定手段30は錠箱24の上下側壁部44、45の外壁面にそれぞれ固定的に設けられている。仮止め固定手段30自体の構成に付いては、出願人が特開平7−286460号公報ですでに提案済みである。この公開公報には錠箱の仮止め構造の実施例をいくつか記載してある。したがって、図1の仮止め固定手段30は錠箱24を内側框21に仮止めする一例に過ぎない。
【0023】
しかして、65は錠箱24の側壁部44、45に固定され、かつ、一端部に内側框21に外拡変位して圧接するアーム状圧接部65aを有する固定片で、この固定片65の他端部には仮止めネジ66と螺合するネジ部65bが設けられている。なお、仮止めネジ66をドライバーで締めると、その先端部がアーム状圧接部65aを押圧する。
【0024】
次に内側カバー32は第2の固着具31を介して錠箱24に固定されている。したがって、内側カバー32は錠箱24のフロント板23と相俟って内側框21に固定されている。内側カバー32は意匠的には化粧板としての装飾的機能を有する。しかして、内側カバー32の中央部には縦方向に切欠部70が形成されている。そして、この切欠部70を塞ぐように内側カバー32の内側には、所要のガイド空間71を有してガイド支持板72が固定的に設けられている。
【0025】
次に操作片34は板状スライド部75の中央部に摘み部76を有し、前記ガイド空間71に設けられている。そして、操作片34の摘み部76にはガイド支持板72の貫通孔を貫通する連結棒33の他端部が嵌入している。
【0026】
次に図5乃至図10は方法の発明の第1実施例である。この実施例は上述した物の発明の実施例を前提としている。したがって、便宜上図1記載の実施例の符号を用いて説明をする。また構造上の重複する説明は便宜的に省略する。
【0027】
まずAは内側框21の取付け用嵌合孔43にフロント板23を有する錠箱24を遊嵌合する錠箱遊嵌合工程である。この錠箱遊嵌合工程Aでは、支持板25に水平状態に支持された係合棒27は、バネ部材26で錠箱24のドライバー用差し込み孔48の方向に付勢され、かつ、その小判状係合部51が支持板25の側面に当たっているので、全体が錠箱24内に位置している。そして、係合棒27の頭部50はドライバー用差し込み孔48の近くに臨んでいる。
【0028】
また錠箱24は内側框21の取付け用嵌合孔43内に於いて上下方向に調整可能であると共に、この段階では錠箱24に内側カバー32は取り付けられていない。さらに、錠箱24内の駆動板28は上方に位置している。
【0029】
次にBはドライバー80を錠箱24のドライバー用差し込み孔48に差し込み、かつ、係合棒27の頭部50を突っ突きながら該係合棒27の先端部を芯出し孔40を介し、外側錠部材のストライク板4の芯出し用基準小孔9に挿入する錠箱位置決め工程である。この錠箱位置決め工程Bでは錠箱24を片手で支持しながら上下方向にスライドし、一方、他方の手でドライバー80の突っ突き操作をする。この場合ストライク板4の芯出し用基準小孔9とフロント板23の芯出し孔40が一致すれば芯出し孔40から突出する係合棒27の先端部が芯出し用基準小孔9に入り込む。この場合係合棒27はバネ部材26のバネ力に抗して水平移動する。これにより錠箱24の取付け位置が割り出される。
【0030】
次にCは錠箱24の取付け位置が割り出された(係合棒27が芯出し用基準小孔9に入り込んだ)状態に於いて、ドライバー80を介して係合棒27を所要角度回転し、該係合棒27の係合部51を駆動板28の係止突片56に係止させる係合棒セッテイング工程である。この係合棒セッテイング工程Cでは、係合棒27を90度程回転すると、係合棒27の係合部51が駆動板28の係止突片56に完全に係止される。したがって、係合棒27が芯出し用基準小孔9に入り込んだ状態に成る。またこの時係合棒27に装着されたバネ部材26は、係合棒27の頭部50と支持板25の間で収縮しているので、バネ部材26のバネ力はドライバー用差し込み孔48の方向に働いている。
【0031】
Dは錠箱固定工程である。この錠箱固定工程Dは、本実施例では錠箱仮止め工程d1と、この錠箱仮止め工程d1後の内側カバー取付け工程d2とから成る。まず錠箱仮止め工程d1ではドライバー80を回し、錠箱24の仮止め固定手段30の仮止めネジ66を締める。仮止めネジ66を締めると、固定片65のアーム状圧接部65aが外拡変位し、内側框21に圧接する。これにより錠箱24は内側框21に仮止めされる。次に内側カバー取付け工程d2では、内側カバー32の操作片34を予め上方に位置させた状態に於いて、操作片34の摘み部76の内部に駆動板28の連結棒33の突出他端部を嵌入させ、しかる後に第2の固着具31を締め、内側カバー32を錠箱24並びに内側框21に固定する。錠箱24はそのフロンド板23と内側カバー32とが相俟って内側框21に確実に固定される。
【0032】
Eは操作片34を操作して駆動板28を下降させ、これにより係合棒27と駆動板28との係合関係を解除し、係合棒27をバネ部材26のバネ力により錠箱24内に復帰させる係合棒復帰工程である。この係合棒復帰工程Eでは操作片34の摘み部76を指で摘んで下方にスライドさせる。そうすると、駆動板28は連結棒33を介して下方に下降し、駆動板28の係合突片56が係合棒27の係合部51から外れる。その結果、係合棒27はバネ部材26のバネ力により、自動的錠箱24内に復帰する。
【0033】
【実施例】
まず物の発明の実施例に於いて、駆動板28の人差し指状の上端部55に係合棒27の係合部51を係止する係止突片56が形成されているが、この点を図11で示すように設計変更することができる。
【0034】
すなわち、図11乃至図13で示すように錠箱24Aの上の側壁部44Aの内壁面に係止突片56Aを垂設し、この係止突片56Aに錠箱24Aの取付け位置が割り出された状態に於いて、係合棒27Aの小判状係合部51Aが係合するように構成する。したがって、駆動板28Aには係止突片が形成されていない。
【0035】
また内側カバー32Aの上端部に、錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aと同様なドライバー用貫通孔81が形成されている点である。なお、ドライバー用貫通孔81、ドライバー用差し込み孔48A、芯出し孔40Aは同一の直線上に位置する。
【0036】
次に方法の発明の実施例に於いて、図11乃至図13で示すように物の実施例を設計変更することができるので、係合棒セッテイング工程C並びに係合棒復帰工程Eか当然変わっている。すなわち、駆動板28Aと係合棒27Aとの係合関係がないので、係合棒セッテイング工程Cに於いては、係合棒27Aの係合部51Aを錠箱24Aの係止突片56Aに係止させ、一方、係合棒復帰工程Eに於いては、錠箱固定工程D後にドライバー80Aを内側カバー32Aのドライバー用貫通孔81並びに錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aに差し込み、かつ、係合棒27Aを略90度回転させ、係合棒27Aの係合部51Aを錠箱24Aの係止突片56Aから外す。そうすると、係合棒27Aはバネ部材26Aのバネ力により、自動的に錠箱24A内に復帰する。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙するような効果がある。
(1)外側錠部材に対する内側錠部材の芯出しが容易であると同時に、内側縦框に内側錠部材を簡単に取付けることができる。
(2)錠部材の使用後に、再度芯出しの必要性が生じた場合、新たなセッテイング用ピンを用意しなくとも直ちに錠部材の芯出しができる。
(3)錠部材を縦框に固定した後、内側カバーに設けられた操作片を簡単に操作するだけで、セッテイング用係合棒の全体を錠箱内に自動的に復帰させることができる。
(4)請求項1及び錠箱仮止め工程を含む請求項5記載の発明は、必ずしも化粧板としての内側カバーにドライバー用貫通孔を形成する必要がない。したがって、意匠的なデザインの要求を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図4は物の発明の一実施例に基づく本発明の実施の形態を説明するための各説明図。図5乃至図10は方法の発明の一実施例に基づく本発明の実施の形態を説明するための各説明図。図11乃至図13は、物の発明の実施例(主要部)の変形例を示す各説明図。
【図1】物の発明の実施の形態を示す概略断面説明図。
【図2】主要部(内側框の取付け用嵌合孔に錠箱を装着した状態を示す。)の説明図。
【図3】要部(係合棒等)を示す説明図。
【図4】要部(駆動板等)を示す説明図。
【図5】方法の発明の一実施例を示す工程図。
【図6】錠箱遊嵌合工程Aを示す説明図。
【図7】錠箱位置決め工程Bを示す説明図。
【図8】係合棒セッテイング工程Cを示す説明図。
【図9】錠箱固定工程Dを示す説明図。
【図10】係合棒復帰工程Eを示す説明図。
【図11】変形例の主要部を示す説明図。
【図12】図11に於いて、係合棒のセッテイング時に於ける係合関係を示す説明図。
【図13】内側カバーの斜視図。
【符号の説明】
X…芯出し構造、1…外側框、2…外側錠部材、3…外側カバー、4…ストライク板、5…第1の固着具、9…芯出し用基準小孔、10…鎌用係合孔、21…内側框、22…内側錠部材、23…フロント板、24、24A…錠箱、40、40A…芯出し孔、42…鎌用開口、25…支持板、26、26A…バネ部材、27、27A…係合棒、50…頭部、51、51A…係合部、28、28A…駆動板、55…上端部、56、56A…係止突片、29…鎌、30…仮止め固定手段、65…固定片、31…第2の固着具、32、32A…内側カバー、70…切欠部、71…ガイド空間、72…ガイド支持板、33…連結棒、34…操作片、76…摘み部、80、80A…ドライバー、81…ドライバー用貫通孔。
A…錠箱遊嵌合工程、B…錠箱位置決め工程、C…係合棒セッテイング工程、D…錠箱固定工程D、d1…錠箱仮止め工程、d2…内側カバー取付け工程、E…係合棒復帰工程。
【発明の属する技術分野】
本発明は引き違い戸の錠部材の芯出し構造及び錠部材の芯出し方法に関する。ここで「錠部材」とは、引き違い戸に於ける外側框に取り付けられる外側錠部材と、この外側錠部材に対向するように内側縦框に取り付けられる内側錠部材とを意味する。
【0002】
【従来の技術】
一般に引き違い戸の錠部材の芯出し構造及び錠部材の芯出し方法は、「錠部材」が鎌用係合孔を有する外側錠部材と鎌を内装する内側錠部材とから成るので、両部材を整合するように引き違い戸の縦框に固定的に取り付けなければ成らない。
【0003】
そこで、従来、外側錠部材のストライク板に位置決め用マークを付し、一方、内側錠部材の錠箱のフロント板に照準孔を形成し、またこの照準孔と位置決め用マークとの一致を目視により確認することができるように前記フロント板と対向する後部垂直壁に覗き孔を形成する引違錠の取付装置が提案されている(特開平7−28640号公報)。
【0004】
また従来、予め外側框に固定的に取付けられた外側錠部材に対し、内側錠部材を内側縦框に取り付ける際に、外側錠部材のストライク板に形成された芯出し用基準小孔、内側錠部材の錠箱のフロント板並びに後部垂直壁にそれぞれ形成された一対の水平貫通孔等にセッテイング用ピンを差し込み、錠部材の芯出した状態で内側錠部材(錠箱及び化粧板)を内側縦框に固定している。
【0005】
しかしながら、前者の実施例は、目視により錠部材の芯出しを行うため、勘やある程度の熟練さを要すると共に、内側錠部材の錠箱を仮止めした状態で化粧板を固定しなければ成らない。すなわち、作業員が一旦目視により錠部材の芯出しをしたならば、錠箱を上下に「ずらさない」ようにしながら内側錠部材の取付け作業をしなければ成らないので、結構面倒である。
【0006】
一方、後者の実施例は、芯出しの際セッテイング用ピンを用いるので、前者の実施例の欠点を解消することができると言う利点を有するものの、一旦引違錠を引き違い戸の縦框に取付けてしまうと、経験則上(日常)、セッテイング用ピンを捨ててしまったり、或いは紛失してしまうのが一般である。したがって、使用後に再度芯出しの必要性が生じた場合に、新たなセッテイング用ピンを用意しないと、直ちに錠部材の芯出しができないという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、第1の目的は外側錠部材に対する内側錠部材の芯出しが容易であると同時に、内側縦框に内側錠部材を簡単に取付けることができることである。第2の目的は錠部材の使用後に、再度芯出しの必要性が生じた場合、新たなセッテイング用ピンを用意しなくとも直ちに錠部材の芯出しができることである。第3の目的は錠部材を縦框に固定した後、内側カバーに設けられた操作片を簡単に操作するだけで、セッテイング用係合棒の全体を錠箱内に自動的に復帰させることができることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の引き違い戸の錠部材の芯出し構造は、ストライク板4に芯出し用基準小孔9を有し、かつ、予め外側框1に固定された外側錠部材2と、この外側錠部材2に対向して内側縦框21に固定され、かつ、錠箱24のフロント板23に芯出し孔40を有する内側錠部材22とから成る引き違い戸の錠部材の芯出し構造に於いて、内側錠部材22の錠箱24内に支持板25を設け、この支持板25には前記芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26で錠箱24の垂直壁部46に形成されたドライバー用差し込み孔48の方向に付勢された芯出し用係合棒27を設け、一方、この芯出し用係合棒27はセッテイングの際に、錠箱24内に上下動可能に内装された駆動板28と係合し、この駆動板28は内側縦框21に固定された内側カバーに設けられた操作片34に連結していることを特徴とする。
【0009】
また本発明の引き違い戸の錠部材の芯出し構造は、ストライク板4に芯出し用基準小孔9を有し、かつ、予め外側框1に固定された外側錠部材2と、この外側錠部材2に対向して内側縦框21に固定され、かつ、錠箱24Aのフロント板23に芯出し孔40Aを有する内側錠部材22とから成る引き違い戸の錠部材の芯出し構造に於いて、内側錠部材22の錠箱24A内に支持板25を設け、この支持板25には前記芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26Aで錠箱24Aの垂直壁部46に形成されたドライバー用差し込み孔48Aの方向に付勢された芯出し用係合棒27Aを設け、この芯出し用係合棒27Aはセッテイングの際に、錠箱24Aの内壁面に設けられた係止突片56Aと係合し、また内側縦框21に固定される内側カバー32Aには、錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aと直線上一致するドライバー用貫通孔81が形成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の引き違い戸の錠部材の芯出し方法は、内側框21の取付け用嵌合孔43にフロント板23を有する錠箱24を遊嵌合する錠箱遊嵌合工程Aと、次にドライバー80を錠箱24のドライバー用差し込み孔48に差し込み、かつ、係合棒27の頭部50を突っ突きながら該係合棒27の先端部をフロント板23の芯出し孔40を介し、外側錠部材2のストライク板4の芯出し用基準小孔9に挿入する錠箱位置決め工程Bと、次にCは錠箱24の取付け位置が割り出された状態に於いて、ドライバー80を介して係合棒27を回転し、該係合棒27の係合部51を駆動板28の係止突片56に係止させる係合棒セッテイング工程Cと、次に内側カバー32を固着具31を介して錠箱24並びに内側框21に固定する錠箱固定工程Dと、しかる後に、内側カバー32に設けられた操作片34を操作して錠箱24内の駆動板28を下降させ、これにより係合棒27と駆動板28との係合関係を解除し、係合棒27をバネ部材26のバネ力により錠箱24内に復帰させる係合棒復帰工程Eとから成ることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の物の発明に於ける実施の形態を説明する。まず図1は引き違い戸に於ける外側框1の錠部材2と、内側縦框21の錠部材22との芯出し構造Xを示す概略図である。
【0012】
まず外側框1の錠部材2について説明する。本発明に於いて、外側錠部材2の内部構造は発明を特定する要件ではないので省略する。
【0013】
しかして、外側錠部材2は、外側カバー(通称、化粧板又は外側エスカチオンと言う。)3と、ストライク板4と、このストライク板4と外側錠部材2を一体的に結合する第1の固着具5とから成る。前記外側カバー3の開口部6が形成された内部空間7には、キーによって作動するシリンダ錠が内装される。また外側カバー3の内部空間7の下方の中央空間8には、複数個のロックアームを有するロック機構が組み込まれる。
【0014】
一方、前記ストライク板4には複数個の貫通孔や開口が形成されている。そこで、これらの貫通孔等について説明すると、9はストライク板4の上部に形成された芯出し用基準小孔である。この芯出し用基準小孔9は円形であり、シリンダ錠用内部空間7と連通可能である。一方、10はストライク板4の下部に形成された鎌用係合孔である。鎌用係合孔10は矩形状であり、後述する内側錠部材22の鎌が入り込む。そして、11はストライク板4の中央部に形成された複数個のロックアーム用貫通孔である。
【0015】
次に内側縦框21の錠部材22について説明する。この内側錠部材22は、予め外側框1に固定された外側錠部材2に対し、錠箱24の芯出し孔を外側錠部材2の基準小孔9に一致させた後、内側縦框21に固定される。
【0016】
しかして、内側錠部材22は、フロント板23を有する錠箱24と、この錠箱24内に支持板25を介し、芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26で一方向に付勢された芯出し用係合棒27と、この芯出し用係合棒27を前記外側錠部材2の基準小孔9にセッテイングした際に、該芯出し用係合棒27を係止できるように錠箱24に上下動可能に内装された駆動板28と、この駆動板28の上下動により回動するように錠箱24に軸支された鎌29と、錠箱24を内側縦框21に仮止めする仮止め固定手段30と、内側縦框21に第2の固着具31を介して直接的又は間接的に固定される内側カバー(通称、化粧板又は内側エスカチオンと言う。)32と、駆動板28に一端部が固定された連結棒33を介して内側カバー32にスライド自在に設けられた操作片34とから成る。
【0017】
そこで、内側錠部材22の各構成要素についてさらに詳しく説明する。まずフロント板23の上部には芯出し孔40が形成されている。芯出し孔40は錠箱24を上下に調節すると、外側錠部材2の基準小孔9と一致可能であると共に、これらの孔9、40が一致した場合には、係合棒27が貫通状態にセッテイング可能である。またフロント板23の中央部には外側錠部材2の図示しないロック機構のロックアームが入り込む開口41が形成されている。さらに、フロント板23の下部には鎌用開口42が形成されている。鎌用開口42は錠箱24を上下に調節すると、丁度外側錠部材2の鎌用係合孔10に一致する。
【0018】
次に錠箱24は内側框21の取付け用嵌合孔43に上下方向に調整できるように多少の余裕を有して嵌め込まれる。錠箱24は全体として長箱状であり、取付け用嵌合孔43に縦に配設される。しかして、44、45はフロント板23と交差する上下の側壁部であり、また46はフロント板23に対する垂直壁部である。この垂直壁部46の上下部には第2の固着具31用メネジ孔47がそれぞれ形成されている。また垂直壁部46の上部には係合棒27をセッテイングするためのドライバー用差し込み孔48が形成されている。さらに、垂直壁部46の中央部には垂直案内長孔49が形成されている。
【0019】
次に支持板25は上壁部44の内壁面に固定的に垂設され、中央部に貫通孔を有する。また係合棒27は、支持板25にその貫通孔を介して設けられたピン状のバーであり、ドライバー用差し込み孔48に臨む頭部50と支持板25との間には、係合棒27を錠箱24内(差し込み孔48の方向)に付勢するバネ部材26が介在している。そして、係合棒27の中央部には駆動板28と係脱する小判状の係合部51が設けられている。
【0020】
次に駆動板28は全体としては長板状であり、錠箱24内に図示しない垂直ガイド部を介して上下動可能に設けられている。そして、駆動板28の人差し指状の上端部55には係合棒27の係合部51を係止する係止突片56が形成されている。また駆動板28の親指状部57側には錠箱の垂直壁部46と対向する折曲部58が形成され、この折曲部58の中央部には連結棒33の一端部が固定されている。さらに、駆動板28の下端部には鎌29のT字型ガイド孔60と係合する突起軸59が設けられている。
【0021】
次に鎌29は錠箱24の下端部寄りの部位に横設軸架された横軸61に軸支され、駆動板28が下降すると、横軸61を支点に回転し、鎌用開口42及び鎌用係合孔10へと入り込む。
【0022】
次に仮止め固定手段30は錠箱24の上下側壁部44、45の外壁面にそれぞれ固定的に設けられている。仮止め固定手段30自体の構成に付いては、出願人が特開平7−286460号公報ですでに提案済みである。この公開公報には錠箱の仮止め構造の実施例をいくつか記載してある。したがって、図1の仮止め固定手段30は錠箱24を内側框21に仮止めする一例に過ぎない。
【0023】
しかして、65は錠箱24の側壁部44、45に固定され、かつ、一端部に内側框21に外拡変位して圧接するアーム状圧接部65aを有する固定片で、この固定片65の他端部には仮止めネジ66と螺合するネジ部65bが設けられている。なお、仮止めネジ66をドライバーで締めると、その先端部がアーム状圧接部65aを押圧する。
【0024】
次に内側カバー32は第2の固着具31を介して錠箱24に固定されている。したがって、内側カバー32は錠箱24のフロント板23と相俟って内側框21に固定されている。内側カバー32は意匠的には化粧板としての装飾的機能を有する。しかして、内側カバー32の中央部には縦方向に切欠部70が形成されている。そして、この切欠部70を塞ぐように内側カバー32の内側には、所要のガイド空間71を有してガイド支持板72が固定的に設けられている。
【0025】
次に操作片34は板状スライド部75の中央部に摘み部76を有し、前記ガイド空間71に設けられている。そして、操作片34の摘み部76にはガイド支持板72の貫通孔を貫通する連結棒33の他端部が嵌入している。
【0026】
次に図5乃至図10は方法の発明の第1実施例である。この実施例は上述した物の発明の実施例を前提としている。したがって、便宜上図1記載の実施例の符号を用いて説明をする。また構造上の重複する説明は便宜的に省略する。
【0027】
まずAは内側框21の取付け用嵌合孔43にフロント板23を有する錠箱24を遊嵌合する錠箱遊嵌合工程である。この錠箱遊嵌合工程Aでは、支持板25に水平状態に支持された係合棒27は、バネ部材26で錠箱24のドライバー用差し込み孔48の方向に付勢され、かつ、その小判状係合部51が支持板25の側面に当たっているので、全体が錠箱24内に位置している。そして、係合棒27の頭部50はドライバー用差し込み孔48の近くに臨んでいる。
【0028】
また錠箱24は内側框21の取付け用嵌合孔43内に於いて上下方向に調整可能であると共に、この段階では錠箱24に内側カバー32は取り付けられていない。さらに、錠箱24内の駆動板28は上方に位置している。
【0029】
次にBはドライバー80を錠箱24のドライバー用差し込み孔48に差し込み、かつ、係合棒27の頭部50を突っ突きながら該係合棒27の先端部を芯出し孔40を介し、外側錠部材のストライク板4の芯出し用基準小孔9に挿入する錠箱位置決め工程である。この錠箱位置決め工程Bでは錠箱24を片手で支持しながら上下方向にスライドし、一方、他方の手でドライバー80の突っ突き操作をする。この場合ストライク板4の芯出し用基準小孔9とフロント板23の芯出し孔40が一致すれば芯出し孔40から突出する係合棒27の先端部が芯出し用基準小孔9に入り込む。この場合係合棒27はバネ部材26のバネ力に抗して水平移動する。これにより錠箱24の取付け位置が割り出される。
【0030】
次にCは錠箱24の取付け位置が割り出された(係合棒27が芯出し用基準小孔9に入り込んだ)状態に於いて、ドライバー80を介して係合棒27を所要角度回転し、該係合棒27の係合部51を駆動板28の係止突片56に係止させる係合棒セッテイング工程である。この係合棒セッテイング工程Cでは、係合棒27を90度程回転すると、係合棒27の係合部51が駆動板28の係止突片56に完全に係止される。したがって、係合棒27が芯出し用基準小孔9に入り込んだ状態に成る。またこの時係合棒27に装着されたバネ部材26は、係合棒27の頭部50と支持板25の間で収縮しているので、バネ部材26のバネ力はドライバー用差し込み孔48の方向に働いている。
【0031】
Dは錠箱固定工程である。この錠箱固定工程Dは、本実施例では錠箱仮止め工程d1と、この錠箱仮止め工程d1後の内側カバー取付け工程d2とから成る。まず錠箱仮止め工程d1ではドライバー80を回し、錠箱24の仮止め固定手段30の仮止めネジ66を締める。仮止めネジ66を締めると、固定片65のアーム状圧接部65aが外拡変位し、内側框21に圧接する。これにより錠箱24は内側框21に仮止めされる。次に内側カバー取付け工程d2では、内側カバー32の操作片34を予め上方に位置させた状態に於いて、操作片34の摘み部76の内部に駆動板28の連結棒33の突出他端部を嵌入させ、しかる後に第2の固着具31を締め、内側カバー32を錠箱24並びに内側框21に固定する。錠箱24はそのフロンド板23と内側カバー32とが相俟って内側框21に確実に固定される。
【0032】
Eは操作片34を操作して駆動板28を下降させ、これにより係合棒27と駆動板28との係合関係を解除し、係合棒27をバネ部材26のバネ力により錠箱24内に復帰させる係合棒復帰工程である。この係合棒復帰工程Eでは操作片34の摘み部76を指で摘んで下方にスライドさせる。そうすると、駆動板28は連結棒33を介して下方に下降し、駆動板28の係合突片56が係合棒27の係合部51から外れる。その結果、係合棒27はバネ部材26のバネ力により、自動的錠箱24内に復帰する。
【0033】
【実施例】
まず物の発明の実施例に於いて、駆動板28の人差し指状の上端部55に係合棒27の係合部51を係止する係止突片56が形成されているが、この点を図11で示すように設計変更することができる。
【0034】
すなわち、図11乃至図13で示すように錠箱24Aの上の側壁部44Aの内壁面に係止突片56Aを垂設し、この係止突片56Aに錠箱24Aの取付け位置が割り出された状態に於いて、係合棒27Aの小判状係合部51Aが係合するように構成する。したがって、駆動板28Aには係止突片が形成されていない。
【0035】
また内側カバー32Aの上端部に、錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aと同様なドライバー用貫通孔81が形成されている点である。なお、ドライバー用貫通孔81、ドライバー用差し込み孔48A、芯出し孔40Aは同一の直線上に位置する。
【0036】
次に方法の発明の実施例に於いて、図11乃至図13で示すように物の実施例を設計変更することができるので、係合棒セッテイング工程C並びに係合棒復帰工程Eか当然変わっている。すなわち、駆動板28Aと係合棒27Aとの係合関係がないので、係合棒セッテイング工程Cに於いては、係合棒27Aの係合部51Aを錠箱24Aの係止突片56Aに係止させ、一方、係合棒復帰工程Eに於いては、錠箱固定工程D後にドライバー80Aを内側カバー32Aのドライバー用貫通孔81並びに錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aに差し込み、かつ、係合棒27Aを略90度回転させ、係合棒27Aの係合部51Aを錠箱24Aの係止突片56Aから外す。そうすると、係合棒27Aはバネ部材26Aのバネ力により、自動的に錠箱24A内に復帰する。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙するような効果がある。
(1)外側錠部材に対する内側錠部材の芯出しが容易であると同時に、内側縦框に内側錠部材を簡単に取付けることができる。
(2)錠部材の使用後に、再度芯出しの必要性が生じた場合、新たなセッテイング用ピンを用意しなくとも直ちに錠部材の芯出しができる。
(3)錠部材を縦框に固定した後、内側カバーに設けられた操作片を簡単に操作するだけで、セッテイング用係合棒の全体を錠箱内に自動的に復帰させることができる。
(4)請求項1及び錠箱仮止め工程を含む請求項5記載の発明は、必ずしも化粧板としての内側カバーにドライバー用貫通孔を形成する必要がない。したがって、意匠的なデザインの要求を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図4は物の発明の一実施例に基づく本発明の実施の形態を説明するための各説明図。図5乃至図10は方法の発明の一実施例に基づく本発明の実施の形態を説明するための各説明図。図11乃至図13は、物の発明の実施例(主要部)の変形例を示す各説明図。
【図1】物の発明の実施の形態を示す概略断面説明図。
【図2】主要部(内側框の取付け用嵌合孔に錠箱を装着した状態を示す。)の説明図。
【図3】要部(係合棒等)を示す説明図。
【図4】要部(駆動板等)を示す説明図。
【図5】方法の発明の一実施例を示す工程図。
【図6】錠箱遊嵌合工程Aを示す説明図。
【図7】錠箱位置決め工程Bを示す説明図。
【図8】係合棒セッテイング工程Cを示す説明図。
【図9】錠箱固定工程Dを示す説明図。
【図10】係合棒復帰工程Eを示す説明図。
【図11】変形例の主要部を示す説明図。
【図12】図11に於いて、係合棒のセッテイング時に於ける係合関係を示す説明図。
【図13】内側カバーの斜視図。
【符号の説明】
X…芯出し構造、1…外側框、2…外側錠部材、3…外側カバー、4…ストライク板、5…第1の固着具、9…芯出し用基準小孔、10…鎌用係合孔、21…内側框、22…内側錠部材、23…フロント板、24、24A…錠箱、40、40A…芯出し孔、42…鎌用開口、25…支持板、26、26A…バネ部材、27、27A…係合棒、50…頭部、51、51A…係合部、28、28A…駆動板、55…上端部、56、56A…係止突片、29…鎌、30…仮止め固定手段、65…固定片、31…第2の固着具、32、32A…内側カバー、70…切欠部、71…ガイド空間、72…ガイド支持板、33…連結棒、34…操作片、76…摘み部、80、80A…ドライバー、81…ドライバー用貫通孔。
A…錠箱遊嵌合工程、B…錠箱位置決め工程、C…係合棒セッテイング工程、D…錠箱固定工程D、d1…錠箱仮止め工程、d2…内側カバー取付け工程、E…係合棒復帰工程。
Claims (7)
- ストライク板4に芯出し用基準小孔9を有し、かつ、予め外側框1に固定された外側錠部材2と、この外側錠部材2に対向して内側縦框21に固定され、かつ、錠箱24のフロント板23に芯出し孔40を有する内側錠部材22とから成る引き違い戸の錠部材の芯出し構造に於いて、内側錠部材22の錠箱24内に支持板25を設け、この支持板25には前記芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26で錠箱24の垂直壁部46に形成されたドライバー用差し込み孔48の方向に付勢された芯出し用係合棒27を設け、一方、この芯出し用係合棒27はセッテイングの際に、錠箱24内に上下動可能に内装された駆動板28と係合し、この駆動板28は内側縦框21に固定された内側カバーに設けられた操作片34に連結している引き違い戸の錠部材の芯出し構造。
- 請求項1に於いて、芯出し用係合棒27には係合部51が設けられ、一方、駆動板28の上端部には、芯出し用係合棒27のセッテイングの際に、前記係合部51を係止する係止突片56が設けられていることを特徴とする引き違い戸の錠部材の芯出し構造。
- ストライク板4に芯出し用基準小孔9を有し、かつ、予め外側框1に固定された外側錠部材2と、この外側錠部材2に対向して内側縦框21に固定され、かつ、錠箱24Aのフロント板23に芯出し孔40Aを有する内側錠部材22とから成る引き違い戸の錠部材の芯出し構造に於いて、内側錠部材22の錠箱24A内に支持板25を設け、この支持板25には前記芯出し用基準小孔9に対して水平移動可能に設けられ、かつ、バネ部材26Aで錠箱24Aの垂直壁部46に形成されたドライバー用差し込み孔48Aの方向に付勢された芯出し用係合棒27Aを設け、この芯出し用係合棒27Aはセッテイングの際に、錠箱24Aの内壁面に設けられた係止突片56Aと係合し、また内側縦框21に固定される内側カバー32Aには、錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aと直線上一致するドライバー用貫通孔81が形成されている引き違い戸の錠部材の芯出し構造。
- 請求項3に於いて、ドライバー用貫通孔81、ドライバー用差し込み孔48A、芯出し孔40Aは同一の直線上に位置し、また芯出し用係合棒27Aは、常態では全体が錠箱24A内に位置していることを特徴とする引き違い戸の錠部材の芯出し構造。
- 内側框21の取付け用嵌合孔43にフロント板23を有する錠箱24を遊嵌合する錠箱遊嵌合工程Aと、次にドライバー80を錠箱24のドライバー用差し込み孔48に差し込み、かつ、係合棒27の頭部50を突っ突きながら該係合棒27の先端部をフロント板23の芯出し孔40を介し、外側錠部材2のストライク板4の芯出し用基準小孔9に挿入する錠箱位置決め工程Bと、次にCは錠箱24の取付け位置が割り出された状態に於いて、ドライバー80を介して係合棒27を回転し、該係合棒27の係合部51を駆動板28の係止突片56に係止させる係合棒セッテイング工程Cと、次に内側カバー32を固着具31を介して錠箱24並びに内側框21に固定する錠箱固定工程Dと、しかる後に、内側カバー32に設けられた操作片34を操作して錠箱24内の駆動板28を下降させ、これにより係合棒27と駆動板28との係合関係を解除し、係合棒27をバネ部材26のバネ力により錠箱24内に復帰させる係合棒復帰工程Eとから成る引き違い戸の錠部材の芯出し方法。
- 請求項5に於いて、係合棒セッテイング工程Cは、係合棒27Aの係合部51Aを錠箱24Aの係止突片56Aに係止させ、一方、係合棒復帰工程Eは、錠箱固定工程D後にドライバー80Aを内側カバー32Aのドライバー用貫通孔81並びに錠箱24Aのドライバー用差し込み孔48Aに差し込み、かつ、係合棒27Aを回転させ、係合棒27Aの係合部51Aを錠箱24Aの係止突片56Aから外すことを特徴とする引き違い戸の錠部材の芯出し方法。
- 請求項5に於いて、錠箱固定工程Dは、錠箱仮止め工程d1と、この錠箱仮止め工程d1後の内側カバー取付け工程d2とから成ることを特徴とする引き違い戸の錠部材の芯出し方法。
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